ゆっくりいじめ系1296 栄光のユックリンピース

■注意事項
  • 生き残るゆっくりが居ます
  • 独自解釈のユックリンピースが出てきます
  • 演出の都合上過激な表現の箇所がありますが虐待ではなく愛の鞭です
  • 悪い事をしたゆっくりが止むを得ない事情により酷い目にあうかも知れません
  • 折角の努力が報われなかったり理不尽な扱いを受ける事があるかも知れません
  • この作品を読んだ結果生じる如何なる損害についても、作者とユックリンピースは
 一切の責任を負いません

やあ画面の前のみんな!ボクは愛護お兄さんだよ!
上の注意書きをしっかり読んでね!お兄さんからのお願いだよ!
あれ?・・・これなんかおかしくない?ボクがゆっくりを可愛がる話だよね?





■栄光のユックリンピース

畑で農夫とゆっくりが対峙している。

「ゆゆっ、ここはれいむのゆっくりプレイスだよ!」
「このおやさいさんは、まりささまがさきにみつけたんだぜ!!」

野次馬も集まってきたが、特に誰に説明されずともココに至る経緯と、この後の展開は
その場に居る全員が理解していた。いや、ゆっくり達は理解してないだろうが。

「待ってください!そのゆっくりは我々・・・ユックリンピースへ譲渡願います!」

一人の男がその場へ割って入ってきた。
ゆっくり愛護で有名なユックリンピースの構成員だ。
この村では、悪さをしたゆっくりを捕獲した場合の選択肢は3つある。

  • その場で殺害
  • 加工場へ売却
  • ユックリンピースへ引き渡す

これ以外の行動は禁じられている。
野菜の味を覚えたゆっくりが再犯して被害が拡大する恐れがある為、
森へ帰す事は出来ない。登録の無い野良を買う事もこの村では許されない。
暗黙的に被害者が虐待してウサを晴らす事は見逃されているが、長期的に飼ったり
繁殖させれば、無認可飼育として罰金が科せられる事もある。

大半の者は加工場への売却を行うのだが、最近は専門業者が大量に乱獲して降ろして
いる為、個人からの少数の固体の買い取り価格は下落気味だった。
加工場が遠い事もあり、殺すのは可哀想だと思う人間は、この男の様に
現場に積極的に出向いて回収するユックリンピースへ引き渡す例も少なくは無い。

「ご協力有難うございます!必ず更生させてみせます!!」

周囲の人々の冷ややかな視線を気に掛ける様子もなく、
構成員の男はハツラツとした笑顔でゆっくりを引き取って行った。





ここはユックリンピース施設の地下にあるゆっくり更生施設。
悪い事をしたゆっくりを教育して、善良なゆっくりとして
自然に帰す為の教育機関である。

ココを出るには、捕獲された地区で実施されている、ゆっくり認定試験で
ゴールドを取得する必要がある。
この施設で罪を償い、教育を施し、試験合格の目処が立ったゆっくりは
捕獲地区へ移送されて試験に挑むのである。
不合格となれば施設へ送り返されて再教育を経た後に再挑戦する事になる。
もし合格すれば自然に帰るか飼い主を公募するかを、ゆっくりに選ぶ権利が与えられる。
ゴールド付きのゆっくりが無償で提供されるとあって、希望者も多いと聞く。

試験費用はユックリンピースが負担する為、中途半端な教育でまぐれを期待するような
受験はさせない。もとより、ゆっくりと人間の共生を唱えるユックリンピースとしては
施設を出たゆっくりに問題があっては面目が立たない。
当初はシルバーで十分との意見も内部では有ったものの、理想の追求の為に
ゴールド取得に拘ったのだ。教育に手を抜くつもりは無い。

