ゆっくりいじめ系1114 最強の遺伝子

「ゆぶべべべっ!?」
「ま゛り゛さ゛あああああああ!?」
「全く、まぁ~た畑荒らしか
ほんと嫌になるよ」
男の草鞋がまりさの舌に乗っていた野菜ごとその舌をぐちゃぐちゃに踏み潰した。
砕けた野菜と舌が混じり異様な色彩を産んだ。
「ぢがうのおおおおおお!!まりさはしんせつしんでおちてたおやさいをはたけにもどしてあげようと」
「瓜田に靴を入れず」
男は舌を踏みにじっていた足を引き抜いて振り上げると思い切り蹴りぬいた。
まりさは宙を舞うと柵にぶつかって嫌な音を立てながら餡子を撒き散らした。
そして柵に餡子の跡を残しながらずるずると地面に落ちて
数度痙攣すると衝撃で飛び出していた目玉がずるりと落ちて動かなくなった。
「どぼぢでええええええええええええ!?まりざなんにもわるいごどぢでないのにいいいいい!!」
餡子が混じり黒く滲んだれいむの涙が何筋も頬を伝った。
「死にたくなきゃ最初から畑に近づくなよ、荒らしとそうじゃないのと見分けるの面倒だからさ」
そう言って男はれいむのリボンを摘むと林の方に放り投げた。
そして帰ろうとして手元に指に引っかかって千切れたリボンが
一欠けら残っているのに気付いて鬱陶しそうに手を払った。


それから数日後、幽鬼のように夜の林の中を放浪するリボンのかけたゆっくりれいむの姿を
あるありすは偶然友達の巣から巣へ帰る際に見た。
夜はれみりゃの時間だ、都会派として注意してあげようと思ってありすは恐る恐る声をかけた。
そのれいむはゆっくりと振り返ると壮絶な笑みを浮かべながら言った。
「れいむはれみりゃをまってるんだよ」
そしてけたたましく笑い出したれいむの狂気に恐怖を感じて慌ててありすは逃げ出した。

それからさらに数日後の深夜
れいむの前にれみりゃが降り立った。
れみりゃは獲物を見てその子どもが書いた落書きを張り付けたような笑顔で言った。
「うっうー♪よふかしするわるいこはたべちゃうんだどぅ~♪」
「まって、れいむはれみりゃにおねがいがあるよ」
「う~?」
れみりゃは他のゆっくりとは違う落ち着いた態度でれみりゃに話しかけるれいむに少し驚きながられいむを見た。
無視してそのまま食べてしまっても構わなかったが、とても真剣な表情のれいむに気圧されて、渋々話を聞くことにした。

「う~おぜうさまのれみりゃになんのようなんだどぅ~?」

「れいむをおかして!!れいむっとすっきりして!!!」

れいむは瞳をカッと見開きれみりゃに向かって腹のそこから叫んだ。
れみりゃは困惑して額から汗を流した。
そして思った。
このれいむは頭がおかしいのだろうか、と。
れみりゃとれいむがすっきりする例など聞いたことが無い。
当然だ、二者の関係は捕食者と逃げまとう獲物なのだから。
れみりゃ種にもれいむを性の対象として見るような趣味も無い。
れいむ種がれみりゃ種に出逢ったとき、するべき行動は逃走、ただそれだけである。
なのにこのれいむはれみりゃとすっきりしたいと言うのだ。
生きるための口先三寸かと思ったが
体格差から考えてもそんなことをすれば体が保たないだろう。
れみりゃがれいむの正気を疑うのも当然である。
実際、れいむの熱っぽく開かれた赤く血走る瞳を見てもその正気を疑うには充分だった。

そして十秒間、れみりゃにとってかなり長く熟考したのち
れみりゃはこうまかんのおぜうさまとして恥じることの無い結論を導き出した。
「うっうー♪そこまでいうならたっぷりかわいがってやるんだどぅ~♪」
腰をフリフリしながられいむににじり寄って行く。
据え膳食わぬはおぜうさまの恥ってさくやが言ってた。
ちゃんとさくやの言ったことを覚えてた自分はとっても偉いとれみりゃは思った。

