ゆっくり共の苛めの執拗さは人間の比ではなかった。
人間なら、いくら他人をいじめたって日がな一日そればかりやるわけじゃないが、
ゆっくり共は一日中ひたすらいじめに没頭していた。
集中力がすごいのか、単純な思考しかできないゆえか、
なんにせよ、その標的にさらされたこちらの負担は計り知れない。
いつでも握りつぶせるような、自分よりはるかに弱い連中に苛められることが、
これほどまでに悔しく苦しいとは想像もしていなかった。
まりさとれいむ二匹だけの時は、「たかが饅頭のやること」と受け流すこともできたが、
今ではその「たかが饅頭」の意識が俺を苛んでいた。
そのたかが饅頭に、俺の生活は蹂躙され、何もやり返せないでいるのだ。
苛立ち、怒り、悔しさ、俺の精神的ストレスはすでに限界を超えていた。
外では意味もなく道端の木を殴りつけ、缶が転がっていれば力いっぱい蹴り飛ばした。
友人が俺を少しばかり避けるようになったが、どっちみち友人と遊んでいる時間は全くない。
由美にしても、自分の趣味のために苦労をかけている引け目があるらしく、
ゆっくり以外のことでは近頃本当に気を配って聞き分けよくしていた。
しかし、ゆっくりを全力でゆっくりさせるという計画の苦難はこれだけではない。
ゆっくり同士の関係にも気を配らなければならなかった。
全員がゆっくりしていなければ計画の完遂はないのだ。
しかし、こいつらが繰り広げるゆっくり模様はまさに地獄だった。
まりさは、相も変わらず傍若無人に振る舞っていた。
十匹の子ゆっくり共には目もくれず、食べたいものを食べたいときに食べ、
子ゆっくり共の注視の中でれいむやありすにすっきりを要求した。
まりさの相手をするのは主にありすだった。
ありすのすっきりテクニックは完全にまりさを虜にしていた。
かつては人間に躾けられ、人間の強さを知っているありすの方も、
その人間に勝てるまりさを手放してはならじと、全力で奉仕した。
まりさはオーラルすっきりがお気に召したようで、
ありすの舌技ですっきりすることも多く、交尾そのものはそんなに行わなかった。
直接交尾をしてにんっしんっをしてしまえば、体力が奪われてそれ以上すっきりしにくいものだが、
この技術により、ありすは通常では考えられないほど連続でまりさをすっきりさせていた。
また、舌を使うことで、
たとえにんっしんっ中であってもありすはまりさのすっきりを相手することができる。
なによりその点が、そのへんのゆっくりとは決定的に違っていた。
それでも一匹だけでは飽きるようで、まりさは外出先でもとっかえひっかえすっきりし、
一方で、厚かましくも家でれいむにすっきりを要求した。
「ゆっ!まりささまとすっきりするんだぜぇ」
「うらぎりまりさはれいむにちかよらないでね!!」
初めのほうこそ、れいむは形ばかりの抵抗をしていたが、
子供たちを父なし子にしたくないという母心と、そしてありすに対する対抗心から、
すぐにまりさとすっきりするようになった。
日々ありすの性技を目の前で見せつけられていたれいむはすぐに真似し、技術を磨いていった。
「んほっほっほおぉぉぉ!!!たまらないのぜぇぇぇぇぇ!!!」
互いに対抗心を燃やし、日々技を磨いていく妻と妾とのすっきりは、
もはやそこらの野良ゆっくりとは比べものにならず、
まりさが外出先ですっきりすることはめっきり少なくなった。
さて問題は、にんっしんっした子供である。
俺としては、これ以上一匹だって増えてはほしくないし、
数が多ければそれだけトラブルの種も増えるだろう。
由美と相談のうえ、なるべくこれ以上増やさないように誘導する方針を固めた。
れいむとありすは、その時点ですでにまたにんっしんっしていた。
れいむは頭に茎を生やし、ありすは下顎をぼってり膨らませている。
その母どもに対し、俺は説得を試みた。
ここは手狭だから、あまり増えるとみんなゆっくりできなくなる。
その方向で言葉を尽くした。
しかしやはり、れいむが言う事を聞くはずはなかった。
「なにばかなこといってるのおおおおおぉぉぉぉ!?
