ゆっくりいじめ系1153 ありすに厳しい群れ(後)


その子ゆっくりほどの大きさのまりさは、総勢10ほどの家族で構成された小さな群れにいた。
何匹もの姉妹もいて、日々の食事に困ることもない裕福な場所。
毎日が幸せであり、皆がこの上なくゆっくりしていた。
あの日が来るまでは。



「あら、なかなかとかいてきなばしょね」
「ごはんもいっぱいありそうね。ありすたちがもらってあげるわ」
「はぁはぁ……かわいいまりさがいっぱい……」
「んほおおおお!!!すっきりしたいいいい!!!」

突如現れた10匹ほどのありす達が現れた。
まりさはありす種を見るのは初めてだったが、親の教育からも、そして本能的にもゆっくりできない連中だということは分かった。

「「「「「わたしとすっきりしようねえええ!!!」」」」」
「こ、こどもたち、はやくにげてね!」

姉妹達も群れの他のゆっくり達も一目散に逃げ出した。
成体の数の上では群れの方がやや上回る。しかし発情ありすの身体能力はその数も覆せる。
まりさの親であるれいむとまりさも含め、彼らは戦うことより子供を逃がすことを優先した。
まりさの耳に、後ろでありす達の喚声とゆっくり達の悲鳴が聞こえる。皆を心配しつつも、必死に逃げた。
あれに捕まってしまうと、ゆっくりできなくなる。ただひたすらに逃げた。



どれほどの時間逃げただろうか。
まりさは追いかけてくるありす達の様子は無さそうだと判断した。
まりさはおそるおそる、群れのあった場所へ戻っていった。
そこにあったのは、目を覆いたくなるような惨々たる光景だった。

成体ゆっくり達は皆、頭から何本もの茎を生やして死んでいた。
その近くには黒ずんで死んだ子ゆっくりや赤ゆっくり達が何匹も転がっている。
皆の家は目茶目茶に荒らされ、溜め込んでいた食物はほとんどが持ち去られていた。
そしてまりさの両親や姉妹達も、その死体の中に混じっていた。

「どうじで…………ごんなごどに…………」

昨日までは、いつまでもこの場所でゆっくりできると信じて疑わなかった。
しかし、一瞬にしてあのありす達によって壊されてしまった。
まりさはその日、生まれて初めて泣いた。絶望に打ちひしがれ、何もやる気が起こらなかった。
結局、その日は皆が何も食べなかった。空腹感すら湧かなかった。



翌日、まりさの目に信じられない光景が飛び込んできた。
死んだ成体ゆっくり達の茎から、わらわらとゆっくり達が生まれていたのだ。
そしてそのうちの半分ほどは、ありす種であった。
昨日の惨状など知りもしない赤ゆっくり達は、きゃっきゃと無邪気に笑いあっている。
呆然としているまりさに、赤ありす達が話しかけた。

「ゆ?もちかちて、おねーしゃん?」
「いっちょにゆっきゅりしようね」
「あねーしゃん、ありしゅとあしょぼー!」

なぜ、こんな奴らがこの場にいるのだろう。
そうだ、自分達の親から産まれてきたのだ。
もう片親はあのありす。勝手に来て皆を殺し、食べ物も持ち去った憎きありす。
こいつらは、奴らの餡子を引いている…………

「「「「「「ゆっきゅりちていっちぇね!!!!!」」」」」」

空っぽだったまりさの心に、激しい憎悪の火がついた。
直後、まりさは跳ね、数匹の赤ゆっくり達を踏み潰す。
その場の赤ゆっくり達も、生き残り組も、一瞬呆気に取られる。

「ありすのこなんかと、ゆっくりできるかああああ!!!!!」

まりさの怒号を合図にするかのように、赤ゆっくり達が一斉に逃げ出した。

「なんでええええ!!!!!」
「たちゅけちぇええええ!!!!」
「ありちゅをいぢめないでえええ!!!!!」

こいつらはあのありすの子。こんな奴らがのうのうと生きているなど、許せない。
数は多いとはいえ、所詮生まれたばかりの赤ゆっくり。逃げる速さなどたかが知れている。
十分ほど経った後、その場には赤ゆっくり達は一匹もいず、餡子とカスタードクリームが散らばっているだけであった。

