ゆっくりいじめ系2429 ~ゆっくりありす生涯『取り替え子編』(表)~

 ~ゆっくりありす生涯『取り替え子編』(表)~

 前書き(という名の注意書き)

 本作品は「ゆっくりいじめ系551 チェンジリング」の影響を強く受けた作品となっております。
 ありすはレイパーだ! クズだ! 皆殺しだ! という考えの方が読まれると気分を害する恐れがあります。
 ぺに、まむ、うん、しー設定は使用していません。
 作者は卑猥な言葉が好きではないので一部伏せ字を使っております。


 第1章 ~望まれぬ誕生~

 暗闇の中で饅頭の意識が覚醒しようとしている。
(・・・・・ゅ・・・・・。)
 時が経つにつれてその意識は少しずつはっきりしていく。
(・・・ゅ・・・っ・・・。)
 そしてついに誕生の瞬間がやってくる。

 プチッ!

 かわいらしい金髪の饅頭が地面に敷かれた葉っぱの上に着地する。
 周囲には赤いリボンを着けた黒髪のプチ饅頭と黒いとんがり帽子をかぶった金髪のプチ饅頭がゆーゆー鳴いている。

「ゆっくりちていっちぇにぇ! みゃみゃ~♪ 」

 その饅頭は満面の笑みで目の前にいる両親だと思われる2匹の大きな饅頭に向けて産声を上げる。
 しかし2匹の饅頭の反応はというと・・・・・。

「「どおじでありすがうまれるのおおぉ おおおぉ ぉ おおおおおお! ? ! ? ! ? 」」

 2匹の饅頭の驚きと困惑の混じった叫び声は巣穴中に木霊した。


 このプチゆっくりを産んだのはれいむとまりさの一般的な夫婦である。
 れいむとまりさは互いが同意した上で“すっきり”して子供を授かった。
 そしてかわいらしいプチれいむとプチまりさ達と幸せな家族生活を送るはずだった。・・・・・その饅頭が生まれなければ。
「ゆゆ~?どうちたにょ?みゃみゃ~?」
 無垢な笑顔で母れいむと父まりさに話しかけるのはプチありすであった。
 話しかけられたれいむとまりさは驚愕の表情を浮かべたまま凍りついている。

 通常れいむ種とまりさ種からは周知の事実であるように多少数に偏りはあるもののれいむ種とまりさ種のプチゆっくりが生まれる。
 しかし、このありすもれっきとしたれいむとまりさの子供である。
 なら何故ありすが生まれたのか? それはありすが『取り替え子』だからである。

 ゆっくりには雌雄の概念が無く、様々な種のゆっくり同士で交尾が可能である。
 その為ゆっくりの体内には違う個体の因子が脈々と受け継がれ蓄積している。
 通常その受け継がれている因子が表に出てくることは滅多に無い。・・・・・しかし0%ではない。
 恐らく母体であるれいむの餡縁をたどっていけばどこかでありす種とぶつかるだろう。
 れいむの体内にありす種の因子が存在し、それが非常に低い確率ではあるが表に出てしまったのだ。
 これが『取り替え子』である。

 正気に戻った母れいむと父まりさは巣穴の隅で何やらヒソヒソと話し合っている。


 第2章 ~悲しい旅立ち~

「おちびちゃんたち! ごはんをとってきたよ、ゆっくりたべてね! 」 

 笑顔で父まりさが帽子を膨らませて巣穴の中に戻ってくる。
 プチ達の前までやってくると帽子の中から草花や虫を地面にバサーと広げる。
 その光景を見ているプチ達の目はキラキラと輝いている。
「れいみゅおなかちゅいたよ~。」
「ゆゆ~♪ やっちょごはんだよ♪ まりしゃたっくしゃんたべりゅよ! 」
 広げられたご飯にプチ達は我先にと飛びついていく。
「ゆゆ~、おいししょうだわ。いただきま~しゅ♪・・・・・ゆぎゃ! 」
 プチありすは姉妹達に混じってご飯に飛びつこうとした。
 しかし、母れいむがプチありすの髪を思い切り口でつかんで引っ張り壁にぶつけた。
「なにおちびちゃんたちとおなじごはんをたべようとしてるの? ばかなの? しぬの? おまえのごはんはこれだよ! 」
 壁にぶつかったプチありすは“なんで?”といった表情で痛みに耐えながら母れいむを見上げている。
 父まりさはどう見てもおいしく無さそうな雑草をプチありすの前にペッと吐き出す。
 プチれいむとプチまりさ達はプチありすの事など気にも留めずにおいしそうにご飯を食べている。

