ゆっくりいじめ系57 お告げ

里から少し離れた平原に、ゆっくり達の一大集落があった。
この平原では、天敵となる鳥獣が余りいない上に、餌となる草花、虫達が数多くいたためである。
今日も、仲の良い、ゆっくり霊夢とゆっくり魔理沙が仲良く虫を捕まえたりしながら遊んでいた。
「むーしゃ、むーしゃ幸せー」
蝶を口に入れると幸せそうな顔で咀嚼するゆっくり魔理沙。
魔理沙も小さな花を口に入れると山高帽を揺らしながら味わう。

「今日もゆっくりだねー、魔理沙」
そういうと自分の身長程の高さまで跳ね上がるゆっくり霊夢。
「おー、ゆっくりだね」
ゆっくり魔理沙も楽しそうに跳ねる。
微笑ましい光景だった。
他の場所では加工所職員に追われたり、駆除される危険を冒してまで食料を口にしているのに対して
ここのゆっくりたちは食料や外敵の心配をすることなく、ゆっくりと過ごしていた。

「ゆー、ゆー」
小さなゆっくり霊夢が五匹、二頭の下へ駆け寄ってきた。
「おねーちゃん、あそぼー」
そういうと小ゆっくりはゆっくり霊夢に頬ずりする。
最近生まれた妹達だ。
「うん、ゆっくりしようね」
そしてゆっくり姉妹とゆっくり魔理沙が仲良く遊びだした。

「ゆーーー」
まだ幼いゆっくり霊夢がコロコロと転がっていく。
「ゆっ!!」
すかさずゆっくり魔理沙が受け止めた。
「魔理沙おねーちゃんありがとう」
嬉しそうに跳ねる小ゆっくり。
この集落には恐らく500頭前後のゆっくり達が生息しているが、ゆっくり種を超えたコミュニティとなっていた。
ゆっくりれみりゃ等の肉食種が何故か生息していないことも幸いしているのだろう。

「むきゅー」
「わかるよー」
途中からゆっくりパチュリーやゆっくりちぇん達も混じりだした。
本当にここはゆっくりの楽園である。


ふと、ゆっくり魔理沙が空を眺めると、なにやら見慣れないゆっくりがひらひらと飛んでいた。
饅頭のようなシルエットは他と一緒なのだが、丸い帽子とひらひらと棚引くながい飾り。
空を飛んでいるので、一瞬ゆっくりフランかと思って体を硬直させたが、すぐにフランではないことに気づいた。

翼もないのにフワフワと飛んでいた。

「ねー、あれなんだろー」
その言葉に仲間達の視線が空を飛ぶゆっくりに集まる。
「なんだろー」
「きれいだねー」
ゆっくり達の言う通り、空をひらひらと飛ぶゆっくりの姿は美しかった。

そのゆっくりは飾りを風になびかせながら、ふわりと平原に降り立った。

「ゆっくりしていってね」
「むきゅー」
「ちーんぽ」

口々に歓迎の言葉をそのゆっくりに浴びせる。
ここのゆっくり達は環境に恵まれているため新しくきたゆっくりを基本的に受け入れる。
しかし、そのゆっくりはそれらの言葉を気に留めることなく、静かに口を開いた。

「ここは危ないです。すぐここを捨てて逃げるのです」
地上に降り立ったゆっくりは、珍種中の珍種、ゆっくり衣玖であった。
その特徴的な飾りをつけた帽子を被るゆっくり衣玖は、どこかからゆっくり達に起こる災害を知り、地上のゆっくりたちにそれを知らせるのである。
あくまで、ゆっくり衣玖が発する警告はゆっくり達のためである。

しかし、ゆっくり達はゆっくり衣玖の言葉の意味がわからずに、呆然としている。
それはそうだろう。
折角楽園に住んでいるのに、そこを捨ててどこかに行けなどと受け入れられるはずがない。

「ここは霊夢達のゆっくりポイントだよ」
そう主張するゆっくり。
「むきゅー、むきゅー」
「わからないよ、わからないよー」
口々に文句を言うゆっくり達。

それでもゆっくり衣玖は
「ここを離れるのです。大変なことが起こるのです」
と要領の得ない事を繰り返すのみである。

しばらくの間、ゆっくり霊夢達とゆっくり衣玖の間で押し問答が続く。
そして、一頭のゆっくり魔理沙が大声で言った。
「そいつは、魔理沙達のゆっくりポイントを横取りする気だー」
その言葉に他のゆっくり達も呼応する。
「そうだー、そうだー」

ゆっくり達が気色ばんでくる。
「ゆっくりできないなら帰ってね」
「ちーんぽ!!ちーんぽ」
いつの間にか20頭程のゆっくり達がゆっくり衣玖を取り囲んでいる。

「ここは危険なので、およよっ!!」
一頭のゆっくり魔理沙がゆっくり衣玖に体当たりをした。
突然体当たりを食らったゆっくり衣玖がはじき出される。
「およよーー」
コロコロ転がっていったゆっくり衣玖に
「ゆっくりしんでね」
ゆっくり霊夢が体当たりする。

「ゆっくりしんでね」
「ちーんぽ」
ゆっくり衣玖を輪になって弾きあう。

はじかるれるたびにゆっくり衣玖は
「おっおっおよよー」
と悲鳴を上げるのである。

ゆっくりリンチがある程度続き、綺麗だった帽子と飾りが泥まみれ、ゆっくり衣玖もあざだらけになった。
突然、頭に桃をつけたゆっくり天子がゆっくり衣玖に圧し掛かった。
「およー」
ゆっくり天子の重みにゆっくり衣玖が悲痛な声をあげる。
「この天人属性の私を怒らせるとは……どうなるかわかってるのか」
ゆっくり天子が威圧する。
「いいぞーやっちゃえー」
「ゆっくりできない、ゆっくりはしんでね」
野次を飛ばす他のゆっくり達。
もう、ゆっくり衣玖は涙目だった。

