ゆっくりいじめ系1324 潜入ゆっくりの巣24時

【潜入ゆっくりの巣24時】

ゆっくりが発生しお茶の間にも浸透してきた頃、僕の所属するTV局で、何となくこんな企画が持ち上がった。

ゆっくりの巣へ潜入し、その生活を密着取材する。

意見は当然割れた。
どうでもいい派と、誰が得するの?派だ。
間違いなく流れる企画、誰もがそう確信した時、救世主が現れた。
ロボマリサだ。

局長の知り合いの親戚だかが作り上げたこの人造ゆっくりは、ゆっくりにまりさ種として認識される高性能ロボットらしい。
合板を貼り付けて作ったようなその外見は、まさに玩具のブリキロボ。
その前時代的スタイルは、とても高性能には思えない。

しかし目にカメラが内臓され、暗闇でも高画質36時間の動画が撮れるという点が決め手になった。

「きみ、明日から暇でしょ? これ持って適当に24時間撮ってきて」
「え、マジですか? 放送するんですか?」
「撮れたのが面白かったら考えるよ」

間違いなく放送されない。僕は休日が潰れた悲しさに涙した。
だが上の命令は絶対だ。
こうして僕とロボマリサの1日が始まった。


翌日、どこぞの山奥まで行き、適当なゆっくりの巣を探す。
発見するのには10分もかからなかった。
剥き出しの土壌に不自然に積み重なった小枝、ご丁寧に小石で固定までされている。
どう見てもゆっくりの巣だ。

「うわぁ…」

見つけた喜びより、あまりの不憫さにため息が出てくる。
もう少し場所を選べよ。
まぁ、見つけてしまったからには、撮影を始めなければならない。
巣から離れた場所に糞重い機材を降ろし、ロボマリサを起動スイッチを押す。
ポチっとな。

「ユックリシテイッテネ!」

静かな森に響き渡る、ロボマリサの咆哮。
何というメカメカしさ。思わず操作用リモコンを持つ手が震える。
遠隔操作用のディスプレイと、集音用のヘッドセットを装着し、僕とロボマリサが一つになる。
視界良好、内臓カメラの性能だけは本物だ!

「よぅし、ロボマリサ突入だ!」
「ロボチガウ、ロボチガウ」

やる気に満ち溢れたロボマリサが、キュルキュルとキャタピラーで移動を開始する。
まずは邪魔な巣穴の覆いから撤去しよう。

「スイッチオン! チェーンジ、ロボマリサ!」

おもむろに口から飛び出すロボットアーム。
もそもそと除去作業を行う。
わずか数分で突破されるバリケード。工業高校卒業は伊達じゃない。
そのまま内部へと潜入だ。

暗く細長い穴を通り抜けると、開けた場所にたどり着いた。
ここが生活の拠点なのだろう。
中には親子連れのれいむが、真昼間っから惰眠を貪っている。
こっちはこれから徹夜なんだよ! このド饅頭が!
怒りを込めて、リモコンの「挨拶」と書かれたボタンを押し込む。

「ユックリシテイッテネ!」
「ゆゆっ!? ゆっくりしていってね!」
「「ゆっきゅりしていっちぇね!」」

目覚めたれいむ達の大合唱。耳が痛い。帰りたい。

しかし何が何でも24時間つきまとわなくてはならない。
どうやってここに居座ろうか?
思わず「お家宣言」と書かれたボタンを押したくなるが、これでは争いになる可能性の方が高い。
そんな困っている僕に、何と親れいむの方から助け舟を出してくれた。

「ゆゆ~ん♪ なんだか、すごくゆっくりしてるまりさだよぉ~」
「ロボチガウ、ロボチガウ」

ロボマリサ相手に、すりすりを始めるれいむ。
どうやら一目惚れしたらしい。鋼鉄の身体が逞しかったのだろうか?
取り合えず、こちらもすりすりで返すのが礼儀といものだろう。
「すりすり(強)」ボタンを押してやる。