赤ゆっくりを殺しつくしたまりさは、決心していた。
自分達の幸せな生活を壊したあのありす達は絶対に許さない。必ず殺してやる、と。
そしてその日、彼らは今まで生きてきた土地を初めて離れた。
全てはあの憎きありす達に復讐するために。



ありす達に勝つためにはどうすればよいか。
教えられたわけではないが、まりさは理解していた。それは勝てるだけの仲間の数。
まりさは他のゆっくり達のように一定の住処を作ることなく移動を続けた。
そして移動しながら、ありす達を倒すための仲間探しをしていた。
幸か不幸か、あのありす達はこの周辺では悪名高いゆっくりだったようで、他の群れにも同じ境遇になったゆっくりが何匹もいた。
少しずつ、少しずつ数を増やしながら、まりさ達は移動を続ける。
かなり離れた場所で、他のありす種の被害を受けたゆっくりが仲間になったりもした。
時には仲間に手を出そうとした、偶然出会った発情ありすを皆でリンチして殺したりもした。
同族殺しは禁忌ではあったが、彼らはありす種を同族などと認識していなかった。
雨や捕食種に怯えながらも、「ありす種憎し」という心のもと、仲間は着実に増えていった。
そしてまりさが成体になる頃には、いつしかまりさはリーダーと呼ばれる存在になっていた。



「や、やめなさいね……」
「あ、ありすたちをゆるしてね……」
「そ、そうだ!すっきりさせてあげるから!」

10匹ほどのありす達は、まりさを中心とする50匹をも超えるゆっくり達に囲まれていた。
皆が憎しみを込めた目で睨むのは、まりさを含むその群れの多くが被害にあった、あのありすである。
まりさはこのありす達への仕打ちに関して、ずっと前から決めていたことがあった。

「おまえたちは、ただころすだけじゃ、すまさないよ」

すぐに殺して楽にしてやることもない。そんなものでは満足できなかった。
こいつらは死ぬまで辛い目に遭わせ、散々ゆっくりできなくさせた後で死んでもらう。
まりさはありす達に歩みよると、そのうちの一匹のカチューシャを外した。

「おまえたちはこれから、しぬまではたらいてもらうよ」



そして現在。ありす達を見つけたその日から、数ヶ月が経った晩。
あのありす達が見つけた場所だけあって、そこは食物も住処も豊富にあった。
そしてゆっくりできる場所だという噂を聞きつけた他のゆっくり達が次々と群れへ入っていき、群れのゆっくりの数は200以上にもなっていた。
その中にはありす種の姿も何匹もあった。その多くがあのありす達のように図々しいものだったが、中には家庭を構えた理知的なありすもいる。
しかしその群れは完全に「ありす種=悪」という考えが染み付いており、ありす種は決まって厳しい扱いとした。
新参の中にはありす種に恨みを持っていない者も多いが、かといって快く思ってもいない。
文句を言うのはありす種とその家族だけであった。だから、ありす種でなくともありす種の家族にも差別を適用した。
悪そのものであるありす種の家族など、ありす種でなくとも悪に染まっているに違いない。
ありす種と関係ないゆっくりだけが、その群れにおいては良いゆっくりであった。



まりさはこの上なく満足して眠っていた。
かつて自分の家族を皆殺しにしたありす達は散々こき使ったあげく、ある者は餓死、ある者は過労死、ある者は群れの保存食に手を付けたという理由で殺し、今は一匹も生き残っていない。
そして群れはここまで大きくなり、その中で自分はリーダーとなっている。
悪いゆっくりであるありす種も、ここでは自分達の言うことを聞き、馬車馬のように働くしかない。
ありす種の餡子を引いていない、良いゆっくりである自分達は、存分にゆっくりできる。
先日反抗的なまりさ一家が来たが、ずいぶん大人しくなった。

親まりさ達の計画など知る由も無く、幸せそうに眠っていた。






深夜にもかかわらず、一匹のちぇんが見張りに立っていた。
このちぇんは群れの中で最も足の速いゆっくりであり、夜の見張りが仕事である。
れみりゃ達が来る様子があれば、真っ先に群れへ戻り知らせる。そしてありすを囮にし、他のゆっくりは隠れる。
そうすればありす達が死ぬだけで、群れには何の被害もない、とリーダーまりさが立てた作戦であった。
単純な身体能力ではれみりゃ達の方が上だが、木々が生い茂ったこの場所では、小回りの利くちぇんの方がずっと速い。
ちぇんもまた、自分の足に自信を持っていたのだ。

