ゆっくりいじめ系748 ある動物型奇形妊娠の話


※ゆっくりしかでてきません!
※前作fuku.2224ある植物型奇形妊娠の話のアナザーです。
そっちから読んだ方が話の趣旨は取りやすいかもしれません。
※以前にも増して虐待分が少ないです。真正鬼井さんは不愉快になるかもしれません





季節は実りの秋、人も妖怪も干渉しえない森の中……
崖を背に立つ、老樹の洞の中……
ここに、一対のゆっくりが住み着いていた。
片やゆっくりれいむ種、片やゆっくりまりさ種。
共にゆっくりの中ではポピュラーな種である。
見る者が笑みをこぼすほど仲睦まじく、人間の夫婦でさえここまで純真に付き合っているものも少なかろう。
おまけに周りからの信頼も厚く、頼りにされているほどだ。
しかし、こんな二匹に後々訪れるのは、稀有で過酷な運命だとは何と残酷なことであろうか……
とある寓話を体現した様なお話であるが、どうかお付き合い頂きたい。



ある動物型奇形妊娠の話


にんっしんの兆候が見られるはずの二週間が過ぎても、二匹の間に変化が出ず、半ば諦めかけていた。
それからさらに数週間たったころ、このつがいのゆっくりは、互いに体調の変化を感じていた。

『ゆぅ~あたまがおもいよまりさぁぁぁ』
『なんがぎぼぢわるいんだぜぇれいぶぅぅぅ』

ただ事では無いと、早めに狩りを切り上げ、森の知恵袋であるゆっくりぱちゅりーに相談することにした。

『むきゅ!それはおめでたね!!あかちゃんをだいじにしてあげてね!!』

なんということだ。
通常ゆっくりは、父母に分かれるのだが、何の因果か両方母体となってしまったのだ。
このぱちゅりーも、前例の無いことだから知らずに祝福している。
しかし、この時のぱちゅりーには今がどんな時期で、これがどの様な意味を持つのかまでは気付くことができなかった。


当の本人たちは、すぐに問題に気づいた。
二人とも母体となってしまっては、狩りに行くこともままならない。
しかもこの時期……実り豊かな秋も既に終わりかけている。
もうエサも満足に採れない。
巣には、早めに冬ごもりのエサが貯蔵されていたが、とても赤ちゃんを養えるほどではない。

『ど、どうしようまりざぁ』
『ゆゆ!みんなにたのみこんできふしてもらうんだぜ!!』

まりさが行動に移った時には既に一刻の猶予もなかった。
周りのゆっくり達が巣にこもり始めたのである。
まりさの親交の深い友人宅を回り始めた。



むちゃいわないでね!

なにいってるの!?ばかなの?しぬの?

わっわたしのおっとになってくれればわけてあげてもいいんだからね!!


ショックだった。
正直なほどにスッパリと断られた。
今までまりさの素行が悪かったわけではない。
むしろ感謝されるべきことを行ってきた。


負傷し、動けない者のために代わりにエサを採ってきた。
仲間が捕食種に追いかけられていた時には囮になった。
子供が病気だと相談されれば、険しい山道を行き、薬草を持ってきたこともあった。
見返りを求めたことは一度もない。
ただ純真に困ったみんなを助けたかっただけだ
助けた後にはみんな決まってこう言ったのだ。

“ありがとうまりさ!こんどこまったことがあったらいつでもたすけてあげるからね!!”

