ゆっくりいじめ小ネタ361 ホームビデオ

【ホームビデオ】



リモコンのスイッチを入れると、ゆっくりの家族が現れる。

「おちびちゃんたち、ごはんのじかんだぜ!!」

「きょうのごはんは、あまあまなくっきーさんだよ!!」

父まりさ、母れいむが呼びかけると
おうちの周りで思い思いにゆっくりしていた子供達が
いっせいにあつまってくる。

「ゅぅ~、とっちぇもゆっくちできしょうにゃくっきーしゃんだにぇ!」

「おかあしゃん!くっきーしゃんはゆっくちできりゅ?」

「ゆゆっ!そのあかいぜりーさんがのってるのはまりしゃのだじぇ!!」

「ゆゆっ、じゅりゅいぜっ!だったらそっちのちょこさんがはいっちぇるのはまりさによこすのぜ!!」

押しあいへし合い、色とりどりのクッキーを分け合う赤ちゃんたちを
「たくさんあるから」と優しくすりすりして、優しく見守る親ゆっくり達

その幸せな団欒を、暖かい家族の幸せを

血走った眼で、涙とうめき声をもらしながら

冷たい硝子の壁にかぶりつくように貼り付いて凝視している

一匹の赤まりさ

この物語の主役である



  *   *   *



「まりしゃはまりしゃです
ゆっくちきれいなおかあしゃんと
おぼうちのすてきなおとうしゃんのあいだにうまれた
とってもゆっくしちしたまりしゃです。」

教えたとおりに自己紹介を終えた赤まりさに
撮影しながら手振りで指示を出す。

貼り付けた笑顔のまま、赤まりさは
『ぽてん』と間抜けな音を立てて、後ろ向きに体を倒す
俺がまわしている撮影用のビデオカメラには底面の部分が映る格好になる
僅かな操作でまりさの底面に、ズームをかける。

「まりしゃは……
おとつい〝あし"をやかれました
みえましゅか?まっくろにやけて、
もうはりさんをさされても
ちっともいたくありましぇん
とんだりはにぇたりできましぇん
…『おこしちぇくだしゃい』」

打ち合わせどおり
自力で起きられないまりさをおこして
頭にちょこんと帽子を載せてやる。

ズームはそのまま、今度は帽子をアップで写してやる

「こんどはおぼうちをみちぇくだしゃい
このおぼうちは、とくべつせいでしゅ。」

そうして、カメラを横に動かしてやり
この世の物とは思えない
断末魔の絶叫をあげた姿のまま
帽子の無いまりさの死骸を
まず全体像で、数秒アップで写し
またカメラを赤まりさに戻す。

「みえましちゃか?
あのまりしゃが【えいえんにゆっくち】すりゅとき
おぼうちがないままだとかわいそうだから
まりしゃのおぼうちを、かち…かちて、かちてあげまちた。」

生まれつき持っている帽子に
ゆっくりの嫌う死んだゆっくりの匂いを染み込ませてあるわけだが
ビデオを見るゆっくりには、この匂いは伝わらないのが残念だ。

何度も行ったリハーサルでは、ここでなんども赤まりさが挫けてしまい
泣き喚いて暴れて、上手くいかなかったが
本番の今日はうまくいっている、とてもいい事だ。

ズームアウトして、まりさの全体像が写るように調整してやる。

「おとうしゃん、おかあしゃん
れいみゅおねえちぇん、まりしゃたちとれいみゅ
まりしゃはきょうまで、じぇんじぇんゆっくちできない
いたくて、くるしいゆんせいをおくっちぇきまちちゃ。

『でも、それもきょうまで』」

まりさの台詞に合わせて、一度カメラを置いて
壊れ物を扱うように両手で丁寧にまりさを運んでやる。

運ばれている間、まりさは一言も喋らず
貼り付けた様な笑顔で、ただ細かく身体を震わせていた。


  *   *   *


画面が変わって、撮影を再開する

ふたたびカメラを向けられたまりさは
円筒状の硝子ケースの中に納まって
笑顔のまま、俺の合図を待っている。

手振りで促す。

「まりしゃは、まりしゃです
ゆっくち、きれいなおかあしゃんと
すてきな、すてきなおぼうしのおとうしゃんのあいだにうまれた
とっでぼゆっくじちしたまりしゃです。」

少し台本から外れるが、許容範囲内なのでそのまま通す。

「おがおの〝かわ"を…はりかえられちぇ
ずっとえがおのまりしゃでしゅ。」

眼に見えて震え、口ごもる事が多くなってきた。
腕時計を確認して、腕を回して合図する。

『巻け』

「っ、……まりしゃは、きょうしにましゅ
えいえんにゆっくりしましゅ、さきだつ、さきだつふこうを……

い゛やじゃ、い゛やじゃ、い゛やじゃいやじゃいやじゃああ゛あ゛あ゛あ゛あ゛゛!!!!!

