ゆっくりいじめ系1780 ゆっくり人面瘡 2

ゆっくり人面瘡2/2



■■■再発■■■


切除手術を受けた次の日。

またもやうーうーうーと、うなるような音でおにいさんは目が覚めます。
左腕に何かが動く感覚があります。
しかも自分の腕からその音が聞こえてくるではありませんか!
布団から跳ね起きて袖をまくります。
包帯のしたでうねうねと何かがうごいています。
そのうごきに合わせて「うあーー」「ゆーー」とくぐもった声を出しているのです。

おにいさんは恐る恐る包帯を外します。

腕になにかがついています。

「ぷはー♪」

呼吸しています。

「ゆー♪」

しゃべりました。

わけのわからないもの。

おにいさんは昨日とは異なるおどろきのあまり声が出ませんでした。

なにをしていいのかわかりませんでした。

そこには前日の午前中までは寄生し、午後には永遠亭での手術により除去されたものが、あの憎たらしいゆっくりがいたのです。
大きさは、小ぶりのあんまん位でしょうか。
目玉があり、口もあり、金髪の髪、とんがり帽子の様なものまでくっついています。どうみても再びまりさ種です。ほんとうにあry
初めてExtraステージのボス戦で瞬殺されたように惚けていると、そのゆっくりの目が動きおにいさんと目が合います。

「ゆっくりしていってね♪」

「っっっっっっっっっっっっ!??」

驚きはしましたが、それよりも先に何故?どうして?という疑問符?しか出てきませんでした。

「どうして、また……!?昨日切除したはずだ!?」

「ここはまりさのゆっくりプレイスにしたよ♪ゆっくりできないおにいさんははやくえさをもってきてね♪」

いつもの冷静さを忘れ、ただ不快感が感情を支配します。
「うがぁあああぁああっっ!!」

部屋の柱に自らの腕をブチ当てます。
ばんっ!と大きな音と共に「ゆげぇぇっ!」と声がし、家全体が軋みます。
普通のゆっくりならこれほどの衝撃に耐えきれずつぶれてしまうはずです。
しかし

「どおじでごんなごとずるのぉぉぉぉ!!」
生きています。
まりさの顔全体が赤くなっていますが餡子が飛び出る様な様子はありません。

「このくそまんじゅうがぁあああああっっ!!」
再度、そして何度も柱に裏拳を叩き付けます。
「うげぇ!」「あばぁ!」「いげぇ!」などとうめき声が聞こえる意外は、木人形を相手に訓練するジャッキーチェンの様です。

「はぁ、はぁ、はぁ…わけがわからない……」
自身の裏拳によって、まりさだけでなくおにいさんの腕全体が打撲により腫れ上がっています。
まりさはというと白目を剥いて気絶していました。
おにいさんは自らを傷つけた痛みで冷静さをとり戻してきたようです。

「とにかくまた永遠亭に行ってみよう。」


■■幕間03■■

ゆっくりに苛ついたのが原因とはいえ、感覚を共有していたことを忘れていたのは誤算だったようです。
打撲傷特有の時間差のあるゆっくりとした痛みがやってきます。
ましてやおにいさんはゆっくりを潰すために手加減なしで柱を打っていますから、もしかすると骨折しているかもしれません。
痛みが自身の冷静を欠いた行動をけなしているようで、お兄さんはモーレツに反省します。

冷水で冷やしつつ、朝食をとりながら、ここまでの事を再考しています。

山で野生のゆっくりと出会い、その時不甲斐無くもかすり傷を負わされる。
次の日には傷はほとんど塞がっていたが、傷周辺がかぶれていた。
その次の日の朝、お面の様なゆっくりまりさが腕に寄生していた。しかも感覚まで共有し、加えて糖尿病という合併症のおまけつきだ。
永遠亭で切除手術をうけて(その時は完全に無くなっていた!)、その日の夜には気分爽快で床につき
朝には気分爽快な目覚めが待っている、はずだった。
だが今日になって、昨日の就寝間際の爽快さは颯爽と無くなり、この奇病の再発という気分最悪な朝になってしまった。

