ゆっくりいじめ系1820 踏みにじられたシアワセ

※これまで数多のSSを読んできた虐待お兄さんにとっては、これまで腐るほど見てきた有象無象のゆっくり悲劇のうちの一つにすぎません



「ゆっ、ゆっ♪」

人気も動物の気配も殆どない森に、二つの動くモノがあった。

「ゆっくり〜♪」

不思議ナマモノ。動く生首饅頭、『ゆっくり』である。
今森の中をゆっくりれいむとゆっくりまりさが、仲良く並んで跳ねていた。
この辺りにはゆっくりはこの二匹しかいない。いや、ゆっくりだけではなく、ゆっくりより大きい生物も、ここには居なかった。
そう、人間も天敵もいないのだ。

「ゆゆっ♪ ゆっくりしたあかちゃんにうまれてねっ♪」

二匹のゆっくりのうち、れいむの頭には植物型にんっしんっ! である茎が生えている。
六匹もの子を実らしたその茎は、れいむが跳ねるのに合わせてゆさゆさと揺れる。もちろん子供に影響のない程度にれいむは跳ねている。
れいむの伴侶であるまりさも、そんな自分達の子供をれいむと同じくニコニコ笑顔で眺めている。
今日この二匹は、子供達のために日向ぼっこ──日光浴に来たのだ。

ぽかぽかした太陽に当たってゆっくりすればとってもゆっくりした赤ちゃんになる。
そんな理由からだ。

もっとも、そんなことが出来るのもエサが豊富で周りに天敵がいないからだろうが。
ここはれいむとまりさが故郷から遠く離れて見つけた、理想のゆっくりプレイスであった。

「ぽかぽかおひさまにあたって、ゆっくりしようねっ!」

れいむは幸せ満面の笑みで自分の頭から生えた我が子に語りかける。
子達は未だ産まれておらず、安らかに目を閉じているが親の愛情を受けて健やかに育っている。
明後日か、早くとも明日には生まれることだろう。

もうすぐ家族が増える。
愛する二匹の間に生まれた、愛する我が子が。
そんな幸せに満ち溢れ、更なる幸せが待っているハズのゆっくり達の未来は。





「「……ゆっ?」」



たった一人の人間によって、壊されることになる。

突如目の前に現れた人間にれいむとまりさは戸惑った。
だが、親から受け継いだ餡子に刻まれた知識が目前の存在が人間だと教えてくれた。

「「ゆっくりしていってね!!!」」

れいむとまりさは同時に人間に向かって、元気良く挨拶をした。
しばらくお互いにしか言わなかった言葉だったので、自分達以外の者に言うのが久しぶりだったので、二匹は常より力がこもっていた。
ニコニコ満面の笑み。一緒にゆっくりしよう、と能天気でおバカなゆっくりのそれだった。

そんなゆっくりの笑顔を、人間は前触れも前振りも無く蹴り潰した。
標的はゆっくりまりさ。ゆっくりしていってね、と言ったその顔のど真ん中に、つま先をぶち込んだ。
ドムッ、と沈み込む足先。陥没するまりさの顔。

「ゆぶっ!!」

まりさが痛みを感じるまで一秒。

「……ゆっ?」

れいむが状況を理解するまでたっぷり三秒。

そして、

「ゆびぃ゛ぃ゛ぃ゛ぃ゛!! いぢゃいよ゛ぉ゛ぉ゛ぉ゛ぉ゛ぉ゛!!!!」

爆発したように、まりさが泣き喚いた。
これまでの生涯で味わったことのない暴力。それからくる恐怖と痛み。
まりさは初めて味わう激痛に、みっともなくわんわんと泣き散らす。

「ゆゆっ!? まりさ、ゆっくりしていってね!」

それにびっくりー! したれいむがその場で跳びはねてまりさを心配する。
未だ顔が僅かにへこんだままのまりさに心底不安げな様子で訊ねるれいむは、頭上の子供を気遣うように跳ねていた。