かわいいあかちゃんをみればみんなゆっくりできるにきまってるでしょおおおおお!!!
ばか!!ごみ!!むのう!!しね!!」
「ちにぇ!!ちにぇ!!」
「おきゃーしゃんのいうこちょをきけ!!」
処置なしだった。
強すぎる母性愛により、こいつの餡子脳内では、
赤ゆっくりがすべてを解決することになっているようだ。
一方ありすの方は、論外であった。
「みゃみゃ、かちきゅがにゃにかほえちぇるわね?」
「なんだかこうふんしてるみたいね。ほうっておきなさい」
「きちゃにゃいきゃらおいかえちまちょう!」
「およし。つかれたらかってにおとなしくなるわよ」
どれだけ言葉を連ねてもこの調子だった。
全く目線を合わせてこず、家族同士でせせら笑うだけだ。
俺は頭を抱えたが、
子供数の問題に関しては、結局のところ、紆余曲折を経ながらも最終的には決着した。
かかる状態において、当然ながられいむとありすの関係は最悪だ。
憎悪と侮蔑、同じ屋根の下に住みながら互いに家族と認める気は皆無のようだ。
子育ての途上で、互いに互いの家族を貶めた。
あのれいむ共はゆっくりできない、あのありす共はみんなれいぱーだ。
部屋の反対側の隅どうしで、互いの家族は固まって暮らしていた。
どちらも相手を蹴落とし、家から追い出すチャンスをうかがっていた。
最初の十匹の子供が生まれてからまた十日ほどがたったころ、
れいむの茎の子供がまたぽとぽとと生まれた。合計五匹だ。
暗い表情の俺に向かって、喜色満面のれいむがいきいきとあまあまを命令する。
由美は俺を気遣いながらも、やはりどこか浮きたっていた。
その顔を見ると、もう少し頑張ってみるかという気になった。
その翌日、事件は起こった。
「でいぶのおぢびぢゃんがあああああーーーーーーっ!!!」
絹どころか牛革をも裂くような甲高い悲鳴で、俺は起こされた。
押入れから出ると、れいむ一家が泣きわめいている。
「れいみゅのいもうちょがあああああーーーーーーーー!!!」
「ゆっぎゅりぢで!!ゆっぎゅりぢでよおおおぉぉ!!」
「どぼじでごんなごどにいいいいいいいいーーーーーー!!?」
れいむ一家が囲んでいるのは、黒ずんだ五つの小さな饅頭だった。
昨日生まれたばかりの赤ゆっくり共。
どれも苦悶を顔に貼り付け、頭の上から何本もの茎を生やして死んでいた。
その周囲に垂れこびりついているこの液体は。
俺はありす共を見た。
ありす共は何も言わず、揃ってにやにやと見下した笑みを向けている。
全てが一目瞭然だった。
「お前ら……………やったのか?」
くだらない質問だったが、俺は聞いてみた。
「はあああぁ~~~~~~?」
返ってきたのは唇をゆがめた冷笑。
「ばかがなにかいってるわねえ?」
「みゃみゃ!あのどりぇい、いよいよおかちくなっちぇるわよ」
「ときゃいはにゃありしゅちゃちをうちゃがうにゃんて、きっちょあちゃまがおきゃしいのにぇ!」
「あら、ちょんなこちょはみゃえからわきゃっちぇちゃわよ!」
「ゆっほっほっほっほ!!」
言葉こそまだ舌足らずだが、こいつらはもう子ゆっくりとしてはそれなりの大きさだった。
昨日生まれたばかりの小さな赤ゆっくりを標的に、夜中にこっそりすっきりしたのだろう。
親れいむを起こさないように赤ゆっくりだけを舌でそっと連れ出し、
赤ゆっくりの小さな声が届かないほど離れたところですっきり殺したあと、ご丁寧に戻しておいたわけだ。
見ると、俺が寝ていた部屋の隣にある部屋の押入れが開いていた。
その中にカスタードが落ちている。ここに連れ込んでことに及んだのか。
物音や声が聞こえなかったおれも迂闊だった。連日の疲れで毎日泥のように眠っていたのだ。
「あでぃずううううううううーーーーーーーっ!!!」
泣き喚きながられいむが突っ込んできた。
胎生型にんっしんっしているありすに激突し、ありすはごろんと転がって悲鳴をあげた。
「ゆひぃいいいっ!!?いだいいぃぃぃぃ!!
