美鈴×ゆっくり系7 ゆっくりめーりん

幻想郷でもひときわ目立つ真紅の建物。紅魔館。
悪魔の館と名高いそこには、とても綺麗な紅い髪をした妖怪がいた。
紅美鈴。
紅魔館の門番である。

美鈴は困っていた。
ここ連日、なぜかゆっくり霊夢とゆっくり魔理沙の大群が、この紅魔館を目指して襲撃してくるのだ。
一週間で、少なく見積もっても500匹は叩き潰したはずだ。
ゆっくり種というのは、簡単に言えば「動いて喋る饅頭」だ。決して妖怪ではない。
岩魚坊主と似た類の妖怪かと思っている人間もいるが、絶対に違う。あえて言うならナマモノだ。

ただの饅頭にスペルカードルールは適用されない。
わざわざ弾幕を張る必要がない戦闘。いや、殺し合い。むしろ虐殺。
拳打の一撃、足刀の一撃が文字通り必殺となって、ゆっくりたちを引き裂いていく。
美鈴は久しぶりの運動に心身が喜ぶのを感じていた。が、それも最初の二、三日だけだ。
四日目からは弾幕を織り交ぜた。
運良く接近してきたゆっくりたちも打撃で潰した。
五日目はもう、弾幕を張るのも億劫になって、気でやたらめったら吹き飛ばした。
その技に名前はなかったが、あえてつけるなら、かめはめ……とかそんな感じで吹き飛ばした。

そして、八日目の今日、美鈴は門を離れ、紅魔館周辺の森林に潜りこみ、元凶を探していた。
今、紅魔館門前には門番隊六大天王が陣取っている。
六大天王とは、門番メイドの中でも選りすぐりの精鋭で、虹符「彩虹の風鈴」の後に出てくるあいつらのことだ。
妖精ではあるが、ゆっくりなんぞが束になっても太刀打ちできるような相手ではなかった。

鬱蒼と茂る木々の間を、紅い髪が流れるように移動していく。
美鈴の服は暗緑色なので、森林のなかでは、普通に保護色の役目を果たしていた。
なんという、偶然ッ!!!
やがて美鈴の広域レーダーに特異な気配がひっかかった。多い。200は蠢いている。
美鈴はこのレーダーに「円」と名前をつけている。最大半径約2kmのスグレモノだ。紅魔郷ではこれを使って、接近する紅白と白黒の迎撃に向かった。
結果は言わずもがな。

やがて、森の中でも一際暗い、多くの葉に包まれた場所に出た。
食肉植物が生息していても不思議ではないほどだ。美鈴はそこらじゅうに点在するゆっくりの姿を認めた。
それぞれが談笑し、思い思いにゆっくりしている。全てひとつの群れのようだ。
美鈴は一度目を閉じ、みっつ数えてから目を開いた。すでに戦闘モードに移行している。
「……っ!!」
不意打ちに声をかける馬鹿はいない。
美鈴は飛び出し、着地すると同時に強く足を大地に打ちつけた。
森が揺れる。
数多の木の葉がひらひらと落ち、リスなどの小動物は巣へと逃げ帰り、鳥の群れは空へと飛び立っていった。
美鈴はあたりを見回すと、ゆっくりに生き残りがいないことを確かめた。
今のは、足から放出した膨大な気を、大地に伝播させて広範囲の敵を屠る必殺の魔技だ。
人間が死ぬ程度の威力を持たせ、放った結果、先ほどまで存分にゆっくりしていたゆっくりたちは、皆そのままで死んでいた。
まるで死んでいるとは思えないほどに綺麗な顔をしていた。