人間はそんな突然の出来事に混乱した様子のゆっくり二匹を見て口の端を吊り上げると、ゆっくりと手を伸ばしてまりさの帽子を奪った。

「ゆ゛っ!! やべでねっ、おぼうじがえじでねっ!」

奪われたから、まりさは気付いて涙目で跳ねて抗議する。
人間はそんなまりさには取り合わず、奪ったまりさの帽子を自らの帽子に被せた。

「ゆぐぅ! まりさのおぼうしかぶらないでねっ! ゆっくりかえしてねっ!」

未だ涙目のまま、ぷくぅ! と口に空気を溜めて頬を膨らませるまりさ。ゆっくりの威嚇だ。
ゆっくりはただでさえ自分の飾りを取られれば多大なるストレスによってゆっくり出来ないというのに、それを自分の目の前で他人に被られる。
ゆっくりにとっては計り知れないほどゆっくり出来ないだろう。

「そうだよっ! まりさをゆっくりさせてねっ!」

れいむもまりさに倣って頬を膨らませて威嚇する。
二匹並んで饅頭が頬を膨らませている様子は、警戒心の高い野生動物ならばともかく、人間にとってみれば滑稽な姿でしかない。
人間は頬を膨らませるまりさの髪を掴み、ゆっくりとその体を持ち上げた。

「ゆびっ! いだいよ゛っ! ゆっぐりやべでねっ!」

みちみちと頭皮が我が身の重さによって引っ張られる痛みを感じて目に涙を溜めながら、まりさは怒る。
人間はまりさのそんな様子に笑いそうになりながら、そのまままりさを全力で側の木に叩きつけた。

バチィン! と。

叫び声を上げる暇もなかった。
ゆっくりにとって目にも止まらぬ速さでスイングされたまりさは、快音と共に顔面を木の幹に叩きつけた。

人間がまりさの髪から手を離し、まりさはボトリと地面に落ちる。
れいむは自分の伴侶にされた仕打ちを、ただポカンと見ていることしか出来なかった。
気に叩きつけられ、地面に落ちたまりさは

「びぃ゛ぃ゛ぃ゛ぃ゛ぃ゛ぃ゛!!! いぢゃい゛ぃ゛ぃ゛ぃ゛ぃ゛ぃ゛!!!」

さっきよりも激しく、わんわんと泣きはじめた。
既に涙は滝のよう。顔には痣のように餡子が黒く浮き出ている。
れいむはそんな、突然に振るわれた暴力と初めて見るまりさの様子に動揺を隠せないでいた。

「ゆゆっ! まりさ、だいじょうぶ? ゆっくりしてねっ!」

それでもれいむはただ跳びはねてまりさを励ますことぐらいしか出来ない。
いや、まだある。れいむは痛がっているまりさに近寄ると、少しでも痛みを和らげてあげようとぺろぺろとまりさの顔を舐め始めた。

「ゆゆ〜、まりさゆっくりしていってね」
「でいぶぅ゛ぅ゛ぅ゛ぅ゛ぅ゛!!!」

まりさは涙で顔をグシャグシャにして、愛する伴侶に寄り添う。
寄り添えば、相手の存在を肌と肌で感じあえばゆっくりできる。
子供の頃からの知識と本能に従い、痛みから逃れようとそうした時だった。

「ゆぶっ!?」

まりさに圧倒的な圧力がかかった。

「ゆゆっ!! まりさ、どうしたの?」

れいむはまりさの突然の反応に驚き、戸惑う。
だが、まりさの頭に何かが乗っていることに気付くとゆっくりと視線を上に上げた。
そうして理解した。まりさの体に人間が足を乗せていることに。

「やべでねっ! まりさをふまないでねっ!!」

ゆっくりと、ゆっくりとまりさを踏んでいる足に力を込める人間。
まりさから奪った帽子を被った人間はれいむの訴えに一切耳を貸すことなく、まりさを踏み潰していく。
まりさの右半分にかかった圧力は、まりさの体の右半分をどんどんと楕円形へと変形させていく。