「スリスリスルヨ」
「ゆっゆゆ゛ゆ゛っ!! ま、まりさ、はげしすぎるぅ! あかちゃんがみてるのにぃいい!」
「お、おかぁしゃん…?」

突如始まる母れいむの痴態。
見た事のない母の姿に、赤ちゃん達は怯えてしまっている。
ヤバイ。このままでは教育上ヤバイ。こんな時は(弱)ボタンだ。

「スリスリスルヨ」
「ゆ、ゆふぅん…ま、まりさのきもちはわかったよ。これからずっといっしょにゆっくりしようね!」

「わぁい、あたらちぃおかぁしゃんだぁ!」

どうやら無事家族として迎えられたようだ。
おめでとう、ロボマリサ。
相手がゆっくりで本当に良かったね。
この感動を、みんなにも伝えてあげよう。
僕は涙を浮かべながら「感動」と書かれたボタンをゆっくりと押した。

「ユックリシテイッテネ!」
「ゆっくりしていってね!」
「「ゆっきゅりしていっちぇね!」」

さっきの挨拶と何が違うんだろう…まぁ、いいか。
上手く行ってるなら問題はない。
次は、お宅を拝見させてもらうとしよう。
部屋の奥には、通ってきた穴とは別の穴が開いている。
あの奥にも別の部屋があるに違いない。

キャタピラー音を反響させながら、ロボマリサを前進させる。
その後ろから、赤れいむ達が楽しそうに跳ねてついてくる。
気に入ってくれたようで、何よりです。
にこにこ顔で見送る親れいむを残し、ロボマリサ御一行は一番右の穴を進む。

1mほど進むと、そこにはゆっくり一匹分の空間が広がっていた。
置いてあるのは、水溜りと少量の餡子だけ。他には何も見当たらない。
うーん、ここは餌の貯蔵庫だろうか?

「おかぁしゃん、ちーちーしゅるにょ?」

くそぅ! トイレかよ! 先に言えよ!
よりにもよってトイレを引き当ててしまった。
こんな所に用はないので、ロボマリサを後退させる。

「バックシマス、バックシマス」
「ゆげぇ!」
「おかぁしゃ…ゆげぇ!」
「どぼぢで…ゆげぇ!」

何という悲劇。赤ゆっくり達が全滅してしまった。
後退中のキャタピラーに巻き込まれ、全身をすり潰された赤ゆっくりだった物が、ロボマリサの前に転がっている。
バックさせた結果がこれだよ。
仕方ない、見なかった事にしよう。
黒い餡子の塊を通路に残し、ロボマリサを親れいむの待つ部屋へと戻す。

部屋に戻ると、こちらの姿に気づいた親れいむが、早速声をかけてきた。

「ゆゆっ? まりさ、あかちゃんたちはどうしたの?」

そうだよな。そうくるよな。
仕方ない「言い訳(死1)」ボタンを押してみるか。

「アメガフッテトケチャッタヨ」
「と゛ぼ゛ち゛て゛お゛う゛ち゛て゛あ゛め゛か゛ふるのお゛おぉおおお゛!?」

もっともだ。「言い訳(死2)」ボタンで対処しよう。

「アリスガスッキリサセチャッタヨ」
「あ゛り゛す゛は゛こ゛こ゛に゛い゛な゛い゛よお゛ぉおおおお!?」

ですよね!
親れいむは白目を剥いて口を開き、ブルブルと震えている。怖い。怖すぎる。

しかし、不味い事になった。
言い訳ボタンは(死10)まであるが、その内容が解らない。
こんな事になるなら、事前に全部押して確かめておくべきだった。

困り果てた僕の目に、ひとつのボタンが飛び込んできた。
おっ? 「言い訳(死 赤ちゃん)」があるじゃないか。
最初からこれを押せば良かった。ポチっとな。

「コドモハマタツクレバイイヨ」

つ、冷たい…さすが機械。血が通ってない。
これでは親れいむの怒りが有頂天になってしまう。
僕は慌てて別のボタンを探すが、その必要はなかった。

「ゆっ! それもそうだね。れいむもまりさとのあかちゃんがほしいよ!」

つ、冷たい…さすが饅頭。血が通ってない。
すでに準備はオーケーなのか、頬を染めて身をくねらせている。
まったくどういう心境の変化だよ。恐ろしいよ!

