ゆっくりれみりゃ系いじめ64 だいえっと

 もふもふとおからを食べているれみりゃの横で、僕はうむむと考える。
「れみりゃ、ちょっと太った?」



 だいえっと



「そんなことないど~!おぜうさまは、いつでもないすばでーだどぅ☆」
 そう言いながらも皿一杯のおからを平らげようとしているその様はまさに餓鬼。
 一度気づいてしまうと、れみりゃが全然えれがんとな生き物じゃなく見えてきたから不思議だ。
「ないすばでーて…どう見ても、うちに来たときより五割増しで太ましいよね?」
「そんなことないどぅ!かりにふとましいとしても、ふとましいというなのないすばでーだど♪」
 なんてこった……育て方を誤ったかな。
 まるで”自分が太っているなら、太っているもののほうが好ましいのだ”とでも言いたげに胸を張るれみりゃを見て、
(こいつあれじゃねえか……養蓄所に居て……ぶひぶひ鳴いてるあれ……)
 との考えを必死に押し殺す僕。
 というか、栄養価の低いはずのおからを食べさせているにも関わらず太るんだから大概だ。
「れみりゃ!こんなことじゃ駄目だ!
 もとの痩身のれみりゃに戻るんだ!!」


 * * * *


 というわけで、森へやってきた。
「さあれみりゃ、ゆっくりを追い回して遊ぼうね」
「あう~……」
 れみりゃは不機嫌だ。

 久しぶりの外出ということで当初は機嫌よさそうにしていたのだが、一度風が吹いただけで、
「さむいどーー!!こーまかんにもどっておちゃにするどーー!!」
 などと言いだした。
「そんな弱い子に育てた覚えはありません。お外でゆっくりしましょうね」
「やだどー!はなすどーー!!」
 僕はれみりゃをむりやり引っ張って森の入り口までやってきたのだった。
 とりあえずここまで来てしまえばこちらのものだ。れみりゃは独力で僕の家まで帰り着くことはできないし、
 ゆっくりを見れば野生の本能でどうにでもなるはずだ。


 なるはずだと思っていた。
「ほ、ほられみりゃ!おいしいゆっくりだよ!」
「あう、ゆっくりだどぉ~。ゆっくりしてるどー」
 物陰からゆっくりを見せても、あまり興味を示さないれみりゃ。
「飛んでって、むしゃむしゃしなさい!するの!」
「あんなのよりぃ~、おにーさんのごはんのほうがおいしいどぅ♪」
 やはり、生活に困らないということが体ばかりか精神にも贅肉をつけてしまったらしい。
 人間とてままあること、れみりゃばかりを責めることはできないが……
「あれを食べないんだったら、おからはもうあげません!ぷっでぃーんなんてもってのほか!
 れみりゃの嫌いな野菜食べさせるからね!」
 僕の脅しで、しぶしぶれみりゃは歩いていく。
「まさか、飛べなくなったわけじゃないよな……」
 僕はげんなりとしながら、その後姿を見守る。

 とぼとぼと歩くれみりゃを、ゆっくりの方が先に発見した。
「れみりゃだ!ゆっくりにげるよ!」
「あうー!まつんだどぉーー!!」
 れみりゃはやる気なさげにとてとてと歩いて、跳ねるゆっくりを追う。
 しかし、れみりゃの鈍重な歩みよりも速くゆっくりは逃げ去った。
 とてとてと戻ってきて、
「あう、だめだったどぉー。おぜうさまにもふでのあやまりだど♪」
 へらへらと笑うれみりゃ。
 僕の怒りが限界点を超えた瞬間だった。


「(にこにこ)」
「あう?もうゆっくりいないからおいかけられないどぅ?
 こーまかんにかえるど!」
「(にこにこ)
……そうなんだ、良い考えだね。
 ゆっくりが居なければ追いかけなくて済むもんね」
「そうだどぅ!こーまかんにかえってゆっくりするど!」
「(にこにこ)
 僕の買ってあげた”紅魔館”(ゆっくり用の飼舎)に帰るんだね?」
「あぅ♪そーだどぅ♪」
「僕の言うこと聞かないのに?」
「……こ、こーまかんはおぜうさまのだどぅ!だからいいんだど!」
「そんな勝手が……通用するかこの豚!!!!!!!!!!」
「あばぅぅぅぅ!!!おにーざんごわいどぉぉぉぉ!!!!」


 * * * * 


 結局野生のゆっくり狩りができなかったれみりゃのために、僕は次の手を考えた。
 知り合いからふらんを借りてきて、れみりゃと一緒にさせる。
「あう~♪かわいいいもうとだどー!
 おねーさまのえれがんとさによいしれていいどぅー!」
「あうー♪ゆっくりしね!!」
「ぎゃおー!!」
 あーあ、言わんこっちゃない。
 馬乗りになってれみりゃを殴り倒すふらんを眺めながら、僕は運動施設の改築に取り掛かる。
「おにーざんたずけて!!ふらんがいじめるど!」
「ゆっくりしね♪ゆっくりしね♪」
 れみりゃはふらんから必死で逃げ回っている。それも少しは運動になるだろう。
「もうちょっと待ってね、新しい運動場ができるからね」