ゆっくりごろし!!ゆっくりごろし!!たすけて!!たすけてまりさああああ!!!」
「じねええええええーーーーーーゆびゃ!!」
なおもつっかかろうとするれいむに、まりさが横から激突した。
「ばかなことはやめるんだぜ!!
ゆっくりどうしなかよくしろだぜぇ!!」
どの口が言うのか、家庭内不和の元凶がなにか叫びだしている。
「ばりざああああ!!あでぃずが!!あでぃずがでいぶのごどぼおおおおおお!!!
でいぶのおぢびぢゃんだぢがあでぃずどもにごろざれだんだよおおおおおおお!!?」
「ちょうこもにゃいにょにちょんなこちょいわにゃいでよ!!」
「りぇいしぇいになりなちゃいよ!!いにゃかもにょね!!」
子ありす共が口々に罵る。
まりさはありすを起こしてやりながら、れいむに向かって言った。
「うるさいんだぜ!!
なかよくできないんならここからでていくんだぜ!!」
「ゆっ!?で、でも!!」
「じぶんのこどもをちゃんとみてないれいむがわるいんだぜ!!
いくじほうきなんだぜ!?めんどうごとはごめんなんだぜ!!」
本当にどの口が言うのか。
「…………ゆあぁぁぁ……ゆがああぁぁぁぁ………」
ちゃんと見ていなかったお前が悪いと、母性愛にケチをつけられると弱いようだ。
れいむはその場に突っ伏してむせび泣いた。
「ゆゆっ、うるさいわね!やばんないなかもののそばになんかいられないわ」
「まったきゅ、みっちょもにゃいわね!」
「あっちでおけちょうをなおちまちょう!」
その場から離れ、家族でぺーろぺーろを始めるありす共。
まりさはあくびを一つして、俺にあまあまを要求するとむしゃむしゃやりはじめた。
れいむの家族だけがいつまでも泣き続けていた。
昼過ぎにやってきた由美は、俺に成り行きを聞いて絶句していた。
これであきらめてくれればもうけものだが。
忍耐力を示す手前、俺のほうから計画の中止を言い出すわけにはいかない。
「ありすちゃんは、無理、かな……」
さんざん考えた末、ありすを追い出せば解決するという結論に落ち着いたようだ。
まあ、それでひとまずは収束するだろう。
「ねごとはねてからいうんだぜ!!」
まりさの一喝で、その提案は一蹴された。
「追い出すわけじゃないの。ありすちゃんたちに別のところに住んでもらって、
まりさちゃんが通えば……」
「ここでいいんだぜ!!めんどくさいんだぜ!!」
「でも、れいむちゃんと喧嘩しちゃうでしょ?」
「けんかなんかないのぜ!!いじめはありません!!
ちゃんとまりささまがとりまとめてるのぜ!!
