ゆっくりいじめ系1716 続・ゆっくりにドラえもんの道具を与えてみた

?.桃太郎印のきびだんご


「ぱちゅりー、これはな〜に?」
「むきゅ!! これは、ももたろうじるしのきびだんごというものよ!! これをたべたものは、たべさせたものになつくようになるのよ!!」
「ゆゆっ!! だれでもなつくようになるの?」
「ええ、そうよ!!」
「れいむ、これほしいよ!! これをにんげんにたべさせて、れいむのぺっとにするよ!!」
「れいむだけずるいよ!! まりさもぺっとがほしいよ!!」
「わかったわ!! それじゃあ、これをもっていくといいわ!!」

ぱちゅりーは、きびだんごの入った袋を2匹に渡す。
2匹は袋を咥えると、人里に飛び跳ねて行った。



「全く!! 夏風邪を引くなんて散々だぜ」

ゴホゴホ咳き込みながら、男は里の道を歩いていた。
男は風邪を引いて、里の外れにある医院に行くところだった。
すると、男の目の前に突如現れる饅頭が2個。

「ゆっくりしていってね!!」

言うまでもなく、きびだんごを持ったれいむとまりさである。
ようやく人間の里についた2匹は、この男をぺっとにするべく、狙いを定めたのだ。

「なんだ、ゆっくりか。悪いが今日は体調が悪いんでな。治ったら構ってやるから、今日は帰ってくれ」
「ゆゆっ!! おにいさん、びょうきなの? それならいいものあげるよ!!」

好都合とばかりに、れいむは袋の中から、きびだんごを取り出し、男の前に差し出した。
2匹は道中、どうやって人間に食べさせるか考えていたのだが、これは渡りに船だ。利用しない手はない。
しかし、男は胡散臭そうな目線を投げつけるだけで、一向にきびだんごに手を付けようとしない。

「おにいさん!! おくすりだよ!! これをたべると、びょうきなんてすぐになおるよ!! ゆっくりしないでたべてね!!」
「お薬? おまえたち、これをどこから盗んで来たんだ?」
「ゆっ? ぬすむ? まりさたち、ぬすんでなんかいないよ!! ぱちゅりーにもらったんだよ!!」

2匹は盗んでいないと強調するが、男には信じられなかった。
見たところ、結構美味しそうなきびだんごである。
とてもゆっくりに作れるとは思えない。こいつらが作れるとしたら、せいぜい歪な泥だんごがいいとこだろう。
しかし、男にはそんなことはどうでもいい。
ゆっくり程度に侵入されるような家なんて、元々大した防犯対策も施していなかったのだろう。
ある意味、自業自得だ。他人のだんごがいくら盗まれようと、男の懐が痛むわけではない。

そんな男が何を気にしているのかというと、ゆっくりであるこいつらが食料を寄こして来たということである。
ゆっくりは、脳と胃袋が直結した饅頭である。
人間の食料を欲しがることはあっても、くれることなど絶対にあり得ない。
何か裏があるのは間違いないだろう。
男はジト目で2匹に問いただす。

「おまえら。一体なにを企んでる?」
「ゆゆゆゆゆっ!? たたたたくらんでなんていないよ!! ななななにいってるの、おおおにいさん!!」
「……つっかえ過ぎだろ」
「まままりさたちをしんじられないのは、おおおにいさんの、ここ、こころがよごれているからだよ!! こここのめをみてよ!! うううそなんかついていないでしょ!!」
「だから、そんな吃音言葉で言われてもなあ……」

男の乾いた視線をよそに、2匹はキラキラと目を輝かせている。(AA略
正直、気持ち悪い。
まあなんにしても、こいつらの態度を見れば、何か企んでいたのは一目瞭然だ。
無論、そんな怪しい団子など食べる気は毛頭ない。
ゆっくりといってもピンからキリまで様々だ。
中には、悪知恵が働くゆっくりが、盗んできた団子に毒を混ぜるくらいするかもしれない。
もし、そんなものを食べて死んでしまいでもしたら、ゆっくりに殺された男として、末代まで物笑いの種にされてしまう。
そんなのは、死んでもごめんだ。
もっとも、地面に直に置かれた土まみれの団子なんて、例え毒が入っていなくても食べる気はないのだが……