「お前は苦しむ、そうだ、このま……うっあ!!」
突然、晴れていたはずなのに、雷がゆっくり天子に落ちる。

野次を飛ばしていたゆっくり達も混乱し、空を見たり、キョロキョロとしたりと俄に混乱しだした。
少し黒こげたゆっくり天子がうめき声をあげる。
「お前らにこの天人属性の痛みがわか、うぼぉ!!」
再び雷鳴。
人間ならば致命傷を追うことはないが、ゆっくり達には致命傷である。
ゆっくり天子が黒焦げになる。
もう、声を上げなかった。
「いやぁぁっぁ」
その様子にゆっくり達の悲鳴が上がった。

「とらぼるた!!」
ゆっくり衣玖が叫ぶとゆっくりみょんの塊に雷鳴が落ちた。
「ちんぼーーーーーー」
炸裂する稲妻にゆっくりみょんたちがはじけ飛ぶ。
ある者はその場で感電死し、ある者は宙高く弾け飛んだ後に地面に叩きつけられる。
「いやぁぁぁあ、ゆっぐりじだいよぉーー」
逃げ惑うゆっくり達。

それを他所にゆっくり衣玖は笑顔を作る。
「灸を据えねばならないのです」
そういうと大きく息を吸った。
ちりぢりになって逃げるゆっくり達。
「ゆっくりふぃーばーしていってね」
ゆっくり衣玖の叫びと共に辺りに雷鳴が轟く。

凄まじい轟音と共に吹っ飛ぶゆっくり達。
「ゆっーーーー」
「ゆっぐりぃ、ゆ」
「むぎゅ」

辺りに広がる香ばしい香り。
声を出す間もなく吹っ飛ばされるゆっくり達。

「ゆっくりふぃーばーしていってね」
ゆっくり衣玖の号令と共に地獄絵図はその悲惨さを増していく。

「ゆー、ゆー」
騒ぎを聞きつけた母ゆっくり達も雷が広がっているために近づくことが出来ず、ただ子供達が吹き飛ばされていくのを見ているのみである。


そのときである、雷鳴轟く平原へ一頭のゆっくり霊夢が突進していった。
「ゆっくり助けるね」

奇跡的にその母ゆっくり霊夢は雷を避け動けなくなっている我子の元へとたどり着いた。
「おがぁあざぁあああん、ごわかったよー」
涙で顔中濡らしながら母に駆け寄るゆっくり霊夢。
「ゆっ」
それを受け止める母。

周りを見回すと本当に凄惨な状況になっていた。
黒こげでピクリとも動かないゆっくりパチュリー。
雷鳴の直撃を回避したものの、電流にやられ、痙攣しているゆっくりちぇん。

惨状に目を背け我子を口に加え、撤退しようとしたそのとき
「とらぼるたーーーー」
ゆっくり衣玖の叫び声がしたと思うとピンポイントで狙いを定められた稲妻が親子を直撃した。
「ゆーーーーーーーーーーーーーーーーーーー」
断末魔の声をあげる母ゆっくり霊夢。
てっぺんから弾ける母ゆっくり霊夢。
「いやぁぁぁぁぁぁぁぁあl」
小ゆっくりも流れてきた電流で絶命した。
あとに残るは煙を上げる焼き饅頭。


永遠とも思える時間続いたそれは突然終わった。
「ふぅ、わかりましたか。大きな災害が来るのです。早く逃げるのです」
満足げな顔をすると気が済んだのかゆっくり衣玖はひらひらと飾りを棚引かせて雲に吸い込まれていった。

後に残ったのはまだ燻っている草達と、甘ったるい香りを発する、黒こげとなった無数のゆっくりだった物たち。
母子ともども黒焦げにされたゆっくり、もう動かない友を揺さぶるゆっくり、正に地獄絵図だった。




五日後
まだ、平原のあちらこちらに焦げ後は残っているものの、ゆっくり達はその逞しい繁殖力からすでにその個体数を回復させていた。
再び、広がるゆっくりの楽園。

仲の良い、ゆっくり霊夢の大家族が遊んでいる。
跳ねたり、転がったり、虫を捕まえたりと楽しそうだった。

そのとき、幼いゆっくりが見慣れない虫を見つけた。
それはバッタのようようであった。
舌を伸ばし口に入れる。
「むーしゃ、むーしゃ」
幸せそうな顔で咀嚼した。









「ひどいなこりゃ」
慧音は里から少し離れた平原でため息をついた。
平原、いや平原だった場所。

イナゴの大発生により、その場所は草一本残っていなかった。
なんとか里は慧音たち里人が一丸となり、被害を最小限に納めたが、幻想郷内でこのように壊滅的な打撃を受けたところは少なくない。
「まぁ、ゆっくり達も全滅したみたいだし、よしとするか」
500頭も居たゆっくり達はイナゴの大発生により全滅していた。

タグ:

+ タグ編集
  • タグ:

このサイトはreCAPTCHAによって保護されており、Googleの プライバシーポリシー利用規約 が適用されます。

最終更新:2008年09月14日 05:03
ツールボックス

下から選んでください:

新しいページを作成する
ヘルプ / FAQ もご覧ください。