その言葉をただ信じ、頼りにきたのに……

『ゆびゃ!ごめんだぜ、ゆるしてほしいんだぜ……ほかをあたるんだぜ』

あまつさえ、にんっしんしているのが分かる体型にも関わらず、体当たりで追い返される始末である。
それでも、自分に非があると信じ、すぐに引き下がっていた。
本来まりさ種は、雄としての役割を持つことが多く、基本的に運動能力に優れ、血気盛んである。
母体となったこのまりさは、その面影が微塵も感じられなかった。
唯一の頼みの綱であった先のぱちゅりーも、つがいのまりさに追い返されてしまった。
今までの自分の信念が揺るぎだしたが、どうにもならない。
まりさは帰路に着いた。


『ぱちゅりーよかったのかだぜ?あのまりさはおまえのなかよしだったぜ』
『むきゅ?わたしが!?じょうだんいわないでよ!あんなちせいのかけらもないやつなんてなかよしでもなんでもないよ!!』
『でもいつもは、いっしょにあそんだりなかよさそうだったぜ!』
『やくにたつうちはなかよくしてあげてたほうがつごうがいいの!どうせにんっしんのおいわいでもせびりにきたのよきっと!!』
『ゆ!ぱちゅりーはやっぱりあたまがいいぜ!!そういえばあいつはいつもゆっくりしてなくてきもちわるいやつだったぜ!!』
『『ゲラゲラゲラゲラゲラ!』』


巣には既にれいむが出産を迎えようとしていた。

『ゆ!?れっれいむ!ゆっくりがんばるんだぜ!!』
『ばっばりさ!よがっだまにあっでぐれで!!』

れいむの産道が、ミチミチと拡がり赤ゆっくりの頭が見え……ポンポンポンと三匹の赤ゆっくりを出産した。
あまりにもあっけなく出産が終わったが、赤ゆっくりのサイズが異常に小さかった。
植物型のそれと同等かそれ以下の未熟児である。
産声を上げるどころか、すぐにも息絶えそうに痙攣をし始めた。

『どっどぼじでごんだにじっじゃいの゛ぉ゛ぉ゛ぉ゛!?』
『あっあがじゃん!ゆっぐりじでね!!ゆっぐりじでねぇ゛ぇ゛ぇ゛!!』
『『『びゅっ…びゅっ……びゅ………』』』

親の必死の叫びもむなしく、赤ゆっくり達は間もなく黒ずみ、この世を去って行った。
時期外れのにんっしんに、十分な栄養と休養が得られなかった結果である。
二匹はしばらく泣いていたが、すぐに涙を拭った。

『れいむ、あかちゃんはかわいそうだったけど、そろそろすごもりしなくちゃゆっくりできなくなるぜ……』
『ゆ゛ぅ゛!わがっだよまりざぁ!!まりざのあがちゃんといっじょにゆっぐりじようね!!』


不運とは、如何に重なることか……
この年の冬は、かつて無いほどの寒気に覆われ、豪雪地帯と化した。
異常気象である。
雪圧で木が軋み、巣の中に冷気が容易に侵入する。

『がちがちがち……』
『ざぶぃ゛ぃ゛ぃ゛!!』

れいむの産後、間もなくこの冷気にさらされたせいで、表皮が固まり産道が閉じなくなってしまった。
固まったせいで、にんっしん中の体型のまま固定されてしまった。
まりさは、あまりの寒さに赤ちゃんを宿した大きな体を常に震わせ、歯にヒビが入るほどであった。
寒さは確実にこの二匹を蝕み、徐々に弱っていく……もはや食欲も出ない。

早く春になってほしい。

早くお日様の当たる暖かな外に出たい。

できることならば、まりさの赤ちゃんを無事に産んであげたい。

最早、二匹共通の淡い希望で繋いだ気力のみで生きているに等しかった。
ふと、風雪の中から聞き覚えのある音が聞こえてきた。
親友の……いや、親友だと思っていたゆっくり達の足音だ。

『『『おべがいじばずぅぅ!ながにいべでぐだざいぃぃぃ!!』』』
『びゅ!?どどどどどうじじじだの゛の゛?』

まりさは、れいむを庇うようにして入口を少し開けた。
そこに立っていたのは、ぱちゅりーのつがいを始めとした森中のゆっくり達であった。
しかし、中には子だけ、親だけの個体もちらほらいた。
お互い震えながらの必死の会話から伺えたのは以下の事柄だ。