そして二匹は朝まで激しく交わりあった。


「ゆひっ、ひゅひひひひひいひ…!」
犯すのに飽きて、かといって自分が交わりあった相手を食べるのも憚られたので
どこぞへとれみりゃが去っていった後、れいむは壊れたオルゴールみたいにけたたましく笑い出した。
綺麗だった髪は乱れて絡まり、リボンは男に千切られてかけた部分からさらに裂け目を深くした。
頬からはれみりゃの爪が食い込んだのか痛々しい傷跡と、何条もの餡子が流れた後が付いていた。

そしてズタズタに裂けたまむまむから肉汁と、餡子の混じった液体がどろりと流れ出した。
れいむのその機関はほぼ破壊されて、恐らくもう二度と用を成すことは無いだろう。
焦点の合わない瞳から伸びる視線は宙を漂う。
だがれいむの笑いは決して絶望の笑いではなかった。
「これで…これでまりさのかたきが…ひゅひひひひひ!」
雌としての本能があり得ないはずのれみりゃの子種を身篭ったことを確信して
れいむは目の焦点も合わないまま口を歪めて笑った。


一週間後、近くのゆっくりの群の外れに一匹のれいむが住み着いた。
そのれいむは酷い傷を負っていて、群のゆっくりは心配して話しかけたが
れいむに一睨みされただけで立ち竦み、それ以上話しかけることが出来なかった。

群のみんなはそのれいむを疎ましく思いながらも中々手を出すことができなかった。

そうして、次にそのれいむの巣をみんなが見に行ったのは
れいむの巣から恐ろしい産声が聞こえてきた時だった。

「れいむ!あかちゃんがうまれたならみんなにしょうかいしてあげてね!
そしていっしょにゆっくりしようね!」
群の長まりさがれいむの巣の入り口のすぐ横の木の部分を叩いた。
これを気に仲良くなっておかないと、群のみんなが怖がると思ったからだ。
それにみんなかわいい赤ちゃんは見たかったのだ。

巣の入り口を覆っていた草がガサゴソと動いて
長まりさは出てきてくれるのかと思って事前に考えておいた懐柔の言葉を言おうとし
帽子がなくなっていることに気が付いた。

「うゅ~♪たーべちゃーうぞー♪」

はっと気付き見上げると、空を飛ぶゆっくりが長まりさの帽子を捕まえていた。
子どもが書いた落書きを張り付けたような笑顔、口元から生えるキバは長まりさの帽子に突き刺さっていた。
本来地面にあわせて平坦であるべき足からは三本の爪の生えた妙な枝が生えていて長まりさの帽子を掴んでいる。
頭はれいむ種と同じ黒い髪に両脇に髪留めをつけていたが、その最大の特徴であるリボンは無く
代りに薄紫色に赤い布をつけた帽子を被っていた。
そして、その両脇からはあの蝙蝠のような恐ろしい悪魔の羽が生えていた。

「「「れみりゃだあああああああああああああああああ!!!!!」」」
集まっていたゆっくり達は一斉に叫んだ。
そして長まりさの周りに身を寄せ合った。
「ち、ちがう…あれはれみりゃじゃない…!」
長まりさは震えながらその化け物を見上げ言った。

「そうだどぅ~♪れみりゃなんかじゃないんだどぅ~♪」
ソレは長まりさの言葉に頷くと、体の前で悪魔の羽をみょんな形であわせながら言った。
「れい☆むりゃ☆う~♪」
そして足に掴んでいた長まりさの帽子をむしゃむしゃと平らげた。
「ま゛り゛さのだいじばぼうじっびゅべばじゃ!?」
「「「だずげでええええええええええええ!!」」」
一斉に逃げ出したゆっくり達にもみくちゃにされて長まりさはぐちゃぐちゃの饅頭になって死んだ。
その様子を見てれいむりゃと名乗ったその化け物は首をかしげながら言った。

