ゆっくりいじめ系2211 ずっと実ゆっくりしていってね!(後編)

前編から


・・・月日は流れ。

さて、そろそろこないだのゆっくりの巣を見て回ってこよう。
まずは5匹の赤ゆを育てていた、れいむとまりさの巣。

季節は繁殖期の春・夏を終えて秋に差し掛かっていた。
本来なら赤ゆは子ゆっくりから成体に近いサイズに成長していてもいい時期で巣立ちをする頃だ。
たくさんの子ゆっくりと同居したまま冬を迎えればそれは一家全滅の危機につながる。
それどころか、今回は赤ゆのまま冬突入という死亡フラグが立っていた。

「そろそろ、おちびちゃんにもかりのしかたをおしえたほうがいいんだぜ!」
「ゆっ、だめだよ!おちびちゃんはまだあかちゃんだよ!」

「みゃみゃー、ごはんまだー?」
「ねぇねぇまりしゃのごはんは?」
「れいみゅたちいつまでおうちにいればいいの?そろそろおちょとであそびたいよ!」

冬越えに備えて大量の食料を貯めないといけないのだが
餌をとってくるのは親まりさばかり、親れいむは赤ちゃんの世話のため巣から出ることができず、ずっと引きこもっていた。
朝から晩まで駆けずり回って採れる餌も親れいむと赤ゆ5匹が食べてしまえば、明日の蓄えすらない。
季節の移り変わりに気づいていない親れいむはともかく、親まりさは焦っていた。

「このままだと冬さんがきて、みんなゆっくりできなくなるよ!れいむもいっしょにごはんあつめてね!」

「なにいってるの!あかちゃんをそだてるのがれいむのしごとだってまりさもいってたでしょ!
ごはんをとってくるのはまりさのしごとなんだから、ゆっくりしないでさっさとごはんもってきてね!」

最近はずっとこんな口喧嘩が続いている。

「それなら、まりさがみんなのごはんをあつめてくるよ!」

暗がりから、帽子の先が欠けている子まりさが出てくる。
飾りが欠けていることで親れいむや赤ゆの虐めにあっていたまりさだが、食事量が他の赤ゆよりも少ない割りに
成長抑制飴を食べなかったことで立派な子まりさに成長していた。

「おまえは、そこからでてこないでね!ごきんじょさんに見られたらとおもうとゾッとするよ!」

「ゆぅ~ん・・・」
「ゆっくちできにゃいおねーちゃんは、みんなのうんうんをかたづけるしごちょしててね!」
「こんにゃまりしゃが、かぞくだとおもわれたらみんなゆっくちできにゃいよ!」
「ばぁ~きゃ!ばぁ~きゃ!」

親れいむに合わせて、赤ゆたちも子まりさをキャッキャっと罵倒する。
そんな様子を毎日見てきた親まりさは、ある疑問を感じていた。

親れいむが可愛がっている赤ちゃんたちは、ちっとも大きくならず幼いままだ
逆に、虐められている子まりさはすくすくと大きくなっている
いままでは帽子が欠けている子まりさの事を障害のあるゆっくりと思っていたが、実は逆なんじゃないだろうか?

その夜、親まりさは決心し
皆が寝静まってから子まりさを巣の外へと連れ出した。

「ゆぅ?おとーしゃんこんなじかんにどうしたの?おそとにでたらまりさおこられちゃうよ」
「ゆっくりきいてねまりさ!おとーさんは働かないれいむにあいそがつきたよ!これからは二人でくらすよ!」

冬はもうそこまで来ている!
子育てと称して働かないれいむや食べてうんうんするだけの赤ゆ達の分まで集めている余裕はもうないのだ。

ぽい~ん、ぽい~んっと元気よく旅立つ2匹。
新しい巣穴は、れいむたちが住んでいる巣穴からさほど遠くない場所に作った。
それでも引きこもっている彼女達がここを見つけることは出来ないだろう。



朝、親まりさがいない事に気づいたれいむ一家。

「ゆっ、きっとお日様がのぼるまえにごはんあつめにでかけたんだね!
赤ちゃんたちが大きくならないのはまりさがゆっくりしたごはんをとってこれないからだよ!
はんせいしてたくさんとってくるきになったんだね!」

