ゆっくりいじめ系2200 街はゆっくりできない

 *警告*

  • 現代物です。
  • ゆっくりは何も悪いことをしていませんが、ゆっくりできません。
  • 80字改行です。その辺案配していただけると読みやすいです。



↓以下本文



「ゆっしょ! ゆっしょ!」
「おかーしゃん、ゆっくちがんばってね!」
 路地裏で事業者ゴミの袋がガサガサと音を立てていた。バスケットボール大のゆっくり
れいむが袋にかじりつき、まんじゅうボディをもにゅんもにゅんとくねらせ、不気味な踊
りを披露している。まわりでは何匹ものテニスボール大の子れいむが騒ぎながら、ぽいん
ぽいんと跳ねている。手足のないゆっくりではかたく縛られたゴミ袋の口をほどくことは
できない。中身にありつくためには、決して容易いことではないが自治体指定のゴミ袋を
なんとしてでも食い破る必要があった。
「ちっ、野良ゆっくりかよ……ウッゼぇ」
そこへ見事にでくわしたのが、休憩時間に一服つこうと出てきた店の若い者。露骨に顔を
しかめてタバコをポケットにねじ込むと、ゴミ袋に夢中で彼に気付かない親れいむのこめ
かみに、つっかけを深々とめり込ませた。
「ゆ゙ぼっ?!」
「おー、柔らけぇ」
白目をまん丸に剥いたまま、電信柱と情熱的な抱擁を交わす親れいむ。ごちそうまであと
一息というところで吹き飛んだ親れいむに、子れいむも仲良く一斉にゆがーんと白目で硬
直。ゆっくりは突然のゆっくりできない事態が認識できず、白目を剥いて固まってしまう
性質がある。そして、再起動までには若者がポリ袋を取って戻ってくる時間はゆうにあっ
た。彼は、応援していた位置そのままに一列に並んだままで固まっている子れいむを手づ
かみで次々に袋に放り込んでいく。向かいの電柱とめり込むほど親交を深めている親れい
むのもみあげを掴んで引き剥がすと、ゆっゆっと楽しい顔で痙攣している不思議まんじゅ
うをしばし眺めた。下膨れの顔は電柱との不本意な接近遭遇によって、平べったく潰れて
赤く跡がつき、器用にも目をぐるぐる模様にして目を回していた。
「でけぇ。二袋いるか」
若者は親れいむを別の袋に放り込んで口を縛って放り出すと、放り込まれた衝撃で気が付
いたのか、中で子れいむがはね回りはじめたもう一つの袋の口も手早く結ぶ。きちんと縛
っておかなければ、潰したときに中身のあんこが漏れて、地面が汚れてしまう。ゴミを撒
き散らすのダメ、ゼッタイ。
「めんどくせえなあ。昨日だったら燃えるゴミの日だったのによう」
彼は袋の中で寄り集まり、口々にゆっくりしていってね! と鳴き声をあげる子ゆっくり
を睨み付ける。歩いていて、まだ火のついているたばこが落ちていたらとりあえず踏み消
すようなもの。都市部の野良ゆっくりの扱いは、その程度だった。
 やれやれ、と息をつくと若者はまずは潰すのも楽な子ゆっくり袋に足を向けた。
「ゆっくちちていってね!」
 これから自分たちに起きることを理解していない子ゆっくりは、若者を見上げて鳴き声
をあげる。ゆっくり間であればとてもゆっくりできる挨拶も、しかして人間相手には何の
感慨ももたらすことはない。当然帰ってくるはずのゆっくりしていってね、の代わりに、
子れいむに返されたのは、硬質ゴムの靴底であった。子れいむは不思議そうな顔のまま、
中身を全て押し出されて平たくなった。
「ゆ゙ぎゃああああ?!」
若者が面倒そうに靴底をぐじぐじと捻ると、僅かに残されたあんこで断末魔の痙攣をして
いた子れいむの皮も破れてあんこと混ざり合い、髪も飾りも混ざって、一息のうちに餡塊
となった。ここにきてやっとゆっくり姉妹も自分たちの運命に気付き、ポリ袋の中で跳ね
回りはじめる。しかし、どれだけ必死に逃げ回ろうとも、ポリ袋は透明で外が透けて見え
ても逃げ場はなく、口もきつく結ばれて逃れることはできない。
「にんげんさん! ゆっくりやめてね! ゆっくりできなくなっちゃうよ!」
「ゆゆっ! なんにもないのにひっかかってにげられないよ!」
砂糖水と餡子で滑る袋の中、一番小さな子れいむがぽてりとひっくり返る。若者はこれ幸
いと、無防備な底を晒して動けなくなっている子れいむを踏みつける。
「なかみだしちゃだめだよ! ゆっくりがんばってね!」
「みんにゃでたしゅけるよ!」
「ゆ゙……ゆ゙ぶ、ゆ゙ぼ……!」
圧迫されて飛び出しそうなあんこを、必死に目をつむり、口をつぐんで押しとどめようと
する子れいむ。妹を救おうと、姉妹は若者の足にぽにゅんぽにゅんと体当たりをはじめた
り、靴底を押し上げようとするものの、内圧で薄くなった皮は姉妹の目の前でぱぁんと爆
ぜ、袋に盛大にあんこが飛び散った。
「ゆああああ?!」
「どうしてこんなことするのお!?」
「おかあしゃん! ゆっくりたすけてね!」」
「ゆゆっ?! おちびちゃん、いまたすけにゆべしっ!」
子れいむの悲鳴に通ずる物があったのか、目を回していた親れいむが柔らかまんじゅうボ
ディを左右に振りながら飛び起きた。あんこで汚れたポリ袋と中で跳ね回る可愛い子れい
むに気付き、勇躍飛び出すものの、親れいむもまた袋の中。一跳ねで盛大に顔面からアス
ファルトと仲良くなることとなった。
「にんげんさん、ゆっくりやめてね!」
 妹れいむをかばうように、年かさの子れいむがぷくぅと膨れて威嚇する。それが功を奏
してか、若者は足を止めた。もちろん、それはゆっくりの威嚇によるものではない。
「おはようございまっす」
「おう、お疲れ!」
足を止めて挨拶する若者に、えびす顔の男が片手を上げて勝手口へ入っていく。野良ゆっ
くりの生死など、だれも気にもとめない。当然命乞いに耳を傾ける者もいない。姉れいむ
は膨れたまま一息に踏み潰され、中のあんこを全て吐き出した。そのままにしていては、
生き残りがあんこを中に押し戻して蘇生させてしまう。若者は靴底で皮を踏みちぎり、飾
りと混ぜて妹思いの子れいむをきっちり、あんこの塊へと変えた。

