ゆっくりいじめ系2535 げすとじじいと吹雪の日

ゲスとじじいと吹雪の日




とある村に、大きな柿と梅の木がそびえる住宅があります。
ここには一匹のまりさと、一人の老人が住んでいました。

老人は過去に大きな会社を持ち、引退後は裕福な暮らしをしていました。
ですが気が付けば一人身の生活、寂しさを紛らわせるために一匹のまりさを家に招きました。

まりさとの出会いは雪の降り積もり、氷の精すら自宅に引きこもるほどの吹雪の夜。
黒い帽子が老人の自宅の前で縮こまっていました。
老人はすぐにまりさを自宅に上げ、暖かいコーヒーにて出迎えました。

「ゆべぇ!こんなにがいみず、のめるわけないんだぜぇぇぇぇぇ!」
「おお、すまん」

そのまりさは本人の話によると「あまりにていのうすぎるむれだからみきりをつけたのぜ!」との事。
こんな吹雪の最中に見切りをつけるのも流石ゆっくりと言ったところでしょうか。

「にがいみずでしにそうになったぜ!しゃざいとばいしょうをようきゅうするぜ!」
「だからすまんといっとるじゃろ、そうじゃな…賠償と言ってはなんじゃが、一緒に住まぬか?」
「ゆあん?」

こうしてまりさと老人の生活が始まりました。






「じじい!とっととあまあまをもってくるんだぜ!」
「へーへー」

この人間は頭が悪すぎてどうしようもないぜ。
この前も戸締りはしっかりしないと野良が入ってくるって言ったのに、開けっ放しで出て行くし。
醤油とソースを間違えてご飯にかけるし。
マヨネーズを持って来いって言ってるのにたるたるそーすを持ってくるし。

「ゆっ!じじい、これはあまあまじゃなくてじじいのおくすりだぜ!まりさをころすきなのかぜ!?」
「おお、すまない」

人間の薬なんて飲んだら、流石のまりさ様もずっとゆっくりしてしまうのぜ!
もしかしてコイツはまりさ様を殺す気なのかもしれないんだぜ。

「…じじい、ってことはまだおくすりをのんでないってことだぜ?」
「ふむ、そうなるのぉ」
「このばかじじい!あれほどおくすりはわすれるなっていってるのに、ばかなの?しぬの?」
「ははは、すまんすまん」

いつもこんな感じで迷惑こうむるぜ…




そんなある日の事。

「おーい、じじい!まりささまはおなかがぺこぺこぺこりーななんだぜ!」
「うううううっ…」

せっかくまりさ様が居間のじじいに飯を要求してやってるのに、なんとじじいは床で寝ていやがるのぜ。
全く、このまりさ様から言わせれば、床に直接寝るなんて野生の臭いが取れないちぇんや、太って動けないれいむくらいなもんだぜ…

「じじい、なにやってるんだぜ!こんなところでねたらかぜをひいて、まりささまにうつるぜ!」
「す、すまんのぉ…どうにも調子が悪くての…」

いっつもこれだぜ、毎回毎回!仮病なんて今時ぱちゅりーでさえやらないぜ!

「まりさ…すまんが薬を取ってくれんか…」
「ちっ、めんどくせぇじじいだぜ!じじいがうごかないと、まりささまのもーにんぐがでてこないからしかたなくとってやるぜ!」

ゆっこら…せっと。
ゆっくりに薬を取ってもらいたいなら、こんなバカ高いタンスの上に置くもんじゃないぜ!
バカと何とかは高いところが好きって言うらしいけど、ホントじじいはバカなのぜ!!

「おいじじい、ふざけてるのかだぜ?まりささまががんばってきゅーきゅーばこさんまできてやったのに、くすりがないんだぜ!!」
「……なんでことじゃ、薬が切れてるのか…ううっ」

あーいやなのぜ、あの『困ってます~』な顔!
人間さんのくせに自分でどうにかできないなんて、ゆっくり以下すぎるぜ。
まぁそもそもこのまりさ様以上の人間さんなんてどこにも存在しないけど。

「…まりさや、すまん、薬がない以上、ワシはもうダメみたいじゃ…」
「はんっ、やっとずっとゆっくりするんだぜ、おいぼれにしてはゆっくりしすぎだぜ!」
「ははは、そうじゃのぉ…冷蔵庫の開け方はわかるな?あれだけの量の野菜じゃ、まりさ一匹なら春まで持つじゃろ…」
「ゆゆっ!じじい、まりささまはいっぴきじゃないんだぜ!」
「おお…すまん、まりさ一人。じゃったな」
「おいじじい、まりささまはれいぞうこさんをあけるなんてめんどうなまねはごめんだぜ!とっとともーにんぐをよういするんだぜ!」
「…すまんのぉ」

あーもう、本当に役に立たないじじいだぜ!
こんなやつの家に来たのがまりさ様、唯一の失敗なんだぜ!!