「ゆっくちできにゃいおねーちゃんもいないよ!」
「ほんちょだ、うんうんかたづけるしかのうのないまりしゃがいないね!」
「これでれいみゅたちがたべるぶんがふえるよ!」
「おうちもひろくなるし、せいせいするね!」

この日から、もうこの家にごはんを持ってきてくれる者はいなくなった。
それに気づくのはいつだろうか?
冬前にもう一度観察に来てみよう。



次は、実ゆっくりで成長が止まっている
れいむとありすのつがいの巣を見てみよう。

「おちびちゃんたち、なんで産まれてくれないのぉ!」
「やめてねありす!赤ちゃんたちはいまお昼ね中なんだよ!」

れいむの頭上の実ゆっくりは目を閉じたままだが、「ゆぅ♪」とか「みゅ~♪」とか返事をするので
間違いなく生きていることはわかる。
しかし、まるで造花実ゆっくりが頭に挿されているだけの様に待っても待っても産まれてきてくれないのだ。
だから、ありすは毎日たくさんの食べ物をとってきてはれいむに与えた。
れいむは以前よりもでっぷりと太っているだけで結局1匹も赤ゆっくりは落ちてこない。

ありすは限界だった。
れいむの植物型出産が終わったら、次は胎生妊娠をしようねと約束していたにもかかわらず
いつまでもそれが出来ない。
ありすは赤ゆっくりとゆっくりしたい以外に性欲をも我慢し続けていたのだ。

「もう、ありすは限界だわ!れいみゅぅう!ありすとすっきりしてねぇええ!すっきり!すっきりぃ!すっきりぃい!」

「やめてね!赤ちゃん達が見てるよ!それにすっきりとか言葉をつかうと・・・」
「ゆぅ~ちゅっきり♪」「みゅ~・・・すっきゅり♪」

「ほらぁ!赤ちゃん達がへんなことばをおぼえちゃうでしょぉおお!」
でっぷりと太った体でありすを突き飛ばす。
毎日、たくさんのごはんを食べ続けていたれいむは、いまやありすの倍は大きかった。

「いたっ!やめてっ!ごめんなさい・・・ひぃ!」

「ありすのとってくるごはんが少ないから赤ちゃん達も産まれないんだよ!
わかったらゆっくりしないで、もっとごはんを持ってきてね!」

「こんなの、ぜんぜんとかいはじゃないわぁああ!」

巣穴から逃げるように泣きながら飛び出していくありす。
それでも、ありすはれいむも実ゆっくりも見捨てる気はなかった。
れいむの頭上にいる実ゆっくりは、ありすにとっても可愛くて、特にカチューシャをつけている2匹の実ゆっくりは
自分にそっくりで都会派だったからだ。
れいむに横になってもらい、実ゆっくりとほほをすり合わせて「すーりすーり♪」した時は
「みゃみゃ・・・♪」「ちょかいは♪」と返事をしてくれてそれが一層の励みになった。

こうやってれいむと喧嘩をした時は、きまってありすは普段よりもたくさんのごはんをとってきた。
さつまいもに、にんじん、キャベツに大根
れいむと仲直りするために、危険を冒してもゆっくりしたごはんをとってくるのだ。

そんな都会派なありすの背中を見送って
次の巣に向かうことにした。




「ぎゅびぃびゃぁああああぁぁあ・・・うひぃぃいいいいい!」

洞窟から聞こえてくるのは、耳をつんざくようなまりさの悲鳴。
ここには善良な50センチサイズの胎生妊娠をしたまりさがれいむと住んでいる。

「まりざぁあああ!ゆっっくりしていってね!ゆっくりしていってね!」

しきりに、れいむがまりさを気遣って声をかけているが
まりさのために何も出来ることがなくまりさの周囲をぐるぐると跳ねて泣きじゃくっていた。
以前来たときにあった敷き詰められた葉はそこらじゅうに散らばり、山の様にあった果実は暴れるまりさに踏み潰され
それが腐り異臭を放っていた。

