ゆっくりすいか系いじめ1 ゆっくりすいか

※現代社会に当然のようにゆっくりがいます。
※オリ設定満載です。
※ぬる虐めです。ボリュームも少なめです。



















数年前に突如現れ、急速に社会に浸透していった(ような気がする)ゆっくりと呼ばれる新たなる生命体。

人間の生首が膨張したような容姿のそいつらは饅頭のクセに生きていたり、どこから来たのは全く不明だったりとあまりに謎が多すぎる。

が、目新しいものや珍しいものを好む人々はその「ゆっくりしていってね!」とか「ゆーっ!」などと珍妙な鳴き声をあげる未知の存在をあっさりと受け入れた。

そして、私はよくわからない成り行きでそのゆっくりを9匹も飼う羽目になってしまった普通の女子大生だ。



「あ~・・・お酒が飲みてぇ・・・」

私の家にゆっくりがやって来てはや2ヶ月。ここ最近全くお酒を飲んでいない。
それまでは毎日リットル単位で酒盛りしていたのだが、連中の食費を捻出するために真っ先に嗜好品のための出費を切ってしまった。
そんな訳で、齢20にしてアル中同然の私の我慢はもはや限界。
しかし、たとえゆっくりと言えど2ヶ月も付き合っていれば愛着は湧く。
今更捨てるわけにもいかず、かといって「1杯だけ」と言ってお酒に手を付ければ転がりやすい坂式にまた飲みたくなるのは目に見えていた。

「あ~・・・ゆっくり酒飲みてぇ・・・」

再び呟くが、流石にこればっかりはどうにかなるものでもない。
ため息をつきつつ、しばらくボーっと空を眺めていたが、10分ほどして飲みたい衝動が落ち着いてきたところでのっそりと立ち上がる。
そして、「さて、今日も頑張るか」と誰に言うでもなく口にしたそのとき・・・

「ゆっくりしていってね!」
「んあ?」

これでもかというくらい聞きなれたその挨拶に反応した私はすぐさま視線を地面に落とし、きょろきょろと足元を見回した。
そこにいたのは見たこともない大きな2本の角の生えた下膨れのどこか既に出来上がった感のある顔饅頭。
見たことはないが聞いたことはある。確かこいつはゆっくりすいかだ。

「なんだ、ゆっくりか」
「おねーさん、ゆっくりしていってね!」
「はいはい、ゆっくりしていってね・・・ん?」

少しでも目の高さをあわせるためにしゃがみこんだ私に満面の笑みと二度目の挨拶を向ける。
すると、私を“ゆっくりできるもの”と認識したすいかはふらふらと酔っ払いの千鳥足を髣髴とさせる足取りで私の傍へ寄ってきた。

「・・・あんた、酒臭いね?」
「あたりまえだよ!すいかゆっくりできるおさけをもってるもん!」
「・・・・・・ほうほう」

そうかそうか、お酒を持っているのか。
しかし、相手はゆっくりだ。お酒を製造する技術があるとは思えず、また保管する技術もあるとは思えない。
となると、こいつの言う「持っている」の意味するところは一つしかない。

「・・・いただきます」
「ゆっ?!いだい、いだいよっ!ゆっぐぢやべでね!!」
「む~しゃ、む~しゃ・・・なるほど酒饅頭か」

すいかに向かって手を合わせてから、彼女の他のゆっくりより弾力のある頬を少しちぎって食べると口内にご無沙汰だったような気がしなくもない風味が広がってゆく。

「ん~・・・でも、これはお酒とは言いがたいなぁ・・・」
「おね゛ーざん、なにずるの!?すいがおごっだよ!!」

なまじ酒の味がするだけに酒を飲みたい衝動が緩和されるどころか一層フラストレーションが溜まる。
一方、すいかは私のそんな身勝手な不満に気づく様子も無く、“ぷっくううううぅぅっぅぅぅううぅぅぅぅ~”と頬を膨らませて膨張していた。
さっきまでは角を除けば普通のゆっくりよりやや小柄なくらいだったのに、今やすいかの頭頂部は私の腰の高さにまで達している。

「みっぢんぐばわーしたすいかはこわいんだよ!はやくあやまってね!」
「ん、ああ・・・ごめんごめん」

鬱陶しいのでさっさと謝るとすいかはいっぱい溜めた空気を吐き出し、すぐに元の大きさに戻った。
なるほど、すいか種は他のゆっくりの頬のような伸縮性が全身に備わっているらしい。
元の大きさに戻ったすいかはお約束のゆっくりを浮かべ、何故かプルプルと震え始める。

「ゆゆっ!おこったら、おさけがのみたくなってきたよ!」
「・・・そうかそうか」

その言葉を聞いた瞬簡にもし、万が一にも「酒よこせ」と抜かしたら踏み潰そうか・・・などと考える。
しかし、すいかが取った行動は私の想像とは異なるものだった。

「ゆっ・・・ゆっ・・・ゆ~っ!」

元気良く叫んだ瞬間、ポロッと右側の角が取れ、ころころと地面を転がる。
そして、すいかは取れた角を咥えると、細い先端部を噛み砕いた。

「ご~くご~く・・・うめぇ~♪」

よくも飲みながら喋れるものだ、などと思いつつもある確信を得た私はすいかの左側の角を引っこ抜く。
それから、実はかりんとうで出来ている角の先端部を噛んで潰し、その中の空洞を覗き込んでみた。

「ゆぎゅ!おねーさん、なにずるの!?」
「おおっ!お酒が入ってる・・・」

15cm以上はあろうかと言うすいかの角のなかをいっぱいに満たす液体。
しかも、なかなか美味しそうな匂いがする。
もはや飲め飲めモードに突入した私は、すいかの文句を聞き流しつつ、一気に酒を飲み干した。

「ご~くご~く・・・うめぇ~!」
「ゆううううううう!すいかのおさけだよ!かってにのまないでね!?」

傍らで空気を吸って膨張したすいかが何か言っているが、何かアレなスイッチの入ってしまった私の耳には届かない。
爛々と目を輝かせながらすいかの頭を見てみると、信じられない事に、なおかつありがたい事にもう右の角が再生していた。
というわけで、引っこ抜きそして飲む。
量はしっかり回復していたものの、さっきのより味は悪い。
なるほど、ある程度寝かせておかないと味が良くならないのか。

「やめでえええええええええええ!?」

しかし、それでも十分飲める程度の味だ。気にするほどのものでもない。
再びすいかの頭を見てみると今度は左の角がきっちり再生していた。
本当にありがたい。これで久しぶりに心行くまでゆっくりとお酒が楽しめる。

「ひゃあ、我慢できねぇ!酒盛りだぁ!!」
「これぢゃゆっぐぢできないよおおおおおおお!!」

人目もはばからずに叫んだ私は相変わらず膨らんで威嚇しつつも泣きじゃくるすいかの左の角を引っこ抜いた。


‐‐‐あとがき‐‐‐
この後、我に返ったお姉さんはお詫びも兼ねてすいかを家に招待することになる。
彼女の家を気に入ったすいかも住み着いて、家計が更に逼迫することに。
それでも、彼女にとって水さえあれば酒を作れるすいかは最高のゆっくりだったという。

byゆっくりボールマン

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最終更新:2008年10月05日 17:58
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