施設から卒業する事が出来れば、その後にゆっくりな生活が待っていると知って
熱心に勉強し更生に励むゆっくりも少なくは無い。
しかしその事を理解しないゆっくりも居る。
特にココに運ばれてきたばかりの頃は、罪の自覚も無く、自分がゆっくりさせて貰うのが
当然の権利だと勘違いしているゆっくりが大半である。
そういったゆっくりに、規則を破るとゆっくり出来ない事を理解させ、
自分が犯した罪を償う事を納得させ、ゆっくりする為に努力しルールを守る事を教え、
清く正しい善良なゆっくりと成る事を目指すように教育を施して行くのである。
押し付けるのではなく理解させ、自らそう有りたいと望むように導くのが
ユックリンピースとしての使命なのだ。





「ネタは上がってるんだ・・・白状しろ!!」
「ゆー、まりささまはむじつなんだぜ!」
「れいむにはありばいがあるよ!」

ここはゆっくり取調室。ここで罪を犯したゆっくりの調書を取る。
っと言っても現行犯で捕まってるので何をやったかは明白なのだが、
当人達がどの程度罪を理解しているか、反省の態度があるかに応じて
今後の更生教育プランが決定される。

「目撃者が居るんだ!田舎のお袋さんが泣いてるぞ!!」
「もくひけんがあるんだぜ!べんごしをよぶんだぜ!!」
「もひくけんがあるよ!べんとうをだしてね!!」

見込み無しと判断される程粗悪なケースは即殺処分になるが、
いきなり襲い掛かったり喚いたりする事は無い。
ある程度理解する知能も有りそうだが、決定的に反省の意識が低い。
畑荒らしコースのDランク辺りが妥当か・・・

まりさとれいむをお馴染みの透明な箱にセットする。
書類に必要事項を記入してまりさたちを入れた透明な箱に貼り付け、コンベアに乗せて
次の工程に運ばせる。如何考えても手で運んだ方が早い。無駄に金がかかっている。





地下室にゆっくり達の悲鳴が響き渡る。
畑荒らしをして捕まったまりさとれいむは、今はまだ何もされては居ない。
しかし直ぐ近くで、見えないが暗い地下の闇の向こうで、想像出来ないような
ゆっくりの悲鳴が途絶える事無く響いている。
ふふふ、怖いか?まぁこれくらいで反省はしないよな。

「ゆぅ、おなかすいたね・・・」
「まりさのごはん・・・ゆっくりできない・・・」
「はいはい!喜んで!!ご飯の時間ですよー!!」

不安と空腹でなんとなく元気が無いかもしれない2匹に元気よく声を掛ける。
透明な箱から出してあげて、ご飯用の部屋に連れて行く。
ご飯と聞いて嬉しそうな2匹だが、部屋に近づくにつれて悲鳴が大きくなる事に
多少の不安を感じているようだ。

(ガチャッ)
「ご飯に来ましたー!」
「あっやべっ・・・あ、いや、なんでも、了解です!!」

こいつ、なんかまたミスったな。まーいいか。
新入りなんだし厳しく言っても仕方ないだろう。

「ゆっ!ゆっ?ゆっ!ゆゅうぅぅぅぅ!!!」
「ゆぎゃー!!!」

部屋の中には既に別のゆっくりが男に虐待されてる最中だ。俺も出来ればソッチが
やりたいのだが。俺の担当の工程では痛みや苦痛を与える行為は禁じられているので
仕方が無い。っと言うかそもそもココ、ゆっくり愛護団体なので、苦痛を与える作業に
付いてる人間の方が少ない。人事に移動願いを出した事もあるが、なかなか思う様には。

「ゆっゆぅ!たいへんだよ!たすけてあげてね!!」

自分で行けよ屑が。まぁ行って貰うんだけどね。今から嫌でも。

「あっちの怖いおじさんに捕まったら、あのゆっくりみたいに拷問だよー!」
「ゆっ、ゆっくりできないよ!いそいでにげるよ!」

何しに来たかもう忘れたのか。とりあえず虐待してる男の足元にご飯をセットする。
簡単な仕掛けだ。あそこまで行って取ってくればいい話だ。

「はい!ご飯はあそこ!取って来て!」
「先輩、拷問って言い方やばいでよ!コレは罰なんですから」
「おい、ほら、怖い顔しろよ!お前の事だって!!」
「えっ?あ、はい!がおー!」