男は、こんな饅頭どもに構っている時間も惜しいと、その場を後にしようとした。
いつまでもこいつらのペースに乗せられていたら、治る風邪も治らないというものだ。
しかし、2匹も男を帰すつもりはなかった。
何が何でもきびだんごを食べさせようと、必死で男に食らい付く。

「まってよ、おにいさん!! おくすりをちゃんとたべないと、よくならないよ!!」
「生憎と今から医者に診てもらうから、お前らの薬なんて必要ねえよ」
「ゆゆっ!! れいむとまりさのことが、しんじられないの?」
「さっきのやり取りのどこに信じられる要素があったよ?」
「ゆうううぅぅぅ――――!!! とにかくたべてよ!! おにいさんは、だまってたべればいいんだよ!!」
「遂に地が出たか……」

呆れた男は、2匹の横を通り過ぎようとした。
しかし、どんなに言っても素直に食べてくれない男に業を煮やした2匹は、遂に最終手段に打って出た。
きびだんごを咥えると、男の口めがけて放り投げたのである。

ここで、桃太郎印のきびだんごの、もう一つの特性を説明しよう。
きびだんごを手にした者は、かの星飛雄馬やバタ子さんも真っ青の制球力を身に付けることが出来るのだ。
それは正に百発百中で、どんなにダメな人間でも口の中に投げ入れることが出来るという優れものである。
しかも投げられた者は、まるで念力でも掛けられたように、決まって口を開けて待っている。
その為、きびだんごを回避する手段はない……ハズだったのだが。

きびだんごは、男の口に入ることなく、ポトリと地面に落ちた。
遂にきびだんご制球力伝説も終焉かと思うかもしれないが、落ちた理由はなんてことはない。


男が風邪でマスクをしていただけである。


マスクの中でしっかりと口を開けていたものの、マスクにガードされていては、入るものも入らないに決まっている。
2匹の行動は、最初から最後までダメダメだったのである。

一投目を外した2匹は、慌てて次のきびだんごを投げようとした。無駄なことにも気が付かず。
しかし、男がそれを許すはずはない。
いい加減2匹がウザくなってきた男は、きびだんごを咥えたまりさの前に行くと、すかさずきびだんごをそのまま口の中に押し込んだ。

「ゆげえぇぇ!! おにいさん、なにする……」

男は、まりさの口にきびだんごを突っ込むや、体を揺さぶって無理やり消化させた。
その後、袋の中からもう一個のだんごを取り出すと、れいむの口の中に入れて、むりやりシェイクさせる。
こうして、2匹は男にきびだんごを食べさせられたのである。

男はしばらく2匹を見ていた。
一体、きびだんごに何を仕掛けていたのかが、気になったのだろう。
見たところ、特に腹痛を起こしたり、死んだりするような様子は見られない。
しかし、あれがただのきびだんごであるはずがない。
何かしらの反応があるはずなのだが、2匹は放心したように、その場から動かなくなった。
男は、その後も何分か黙って様子を見ていたのだが、2匹は一向に動かないので、もうこいつらに構うのは飽きたと、病院に向かった。
去り際に、一言声を掛けて。

「お前らもこんな所で悪だくみなんかしてないで、饅頭らしく、さっさと人間に美味しく食べられろよ」

男は、駆け足でその場を去っていった。
男からすれば、茶目っけを出して言った言葉に過ぎない。
しかし残った2匹は、その後どちらともなしに里の中に向かっていった。



数時間後、男が薬を貰って帰ってくると、里の一角で何やら人だかりが出来ていた。
何か見せものでもやっているのかと輪の中に入っていくと、2匹のゆっくりが一人の人間に飛びかかっている。
最初は攻撃されているのかと思ったが、どうもそうではないらしい。

