ゆっくりいじめ系2545 だって赤ちゃんだもん 後編

「ゆぎゃあああああああああああぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ―――――――――――――――――――――!!!!」



突如、部屋中に響き渡る、巨大赤れいむの絶叫。
お家の中でまりさの無事を願っていた一家も、一体何事かと入口からこっそり顔を出し始めた。
そんな一家が見た光景。
そこにはなんと、足から脳天に深々と割り箸を刺してもがいている巨大赤れいむと、それを唖然とした表情で見ていた親まりさの姿があった。

ブランコは、割り箸を紐を組み合わせて作られている。
だんだん体当たりをすることすら億劫になってきた巨大赤れいむは、その重量をもって圧し掛かり、親まりさごとブランコを破壊しようと考えたのである。
しかし、これがいけなかった。
割り箸の強度を軽んじていたことと、丁度最悪の位置に圧し掛かってしまったことで、割り箸は見事に巨大赤れいむの体を貫いてしまったのである。

「ゆぎいいいいぃぃぃぃぃ―――――――!!!! いだいよおおおぉぉぉぉぉぉぉ――――――――!!!! これとっでえええぇぇぇぇ――――――――!!!!!」

割り箸を取り付けたまま、巨大赤れいむが地をのたうち回る。
生まれて以来、初めて感じる強烈な痛みに我を忘れ、巨大赤れいむは大量の汗と涙と涎をまき散らしながら、もがき苦しんでいた。

それを見ていた親れいむと姉妹たちが、家の中から飛び出してくる。
そして、姉妹はその様子に大満足といった様子で、囃し立てていた。

「ゆっくりくるしんでね!!」
「れいむたちをころそうとしたから、ばちがあたったんだよ!!」
「おお、ぶざまぶざま!!」

相当フラストレーションが溜まっていたのだろう。
巨大赤れいむの無様な姿に、皆溜飲を下げていた。
しかし、それを一喝する声が掛けられる。
それは、最も巨大赤れいむの攻撃にされされていた親まりさであった。

「おちびちゃん!! ゆっくりだまっててね!!」
「!!!」

この父は、いきなり何を言ってくるんだと言わんばかりの表情の姉妹。
それも仕方があるまい。何しろ自分たちは命を狙われたのだ。
そんな仇敵が目の前で苦しんでいる。それを笑って何が悪いというのだ。
しかし、親まりさは厳しい表情を崩さない。

「おちびちゃんたちのきもちは、ゆっくりりかいできるよ!! でもだれかがけがをしたすがたをみてわらうのは、とってもゆっくりできないことなんだよ!!」
「ゆうぅ……で、でも……」
「このおちびちゃんは、もうゆっくりばつをうけたよ!! あとはおねえさんがかえってきたら、ゆっくりしかってもらえばいいよ!! だから、そんなことをいっちゃいけないよ!!」
「……ゆっくりりかいしたよ!!」

未だ完全には納得できないものの、姉妹たちは一応の理解を見せる。
何しろ一番殺されかかった親まりさが許すというのだ。ただ逃げていただけの自分たちに、それを覆す権利はなかった。

親まりさは、何とか分かってくれた子供たちに安堵し、巨大赤れいむの側にやってくる。
そして未だ絶叫を上げ続ける巨大赤れいむに、その声に負けない声量で呼びかけた。

「おちびちゃん!! ゆっくりはんせいした?」
「ゆぎいいいぃぃぃい―――――――!!!! これとっでええぇぇぇぇぇ――――――――!!!
「ゆぅ……」

巨大赤れいむは返事を返さなかったが、痛さで自分の声も頭に入っていないのだろうと考える。
その後、親れいむの元に行き、巨大赤れいむに刺さった割り箸を取ってあげようと提案した。
その提案に親れいむは、若干渋い顔をする。
自分たちを殺そうとした巨大赤れいむを助けるのが嫌というのではなく、助けた後、再び殺されるのではないかという懸念からであった。
しかし、それはないよと、まりさは断言した。
例え、割り箸を抜き、手当をしたとしても、完全に動けるようになるまで、相当な時間がかかるはずである。
それまでには、男も愛で子も帰宅しているはずである。
その旨を伝え、納得した親れいむは、親まりさと共に巨大赤れいむの尻の所に来ると、突き刺さった割り箸を噛みしめ、体から抜こうとした。