まりささまのりーだーしっぷにけちをつけるきかぜぇ!?」
リーダーシップなどというものが自分にあると、このまりさは思っているらしい。
まりさはかたくなに固辞した。
理由は不明だが、俺の思うところ、
目の前で二匹のゆっくりが自分をめぐって争うのが気分がよかったのではないだろうか。
その結果子供が殺されようと、むしろ面白がっているふしがある。
とにかく、まりさが拒否する以上、
まりさがゆっくりできない可能性のある選択肢は取れなかった。
どうしようかと気をもんでいるうちに、やはり報復は行われた。
ありすが胎生型出産で、二匹の赤ありすを産み落とした翌朝のことだ。
「ゆぎゃあああああああああ!!!」
その日の朝は、ありすの悲鳴で起こされた。
予想できていた光景がそこにあった。
二匹の赤ありすが、風呂場で潰されてカスタードのカスになっていた。
狼狽するありす共の後ろで、れいむ共がこれ見よがしに笑っている。
「あなたたち!!あなたたちがやったのね!!?」
「れいむはしらないよ!!みてなかったそっちのせきにんだよ!!」
「ちょうこもにゃいのにうちゃがわにゃいでにぇ!!」
「ばぁ~きゃ!!ばぁ~きゃ!!」
ぽんぽん飛び跳ねながらせせら笑うれいむ共。
とかいはを自称するありすは、さすがにれいむのように暴れることはしなかったが、
ぎらつく殺意の視線をれいむに向けている。
ありすはまりさに泣きついたが、面倒ごとはごめんだとばかりに取り合われなかった。
こうして、ここは地獄と化した。
毎日思うさますっきりするまりさの子供たちは、
弱い赤ゆっくりのうちに敵対する家族に殺された。
れいむの子はありす共に殺され、ありすの子はれいむ共に殺される。
互いに必死に自分の子を守ろうとするのだが、
所詮ゆっくりの事、つけいる隙はいくらでもあった。
結局、すでに大きくなって力のついた一番最初の子供十匹以外は、
成長する前にことごとく殺され、それ以上子ゆっくりが増えることはなかった。
こんな状況に、ついに由美が泣きだした。
わがまま放題にゆっくりさせるのは構わないが、このゆっくり共は子供を殺している。
可愛い子ゆっくりが殺されていくこの地獄を前に、
まりさ達を自由にさせたい、しかし子ゆっくりが死ぬのは可哀想だ、というジレンマに苛まれていた。
由美が泣いて俺は俄然うろたえ、事態の収束を決意した。
俺は考え、新たに1メートル四方程度の透明なガラス製の箱を設置した。
まあ水槽のようなものだが、これを部屋の両端に一個ずつ置く。
箱の壁は高いのでゆっくりには飛び越えられないが、人間が入れてやればよい。
箱の底にタオルを敷き、こうして寝床ができあがった。
寝るときなど無防備な際は、俺たちに言えばこの中に入ることができ、
赤ゆっくりを守ることができるわけだ。
れいむ種とありす種がそれぞれ別の寝床を使った。
こうしてこいつらはひとまずゆっくりできるようになり、
由美は俺に抱きついて大袈裟なくらいに喜んだ。
ついつい鼻の下を伸ばしてしまう。
由美がゆっくり馬鹿なら、俺は恋人狂いだろう。
しかし、問題はそこでは終わらなかった。
最大の問題児はまりさ種だったのだ。
「むーしゃ、むーしゃ!!うっめ、これ、これめっちゃうめえ!!ぱねえ!!」
「はむっ、はふはふ、はふっ!!」
「しあわちぇなんだじぇぇぇぇ~~~~~!!」
今、まりさと子まりさ三匹は、あまあまにむしゃぶりついている。
そのあまあまは、赤ゆっくりのなれの果てであり、
それを差し出しているのはこの俺だ。
そもそも、ここで一番強いのはまりさだった。
個体としては身体能力が高く、狩りが得意で、ときには外敵を撃退する。
ゲスにはままあることで、その強さゆえに増長するケースがほとんどだ。
それゆえ、まりさは俺たちに対してだけでなく家族にも横暴にふるまっていた。