「「「「「「「む~ちゃ♪ む~ちゃ♪ ちあわちぇ~♪ 」」」」」」」

「「ゆゆ~♪ とってもゆっくりしてるおちびちゃんたちだね~♪ 」」

「・・・・・む~ちゃ・・・・・む~ちゃ・・・・・まじゅいよ・・・・・。」

 ゆっくり一家はこの世の幸せを謳歌していた。・・・・・1匹の饅頭を除いて。
 巣穴の隅でプチありすは1匹寂しくまずいご飯を食べている。


 ~数日後~

 巣穴の中では少し大きくなったプチ達が楽しそうにじゃれ合っている。・・・・・プチありすを除いて。
「ゆふ~♪ しゅ~り♪ しゅ~り♪ だいしゅきだよまりしゃ~♪ 」
「まりしゃもれいみゅのことがだいしゅきだよ~♪ しゅ~り♪ しゅ~り♪ 」
「はやくおとうしゃんかえってこないかな? れいみゅおなかちゅいたよ~・・・。」
「まりしゃはあまあまさんがいっぱいたべちゃいな~♪ 」
 プチ達は楽しそうに頬ずりをし合ったり、おしゃべりをしたりして楽しんでいる。
 母れいむはというと・・・・・。

「・・・・・・・・・・zzzzz・・・・・もうだべられないよ~・・・・・。」

 子守を忘れて口から涎を垂らし眠っている。
 楽しく遊んでいる中、1匹のプチれいむが隅でじっとしているプチありすの方へ飛び跳ねていく。
「・・・・・ゆ? 」
「れいみゅといっしょにあしょぼうよ。」
 プチれいむは満面の笑みでプチありすを遊びに誘う。
「・・・・・いいの? 」
 プチありすは恐る恐るたずねる。
「いいよ♪ れいみゅといっしょにあしょぼうにぇ♪ 」
「ゆ、ゆわ~ん。ありがちょ~れいみゅ~。」
 目を潤ませてお礼を言うプチありすにプチれいむは更に近づくと自分の頬をそっとプチありすの頬に当てる。
「ゆ? 」
「まじゅはしゅ~りしゅ~りしようね♪ 」
 プチありすは生まれてから1度も“す~り♪ す~り♪ ”をしたことがなかった。
“す~り♪ す~り♪ ”はゆっくり同士が絆を確かめ合ったりする時に行う親愛の行為である。
 プチありすは目の前で両親がプチれいむやまりさ達と“す~り♪ す~り♪ ”しているのを見て憧れ、そして羨ましく思っていた。

「あ、ありがちょ~れいみゅ。しゅ~「なにやってるの! このくそありすがあああぁ ぁ あああぁ ぁ ぁ ぁ ぁ ! ! ! 」」

 プチありすが震えながら後ろへ振り返るといつの間にか起きていた母れいむが鬼の形相で目の前に立っていた。
「おか~しゃん、ありしゅはなにもちてないよ、れいみゅとあそんでただけだよ。」
 母れいむが一瞬にして笑顔に戻り必死に訴えるプチれいむに優しく話しかける。
「いいんだよおちびちゃん。ありすにおどされてそんなこといってるんだね。おかあさんがまもってあげるよ! 」
 母れいむは再び鬼の形相に戻るとプチありすの髪を容赦なくつかみ上げる。
「やめちぇー、みゃみゃー! ごめんなしゃい、ごめんなしゃい、いちゃいよおぉ ぉ ぉ ぉ ぉ ! 」   
 プチありすは涙を流し母に許しを請うがその言葉は既に母れいむに届いていなかった。
 母れいむは鬼の形相のままプチありすを思い切り巣穴の入り口目掛けて投げ飛ばす。
「ぴぎゃあああ ぁ ぁ あああ ぁ ぁ ぁ ぁ ぁ ! ! ! 」
 プチありすの悲鳴が巣穴に木霊した。
「ゆぎゃ! 」
 プチありすは巣穴の外に顔面から着地する。
 入り口からは母れいむが鬼の形相のまま姿を現す。
「もうがまんできないよ! おなさけでそだててやったのにれいむのおちびちゃんにてをだすなんてゆるさないよ! 」
「・・・・・みゃ・・・・・みゃみゃ・・・・・。」
「なにがままなの? ばかなの? しんでね! おまえをれいむのこどもだとおもったことなんていっかいもないよ!
 にどとおうちにはいれないからね! さっさとどこかにいってね! つぎにみかけたらほんとうにころすからね! ! ! 」
 母れいむは罵声を浴びせるだけ浴びせるとそそくさと巣穴の中に消えていった。
 プチありすは幼いながらも母れいむが冗談ではなく本気で怒り、そして自分は2度と目の前のお家には帰れないと理解した。 
「・・・・・ゆっくり・・・・・したいよ・・・・・。」
 木にできた洞の前で1匹の饅頭が悲しそうにたたずんでいた。