「ぢぬ゛う゛う゛ぅ゛ぅ゛ぅ゛ぅ゛ぅ゛!! ぢんじゃう゛う゛ぅ゛ぅ゛ぅ゛ぅ゛ぅ゛!!」

まりさは歯を食いしばり、溢れる涙が零れる目を細めて必死に自分の潰す痛みに耐えるが、それでも叫ばずにはいられない。

「ばりざぁ゛ぁ゛ぁ゛ぁ゛ぁ゛!! じっがりじでぇ゛ぇ゛ぇ゛ぇ゛ぇ゛!!」

遂にはれいむも泣きはじめてしまった。
度重なる暴力に晒されているまりさ。初めて味わう恐怖。
みちみちと音を立ててまりさの右頬が潰れ、裂傷を生み始めそこからまりさの中身である餡子が漏れ始めている。
そんな、圧倒的な力に襲われて命の危機にまで瀕しているまりさを見て悲しまずにいられるものか。
脅えずにいられるものか。

「ぼうやべでよ゛っ!! まりざがぢんじゃうよ゛っ!!」

れいむはまりさを踏みつけている人間の足元に近寄り懇願した。
だが男はれいむなどまるで居ないかのように無視をしてまりさの体を更に踏み潰しにかかる。
いや、無視しているというよりも、

────だからどうした。死ねよ。

とでも言いたげな様子であった。

れいむもまりさも顔を涙と苦しみと恐怖でグチャグチャ。
いや、まりさに至っては既に顔の判別がつかない。体の右側は既に当初の半分にまで潰されており、数多に出来た裂傷と涙と漏れ出た餡子で埋め尽くされている。

「ゆ゛っ……ゆびぶっ……!」
「ばりざっ! ゆっぐりじでいっでね! ゆっぐりじでいっでね!!」

まりさはもう、泣き喚く力も無く僅かに呻いているのみ。
徐々に、徐々に体の右半分が潰されていきながら、それでも抗おうと身を捩ってはいるがまるで効果は無かった。
内側の餡子からの圧力で皮も殆ど破れかけている。まりさの体は既に半分死に絶えていた。

だが、それでも。それでもまりさは、

「で……で、でいぶ……」

死に体の身で、ただ何も出来ずに周りを飛び跳ねているだけのれいむに、言葉を残す。

「ゆ゛っ!? なに、ばりざ! ゆっぐりじでいってね!!」

ぎゅっ、と人間の足に更なる力が篭る。
「ゆ゛っ!」とまりさの口から一際苦しげな声を出すが、まりさはそれでも口を開く。

「で、でいぶ……ゆびっ!」

どんどんまりさの体が潰れていく。中の餡子が押しつぶされ、圧力によりまりさの皮を突き破ろうとしている。

「ばりざど……でいぶのあがぢゃんを……」

もう時間の問題だった。もうすぐそこだった。

「ゆっぐり、ざぜで……ね゛……」

まりさの命が、尽きるまで。

「ばっ、ばりざぁ……」

まりさが命を賭してまで残した願い。我が子を頼む。
その願いにれいむが涙した瞬間、

ぶちゅり

ついにまりさの皮は耐え切れず、一気に爆ぜた。

「ばりざぁ゛ぁ゛ぁ゛ぁ゛ぁ゛ぁ゛ぁ゛ぁ゛!!!!」

皮は派手に破れ、まりさの命である餡子が派手に飛び散る。
まりさの右半分は完全に潰れ、無惨な有様を晒している。目もつぶれ、その悲惨さに拍車をかけている。
だが、まだ半分残っている。左半分。まだまりさは半分残っている。

「ゆ゛っ、ゆ゛っ、ゆ゛っ、ゆ゛っ」

まりさは既に正気を保っていなかった。いや、すでにまりさでは無いと言うべきか。
体の半分が潰され後に残ったのは、ただ呻き痙攣するだけの不思議饅頭だけだった。
人間はそんなまりさの成れの果てに興味を失ったのか、踏み潰した足でまりさの残骸を端に蹴飛ばした。後は自然が処理してくれることだろう。