「れいむをゆっくりたべてね!!」
「まりさはとってもおいしいよ!!」

自分を食べてと騒ぐ、実に鬱陶しい2個の饅頭
どこかで見たことがあるような面構えだ。
食べてと纏わりつかれている人間は、鬱陶しそうな顔で2匹を振り払っているが、2匹もしつこく食い下がる。
あの調子じゃ、いずれ人間に潰され……
あっ!! まりさが踏みつぶされた!!
隣で餡を盛大にまき散らしている相方を見ても、れいむはなお食べてもらおうと必死だ。
もしかして、あの団子はそういう団子だったんだろうか?
まあ、それも男にはどうでもいいことだ。
熱も引いていないので、家でゆっくりするべく、人の輪の中から抜け出して。
後ろからは、ベシャリと生々しい音が聞こえた。







?.ひらりマント


「ぱちゅりー、これはな〜に?」
「むきゅ!! これはひらりまんとというものよ!! これをつかうと、どんなこうげきでもかわしたり、はねかえしたりことができるのよ!!」
「ゆゆっ!! どんなこうげきでもかわせるの!! れいむ、ほしいよ!! これをつかって、にんげんのこうげきをかわしたいよ!!」
「ずるいよ!! まりさも、にんげんのこうげきをはねかえして、にんげんにかちたいよ!!」
「わかったわ!! それじゃあ、じゅんばんにつかってね!!」

ぱちゅりーは、まずれいむからと、マントをれいむに装着してくれた。
その姿は、我らがメタナイト様を彷彿とさせる姿である。
マントを纏ったれいむは、意気揚々と人里のほうに向かっていった。


「おにいさん!! れいむとゆっくりしょうぶしてね!!」

適当な一軒家を見つけると、運よく縁側に座っていた人間を見つけ、れいむは勝負を申し込んだ。
戦いを申し込まれた男は、ちょうど暇を持て余しており、また妙なマントを羽織ったれいむに興味を持って、からかい半分で勝負に乗ってやることにした。

「それじゃあ、まず俺の攻撃だ!!」

ゆっくりが死なない程度の速度でパンチを繰り出す男。
しかし、れいむが突如、待ったをかける。

「ゆっくりとまってね!!」
「あん?」
「こうげきをするときは、れいむのまんとにこうげきしてね!!」

そう言って、れいむは男に背を向けた。
男は訝しむも、素直にれいむの言い分を聞いて、マントにパンチを放った。
すると、直撃間違いなしのコースに放ったパンチは、ヒラリと横に逸れてしまった。
男は訳が分からず何度もパンチを繰り出すが、一向にクリーンヒットしてくれない。
そんな男に優越感を感じたのか、れいむは男のほうを振り向き、「ゆっふっふ!!」と高笑いを上げる。
さすがに、ゆっくりに馬鹿にされては、人間の立つ瀬がない。
男は、ちょうどこちらに向けた顔面にパンチを放つ。

「ゆびゃあっ!! なにずるのおおぉぉぉぉ―――――!!!」
「なにって、パンチだが?」
「まんとにこうげきしてっていったでしょ!! ゆっくりりかいしてね!! ぷんぷん!!」
「それはお前の都合だろ。俺がそれに従う義理はねえよ」

そう言って再度パンチを放つと、「もうおうぢがえるうううぅぅぅぅぅ――――!!!!」と、男に背を向け、れいむは森に逃げ帰っていった。
男はいい暇つぶしになったと、特にれいむを追いかけはしなかった。


森に帰ったれいむは、まりさと共に作戦会議を開始する。

「れいむのやりかたには、ちめいてきけってんがあったんだよ!!」
「ちめいてきけってん?」
「ゆっ!! つぎはまりさがいってくるよ!! ゆっくりれいむのかたきをとってくるからね!!」
「わかったよ!! がんばってね、まりさ!!」