「ゆぎいいいぃぃぃぃ―――――――!!!! いだいよおおおおぉぉぉぉぉ――――――――――!!!!」

抜くときのあまりの痛さに、これまで以上に絶叫を上げる巨大赤れいむ。
しかし、割り箸は相当深く食い込み、マイクロゆっくりの両親の力では抜くことが出来ない。
親まりさは、子ゆっくりにも割り箸を抜くのを手伝うよう呼びかける。
初めは嫌そうな様子を見せるも子ゆっくりだったが、徐々に巨大赤れいむの余りに惨めな姿が気の毒になってきて、両親の背後に付き、割り箸に噛みつき始める。
ちなみに姉たちの様子を見て、赤ゆっくりたちも手伝うと申し入れたが、親まりさがそれを認めなかった。
赤ゆっくりの体格上、割り箸を噛むことは出来ないし、大豆が三匹加わったところで高が知れるというものである。
親まりさの号令に合わせ、全員で一気に割り箸を抜こうと試みた。
しかし、結果は変わらず、巨大赤れいむが絶叫を轟かせただけに過ぎなかった。

「ゆうぅ……ゆっくりこまったよ!!」

マイクロ一家は、すっかり弱音を吐いてしまう。
自分たちの力では、どうにもならないことが分かってしまったのだ。
しかし、このままにしておく訳にはいかなかった。
何しろ、巨大赤れいむと割り箸の隙間からは、徐々に餡子が漏れ出しているのである。
仕方がないと、親まりさは一つの解決策を打ち出した。
割り箸はこのままにして、餡子の流出だけを抑え込むのだ。

水槽内には、緊急用のオレンジジュースが備え付けられている。
一家は全員でそれを口に含み、巨大赤れいむの元までやってくると、餡子の漏れ出している箇所に、水鉄砲のように噴射した。
これを何度も何度も繰り返し行うことで、徐々に巨大赤れいむの皮は復元し、餡子の流出は抑え込まれていく。
一家は、男と愛で子が帰宅するまで、延々とこの作業を繰り返し続けた。






「ただいま~、今帰ったぞ~~」
「れいむ、ただいま。いい子にしてたかしら? お菓子をたくさん買ってきたからね」

二人は帰ってくるや、食材の入った袋を置くと、一家の水槽のある部屋に入ってきた。
そして、その様子に絶句する。

「な、なにやってんだああああぁぁぁぁぁぁぁ―――――――――――――!!!!」
「れ、れいむううぅぅぅぅ――――――――――!!!!」

絶句の後、絶叫を上げる二人。
ようやく二人が帰ってきたことに安堵した一家は、オレンジジュースの噴射をやめて、男に懇願した。

「おそいよ、おにいさん!! ゆっくりしすぎだよ!!」
「ゆっくりはやく、おちびちゃんをたすけてあげてね!!」

一家は男に急かす。
しかし、事情が読み込めない男は、一家に説明を求めるが、

「お前たち!! いったい何でこんなことが……」
「それより、愛で男くん!! れいむの治療を!!」
「えっ? あ、ああ、そうか!! そうだな!!」

顔面蒼白な愛で子に指摘され、そんな場合ではないと、水槽の中から巨大赤れいむを取り出し、急いで台所に向かう。
割り箸を抜き出し、冷蔵庫から餡子と小麦粉とオレンジジュースを取り出すと、まず餡子を割り箸で出来た穴に注ぎ込んでいく。
しっかりと中まで入ったことを確認し、更にその上から大量の小麦粉とオレンジジュースをかけて、傷を埋めていった。

「たぶんこれでどうにかなると思うんだが……」
「本当? 本当なの、愛で男くん!!」
「ああ、俺がガキの頃に買っていたミニゆっくりも、一度鉛筆で体を貫いたことがあったんだが、この治療で治ったからな。
それでも、近いうちに一度ゆっくりショップか、ゆっくり病院で診てもらったほうがいいと思う」
「はあぁぁ……よかった……よかった」