「おい、これはいったいどうしたんだ!」

「ゆっ、にんげんさん助けてね!まりさが赤ちゃんがなかなか産まれないから
心配して、お腹に力をいれて無理に産もうとしたんだよ!
そうしたら、急にまりさが苦しんでそれからずっとこうなのぉおお!」

「ゆびぃぃいいいいぃい!ぐるじいぃぃいいい!もうまりざをごろじでぇええええ!」

まりさの全身に脂汗が滲み、苦痛からすこしでも逃れようと身をよじってごろごろと転がる。
れいむによると、もう数日もこの状態なんだそうだ。
ゆっくりは餡子が体から漏れない限りなかなか死なない、その生命力が災いしてまりさを苦しめ続けていた。

「まりざぁあああ!ゆっくりしていってね!ゆっくりしていってね!ゆっくりしていってね!」

もう、まりさは「ゆっくりしていってね!」に反応しないくらい精神が擦り切れていた。
こいつらは善良なゆっくりだ。出来れば助けてやりたい。
なにかないかとポケットを探ってみるとなぜかトングが出てきた。
トングとは、ピンセットを大きくしたような道具で
焼肉をひっくり返したりバーベキュー等で使う料理器具だ。
それがなぜ、この状況で俺のポケットから出てきたのかはわからない。
きっと、なにか見えざる力がこの善良なゆっくりとトングとを引き合わせたのだと考えるしかなかった。

さっそく、トングをまりさの産道に突き刺す。
「ゆびゅぅぅういいいぃいいいいいいいいいぃいいい!」
それから、トングを内部で広げる。
「ぎゅぴゅうぅぅううううぃいいぃいい!」
あまりの激痛にまりさは泡を吹いて白目を剥いていたが、これもまりさを助けるためだ。ゆっくり我慢してね♪

トングの間に何かまるっこいものがひっかかる。これをキャッチ。
「まりざぁぁあああ!がんばっでぇええええ!」
れいむの声援と唾が後ろから飛んできてうざい。

フンッ!と一気にトングを産道から引っこ抜くと
そこには、1匹の子れいむがひっかかっていた。
「ゆぎぃぃいい・・・いぢゃいよぉぉおおお!」

続けて、もう一度まりさの産道にトングを突き刺すと今度は子まりさ、子れいむが出て
最初の子れいむと合わせて合計3匹の子ゆっくり。
まりさの苦痛はとれた様で、悲鳴はぜぃぜぃという息遣いに変わり命に別状はなさそうだ。

「ゆぎぃぃいいいぃいい!あかちゃんがぁああああ!」
代わりに悲鳴をあげたのはれいむだ。
3匹の子ゆっくりは未熟児で
最初の子れいむは目がなく、2匹目の子まりさは口がなく、3匹目の子れいむはその両方がない。
成長抑制により、胎児の状態で成長が止まってしまったのだろう。

「いぢゃいよぉ!みえないよぉ!おがぁしゃんどこいるのぉお!」

「ばでぃさのあがじゃんぐぁぁああ!」
「なんでおべべがないのぉ!おぐちがないのぉ!りょうぼおないのぉ!」

口がない子まりさは、その目で両親にしきりに「なんで、まりさはおくちがないの?」と
目も口もない子れいむは、口がないはずなのに体の内部から「うぼぉおおぉおお」と奇怪な音をさせていた。

長い苦痛から産まれた赤ちゃんがこの仕打ちで親れいむも親まりさも心が折れかけていた。
これでは、この一家は冬越え前に生きる気力を失って死んでしまうかもしれない。
それじゃ面白くないよね。

「れいむ!まりさ!しっかりしろ!お前らは親だろ!
子供達はもっと苦しいんだ!悲しいんだ!
なのに、お前らときたらなんだ?あまったれるな!
お前らがしっかりして、この子達をゆっくりさせてやらないと誰がこの子達をしあわせにしてやれるんだ!」

思いついたセリフをまんま言ってみた。
どういうわけか親ゆっくりどもの目に生気が戻る。

「ゆっ、そうだよ、この子達はまりさの子供だよ!目や口がなくたって、この子達はまりさとれいむの愛から
生まれた、ゆっくりした可愛い子供だよ!」

「ごめんねおちびちゃんたち!れいむよりもつらいよね!?かなしいよね!?
れいむ一生懸命この子達を幸せにするよ!」

俺は腕を組んで、うんうんと頷いた。
頑張って子ゆっくりを育てろよ!間違っても殺すとか捨てるとかして
代わりに健康な赤ちゃんを産もうとか思いつくなよ!