そう言うや、れいむはマントをまりさに手渡した。
まりさは、まんとを口に咥えると、れいむが敗北した人間のところに飛び跳ねて行った。


「おにいさん!! こんどはまりさとゆっくりしょうぶしてね!!」
「あっ?」

れいむが居なくなり、再び暇を持て余していた男の前に、今度はまりさが遣ってきた。
しかも、口にはれいむが付けていた不思議なマントを持っていることもあって、れいむの敵打ちに来たことが丸分かりだ。
ちょうどいいと、もう一度構ってやることにした。

「じゃあ、こっちからいくぞ」
「ゆゆっ!! ゆっくりまってね、おにいさん!!」
「あん?」
「こうげきするまえに、まりさのからだのうえに、このまんとをかけてね!!」

まりさはそう言って、男にマントを手渡してきた。
敵に切り札を手渡すのはどうかと思ったが、まあいいかと、まりさの上にマントを掛けてやった。
マントがまりさの体全体を包み込んで、完全にまりさの体がマントの中に隠れる。

「ゆふふふふ!! これでまりさにしかくはないよ!! ゆっくりこうげきしてきてもいいよ!!」

まりさは完全にマントに包まれたこともあって、もう一切の攻撃は通用しないと自信満々だ。
マントで顔は見えないが、おそらく男を小馬鹿にしているような表情に違いない。
その自身が妙に腹が立った男は、掛けてやったマントを引っぺがし、まりさに蹴りを入れた。

「ゆびいいぃぃぃ――――!!!! なにするのおおぉぉぉぉ――――!!!」
「なにって、キックだが?」
「まんとにこうげきしてっていったでしょ!!」
「いや、れいむは言ってたが、お前はそんなこと一言も言ってないが……」
「とにかく、もういちどまりさにまんとをかけてね!! そして、まんとにこうげきしてね!! ゆっくりりかいしてね!!」
「うるせえ!!」
「ゆびゃあぁ!! まんどのうえがら、ごうげきしでっていっだのにいいいぃぃぃ――――!!! もうおうぢがえるううううぅぅぅぅぅ―――――!!!」

あまりにウザったかったので、まりさの言葉を無視して顔面に蹴りを入れると、まりさは男の手からマントを引っ手繰って、森の中に逃げ帰っていった。
ありゃもう一度来るなと思いながら、男は縁側で横になった。


「ゆううぅぅ……まりさのさくせんも、うまくいかなかったね」
「おにいさんがひきょうなんだよ!! まりさはまんとのうえからこうげきしてねっていったんだよ!! それをむしして、こうげきしてきたんだよ!! ぷんぷん!!」
「ほんとうにひきょうだね!! ぷんぷん!!」

2匹は、まったく持って的外れなことを口にする。
どうにかしてあの人間に一矢報いなければ気が済まない2匹は、何とか餡子を捻って作戦を絞り出す。
そして考えに考えた末、ようやく今までの反省点を生かした、画期的な作戦を思いついた。
これ以上にない名案に、まりさはニヤケが止まらない。
れいむにもそれを教えると、「それは名案だよ!!」と目を輝かせ、作戦遂行の準備に、森の中を駆け回った。


「はあ〜〜〜〜あぁぁ!! まったく、退屈だな……あいつら、もう来ないんかね?」

縁側で横になっていた男は、ボーッとれいむとまりさを待っていたが、一向に来る気配がなく、日差しに当てられ、眠気が襲ってきた。
徐々に瞼も重くなり、もう堪えられないといった時、奴らは現れた。

「おにいさん!! こんどこそ、れいむたちがかつよ!!」

れいむとまりさが、連れだって男の前にやってきた。
しかも今回は、ありす、ちぇん、みょん、ぱちゅりーも、後ろに控えている。
なかなか勝てないものだから、数で勝負に来たのかと思ったが、どうやら違うらしい。
後ろ4匹は、マントの4つ角をそれぞれ咥えると、その下にれいむとまりさが入り込んだ。
そして、マントの中から、偉そうなことを口にし出す。

「ゆっふっふ!! こんどこそまりさたちのかちだね!! みんながおさえているから、おにいさんはまんとをとれないよ!!」
「にげだそうとしても、もうおそいよ!! ゆっくり、ひきょうなてをつかったことをはんせいしてね!!」