「!?」
美鈴は気配を察知し、向き直る。そこは大きなしだの葉で巧妙に隠されていたが、洞穴があった。
巨大な気配はそこから出ていた。
よもや今ので死んでいないとは!そう思い飛び込む。
「んなにぃっ!?」
驚愕の声。その洞穴には巨大なゆっくり霊夢とゆっくり魔理沙がいた。
「だれ?ここはれーむとまりさのおうちだよ!ゆっくりでていってね!」
「まりさたちはおねーさんとゆっくりしてるひまなんかないの。じゃぁね!ばいばい!」
大きい。
高さは美鈴よりも高い。2メートルほどだろうか?
その表面に触る。どこか滑らかで確かな存在感を持ったそれは、もはや饅頭の感触ではなかった。
「あんたたち、身篭ってるね?」
「ゆ?み=ご?もってないよ?」
「そんなゆごすのいきものなんかしらないよ」
「あ~~~、お腹ン中に子供がいるでしょ?」
なんだか意味の分からないことを言い返されたので、馬鹿でもわかるように言い直した。
とたんに朗らかになる二匹。子供が出来るのはどんな生き物でも嬉しいことなのだろう。とても幸せそうだ。
美鈴は慎重に気配を探る。これは?
「……やたら重なってる?ひょっとして」
思い浮かぶは先刻の光景。洞穴の前、おそらく、ゆっくりできる庭としていたであろうあそこに、思い思いにたむろしていた多数のゆっくり。
「外にいたやつらは、あんたらの子供?」
「ゆ!?こどもたちにあったの?どう、どう?」
「と~ってもかわいかったでしょ?ゆっくりめでていってね!」
「全員ブチ殺してやったわよ」
静寂。
「どぉしてそんなことしたのぉぉぉおおおぉぉおっぉっっ!!!」
「ゆるせない!ゆるせないよ!!おねー、おばさんはゆっくりしね!!」
怒気が膨れ上がった。洞穴内で渦巻くそれはまるで暴風のようだ。
「ハッ!望むところよ!こちとら食えない饅頭を叩き潰す日々にくさくさしてたんだ!お前らで鬱憤を晴らさせてもらう!!」
怒っているのはこちらも同じ。
この洞穴で、2メートルものゆっくりは飛び跳ねることは出来ない。天井がすぐそこにあるのだ。
では、この二匹の巨大ゆっくりたちはどうしたか?簡単だ。ただ美鈴に向かって倒れただけ。
しかもここまで巨大化するまでに、それなりの経験を蓄積したのか、空気を吸い込み出来るだけ転がりやすい形になっている。
相手が人間であればそれで終わっていただろう。そう、ただの人間であれば。
しかし紅美鈴は妖怪だった。
それをただ手を添えるだけで止めてしまった。
「ゆ?」
「ゆゆ?」
「てめぇら、おもてぇ出ろぉ~っ!!!」
巨大ゆっくりの表面を掴み、思い切り引っ張って無造作に投げ飛ばした。
「ゆぅううぅぅ~~~っ!?」
「ゆゆゆゆゆ~~~!?」
暗い洞穴を、地面と平行に飛んで生き、入り口を覆っていた葉を突き破り、陽光の下にさらされた。
「ゆげぇっ!?」
「ゆっぐ!!」
ずんっと音を立てて着地する巨大ゆっくり。
「ゆゆゆゆゆ」
「ゆ~~~」
痛みで身動きがとれないのか、ぶるんぶるんと揺れている巨大な塊。追って洞穴から飛び出す紅い髪の妖怪。
その澄んだ青い目は殺る気に満ち満ちていた。
だが巨大ゆっくりはすでに戦意を喪失していた。最大の攻撃だった押しつぶしが通用しなかったのだ、まだ飛び掛るというのが残っているが、身重でそれはできない。
「ゆっゆ!ゆっくりゆるしてね!ゆっくりごめんなさい!」
「おばさんっていったことはあやまるよ!ゆっくりさせてね!!」
「…………」
つかつかと近づく美鈴。そのまま平手打ち。中身が詰まっているからとてもいい音が森に響いた。
「ぶぎゅぅぇっ!」
「れいむぅうぅっ」
「お前も!」
「ゆげぇっ!」
「まりさぁぁああっ」
「うっさい!」
このまま殴り殺しても美鈴の気が晴れない。ぴたぴたと二匹の表面を撫でる美鈴。
「ゆっゆふふふふっ!ゆふっゆふっ!くっくっくすぐぐぐぐ」
「ゆっふっふふふふふ!や、やめてね!くすぐったいよっほほほほほ」
「ここか」
ずぶおぉっ!
「……っ!!」
思い切り息を吸う巨大ゆっくり霊夢。次の瞬間、
「あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛!!!!」
「れ゛、れ゛い゛む゛ぅう゛ぅ!」
美鈴の腕は巨大ゆっくり霊夢の腹に刺し込まれていた。
いや、刺さっているわけではない。もともと開いている穴に突っ込んだだけだ。
口ではない、もっと下。そう、産道にだ。
そのままもぞもぞと動かす。
「う゛あ゛っ!う゛あ゛っ!う゛あ゛っ!う゛あ゛っ!う゛あ゛っ!」
「へぇ~、あんた達の中ってこんなんなってるんだぁ~」
「や゛、や゛め゛でぇ~~~!れ゛い゛む゛がじん゛ぢゃう゛ぅう゛ぅぅぅ~~~!!」
「あ、これってあんたたちの赤ん坊?」
「ぶぶぶぶぶぶぶぶ」
「な、おねーさん、なにするきなのぉっ!?」
「ごたいめ~~~ん♪」
じゅりゅりぃっ。
美鈴の細腕の先には粘液にぬめったゆっくり霊夢が掴まれていた。
しかしまだ早かったのだろう、未熟児どころか、まだ目、鼻、口が開かれておらず、皮と髪の区別もなくリボンなどは影も形もない。
「なに、こいつ。変なの」
「れ、れいむのあ゛がぢゃん、かえ゛ぢでぇ。お゛な゛がに゛も゛どじでよぅ、まだゆっぐりざぜないどだめなのぉお」
「ふ~ん」
「がえぢでぇっ!もどじでよぅっ!!」
「うるさいなぁ。ほれ」
美鈴は浮かび上がると、手に持った物体を巨大ゆっくり霊夢の口に入れてやった。
「!?!!?」
「ちゃんとおなかにもどさないとね」
そのまま腕を肩まで突っ込んで、喉の奥まで入れてやる。
「お、おねぇいさ~~~ん!なにじでるのぉおおおおお!!」
巨大ゆっくり魔理沙が蒼褪めながら叫んだ。巨大ゆっくり霊夢のほうは、目を紅白させてがくがくと震えている。
「ん?おなかに入れてあげたんだよ?アレが自分で言ったでしょ、お腹に入れてって」
「ち、ちがうよぅぅおぉぉおおおぉぉお!!ちがうおなかだよおぉぉぉぉぅぅぅっぅ!!!」
「へー、そうなんだ~」
「う゛っう゛あ゛っう゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛っ」
巨大ゆっくり霊夢がいまさら叫ぶ。見れば涙を流しているではないか。身体が大きいから流す量も相当で、すでに地面には水溜りが出来上がっている。
「そういえばあんたたちの中に何匹詰まってんのさ?気配が重なり合っててよくわかんないんだよね、50匹くらいかなぁ?」
「っぴぃ!?」
「あっははははは!なぁにぃ?ぴぃって、鳥のまね?」
「や、やめてね!おねがいだからやめてね!」
「あんたは後回しだよ」
美鈴は巨大ゆっくり霊夢に向き直った。
「そうそう、逃げても無駄だよ。あんたたちの臭いは覚えた」
再び刺しこまれる美鈴の腕。
「ゆっぎゃぁああぁあああぁぁぁあああああっ!!!」
「そぉれ!いっぴきにひき~さーんびきよぉ~んひきごひきろぉ~っぴきなぁな~ひき」
「あ゛う゛っあ゛う゛っあ゛う゛っあ゛う゛っあ゛う゛っあ゛う゛っあ゛う゛っ」
お腹の中をかき回しては、引きずり出して、ごみのように投げ捨てる美鈴。
べちゃりべちゃりべちゃり、と音を立てて崩れていく未成熟のゆっくりたち。
二匹の目には紅い髪をした悪鬼にしか見えないに違いない。