なんかもう上手く行く気がしないが、まりさとれいむは怖がってるので一応続けるか。
こいつ等がバカで良かった。いや、バカだからこんな周りくどい事をしてるんだが。

「ゆっ!ゆぅ・・・おなかすいたよ」
「でもつかまったらゆっくりでぎない"ー!」

暫く悩んでいたが、空腹に勝てずに一気にダッシュして餌をとりに行く。
かなり速い。時速3kmは出てる。少し感動した。

「ゆ!ごごはんをたべるよ!」
「おい、怖い顔しろって!!」
「がおー!」
「ゆがぁ!!にげるよー!!」

慌てて男の足元から逃げ帰ってくるまりさとれいむ。かなり速い。時速3kmは出てる。
餌はしっかり口に咥えているが、食べる余裕は無い様子で走ってくる。
俺の足元まで来て安全だと思ったのか、餌を一旦口から放して食べる体勢に入った。

「ゆ!ここまでくればあんぜんだね」
「ゆっくりごはんをたべるよ!」
「はい!没収ー!」
「「なにずるのー!!」」

自分が苦労して手に入れた餌を横取りして、他人のご飯を奪う事の悪さを理解させ、
畑を荒らしたゆっくりに善悪や罪の概念を理解させる教育。

「コレはお兄さんが見つけたからお兄さんの物だよ!」

実はコレ、俺が考えた虐待。すげーいいアイディアでしょ!?
餌を与えて直ぐ奪ったんじゃ意味が理解できないだろうし、餌を自分でとって来させて
尚且つ取って直ぐには食べれない状況で持ち帰らせ、イザ食べようという段階で奪う。
本当は備蓄してる食べ物を奪うとかの方が良いのだが、こいつ等捕まったゆっくりの為に
巣や狩の環境を作って食糧備蓄するまで待つのも手間が掛かり過ぎるからな。

その後も、浅い水溜りの部屋の餌を溶ける恐怖を与えながら取りに行かせたりして

「足が溶けるよぉーゆっくりできない」
「ゆっくりしないでいそぐよ!!」
「はいボッシュート!」
「ゆがぁぁぁぁ!!」

その後の後は、れみりゃの部屋ので餌を取りに行かせたりした。

「れみりゃいやぁぁぁぁぁ!」
「れみりゃはあっちいけ!ごはんさんはこっちきてね!はやくきてね!!」
「コレはお兄さんが最初に見つけたんだよ!」
「なんでー!!」
「どぼじでごんなごどずるのー!」

あー駄目だ。こりゃ。
自分がされて嫌な事は人にするなって学校で習わないのかね。最近の子供は。
更生教育送りだな。書類に必要事項を記入して透明な箱に貼り付けてっと。
しかしなぁ、こうも教育に失敗続きだとこの部署担当としては色々沽券が
関わるかもだが、まぁ性悪ゲス比率が高い最初のパートだから行き成り結果出せって
のも無理だし。でもいい気はしないよなぁ。





「ハイ!作業開始」

ココに送られてくるのは度重なる教育でも、善悪の認識が出来ないゆっくりや、
食料や人間に関しての基本的な知識が欠落している固体である。
基礎教育から積み重ねる事で、より複雑な概念を理解できる知識を与え、
物の価値観や道徳心を養っていく目的で教育が行われる。

「ゆっくり第1ぱん、さぎょうを開始します!」
「ゆっくりだいにはん、さぎょーをかいちちまちゅ!」
「ゆっくりさん班、作業を開始するんだぜ・・・」

その教育の手法というのが、農耕作業である。
肉体労働に従事し、労働に対する対価を受け取り、違反に対する罰を受け、
規律ある集団の中での規則正しい生活を通して健全な精神を育むのである。

「もうだめなんだぜ・・・」
「ゆっ!さぼっちゃ駄目だよ!ご飯がもらえないよ?」

この工程では暴力的な行為は行われない。
力で押さえ付けて労働力として行使するだけでは奴隷と変わらない。
本質は、あくまで彼等の精神面の鍛錬と性質の改変にあるのだ。