まりさの考え付いた作戦。
それは、マントの4つ角を仲間たちに持っていて貰うことにより、男にマントを奪われないようにするというものである。
そして、その下に隠れることによって、2匹に攻撃する手段は一切無くなるのである。
この画期的な作戦に、2匹は完全勝利を確信した……が、

「ああ……まあ、その…何というか……あれだ。おまえたち……一応本気でやってるんだよな?」
「ゆっ? いまごろわかっても、もうおそいよ!! まりさたちは、てかげんしないからね!!」
「ゆっくりじぶんのしたことを、はんせいしてね!!」

男が呆れているというのに、2匹にはどうやら伝わら無かったようだ。
こうなっては行動で分からせてやるしかないだろう。
男は、とりあえずマントを咥えている4匹に、拳骨を入れてやった。

「「「「ゆぎゃああああぁぁぁぁぁ――――――!!!!」」」」

あまりの衝撃に、咥えたマントを落とす4匹。
その後、もう一発ずつ拳骨をくれてやると、「おうぢがえるううぅぅぅ――――――!!!」と、泣きながら森のほうへ飛び跳ねて行った。
後に残ったのは、マントとその下にいる2匹のゆっくり。
マントを被っていて外の様子は見えない物の、物音と4匹の叫び声で、大体の事情は察したのだろう。
2匹は喋らず、マントは小刻みに揺れている。
そうとう男が恐ろしいのだろう。だったら初めから喧嘩を売るなと言いたい。
男はマントを取ると、2匹に向かっておもむろに話し出した。

「お前たちがなんで俺に負けたか分かるか?」
「わ、わからないよ……ゆっくりせつめいしてね」
「ゆっくり説明してやろう。お前たちが負けた理由、それは攻撃できる箇所を残しておいたからだ!!」
「ゆっ?」
「簡単に言うとだな、お前たちは確かに安全だった。しかし、他の4匹は裸同然だ。そこを狙われたら、一溜まりもないだろう」
「でも、ありすやみょんをねらうのは、はんそくだよ」
「誰がそんなルール作ったよ。いや、もし有ったとしても、そんなもん守る馬鹿が何処にいる。弱点を攻めるのは、戦いの常識だ」
「ゆうぅぅぅ……」
「まあ、お前たちも今回頭を使ってきたことは、何となく分かった。そこで、俺が絶対に破れない鉄壁のガードを教えてやろう」
「ゆゆっ!! てっぺきのがーど!?」
「なあに、こうすればいいのさ」

男はそう言うと、マントを広げて地面に置き、その上に2匹を置いて、茶巾包みの要領で包み込むと、口を紐で縛った。

「どうだ、これで完璧だろ。しかも、もう弱点になるような箇所もないから、お前たちに触れられる奴は完全に居なくなったというわけだ」
「ゆゆっ!! すごいよ!!」
「こんどはぜったいにまけないね!!」
「おにいさん!! もういちどしょうぶだよ!! こんどは、まりさたちのかんぜんしょうりだよ!! あやまるならいまのうちだよ!!」

茶巾の中から、偉そうな声だけが聞こえてくる。
これをしたのは男だというのに、すぐに忘れ自分の手柄のようにするところは、ゆっくりらしいといえばゆっくりらしい。
2匹は今度こそ男に勝てると意気込んでいるが、男は攻撃するではなく茶巾を抱えると、それを家から遠く離れた木の枝にぶら下げた。
そして、2匹を放って家に戻って行く。
男が去った後も、2匹は茶巾の中から、攻撃してこいと挑発を繰り返す。
男は、しばらく縁側で横になりながらその様子を見ていたが、次第に瞼が重くなって、そんまま寝てしまった。