 準備ができたので、ふらんをれみりゃから引き離してやる。
「あうー…ごわがっだどぉぉぉ……」
「ねーさまぜんぜんえれがんとじゃないぃ♪しーね!しーね!」
 僕はれみりゃの腰に紐を巻きつけた。
「あう?」
 紐は、割り竹を束ねて作った柵に固く結わえ付けてある。
「ふらんはこっちね」
 ふらんを柵の向こう側に、れみりゃを柵のこちら側に置く。
「よーし。れみりゃ、ふらん、追いかけっこだ」
「きゃははは!ねーさまぶざまににげてぇ♪つかまえてあげるぅ♪」
「やだどぅぅぅぅぅ!!!」
 れみりゃは必死に逃げるが、腰紐があるので竹の柵を引っ張る形になる。
 もっと分かりやすく言えば、弓を引くような運動だ。
「ぜんぜんすすまないどー!ふらんいやだどーーーー!!」
「きゃはははっ!まってまってぇ♪」
「ふぬむむむ!!!!!ううううう!!!!」
 実は威嚇するだけで、必死には追っていないふらんにおびえ、一生懸命に前へと進もうとするれみりゃ。
 いいぞ、もっと頑張れ。
「いだいのやだどーーーー!!!」
「つかまえたらぼこぼこにしちゃうんだから♪」
「あう!!!」
 その時、れみりゃが足を滑らせた。竹の張力に引き戻される。
「あうー♪おそらをとんでるど……ぅぅぅぅ!!??ふらんやぁぁぁぁ!!??」
「しー……ねっ!」
 すごい勢いで戻ってきたれみりゃを、ふらんは拳を突き上げて迎え撃つ。空手か何かの技で昇竜拳というやつだ。
「いぢゃいぃぃぃぃ!!!!!」
 かこーんといい音を立ててふっとぶれみりゃ。正面衝突したにもかかわらずふらんはまったく痛手を負っていない。
「やっぱ出かかりは全身無敵なんだな……」
 また戻ってきたところへ、
「しー……ねっ!」
「あうぅぅぅぅ!!!!」
 ふらんが飽きるまで千本打ちは続いた。


 * * * *


 後半はふらんの一人遊びとなってしまい運動させられなかったので、ふらんにはお泊りしてもらうことにした。
「ここはれみりゃのこーまかんだど!らんぼーもののふらんはでてくど!」
「なぁんですってぇ♪」
「あう!!!」
「ふらん、ほどほどにね」
 大きな飼舎の中をどたばたと逃げ回る二匹を置いて、僕は自室で就寝した。


 次の日の朝。
「ねむれなかったどぅ……」
「すっごくおもしろかった☆」
 寝不足気味のれみりゃだが、僕は容赦しない。本日の定課を言い渡す。
「今日は綱渡りだ」

 今回は飛行能力も含めた能力向上を行う。
 二十間ほどの間を空けた二つの高台の間に綱を渡し、向こう側の高台にはれみりゃの好きな甘味が置いてある。
 僕は高台の上のれみりゃに状況を説明する。
「飛んでも綱を渡ってもいいから、向こうへ行ってお菓子を食べなさい。もちろん地上から行くのは禁止ね」
「そんなのできないどぅ!おにーさんとってきてぇ♪」
「……先生、お願いします」
「おねーさまじだらくぅ♪ぶたねーさまはしんでいいよぉ♪」
 早速高台のはしごを登り始めるふらん。ふらんは空気の読めるええ子やなぁ…。
「ふらんきちゃだめー!きたら”めっ!”だどぉー!!」
「なにいってるの?いまいくからゆっくりしんでねぇー♪」
「れみりゃ、早く行かないと……」
「いぐぅぅ!!いぎまずぅぅぅぅ!!」
 よろよろと綱を渡り始めるれみりゃ。
 高台や綱は僕の身長以上の高さにあるので、れみりゃといえども落ちたら痛い。
 その際には飛行能力も試されるだろう。
「あう、あう…こあいどぅ~!!」
 れみりゃがまだ最初の数歩しか進んでいないうちにふらんが高台に上る。
 れみりゃを追いかけるかと思いきや、ふらんはあろうことか綱を揺らし始める。
「ねーさまおちちゃえ♪それっ♪それっ♪」
「どぼじてぞんなごとするどぉぉぉ!!??おちちゃうど!!おちちゃう!!」
「れみりゃ!空を飛ぶんだ!危ないぞ!」
「そ、そうだど!えれがんとにとぶどぅ~!!」
 僕の助言で綱からあうー☆と飛び立つれみりゃ。必死の思いゆえか、ちゃんと滞空できている。
 それを見てふらんも反応した。
「ふらんもいくぅ~☆」
「ふらんだめ!ふらんだめぇぇぇ!!!」
「おいついちゃうぞー☆ぎゃおー☆」
「うぐぅっ!ふぐっ!づらいどぉぉぉ~!!ぐるじいどぉぉ~!!」
 一生懸命に飛ぶれみりゃだが、明らかに飛行速度が遅い。後発のふらんにすぐに追いつかれる。
「ぶたねーさま、ばいばい」
「あうーーー!!!」
 げしっ、と蹴落とされ、地上に落ちるれみりゃ。


「どーじてこんなことするんだどぉぉぉぉ!!??」
 結局ふらんに甘味を横取りされたれみりゃは怒り心頭だ。
「おにーざんいじわるだど!
 おにーざんはれみりゃがかわいぐないんだどぅ!!??」
 僕は言い返す。
「何を言ってるんだ、すべてはれみりゃのためなんだよ。
 れみりゃがかわいいからこそ言ってるんだよ」
 しかし、僕はその言葉の虚偽に気づいていた。
 自分の心に芽吹いた新しい何かにも気づいていた。
「さあ、つぎの種目に行ってみようか」
「やだどー!やだどーー!!」
 今までとは違った付き合い方だが、これも悪くないかもしれない。
「れみりゃが元のないすばでーに戻るまで、絶対許さないからね!」
 僕は、にこやかにそう宣言した。
「ゆっぐりじたいどぅぅぅぅぅぅぅぅ!!!!!」


 おしまい。

  by ”ゆ虐の友”従業員

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最終更新:2008年11月15日 15:18
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