「ばっ、ばりざっ!!」

れいむは蹴飛ばされたまりさの亡骸に近寄ろうとした。いくらもうまりさでは無いとはいえ、半分はまりさの面影が残っているのだ。
しかし人間の存在がそれを阻んだ。突然現れて理不尽な暴力を振るい、まりさを殺した人間の存在が。
れいむは、まりさに合わせていた視線をゆっくりと上に上げた。

れいむの目に飛び込んできた。まりさの仇の姿。
人間はれいむと視線を合わせると、ニタリと不気味に笑った。

「ゆ゛ぅ゛ぅ゛ぅ゛!! ゆっぐりでぎない゛ぃ゛ぃ゛ぃ゛ぃ゛ぃ゛!!!」

れいむはその場を逃げ出した。涙を撒き散らし、回れ右。
人間に背を向けてれいむは全力でその場を離れる。
怖い。恐ろしい。ゆっくり出来ない。

まりさの最後の言葉を忘れたわけではない。だが、その言葉に従い逃げ出したわけでもなかった。
ただただ、訳の分からない、ゆっくり出来ないことから離れたかっただけ。
れいむは無意識に自分の巣を目指していた。そこは自分がゆっくり出来る場所。
これまで幾つもの日々を愛するまりさと共に過ごした愛の巣。

れいむは木の根元に出来た穴であるそこに必死で逃げ込んだ。
頭上の子供に極力気を使ったまま、滑り込むように自分の家に逃げ込む。
決して広いとは言えないが、自分達をゆっくりとさせてくれた家に逃げ込むことによりれいむは安堵した。
安堵して、逃げている間堪えていた涙がボロボロと零れた。
既に流れていた涙が、更に勢いを増したのだ。

「ゆぐっ、えぐっ、ばりざぁ……」

どうして、なんで。
自分たちはただゆっくりしていただけだ。まりさと一緒に、ゆっくりと幸せに生きていただけだ。

なのに、なんでまりさが死ぬの? なんでまりさが殺されたの?
分からない。全く分からない。

れいむの脳裏にまりさとのかつての思い出が去来する。
一緒にゆっくりしようと誓ったあの日。ふぁーすとちゅっちゅしたあの夜。
新しいゆっくりプレイスを目指そうと決めたあの日。過酷な道のりを共に歩いたあの日々。
それから、新天地で一緒にゆっくりした日々。
初めてまりさのすっきりした日。自分の頭から我が子が生えてきたあの喜び。

「ゆっ! あかちゃん!」

そうだ、とれいむは思い出す。まりさの今際の際の言葉を。
れいむは頭上を見やる。そこにはれいむの意識的、無意識的な気遣いによって潰れずにいた我が子の実。
先ほど見た時と同じく安らかな顔で産まれる時を待つ我が子の変わらぬ姿がそこにあった。

「ゆぅ……れいむのあかちゃん、ゆっくりしていってね……」

れいむは心底安堵した。
まりさは死ぬ前にれいむに頼んだ。れいむとまりさの子を頼むと。
言われるまでもなく、れいむはそうするつもりだ。そうするしかない。
れいむとまりさの愛とゆっくりの結晶。れいむに残されたモノ。

もうれいむにはこれしか残されていない。まりさ亡き今、れいむにはこれしかもうない。
この子達はゆっくりさせてあげよう。自分の全てをかけて、死んだまりさの分までゆっくりさせよう。
れいむは溢れる涙を堪えて、そう決意する。

だから、れいむは忘れていた。
自分の頭上の茎を、人間の手が掴むまで忘れていた。
まりさを殺したモノの存在を。自分が巣に真っ直ぐ向かったことで巣の場所を教えたことを。

「ゆ゛っ!?」

単一の物事しか考えることの出来ない餡子脳が、恐怖の過去を呼び起こす。
まりさの最後の言葉と子供をゆっくりさせようという決意に埋まっていた餡子脳が忘れていた事を思い出させる。