「うゅ~?どうしたんだどぅ~♪もっとゆっくりしてくいくんだどぅ~♪」

不思議がるれいむりゃを他所に、巣の中からはれいむのあの壊れたオルゴールのようなけたたましい笑い声が木霊した。




「たくさんたべて、もっとつよくなるんだよ」
口から虫や木の実を吐き出しながられいむはれいむりゃに言った。
嬉しそうに母から餌を貰いながられいむりゃは応えた。
「うゅ~♪いっぱいたべておおきくなってゆっくりするんだどぅ~♪」

そう言うや否や、れいむりゃの見ていた世界の天地は逆転した。
れいむの体当たりでひっくり返ったのだ。
「あまったるいこといわないでね!おまえはたたかうためにれいむがうんでやったんだよ!!
ゆっくりしてないでとっととりかいしてね!!」
「ぅ、うゅ~、わかったんだどぅ…」
目を血走らせて鬼の形相で言うれいむに怯えながられいむりゃはれいむが何故そんなことを言うのか理解できないものの
とりあえずもう一転がりしてから頷いた。

「ぜんぜんわかってないみたいだね…」
れいむりゃの暢気な表情を見てれいむは嘆息しながら言った。
「おまえはね、やさいをかえしてあげたまりさをころしたあのくずをころすためにうまれてきたんだよ
だからゆっくりしてるひまなんてないの、いっこくもはやくあのくずをころすためにつよくならなくちゃいけないんだよ
それができないならおまえみたいなばけものいきてるいみがないんだよ!」
確かに意識ははっきりしているのにどこか焦点の合わない瞳でれいむりゃを睨みつけながられいむは言った。
「うゅ~、ゆっくりりかいしたんだどぅ~♪」
「それがわかってないっつってんだよ!!!!!」
れいむの体当たりがまたれいむりゃを転ばした。
「う、うゅ?」
何故体当たりされたのか分からず起き上がろうとするれいむりゃにまたれいむが体当たりを食らわせた。
ゴロゴロと何度も巣を転がって吐きそうになりながられいむりゃはれいむを見た。
「どおぢでおまえはぞうなの!?どおぢで!おばえはもっどづよぐなんなぐぢゃだべなんだよおお!!
なのに!れいむにやられてちゃだべでじょおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおお!!!!」
れいむは狂ったように、というか狂っているのだろう。
執拗にれいむりゃに体当たりを繰り出す。
何度も転がり何度も壁に叩き付けられながられいむりゃは思った。
何故おかあさんはゆっくりしないのだろうと。
れいむりゃはこんなにもゆっくりしたいというのに。


いくら体当たりをしても気絶しないれいむりゃの耐久力に満足したのか
れいむはボロボロのれいむりゃを放ったまま眠りに付いた。
れいむが眠りに付いたのを確認すると、れいむりゃはれいむを起こさないようにそっとその隣ですやすやと眠り始めた。


朝早くれいむに叩き起こされて外に連れ出されたれいむりゃは
生後まもないにも関わらずもはや痛めつけるのが目的としか思えないほど厳しい仕打ちを特訓と称して行った。
石を投げつけられ、木の枝で叩かれ、土に埋められ、川に落とされ、蔦を巻きつけられ引っ張られる様は
とても特訓などという上等なものではなく、れいむの持つ恨みをれいむりゃに押し付けているだけだった。

それでもれいむりゃは子どもが書いた落書きを張り付けたような笑顔を崩さなかった。

そんな生活が何ヶ月か続いた。

れいむりゃは飛び回ってれいむの放つ石ころを避け
土に埋められても足の力と羽ばたきで飛び出し
川の中を皮がふやけるまでの間バタ足で泳ぎ
蔦を引きちぎり、逆に蔦を加えてれいむをぶら下げるほどに強くなった。

れいむはそんなれいむりゃを見て満足そうに頷くと
またあの壊れたオルゴールみたいなけたたましい笑い声を上げた。
「これで…ひゅひひひ!これで!このばけものをつかえばまりさのかたきがうてるよおひゅひひひひひ!!
やざしかったまりさをころしたあのクズひゅひ!ころせる!やっところせる!!」
れいむの口から餡子色のあぶくが吹き出た。