子供たちの食べている食事がうまそうだと思えば、横から奪い取る。
楽しい遊具は片っ端から独占し、他のゆっくりが触れると体当たりを食らわせる。
れいむやありすが寝ている最中でも、お構いなしにすっきりを強要する。
面倒だと思えば話しかけられても返事もせず、文句を言われれば暴力で返した。
先ほどガラス箱の寝床のことを書いたが、
まりさに限っては、自分専用の天蓋つきの高級ゆっくりベッドを使用していた。
最初のうちは父親を恋しがって近づいていた子ゆっくりも、
その横暴を恐れ、三匹の例外を除いていまでは父親には近づかないようにしていた。
三匹の例外とは、子まりさである。
最初の子ゆっくり十匹のうち、三匹がまりさ種だった。
二匹がれいむの子、一匹がありすの子だが、
このまりさ種に限っては両母親の確執とは無関係に接触し、行動を共にするようになった。
三匹のまりさ種は父親のまりさを慕っていた。
いつも父親の後をついて歩き、機嫌を損ねないように媚びへつらう。
子育てを面倒がるまりさも、自分を持ち上げてくれる子まりさ共は憎からず思うらしく、
ついてくる分には勝手にさせていたし、気が向けば自らの武勇伝を語って聞かせていた。
語られる強さにあこがれ、子まりさ共はますます父親を尊敬し、その価値観にすり寄って、
妻と妾を同時にはべらせて顧みない横暴をさえかっこいいと思っているようだった。
新たなゲスまりさが三匹完成したというわけである。
れいむ種やありす種が家族でゆっくりしている間、
子まりさ共は母親の傍にも行かず、ひたすら格闘ごっこをしていた。
クッションをサンドバッグに見立てて体当たりを繰り返し、
子まりさ同志で取っ組み合いを始める。
父親のような暴力を奮い、権力をものにするための鍛練だった。
すぐに子まりさ共は子ゆっくりの中では強いほうになり、
三匹で固まってうろついては俺や他の姉妹をいじめ出した。
そんな子まりさ共を、父親は悦に入って眺めていた。
直接喧嘩しても勝てないのはもちろん、
父まりさお気に入りの三匹に抵抗したらどんな目に逢わされるかわからない。
それゆえ、子まりさ共が他の家族に忌避されるのは必然だった。
同族食いの味を発見したのは子まりさだった。
生まれては殺されていく赤ゆっくりの死骸を、ある時一匹の子まりさが餡子の匂いに惹かれて舐めた。
「ぺーろ、ぺーろ……ちちちちちあわちぇぇぇぇ~~~!!!」
甘い餡子やカスタードで構成されるゆっくりは、ゆっくり自身にとっても御馳走だ。
れいむ種やありす種は同族食いに怖気をふるったが、
完全にゲスとなったまりさ共は、積極的にタブーを犯すことを楽しんでいた。
子まりさ共が争って死骸をむさぼり、続いて親まりさがその死骸を横取りした。
今まで差し出されてきたどんなあまあまよりも濃厚かつ深い甘味。
やがて、子まりさ共が率先して赤ゆっくりをつけ狙うようになった。
母親や大きくなった子が守っているあいだは手を出されないが、
母親たちが寝静まった夜中にこっそり盗まれたり、
うっかり赤ゆっくりだけにしてしまった時に襲われる危険性は日常的についてまわった。
いよいよ赤ゆっくりは安心できなくなり、ほとんどをケースの中で過ごしていた。
面白くないのはまりさ共のほうで、すでにやみつきになった甘味を忘れられない。
しかしさすがに母親に面と向かって子を差し出せと言えず、夜中に盗もうにもケースの中には入れない。
やがて、他のゆっくり共が寝静まったある夜、彼らは奴隷を使うことにした。
「おい、ごみくず!あのあまあまをもってくるんだぜ!!」
子まりさが顎でしゃくったほうを見て俺は唸った。
「赤ありすの事か?」
「にゃにいっちぇるんだじぇ!!ありぇはゆっきゅりじゃなきゅてあみゃあみゃなんだじぇ!!」
「さすがに、そんな手助けは」
「おいぃ!!ごみくじゅがにゃにまよっちぇるんだじぇぇ!?