思い出した時には、もう遅かった。
狭いれいむに巣に腕を差し込んだ人間は、掴みやすいれいむの頭上の茎を掴むとそれを引っ張ってれいむを巣の外に引きずり出す。

「やべでぇ゛ぇ゛ぇ゛ぇ゛!!!! でいぶおぞどでだぐない゛ぃ゛ぃ゛ぃ゛!!」

れいむは止めた涙を再び溢れさせ、巣の中で踏ん張って全力で抵抗を示す。
それでも人間の力に敵うはずもなく、ずりずりと巣の外に引っ張り出されていく。
そして同時に、人間が茎を引っ張ってれいむが抵抗することによって茎と繋がったれいむの頭の皮が引っ張られることになる。

「いぢゃい゛ぃ゛ぃ゛ぃ゛ぃ゛ぃ゛ぃ゛!! やべでっ、やべでねっ!! ひどいごどじないでねっ!!」

ずりずりと擦られる底部。底部が破れるのではないかと思われたそれも、れいむが巣の外に引きずりだされた事で終わりを告げる。

「ゆぶっ!」

木の根元の穴から出され、その勢いで地面に顔面を打ち付けるれいむ。

「ゆぐぐっ……いぢゃい゛ぃ……」

痛みに顔をしかめるれいむ。またも、一瞬とはいえ忘れてしまった。
人間の存在を。

「ゆびっ!?」

先ほどのまりさの同じように、れいむが空中に持ち上げられる。
ただし、今度はまりさのように髪を掴まれたのではなく、れいむの頭上にある赤ちゃんゆっくりを実らせた茎を掴まれている。

「や゛っ、やべでね゛っ!! あがぢゃんがゆっぐりじでるんだよ゛っ!」

れいむは自分の頭皮が引っ張られる痛みを我慢して、我が子の安全を人間に求める。
もう、訳が分からなかった。
目の前の人間は、何をしている。何が目的なのだ。
どうして、自分達を襲う。なんで、自分達が襲われなければならないのだ。
どうして、まりさが死ななければならなかったのだ。

考えると、悲しみが溢れてくる。悲しみで、飲み込まれそうになる。
涙が、我慢出来ない。さっきから枯れんばかりに流しているが、我慢出来るわけがない。

「どぼじでごんなごどずるの゛っ!? ばりざをがえじでよ゛っ!!」

れいむはジタジタと空中で身を捩り、人間に訴えかける。
だが、人間が次に行なった行動は、れいむの発言をまったくもって無視していた。

人間は片手でれいむの茎を掴み、もう片手でれいむの頭を押し始めた。
茎とれいむを離すように。茎をれいむからむしろうとしているかのように。
反対の方向にかかる力が、れいむと、茎────れいむとまりさの子供達を離そうとしている。
ギチギチと音を立て、茎がれいむの頭から千切れようとしている。

「ゆびゃぁ゛ぁ゛ぁ゛ぁ゛ぁ゛ぁ゛ぁ゛ぁ゛!!! いや゛っ! やべでっ!! やべでよ゛っ!! でいぶの、でいぶどばりざのあがぢゃんがっ!!」

ぶるんぶるんと揺れるれいむ。その顔面に拳が突き刺さる。
僅かにれいむは呻くが、それでも我が子を守ろうと涙と声を全力でひねり出す。
しかし、それはほぼ無抵抗に近かった。

れいむの必死の抵抗も虚しく、

「ゆぎゃ゛ぁ゛ぁ゛ぁ゛ぁ゛ぁ゛ぁ゛ぁ゛!!!!」

ブチブチ、とれいむの頭から茎が千切れ離れた。
文字通り、離れ離れになった親子。引き離された家族。

人間はれいむから奪った茎を片手に持ったまま、れいむを地面に落とす。
地面に底部を思いっきり叩きつけた形になったれいむは、それでも痛みをこらえて人間に歯向かう。
奪われた我が子を、死んだまりさが残した愛しの子を取り返すために。

その反抗さえも、すぐに無駄になる。
人間は茎から一匹の赤ゆっくりれいむをもぎ取ると、

「ゆ゛っ!? でいぶのあがぢゃ────」

ぶちゅり、と指で潰し殺した。
いや、まだ産まれてすらいないそれを壊した。
産声すらもあげられず、親の温もりも、存在も知らず、待っているはずの幸福さえも知ることが出来ずに。