「ゆっ!頑張ってごはんを沢山もらうよ!」
「む~しゃ!む~しゃ!しあわ・・・ゆべっ!!」
「だめだよまりさ!ざっそう以外はたべちゃゆっくり出来なくなるよ!」

無論、駄目なゆっくりも居るが、仲間同士助け合う絆も生まれつつある。
ゆっくりは、人間の社会とは異なる価値基準の世界で生きてきた。
罪を犯したとはいえ、締め付けて苦しめるばかりでは、人間の社会の規則も、
自分の誤りも理解は出来ない。正当な頑張りに応じて正当な報酬を与え、
間違った行いに罰を与え、少しずつ人間の価値基準を理解させて行くのだ。

「ヨシ!今日の労働はココまで」
「ゆぅ・・・やっとおわったんだぜ・・・」
「きょうも頑張ったよ!」
「ごはんなんだねーわかるよー!」
「ゆ!?ごはんがもらえるのかだぜ!?はやくよこすんだぜ!!」

「ヨシ!今日のご飯だ。しっかり食って明日に備えろよ」
「お前達は特別頑張ったな!いつもより多めにやろう」
「まりさ、お前はサボった上につまみ食いしたな。飯は抜きだ!!」

各ゆっくりに理由を告げて、自分の行いの結果を与える。
最初は反発する者も居るが、暫くすれば規則を学んでくれる。
ここでも学べない者は出てくるが、その場合は別の工程に運ばれていく。
出来ればそうはしたくない。多少時間が掛かってでも教えてみせる。

「なんでまりざだげごばんがないのー!!」
「まりさ、わたしのご飯を少し分けてあげるわ」
「むきゅ、しかたないわね・・・明日はしっかり頑張るのよ」

まりさは礼も言わずがっついて食べている。しかし心では分かっている筈だ。
どんなゆっくりでも愛情を持って接すれば、必ず更生させる事が出来る。
私はあのまりさを暫くこの工程に留める事にした。

書類に必要事項を記入して保管する。
いちいち書類記述は面倒だ。分業と作業記録の徹底と作業のマニュアル化。
ゆっくり相手に仕事をするだけに、私怨や愛護心で特別扱いしてしまうケースを
防ぐ意図もある様だ。
徹底した管理は作業効率の低下も懸念させるが、品質管理の徹底は
何かと煩い今時の社会での、組織としての信用問題に直結するのだろう。





畑には見事な野菜が育っていた。いよいよ収穫である。
労働工程をクリアし集団生活が出来るようになったこの組は自分の畑を与えられていた。
ココまで育てるのには苦労しただけに喜びも一入である。

「ゆゆっ!お野菜さん大きくなったね!」
「そろそろ食べられるんだぜ!!」

森に帰ったら自分達でもっと沢山お野菜を育てよう。そうすれば、沢山ゆっくりできる。
大変だったけど、その分あとからもっといっぱい野菜が食べれてゆっくりできるのだ。
我慢して耐えて頑張って、まちにまったゆっくりな野菜。

「よーし、そろそろこの野菜は食べられるね!」
「やったね!美味しいお野菜さんたべられるね!」
「いままで我慢して頑張ったからだぜ!!」
「それじゃ皆!この箱に入ってね~!」

畑のゆっくりは透明な箱に入れられ、畑がよく見える位置に配置される。
人間が野菜を収穫してくれるのだろうか?良く分からなかったが、
今まで我慢して耐えてきたゆっくり達は不満を述べる事無く箱に収まり、
目の前のご馳走に目を輝かせていた。

「じゃあ、お兄さんは用事があるから少しまっててね!」

お兄さんは出て行ってしまったが、仕方ないからもう暫く待とう。
でも早く野菜を食べたい。苦労して育てた美味しい野菜が目の前にある。
もう直ぐ食べられる・・・期待でムネが一杯で、もう待ちきれない。