 第3章 ~自分のおうち~

「・・・・・おにゃかしゅいたわ・・・・・。」
 プチありすは森の中を地面に足(?)を擦り付けながらとぼとぼと進んでいた。
 どこか目的の場所があって進んでいるわけではない。
 ただ空腹を満たす手段を求めて当ても無く彷徨っているのだ。

 幼くして野生に放り出されたゆっくりが生き延びられる確率はかなり低い。
 しかし、幸運の神はまだプチありすを見放してはいなかった。

「・・・・・ゆゆ! ? あまあましゃんのにおいがしゅるわ! 」
 一瞬にして元気を取り戻したプチありすは甘い匂いをたどりながら飛び跳ねていく。
 程なくして目の前には地面に掘られた大きな穴が姿を現した。
「ゆゆ! あのにゃかからあまあましゃんのにおいがしゅるわ! 」
 プチありすは穴の中へゆっくりと入っていく。
「・・・・・しょろーり・・・・・しょろーり・・・・・ゆゆ! あまあましゃん? 」
 しばらく穴の中を進むと突き当たりとなり、甘い香りを漂わせる白くて丸い物体が5つ置かれていた。
 ゆっくりは食い意地がはっているとは言え、初めて見るものには多少の警戒心を持つナマモノである。
 しかし、今のプチありすは空腹で警戒心のかけらも残ってはいなかった。
「いちゃちゃじま~しゅ♪ 」
 白い物体目掛けてありすはかぶりついた。

 パクッ!

「ち、ちあわちぇ~♪ 」
 一口食べただけで口の中に甘みが広がっていった。
 生まれてからまともな食事を一度も与えられていなかったプチありすは涙を流してその“あまあましゃん”を平らげた。
 プチありすの体はさほど大きくなかったので“あまあましゃん”を1つ平らげたところでお腹はいっぱいになった。
「とってもおいちかっちゃわ♪ 」
 空腹が満たされ、落ち着きを取り戻したプチありすは辺りを見回し始める。
 穴の中はプチありすにとって大きすぎるくらいのスペースがあり、入り口から最深部までの距離は風雨をしのぐには十分であった。
 このような場所を見つけたゆっくりが言うお決まりのセリフといえば・・・・・。
「ゆゆ~♪ ここをありしゅのおうちしゃんにするわ♪ 」
 プチありすの顔を母れいむに追い出された時とは違い、希望に満ち溢れキラキラと輝いていた。
 しかし、ありすの体に突如変化が訪れる。
「ゆ~・・・・・? にゃんだかきゅうにねむく・・・・・zzzzz。」
 急な睡魔に襲われたプチありすの意識はまどろみの中へゆっくりと消えていった。

「ゆぅ・・・・・ありしゅのおうち・・・・・zzzzz・・・・・・・・・・ぴぎゃ! 」
 体に走る激痛によってプチありすの意識は夢の中から引きずり戻された。
 プチありすが目を覚まして初めに見た光景は、目の前で会話をしている2匹の饅頭であった。
「はにー、じゃまなありすのそうじはおわったんだぜ! 」
「むきゅ~♪ さすがだーりんね。これでここはぱちぇたちのあいのすよ♪ 」

「「す~り♪ す~り♪ しあわせ~♪ 」」

 プチありすの目の前ではだぜまりさとぱちゅりーが幸せそうに頬ずりをしていた。
 なにが起こったのかまだ理解し切れていないありすであったが、一つだけ明確に理解できた事があった。
 自分のお家が乗っ取られようとしているという事に。
「そ、そこはありしゅのおうちよ! お、おねがいだからでていって! 」
 明らかに体格差がある2匹にプチありすは勇気を振り絞って抗議をした。
 頬ずりをし合っている2匹はピタッと動きを止め、だぜまりさがありすの前に進み出る。 

 プクー!