ごみのうみしょなんきゃうごかちたっちぇしょうがにゃいんだじぇ!!」
「くちょどりぇいはだまっちぇはいはいいうこちょをきくんだじぇぇ!!」
俺は考えてしまった。
赤ゆっくりを保護したはいいが、これ以上増やしては世話しとおす自信がまったくなかった。
そして、こいつらの渇望は深いようで、ここで拒否したら後々めんどうそうだ。
またぞろ由美の目の前で、堂々と赤ゆっくりを殺しかねない。
二つの問題を解決するために、俺は手助けしてしまった。
あとあとこの決断を深く後悔する事になったが。
大きめの赤ありすを一匹持ち出し、ケースから離れて子まりさ共に与えた。
「ゆぴぃ……ゆぴぃ……ゆぴぎゅっ!?」
起きる暇さえ与えられず、一撃のもとに踏みつぶされて絶命する赤ありす。
そのカスタードを子まりさ共は貪った。
その日から、毎日のように少しずつ赤ゆっくりを持ち出してはまりさ共に食わせた。
親まりさも舌鼓を打ち、赤ゆっくりを食すためにますますすっきりするようになった。
同族殺しの罪悪感、というよりは母親を激怒させては面倒なので、晩餐は夜中に秘密裏に行われた。
ゆっくりは数を数えるのが苦手なので、あまり多くなると自分の子供の数が把握できなくなる。
度重なるまりさとのすっきりで、母親共は数多くの赤ゆっくりを生み出したが、
一見わからない程度に少しずつ盗み出しているぶんにはばれないようだった。
大きくなってきたものから順に運び出していったので、
どれも子ゆっくり程に成長する前に間引かれることになった。
しかし、やはりやがてはばれるものだ。
そんなことを繰り返していたある日、たまたま起きだしてきたありすに見つかった。
自らの子を貪り食うまりさ共をしばし呆然と見つめた後、
ありすは聞いてきた。
「……どうやってありすのこどもをとったの?」
「ゆっ」
居直ったまりさが咀嚼しながら俺のほうを指した。
ありすはしばらく黙っていたが、やがて信じられないことを言ってきた。
「ありすにもあっちのあかちゃんをもってきなさい!」
まさかこいつらも食うつもりなのか。
そういえばこいつが俺に直接口を聞いてきたのは初めてのような。
とにかくれいむ側の寝床に寝ていた赤まりさを取り出して渡してやると、ありすはケージの中で震えはじめた。
「ま、ま、ま、まりさかわいいよまりさああああああ!!!」
「ゆぎゅっ!?」
赤まりさに突撃し、すさまじい勢いで交尾を始めた。
「かわいいあかちゃああああんん!!ありすのとかいはなあいをたっぷりそそぎこんであげるわねええええ!!!」
「ゆぶっえっ、ぎぼ、ぎぼぢわりゅいいいいいい!!
おがあじゃああああんだじゅげぢぇええええええ!!!」
ここに来てから、生きるためにまりさをすっきりさせるばかりだった生活。
本来、性欲の並はずれて強いゆっくりの中でもだんとつに性欲が強いありす種にとって、
それは恐ろしいほどの欲求不満だったのだろう。
というか、やっぱりレイパーだった。
「んほほおおおおおおおおすっきりーーーーーーーーーーーーっ!!!」
「もぢょっ!!」
小さな赤まりさの中に大量の精子カスタードを注ぎ込み、その勢いで赤まりさが爆ぜた。
断末魔は、「もっとゆっくりしたかった」の言いかけだろうか。
「ゆふぅ、ゆふぅ………まりさたちにおすそわけしてあげなさい」
ありすの指図で、茎を生やして黒ずんでしまった赤まりさをまりさ共の前に差し出してやった。
まりさ共は喜々として貪った。
あんなに黒ずんで崩れた饅頭は食べる気も起きないが、少なくともゆっくりにとって味は問題ないようだ。
まりさ共の死体食に、ありすが一枚噛むことになった。
溜まりに溜まった性欲と、同族食いを目の前にしての集団心理が、ありすを子殺しに追いやったのだろう。
ありすは自分の赤ゆっくりさえ犯し殺しはじめ、死骸をまりさ共に差し出した。
茎を生やして黒ずんだ赤ゆっくりはまた特別な味らしく、まりさ共は喜んでいた。
自らの子を、まりさは食らうために、ありすは犯すために、以前の何倍ものすっきりを繰り返した。
子ありす達がそれに参加しはじめ、子まりさ共とすっきりし、出産と強姦に加わったことで、
数倍のペースで出産される赤ゆっくりは数倍のペースで消費されていった。
子殺しの宴は、表向きは秘密にされており、
夜中は自宅に帰っている由美は幸い知る機会がなかった。
ひっきりなしに出産しているはずなのに一向に増える様子のない赤ゆっくりを、
彼女は疑問に思っていたが、俺が取り繕った。
「外出のときに、森のゆっくりの群れに預けてるんだよ。
このゆっくり達も自分では手に負えないってわかってるみたいで、間引いてこいってさ」
由美はすんなり信じてくれた。
残念だけど、子供たちが死ぬよりはずっとましだと喜んでいた。
「でいぶのおぢびぢゃんになにじでるどおおおおおおおおおおおおおおおおーーーーーーーーっ!!!?」
れいむに露見したときには、やはりそれまでのようにはいかなかった。
母性愛の強いれいむにとって、赤ゆっくりは絶対だ。
その赤ゆっくりを犯し、食らっていたありすとまりさ共に向かって飛び跳ねたが、
ガラスケースをばんばん叩くばかりだった。
「だぜえええええええ!!ごごがらだぜえええええーーーーーーっ!!!
