ゆっくりいじめ系2124 お帽子

※オリ設定の垂れ流し





ある日、俺は最近庭先でよく見かけるゆっくりまりさにずっと気になていたことを尋ねてみた。

「なあ、まりさ?」
「ゆぅ?なあに、おにいさん!」
「お前ら、なんで帽子がないとゆっくり出来ないんだ?」
「ゆっくりできないものはゆっくりできないんだよ!ゆっくりりかいしてね!」

まあ、なんだ。予想通りの回答だな。
しかし、こんなところでめげるくらいなら最初から質問なんてしない。
と言う訳で・・・俺はさっさとまりさを回収すると帽子を引っぺがし、透明な箱に放り込んだ。
誤解の無いように言っておくが、透明な箱に入れたのはお帽子のほうである。
まりさは飼育用のケージにでも放り込んでおこう。

「ゆゆっ!おにーさん、まりさのおぼうしさんかえしてね!」
「やだ」
「ゆえーん!どうしていいじわるするの!?」
「知的好奇心」
「はやくおぼうしさんかえしてね!ぷくうううううううう!!」

まりさは飼育ケージの中でぷくぅ!と頬を膨らませている。
が、当然怖くもなんともない。
その日は、まりさのケージにゆっくりフードを置いて、とっとと眠りについた。



翌朝。
目を覚ました俺がまりさの様子を見ると、とても気だるそうにしていた。

「どうした、まりさ?」
「お、おにー・・・さん。はやく、おぼうしさん・・・かえしてね?」

昨日のように声を張り上げることも荒げることもせず、今にも泣き出しそうな表情で懇願するまりさ。
しかし、ここでやめるくらいなら最初からこんな実験はしない。
もちろん、個体識別の話は俺も知っているが、日頃単独行動で身よりもないらしいこいつにどれほどの意味があるのか?
今、俺が知りたいのはその他にもゆっくり出来なくなる要因があるのではないかという話だ。

「なあ、まりさ?」
「ゆっ・・・おぼうしさん、かえしてくれるの?」
「それはない。ところで、この家には俺とお前しかいないのにどうして帽子がないとゆっくり出来ないんだ?」
「そんなのわからないよ・・・でも、おぼうしさんがないとゆっくりできないんだよ・・・」

まあ、ゆっくりの言語能力じゃあ聞き取り調査は無理か。
こいつらに自分たちの成り立ちを科学的に解明しようなんて意欲があるとは思えないし。
そもそも、こいつらには科学って概念が存在しやしないのだから。

「そうか。じゃあ、調査は続行だな」
「ゆぅぅぅ・・・おに゛ーざぁん、おでがいだよぉ・・・ばりざ、ゆっぐぢしだいよぉ・・・」
「知らん」

取り合えず餌だけおいて家を出た。
帰宅後も簡単な聞き取りと観察、餌の世話だけしてさっさと布団にもぐりこんだ。



更に翌朝。
今日も今日とてまりさの様子を見てみると、目に見えて衰弱していた。
いや、衰弱とは少し違うかもしれない。人間の作ったフードを食べているまりさの肌はもちもちである。
髪も目も、明らかに野生に居たころとは比べ物にならないほど健康的で美しくなっている。

「ゆぅ・・・お、おにぃ・・・さん?」
「ゆっくりしていってね」
「ゆっ・・・ゆっくり、していってねぇ・・・」

が、こんな状態になってもゆっくりとしての本能は失われていないらしい。
まあ、そのうち慣れるだろう。そう判断した俺は餌をおいて今日もさっさと家を出た。
まりさはずっと・・・