数時間後。

「なんでこうげきしてこないのおおおぉぉぉぉぉぉ――――――!!!!」
「ゆっぐりここがらだじでええぇぇぇぇぇぇ――――――!!!!」

2匹は、初めこそいつ男が掛かってくるのかと待ち遠しかったが、男が中々掛かってこなくて次第にじれったくなり、遂にはマントの中で泣き出してしまった。
しかし、出たくても出ようがない。
人間の力で結んである紐がゆっくり風情に解けるわけないし、食い千切ろうにもマントはあらゆる攻撃を防ぎ切る絶対防御のマントだ。
つまり2匹が茶巾の中から出るには、男が出す以外手はないのである。
しかしながら、男は腹がすいたと、外に食事をしに出かけていってしまった。
すでに、2匹のことなど頭の片隅にも残ってない。

「「だずげでええぇぇぇぇぇぇ―――――――――――!!!!!」」

男がそれを思い出すまで、2匹は延々とマントの中に閉じ込められたままである。
いや、もしかした、一生思いださないままかもしれない。







?.グルメテーブルかけ


「ぱちゅりー、これはな〜に?」
「むきゅ!! これはぐるめてーぶるかけというものよ!! これをひろげてたべもののなまえをさけぶと、たべものがでてくるのよ!!」
「ゆゆっ!! たべものがでてくるの!! れいむ、ほしいよ!! いっぱいおいしいものをたべたいよ!!」
「れいむだけずるいよ!! まりさもおいしいものを、いっぱいたべるよ!!」
「わかったわ!! それじゃああなたたちにあげるから、じめんにひろげて、ともだちみんなといっしょにたべてね!!」

れいむとまりさは、2匹仲良くテーブルかけを運んで行った。
いつも仲間たちが集まる広場に行くと、都合よく友人一同が会していた。

「ゆゆっ!! まりさ、れいむ!! それはなにかしら?」
「これは、ぐるめ……えっと、ぐるめ……とにかく、たべものがいっぱいでてくるものだよ!!」
「わかるよー!? たべものがでてくるよー!?」
「ちーんぽ!!」
「ぱちゅりーがみんなでたべてねっていってたよ!! みんなでいっぱいごちそうをたべようね!!」

2匹は、テーブルかけを地面の上に広げた。
一同は、テーブルかけを中心に輪を作る。

「まずさいしょに、まりさがたべものをだすよ!!」
「がんばってね、まりさ!!」
「ゆっ!! むしさ〜ん、いっぱいでてきてね!!」
「わくわく!! わくわく!!」

しかし、一向に虫は出てこなかった。

「ゆっ? むしさん、でてきてねっていってるでしょ!!」

しかし、やはりまりさの言うことを聞かず、虫は出てきてくれなかった

「ゆゆゆっ!! ゆっくりまりさのいうことをきかないどうぐさんは、ゆっくりしね!!」

怒ったまりさは、テーブルかけに乗り込み、ピョンピョン跳びはねる。

「ゆっくりはんせいしてね!! ゆっくりまりさのいうことをきくなら、ゆるしてあげるよ!! こんどはちゃんと、まりさのいうことをきいてね!!」

そう言って、テーブルかけから降りる。
そんなまりさに、ありすが助言を入れる。

「ねえ、まりさ!! むしさんなんて、いつだってたべられるわ!! たべられないものをだしましょうよ!!」
「ゆゆっ!! めいあんだよ!! まりさ、ゆっくりあまあまをたべたいよ!!」

あまあまとは、人間のお菓子のことである。
かつて優しい人間に貰ったクッキーは、それはそれは絶品であった。
まりさの人生観を変えた食べ物であるといってもいいくらいだ。
虫なんていつでも食べられる。やはりここは、あのあまあまを取り出すべきだろう。

「ゆゆっ!! ゆっくりあまあまをだしてね!!」

テーブルかけは反応しない。

「ゆー!! ゆっくりあまあまをだしてっていってるでしょ!! ばかなの!!」

しかし(ry

「こんなやくただすは、ゆっくりしね!!」

まりさは再びテーブルかけに乗り込み、暴れ出す。
他の仲間たちも、期待していたものが出ないとあって、やり場のない怒りを抑えられず、まりさ同様、テーブルかけの上で暴れまわった。
下が地面だということもあり、テーブルかけはすっかりボロボロになってしまった。