し゛にち゛ゃく゛にゃい゛しに゛ちゃ゛く゛にゃい゛しにち゛ゃ゛くにゃ゛い
しにち゛ゃく゛にゃ゛い゛゛しにち゛゛ゃく゛にゃい゛しにちゃく゛にゃい゛
し゛にち゛ゃくに゛ゃい゛しにち゛ゃく゛にゃい゛しに゛ちゃくにゃい゛
しにちゃくにゃいしにちゃくにゃいしにちゃくにゃい
しにちゃくにゃいしにちゃくにゃいしにちゃくにゃい
まりちゃはしにちゃくにゃいよ、まりちゃは
まりちゃも、まりちゃはずっどいだがっだんだっ!!!
ゆっぐじじだい、ゆっぐじざざで!!だずげでおがあじゃん、おどうじゃん
おねえしゃん、まりちゃ、れいみゅっ!!!おねがい、おねがいぢゃがらあああああ!!!」

「……はぁ」

折角苦心して、赤ゆっくりに
長台詞を叩き込んだと言うのに
結局最後はこうなるのか…

どっとつかれた、まぁこれはこれでクるものはある。

まりさの入った硝子の円筒、ミキサーに手を伸ばし
ボタンを操作して、回転を開始する。

「ぎゅっ、びぇっ!!やびぇ!!………ゆぎぃ!!!」

一瞬勢い良くまりさを跳ね上げて、底部に刃を刺さらせた物の
ガリガリと音を立ててミキサーの刃が、中途半端にしか回らない。

「…?」

様子がおかしい、ファンが何かを噛んだように詰まって動かない
どうやら機材の故障らしい、まったく…最後の最後にケチがつく。

テーブルの上にカメラを設置して
ボールペン片手にまりさのもとに向かった。


  *   *   *


いだい、いだいいだいいだい、いままでもゆっくりできなかったが
きょうのこれはほんとうにゆっくりできない

【えいえんにゆっくりする】なんて、きれいごとだ

まりしゃは、しんぢゃうんだ。

まりしゃのなかにつまっている、あんこしゃんの
いちばんだいじな〝いのちのあんこ"しゃんに

なんどもさされたはりしゃんよりも、
ずっとおおきいなにかがささってるのがわかりゅ。

「じぬぅ…じんじゃう…ぢにだぐないぃ…」

こんなところぢぇしにちゃくない、ゆっくりしちゃい
なまごみしゃんいがいのものをたべちゃかった

あのときいもうちょまりしゃがちゃべていた
あかいぜりーさんがのっていたくっきーさん

ばりしゃもちゃべだがっちゃ。

みんなのすがたをさいごにみちゃいなんて
いわなければよかったなぁ…

あんなしあわしぇーそうぢゃなんちぇ、おもわなかっちゃ。

じぶんのことなんて、おぼえていないんだりょうなぁ…

あんなおいしそうにゃくっきーさんも、たべきれないからって

〝おのこし"するなんちぇ、もっちゃいなくてしんじりゃれない。

まりしゃがさいごにちゃべちゃのは、にゃんぢゃっけ?

たまごのからしゃん、まちゃたべちゃいなぁ…


ガポ


「ゅ、ぅ…?」

あ、ああああああああ

あけちぇくりぇた、たしゅけて、ここはいやぢゃ、しんじゃう

たしゅけちぇ、たしゅけちぇよ、だれかまりしゃをたしゅけ



「ッチ…、面倒だな」

ガッガッガッガッガッガガガガガガガガ



いじゃい、やべで、

ざさないぢぇ、ゆっくりできない、
しぬ、しね、
なんぢゃこ
んにゃことすりゅの、そんななんどもささないぢぇ、あなが
まりしゃにあながあいちぇるよ、あんこしゃんでぢゃ

うよ、いちゃいくるしい!!!!!!

「あああああああああああああああああああああああ!!!」

ゆっくりじたいゆっくりじたいゆっくりゆっくりゆっくりゆっくりゆっくり――――


――――ブツッ


  *   *   *


最後の絶叫を上げながら、引っ掛かりが取れたミキサーが突然唸りを上げ
一瞬で赤まりさを餡子のペーストにしたところで、ビデオは終った。

「以上が、お前達の探していた娘の最後だ」

「ぁ……、……ゅあ?」

「な、な゛ん゛な゛の゛ごれは゛ぁぁぁぁぁぁぁ゛ぁ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ!!!!!」

放心するまりさ、絶叫するれいむ、失神した赤ゆっくりたち。

今は食後のゆっくりの時間
大事な話があるから、と見せたビデオが
家族から、しあわせな団欒を完全に奪い去った。

「で、今日の昼飯がさっきの赤まりさだ。」

「うぞだぁ!!!」

意識を取り戻して狂ったように髪を振り乱すまりさ
帽子に輝くゴールドバッジがちぎれんばかりに揺れている。

番のれいむも同じくゴールドバッジだが、いまは普段のしとやかさも忘れて
崩れたような表情で、痙攣しながら体の中のものを吐き出している。

致死量の餡子は吐けないように品種改良されているが
それにしても凄まじい惨状だ。

俺は後ろ手にゆっくりと、ビデオカメラを取り出して

次のビデオの撮影に写った。


by古本屋

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最終更新:2009年02月22日 00:10
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