「あの、すみません……」
 震える子れいむを踏み付ける若者は、その声に足を止めた。肩越しに見やれば、若い娘
が先ほどの親れいむの袋を手にしていた。親れいむは袋の中で飛んだり跳ねたり、滂沱の
涙の砂糖水で滑って転んだり大騒ぎ。
「そのゆっくり、どうなさるんですか?」
「普通に潰して燃えるゴミですけどー」
「どぼじでそん゙な゙ことい゙うの゙お゙!」
袋の中でわめく燃えるゴミに構わず、若者は足に力を入れ、燃えるゴミを製造する。ごは
んが足りなくても、がまんして妹に多めに食べさせていた姉れいむも、あっという間にあ
んこ玉。袋の底があんこで埋まりはじめ、跳ねた拍子にあんこで滑ったその下の妹れいむ
も、仲良く姉妹と混ざり合う。
「よろしければ、そのゆっくり頂けませんか」
「えぇえ、こんなのを?!」
「え、ええ」
驚いた若者は、思わずあんこに埋まる残骸を念入りにすりつぶしていた足を止め、顔をあ
げて向き直る。おとなしそうな顔だちの娘は、恥ずかしそうに頷いた。このご時世、ゆっ
くりが欲しければ、デパートでもスーパーでも、食品コーナーでいくらでも売っている。
ゆっくり加工品も、置いていないコンビニの方が珍しいくらい。上品そうな身なりの娘が
野良ゆっくりを何のために欲しがるというのだろうか。若者は呆気にとられ、娘をまじま
じと見つめる。娘はバッグの紐をつまんで位置を直す。
「あちゃー、まさか野良ゆっくりなんざ欲しい人がいるとは思わなくて……ほとんど潰し
ちまいましたよ。すいませんねえ」
「いえいえ、とんでもないことで。この大きいのだけでも頂いてよろしいかしら?」
「こんなんでよければいくらでも。はは、その辺這いずり回ってるおまんじゅうはさすが
に喰えたもんじゃありませんからねえ」
「でいぶはたべものじゃないいい!」
若者はしゃがみ込んで、袋の中身をつっかけの先で蹴ってあんこを散らす。生き残りの一
匹も、姉妹を襲った残酷な運命にあんこを全て吐き出して永遠にゆっくりしていた。
「あちゃ、こっちは全部潰れてました。すいませんね」
「ではありがたく頂戴いたしますね」
「ええ、どうぞどうぞっと」
若者に頭を下げると、娘は親れいむの袋を提げて歩いていった。若者は袋の口をきつく縛
り直し、念入りにつっかけの底でまんじゅうの皮をすりつぶす。少しでも息があると、次
のゴミの日までゆっくりゆっくりうるさいから。
「やれやれ、野良ゆっくりなんざ欲しがる奇特な人がいたもんだ。あれか、おかしい人な
のかね。綺麗なのにもったいねえなあ」
あんこで一杯のポリ袋をゴミ集積箱に放り込むと、若者は勝手口から戻っていった。結局
彼はゆっくりのせいでせっかくの休憩もほとんどゆっくりできなかった。