さて、冬越え前にまたこいつらの様子を見に来ようかな。
俺は善良なゆっくりの巣を後にすることにした。




冬は、早朝
雪の降りたるは言うべきにもあらず、霜のいと白きもまたさらでも、
いと寒きに・・・
肌に突き刺さるような寒さを我慢して、さっそくゆっくりの巣を訪れた。

「みゃみゃ~・・・おにゃかすいちゃよぉ~・・・」
「ゆっくちしちゃごはんたべんちゃいよぉ・・・」
「ゆぅ・・・おとーしゃんかえっちゃきちぇ・・・」

「うるさいよ!おなかすいてるのはおかーさんだっていっしょだよ!
それもこれも、まりさがわるいんだよ!」

まりさが帰ってこなくなってから、親れいむ1匹で餌を集め生きながらえていた。
餌を集めると言っても、普段狩などしたことがないため巣の周辺に生えていた草を引っこ抜いては持ち帰るという適当な採取で
甘い草とそうでない草の区別がついていない上、すっかり採り尽くして遠くまで行かなければ草一本生えていない状況まで追い込まれていた。

これは、もう数日もすれば共食いなり餓死なりして全滅だろうな。
ほっといても破滅する巣に興味をなくし次の巣へと向かおうとしたその時、1匹のゆっくりがこの巣へやってきた。
見つからないように気配を消して様子を伺う。
帽子の先が欠けているあのまりさだった。

「ゆっ!ゆっくりしていってね!まりさ、みんなのためにたくさんごはんあつめたよ!」

帽子の中には、秋の終わりに集めた木の実やキノコ、食べられる草がぎゅうぎゅうに詰まっていた。
親まりさと一緒に冬を越えるための大切な食料であったが、まりさは自分の分を家族に分け与えるという選択をしたのだった。
得意満面の子まりさ
しかし、家族の反応は冷ややかだ。
シーンっと静まり返っていた一家は噴出すように喚きだす。

「こにょばきゃまりさ!じぶんだけごはんをひとりじめしてたんだよ!」
「ゆっくちよこちぇー!くちょまりちゃー!」
「こいつのせいでおうちのまわりのごはんがなくなっちゃんだ!そんにゃにとっちゃから!」

「ゆぅ・・・ちがうよ、これはまりさがいっしょうけんめいあつめ・・・ゆべっ!」

まりさの背中の皮が千切れ餡子が漏れ出す。
親れいむがまりさを噛み付いたのだった。

「・・・なんで、おかーしゃん・・・」

「ゆっ、これでゆっくりふゆをこせるよ!おちびちゃんたちもたくさんたべておおきくなってね!」

「むっちゃむっちゃ!ちあわちぇー♪」
「このきのこゆっくちしてておいちーよ!」
「こっちのきのみ、かちゃ~い!みゃみゃやわらきゃくちてね!ゆんゆ~ん♪」

「ゆ・・・ゆ”ゆ”・・・ゆ”・・・」

まりさはまだ息があるようだったが時間の問題だろう。
そのうち物言わぬ餡子になり、こいつらの冬越えのたしになるのか・・・。
憎たらしい親れいむや赤ゆどもを叩き潰したい衝動にかられたが、それは今回の観察の趣旨に反するのでこらえることにした。
赤ゆが一生赤ゆから成長しない以上は、いずれゆっくり出来ない事態に陥る事を祈り次の巣へと移動する。


れいむとありすのつがいはどうなっただろうか
巣穴を覗くと、そこには頭上に実ゆっくりを生やしている親れいむしかいなかった。
そして4個ついていた実ゆっくりは3個に減っている。
ちょっと状況がわからなかったので、姿を見せて親れいむから事情を聞いてみる。