怒りに任せて自らを傷つけ、冷静さを欠いた行動を思い出しますが、その度にゆっくりに苛つき、ムカつき、
自分の未熟な行動が自尊心を傷つけます。
獲物を目前にしたあの時のように、感情や感傷を表にださず、落ち着き、冷静に思考し行動する。
もっと落ち着いているべきだった。そう、このゆっくりのように。
「ゆー」
どうやら寄生したまりさが気絶から目を覚ました様です。

「おなかいっぱいになったよっ!まりさしあわっぜえぇええおおぼぼぼぼぼぽぉぉぉ」
食事も終わったので打撲の冷却もかねて水瓶に腕をつっこみます。
ふとそのまま溺死させる方法も考えましたが、
栄養をお兄さんと共有している事からおそらくそう簡単には無理だろうと判断します。
そして最悪の場合を思いつきます。

俺が死んだらこいつも死ぬだろう。ならこいつが死んだら…!?

恐ろしくなり、考えを打ち消します。
死ぬのか生きられるのかで悩むより、生きたまま専門家に引き渡す方が懸命ではないかと判断し
当初予定通り、永遠亭へ再度向かいます。
その足取りは心持ち昨日より重くゆっくりしていました。


■■■再度永遠亭■■■

「来ると思っていたわ。またゆっくりが腕に現れたのでしょう?」
会うなり永琳はそう伝えます。
「不思議な顔をしないで、あれからちょっと調べたのよ。でもその腕の治療が先ね」

永琳は湿布を貼りながら説明していきます。

「骨には異常無いみたいだから冷やして安静にすることね。
 さて本題のこのゆっくりだけど……
 ゆっくりが人間に寄生するなんて聞いた事ないからね。
 だけど図書館の魔女が教えてくれたわ。
 人面瘡と呼ばれる奇病に酷似していると。」

「じんめんそう?」

「人の面の瘡と書くのね。
 奇病とも、それ自体が妖怪だとも言われている。
 原因には妖怪や生霊が取り憑いた呪い、宿主自体の精神疾患からくる肌荒れの特殊な症状とも言われ、はっきりしていないみたいね。
 中には高等妖怪が作り出したアイテムって話もあるそうよ。
 共通していることは、人の身体のどこかに人の顔の様な傷ができ、話をし、食事もする。
 めんどくさい事に直接宿主を殺したりはしない、というかできない。
 迷惑をかける。醜い顔が、煩わしい口調で、理不尽な要求をしてくる。それだけしかできないから妖怪のレベルとしては低俗よ。
 しかし、宿主に大してのそういった精神攻撃は恐ろしいわね。最弱故に最強ってとこかしら。」

「ち治療法、というか駆除法はあるんですか?」

「昨日手術したように切除する方法では、再度発症するという場合が報告されているらしいからまた来ると思ったのよ。
 それに、あなたから切り取った方のゆっくりの最後の言葉ね。曰く『おうぢにがえるぅぅぅ』」