「ゆ゙っ、ゆ゙っ、でいぶのおちびぢゃんが……」
「さ、ついたわよ」
とさりと袋詰めを三和土に落とし、娘はだばだば砂糖水を垂れ流すれいむに微笑んだ。
「ゆゆ……ここはおねえさんのゆっくりぷれいす?」
「そうよ、わたしのおうち」
「れいむもゆっくりしたいよ……」
「でもあなた汚いわ。奇麗にしましょうね」
「ゆっ?!」
バッグとれいむを置いて、娘は手早く部屋着に着替えて戻ってくると、袋ごとれいむをお
風呂場に運ぶ。水温を軽く確かめ、れいむに頭からシャワーを浴びせる。
「ゆやああああ! みずさんはゆっくりできないよ!」
「だいじょうぶ、これは人間がとってもゆっくりできるものよ」
水流に怯え、白目を剥いて硬直するれいむに構わずたっぷり濡らすと、ゆっくり用シャン
プーで泡まみれにしていく。
「あわあわあわあわ、いいにおい! くすぐったいよ!」
「いい子だからあばれないの」
ゆっくりの不思議まんじゅうボディは、お互いに舐めたりす~りす~りするだけで汚れが
取れるが、野良ではどうしても汚れや臭いが残るもの。でも、信頼のお兄さん印、鬼意製
薬のゆっくりシャンプーはガンコな汚れもこんなにすっきりー! 
 温かいシャワーで泡を流され、れいむはプルプルと水気を飛ばす。ゆっくりできない雨
とは違って、こんなにゆっくりできる温かな水は、野良ゆっくりのれいむには未知の存在
だった。
「こぉら、あばれちゃだめよ」
「ゆ、ゆっくりー!」
すすぎ終わってふわふわタオルで包まれ、野良のれいむは生まれて初めてのゆっくり体験
に、白玉の目玉を輝かせて歓喜のゆっくりを上げた。
「乾くまで少しおとなしくしてなさい」
「ゆっくりするよ!」
タオルでぐるぐる巻きにされ、端を洗濯ばさみで止められた塊がもごもごと声をあげる。
脱衣場にれいむ包みを置くと、娘は部屋着を放りだして、豊満な肢体を惜しげもなく晒し、
野良ゆっくりで汚れた手を、水の跳ねた身体を丁寧に洗い清めていく。文字でしかお見せ
できないのが残念である。
「ふう、さっぱり」
「れいむもすっきり!」
 湯上がりの娘は洗い髪を乾かしながら、れいむに一切れ、バウムクーヘンを切り分けた。
「むーしゃ、むーしゃ……しっ、しあわせーっ!?」
アスファルトを割って生える雑草やゴミ箱を荒らしてきた野良ゆっくりのれいむには、そ
れは全く未体験の味だった。そのあまあまは、もはや暴力的と言っても過言ではなかった。
感動に打ち震えているれいむにもう一切れ、自分の皿にも一切れ切り分ける。カップを手
に取り、娘は紅茶の香りをしばし楽しむ。
「おねえさん……」
「なあに、もっとほしいの?」
「おちびちゃんたちもゆっくりさせてあげたかったよ……」
「そう、それはとても残念だったわね」
娘も長いまつげを伏せ、紅茶のカップをソーサーに戻す。かちり、と硬質な音がひどく酷
薄に響いた。
「そろそろ暗くなるわね。さ、おうちに帰りなさい?」
優しい声色はそのままに、娘はれいむを持ち上げた。柔らかな両手に挟まれ、れいむは目
を見開き、じたじたと暴れはじめた。一度体験したゆっくりを、はいそうですかと手放せ
るゆっくりがいようはずもない。
「ゆっ、ゆゆっ! おねえさん! れいむもおねえさんのおうちでゆっくりしたいよ!」
「だぁめ。ここはわたしのおうち。あなたにはあなたのおうちがあるでしょう」