「ゆっ、このまえのあまあまさんをくれたおにいさん、ゆっくりしていってね!」
「ちゅっきりちていっちぇね!」
「ちゅっくち!」
「ゆぅ~ちゅっくちー!」

頭上の実ゆっくりは目を閉じたままだが、親れいむの”ゆっくりしていってね”に反応していた。
ありすがあんまり「すっきり」と言うものだから実ゆっくりに伝染し「ちゅっきりしていってね!」と覚えてしまったそうだ。

「つがいのありすはどうしたんだい?」

ありすの事を聞かれたれいむは目を伏せて暗い表情を浮かべている。
その目線の先には、ありすのカチューシャがあった。

冬越えのためにありすは一生懸命食料を集めたが、いっこうに落ちてこない実ゆっくりに業を煮やし
気に入っていた実ありすをもぐ事にした。
自分で生まれることが出来ないのなら手伝ってあげればいいと考えたからだ。
もがれた実ありすは柔らかい葉っぱに落ちて、目を開いて赤ゆっくりとなんらかわらない様に見えたが
横向きのままで自分では立つことも出来なかった。
口があっても挨拶はしないし、どんな餌を口に運んでも噛むことも飲み込むことも出来ない。
それでも、ありすが顔を近づけて「すーりすーり」とほおずりをすると、実ありすは「ゆっ♪ゆっ♪」と喜んで
確かに実ありすが生きていることがわかった。
それから、半日もしないで実ありすは萎れてきて、ありすは餌をよく噛んであげて口移ししたりお水を飲ませようとしたが
結局、最後には「ゆ”ゆ”」と苦しそうな声をあげながら痙攣し干からびてしまった。

悲しみに沈むありすは我を忘れて、れいむの頭上にいる他の実ゆっくりももごうとしたため、止めるれいむと揉みあいになり
気がつけばありすは潰れていたという。
ふと親れいむを見ると、実ゆっくりのために過剰に食料を食べていたため太ましく大きい。
連日の餌採りに疲弊して痩せたありすにはひとたまりもなかった事が伺えた。

「おにーさん、またあまあまをちょうだいね!」

このまま、このれいむを放置してもいいが実ゆっくりごと餓死するだけなのは目に見えている。
それでは、もう観察する面白さがない。
先日、捕まえたコンポスト用の赤ゆも替え時なのでコイツを新たなコンポストにしよう。
実ゆっくりのために、たくさん生ゴミも腐ったゴミも食べてくれるに違いない。

「ゆっ、おにいさんはなしてね!れいむがいくらかわいくてもゆうかいしないでね!」

右手でジャンケンのチョキの形をつくり、そのチョキが綺麗にれいむの両目に突き刺さる。
「ゆぎゅ!」

これで少し大人しくなった。



善良なゆっくりの巣は意外にも幸せそうだった。
3匹いた子ゆっくりのうち、口のないまりさと目も口もないれいむは餌を食べることが出来ずにすでに死んでいたが
その分、目の見えないれいむ1匹を可愛がっていた。

「きょうは、寒いからおかーさんたちとくっついてすーりすーりしながら寝ようね!」
「まりさはおちびちゃんのために、葉っぱさんの服をつくってあげたよ!」

「おかーしゃん、すーりすーり♪はっぴゃのふくあっちゃか~い♪」

大き目の葉を、まるで桜餅の様に縦に着ている子れいむ。
成長抑制剤のおかげで体の大きさは一生そのままだが、目が見えずとも親の愛を一身に受けて育っていた。
子れいむにしても生まれたときから目が見えないわけで自分が不幸である事を自覚していない。
だから、自分が幸せなのだと思っていられる。

障害を抱えた子供を殺すに殺せずに苦しみ続けているという状況を想像していただけに
逆に幸せなゆっくり一家を見せ付けられるとどうにも気持ち悪い。
いっそのこと一度、子れいむに光を与えてみるか。
時に希望は絶望への最高のスパイスになりうるのだ。