 プチありすは精一杯顔を膨らませてだぜまりさを威嚇する。
 しかし、明らかな体格差のあるだぜまりさに威嚇など通用するはずも無かった。
「ふん、せっかくおなさけでいのちはたすけてやったのにばかなやつなのぜ! 」
 まりさは鼻(ないけど)で笑い余裕の表情を浮かべている。
「むきゅー! だーりん! さっさとそのめざわりなありすをどこかにやっちゃって!
 どうせれいぱーありすにむりやりすっきりさせられてできたいきてるかちのないくずありすよ! 」
 ぱちゅりーにくずと言われ腹が立ったありすは更に膨れ上がり顔を赤く染める。
「あ、ありしゅはくずじゃないのよ! あ、ありしゅのおかあしゃんは「さっさときえるのぜ! 」」

 ボンッ!

「ぴぎゃああああぁ あぁ ぁ ぁ あああぁ ぁ ぁ ぁ ぁ ! ! ! 」
 だぜまりさは体当たりを繰り出し、吹っ飛んだプチありすは悲鳴を上げながら草むらの中へ消えていった。


 第4章 ~遭遇~

「ゆ、ゆ ぅ ぅ ぅ ぅ ぅ ・・・・・ありしゅのおうち・・・・・。」
 だぜまりさに体当たりを食らったありすであったが、草むらがクッションとなり幸運にもケガ一つしていなかった。
 しかし圧倒的な力の差を見せ付けられたありすは泣く泣くおうちを譲り渡したのであった。
「からだがいちゃいわ・・・・・くすん。」
 意気消沈したありすは森の中をとぼとぼと歩いていた。

 ガサッ! ガサッ! ガサッ! ・・・・・ガサガサガサ!

「ゆゆ! ? 」
 突如目の前に草むらが揺れだし、ありすはすぐさま身構える。

 ヒョコッ!

「ゆっくりしていってね! 」
「ゆっくりちていってね! 」
 草むらから姿を現したのは成体のありすであった。
「このあたりじゃみないこね、りょうしんはどうしたの? 」
 身構え警戒していたプチありすであったが、自分を気遣うありすの雰囲気に安心してすぐに警戒を解いた。
「ゆぅ・・・・・ありしゅには・・・・・おかあしゃんもおとうしゃんもいないよ・・・・・ぐすん。」
 プチありすの涙ぐみながらの告白にありすは驚きの表情を浮かべる。
「こんなかわいいこをすてるなんてまったくいなかもののゆっくりね! いいわ、ありすがあなたをりっぱなとかいはにそだててあげる
 わ! 」
 プチありすの言葉を聞いたありすは自分の事のように怒りだした。
 ありすの言葉を聞いたプチありすはきょとんとして? マークを浮かべている。
「ゆ? ときゃいは? 」 
「そうよ、とかいはっていうのはとってもゆっくりできるのよ! 」
 “とかいは”プチありすは初めて聞く言葉ではあったが、とてもゆっくりできる言葉だと感じでいた。
「ゆゆ~♪ ありしゅはおね~しゃんについていきゅわ♪ 」
「それじゃありすのまいはうすにいきましょう。おちびちゃん、ゆっくりついてくるのよ。」
 ありすの後ろをプチありすが嬉しそうに跳ね、森の中を進んでいった。