「おぼうしさぁん・・・」
「おぼうしさん、ないと・・・ゆっくりできないぃ・・・」
「ゆっくりしたいよー」
「おにぃさぁ・・・ゆっくりさせてよー」

などと涙をぽろぽろこぼしながら力なく呻いていたが、構うことはしなかった。
そして、これが俺とまりさの最期の会話になった。



「まりさ?」
「・・・・・・・・・」

家に帰った時、飼育ケージの中にはまりさの姿がなかった。
代わりにケージの中にはバスケットボール大の饅頭がひとつ。もちろん、口も顔も見当たらない。

「ふむ・・・?」

なんだか良く分からないが、取り合えず俺はそこにあったでかい饅頭を切ることにした。
でかくて面倒臭かったが、所詮は饅頭。これといった苦労も無く真っ二つ。
中はいたって平凡な餡子があるだけだった。
唯一つ、平凡でないところを上げるとすれば、大きな空洞が一箇所存在することくらいだろう。

「これは・・・まりさの口のあった場所か?」

じっくりと観察を続けて、その空洞は間違いなく元まりさの口であると確信した。
付け加えるならば、この饅頭がまりさであることも同時に確信した。

「・・・もしかして」

ある結論に至った俺はずっと箱に封印しておいた帽子を持って来た。
そして、少し萎れてしまってはいるが別段異常はないそれは、元まりさの饅頭の乗せてみる。
もちろん、2つに分けた切断面をくっつけた状態で(ただし、面倒だったので小麦粉による修復は無し)。
すると、帽子はみるみるうちに瑞々しさ?を取り戻した。

「おおぉ!?」

それからおよそ1分後。
いつの間にか巨大饅頭には目と口が出現し、一瞬にして髪が生えてしまった。
それは紛れも無くあのまりさだった。

「ゆゆっ!ゆっくりゆぎゃああああああああああああああああああああああああああああああああああ!!?」

そうして復活したまりさは、挨拶を済ませる前に絶叫した。
そして、「もっとゆっくりしたかったよ・・・」とだけ言い残して永遠のゆっくりへと旅立っていった。
・・・きっと、切断面を修復しなかったのが死因なのだろう。まりさ、ごめん・・・。



その後、仕方ないので帽子を自分で被ってみたが、これといった変化は見られなかった。
他にも犬や牛、キャベツにも被せてみたが、やはりこれといった変化は無い。

「なんなんだろうな・・・この帽子?」

何にせよ、調べても面白い結果は得られなさそうだ。
そう思った俺は、玄関先のバスケットボールの上にそいつを乗っけておいた。

「・・・・・・おいおい、マジかよ」

数分後、玄関先から物音が聞こえてきたので様子を見に行ってみると涙目になっているバスケットボールそっくりのまりさの姿があった。

「ゆっくりしていってね」
「んんっ・・・・・・・・・!」

どうやら、饅頭と違って硬いバスケットボールでは思うように喋れないようだ。
それに、硬さと丸みのせいで思うように動くこともままならないのだろう。
口同様に思うように開くことの出来ない大きな双眸から、助けてくれといわんばかりに涙が溢れていた。
どうして口から空気が抜けないのかは・・・もう考えるのが面倒臭かったので突っ込まない事にした。

その後、更に色々調べた結果、ゆっくりの飾りはある程度の丸みを帯びた無生物限定の寄生生物であることが判明した。
ただし、記憶のほうは寄生先に宿るらしく、バスケットボールまりさは俺のことを覚えていはいなかった。



‐‐‐あとがき‐‐‐
このネタはユユー氏の『飾ゆ』を読んだ時に閃いたネタです。
氏にはこの場を借りてお礼を申し上げさせていただきます。

実はお帽子は元々はどこか別の星の無機生命体に寄生する生き物。
それが何の因果か地球に来ることになってしまい、環境への適応を余儀なくされる。
有機生命体には何故か寄生できず、無機生命体より栄養価の高い有機物でも流石に生涯分の糧にはならない。
そんな中で編み出された生存の為の策が・・・有機物を擬似生命体にすることで栄養を溜めさせるというものだった!
ゆえに現在地球にいるお帽子には「有機・無機を問わず無生物に寄生し、擬似的な生物にする」能力が備わっている。
なんてイミフな裏設定は特にない。

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最終更新:2009年02月03日 21:52
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