愛で子は巨大赤れいむが治るというその言葉に、腰が抜けたのか、そのまま座り込んでしまった。
そんな愛で子の肩を抱き、ソファーの元に連れて行くと、男は事情聴取をするべく、一家の元にやってきた。
その表情には、怒りが見て取れた。

「お前たち、これはいったいどういうことなんだ? しっかり説明してもらおうか?」

嘘は絶対に許さないという態度で詰問する。
一家は、巨大赤れいむの世話で疲れ切っていたが、事情を言わない訳にはいかず、親まりさがこれまでのあらましを説明した。
初めは怒りに身を任せていた男だったが、事情を聴いていくうちに、すっかりその怒りも霧散してしまった。
何しろ一家の話が本当なら、もしかしたら怪我を、いや怪我どころか死んでいたのはマイクロ一家のほうかもしれなかったのだから。

しかし、突然の巨大赤れいむの乱心というのに、信じられない思いがあった。
一家の話から推測するなら、巨大赤れいむが襲ってきたのは、愛で子に告げ口されることを恐れての犯行だろう。
それは分かる。しかし、同時にその程度のことで? という気持ちが男にはあった。
告げ口されれば、当然愛で子は巨大赤れいむを叱りつけるだろう。もしかしたらお仕置きに体罰くらいは受けるかもしれない。
しかし、所詮その程度である。
愛で子の性格からいって、お仕置きを受け十分反省するなら、その後はいつものように精一杯目一杯可愛がるに決まっている。
一家を殺そうとする動機としては、とても薄っぺらく思えてしまう。

あるいは、巨大赤れいむの積りに積もった負の感情が一気に噴き出してきたのだろうか?
その線も考えたが、それもいまいち納得できない。
確かに巨大赤れいむを蔑ろにしている部分が多少あったことは、男も分かっている。
いや、男も一家も蔑ろにしていたつもりはないが、巨大赤れいむがそう思っているのではと感じたことは、少なからずあったように思える。
しかし、あの程度の蔑ろは、一家に対し何度も行っている。それこそ生まれたばかりの赤ゆっくりに対してもだ。
外出で構ってやれないことも多いし、テレビや読書の最中に、面倒になって無視したことも何度あっただろうか。
愛で子と違い、お仕置きには叱責だけでなく度々体罰も加えた。例をあげていけばキリがないくらいである。
それでも、一家は素直にスクスクと成長していった。多少親バカなところは自覚しているが、客観的に見てもいい子たちであるという自負がある。
その観点から見ても、巨大赤れいむの負の感情など、「その程度のこと」としか男の目には映らなかったのである。

しかし、男にはただ一つ知らないことがあった。巨大赤れいむの愛で子に対する、依存にも似た感情である。
生まれてすぐに両親と離され、姉妹もなくゆっくりショップのゲージの中で過ごした数日間。
巨大赤れいむは途轍もない孤独感に支配された。
そして、それを癒してくれたのが、巨大赤れいむを買った愛で子である。
自分には愛で子しかいない。愛で子は親であり、姉妹であり、友達であり、そして家族であった。
その愛で子を一家に奪われるかもしれない。
一家に告げ口をされて、愛で子に嫌われるかもしれない。
それが、巨大赤れいむが何よりも恐れることであった。

実は男と愛で子のペットに対する接し方にそれほど違いはない。
寧ろ、愛で子のほうが男以上に巨大赤れいむに構っていたくらいである。
一家と巨大赤れいむの唯一の違いは、飼い主の他に心の拠り所となる者がいるかいないかの差である。
一家は男に叱られても、慰めてくれる家族がいる。
構ってもらえなくても、遊ぶ相手が大勢いる。
最悪、男に捨てられたとしても、一家は一匹ではないのだ。
しかし、巨大赤れいむには、愛で子しかいない。
叱られて慰めてくれる人はいないし、遊んでくれる相手もいない。
愛で子に見捨てられれば、完全に孤立してしまうことになってしまうのだ。
この差は、飼い主からすれば大した問題ではないかもしれないが、ゆっくりからすれば、己の一生を左右する切実な問題なのである。
そんな一家と巨大赤れいむの立場を同列に見なしている男に、この疑問が解けることはなかったのである。