「ゆゆ! おちびちゃんとまって! 」
 森の中を進んでいると突如ありすが動きを止めた。
「ゆ? ? ? 」
 プチありすもきょとんとした様子で? マークを浮かべている。
「いい? おちびちゃん。ありすはちょっとようじができたからいいこにしてここでまってるのよ? 」
「ゆ、ゆっくりりかいちたわ。」
 プチありすは何が起こったの分からなかったが、ありすの迫力に押されて返事をしてしまった。
 ありすはそそくさと茂みの中へ消えていった。
「ゆぅ・・・・・。」
 1匹ぽつんと取り残されたプチありすは寂しそうな表情を浮かべている。
「・・・・・ひとりはしゃびしいわ。」
 寂しさに耐えられなくなったプチありすはありすの後を追って茂みの中へ入っていった。

「しょろーり。」
 カサッ

「しょろーり。」
 カサカサッ

「しょろーり。」
 カサッ・・・・・ヒョコ!

 茂みから顔を出したプチありすが見たものは・・・・・。

「んほおおぉ ぉ ぉ おおおおぉ おおおぉ おおぉ ぉ おおおおお! ! ! 」
「どおじでばりざがごんなめにあうのおお ぉ おおお ぉ ぉ おおおおお! ! !
 いやあ゛あ゛あ゛あ゛ ぁ゛ ぁ゛ あ゛あ゛あ゛ ぁ゛ ぁ゛ ぁ゛ ぁ゛ あ゛あ゛あ゛あ゛! ! ! 」
 そこではもはや見慣れた光景が繰り広げられていた。
 しかし、無垢なプチありすにとってあまりにも衝撃的な光景であった。
「な・・・・・なん・・・・・なんにゃの? 」 
 あまりの衝撃に呆然とするプチありすであったが、心に強く突き刺さるものがあった。それは・・・・・。

「ぜ、ぜんぜんゆっくりできにゃいわ。あ、ありすはとかいはになんかなりたくないわ! ぴぎゃあぁ ぁ ぁ ぁ ぁ ! 」

 プチありすは大泣きしながら無我夢中でその場から逃げ出した。

 幸いありすはまりさとの行為に夢中でプチありすが覗いていた事になどまったく気がついてはいなかった。


 第5章 ~出会い~

「ぴぎゃあぁ ぁ ぁ ぁ ぁ ぁ ぁ ぁ ぁ ぁ ! ! ! 」
 プチありすの頭の中は完全にパニック状態にに陥っており、悲鳴を上げながら森の中を疾走していた。
 実の親に捨てられ、自分のおうちを強奪され、優しくしてくれたありすは生粋のレイパーであった。
 もはやプチありすは何を信じていいのかわからなくなっていた。

 ズルッ!

「ぴぎゃっ! ぎゃっ! ぎゅっ! たちゅけちぇ ぇ ぇ ぇ ぇ ぇ ぇ ぇ ぇ ぇ ! ! ! 」
 斜面付近で足を踏み外してしまったプチありすは小石にぶつかりながら斜面を転げ落ちていった。
「いちゃい! いちゃい! ・・・・・だれか・・・・・たちゅ・・・・・ゆ゛ぎゃ! 」
 下まで転げ落ち、プチありすの回転がようやく止まった。
 しかし、体中は傷だらけで致死量に至らないまでも体のあちこちからは中身のカスタードクリームがにじみ出ていた。
 そして・・・・・。

 ぴちゃん・・・・・ぴちゃ! ・・・・・ぴちゃぴちゃぴちゃ!

 ありすの頬に空から大粒の水滴が降りかかる。
「・・・・・もっと・・・・・ゆっくり・・・・・・・・・・。」
 雨が降りしきる森の中、プチありすの意識はゆっくりと闇の中へ沈んでいった。


「・・・・・ゆ? ここはどこにゃの? 」
 プチありすは見慣れぬ場所で目を覚ました。
「ちー〇ぽ! 」 
 プチありすの目には奇妙な声を上げる初めて見るゆっくりが映っていた。
「あにゃたがたちゅけてくれたの? 」
「ち〇ぽー! 」
 白髪のゆっくりは優しい笑顔でプチありすに返事をした。
「ありが・・・・・ちょ・・・・・・・・・・。」
 目の前にいるのが優しいゆっくりであるとわかり、緊張の糸が切れたプチありすの意識はは再び闇の中へ沈んでいった。