「おれはっ!おれはこいつらのうちじゃないっ!」

「まったくその通りね。文献によれば薬や毒で消えたそうだから試してみましょう」

「…そう、してください……」

「薬は今イチ原因がハッキリしないから、毒で試しましょうか。
 気負わなくて良いわ。ゆっくりには毒で人間には毒でないもので試せばいいのよ」

「というと……?」

「目には目を、歯には歯を、毒を制するには毒を。ゆっくりにはゆっくりよ」



■■幕間04■■


おにいさんは替えの湿布や薬と共に、ゆっくり加工場への地図をもらいました。
永遠亭からの帰宅途中に寄生したゆっくり対処用の薬となるものを受け取りにいくためです。

永琳曰く
「加工場には連絡を入れておくわ。あとは言った通り治療なさい。」

加工場向けにゆっくりを捕まえた事もありましたが、工場に来るのは初めてでした。
広い敷地内に立派な工場が建っており、ほのかに甘い香りが漂ってきます。

受付で訪ねた目的と永遠亭の名を出すとすんなり話が進みます。
しばらくすると大きめの箱を抱えたおじさんがやってきました。

「じゃこれ。永遠亭からのお願いだから良質なのを選んでおいたよ。あ、ここにサインだけ頂戴ね。」
おにいさんは受領書にサインし受け取ります。

箱の中身はもちろんゆっくりです。


かつて誰かが言いました。
「悪魔は人の身に宿る」

永琳は言いました。
「あなたが考えているように、この寄生したゆっくりの生死があなたと繋がっている可能性を否定できない以上、
 私は医者として駆除剤を調合する事はできないわ、できるのは糖尿病に対処する薬の調合だけ」
「医学的な所見は共存の道が一番良いわ」
「それを許さないならあなたは自分の力でなんとかするしかない。協力はしましょう」


おにいさんは考えます。

「ゆっくりとの共存?」

「確かにペットといて飼い成らす人もいると聞く、適度に可愛く、癒しを与えてくれるならそれもいいだろう」

「だが、俺に寄生しているこいつはどうだ?」

「何もせず、ただゆっくりし、理不尽にもエサを要求しつつ俺のエネルギーの一部を奪い、俺はこの若さで糖尿病だ」

「共存など誰がするものか!!」

「俺は俺だ!俺一人だ!俺以外の他人が!しかもこんなまんじゅうと一緒になんてなれるか!!」



■■■治療/宴の支度■■■

家に戻り、部屋が暖まってきたところで加工場からもらってきたゆっくりを部屋に放ちます。
今まで狭い箱に収められ、初冬の冷たい風に凍みていた数十匹のゆっくりは、その開放感から歓喜の叫びをあげます。
「ここはとてもあったかいよ♪」
「ゆっくりー♪」
「この部屋がしばらくお前らの家だ。おれはお前らの飼い主、そしてこいつがお前らのルームメイトだ。仲良くしろ」
そう言うと巻いていた包帯を外します。
「ゆゆ♪ここはまりさのゆっくりぷれいすだぜ♪みんなゆっくりしていってね♪」
「「ゆっくりしていってね♪」」

他のゆっくりとはまったく異なる外見の寄生したまりさですが、
顔のパーツだけで判断しているのか、ほかのゆっくりたちにも仲間として認められた様です。
試しに、一匹のれいむを腕によせると、習性なのか頬ですーりすーりをはじめました。

「すーり♪すーり♪あなたは変わったゆっくりだね♪でもおおきなからだですてきだよ♪」
「すーり♪すーり♪ゆぅー♪気持ちいいよー♪ゆっくりしていってね♪」

「……」
寄生したゆっくりのお家宣言にも、このムカつく挨拶にも以前ならイラっときていたでしょう。
ですが、ここは我慢してニコニコと作り笑いをします。
そして戸棚からお菓子を持ってき、自ら食べはじめます。
「うほほぉ!これめっちゃうめぇ!むしゃ♪むしゃ♪むしゃ♪しあわせー!」

「ゆぅー。れいむたちもゆっくりほしいよ!」
「そうよ、みんなにエサを与えないなんてとはいはじゃないわ!」
「むきゅー。あかちゃんたちにもわけてあげてね」
「おにゃかへっちゃーー!!」

「まぁ、落ち着け。俺はお前らの飼い主、つまりボスだ。
 俺の言う事を聞けば、お前らにたべものをやろう。」

「ゆゆぅー?」
「わかったよ!ボス!だからおかしをちょうだいね!」
「おにゃかへっちゃーー!!」

「よしまずは跳ねろ。その場でジャンプっ!!」

「「ゆっ!ゆっ!」」
一部のゆっくりは状況を飲み込んでいませんでしたが、言う事をきいて、全員ジャンプしています。
流石加工場で良質と言われたゆっくりだからか飲み込みが早いです。