「じじい、ちょっとでかけてくるぜ!」
「ま、まりさ?外は吹雪じゃぞ…」
「うるさいんだぜ、すくなくともしにぞこないのじじいよりはよゆーなんだぜ!まりささまがもどってくるまでにもーにんぐをよういするんだぜ!」
「ま、まりさ!」




うひょぉぉぉぉおおおお!さ、さむいさむいさむいぜぇぇぇぇ!!
何なんだぜこの吹雪は!
クソッ、なんでこんな日に限ってお散歩なんてしないといけないんだぜ!





吹雪の中、まりさは自宅を出て一直線に西に向かいました。
本来ならこんな大雪の中に出るゆっくりはいません。
もちろんすぐにまりさの意識は薄れていきました。

「ゆっ、ゆっ、ゆっ…まずいのぜ…ぼーっとしてきたぜ…」
「…まりさ?」

まりさが寄り添った大木の根元には、ブロンドの髪に青のカチューシャをつけたゆっくりがいました。
ゆっくりありす。

「まりさ、なにをやってるの!?」
「うるさいんだぜ、まりささまはちょっとおでかけちゅうなんだぜ!」
「こんなふぶきのなかを!?…これだからいなかものは…ちょっとこっちにきなさい!」
「じゃまするなだぜ!」
「おだまり!」

まりさはありすに引きづられながら、根元の巣へと入っていきました。

「ゆふぅ、ちょっとまってなさい、なにかたべるものをよういするわ」
「……ゆっくりわかったぜ」

ありすは奥の備蓄室に向かうと、モゾモゾと何かを探し始めました。

(そう言えばじじいが用意しなかったせいで、まだもーにんぐを食べていないぜ…)
「ねぇ、まりさはどうしてこんなふゆにそとにいたの?」
「だからさんぽなんだぜ」
「そう…」

(臭いぜ…)

「ありす、こんどはまりささまのしつもんだぜ」
「ゆっ、なにかしら?」
「ありすはどうしてこんなふゆのおそとにいるまりさをたすけたんだぜ?」
「なにいってるの、こまったときはおたがいさまよ」

(こまってるのはありすの方じゃないのかだぜ?)

「じゃあもうふたつだぜ、ありすはひとりみたいだけど、どうして“くき”がおちてるんだぜ?」
「ゆっ!?…そ、それは…びちくしつからとんでいったのかしら、と、とかいはじゃないわね」

確かにまりさのあんよもとには一本の茎が落ちていました。
それは随分と日が経っているようで、カサカサに乾燥していますが、ゆっくりなら見間違える事はありません。
本来なら赤ちゃんゆっくりがぶら下がり、彼らの初めての餌になる、茎です。

「おかしいぜ、このくきはそのへんにあるおはなさんのものじゃないんだぜ?」
「そ、そうかしら?よくみかけるとおもうわよ?」
「それともうひとつ!」
「ゆゆっ?」






「まりさはそんななわをたべるしゅみはないんだぜ」






ありすが咥えていたのは、草を編んで作ったであろう、とかいはにコーディネートされた縄でした。
その縄には若干、餡子の染みのようなものがついています。

「ゆっゆっゆっ、こんなふぶきのなかでひとりあるきなんてきけんよ?」
「まったく、まりささまをそのへんのやわなれいむといっしょにしてほしくないぜ」
「…まりさぁー…」
「ゆ?」


「とかいはのとれんどはえすえむぷれいなのぉぉぉぉぉ!!」
「ゆっぱりな」


醜悪な顔を晒し、縄を咥えながらありすが飛び掛ります。
この顔はある意味で、この世の全てのゆっくりできないものを集めたような表情です。

「ゆほぉぉぉぉ!」
「ゆがっ!」

ありすは正面からまりさの上に圧し掛かると、そのまま縄で縛り始めました。

「ゆがが、いたいんだぜ!」
「えすえむぷれいはいたいのがじょうしきよぉぉおおお、ゆほぉぉぉぉおぉおおおお!」

(全く、本当に気持ち悪いツラなんだぜ)