 ~1ヵ月後~

「ちん~、こっちにおいしそうなおなはさんがあるわよ~。」
「ち~〇ぽ♪ 」
 ありすの体は成体に近いサイズまで成長し、赤ちゃん言葉もすっかり抜けていた。
 現在2匹は仲良く一緒に暮らしている。
 ありすが白髪のゆっくりをなぜ“ちん”と呼ぶかというと、それは2匹が出会った翌日に遡る。

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 ~2匹が出会った翌日~

「ち~〇ぽ! 」
 目を覚ましたプチありすの前には白髪のゆっくりが立っており、様々な食糧が広げられていた。
「ありしゅがたべちぇいいにょ? 」
「ち〇ぽ。」
 お腹が減っていたプチありすは物凄い勢いで食糧を口に運ぶ。
 あっという間に食糧はプチありすのお腹の中へ消え、とても満足そうな顔をしている。
「おいちいごはんをありがちょ~♪ あにゃたのなまえはにゃんちぇいうの? 」
「ち〇ぽ。」
 プチありすは白髪のゆっくりから発せられた言葉に一瞬? マークを浮かべフリーズするが、すぐに会話を再開する。
「ち〇ぽっていうにょ? 」
「ち゛〇ぽお ぉ ぉ ぉ ぉ ぉ ! 」
 白髪のゆっくりは全身を使って猛否定する。
 流石のプチありすもその名前が間違っていることには気が付いた。
「ひょっとしてち〇ぽしかいえにゃいの? 」
「ち〇ぽ・・・・・。」
 同じ言葉しか言わない白髪のゆっくりに疑問を持ったプチありすはストレートにその疑問をぶつけた。
 そして白髪のゆっくりは悲しげに肯定した。
「じゃあちんってよんでいい? 」
「・・・・・ちー〇ぽ。」
 白髪のゆっくりはプチありすの発言に多少戸惑い考え込んだ。
 しかし、自分では本当の名前を伝えられないと判断しプチありすの提案を受け入れた。

 その後、プチありすは自分は捨てられ何処にも行くあてが無いと告白した。
 そして白髪のゆっくりは“ち~〇ぽ”と言い、プチありすを追い出す事はしなかった。

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 最終章 ~とかいはとは~

「きょうもゆっくりできたわね、ゆっくりおやすみ~。」
「ち~〇ぽ~。」
 巣の周囲の食糧はお世辞にも豊富と言えるものではなく、日の光もあまり届かない場所であった。
 それでも質素でゆっくりした生活にありすは満足していた。
 ゆっくりした気持ちの中、2匹は寄り添うように夢の中へ旅立っていった。


「ゆゆ! とってもきれいだわ! 」
 ある日、ありすは森の中でとても綺麗なキノコを見つけた。
 ゆっくりは見た目がきれいな物をゆっくりできる物思い込む傾向にある。
 それ故にゆっくりにとって毒を含む食べ物を口にし、自爆するゆっくりも少なくない。
「そうだわ! ちんにぷれぜんとしましょう、むかしたすけてもらったおれいをまだしてないわ! 」
 ありすはキノコを口にくわえると急いでちんの所へ跳ねていった。
「ちん~いいものみつけたわよ~♪ 」
「ち〇ぽ? 」
 ちんの所までやって来たありすはキノコをちんの前へ差し出した。
「ちん、ありすからのおくりものよ。ちいさいころたすけてもらったおれいよ。」
「ち〇ぽ~♪ 」
 ちんも綺麗なキノコのを見てゆっくりできる物であると疑うことなくかぶりついた。

 カプッ!

「びょおおぉ ぉ おおぉ ぉ おおぉ おおおおん! ! !
 げほっ! げほっ! げほっ! げほっ!ものすごくにがいみょん! 」
「ゆゆゆ! ? 」
 ありすは驚きの表情を浮かべ硬直する。
「ありす、どうしたんだみょん? 」
「ちん・・・・・あなた・・・・・ふつうにはなしてるわよ! 」
 ありすは恐る恐るちんに起こった変化を指摘する。
 ちんは? マークを浮かべきょとんとしたまま動きを止める。そして・・・・・。
「みょん?・・・・・・・・・・みょおぉ ぉ ぉ おおぉ ぉ おおおぉ おおおおん! ! ! 」
 ほんとうだみょん! ふつうにはなしてるみょん! うれしいみょおぉ ぉ ぉ ぉ ぉ ん! ! ! 」
 ちんは普通の言葉が話せるようになった事を涙を流し喜んだ。
 それを見たありすも自分の事のように笑顔にうっすら涙を浮かべ喜んでいる。
「よかったわねちん! 」
「ありがとみょん! ありすのおかげみょん! あとみょんのなまえはちんじゃなくてみょんだみょん! 」
 遂にちんは自分の名前がみょんであることをありすに伝える事ができた。
 その後小一時間2匹は喜び合っていた。