「ゆっ、この間のおにーさん!」
「おにーさんのおかげで、ひとりだけおちびちゃんを助けられたよ!」
「ゆっくちしていってね!」

こいつらの中では、苦しむまりさを手術して助けてくれた人間という事になっていた。

「その子ゆっくりが心配でね、今日はその目を治しにきたのさ!」

コンポストで育てた赤ゆは今では子ゆっくりサイズになっており、1匹締め上げ目玉をくり貫いて持ってきた。
それを目が見えない子れいむに填め込んでやりオレンジジュースをかける。
眼球の大きさは個体差が少なく、同じれいむ種のものを使えば一応は見えるようになる。
それから小麦粉を溶いてまぶたをつくってあげた。

「ゆっ・・・」
おそるおそる、目を開く子れいむ。
生まれて初めて感じる光
洞窟の中は薄暗いが、それでも子れいむには色とりどりの美しい世界
そして初めて見る親れいむと親まりさ
なにもかもが輝いてそのキラキラしたおめめに飛び込んできた。

「ゆっくちしていってね!ゆっくちしていってね!」

「おちびちゃん、おめめが!おめめがあるよ!」
「とってもかわいいおめめだよ!すごくゆっくりしてるよぉ!」

大きな体でまるで赤ゆっくりの様に洞窟内を飛び跳ねる親れいむと親まりさ
初めての妊娠している事がわかった時にも、こんなに喜んだことはなかった。
その姿を見た子れいむも、一緒になって飛び跳ねたりほほをすり合わせたりして、今確かにゆっくり出来ている事を実感する。
だが、これは一時的なものなのだ。
目が見えるとはいえ、自分の体と完全に同化したわけではなく、この移植された目は死んだままだ。
だから数日もすれば朽ちて腐敗し、また暗闇の世界へと帰ることになる。

あー、ごほんごほんっと咳払い
それから親ゆっくりに説明をした。

「ゆぅ・・・おちびちゃん、また目が見えなくなっちゃうの?」
「そんなのだめだよ!ずっとゆっくりさせてあげたいよ!」
「れいむ、おかーしゃんたちがみえなくなるのいやだよ・・・ゆえぇ~ん」

そこで提案する。

「また、新しい目を移植すればいいんだよ」

他の子ゆっくりの目をくり貫いて、この子に与える。
癒着させるためにはオレンジジュースでなくても水で溶いた餡子でもいい。

「ゆぅ・・・」
「ゆゆ・・・」
「ゆわあぁ~ん・・・おかーしゃんたちみえなくなるのやだよぉお!」

何しろ善良なゆっくりのつがいだ
他人を不幸にして自分が幸せになろうなんて思ったこともないに違いない。
すぐには答えを出せないだろう。
一通りゆっくりの巣を見て回ったし家路につくことにした。

もっとも、自分の幸せではなく子の幸せなら
最後に出す答えは始めから決まっているんだけどね。
だけど、それを選択したら一生続けることになるよ、ゆっくりできない餡子まみれの生活を・・・
なにしろ、その子は一生大人になることがないのだから。





台所の三角コーナーには、冬前に拾った赤ゆが数匹詰まっている。
蓋が閉まるタイプなので、カシカシっと内側から壁を叩く音はしても声までは伝わらない。
しかし、何が言いたいのかはだいたいわかっている。
蓋を開けた。

「れいみゅ、にゃんでもたべまちゅからごはんをくだしゃい、にがきゅてもからきゅてもいいでしゅ」
「なにかまりしゃわるいことしましちゃか?あやまりましゅ・・・あやまりゅのでごはんをくだしゃい・・・」
「ありしゅはくさったにょでもよろこんでたべましゅ・・・おいししょうにたべまちゅから・・・」

3匹ともカビの生えた使いかけの古い石鹸をこね合わせたように緑色やオレンジ色、紫色のグラデーションが外皮に
紋様を浮かべていた。
初日こそ「あまあまよこちぇじじー!」だの「こんにゃのたべるくりゃいならしんだほうがまちよ!」なんて反抗的だったが
結局は餓死の地獄の苦しみには耐えられず、なんであろうと口にした。
目に見えて変色してくると、もはや末期だ。
ゆっくりコンポストは生ゴミを餡子に変化させるから価値がある。
しかし、ここまでくると生ゴミを食べても生ゴミを排泄してしまうのだ。