「ゆー!! ぱちゅりーにだまされたよ!! ぱちゅりーはうそつきだよ!!」

すっかりぱちゅりーに騙されたと思い込むゆっくり一同。
しかし、ぱちゅりーが騙したわけでもなければ、テーブルかけが故障したわけでもない。
グルメテーブルかけ。
その名の通り、一流のグルメすら舌を巻くほどの料理が出てくるテーブルかけである。
しかも、料理を出すための条件は、その料理の名を出すだけというお手軽さ。
機械に対する知識も、料理に対する知識も、食事のマナーさえも必要ない。
いつでもだれでも、最高の食事を得ることが出来るという、もし大量生産されれば、世界の食事事情や飲食業界を1日で転覆させるような代物である。
あるのだが……



あまあま


これがはたして料理の名前と言えるだろうか?
所詮、野生に暮らしていたゆっくりにとっては宝の持ち腐れに過ぎないのである。

「ゆゆっ!! いまからうそつきのぱちゅりーをみんなでやっつけにいくよ!!」
「「「「ゆー!!!」」」」

……ゆっくりとは実に悲しい生き物である。







?.進化・退化光線銃(進化退化放射線源)

「ぱちゅりー、これはな〜に?」
「むきゅ!! これはしんか・たいかこうせんじゅうというものよ!! いろいろなものをしんかさせたり、たいかさせたりすることができるのよ!!」
「ゆゆっ!!なんでもしんかさせたり、たいかさせたりできるの?」
「もちろんよ!! ものでもゆっくりでも、じゆうじざいよ!!」
「まりさ、しんかしたいよ!! しんかして、どすまりさよりもにんげんよりもつよくなりたいよ!!」
「れいむもしんかしたい!!」
「わかったわ!! それじゃあ、まりさからしんかさせてあげるわ!!」

ぱちゅりーは、銃のダイヤルを「進化」に合わせる。

「まりさ!! ゆっくりそこにたってね!! いまからじゅうをつかうわ!!」
「ゆっくりりかいしたよ!!」

ぱちゅりーは銃を地面を咥えると、トリガーを引いた。
ちなみに、ぱちゅりーが銃を使えるのか? なんて空気の読めないことを言ってはいけない。
こういうことは、その場のノリで簡単に出来るものなのである。
みんなも衣玖さんを見習ってね!!

銃から光が照射され、まりさを包み込む。
まりさの体は徐々に大きくなり、皮も厚くなって、手や足が出現した……なんてことはなかった。

「ゆっくりおわったわよ!! どう、まりさ、きぶんは?」
「まりさ!! ゆっくりどこがしんかしたの?」

見た目は全く変わっていない。
なら変わったのは、きっと頭の中だろう。
今のまりさは、ドス以上に発達した餡子脳を持っているに違いない。
しかし、2匹が尋ねても、まりさはさっぱり返事を返してくれない。

「むきゅ? どうしたのかしら?」
「まりさ!! ゆっくりへんじをしてね!!」

しかし、やはりまりさは答えてくれない。
業を煮やしたれいむは、「ぷんぷん、もういいよ!!」と、無視するまりさに構うのを止めた。

「ぱちゅりー!! つぎはれいむをしんかさせてね!!」
「……むきゅ、わかったわ!!」

まりさが気になりはしたものの、何か考えがあってのことに違いないと考えなおす。
何しろ、今のまりさは進化したスーパーまりさなのだ。
ぱちゅりーには思いもつかないことを、いろいろ考えているのだろう。

「れいむ!! それじゃあうつわよ!!」
「ゆっくりうってね!!」

ぱちゅりーは、先ほどのように銃を咥え、トリガーを引こうとした。
しかし、そこで重大な事件が起こってしまった。
ぱちゅりーが咥えていた銃をうっかり落としてしまい、その拍子にダイヤルが「退化」に変わってしまったのである。
ぱちゅりーはそれに気付かず、再び口に咥えると、ゆっくりトリガーを引いた。
光線がれいむを包み込む。