「こうやって、ふゆになるまでほかのゆっくりをれいぷしていたわけなんだぜ?」
「まったく、ふゆになったとたんにだれもとおらなくなるんですもの、りびどーがたまってしょうがないわ!」

リビドー 意味がわかりません。

「れいぱーなんてゆっくりできないぜ…」
「んほほほほほぉぉぉお!ぴんちだっていうのにくーるなまりさねぇ、すてきよぉぉぉぉ!」

(騒いだら助けてくれるわけでもないのに、勝手なゆっくりだぜ)

「ていこうしてもむだなのはわかってるぜ、それよりもまりさもすっきりー!してないからたまってるんだぜ」
「んほっほっほ!かげきねぇぇええええ、でもありすがすっきりするのよぉぉぉぉ、このごくぶとぺにぺにでねぇえええええ!」

そう言ってかざしたぺにぺには、確かに一般のゆっくりからすればかなりの極太っぷりでした。

「ありす、とかいはなすっきりをしらないんだぜ?」
「んほっ?」
「とかいはのとれんどは、ぺにぺにをぺーろぺーろするんだぜ!」
「な、なにをいってるのよ、そんなきたないこと、いなかもののすることだわ!」
「いいからまりさにまかせるのぜ、ほらっ、ぺーろぺーろ」
「ん、ん、ん゛ほ゛ぉ゛ぉ゛ぉ゛ぉ゛お゛お゛お゛!?」

まさにヘブン状態!
ありすにとって、この世の中にこれほど気持ちのよい事があっていいのかと思うほどの快楽です。
今まではまむまむに無理矢理突っ込んで、すっきりー!をするのが普通でしたが、このぺーろぺーろの縦横無尽な動きはまむまむに突っ込むだけでは味わえないのです。

「ぉ゛ぉ゛ぉ゛ぉ゛お゛お゛お゛ぉ゛ぉ゛ぉ゛ぉ゛お゛お゛お゛ぉ゛ぉ゛ぉ゛ぉ゛お゛お゛お゛ずばらじいわぁぁぁぁぁ!」
「ぺーろぺーろぺーろぺーろむーしゃむーしゃ」
「ん゛ほ゛!?」
「むーしゃむーしゃ、それなりー!」






「ゆ゛き゛ゃ゛ぁ゛ぁ゛ぁ゛ぁ゛ぁ゛ぁ゛ぁ゛ぁ゛ぁ゛ぁ゛ぁ゛!!」





「まったく、おかおも『おお、きもいきもい』じょうたいなら、ぺにぺにもげろまずだぜ」
「ぼるぶべぼばぁぁぁべべべべ!」
「ゆっ!とてもすてきなとかいは(笑)のかおだぜ…」
「な゛、な゛ん゛て゛こ゛と゛を゛す゛る゛の゛こ゛の゛け゛す゛は゛り゛さ゛ぁ゛ぁ゛ぁ゛ぁ゛!!」
「ゆふぅ、れいぱーがいるとはきいていたけど、こんなわかりやすいぶっさいくなありすにれいぷされるなんて…ほんときんじょのゆっくりはじじいなみにむのーだぜ」
「し゛ね゛ぇ゛ぇ゛ぇ゛ぇ゛! ! ゆ゛?」

下腹部からカスタードを垂れ流しながら、ありすはまりさに飛び掛ります。
しかしありすがまりさに噛み付こうとしたその刹那、まりさの歯がありすの右目を食い千切りました。

「むーしゃむーしゃ、さっきよりそれなりー♪」
「ゆぎゃぁぁぁぁぁぁ!!」
「あのくそじじいがつくるごはんはかたすぎてゆっくりできないぜ…おかげでありすのおかおなんてやわらかすぎてむーしゃむーしゃしやすいぜ」

まりさは老人に拾われてから、普通のご飯に加えて煎餅やかりんとうと言った、ゆっくりには硬めの食事も多く食べました。
そんな食事からすれば、ありすの顔どころか、持ってきた縄でさえ、春菊の柔らか煮みたいなものです。