「はい、やめー。」
そういって、クッキーを適当に砕いて皿に載せると、ゆっくりはまるで蟻の様に群がり。
「「むーしゃ♪むーしゃ♪しあわせー♪」」
と言う時には既に無くなっていました。

「よし、次は二匹ずつ組になって整列!」
既に腹を膨らませてくれた安心感からか、あっと言う間に整列します。

「よし、お前どれか好きな組選べ」
「ゆ?」
腕に寄生したゆっくりに声をかけます。
「じゃ、このゆっくりでいいよ!」
「よし選ばれた二人組、どっちかにこの角砂糖をやろう」
と言って、自ら食すと
「ゆゆーー♪これめっちゃあまあまだぜぇ♪しあわせぇー♪」
と腕がうずきます。

それを見て残ったゆっくりたちも「ゆぅおー♪」と歓声をあげます。
「わたしにちょうだいね!」
「とかいはなわたしにもちょうだいねぇ!!」

ちなみに選ばれたゆっくりはれいむとありすの成体です。
「ふたりにはやらん、どちらか一方だけだ。はやくきめろ」
「ゆー、わたしたちふたりにちょうだいねぇっ!?」
「そうだぜ、ふたりにもわけてげてねぇ…あめぇ…しあわせぇー♪」
仲間意識をみせる寄生したまりさですが、途中でおにいさんがつまんだ角砂糖に反応してしまい説得力がありません。
「ほれ、食べたいだろぉー?あまいぞぉー?どちらか一方にはあげるからゆっくり決めてね!」

「とかいはなわたしがたべるから、いなかくさいれいむはどっかいってね」
「ゆっくりしてないありすのほうこそゆっくりどっかいってね!あのあまあまはれいむがたべるよ!」

「…めんどくせえ、お前が決めろ」
めんどくさくなったおにいさんは腕の寄生まりさに問います。
「ゆわ、ゆ、ゆぅー」
「まりさぁぁぁぁーわたしよね!とかいはなありすをえらんでねぇ!」
「れいむにきまってるよ!さっきいっしょにすーりすーりしたでしょぉー!!」
どうやらこのれいむはさっき適当に選んだれいむだったようです。
それが効いたのか
「さっきすーりすーりしたれいむにするよ♪」

「よし決定!」
ガッシ!ボカッ!
「スイーツ(笑)」
おにいさんは、寄生まりさが選ばなかったありすを掴み、一口で平らげました。
流石加工場産のゆっくりです、ただほんとりとした甘みとカスタードの風味が口いっぱいに広がります。

「このまりさに選ばれたれいむには約束通り角砂糖を進呈」
「「ゆぁ?あっ?どおしでえぇええ!なんでぇぇぇぇぇ!ゆばぁあああああ!」」

寄生したまりさと選ばれたれいむが泣きわめきます。
先ほどまで自らの欲望忠実に仲間と対峙いていましたが、まさか食われるとは思っていなかったのでしょう。

「どぼじでえぇぇぇ!!!ありずぅぅぅぅぅぅ!」
「お前が選ばなかったからだ。さて、次にこの角砂糖がほしいゆっくりはいるか?」

流石に、いきなり仲間を食われた衝撃があるのか我先にとはいきません。
「もうまりざはえらばないんだぜぇぇぇぇ!!うばあぁぁぁ!」
「うん、もうおまえはいいや。次は俺が決める。おいそこのゆっくり組」
「ゆぅぅ?やめちゃね。れいむたべにゃいでねぇ。」
「そうよ、あかちゃんいじめないでぇええ!!たべるなられいむにじでぇぇぇ!」
「お、おかあしゃんを、みんにゃを、い、い、いじめにゃいでねぇ!!!」