そんな笑顔でもれいむりゃはとても嬉しくて一緒に笑った。


梅雨の季節が来た。
あれかられいむはれいむりゃの特訓の合間にまりさを殺したあの男の動向を探っていた。
男は殆どの日を畑で仕事をしていた。
畑の中はまずいとれいむは考える。
一緒に畑仕事をしている仲間を呼ばれる危険がある。
いくらあの恐ろしいれみりゃの血を引くれいむりゃでも
二対一では分が悪いとれいむは思っている。
かといって家の中も危険だ。
家の中には色々な道具を置いてあるに違いないし間取りにも詳しいだろうから不利だ。
男が外で一人になる瞬間が知りたかった。

そうして調べている内についにれいむは遂に男が一人になる時間を見つけた。
男は一週間に一度、里の方に一人で出て行く。
特にその時に渡る古びた人気の無い橋の上は逃げ場も殆ど無い絶好のポイントだった。

れいむりゃは、れいむが男を見に行っている間、たった一人でとても寂しがった。

梅雨の最中でもはや濁流に近い流れを持つ川のほとりで雨避けの葉っぱを口に咥えながられいむは言った。

「やっと、おまえのやくめがはたせるんだよ
うれしいよね、れいむりゃ」
入念な準備を経て、れいむりゃにもしっかりと計画を伝えてれいむはれいむりゃと橋の前に立った。
「れいむりゃ、わかるね
ここであのおとこをころすんだよ」
れいむはちらりとれいむりゃの方を見て最終確認をした。
「うっゆー♪わかるんだどぅ~♪ばっちりなんだどぅ~♪」
れいむりゃはれいむが喜びに震えているのを感じ取って自分も嬉しそうに頷いた。

「そいつにれいむりゃがおしおきしておとうさんにひどいことしてごめんなさいっていわせるんだどぅ~☆」
はしゃぎながらそう言ったれいむりゃに唖然としながられいむはぽとりと咥えていた葉っぱを落とした。
ドン、とれいむは体当たりをした。
不意の体当たりにれいむりゃはゴロゴロと水浸しの地面を転がり泥まみれになった。
「う、うゅ~?」
ちゃんと答えられたと思ったのに何故か怒りの形相のれいむを見てれいむりゃははてなと首を傾げた。
「なにをいっでるの!?それじゃだめだんだよ!!
ちゃんところして!!いきのねをとめて!!
にどとそいつをゆっくりできなくするんだよ!!」
それを聞いて、れいむりゃは固まった。

「う、うゅー?おかあさんがいってるころすってのがよくわからないんだどぅ~♪
それをしたらゆっくりできなくなっちゃうのかどぅ~?」
困惑し額に汗を浮かべながられいむりゃは尋ねた。
ザアザアと雨粒が顔を打ち据えるのを意にも介さずれいむは捲くし立てた。
「あたりまえでしょ!そんなこともわからなかったの?ばかなの!?
わかったらとっととあのおとこをころすじゅんびをしてね!!」

「……じ、じゃあいやなんだどぅ~」
れいむりゃは、搾り出すように言った。
か細い声だったにも関わらずその声は何故か雨音にかき消されずにれいむの耳にちゃんと届いた。
「は?いまさらなにをいって」
「いやだどぅ~♪だれだってゆっくりできなくなるなんてだめなんだどぅ~♪ひとのだいじなゆっくりをとったらだめなんだどぅ~♪
こらしめるだけでかんべんしてあげるんだどぅ~♪そしたらみんなゆっくりできるんだどぅ~♪」