 みょんが普通の言葉を話せるようになったことにより、意思疎通が格段にしやすくなった。
 そしてみょんの口から自らの境遇について語られた。

 自分は“ち〇ぽ”としか話せなかったため親から嫌われ群れから追い出されてしまった。
 森を彷徨ううちに他のゆっくりがあまり寄り付かないこの場所にたどり着き、ひっそりと暮らしていた。
 そして運命の日、普段ゆっくりを見かけないこの場所で傷だらけのプチありすを見つけ自分と同じ境遇ではないかと思い助けた事が伝
 えられた。

 それを聞いたありすはただ一言“ありがとう”とお礼を言った。


 ぼよ~ん、ぼい~ん、ぼよ~ん

 2匹は食糧となる小さな虫を探して巣の周囲を飛び跳ね回っていた。
 ありすは、少し大きめの石の前でふいに立ち止まる。
 目の前の石を退かすのにはかなりの苦労するのはわかっていたが、石の下に何かがあるような気がしてならなかった。
「このしたにむしさんはいないかしら? みょん、このいしをどかすのてつだってくれないかしら? 」
「わかったみょん! 」
 2匹は協力して石を転がそうと力を入れる。
「「ゆんしょ! ゆんしょ! 」」

 ゴロン! ・・・・・・・・・・ボコ・・・・・ボコボコボコ

「「ゆゆ! ? 」」
 退かした石の下からボコボコと水が湧き出した。
 水は濁りが無くとても綺麗で湧き出す量こそ少ないものの、2匹の喉の潤いを満たすのには十分な量であった。
「ゆゆ~♪ きれいなみずだみょん! すごいみょん! ありすのおかげだみょん! 」

 ゆっくりは水分を取りすぎると自身の体の形状を維持する事ができなくなり死んでしまう。
 また、水自体を飲まなくても水分を含んだ食糧から水分を得たり、ある程度空気中の水分を皮から吸収する事も可能である。
 それ故にゆっくりはほとんど水を飲まなくても生きて行けるのである。
 しかし、欲求の強いゆっくりはおいしい食べ物を求めるようにおいしい水を求め川や湖へやってくる。
 その欲求が原因で川や湖に落ちて溺れるゆっくりが少なくないのだが・・・・・。

 近くに水場が無い為水を飲む事を諦めていた2匹にとってこの湧き水は、まさに天からの贈り物であった。


 時が経つにつれ、2匹の仲は更に深まりいつしか夫婦となっていた。
「あさになったみょん、ゆっくりおきるみょ~ん。」
「ゆゆ~ん♪ おちびちゃん、ゆっくりおきてね♪ 」
 ありすとみょんにに寄り添うように眠っている2匹のゆっくりが目を覚ます。
「ゆゆ~♪ まま~おはよ~。」
「おかあさん、おはようみょん! 」  
 この2匹はありすが胎生型妊娠で授かった子供である。
 胎生型という事もあり、知識、言葉遣いともにかなり成長した状態でこの世に生を受けた。
 幸いにしてみょん種の子供は生まれながらにしてみょん語を話していた。
 そしてありすとみょんの教育がしっかりしていることもあり2匹は立派なゆっくりへと成長している。
「それじゃきょうもみんなでゆっくりすごしましょうね♪ 」

『取り替え子』は幸福をもたらす。
 幸運の神の寵愛を受けるありすは初め望まれぬ子供として生まれたが、今では幸せな生活を送り今後もその生活は続いていくだろう。
 頭の隅に残っている以前聞いた“とかいは”とはきっとこんなゆっくりとした生活なのだろうと感じていた。


 ~ゆっくりありす生涯『取り替え子編』(表)~END

(裏)へ続く

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最終更新:2009年04月05日 03:24
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