「……れみりゃがきたんだね、わかるよー」

ちぇんは遠くでれみりゃ達の姿を視認した。体付きのものも、体無しのものもいる。
最初は非常に怖かったが、今は慣れたものである。いつものすぐに群れへ戻って知らせようとした。
しかし踵を返すと、目の前に一匹のゆっくりが立ちふさがった。親まりさである。

「なんでこんなところにいるの、わからないよー。はやくにげるんだよー」

脇を通ろうとするちぇんに、親まりさは強烈な体当たりを浴びせた。
完全に油断していたちぇんは、そのまま木にぶつかり、餡子を吐き出して気絶した。
そこに10を軽く超えるれみりゃ達が接近する。

「う~☆さっそくまんじゅうがいるどぉ~☆」
「のろまなれみちゃなんかに、まりさはつかまらないよ!」
「な、なんだどぉ~!」
「あいつ、むかつくんだどぉ~!」

すぐさま親まりさは、群れの方へ向かって逃げ出す。
ちぇんを排除したのは、バレないようにれみりゃ達を群れの方へ誘導させるためであった。



親まりさの立てた作戦はこうである。
ありす達だけでは群れのゆっくり達に反抗するには数が少なすぎる。
外部に助けを求めようにもただでさえ嫌われることの多いありす種、救いの手は来ない。
だからリーダーまりさ達が寝ている間に、その場にれみりゃ達を叩き込む。
そして大パニックになっている隙をついて親ありす達がカチューシャを取り戻す。
しかしカチューシャの場所は、リーダーまりさ達の寝床のあたりだと分かっていた。
必然的に親ありす達は、れみりゃ達が暴れている所に飛び込むことになる。
非常に危険が大きいが、このまま何もせずこき使われて死ぬよりはマシだった。

「のろまれみりゃ、こっちへおいで~」
「「「「「まつんだどぉ~!」」」」」

何度も素早く走る練習をしたルートだが、さすがに恐怖心はぬぐいきれない。
それでも必死にこらえながら、親まりさは群れの方へと駆けていった。



数刻後、洞窟で眠っていたリーダーまりさはなんとなく目を覚ました。
そこはありす種とありす種の家族を持たない成体ゆっくり、つまり群れの多くの成体ゆっくりが集まって眠っている。
しかし、その入口に本来いるべきでない、一匹の息を切らせたゆっくりがいた。親まりさである。

「なんでおまえがここにいるの!さっさとでていってね!」

親まりさはその言葉を無視し、洞窟の奥深くへと入っていく。

「はなしをきいてね!でていってね!」

リーダーまりさの大声によって、眠っていたゆっくり達が起き始めた。
しかし、親まりさは歩みを止めない。

「みんな、こいつをつまみだし…………ゆべええええええ!!!!!!」

その声でその場にいた、100を超えるゆっくり全てが目を覚ました。
彼らの目に真っ先に飛び込んできたものは、洞窟に侵入し始めたれみりゃ達の姿であった。



「うっう~☆たべほーだいなんだどぉ~☆」
「おなかいっぱいになったら、つぶしてあそぶんだどぉ~☆」
「うー!うー!」
「ま、まりさはおいしくないぜ!たべるなられいむをたべるんだぜ!」
「どぼじでぞんなごどいうのおおおおお!!!!」
「むきゅううううん!むきゅううううん!」
「わがらない、わがらないよー!」
「ぢんぽおおおおお!!!!」

入り乱れるゆっくり達の悲鳴を、親ありす達は洞窟から少し離れた場所で聞いていた。
成体ありすだけでなく、連れ出してきた多くの赤ありすや子ありすもいる。

「いまよ!いくわよみんな!」

親ありすが合図をすると、ありす達が一斉に洞窟内へなだれ込んだ。
目的はもちろん、自分のカチューシャを回収することである。

「う~?またふえたんだどぉ~☆」
「拾って食べるんだどぉ~☆」
「ゆ!や、やめなさいね!」

ありす達のうちの一匹がれみりゃに捕まった。
しかし犠牲が出るのは覚悟の上。ありす達の大行進は止まらなかった。
さらに何匹もの犠牲を出しつつも、ありす達は洞窟奥深くのカチューシャ積み場までたどり着いた。