「ゆびゃ゛ぁ゛ぁ゛ぁ゛ぁ゛ぁ゛ぁ゛ぁ゛!! あが────」

人間はすかさず、もう一匹茎から赤ゆっくりまりさをもぎ取り、今度は地面に思いっきり叩きつけた。
べちゃり、と潰れた赤ゆっくりまりさになるはずだったものは、小さな餡子の花を咲かせた。

「ばりざの、ばりざのあがぢゃんがぁ゛……っ!! へんじじでぇ゛ぇ゛!!」

れいむは、何も出来なかった。
後の四匹が殺されるのをただ見ることしか出来なかった。
赤れいむが歯で潰されるのを。赤まりさが足で踏み潰されるのを。赤れいむが捻り壊されるのを。赤まりさが真っ二つに裂かれるのを。

「ゆ゛あ゛ぁ゛ぁ゛っ゛っ゛……!!」

れいむは呆然と亡骸を見やる。ご丁寧にれいむの前に人間が並べた、六匹の子の残骸を。
我が子になるはずだった存在を。
れいむは、もう泣けないと思った。もう死ぬ程泣いたと。
それでも、涙を零した。我が子供の残骸にすり寄って、ボロボロと雫を零す。

「あが……ぢゃん……でいぶの、まりざのあがぢゃん……」

れいむには、幸せが待っているはずだった。

「へんじ、じでよ……。おかぁさんだよ? れいむおかぁさんだよ?」

まりさと、愛しの子供達と共に過ごすはずの、幸せがあるはずだった。

「ゆっくり、じでいっでね……?」

誰にも邪魔されるはずのない、ゆっくりがあるはずだった。

「ゆぐっ……ゆぁ゛……ゆ゛あ゛ぁ゛ぁ゛ぁ゛ぁ゛ぁ゛ぁ゛ぁ゛!!!!」

それが、こうも簡単に壊れさった。
こうもあっさりと、踏みにじられた。

「がえじでっ!! まりざを、あがぢゃんをがえじでよ゛っ!!」

れいむが持つべきだった、当然あるはずの幸せは

「もどにもどじでよ゛ぉ゛ぉ゛ぉ゛ぉ゛!!! でいぶの、でいぶの……っ!! がえじでっ!! がえじでよ゛ぉ゛ぉ゛ぉ゛ぉ゛!!!」

たった一人の人間の、快楽のために奪われた。








おわり



あとがきのようなもの

たまには特に捻らずストレート直球を書いてみたいと思いまして
やっぱり虐めるのはムカつくゆっくりよりも可愛いゆっくりが自分には合っているようです
ありすシリーズは次、書き上げたいと思います




これまでに書いたもの

ゆッカー
ゆっくり求聞史紀
ゆっくり腹話術(前)
ゆっくり腹話術(後)
ゆっくりの飼い方 私の場合
虐待お兄さんVSゆっくりんピース
普通に虐待
普通に虐待2〜以下無限ループ〜
二つの計画
ある復讐の結末(前)
ある復讐の結末(中)
ある復讐の結末(後-1)
ある復讐の結末(後-2)
ある復讐の結末(後-3)
ゆっくりに育てられた子
ゆっくりに心囚われた男
晒し首
チャリンコ
コシアンルーレット前編
コシアンルーレット後編
いろいろと小ネタ ごった煮
庇護
庇護─選択の結果─
不幸なゆっくりまりさ
終わらないはねゆーん 前編
終わらないはねゆーん 中編
終わらないはねゆーん 後編
おデブゆっくりのダイエット計画
ノーマルに虐待
大家族とゆっくりプレイス
都会派ありすの憂鬱
都会派ありす、の飼い主の暴走
都会派ありすの溜息
都会派ありすの消失
まりさの浮気物!
ゆっくりべりおん
家庭餡園
ありふれた喜劇と惨劇
あるクリスマスの出来事とオマケ

byキノコ馬

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最終更新:2008年12月28日 17:20
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