今回の異常気象はこの群れの中で、誰も経験したものでなく、その誰もが従来の対策では凌ぎ切れなかった。
ある者は冷気にやられ、またある者は、巣ごと積雪に押しつぶされた。
ここに来たのはその中でも運良く生き延びた者達であり、辿り着けなかった者も多数いたという。


まりさは迷うこと無く、その全てを受け入れた。
ここまでたどり着けたゆっくりは十匹足らずである。
巣の広さは十分あったし、彼女らを野ざらしにして置くのも酷だと思ったからだ。
れいむも他のゆっくりに身体を見られなければ、良いと言ってくれた。

『ずぐなぐなっじゃっだげど、ごれがらはみんだでゆっぐりじようね!!』
『『『『ゆっぐじじようね!!』』』』

まりさはあの日以来、みんなの家を訪ね回ったあの日以来、初めて仲間を大切に思えた。
今までの自分は、何も間違っていなかった!!
このまりさ以外では、何が正解で、何が間違いなのかは誰にも分からないことだろう。
その日は異常気象にも負けずに、ゆっくりと睡眠をとることができた。


翌朝、まりさは奇妙な物音で目を覚ました。

ビュッ!

ビュゥッ!

ビチャッ!!

『ゆぅ?れいむなんのおとな――』

まりさはその光景を見て絶句した。
まだ寝惚けているのではないのか!?
もしや、まだ夢を見ているのではないか!?
しかし、徐々に覚醒してきた意識、身体に感じる寒さが夢ではないと表した。

『びゅぅっ!びゃぁっ!ゆびゅ゛ぅ゛ぅ゛ぅ゛』
『きもちのわるいゆっくりはいらないよ!ゆっくりしんでね!!』
『おねぇしゃん!こいちゅのうえではにぇるとおもちろいよ!!』
『『『ゲラゲラゲラゲラ!!』』』

昨日寝る時まで、自分の後ろに隠れていたはずのれいむが、助けた群れの中心にいる。
しかも、その群れはれいむの醜い体をさらすように仰向けに押さえつけ、暴行を加えていたのだ!
体当たり、噛み付き、上に乗って跳ねるなど、思い思いの方法で……全員がもれなく参加していたのだ!!

『だに゛ぼじでる゛んだぁぁ!べびぶがらはだべろぉ゛ぉ゛ぉ゛!!』
『『『はなれろだってさ、おおこわいこわい』』』
『ば……ひゅ…り……さ…………』
『『『ゲラゲラゲラゲラゲラゲラゲラゲラ!!』』』

れいむの顔面は陥没し、産道から漏れた餡子の量は既に致死量。
そんな姿になっても、れいむは愛する者の姿を見るや、笑みを作った。

『どぼじでごんばごどぼじだのぉ゛ぉ゛ぉ゛!?』
『むきゅっおしえてあげるわばかなまりさ。ここはきのうからぱちゅりーたちのおうちになったの!このみにくいれいむはぱちゅりーのおうちにいらないわ!!』
『なにい゛っでるのぉ゛ぉ゛!?ごごはばりざどべいぶの―――』
『ほんとうにばかね!みんなのるーるはたすうけつだったでしょ?だからここはぱちゅりーのおうち!だかられいむはいらないの!!』

この群れでゆっくり同士の争いが起きたら多数決で裁決を取っていた。
言わば、この巣は群れの縮小と化していた。
まりさは現状を把握し、押し黙ってしまった。

『むっきゅ!と・こ・ろ・でみんな!このまりさとれいむはもういらないとおもうの!!』
『いらないよ!』
『やくたたずはゆっくりきえてね!!』
『こんなれいむをまもるやつなんかといっしょじゃゆっくりできないよ!!』