おおよそ5分後、鬱蒼としていた植物たちは、饅頭の色をしたねろねろの物体に蹂躙されていた。
「ん~~~?もう打ち止め?赤玉なんか出てないゾぉ~?」
美鈴は、産道に刺しこんだ腕を肩までめり込ませて中を探っている。
巨大ゆっくり霊夢の胎内はこれ以上ないほどにかき回されていた。
「ゆっくりしていってね!ゆっくりしていってね!ゆっくりしていってね!ゆっくりしていってね!ゆっくりしていってね!」
「おーい、話聞いてる?」
「ゆっくりしていってね!ゆっくりしていってね!ゆっくりしていってね!ゆっくりしていってね!ゆっくりしていってね!」
「蓄音機か?」
「ゆっくりしていってね!ゆっくりしていってね!ゆっくりしていってね!ゆっくりしていってね!ゆっくりしていってね!」
「いや、もういいから」
「ゆっくりしていってね!ゆっくりしていってね!ゆっくりじでっ!!」
美鈴は肩口まで突っ込んだ腕をそのまま持ち上げるように動かし、巨大ゆっくり霊夢を縦に引き裂いた。
顔面を真一文字に切り裂かれ、餡子をブチ撒ける巨大ゆっくり霊夢。死んだのか、そのままぺちゃりと潰れていった。
「あらら、潰れちゃった。まぁ中身もあんまり残ってなかったしねぇ」
まるで血振るいのように、腕を振り粘液を落とす美鈴。すでに巨大ゆっくり魔理沙に向かっている。
「ゆふふゆふゆふゆふふふ」
気が触れてしまったのか、薄ら笑いを続ける巨大ゆっくり魔理沙。口からはよだれが垂れていたが、涙は枯れていた。
そんな巨大ゆっくり魔理沙にぽんっと軽く手を触れると、焦点の合っていない目が次第に鮮明になっていった。
狂気の世界に旅立った巨大ゆっくり魔理沙を正気の世界に引き戻したのだ。
気を扱う程度の能力ならではの荒業であろう。
「ゆ?ゆゆゆっ!?れ、れいむ?れいむ、だいじょうぶ!?」
「んにゃ、お亡くなりになりました」
「れ、れ゛い゛む゛ううううう!!!」
絶叫。
しかしそれに応えるものはもういない。
「いやぁ、50匹は詰まってるとは思ってたけど、凄いね!90匹近く入ってたよ」
「ゆ、ゆっくりさせてね!おねがいだよぅ!!おねがいじばずっ!!ぎれ゛い゛な゛お゛ね゛ーざん゛!!」
「わかった。ゆっくりしてあげるね♪」
ずぶり。
「ゆっぎゅぅうううぅうぁあぁぁぁぁっん!!!」
ゆっくりと産道に刺し込まれてくる長い異物。巨大ゆっくり魔理沙の視界がぱちぱちと発光したように眩しくなる。
神経がショートしているのだろう。
「お、いたいた。そぉれ!い~ち!にぃ~い!さぁ~ん!よぉ~ん!ごぉ~お!ろぉ~くぅ!なぁ~な!」
巨大ゆっくり魔理沙のお願いどおり、ゆっくりと取り出していく美鈴。おおよそ10秒に一匹のペースだ。
巨大ゆっくり霊夢と同じだけ入ってるとして、約15分も地獄の責め苦を受けることになる。
そして、美鈴が極力正気を保つように気を操作しているので狂ってしまうことも出来ない。
「あ゛っぎゅん!あ゛っぎゅん!あ゛っぎゅん!あ゛っぎゅん!あ゛っぎゅん!あ゛っぎゅん!あ゛っぎゅん!」
巨大ゆっくり魔理沙はなんで自分達がこんな目にあっているのかわからなかった。