「釈放だよ・・・」

彼らに向かってニッコリっと満面の笑顔を見せてそう告げた。
不要になっても潰したりはしない。
よく働くように希望を持たせるため刑期を終えたら自由にしてやると約束をし、キチンとそれを守る。
素手で掴むと異臭のする汁が肌に触れてしまうため三角コーナーごと庭に持っていくとひっくり返して外に捨てた。

「おうちかえりゅよ・・・れいみゅ・・・みゃみゃにあいちゃいよ・・・れーみゅしゅーりしゅーりしちゃいよ・・・」
「まりしゃのおかーしゃん・・・ゆっくちちていっちぇね・・・まりしゃこれからおうちかえりゅよ」
「ありしゅ・・・もっとゆっくち・・・しちゃか・・・ゆ”ゆ”ゆ”ゆ”」

ずりずりとナメクジの様に這って進む赤ゆども。
腐敗物だろうとカビだろうと何でも好き嫌いなく食べれる彼らは道の草だろうと犬の糞だろうと食べて餓死を免れ
本当に親元まで帰れるかもしれないな。
親がこいつらを見てどういう態度をとるかは知らない。
思い出は、きっと思い出にしておいたほうが美しいんだろう。


「ここはどこなのぉ!せまくてゆっくりできないよ!」

円筒タイプのゴミ箱の底に設置した生まれない実ゆっくりを生やしているれいむが目を覚ました。
とりあえず一週間前に食べ残した弁当箱の中身を捨てよう。
食べなくてもかまわない。
それが二週間前の食べ残しになってから餡子になるだけのことさ。

「くしゃいぃー!こんなのたべれるわけないでしょ!ばかなのしぬの?あまあまもってきてよね!」

蓋を閉めると、内側をガシガシと叩く音だけが響いていた。



おまけ

子まりさ1匹が帽子一杯に貯めた食料などたかがしれていた。
それに加えて狩をまりさにまかせっきりだったれいむは冬越えのための食料を節約しないといけないという事もわかっていなかったので
親れいむ、赤まりさ、赤れいむ3匹でお腹一杯に食べれば3日で尽きてしまった。
それから、死んだ子まりさの餡子をむさぼり
それも尽きると今度は親れいむが赤まりさに噛り付き、赤まりさを食料にした。

「それもこれもまりさがわるいんだから、まりさがせきにんとってね!」
「まりしゃがたべられればいいんだよ!」
「ばーきゃ!ばーきゃ!」
「ひとりだけちがうこなんてゆっくちできにゃいよ!」

「いちゃい!やめちぇね!まりしゃはおかーしゃんのあかちゃ・・・ゆ”ゆ”ゆ”ゆ”ゆ”ゆ”ゆ”」

どれくらい時間が流れただろうか
その赤まりさを食べつくした頃、突如入り口を塞いでいた枝や葉が取り除かれて
冷たい風が吹き込んできた。
親れいむはお帽子のシルエットに、まりさが帰ってきたんだ!
反省して、やっとみんなのごはんを採ってきて帰ってきたんだと思った。

その影が近づいてくると、成体よりもはるかに大きいまりさであることがわかり別人であることに気づく。
つづいて、同サイズのれいむが入ってきた。

「ごめんね、まりさのおちびちゃんのためにおめめをちょうだいね!」
「ていこうしなければいのちまではとらないよ!ほしいのはおめめだけだよ!」

その年、冬篭りが終わると
目を失ったれいむ種ばかりが巣穴から這い出てきたので人間たちはその森が呪われていると恐れ
結果的に、以後数年に渡りゆっくりたちを脅かす者がいなくなり
やがて、ゆっくりプレイスと呼ばれるようになったそうな。




「れいぶ・・・なんでもたべますから・・・ごはんをください
くさっていても、にがくてもおいしそうにたべます・・・どうかどうかあかちゃんのためにもごはんをください・・・」

「ゆぅ・・・」「みゅ~・・・」「ちゅっきり・・・」










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作者:まりさ大好きあき

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最終更新:2009年02月24日 19:47
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