「あったわ!みんなはやく、じぶんのをさがすのよ!」

生き残ったありす達が次々と自分のカチューシャを見つけ、はめていく。
それを止めるはずのリーダーまりさ達他のゆっくりは、自分のことで手一杯でそんな余裕がない。
すぐにありす達は全員カチューシャを見つけたが、それでも大量のカチューシャが余った。
これらは今まで死んでいったありす達のものであろう。

「ありす!みんな、ぶじこれたんだね!」
「まりさ!こっちはへいきよ!」

親まりさは、親ありすと2匹の子ありすの無事を確認して安心した。
しかし、次が一番の正念場だ。出るときに再び、れみりゃ達をくぐり抜けなければならない。
かなり多くのゆっくりが既に殺された今、出る難しさは入る時の比ではなかった。
作戦は立ててある。バラバラに出て行けば全員殺されるが、皆で出れば何人かは生き残れる。
つまり入った時と同じようにするということだ。

「こっちはじゅんびできてるわ!こどもたちもかくごのうえよ!」
「「がんばろうね!」」
「ゆ!それじゃあみんな、いくよ!」

周りのありす達共々、一斉に外を目指して駆ける。

「う~?またいっぱいきたどぉ~?」
「なんなんだどぉ~?とりあえず、つかまえるんだどぉ~☆」

何匹ものありすが捕まっていくが、ありす達は止まらない。
突入してから出るまで、わずか数分の出来事である。
それでも無事出られたのは、突入したありす達の半分にも満たない数だった。
親ありすは、何とか無事抜けることができた運のいいゆっくりだった。

「みんな、ぶじ!?」
「まりさはだいじょうぶだよ!」

親まりさが返事をする。何とか揃って無事抜けることができた。
離れた所で親と姉妹の奮闘をハラハラしながら見ていた2匹の子まりさも合流した。

「あれ?まりさのいもうとは……」

子まりさが問う。
慌てて周りを見渡すと、子ありすが片方いない。
まさかと思って洞窟の入口へ目を向けると、体無しれみりゃに食いつかれていた。

「いたいいいい!たすけてえええええ!」
「うー!うー!」
「あ、ありすのこどもがああああ!!!!」
「だ、だめだよありす!」

再びあの場所に戻ったら、今度こそ殺されてしまう。
自分の子供が食い殺されようという光景を目にしても、何もすることができなかった。
こういうことも予想していたとはいえ、全く手が出せない親まりさは自分の無力さを呪った。
しかし、予想だにせぬ出来事がおこった。

「そのこをはなしてね!」
「う!」

親まりさと仲良くしていたあのれいむが、れみりゃに体当たりをしかけた。
親まりさは驚いた。ありす種以外で突入するのは、自分だけという予定だったはずだ。
しかしれいむは、ありすを助けるという使命感だけで、その場にいたのだ。
ありす種はかつて自分を可愛がってくれた親。その親と同じありす種が酷い仕打ちを受けているのを、黙ってみていられなかった。
体当たりの衝撃で、思わずれみりゃは子ありすを離してしまう。

「はやくにげてね!」
「あ、ありがとうおねえさん!」
「うー…………うー!」
「れ、れいむうううう!!!!」

子ありすが急いで洞窟を出ると同時に、れみりゃはすぐに、れいむに噛み付いた。
そのままガツガツとれいむを食べていく。今度は助けるゆっくりはもういない。

「まりさ……ゆっくりしていってね……」

遠のく意識の中、れいむは思った。
生まれ変わったら、どんな種も仲良くできる群れでゆっくりしたいな、と。



れみりゃ達の襲撃から一時間ほどが経過した。
満腹になるまで食べ、何匹も遊びで潰したれみりゃ達は既に帰っていった。
帰り道の途中で見つけた別の洞窟には赤ゆっくりが大勢眠っていたので、赤ゆっくり達も殺して遊んだ。
もっとも、突入したありす達の子供は全員避難済みであった。

さて、洞窟の中にいたゆっくりは全員が食われ、殺されていったように見えたが。

「やっといったかな……?」

のそり、とリーダーまりさが起き上がる。
リーダーまりさは今まで洞窟の隅で他のゆっくりの餡子をかぶって転がっていた。
つまり、死んだふりをしてれみりゃ達をやりすごしたのだ。