「ゆっ、ゆっ…ど、どぼじでごんなごどを…」
「ぷっ、ゆっはっはっはっは、れいぷされそうになったらはんげきするのはじょーしきだぜ!これだからじょーしきのないとかいははこまるぜ!」
「だ、だまれぇぇぇぇぇ!!」

下腹部どころか今度は半身からカスタードを撒き散らし、突っ込んできます。
しかし普通の状態で負けていた上に、今度は満身創痍。
ありすに勝ち目があるわけがありません。

「むーしゃむーしゃ、し!あ!わ!せぇぇぇぇ!」
「ゆっ、ぶぴっ!ゆぼぼ…ぶぴっ!」
「ぺにぺにをなくしたからなのぜ?とてもあまあまなんだぜ、これはじゅうぶんもーにんぐのかわりになるぜ!」


まりさはありすを食べてお腹いっぱいになりました。
老人の料理に慣れているため、とてもありすの備蓄を食べる気にはなりませんでしたが。


「ゆふぅ、はるになったらくじょするつもりが、とんだみちくさになってしまったぜ…」


食事も程々に、まりさはまた西へと向かって跳ねていきました。





「ゆぎゃぁぁぁぁぁ!!ばりざざまをたべるんじゃないんだぜぇぇぇぇ!!」

ある時は犬に噛み付かれ。


「ゆぴぃ!ぞれいじょうばりざざまのからだをづづぐなぁぁぁぁ!!」

ある時はカラスに追いかけられ。


「どげるぅぅぅぅぅぅぅ!!」

ある時は薄っすらと積もった雪のつもりが、下は水溜りになっていて、入水したり。





ありすとの戦いなんて、蓬莱山輝夜との惰眠貪り対決より楽だと思える程の障害。
今の地獄の前哨戦にもならないものでした。


「ゆひぃ、ゆひぃ、な、なんでばりざざまがこんなめに…」

もはや生きているのが不思議なくらいの状態ですが、まりさはやっと目的の場所に辿り着いたようです。
目の前にはゆっくりにしては大きな門。

「ゆふぃ…おい!ばりざざまがやってきたんだ!さっさとどあをあけるんだぜ!」



相変わらずの物言いですが、まりさにしてみればこれが普通のようです。
しばらくの沈黙の後、ドアはゆっくりと開きました。



「あー…るっせぇなぁ…今日は休診日だって書いてあんだ…あん?」

ドアから出てきたのは冴えない男性。

「ゆっくりしすぎだぜ!」
「なんだこのボロ雑巾」
「ゆがぁぁぁぁぁ!ばりざざまはぞうきんじゃないんだぜぇぇぇぇ!!」

今までの苦労でイライラしていたのか、まりさは無謀にも男の足元に飛び掛りました。

「おりゃ!」
「ゆぴぃ!!」

ナイスシュート!

「ゆべらっ!」

ベチンッと景気の良い音が鳴り響き、まりさは玄関先で平らになりました。

「おいクソ饅頭、俺が生粋の虐待お兄さんだって知ってて来たのか?」
「ゆひぃ…ゆひぃ…」

虐待お兄さん?
まりさの餡子脳はフル回転で情報を検索します。
確かどこかできいたような…




『まりさや、世の中には悲しい事に、ゆっくりを虐待して楽しむ者達がおるんじゃ』
『ゆっゆっゆっ、そんなのまりささまがぎゃくにぎゃくたいしてやるぜ!』
『ほっほっほ、まりさは強いのぉ』
「あたりまえだぜ、よわっちいくそじじいといっしょにするなだぜ!」
『まりさ、このビデオを見るんじゃ…』

まりさと老人の前に置かれたテレビとビデオ。
そこには虐待お兄さんによって無残にもボロボロにされたゆっくり達が映し出されていました。

『ゆゆゆゆ!?』

自然界ではまず考えられない怪我。
もう怪我と呼べるようなものではなかったり、不自然に繋ぎ合わされた連結ゆっくりがいたり。

『ゆっぴぃぃぃぃ!もうやべてぇぇぇぇぇぇ!』
『はっはっはっはっ、ホントにゆっくりはクズだなぁ』
『おちびちゃんにげてぇぇぇぇぇぇ!』
『おきゃあしゃあああああああゆぴっ!?』
『はいつぶれたー♪』
『ゆっ!?おちびじゃあああああああああ!!』