「愛で子……」
「あ……まりさちゃんたち、なんだって?」

男は愛で子の隣に腰を下ろし、一家に聞いたことをそのまま愛で子に聞かせてやった。
それを聞いて驚き、そして大いにショックを受けた。

「この子がまさかそんなことを……」
「いや、まだ完全にまりさたちが言ったことが正しいかは証明できないが……」

男はそう慰めるが、正直、まりさたちが嘘を言っているとは思っていなかった。
ゆっくりは根が単純で、嘘をつこうものなら、すぐに顔に出てしまう。
こんな大嘘を吐こうものなら尚更だ。しかし、一家には一切それがなかった。
それと、自分の可愛い子たちを信用しているということもあるし、あの水槽の荒れ方や一家が治療を施していた状況からも、一家の説明と合致する。
なぜ巨大赤れいむが、突如一家を殺そうとしたのか。その理由は分からないが、それ以外はまず間違いないだろうと確信していた。
と、そんなことを考えていると、傷が回復したのか、巨大赤れいむが、ゆっくりと目を開いた。

「……ゆっ? ……おねえしゃん?」
「れいむ!!」

寝ぼけ眼で、愛で子を捉える巨大赤れいむ。
最初は何が何だか分かっていなかった巨大赤れいむだが、次第に餡子脳がハッキリしてくるや、ようやく最愛のあ姉さんが帰ってきたとばかりに擦り寄っていった。

「おねえしゃん!! ゆっきゅりおかえりなちゃい!!」

巨大赤れいむの威勢のいい挨拶。しかし、そんなれいむを、愛で子は悲しそうな視線で見つめている。

「れいむ。良かったわ、元気になって……」
「りぇいむ、しゅっかりげんきになっちゃよ!! ゆっきゅりおなかがちゅいてきちゃよ!!」
「……」

数十分前のことを覚えていないのか、巨大赤れいむに悪びれた様子は一切なかった。
そんなれいむを見て、信じたい気持ちでいっぱいの愛で子だが、事情はハッキリさせなくてはならないと、重い口を開き始めた。

「れいむ。あなたに聞きたいことがあるの」
「ゆっ? にゃんにゃにょ、ききちゃいこちょって?」

愛で子は、男に聞かされた話を、巨大赤れいむに伝えていく。
初めは余裕の表情で聞いていた巨大赤れいむだったが、次第にその余裕は消え去り、顔は青ざめ、遂には傷が癒えたばかりだというのに、大量の砂糖水が体から流れ出てくる。
震えた体に、噛み合わない歯、視点の定まらない瞳。
この様子を見るだけで、一家が嘘を付いていないことは明白だが、真実を自分の口から言わせなればならないと、愛で子は巨大赤れいむに、ゆっくり静かに問いただす。

「れいむ。今のお話は本当なの?」
「ゆっ……ゆっ………ゆ……」
「れいむ!!」
「……お、おにぇえちゃんたちが、ゆっきゅりうしょをちゅいたんだよ!! れいみゅはしょんにゃこちょ、ちてないよ!!」

この期に及んでも、巨大赤れいむは嘘を並びたてていく。
すでにどちらが嘘を言っているか分かっている男と愛で子は、その巨大赤れいむの答えに大いに失望した。

「……本当に嘘をついていないのね?」
「ゆゆっ!! ゆっきゅりほんちょうだよ!!」
「本当にまりさお姉ちゃんたちが嘘を付いているのね?」
「ゆっ!! しょうだよ!! おにぇえちゃんたちは、ゆっきゅりうしょちゅきなんだよ!!」
「怒らないから本当のことを言って、れいむ!!」
「れいみゅはうしょなんきゃ、ちゅいてにゃいよ!! ゆっきゅりおにぇえちゃんたちを、おちおきちてあげちぇね!!」
「そう……」