勇敢にも娘であろう、赤れいむが向かってきます。
「おぉ家族愛。家族愛。お前に決めた!」
「いやあああぁぁぁぁ!!!れいむのあがじゃぁぁんん!!」

おにいさんはつまむと口へ持っていきます。
しかし、今度は食べる事はしませんでした。
ぼそぼそと赤れいむにつぶやくと、頭の上にのせました。

「わーふきゃふきゃー♪」
「ほれ、角砂糖をお食べ。」
「むーちゃ♪むーちゃ♪あみゃーーい!しあわちぇー♪」

食われると思っていた他のゆっくりたちが何が起きたのか混乱していましたが、
おにいさんの頭上に乗った赤れいむが高らかに宣言します。
「ここはれいみゅのゆっくりぷれいちゅになったよ!みんなゆっくりしちぇってね!!」
「さてれいむさん、今回ありすが食べられてしまいましたが誰が悪いんでしょうか?」
「このまりさがわりゅいよ!」

ゆっくりたちの視線が一同に寄生したまりさに集まります。
「このまりさがわりゅいよ!」
「そうだね、このまりさが一方を選んだから悪いよねぇ」
「そ、そうだよあのまりさがわるいよ!」
「そうよ、わたしのあかちゃんはうそなんかつかないのよ!」
「あのまりさはとかいはじゃないよ!」
「「あのまりさはゆっくりできないよ!!」」

「ゆあ?あ、あ、あ…?」
急に仲間達から一斉に罵声をあびます。
先ほどありすと組んでいたれいむの側に腕を持っていくと、すーりすーりした仲なぞ忘れて体当たりしてきました。
「ありすをかえしてねぇぇぇぇ!!」
ポコンと当たりますが、もちろん全然痛くありません。ですが、寄生したまりさには精神的に効いた様です。
「な、なんでぇ…まりざわわるぐないのにぃ…なかまでしょぉ…」

「なかまをころしたゆっくりはなかまじゃないよ!」
「そうよ!なかまじゃないよ!」
「ここわ、ゆっくりぷれいすよ!ゆっくりできないまりさはしんでね!」

「なんでぇ…なんでぇ…!」
訳がわからないといった表情で寄生まりさは混乱しています。

おにいさんは、あたまの赤ゆっくりにちょんちょんと合図を送ります。
「みんにゃ!ごはんにすりゅよ!ゆっくりたべていってね!」
「ほらみんなエサだぞぉ。」
おにいさんはその合図に従って、お菓子や野菜を大皿に盛りました。
「「ゆへふぉぉぉぉぉぉぉぉぉ!!」」
と飛びついてきますが、皿を持ち上げてそれを一旦阻止します。
「まぁまてお前ら。一番箸は一番偉いリーダーと相場が決まっている。リーダーは誰だ?」
「「そんなの決まってるよ!」」

おにいさんは頭に載せていた赤れいむと皿をゆっくり下ろします。
「わー♪おそりゃをとんでるみちゃーい♪」

目の前に大量のエサを目の前にしてますが、
みんな静かに待っていることを不思議がっているようです。
「ゆ?ゆ?おきゃーさーん?どこー?」
ときょろきょろしているところに、その親であろう成体のゆっくりが近付きます。
「さぁ、れいむ。ゆっくりたべていいのよ」
おそるおそる
「むーちゃ♪むーちゃ♪しあわちぇー♪」
と言った側から
「「そのれいむがりーだーだよ!」」
「「このれいむがわたしたちのりーだーよ!」」
と言いながら押し寄せます。
「れ、れいみゅがりーだーだよ♪えしゃをよういしたからみんにゃでたべてね!ゆっへん♪」


■■■治療■■■

おにいさんも腹が空いていましたが、我慢して一旦その場から離れ、煙草をふかします。
皿の周りでは群れの新しいリーダーが決まった事でお祭りの様です。
そして匂いに釣られたのか、寄生したまりさも冷めてきます。

「あ、ああ、なんでぇ…?」
「………」
「おなかへったぁ……」
「さっき食ったじゃん」
「?」
「はは。忘れたのかその餡子脳は?お前はありすを食っただろうがっ!!」
最後の文節をワザと大きな声で言いました。
騒いでいたゆっくりも気づきます。
「お前が!選んだありすはっ!俺が食って!お前の栄養にしただろうがっ!!」
「!」