何十匹ものゆっくりがどれほどの抵抗をしても、お兄さんの前では烏合の衆。
今まで自分が最強だと思っていたまりさにとって、この映像は衝撃的以外の何物でもありません。

『ゆゆゆゆゆゆゆ!!』

まりさは持ち前のゲス精神で何とか意識を保っています。
ですが老人の膝の上だと言うのも忘れて、しーしーを漏らし始めました。

『まりさや、お前が強いのはじゅうぶんにわかっとる、じゃがワシはお前に危険な目に会って欲しくないんじゃ』
『ゆゆゆゆゆ…ば、ばりささまには、ここここここ、こんなのよゆーなんだだだだだぜ!』
『お前は今のワシにとって唯一の家族、無鉄砲なのは可愛い事じゃが、危険な事はするんじゃないぞ?』
『ゆゆゆ!じ、じじいはかぞくじゃなくて、ど、どれいなんだぜ!ま、まままりささまがこんなめにあったら、す、すすすぐにたすけにくるんだぜ!?』
『ふぉっふぉっふぉ、そうじゃな、このくそじじいで良ければゆっくり助けに行くぞ』
『あ、あたりまえなんだぜ!』
『じゃが、もしワシになにかあったら…まりさはワシを助けてくれるか?』

『ゆっ?くそじじい、ついにもーろくしたのぜ?なんでまりささまがどれいをたすけるひつようがあるんだぜ、ばかなの?しぬの?』
『はっはっはっは、そうじゃった、じじいは奴隷じゃったな』




まりさの餡子が凍りついていました。

あのてれびさんで見た男はゆっくりできない。
それは虐待お兄さんと呼ばれていた。
その男が目の前にいる。

まりさにとって人生で最も大きな恐怖。
その対象がすぐ目の前にいる。


「わかったかクソ饅頭、大体なんでゆっくりがこんな真冬にいるんだよ」
「ゆ…………」
「大方冬に餌がなくなって途方にくれた可哀想なゆっくりだろ、見逃してやるからそのまま凍り付いて死ねッ!」

バタンッと大きな音を響かせてドアは閉じられました。
ゆっくりにとっては大きすぎる壁。
その上、虐待お兄さんと言う史上最悪のゆっくりできない大きな壁が控えています。

しかし。










「ゆ…ゆ…ゆっくりしないででてごいッ!」









まりさは恐怖と戦いました。
ここで逃げるわけにはいかない、ここまで来た意味がなくなってしまう。

「うるせぇってんだろ、このクソ饅頭がぁぁっぁああああああ!」

ドアが開いたと同時。
先ほどの数倍の力で蹴り飛ばされ、雪の積もった道路に着弾するまりさ。

「人が見逃してやれば付け上がりやがって…優しい虐待お兄さんでも限度があるぞ!」
「ゆびっ!ゆべっ!ゆばっ!」

そして繰り返されるストンピング。
繰り返される踏み付けに、まりさは平らになり、口からは餡子を吐き出してしまいました。

「はぁ、はぁ、はぁ…なんでこんな朝っぱらからクソ饅頭の虐待なんてしないといけねぇんだよ!」

お兄さんがとどめを刺そうと、足を掲げたその時。

「ゆ、ゆっくり…ぐずりを……わだずんだぜぇ……」

足りなくなった餡子をさらに振り絞る一声。

「あん?」
「ば、ばりざの…ど、どれいが……ぐずり……よごぜ……」

もはや踏む必要もない状態。
放置すれば間違いなくずっとゆっくりするでしょう。

「奴隷だぁ?本格的にゲスだなおい」

「どれい…どれいが…ずっと……ゆっぐり…」

(奴隷…待てよ?こいつら自分達の事を奴隷って言うか?奴隷扱いするのは大抵…)

まりさは泣き出しました。
自分より強い存在がいるからではなく、このままお兄さんにずっとゆっくりさせられるからでもなく。




ただただ『奴隷』がずっとゆっくりしてしまうかも知れない事態に。




「おいクソ饅頭、てめぇの奴隷とやらはどこにいるんだ」
「じじい…」
「返事をしろ、クソ饅頭!」
「かきさんのき…」
「花期山野旗?そんな旗見た事ねぇぞ!」
「かきさん……あまあま……じじいを……たすけて……」
「かき、あまあま、じじい……おい饅頭ッ!?」