いや、前の子供を忘れさせるほど、ロボマリサが魅力的なのかも知れない。
そう思わないとやっていけない。
僕は親れいむの願いを叶えてあげるため、「スッキリ(前戯)」ボタンを景気良く押し込んだ。

「スッキリサセルヨ」

ロボマリサが大きく振動を始め、画面が上下左右に揺れまくる。
これは酷い。胃の中が混ぜかえる。吐きそうだ。

「んほおぉおお! まりしゃ、しゅごいいぃいい! はげししゅぎるうぅううう!!」

目の前まで近づいた親れいむの顔が、ディスプレイにドアップで映る。
なんて酷い顔なんだ。醜すぎる。吐きそうだ。

「スッキリサセルヨ」
「んほっ、んほっ、んっほおぉおお! まりしゃのはだ、ちゅめたくて、きもちいいのぉおおお!!」
「スッキリサセルヨ」
「まりしゃのぺにぺに、くろくて、かたくて、ふとくて、おっきいのおおぉおおおお!!」
「スッキリサセルヨ」
「ゆぎぃいいい! しゅ、しゅごい! おくにあたってりゅぅぅううう!!」
「スッキリサセルヨ」
「ゆががぁががあああ!! あんこでちゃうぅう! れ゛い゛ふ゛のあんこ゛れちゃうのおぉおお!!」
「スッキリサセルヨ」
「そこはまむまむじゃないのおぉおお!! らめぇえ! れ゛い゛ふ゛し゛んじゃう゛!! し゛ん゛し゛ゃう゛うぅうう!!」
「スッキリサセルヨ」

僕は黙々と「スッキリ(本番)」ボタンを連打した。
ディスプレイは見ない。青々と茂った素晴らしい森の木々を眺める。
キツツキが巣の子供に餌を運んでいた。心洗われる風景だよ。

20分程放置しただろうか?
やっと親れいむの嬌声が聞こえなくなった。
そろそろ見てもディスプレイを覗いても大丈夫だろう。精神的に。

「あれ?」

ロボマリサの眼前にあったのは、餡子を撒き散らした親れいむの姿だった。
所々破られた皮に真っ黒な穴を穿たれ、そこから餡子が漏れ出している。
汚らしい粘液に塗れた表情は、恐怖に歪んでいるのか、悦びに歪んでいるのか、僕には判断出来そうにない。

「ロボマリサ、撤収だ!」

ゆっくりがいなければ、巣の中を撮影しても意味はない。
飽くまでも、ゆっくりの生活を撮るのが目的なのだ。

「仕方ない、次の巣を探すか」
「ロボチガウ、ロボチガウ」

戻したロボマリサと機材を回収し、再び山道を散策する。
鳥達の声が耳を和ませ、風に運ばた木々の香りが鼻腔をくすぐる。
いい山だ。今度は撮影無しで来よう。

その後、5つの巣を壊滅させ、僕とロボマリサの一日が終わった。
げすのまりさ、まじめなぱちゅりー、とかいはのありす、わからないちぇん、みょんのちんぽ。
全てが等しくロボマリサによって破壊された。

映像は2時間に編集され、ロボマリサVSゆっくりという番組名で放送された。
残念な事に視聴率は取れなかったが、放送されただけでも奇跡というものだろう。
ロボマリサは今も僕の部屋の片隅で転がっている。
局長の知り合いの親戚だかが返却を拒否したらしい。仕方のない事だろう。
僕は今でもたまに、ロボマリサを起動させる。

「ユックリシテイッテネ!」

六畳一間のわびしい部屋に、ロボマリサの元気な声が響いた。


おわり


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最終更新:2008年11月05日 23:44
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