満場一致、間もなく二匹はこの巣を蹴落とされるかの様に追い出された。
巣の入り口はすぐに閉まった。

『むきゅぅぅ!たべものをいっぱいもってきたらあけてあげてもいいわ!!』


巣の中では、ぱちゅりーを中心とした一種の社会体系が出来ていた。
知識を頼りにする者たちにとって、ぱちゅりーはすでにトップに立つ存在となっていたのだ。

『ぱちゅりーのいうとおりだったぜ!あのばかなふたりをかんたんにおいだすことができたんだぜ!!さすがはまりさのおくさんだぜ!!』
『むきゅっ♪そんなにほめないでよまりさ♪ありときりぎりすっていうおはなしどおりだったものおかしいくらいうまくいったわ!!』
『このよのしくみがよくわかるおはなしなの♪みんなにもおしえてあげるわよ♪』



はたらきもののありさんたちはなつのうちにせっせとたべものをすにはこびました―――♪


『れいぶぅ゛ぅ゛ぅ゛!じっがりずるんだぜぇ゛ぇ゛ぇ゛!!』
『…………』

突き飛ばされたれいむは、既に意識がないのか、返事もしない。


やがてふゆとなり、なつのあいだあそびほうけていたきりぎりすさんはおいしいえさもあたたかいすもありません―――♪


『あぞごな゛ら゛、あぞごまでいげばゆっぐじでぎる゛んだぜぇ゛ぇ゛ぇ゛!!』
『…………』

まりさは何を思ったのか、自らも既に自由を奪われた身体で、れいむを引きずるように歩きだした。


きりぎりすさんはありさんたちにたすけてもらおうとしましたが、つめたいゆきにうもれてしまいしんでしまいました―――♪


『ほっほら!れいむ!みるんだぜ!きれいなおはなばたけが……ちょうちょも……あたたかなばしょがみえるんだぜ!!』
『…………』

まりさが辿り着いたのは、巣である老樹のすぐ裏……底が見えない程深い崖だ。

『あぞごならばびざの゛あがじゃんぼいっじょにゆっぐじでぎぶよ!!』
『…………』

まりさには何かが見えるのか、崖に向かってためらいもなく、れいむと共に飛び降りた。



『―――というおはなしなの♪つまりかずがおおくてきりょうのいいありさんだけがいきのこるけんりがあるってことよ!!』
『あのまりさはえさをせびりにくるし、なかまはれいむだけ!ばかなきりぎりすはしぬぎむがあるのよ♪』
『むきゅう♪つ・ま・り、かしこいはせいぎ♪おろかはつみなのよ♪』


まりさとれいむはまだ落ち続けていた。
落ちるスピードも一定になり、刺す様な冷たい風も心地よく感じられる。

『ま゛……び…ざ……』
『ゆ゛ぅ゛!?』
『ご……べん…ね゛』
『ゆびゃぁ゛ぁ゛ぁ゛ぁ゛ぁ゛ぁ゛ぁ゛ぁ゛ぁ゛!!』

まりさが最期に挙げた悲鳴は、死に迫る恐怖からなのか?
仲間に裏切られての憤怒の叫びなのか?
それとも……



それから間もなく、ゆっくり達が集った老樹に雷が落ちた。
多数に分かれている根がアースとなり、ゆっくり達にはなんの影響もなかった。
ただ、その衝撃で老樹の周りの地盤が崩れ、周りの土地ごと崖の中へと消えていった。


まりさが最期に見たお花畑とは、ぱちゅりーの持論は正しいのか、誰にも分からないだろう。
ただ、一つだけ付け加えるとするならば、まりさとれいむとその赤ちゃんはきれいなお花畑へと辿り着いた。
そこには、ぱちゅりー達の姿が無かったという事ぐらいである。






後書き


以前上げたSS、「ある植物型奇形妊娠の話」と並行して構想を練っていたものです。
最初は、両方混ぜたものにしようとしましたが、長さから個別にしました。
前作と比べちゃうと、奇形妊娠が活ききっていない感がありますが、不幸な末路を辿るという点で納得してください。
陰鬱なものが続いたから、次はギャグっぽいのに挑戦したいと思ってます。


今まで書いた作品


紅い弾丸
ある新人ゆっくりーだーの話(前・後)
ある植物型奇形妊娠の話

byケラ子





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最終更新:2008年09月22日 06:00
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