「ふっざけるなああああああああ!」
れいむりゃの初めての反抗にれいむは激怒した。
「あのおとこはねぇ!まりさの…まりさのだいじないのちを…ゆっくりをうばったんだよ!!
あんなにやさしくて!つよくて!ゆっくりしてたまりさのゆっくりおおおおおおお!!
だからあのおとこはゆっくりをとられてとうぜんなんだよ!!なんでそんなこともわからないの!?
ばかなの!?しぬの!?だいたいまりさみたいなすてきなゆっくりからおまえみたいなばけものがうまれるか!
しね!ゆっくりしね!!」
れいむは激昂して喉が裂けて口から餡子が飛ぶほど叫んだ。
それでもれいむりゃは怯まなかった。
「それでもいやなんだどぅ~♪
それよりそいつもゆっくりさせたらさんにんでおとうさんのぶんもゆっくりできるんだどぅ~♪
おかあさんもこれでゆっくりできるにちがいないんだっどぅ~♪
うゅー、こんなことおもいつくなんてれいむりゃはてんさいだっどぅ~♪」
れいむりゃはれいむを説得しようとかそういうことだけでなく
ずっとそうしたいと思っていたことをれいむに告げた。
「ゆぐがぎゃああああああああああああああああ!!
ふざけるなふざけるなふざけるなあああああああ!!
れいむのゆっくりはおばえどなんがじゃない!!おばえみだいなバゲモノどじゃなぐで
まりさとぉ!れいむとまりさのかわいいあかちゃんのさんにんでするはずのゆっくりなんだよおおおおおお!!!
もういいもういいもういい!!ぜんぶれいむがやる!!おまえみたいなばげもののぢがらはがりない!!
だがらお゛ばえがらゆっぐぢぢねええええ!!!」

怒りで血が上ったためか、それとも雨の湿気のせいか古傷から餡子を噴出し目から餡涙を流して
歯茎をむき出しになるほど歯を食いしばりながられいむはれいむりゃに襲い掛かった。
「や、やめるんだどぅ~☆れいむりゃにたいあたりしたらおかあさんのほうがいたいんだどぅ~♪」
実際その通りだった。
れいむは頑丈なれいむりゃに体当たりするたびに古傷を開かせ、ボロボロになっていった。
それでもれいむは止まらない。
れいむりゃは逃げればいいのにれいむを止めようと何度も羽でれいむを包みこみ、踏ん張った。
その度にれいむは羽を振り払って体当たりをして傷口を大きくした。
「やめるんだどぅ~やめるんだどぅ~♪」
「だばっ!れええええええ!!!」
二匹はもつれ合いを繰り返していつの間にか橋の上まで来ていた。
れいむりゃの必死の訴えも空しく、れいむは突進した。
雨とれいむに体力を奪われたれいむりゃは、れいむの前に立とうとして足を滑らした。

何も居ない空間にれいむは突っ込み、そして雨に濡れた木の板に足を滑らせて橋から落下した。
「ゆっ」

「お゛があ゛ざあ゛あ゛あ゛あ゛あ゛ああああああん゛!!!」

初めてれいむりゃの子どもが書いた落書きを張り付けたような笑顔が歪んで
驚愕の表情へと変わった。
れいむりゃはその悪魔の羽を羽ばたかせて川に落下したれいむを枝のような足でリボンを掴んだ。
普段ならそれだけですぐに引き上げられるだろうが
濁流に近い流れの前では流石のれいむりゃでも引き上げることが出来ずに一緒に引っ張られた。
「お゛っおばえのぜいだ…お゛ばえが…」
「お゛があ゛ざんしんじゃだめだどぅ゛う゛!も゛っどゆっぐりずるんだどぅ!も゛っどゆっぐりずるんだどぅ!」
呪詛を吐こうとして、れいむは初めて見るれいむりゃの必死の形相に目を留めた。
「も゛うっ、ゆっぐり゛ずる゛もぐぞぼっ!な゛いんだよ…!
がぼっがぼっ、れい゛む゛のゆっくりばぼっ、まり゛さ゛と」
ガバガバと水を飲みながられいむはれいむりゃに言った。
それでもれいむりゃは言う。
「ぞんなごどないんだどぅうぅうう!おがあざんはれいむりゃとゆっくりすればいいんだどぅ!!」
初めて泣き喚くれいむりゃの顔を見ながられいむは今にも濁流に流されて死んでしまいそうなのに思わず呆れた。
「もうっ……いいよ…おばえっ、にきたいしがぼがっぼ、れいむが…ばかだったよ…」
「だいじょうぶだどぅうう!れいむりゃは!!おかあさんにいっぱいきたえてもらってじょうぶになったから
こんなのへっちゃらなんだっどぅうううううううううう!!」
れいむりゃはそう言うと歯を食いしばり白目を剥いて踏ん張った。
れいむの体が川から少し持ち上がる。
口が自ら出たれいむは疲れ果てた声で言った。
「……れいむとまりさのかわいいあかちゃんがほしかったよ、おまえみた」
その時、ずっと引き裂けそうになっていたれいむのリボンが千切れて
ジャボンとれいむは濁流に飲み込まれた。