その後、愛で子はソファーを立つと、来る時に巨大赤れいむを入れてきたゲージを持ってきた。
そして、巨大赤れいむを手に取ると、ゲージの中に入れていった。

「ゆっ!! おにぇえしゃん?」
「もう帰る時間よ。ご飯は家で食べましょうね」
「ゆゆっ!! ゆっきゅりりかいちたよ!!」

巨大赤れいむは上機嫌でゲージの中に入っていった。
巨大赤れいむは嬉しかった。何しろ自分の嘘がばれなかったのだから。
ゆっくりに人間の機微は読めない。それが赤ゆっくりとなれば尚更である。
マイクロ一家に告げ口されたことで追及は避けられなかったものの、やはり愛で子は自分のことを信じてくれたのだと考えていた。
あれ以上追及が来なかったことが、何よりの証拠である。
家に帰るのは、嘘をついたと思っている一家に腹を立てたためだと考えた巨大赤れいむは、ゲージの中でほくそ笑んだ。
最悪の一家に苛められたし、痛い思いもしたが、収穫はあった。
あのゆっくり用の遊具はとても魅力的であった。
家に帰ったら、自分だけの素晴らしい遊具を買ってもらおうと、巨大赤れいむはすでに自分が犯した過ちも忘れ去っていた。

ゲージをもって玄関に行く愛で子。
それを追いかける男。

「なあ、本当に帰るのか?」
「ええ、ごめんなさい。その……うちの子が……」
「いや、特に目立った怪我はしていないし、あいつらも許してるみたいだから、俺はいいけど……でも……その…その子は?」
「この子を買うとき、お店の方から育て方のマニュアルと一緒に、条例の書かれた書類も頂いたわ……」
「条例? ……………まさか!!」
「……」
「いや、それは、でも……本気なのか?」
「……」
「い、いや……そこまですることはないだろう。ほら、俺もあいつらも気にしてないしさ!! それに結構費用だって掛けてきただろ?」
「せっかく買い物してきたのに、御夕飯作れなくてごめんなさい。また機会を見て遊びに来るわ。まりさちゃんたちにもよろしくね」
「……あっ」

愛で子は、男の質問に答えることなく、一礼をして、玄関を出て行った。
男は呆然としながら、しばしその場に佇んでいた。




「ゆゆっ!! おにいさん!! おねえさん、ゆっくりかえったの?」
「ああ……」
「おにいさん!! まりさたちは、ゆっくりおちびちゃんのことをゆるしてあげるよ!! だから、こんどおねえさんにあったら、ゆっくりいってあげてね!!」
「……もうおそいよ」
「ゆっ?」

まりさには、男の言葉の意味が分からなかった。











「おねえしゃん!! ゆっきゅりどきょにいきゅにょ!!」

翌日、再度ゲージに入れられた巨大赤れいむは、愛で子に行き先を尋ねた。
しかし、愛で子は何故か朝から口を聞いてくれなかった。
昨夜は今まで食べたこともないような豪勢な食事を与えてくれたというのに。
いぶかしむ巨大赤れいむ。自分は何か愛で子の機嫌を損ねるようなことをしただろうか?
すでに巨大赤れいむの中では、昨日のことは忘れ去られていたのである。
そのことに考えを集中させていると、いつの間にか、愛で子は目的の場所に着いたらしい。
ゲージの中から巨大赤れいむを取り出すと、それを目の前の厳つい男に手渡す。

「……よろしくお願いします」
「はい、確かにお預かりいたしました」
「あ、あの……この紙に書いてあるんですけど、本当にその……」

愛で子は言いづらいことなのか、途中まで言いながらも、言葉を閉ざしてしまう。
その様子に厳つい男は疑問に思い、愛で子が差し出した紙に目をやる。
その内容を読んで、愛で子が何を言いたいのか理解した厳つい男は、柔和な笑みで愛で子に答えた。

「ええ、ご安心ください。この赤ちゃんれいむは、とても安らかひと時を送れますよ」
「そうですか……お止めして申し訳ありません」
「いえ、お気持ちはお察しいたします。それではそろそろ時間ですので」