「ゆゆっ!おやさいさんがありゅよ!!」
「おやさいはおいしいんだねー!わかるよー!」
「ゆっ!このおやさいはまりさがさきにみつけたんだぜ!!」

突然、見慣れないゆっくりたちが畑に侵入してきた。
一緒に畑で働いた仲間は皆透明な箱に入れられているので、他所のゆっくりだろう。
信じられない事に、そいつ等が今、折角育てた野菜を食べようとしている。

「何言ってるのぉー!!このお野菜はまりさたちが頑張ってそだでだんだよーーー!!」
「れいむが食べるはずのお野菜なのにどぼじでたべようとするのーーー!?」

「ゆっ?なにいってるの?おやさいはかってにはえてくるんだよ?」
「ここにおちてるのをまりさがさきにみつけたんだぜ!!」

野菜はすぐには育たなかった。長い時間、ゆっくりにとって本当に長い時間を掛けて
我慢して頑張って、いつか収穫して美味しい野菜を食べる事を想像しながら耐えてきた。
それが、いよいよ収穫出来るというのに。期待したバラ色の妄想を、目の前の憎い
ゆっくりが全て打ち砕いてゆく。

「おやさいがみつかったのはいだいなまりささまのがんばりのおかげなんだぜ!」
「私達が一生懸命頑張ったからお野菜がそだったのに・・・」
「おやさいさんがいっぱいだね!このばしょはれいむのゆっくりプレイスにするよ!」
「何を言ってるの!?この野菜はまりさたちが・・・」
「よこどりするきだねー!わかるよー!」

そう言って透明な箱に体当たりしてくる。
コチラからは攻撃できない事を知って馬鹿にして笑い、見下し、罵倒し、
野菜を見せ付けるように奪い去っていく。

「返せー!まりさたちの育てたお野菜をかえせぇー!!」

全ての野菜が持ち去られ、畑を荒らしたゆっくりが居なくなっても
暫くの間悲鳴と怒号と罵倒が続いていた。
泣き喚く以外何も出来ないゆっくり達が、疲れ果てて静かになった頃合で
グループ毎に透明な箱を部屋に運んで声をかける。

「やあ!ゆっくりしているかい?」
「あいつ等が!れいむ達のお野菜を盗んだんだよ!!」
「ゆゅゅ、まりさのお野菜が全部なくなっちゃったんだぜ・・・」

「へー?野菜を盗られたらゆっくり出来ないんだ?」
「お野菜を取り返すよ!仕返ししてやるよ!!」
「畑を荒らしたゆっくりは・・・ゆっ!?」

「折角育てた畑の野菜をもって行かれたらゆっくり出来ないよなぁ・・・」
「そうだよ!!頑張って育ててないくせに、お野菜を盗み食いするなんて最低だよ!」
「・・・」

「どうしたい?殺してやりたいか?あの畑荒らしのゆっくり達を」
「他のゆっくりを踏みにじって自分だけゆっくりするヤツはしねばいいんだよ!」
「れ、れいむ・・・だめだよ!まりさ達が悪かったんだよ」

怒りで頭が回らないれいむと違い、意気消沈していたまりさは気が付いたようだ。

「まりさは腹が立たないの!?あのゆっくりは絶対に許せないよ!!」
「れいむ!あのゆっくりはまりさなんだよ!」
「何言ってるの?バカなの?死ぬの?」
「あのゆっくりは・・・あの日のまりさなんだよぉ・・・」
「ゆ?・・・ゆっ!?ゆゆっ!!??」

まりさは今日、野菜を奪ったゆっくり達の行いが、捕まったあの日に自らが犯した罪と
同じである事を理解したようだ。
自分が受けた仕打ちは、かつて自分が人間に行った事であると。

「ゆがぁあぁ!ごべんだざいーごべんだざいぃー」
「ゆるじでぐだざい!あぁあぁぁぁぁまりざぁー!まりざぁー!」

この工程では畑で野菜を作る人の気持ちとソレを奪われる苦しみを学ぶ。
教えて理解しても真の意味では分かっていない。自分が痛みを受けて考え、
自ら結論に辿り着いて罪を自覚し、後悔と謝罪の意思を引き出さなければ。