「お゛があ゛ざあ゛あ゛あ゛あ゛あ゛ああああああん゛!?
う゛ゅ゛あ゛ああああああああああ!!!う゛ゅ゛あ゛あ゛あああああああああ!!」
あっと言う間に下流まで流されていったれいむを追ってれいむりゃは涙を流し絶望の表情を浮かべた。
その枝のような足には千切れたれいむのリボンが握られていた。

結局れいむが最後に「おまえみたいなばけものとちがって」と言おうとしたのか
それとももしかしたら「おまえみたいなゆっくりした」と言おうとしたのか
それとも全く違うことを言おうとしたのかは濁流の中に飲み込まれてわからなくなった。


ある晴れた日のことだった。
男は畑仕事に精を出していたが
ゆっくりが畑に近づいているのに気付いて眉を潜めて木の棒を拾い肩にかけて近づいていった。
そして、少々様子がおかしいことに気付き厭そうな顔をした。
「何お前…」
「れい☆むりゃ☆う~♪」
れいむりゃと名乗ったそのゆっくりは
ゆっくりれいむなのかれみりゃなのかどっちとも付かない
みょんな姿でパタパタと男の前を飛んでいた。
「うゅー♪おまえがゆっくりしてるのかおしえるんだどぅ~♪」
「今さっきからゆっくりできて無いよ」
男は心中でお前の姿見てからな、と続けた。
「うゅー♪ゆっくりできないなんてあわれなやつなんだどぅ~♪
おまえなんかれいむりゃにかかればいちっころなんだっどぅ~♪」
調子に乗り切ったことをほざくゆっくりを見ながら男は心の中でさっさと潰そうと決心して棒を振り上げた。

「うっゆー♪でもれいむりゃはやさしいからそんなことしないんだっどぅ~♪
これをありがたくうけとるんだっどぅ~♪」
そう言ってれいむりゃと言うゆっくりは口からどんぐりをぺっと吐き出した。
「……?何これ」
意図を測りかねて男は棒を振り上げた手を思わず止めた。
「それをうめればどんぐりのきがはえるんだどぅ~♪
どんぐりいっぱいおなかいっぱいでふゆもゆっくりできるんだどぅ~♪
れいむりゃにかんしゃするんだどぅ~♪」
「とりあえずクヌギが生長するのに何年かかるか勉強してから出直せ」

「お゛ぜう゛!?」

面倒くさくなって男は棒を振り下ろした。
吹っ飛んだれいむりゃは木にぶつかって、そのまま落ちるかと思いきやよろよろと飛ぶと
ゆっくりと背を向けて言った。
「いつかそれでゆっくりできるときがくるんだどぅ~♪
そのときはかんしゃしつつゆっくりするんだどぅ~♪」
「とりあえず二度と来るな」
男の言葉を聞いているのか聞いていないのか
れみりゃの帽子とビリビリに破けたれいむのリボンをつけたみょんなゆっくりは森の中へと消えていった。
「…はぁー、仕事しよ」
何だかしこたまやる気を削がれて男は肩を落としながら仕事に戻った。



「うゅー、ゆっくりさせてあげるのってとってもむずかしいんだっどぅ~」
少々ばかりうまくいかなかったことに少し気落ちしながられいむりゃは溜息をついた。
「…うっゆー♪でもおかあさんのぶんまでみんなをゆっくりさせるまでがんばるんだっどぅ~♪
おかあさんがきたえてくれたからこのくらいぜんぜんへいきへっちゃらなんだどぅ~♪」
子どもの落書きみたいに無邪気な笑みを浮かべて、このみょんなゆっくりはまた誰かをゆっくりさせにパタパタと飛んでいった。

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最終更新:2008年10月15日 22:23
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