厳つい男は愛で子に一礼し、巨大赤れいむを掴みながら、愛で子の元から離れていった。

「ゆっ? おねえしゃん?」

自分の境遇が理解できない巨大赤れいむは、男の手の中から、愛で子の姿をとらえる。
そこには、何故か涙を流し、じっと遠ざかっていく巨大赤れいむを見つめ続ける愛で子の姿があった。

「ゆっ!! ゆっきゅりとまっちぇね!! れいみゅはおねえしゃんのときょりょにかえりゅよ!!」

最愛の飼い主の悲しそうな泣き顔を見て、巨大赤れいむは今すぐ愛で子の元に返せと、厳つい男に言ってくる。
しかし、厳つい男は巨大赤れいむの言葉に返事を返さない。
巨大赤れいむは、何とか厳つい男の手の中から逃れようともがいたが、男の力は強く、れいむの力では抜け出すことが出来なかった。
やがて、男はある部屋の扉の前にやってくると、鍵を開けて、中に入っていく。

「おい、じじい!! ゆっくりまりささまをここからだすんだぜ!!」

汚い言葉を使ってくる汚れたまりさ。

「すっぎりさせでええぇぇぇぇ――――――!!!」

全身に拘束具を付けられ苦しそうなアヘ顔のありす。

「むきゅ――――!!! ぱちぇはもりのけんじゃなのよ!! ゆっくりここからだしなさい!!」

顔が半分かけたぱちゅりー。

そこには、多種多様なゆっくりが、所狭しと床を埋めていた。
そんな足の踏み場もないようなところに、うまく隙間を見つけ入っていくと、そこに巨大赤れいむをゆっくり置いた。

「ゆゆっ!! れいみゅは、おねえりゃんのときょろにかえりゅんだよ!! きょんなちょこりょに、ゆっきゅりようはないよ!!」

巨大赤れいむは、愛で子の元に連れて行けと喚くが、男は聞こえないのか、その言葉を無視し、部屋から出て行った。
そしてドアを閉めるや、鍵を掛ける。

巨大赤れいむは、なぜこんな所に連れてこられるのかが理解できず、ドアの前であらん限りの大声を張り上げる。
しかし、それに返事を返してくれる者はおらず、「後三分か……」という訳のわからない言葉が聞こえてきただけであった。
それでも巨大赤れいむは喚き続ける。
今日は愛で子にゆっくり用遊具を買ってくれるよう進言するつもりだったのだ。
こんな所で油を売っていては、日が暮れて店が閉まってしまう。

遂にはドアに体当たりをする巨大赤れいむ。
しかし、当然の如く、ドアはびくともしない。
それでも繰り返し繰り返し体当たりを続けている巨大赤れいむだったが、しばらくすると、突然「ビ―――――――!!」という不快な音が部屋に鳴り響いた。
そして、それに間をおかず、天井から白い煙のようなものが、部屋中に降り注いだ。

「ゆっ? にゃんにゃの、きょれ?」

巨大赤れいむは、突如出てきた白い煙に舌を付ける。
ゆっくりは分からないものがあると、大抵舌を出す癖がある。
朝食を取っていなかったこともあるだろう。
しかし、それが巨大赤れいむの運命を決定づけた。

舐めてみると、それは特に味も香りもなかった。
もしかしたら食事かと甘い期待を抱いていた巨大赤れいむは、すぐに失望した。
しかし、舌を仕舞うと、何故か体がピリピリするような錯覚を覚えた。
一体なんだろう? そう考えた瞬間だった。





「ゆぎゃあああああぁぁぁぁぁぁぁぁぁ――――――――――――――――――!!!」
「ゆぎぎぎぎぎぎぎぎぎぎぎぎぎぎぎぎぎぎ―――――――――――――!!!!」
「ゆげえええええぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇ――――――――――――――――――――――――!!!!!」
「がああああああああああああああああああぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ―――――――――――――――――!!!!」