「ゆうう……なんでまりさがこんなめに……」

今まで自分が作り上げた群れは、完全に壊滅してしまった。
リーダーまりさは呆然としながらも、何故こんな目に遭ったのか考えた。
ちぇんの連絡なしにれみりゃが来ることなどありえないはずなのに。
そこで、目が覚めた時に見かけた親まりさの姿が浮かんだ。

「そうか……あいつのしわざだね……」

リーダーまりさに、以前ありすに抱いたような激しい憎悪が浮かぶ。
あのまりさのせいで群れは壊滅した。必ず見つけ出して、ありす達以上に酷い目にあわせてやる。
洞窟を出ると同時に、リーダーまりさは叫んだ。

「あいつ、ぜったいにゆるさないよ!」
「だれをゆるさないって?」

びっくりして声のした方を向くと、大勢のゆっくり達がいた。
親まりさ一家、それに今まで虐げてきたありす達とその家族である。

「やっぱり、いきてたんだね、りーだー」
「よくもさんざん、こきつかってくれたわね」
「いままでのあくじ、つぐなってもらうわよ」

リーダーまりさは、自分が絶望的な状況に追い込まれたのを理解した。
リーダーまりさの顔が青ざめていく。

「あ、ありすのくせに!ありすのくせにいいいいい!」
「りーだーには、ありすたちにしたことを、してもらうよ」

そう言いながら親まりさは、リーダーまりさの帽子を剥ぎ取った。






れみりゃの襲撃から一週間が経過し、新たに小さな群れができた。
その群れは、主にありす種とその家族で構成されている。
れみりゃ対策として、今まで群れがあった所から少し離れた場所にゆっくり達はいた。

「おはよう!きょうもゆっくりしましょうね!」
「「「「「ゆっくりしていってね!!!!!」」」」」

親まりさ、親ありす、それと2匹ずつの子まりさと子ありすは元気だ。
前の群れにいた頃の心の傷は完全には癒えないが、日々ゆっくりとしている。
もちろんここでは、種に関係なく全てのゆっくりが平等だ。

あの日から、一家は2つの墓を立てた。
1つは前の群れに入る前に殺した、カチューシャのないありす。
事情を知らなかったとは言え、自分達と同じ立場だった者を殺してしまった。一家は深く反省していた。
そしてもう1つはあのれいむのもの。赤の他人であるはずの子ありすを助けて命を落としたれいむには、感謝してもしきれなかった。

「むきゅ、おはよう」
「あら、おはよう」
「きょうもゆっくりできるね、わかるよー」
「きょうもとかいはにすごしましょう」

ここのありす達は家庭を構えているだけあって、レイパーではない理知的なありすだ。
レイパーの気があるありすが外部から来たこともあるが、皆で追い返した。

「それじゃあ、みんなでごはんをとりにいきましょう」
「ゆっくりいこうね!」

今日もゆっくり達の、ゆっくりとした一日が始まった。



そしてその一方。

「ゆうう……ゆっくりできないよ……」

ボロボロになりながら食べ物を探す、一匹の帽子のないまりさがいた。
かつて群れのリーダーだったまりさは、以前ありすにしたのと全く同じ仕打ちを受けていた。
食事もろくに貰えず、今日はついに人里の方まで降りてきた。

「ゆ……ゆううううう!」

まりさの目に、とても美味しそうなジャガイモが写った。
普段のまりさなら、人間のものだと分かり、手は出さなかっただろう。
しかし疲れきった体は正常な思考能力を鈍らせた。

「うっめ!これめっちゃうっめ…………ゆ゛っ゛!」
「ちっ……この害獣が……」

鍬を振り下ろされ、ピクピクと悶えるまりさ。
薄れ行く意識の中、最後に思ったことは、自分をこんな目に遭わせたありす種への憎しみであった。












あとがき
Q.赤ゆっくりの時に外したカチューシャを、成長した後ではめられるものなの?
A.外しても一緒に成長するもの、ということにして下さい。

Q.大勢の発情ありす達による大逆襲はー?
A.カチューシャの無いありすに加担するゆっくりなどいません。期待していた方すみません。

過去作
ゆっくり鉄骨渡り
ゆっくりアトラクション(前)
ゆっくりアトラクション(後)
ありすに厳しい群れ(前)
ありすに厳しい群れ(中)

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最終更新:2008年10月17日 13:29
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