おばえらみんなごろじでやぐううううううううううーーーーーーーーー!!!!」
れいむの剣幕に、さすがにまりさとありすも少々青ざめていた。
目玉と歯茎をむき出しにしてがんがんガラスに体当たりする様は、確かにこの世のものではなかった。
しばらくたじろいでいたが、やがてありすが叫んだ。
「あ、ありすはしらないわよ!そこのどれいがかってにやったことよ!!」
「ゆゆっ!そうだぜ!!そいつがもちだしてころしたんだぜ!!
まりささまはしたいをかたづけてただけなんだぜ!!」
まりさがすぐに口裏を合わせた。
面倒事はすべて奴隷に押し付けろ、の方程式がここでも採用された。
「おばえがあああああーーーーーーーーっ!!
だぜ!!だぜ!!だぜ!!ごろじでやるがらだぜえええええええええ!!!」
あっさりと信じたれいむが俺に殺意を叩きつけてくる。
弁解しても火に油を注ぐだけだろう。
仕方なしに、運び出そうとケージに手を突っ込んだら、思いっきり右手に噛みついてきた。
痛くもないが、急に引き抜いたら歯を折らせてしまいそうなので、慎重に運びだしてやる。
「じね!!じね!!じね!!ゆっぐりごろじのごみぐじゅはじねえええええ!!!!」
床に下ろされた途端、すさまじい剣幕で体当たりを繰り返してくるれいむ。
適当にやられたふりでうずくまる俺を見て、まりさとありす共はけたけた笑っていた。
「ころちぇ!!ころちぇ!!」
「れいみゅのいもうちょをころちちゃごみくじゅはゆっくりちないでちにぇ!!」
「おきゃーしゃん、かちゃきをとっちぇにぇ!!」
子れいむ共がガラスケースの中でわめいている。
しばらくの間黙ってやられていたが、やがてまりさが言った。
「ゆっ、れいむ!そこまでにしとくんだぜ!!
このどれいにはまだまだはたらいてもわらなければならないんだぜ。
ころすんじゃないのぜ!!」
「ゆはぁーっ、ゆはぁーっ……」
全身を上下させて息を整えてからようやくれいむが答える。
「こんなどれいはもういらないよ!かわりをつれてくるよ!!
こいつはここでしまつするんだよ!!」
「あら、そんなにあっさりころしてきがすむのかしら?」
ありすが口をはさんでくる。
「かわいいおちびちゃんをなんびきもころしたにんげんを、ひとおもいにころすなんてやさしいのね」
「ゆっ!?」
「しぬまでゆっくりくるしめたほうがえれがんとにたのしめるんじゃないかしら?」
「……そうだね!!」
憎いありすに同意するのは不本意だろうが、俺への憎しみが勝ったようだ。
れいむは俺に向きなおって宣言した。
「おまえはいっしょうゆるさないよ!!
これからずっとゆっくりさせないよ!!ゆっくりくるしんでいってね!!」
その日から、苛めは制裁に変わり、制裁はやがて虐待になっていった。
れいむの憎悪はすさまじかった。
その日からすっきりもせず、
子れいむ共ともども、すべての生活と意欲を俺への虐めに注ぎ込んだ。
「ごみくずはどげざをしてね!!
いいというまであたまをあげないでね!!」
理由もなしにいきなり土下座を強要され、いつまでも続けさせられた。
「れいむたちのうんうんをじっくりみててね!!めをそらさないでね!!」
正座させられ、れいむ親子が一列になってうんうんをひり出す様を見せつけられた。
「れいむたちのうんうんをかたづけてね!!