突然、部屋中にいたゆっくりから悲鳴が漏れ始める。
巨大赤れいむも例外ではなく、絶叫を響かせ、餡子を撒き散らす。

「ゆげえええぇぇぇぇぇぇぇぇ―――――――――――!!!! にゃんにゃの、きょれえええぇぇぇぇぇぇぇぇぇ――――――――――――!!!!」

体には激痛が走り、嘔吐感が止まらない。
口からは止めどなく餡子が流れ出て、遂には、口だけでは狭いと言わんばかりに、巨大赤れいむの左目が餡子によって飛ばされた。

「ゆぎいいいぃぃぃぃ――――――!!!! りぇいみゅのおみぇみぇがああああぁぁぁぁぁぁ――――――――――――!!!!」

周りのゆっくりも、巨大赤れいむの様に、餡子が目を押しやったり、ちょっとした傷口が一気に広がって大量の餡子が漏れ出したりと、大惨事だった。

「おねえしゃあああああああああん!!!! くるちいよおおおおおおぉぉぉぉぉぉ――――――――!!!! たしゅけてええええぇぇぇぇぇぇぇ――――――――!!!!」

あまりの痛さと、命の餡子が流れ出る恐怖に、巨大赤れいむは、最愛の愛で子を呼び続ける。
しかし、いつもなら巨大赤れいむが泣いているとすぐに駆けつけてくれた愛で子は、この時来てくれないばかりか、返事も返してくれない。
それでも巨大赤れいむは、愛で子の名を叫び続ける。何しろ彼女には、愛で子しかいないのだから。

「おねえしゃあああああああああん!!! おねええしゃあああああ……ん!!! お……ねえ……しゃ……ん! おね……え……しゃ……………」

巨大赤れいむは、最後まで愛で子が来てくれると信じながら、大量の餡子をまき散らし、絶命した。









「れいむ……ごめんね……ほんとにごめんなさい……」

愛で子は保健所の椅子に座り、涙を流し続けた。
ゆっくりが故意に人もしくは飼いゆっくり、ペットに危害を加えた場合、保健所に引き渡すことが都市条例で決められている。
それは、いくつかの特例を除き、ゆっくりの飼い主が必ず守らなければならない義務である。
しかし、現状でその条例が市民に完全に守られているかと言えば、必ずしもその限りではない。

誰でも自分のペットは可愛いものである。
例え人間や飼いゆっくり、ペットに怪我を負わせてしまっても、条例を無視しなあなあに終わらせたり、示談で済ませたりする人が後を絶たない。
酷い例になると、条例すら知らない飼い主もいるくらいである。

愛で子も巨大赤れいむを引き渡したくなどなかった。
自分が飼った初めてのペット。子供のころから、何度親にゆっくりを買ってと懇願したか分からない。
愛していたのだ、心の底から巨大赤れいむのことを。
男もマイクロ一家も気にしていない、許してくれると言っていた。保健所に告げ口なんてしないだろうし、黙ってさえいれば、誰にも分からない。
しかし、それでも愛で子はこの手段を選んだ。

それは愛で子が真面目だったからということだけではない。
真面目には違いないが、法とペットの命、どちらを取るかと聞かれれば、おそらく躊躇いつつもペットの命を優先するだろう。
もし、今回の事件が然程大きなものでなければ、愛で子はこれからも巨大赤れいむと一緒に暮らしていたに違いない。
巨大赤れいむが、腹立ちまぎれに自分の力を見せびらかす程度のことだったなら、甘いとは思うが愛で子もこの決断はしなかったに違いない。
自分の力が理解できず、誤って暴力をふるってしまったと言うことなら、愛で子もキツイ折檻だけで済ませてしまっていただろう。
しかし、今回は事が事であった。

巨大赤れいむには、一家に対し、明確な殺意をもって攻撃を行ったのである。
一度、そういう考えを持ってしまったゆっくりは、中々矯正することが難しい。一生矯正できない個体のほうが多いくらいなのだ。
次もこういう事態になったら、今度は躊躇いもせずに、最初から相手を殺しにかかるだろう。
巨大赤れいむが、自暴自棄の果てに返り討ちにあって死んでしまうなら構わない。いや、構わなくはないが、それは愛で子が悲しいだけで済む話である。
しかし、万が一、相手に傷をつけたら、それは簡単に済む問題ではない。
今回、マイクロ一家が傷も残さず生き残ったのは、彼女らの優秀さもあったが、それ以上に運が良かっただけの話である。
普通の個体だったなら、全滅していただろうし、生き残ったとしても、大怪我をしていてもおかしくはない状況だったのだ。