季節は流れ。
空に飛び交うは桜の花と、桃色の妖精。

「相変わらずでっけぇ梅と柿の木だな…おっと爺様、もう大丈夫なのかい?」
「うむ、おかげさんで何とかやっていけとるよ」

舞い散る桜に佇むは、あの時の西にいた青年。

「部屋で爺様が倒れているのを見つけた時には本当に焦ったぜ」
「すまんのぅ、薬の管理はちゃんとしておるつもりじゃったのだが…」

用意されたお茶を飲み干し、青年は席を立つ。

『春ですよー!』
「もう春か、今年も冬を乗り越えられたな」
「働いている頃から生き延びる事だけは必死じゃからな」
「まるでゆっくりじゃねぇか」

老人の膝には黒の帽子が一つ。

「思えば働いてばかりじゃった、だからあのゆっくりに共感したのかもな」
「おいおい、よりにもよってあんなゲスかよ…」
「ふぉっふぉっふぉ、確かにあいつは他所の者が見れば最悪のゲスかもしれん」




「じゃがな、吹雪の中であやつと会った時に『むれにみきりをつけた』と言っておった」
「じゃがなって…やっぱり最悪のゲスじゃねーか」
「あの冬はな、ゆっくりどころかワシらでも備蓄に苦労する極寒の冬じゃった、ゆっくりに至っては食料など皆無じゃっただろうて」

目を細め、梅茶を飲みながら妖精を見つめる。
まるで妖精より遠くを眺めるように。

「じゃあ何か?あいつは他のゆっくりが生き延びれるように、自ら口減らしになったのか!?」
「そう言うことじゃな」

青年はありえねぇと言わんばかりの態度で頭を掻きだした。

「爺様、考えすぎじゃねぇか?」
「本当のゲスなら、奴隷なんかのために命をかけて薬を取りに行きはせんよ」
「そりゃまぁそうだが……そんなもんかね、どうも俺はゆっくりのクズっぷりが気に入らなくて虐待派になった人間だからな、ゆっくりの美談はイマイチわからんよ」

それはないと言わんばかりに手を振ると、青年は出口へと向かって歩いていきました。
彼は村で唯一の医者。
今日はあの日、意識不明だった老人の経過を診に来ていたのです。



『春ですよー!』
「あの吹雪が嘘のようじゃな、今年はこの梅と柿の木に助けられたか」

村一番の大きさを誇る梅と柿の木。
青年はまりさから聞いた柿の木を頼りに老人の自宅を発見し、老人は何とか一命を取り留める事ができました。

「感謝感謝、まさに柿の木様様じゃ」












「ゆぎゃぁぁぁぁぁぁあぁああああああ!こんなすっぱいみず、のめるわけないんだぜぇぇぇぇぇぇ!!」
「おっと、あやつにも…じゃったな」

「おいじじい!なんなんだぜこのみずは!」
「梅茶じゃよ、そんな驚くほど酸っぱくもなかろうに」
「ゆぎぎぎぎぎぎ!まりささまはあまあまがほしいんだぜ!」
「へーへー、そうじゃ!エスプレッソはどうかの?」
「えすぷれっそ?それはなかなかおいしそうななまえなんだぜ!すぐにもってくるんだぜ!」
「へーへー」


これは優しいいじわるお爺さんと、優しい虐待お兄さん、そして優しいゲスの物語。







あとがき

Q.貴方が好きなものはなんですか?
A.ツンデレ




今までに書いたゆっくり

ゆっくり信仰していってね!
ゆっくり新技術を導入していってね!
ゆっくり体調管理をしていってね!
虐待理由
協定
ゆっくりの能力を得たお兄さん
ゆっくり並列宇宙の旅
ゆっくり名言集
胴付戦隊ゆっくりじゃー



おまけーね

「ゆびゃぁぁぁぁ!にがいんだぜぇぇぇぇぇぇ!」
「大丈夫か!?すぐにこれを飲むんじゃ、カプチーノじゃ!」
「ゆっぴゃぁぁぁぁぁぁぁっぁあああああああ!」
「次も用意してあるぞ、カフェラテじゃ!」
「ゆぶるぅええええええええええええ!!」
「コーヒーぜんざいじゃ!」
「ゆびゃぁぁぁ…?あまあまー♪…ゆべるばぁぁぁぁ!…やっぱりあまあまー?…ゆっぴょおおおおお!」

「…食べるの止めればいいじゃろうが」

彼は優しいいじわるコーヒー好きのお爺さん。


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最終更新:2009年04月22日 04:21
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