どうぐはつかっちゃだめだよ!!ぜんぶきれいにたべてね!!」
床のうんうんやしーしーを綺麗になるまで舐め取らされた。
「ひまなんだったらかべさんにあたまをうちつけててね!!」
えんえんと壁に頭突きをさせられた。
さすがに演技で、本気ではやらなかったが、それでも相当苦痛だった。
「くそじじいはうごいちゃだめだよ!!」
仰向けに寝転んで動かぬよう強要され、
れいむ共に上で跳ねまわられしーしーをかけられた。
「なにおへやにはいろうとしてるの?ばかなの?ほんもののばかなの?
おまえのへやなんかもうないよ!!ごみくずはゆっくりしないでね!!」
押入れに逃げ込むことも許されず、一日中部屋の中を追い立てられた。
「だれがごはんをたべていいっていったのぉ!?くそじじいはいっしょうたべなくていいんだよ!!
それをだしてね!!む~しゃむ~しゃ、しあわせぇ~!!」
部屋の中では食事ができなくなった。
れいむの執拗な攻撃にまりさ共とありす共も喝采して、
右にならえで俺への虐めを強化した。
俺の無様な姿を目の当たりにして、由美はさすがに狼狽していた。
これまでさんざん見下され馬鹿にされてきたが、
これほどの虐めは想定していなかったのだろう。俺だってしていなかった。
「あの、れいむちゃん、許してあげて?」
「おねえさんはだまっててね!!
ゆっくりごろしにかけるなさけはないんだよ!!」
「ゆ、ゆっくり殺し?」
俺のほうを見る由美に向かって、俺は慌てて言った。
「いや、なんでもないんだ。ちょっと勘違いしているだけなんだよ」
嘘でもあるし、事実でもあった。
「なにがかんちがいなのおおおぉぉぉ!!?」
れいむが体当たりを浴びせてくる。
「なにがちがうのぉぉ!?いってみてね!!ゆっくりごろし!!」
本来なら俺のほうを信じてくれるはずの由美が、
今までにないれいむの剣幕にうろたえている。
そんな彼女に向って、大丈夫だという笑顔のサインを向けてやる。
こいつらの子殺しに加担していたということはどうしても伏せておきたかった。
由美を泣かせたくはなかったし、
ゆっくりの子を次々死なせていたという事実が愛護派の長浜氏に知られると大変だ。
「ゆふぅ~ん……つがいのにんげんにはしられたくないらしいわね」
ありすが無駄な鋭さを見せ、俺の弱点を読み取った。
その日はなんとかごまかせたが、
ゆっくり同士で密談が行われ、翌日からそのカードをいちいちちらつかせられるようになった。
「あのことをしられたくないんでしょ?さっさとよういしなさい!!」
「やりたくないならしなくてもいいんだよ!
おねえさんにかわりにやってもらおうね!!」
「まりささまはくちがかるいのぜ!!
ききわけよくしてないといつくちがすべるかわからないのぜぇ!?」
俺が誰をかばってやっていると思っているのか。
そして現在に至る。
こんな地獄を、俺は二か月以上自分の部屋で耐え忍んできた。
甘やかされ飽食しきったゆっくり共は、
三匹の親ゆっくりが直径50cm、十匹の子ゆっくり共が直径30cm程度に膨れていた。
昼は虐められ続けた。
寝る暇も食べる暇もなく、通学をはじめとした外出だけが俺の休息だった。
勉強なんてとてもじゃないがやっている時間はない。
夜はまりさとありすの子殺しパーティーに加担させられ、日々赤ゆっくり殺しの片棒をかつがされた。
れいむはもう子供を作っておらず、この宴に関わっていない。
自分でも自分の忍耐力にあきれる。
何度投げ出そうと思ったか、何度殺しそうになったか、何度死にたくなったか。
それでも、由美。
由美だけが俺の支えだった。
長浜氏に認めてもらい、由美と一緒になる。
それだけを思い描き、来る日も来る日も耐え続けた。
あんないい女、どこを探したっていない。
俺があの子と付き合っているなんて、何度考え直しても夢としか思えないような話だった。
ゆっくり狂いについては機会をみつけておいおい話し合うとしても。
そして今、ついに、その地獄から解放されるときが訪れた。
ある件のために、計画の中止が長浜氏から言い渡されたのだった。
由美が妊娠したのだ。
俺の子だ。
最終更新:2009年04月17日 03:14