「れいむ、おわったわ!!」
「ゆゆっ!! これでれいむもしんかしたんだね!!」
「そうね!! でも、どこがかわったのかしら? まりさとおなじく、あたまのなかかしら? どう、きぶんは?」
「ゆぅぅ……かわってないとおもうよ」
「じゃあ、きっとれいむは、あたまじゃなくてからだがつよくなったのね!! みためはかわってないけど、きっとものすごくつよくなってるはずよ!!」
「ゆゆっ!! つよくなってるの!? それじゃあれいむ、にんげんさんのところにいって、おやさいをてにいれてくるよ!! もうにんげんさんなんて、こわくないよ!!」
「きをつけてね、れいむ!!」

ぱちゅりーとれいむを置いて、れいむは嬉しそうに里へと跳びはねていった。
ぱちゅりーは、まりさの方に目を向ける。
まりさはまだ考え事をしているのか、全く動かない。まるで人形のように固まっている。

「……むきゅ?」

ぱちゅりーはおかしいことに気づいた。
まりさは動かなすぎるのだ。
どんなに考え事をしていようと、多少は体が動くはずだ。
なのに、まりさは微動だにしない。
まるで本物の饅頭のように……

一方、その頃、れいむは……

「ゆぎゃああああぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ――――――――――――!!!! なんでれいむがまげるのおおおおおぉぉぉぉぉ――――――――――!!!」

畑を耕している人間の目の前から堂々と入り、野菜を寄こせと要求する。
男が寄こすはずもなく、れいむは男を倒すべく、渾身の体当たりを仕掛けた。
しかし、男はあっさりそれを交わすと、れいむを鍬で滅多打ちにした。

「でいぶはしんかしだはずなのにいいいいいぃぃぃぃぃぃ―――――――――!!!!」

それを断末魔の言葉に、れいむはあっさりと息を引き取った。



進化・退化光線銃。
物に光線を当てれば、進化させたり退化させたり思いのままの銃である。
しかし、まりさは無機物のように固まり、れいむは進化の後も見られずこの世を去った。

ゆっくりの進化。それは、人に食べられる饅頭であると、銃は認識したのだろう。
食べられない饅頭は、もはや饅頭ではない。
結果、まりさは完全な饅頭へと「進化」したのである。

片や、退化の光を浴びたれいむは、何も変わらなかった。
どんなに光を当てようと、ゆっくりはこれ以上退化しようがない。
なぜなら、すでに存在自体が最底辺なのだから。
れいむはどんなに光線の光を浴びようと、「退化」するはずがないのである。

さすがはゆっくりである。








〜fin〜

相変わらず、ぱちゅりーはどこから道具を手に入れてくるのだろうww




今まで書いたもの

ゆっくりいじめ系435 とかいは(笑)ありす
ゆっくりいじめ系452 表札
ゆっくりいじめ系478 ゆっくりいじり(視姦)
ゆっくりいじめ系551 チェンジリング前
ゆっくりいじめ系552 チェンジリング中
ゆっくりいじめ系614 チェンジリング後?
ゆっくりいじめ系615 チェンジリング後?
ゆっくりいじめ系657 いい夢みれただろ?前編
ゆっくりいじめ系658 いい夢みれただろ?後編
ゆっくりいじめ系712 ゆっくりですれ違った男女の悲しい愛の物語
ゆっくりいじめ系744 風船?
ゆっくりいじめ系848 風船?
ゆっくりいじめ系849 風船?
ゆっくりいじめ系936 カルガモとゆっくり 前編
ゆっくりいじめ系937 カルガモとゆっくり 後編
ゆっくりいじめ系938 カルガモとゆっくり おまけ
ゆっくりいじめ系960 ゆっくりにドラえもんの道具を与えてみた
ゆっくりいじめ系1702 三匹のゆっくり 1
ゆっくりいじめ系1703 三匹のゆっくり 2
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最終更新:2008年12月11日 21:49
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