このまりさとれいむは無事に、罪の自覚と反省に成功したようだ。
書類に必要事項を記入して貼り付け次の工程に送る事にした。





今日は特別授業の日だ。
今までの教育で優秀だった成績のゆっくりが、後輩の指導係として選ばれるのだ。
良いゆっくりとしての教育の為、手本を見せて改心させると言う内容である。
この教育係に選ばれた事を、まりさもれいむも誇りに思っていた。

「じゃあ、このとおりに動いて喋ってね!簡単だからしっかりね!!」

そういって簡単なあらすじの説明の後にカンペを渡される。

「ゆっ?ゆ"ゆ"ゆ"ゆ"!!??」
「ほらしっかり!畑まで走って!!」

お兄さんに急かされて慌てて走り出す。畑に入ると大声で最初の台詞を読み上げた。

「ゆ、ゆっくり して いってね」
「こ、ここは れいむの ゆっくりプレイス だよ」

周囲には見覚えのある透明な箱。そこから突き刺さる驚きと憎しみの篭った視線。
台詞を読む声が震える。あのゆっくりたちが今何を思って考えているか全て分かる。

「ゆ、ゆゆ・・・お、おやさいが・・・あるよ」
「お、おし、お、おいしそう だぜ」
「ぶざげるなあ"ーーー!!!」
「しねっ!しねぇー!さっさとしねぇぇえぇぇー!!」
「むきゅー!そのおやさいはぱちゅたちがいっしょうけんめいつくったのにばかなの?」

恐怖で足が竦むが、やめる事は許されない。これは後輩の為の教育なのだ。
これをクリアしないと、自分も、この子たちも一人前の良いゆっくりになって
ココから出る事は出来ないのだ。
指示された通りに野菜を加えて戻っていく、一度では運べず何往復も繰り返す羽目に
なった。まりさとれいむ以外の教育係のゆっくりも、皆顔が青ざめている。
戻ってきたゆっくり達は誰も言葉を発しない。お兄さんが確認の為に声を掛ける。

「どうだった?どんな気分だった?」

皆涙を流して嗚咽を堪えている。答えられるものは居ない。

「まだお野菜を盗みに畑に行きたいのかな?」
「もう・・・絶対お野菜盗んだりしません!」

この特別授業の様子は見学が可能となっており、一般にも公開されている。
施設の活動とユックリンピースの取り組みについての理解を深めてもらう為の
ピーアールを兼ねた見学ツアーも好評である。
畑を荒らしたゆっくりが改心して関心する者や涙を流す者。ざまぁみろと溜飲を下げる者
など様々だ。中には繰り返し見学を希望する者も居る程だ。
しきりにメモを取る痩せた白衣の男や、何やらニヤニヤしている若い男なども居るが。
恰幅の良い髭の男などは感心したようでしきりに頷いていた。

何はともあれ最近では教育も軌道に乗ってきた。
罪を憎む心、罪悪感共に良好である。書類に記入して次の工程に送る。





「ゆぎゃぁあぁぁ!!」
「ゆぎぎぎぎ・・・ゆべぇっ!」
「いだいー!!いだい!いだい!いだい!いだい!」

地下室にゆっくり達の悲鳴が響き渡る。
今までのは教育であり、まだ罪を償ってはいない。
地上での労働と教育をクリアした彼らは再び日の光の届かぬ地下へ戻ってきた。

彼等には選択肢が与えられた。このまま労働奉仕して野菜を作る仕事を続けるか、
刑罰を受けて試験に挑戦してココを出て行くか。
この更生施設を出るのであれば、人間の社会で生きるにせよ、森へ帰るにせよ
犯した罪を償って清算する事と、人間のルールを覚えて試験に合格する必要がある。