「おそとはゆっくりできないよ! れいむもゆっくりさせてね!」
その言葉に、娘はころころと鈴を転がすように笑う。震える手で挟まれたまま、れいむは
大量の疑問符を浮かべ、娘の顔を見上げる。
「ゆっ、ゆっ? おねえさん、どうしてわらってるの?」
「お外は寒いし、夜は怖いわね。人間はあなたたちをゴミとしか見ていないわ。野良犬も、
野良猫も、鼠も、鳥も、蟲も。何もかもがゆっくりできないでしょう。この世界のどこに
行こうと、あなたたちゆっくりのゆっくりプレイスなんて存在しないものね。でもダメ」
満面の笑みを浮かべる娘に、目の幅で涙を流し、もみあげをぴこぴこさせ、おりぼんをぴ
るぴる動かし、れいむは可愛らしさを必死でアピールする。
「でいぶはゆっくりしてるよ! おうたもじょうずにうたえるよ! おねえざんのおうぢ
で! ゆっくりざぜでぐだざいい!」
その言葉に、娘は手を離し、腕を組んで、頬に指をあてて首を傾げる。ぼてっ、と転げ落
ち、期待に目を輝かせるれいむ。屈むと重たげにたゆん、とする胸に飛びつこうとするれ
いむを手の平で押しとどめ、娘はにっこり微笑んだ。
「あと七回お日様がのぼって、あと七回お日様が沈んだら、また今日みたいにお風呂で奇
麗にして、あまあまも食べさせて、ゆっくりさせてあげる」
「ゆ゙っ?!」
れいむを抱え、娘は薄ら寒い扉の外へ向かう。冬の風が娘の髪をひょうと煽る。夕暮れの
風の冷たさに、形の良い唇の端を釣り上げ、れいむの髪を撫でて微笑む。たった一撫で。
そのあとはコンクリートにれいむを置いて娘は踵を返す。
「寒いわね。明日は雨かしら。きっとずっとゆっくりできないわね」
「ゆ、ゆ、ゆ」
ぴしゃり、と扉が閉まる。れいむが何度体当たりしても、軋みさえしなかった。吹き抜け
る冷たい風が、れいむのゆっくりを奪っていく。お風呂を知ってしまったら、水浴びのた
びに思いだしてゆっくりできなくなることだろう。人間のお菓子の味を覚えたら、何を食
べてもゆっくりすることはないだろう。ふかふかのタオルの感触を思いだして、寝床でも
ゆっくりすることはできないだろう。
「ゆっくりできないよ……おちびちゃん……まりさ……」
狩りへ行って二度と戻ってこなかったまりさとのゆっくりの証。ささやかなしあわせー、
を分かち合った可愛い子ゆっくりたちはもういない。冬の夕陽がアスファルトに影を投げ
かける。やがて、丸い影が、ぽいん、ぽいんと力無く跳ねて路地裏へと消えていった。








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その他 ゆっくりの手引き
ゆっくりいじめ系1097 アストロン
ゆっくりいじめ系1014 どすのせいたい
ゆっくりいじめ系1907 品評会
ゆっくりいじめ系2137 朝の光景
ゆっくりいじめ小ネタ259 緩慢しんぼ



これは野良犬や野良猫への餌付けや、構って捨てる行為を推奨するものではありません。
フィクションのゆっくりと現実の動物を同一視しないでね! 
虐待おねえさんとの約束だよ!

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最終更新:2009年02月24日 19:01
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