その一言が再び群れに怒りを込み上げさせます。
「そうなんだぜ!まりさはありすをたべたなかまころしなんだぜ!」
「なかまをたべたゆっくりはゆっくりじゃないよ!!」
「ゆっくりどこかいってね!!!」

再び再開する罵倒の嵐、おにいさんが近付くと罵声はさらに大きくなります。
「…まりさは……ここはまりさのぉぉ……ありすぅ……」

潮時を感じておにいさんは先ほど傀儡と化した赤ゆっくりを呼びます。
「…おいリーダー!」
「ゆ?」
赤ゆっくりは再びおにいさんの頭にのせられます。
「さぁ、教えてあげて下さいよ。ここはどこですか?」
「ここは、れいみゅのゆっくりぷれいすだよっ!!」
「加えて、おまえはありすを食った」
「なかまをたべちゃゆっくりはゆっくりじゃにゃいよ!」
「……うぅぉぉぉおおお………お、お……」


「そろそろしめるか…」
おにいさんは一匹の成体れいむをつかみ上げます。
「ゆゆー♪そらをとんでるみたーい♪」
「ゆ♪おきゃーしゃーーん♪」
どうやらこのリーダーとなった赤ゆっくりの母親のようです。見分けがまったくつきません。
「お前、腹減ってるんだったな?」
腕に寄生したゆっくりに一声かけてから、母ゆっくりにかじりつきました。

「ぎゃぅばぁあぁぁぁぁぁ!!??」
「うばあぁぁぁぁぁぁぁぁ!!??」
「うむ。うまい」

またしても、ゆっくりたちの目の前で起きた仲間の悲劇を目の前にしてまさしく阿鼻叫喚。
「「なんでぇえええええええええええええ!!!!!!!!!!!」」
「「どぼじでぇええええええええええええ!!!!!!!!!!!」」
「おがぁぁぁぁぁぁぁじゃぁぁあん!」
「わりぃわりぃ、こいつが食えって言ったから」
「ごのありずぅがぁぁぁぁぁぁ!!!!!」
「なんでたべたのぉぉ!!!わだじじゃないぃぃぃぃぃ!!!」
「お前だよ。ほれ、これからまた食べる」
おにいさんは、半分だけ食べ残したれいむを寄生したまりさの口に放り込みます。
「あわぁぉぉお!お!!おぉ!!!」
「おがぁあじゃぁああああん!!」
「れいむううううううううう!!!!」

リーダーとなった赤ゆっくり。他のゆっくりも含めて、ただ叫び声しか聞こえてきません。
「お仲間の味はうまいか?」
寄生まりさに残りのまんじゅうを押し込んで聴きます。
「おいじぐなんがないぃ!!ゆっぐりできなぁいいいいい!!ばびぶべぼおおおぉぉぉぉ!!」

 ぶ ず り ぃ ょ ぉ ……びっ!ちゃぁ!!

と生ゴミを捨てた様な擬音を発しながら、腕からずり堕ちました。
「仲間を食し、加えて仲間に裏切られる気分はどうだ?何もわるくないのにね」

「ゆっくりできないまりじゃはみんなでちゅぶしてねぇえええ!!!!」
「よぐもあぉぉぉぉりずををををををををっれいむををををを!!!!」
「なかまをかえじでぇえええええええじねえええええええええ!!!!」
「おがぁじゃぁあん!おかぁじゃぁああん!!おかぁじゃぁああん!!」
堕ちたまりさは、他のゆっくりたちに踏みつぶされて形が無くなっていきます。
「うぶぁぉ!ゆぅっ!げぇっ!!!びゃぁ!!!!………」
「永琳は毒を持って制しろと言った。お前らは毒だ。毒蟲め」

まるで魔女裁判の様にゆっくり達の集団ヒステリーのなか、おにいさんは、腕をさすりながら部屋を出て行きます。
傷跡もなく、元の状態に戻ったようです。
「ああ……」
と何処となくため息をついて更なる宴の準備をします。