約15分経過。

巨大ゆっくり魔理沙も随分とぺっちゃりとしていた。皮がたるみ、当初の張りと艶が夢だったかのようにべろべろだ。
美鈴の背後には、まだ多くの粘液に包まれた物体が点在していた。
やはり打ち止めなのか、巨大ゆっくり霊夢の時と同じく肩口まで産道に腕を突っ込み、胎内を引っ掻き回している。
「ぼも゛っ、も゛う゛や゛べでね゛っ!も゛う゛な゛に゛も゛な゛い゛よ゛ぅ!!ぜん゛ぶでぢゃっだの゛ぉぅっ!!」
「う~ん、こっちも100の大台にはいかなかったかぁ、残念」
「お゛ね゛がい゛でず!ゆ゛る゛ぢでぐだざい゛!ごべん゛な゛ざい゛!ゆ゛づじでぐざざい゛!」
「もう怒ってないよお」
「……ぼん゛どぅでづが?」
「もちろん」
「あはっ、あははっあははははは。ゆっくりしていってね!!!ゆっくりさせてね!」
「さ、次は全部お腹に戻してあげるね♪」
「えっ」
「お友達のゆっくりの分もぜ~んぶ、お腹に戻してあげる♪」
「い」
「い?」
「いやぁあぁぁぁああああああああっ!!!ゆっくりさせてね!ゆっくりさせてね!ゆっくりさせてね!ゆっくりさせてね!」
「うぉい、またか」
「ゆっくりさせてね!ゆっくりさせてね!ゆっくりさせてね!ゆっくりさせてね!ゆっくりさせてね!ゆっくりさせてね!」
「ふぅ」
「ゆっ!」
美鈴のしなやかな人差し指が巨大ゆっくり魔理沙の眉間に深々とめり込んでいた。
たったそれだけで巨大ゆっくり魔理沙は声を発することが出来なくなってしまった。
「……!……!!~~~~~!!!~~~~~!?」
口をぱあくぱあくと動かすがそこからは何の音も発しはしない。
「さぁ、お片づけの時間ですよ?」
美鈴の蒼い目がぞっとするほど綺麗に深まった。



終わり。

美鈴大好きです。でも変にノってしまって、こんな話に。美鈴好きな人たち、ごめんなさい。

著:Hey!胡乱

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最終更新:2008年09月14日 05:20
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