だからと言って、巨大赤れいむを部屋の中に一生閉じ込めておくことも出来ない。
マイクロ一家と違い、外に散歩にも行きたがるだろうし、部屋に友人を呼ぶことだってある。将来的には、相方が欲しいと言ってくるだろう。
それらを無視して、れいむを籠の鳥のように閉じ込めておくことは、ゆっくりすることを信条とするゆっくりにとって、とても耐えられないことに違いない。
結局、巨大赤れいむが、これからも生きていくには、ゆっくりらしさを捨て去る以外、手はないのである。

そんなことをさせるくらいならと、昨晩、睡眠も取らずに悩みに悩んだ結果が、これであった。
保健所についての項目を読んでいくと、ゆっくりの処分はゆっくり用の神経ガスを使い、まるで眠るように息を引き取ると書いてある。
先程、厳つい男に聞いた時も安心しろと言ってたくらいだし、きっと安らかに逝くことが出来るだろう。
自分はいい飼い主にはなれなかったけど、天国で精いっぱいゆっくりしてねと、何度も何度も巨大赤れいむに心の中で謝罪を繰り返し、愛で子は目元を腫らしたまま、保健所を後にした。








ゆっくり条例 第〇章 第△条

人間もしくは飼いゆっくりに危害または殺害を犯したゆっくりは、その危険性を考慮し、ゆっくり保健所に引き渡すこととする。
特例として、以下の場合に限り……



~fin~












新発売
マイクロゆっくりHC

通常のマイクロゆっくりより高い知能を有し、2倍から~最大32倍まで賢さアップ
当店おすすめは、マイクロゆっくりHC 賢さ8倍モデル
お値段、扱いやすさ共に満足の一品です
お求めはゆっくりショップ 〇〇支店まで




ゆっくりいじめ系435 とかいは(笑)ありす
ゆっくりいじめ系452 表札
ゆっくりいじめ系478 ゆっくりいじり(視姦)
ゆっくりいじめ系551 チェンジリング前
ゆっくりいじめ系552 チェンジリング中
ゆっくりいじめ系614 チェンジリング後①
ゆっくりいじめ系615 チェンジリング後②
ゆっくりいじめ系657 いい夢みれただろ?前編
ゆっくりいじめ系658 いい夢みれただろ?後編
ゆっくりいじめ系712 ゆっくりですれ違った男女の悲しい愛の物語
ゆっくりいじめ系744 風船Ⅰ
ゆっくりいじめ系848 風船Ⅱ
ゆっくりいじめ系849 風船Ⅲ
ゆっくりいじめ系936 カルガモとゆっくり 前編
ゆっくりいじめ系937 カルガモとゆっくり 後編
ゆっくりいじめ系938 カルガモとゆっくり おまけ
ゆっくりいじめ系960 ゆっくりにドラえもんの道具を与えてみた
ゆっくりいじめ系1702 三匹のゆっくり 1
ゆっくりいじめ系1703 三匹のゆっくり 2
ゆっくりいじめ系1704 三匹のゆっくり 3
ゆっくりいじめ系1705 三匹のゆっくり 4
ゆっくりいじめ系1706 三匹のゆっくり 5
ゆっくりいじめ系1707 三匹のゆっくり 6
ゆっくりいじめ系1708 三匹のゆっくり 7
ゆっくりいじめ系1709 三匹のゆっくり 8
ゆっくりいじめ系1716 続・ゆっくりにドラえもんの道具を与えてみた
ゆっくりいじめ系2536 ゆっくりですれ違った男女の悲しい愛の物語 加筆修正版

タグ:

+ タグ編集
  • タグ:

このサイトはreCAPTCHAによって保護されており、Googleの プライバシーポリシー利用規約 が適用されます。

最終更新:2009年05月07日 21:01
ツールボックス

下から選んでください:

新しいページを作成する
ヘルプ / FAQ もご覧ください。