■■■治療/宴の始末■■■

持ってきたのは大きな風呂敷でした。
ゴミが散乱した部屋では一部は残り物をあさり、一部はまだ虐殺を続けています。
「リーダー!」
と呼ぶと赤ゆっくりが頭の上に登ってきます。
「もっとゆっくりできる所につれていきますよ。みんなこの風呂敷の上に載せて下さい」
「ゆゆ♪わかっちゃよ!みんにゃ♪ここにゆっきゅりあつまってね♪」
子供でもリーダーとなればなかなかの統率力です。
残りのゆっくりはぞろぞろと広げた大風呂敷に乗っていきます。

そのまま引きずって行くなど、やさしいことはせずにそのまま包み込みます。
「ゆげぇ、せまいよぉお?!」
「つびゅれりゅーうううう!」
「おにいしゃん、みんにゃくるしがっちぇるよ。やめてあげてね!」
などと聞こえますが、無視して持っていきます。


ぎゃぁぎゃぁと騒ぐ風呂敷を担ぐ姿はサンタクロースのようです。
ですがまさしく、プレゼントとしておにいさんは出かけていました。

いつも収穫を卸している問屋に付くと準備はできていました。
「やぁ!待っていたよ!」
「遅れてしまいましたか?」
「大丈夫大丈夫!あっちに用意できてるから」

そこには大きな釜が用意され、既に薪で火が焚かれ水が茹でられていました。
釜は人間が風呂に出来るくらいの大釜です。
直ぐ側では問屋の若い衆が餅をついています。

「じゃぁこれが僕からのプレゼントです!」
と言いうと担いでいた風呂敷を渡します。
渡されたゆっくり達は次々に鍋に投げ込まれました。
「ゆー♪やっとついたのえええええええええええええ!!!」
「わー♪お空をとんびゃあああああああああああああ!!!」
「あじゅびいいいいい!!!どけるぅどげびゅううう!!!」
「ごごどごぉぉぉぉ!!どげじゃぶぅぅぅ!あづびぃ!!!」


「いやぁ、よかったよかったデザートが足りなかったからねぇ、連絡があってすぐ準備したよ」
「でも、クリスマスパーティーにお汁粉なんてよかったですか?」
「寒いしいいと思うよ?でもよく思いついたねぇ、ゆっくりでお汁粉だなんて」
「ええ、前にそういう事をした話をした文献を読みましてね」
「ま、酒でも飲みながらわいわいやろう!」

クリスマスの宴はこれからのようです。



■■■終章■■■


問屋さん達とのクリスマスパーティー翌日。
またもやうーうーうーと、うなるような音でおにいさんは目が覚めます。
昨日の酒が残っているのでしょうか?

しかし髪の毛の仲で何かが動く感覚があります。
しかも自分の頭からその音が聞こえてくるではありませんか!
布団から跳ね起きてそっと触れます。
何かがうごいています。
「ゆぅーー」とくぐもった声を出しているのです。

おにいさんは恐る恐る鏡の前で髪をかき分けます。

頭になにかがついていました。

「ふぁぁぁ……」

涙を流しながら呼吸しています。

「ゆぅぅぅぅ……」

しゃべっています。

昨日忘れていた赤れいむ。おにいさんの頭でおうち宣言をし寄生まりさから奪った赤れいむのリーダーです。

おにいさんは昨日とは異なるおどろきのあまり声が出ませんでした。

頭皮と一体化しているそいつは、眠っており第五部ボスのスタンドのようです。

おにいさんはなにをしていいのかわかりませんでした。

                            了




あとがき

初めて書いたものです。人面瘡の人とでも名乗っておきます。
ゆっくりが人間に取り憑く話を思いついて、そのままドス化する話を思いついたのですが、ただの人面瘡のホラーになってしまいました。

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最終更新:2008年12月26日 07:54
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