中には野菜を作り続けて労働奉仕する道を選ぶものも居たし、体の弱い者は刑罰に
耐えられないと判断され残される場合もあった。
しかし罪を深く意識した彼らの大半は志願し、罪を償って試験に挑戦する道を選んだ。

ココではただ苦痛を与えれば良い訳ではない。
死なない事は勿論として、その後の労働や、飼いゆっくりとして引き取られる可能性を
考慮して細心の注意を払いつつ痛めつけねば成らない。
飾りを奪い、殴りつけ、針を刺し、熱湯を掛け、塩を塗りこみ、絶食させ、水没させ。
思考力を奪わぬように、運動機能を損ねないように、後の残る目立つ傷はつけぬように。

昼も夜も無く苦痛を与えられ続けた彼らは、体力の限界になり気絶すると
オレンジジュースで強制的に回復させられる。

「ゆぎぃぃ!!もういやだぁ!!もうやめてぇー!!」
「ん?脱落するのか?止めるなら構わないぞ?」
「ゆ、ゅ、ゅ・・・っ、つづけてくださ・・・ゆぎぃぃ!!」

「じぬー!ごろぢて・・・もうぢなぜでぇー!!」
「罪を償わずに死んで楽になりたいなんて・・・せっかくの今までの教育は」
「わがりまぢた・・・つぐないをざぜでぐだざ・・・ゆぎゃー!!」

命に別状は無い。あとが残る程の、皮をはいだり餡子を吸い出したりする非道な事は
していない。人間に捕まった事が無く、野生でも然程痛い思いを経験してこなかったの
だろう。ココに来てからも肉体的苦痛を受けるのはコレが初めての筈だ。
大げさに痛がっているが、計算上は耐えられない苦しみではない。
資料によると、虐待お兄さんとか言う連中はココより何倍も酷い事をやっているらしいが
ゆっくりが死んだり精神が壊れた報告は無いそうだ。
そこら辺は、ちゃんと組織が調べた情報に基づいて、罪の重さに応じて妥当と判断された
刑罰が規定されているのだから、頑張って欲しい。情が移ってはいけないのだ。
思わず彼等を応援したくなる気持ちを抑えて、自分の仕事に集中する。

「よし・・・今日は避妊もするぞ」
「ゆっ!?ヒニン?赤ちゃんが・・・もう作れなく??」

人間の社会に出たり、森へ放つと成れば、例え教育してゴールドをとっても
子供を増やしては意味が無い。子供は教育を受けていないのだから、
交尾して作った子供が罪を犯さない保障は無いのだ。

「嫌なら止めてもいいぞ?」
「ゆっ・・・わかったよ・・・おねがいぢまずぅ」

マニュアルに書いてある通りに実行しないと・・・10cm刺すってコレくらいか?
棍棒で軽く叩きます・・・って軽くってどのくらいだ?
うん、まぁ、計算上は大丈夫な筈だな。

社会に出て欲望に負けそうに成った時に、ココでの苦痛を思い出して自制心として
欲しい。苦痛への耐性をつける事で、不慮の事故への対応も出来る様に成る筈だ。
例えば街で子供に悪戯で蹴られたとしても、痛みで喚き散らしたり、本能で噛み付いたり
すれば、害獣として駆除される事もある。自分が悪くなくても、耐え難い痛みでも
反撃せずにじっと耐えなければ成らない。ゴールドを取るのは生易しくない。
ちょっと棍棒で殴られたり、針で刺された位で悲鳴をあげていては駄目なのだ。

後は熱した鉄の棒を突き刺して焼けば完了だ。温度計は無いが赤熱してるし十分だろう。
避妊処置済みの焼印、ユックリンピースの印、前科アリの印も目立たない首筋の生え際に
焼き付けておく。規則とはいえ辛いだろう。なるべく一度で済ましてやりたいので、
この機会に連続して焼いていく。

まったく・・・幾らマニュアル化しても人間が手作業でやるんだから誤差ぐらいある。
それにマニュアルで指示されて書類で報告って。誤差が出るのは必然なんだから、
現場の人間のミスを責めるよりも、ミスを修正できるだけの二重三重のチェック体制が
重要だと思うね。俺は。
しかし申告する程の大きなミスはしていないだろう。書類に必要事項・・・難しいな、
間違ったら修正液使えるのか?何度書いても成れないな。なんか焦げ臭・・・
やべっ!焼きっぱなしだった・・・まだ、生きてる?よな・・・





「この様な末端の施設にまでご視察にご足労頂き誠に恐縮至極に存じます」
「いやいや、現場の人間の苦労も知らねば組織を纏める者として勤まらんよ」

恰幅の良い髭の男が得意満面の、自分では引き締めたつもりの顔で振り返る。
髭の前で申し訳無さそうにしているのが、この施設の所長だ。
慢性的に予算繰りは厳しい。本部のお偉いさんが良いタイミングで視察に来てくれた。
施設の有用性をアピールして、何とか予算の増資を取り付けたいと所長は考えていた。

「ややミスが目立つな。刑罰の過程では損失も出ている様だが」
「申し訳ありません。技術員の練度向上の為に目下努力しては居るのですが・・・」
「不慣れな仕事を良くやってくれている。愛するゆっくりを傷つけるのは辛いだろう」

髭の男は現場の苦労は分かるよと、しきりに頷いてみせた。

「あれ程の教育成果が出せるとは予想以上だ。その割りに更生率が芳しく無い様だが」
「その件なのですが、実は認定試験を受ける為の予算の方が厳しい状態にありまして」

その言葉が聞こえたのか聞こえなかったのか、ニヤケ顔から神妙な面持ちになった
髭の男が語気を強めて切り出した。

「ところでだ、今日は良いニュースと悪いニュースがある」
「悪いニュースから伺わせていただきます」

「実は東方証券取引所が暴落してストップ安だ。現在我々は非常に厳しい状態にある」
「ッ! で、では今期の受験費用の予算は・・・」

既に予算不足で受験できないゆっくりがかなりダブついている。
この施設の収容力にも限界があるし、職員の手も足りない。
何とか解決策を考えなければ成らないが、資金の支援は望めそうにない。

「それでは、良いニュースの方は?」
「うむ。明日から加工場がポイント2倍買取強化キャンペーンを始めるそうだ」





私は憤っていた。
何に対してかは分からない。
愛するゆっくりが奪われる怒りだろうか?
彼等の努力が報われない理不尽にだろうか?
自分達の仕事が無意味に扱われた事に対してか?

手塩に掛けて育てたゆっくりは、知性の欠片も無い野生のゆっくりと一緒に扱われ
同じ様に分解され、調理され、食品になるのだ。

「ゆっくりの頑張りなど無駄だと言う事さ」

お前が気にしても仕方が無い。割り切れ、と同僚は言ってくれたが
ではこれまでやってきた仕事も無駄だと言うのだろうか。一体何のために。
釈然としないながらも、より大きな力の前で弱者が無力である事など
当たり前の理不尽なのだと自分を納得させる事にした。

書類に必要事項を記入して上長に提出するがもう必要ないと突き返された。
彼等のここでの日々が綴られた唯一の記録。
私はソレをバインダーに閉じてデスクの引き出しの奥へ仕舞いこんだ。

ここはユックリンピース施設の地下にあるゆっくり更生施設。
悪い事をしたゆっくりを教育して、善良なゆっくりとして
自然に帰す為の教育機関である。
ココを出たゆっくりを見た者はまだ居ない。

by アンノーマン




■あとがき
虐待お兄さんだと分かると加工場で雇って貰えない話を聞いて
味と効率を追求して利益を出す営利企業の加工場は
案外虐待お兄さんには辛い場所なんじゃないかと思いました
マニュアル作業で毎日同じ虐待を繰り返し、ノルマの為に淡々と作業する日々とか
だったら逆にゆっくりんぴーすも、実は愛護お兄さんには不向きなんじゃないかと

好きな事を仕事にすると辛いってヤツですかね?

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最終更新:2008年10月30日 15:54
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