ゆっくりいじめ系1011 ありすに厳しい群れ(中)




一家がこの群れにきてから一週間ほど経っただろうか。
親まりさと親ありすはヘトヘトになりながらも、毎日狩りに精を出していた。
土地にも段々と慣れてきて、群れを抜けるための食料も少しずつ溜まり始めたその深夜、事件は起こった。

「むきゅ、たいへん!さっさとここをでるのよ!」

赤ありす部屋に突如、教育係のゆっくりぱちゅりーが乱入してくる。

「ゆ……どうちたの……」
「ありしゅ、ねむちゃいよ……」
「ゆっくりしないで、わたしについてくるのよ!」

部屋の中にいる何十匹もの赤ありすが、ぞろぞろとぱちゅりーに連れられて部屋を出る。
そのまましばらく歩いていくと、成体ありす達が集められている所があった。
その中には親まりさの妻である親ありすはもちろん、リーダーまりさの姿もあった。

「あれれ、おかーしゃん!?」
「ありしゅ、あいたかったよー!」
「ゆ!ありすのあかちゃんたち!げんきにしてた!?」

再開を喜ぶゆっくりアリス達を尻目に、ぱちゅりーとリーダーまりさは密談する。

「まりさ、これでぜんいんよ」
「よし、じゃあみんなきいてね!これからすこしのあいだ、ここでゆっくりしててね!
 ちゃんとここにいたら、ごほうびがあるよ!」
「「「「ご、ごほうび!?」」」」

色めきたつゆっくりアリス達。
この群れに来てから全くいい思いをしていない彼女達にとって、それは魅力的な申し出だった。
たちまち話の輪が広がる。美味しいご飯だろうか、若いありすは可愛いまりさかとも騒いでいる。
会話に夢中な彼女達は、いつの間にかリーダーまりさとぱちゅりーの姿が消えていることに気付かなかった。

それから数分ほど経っただろうか。
集められたゆっくりアリス達の耳に、バサバサという音が聞こえた。
何事かとそちらを向いてみると、そこにいたのはあの捕食種、ゆっくりれみりゃが10匹ほど。

「うっう~。おいしそ~なまんじゅうなんだどぉ~☆」
「たいりょうなんだどぉ~☆」
「れ、れみりゃ!あかちゃんたち、はやくにげてね!」
「れみりゃ、こわいよおおおおお!!!!!!」

蜘蛛の子を散らすように一斉に逃げ出すゆっくりアリス達。
親ありすも5匹の赤ありすに、慌てて自分について逃げるように言う。
しかし、その場はありす達で埋め尽くされており、なかなか赤ありす達は親ありすの元へ辿り着けない。
親ありすも逃げ出したい気持ちをこらえ、震えながら赤ありす達の到着を待つ。
少し後、ついに4匹の赤ありすが親ありすの元へ辿り着くも、1匹がれみりゃに捕まった。

「ちっちゃいのつかまえたんだどぉ~☆」
「たちゅけてえええええ!」
「あ、ありしゅのいもーとがあああ!」

愛するまりさとの間に出来た、何よりも大切な自分の子。
それが今目の前で食べられようとしている。そんなことは当然許したくはなかった。
だが、親ありすは知っていた。自分ではれみりゃには太刀打ちできないということを。
そして赤ありすを助けようとしても、返り討ちに会うだけだということも。

「あかちゃん……ごめんねええええ!!!!!」
「おかーしゃん!なんでえええええ!!!!」

親ありすは断腸の思いで赤ありすを見捨て、他の4匹を口に含み逃げ出した。
この群れに入ってから随分辛い目に遭ってきたが、家族だけが唯一の支えだった。
しかしその家族が、ついに一人失われてしまった。親ありすは涙をこらえることができなかった。
れみりゃ達に蹂躙される自分の子や他のありす達を背に、ひたすら逃げ続けた。
そして何とかれみりゃ達から逃げ切ることに成功した。親ありすはひとしきり泣き続けた後、泣き疲れ眠った。



翌日になると、れみりゃ襲撃の件は親まりさの耳にも伝わった。
この親まりさは、昨晩は他のゆっくりの指導のもと、避難場所に隠れてれみりゃをやり過ごしていた。
そして、1匹の赤ありすの命が失われたことも知らされた。

「なんで……ありすばかりこんなめに……」
「……いままでも、たまにあったんだよ」

涙を流す親まりさにれいむが言う。

「ときどき、れみりゃがこのむれをおそいにくるんだよ。
 そのときいつも……ありすをおとりにして、ほかのゆっくりはあんぜんなばしょにかくれるんだ」
「ひどい……」

2匹の耳に、他のゆっくり達の会話が聞こえてくる。

「やっぱりきのうのは、れみりゃらしいよ」
「おお、こわいこわい」
「またありすをおとりにしたんだね、わかるよー」
「ありすだって、かわいいれいむのためにしねたんだからまんぞくだよね!」
「そうなんだぜ!ありすのいのちなんて、ごみみたいなものなんだぜ!」
「「「「「ゆっゆっゆ!」」」」」

下品に笑い合うゆっくり達。
親まりさはそんなゆっくり達を睨むことしかできなかった。
ちなみにその朝ありす達にはごほうびとして、雀の涙ほどの食料が与えられた。






さらに一週間ほど経った日のこと。
1匹赤ありすを失い悲しみに暮れる親まりさと親ありすであったが、まだ6匹も子供達はいる。
その子達のためにも沈んでいるわけにはいかないと、再び狩りに精を出し始めた。
そして赤ありす達には他の赤ゆっくり達と遊ぶことも許された。
カチューシャが無いため攻撃されることもあるが、群れのありすは攻撃しないよう教えられていたため、そのような赤ゆっくりは他の野生個体に比べればかなり少ない。

「ゆっくちちていっちぇね!」
「ふちゃりでゆっくちちようね!」

そして、親ありすの子である赤ありすのうちの1匹と、特に親しくなった1匹の赤れいむがいた。
カチューシャが無いにもかかわらず、この赤れいむは赤ありすと仲良く遊んでいた。
赤ありすは悪との教育を受けてはいるが、赤れいむにはこの赤ありすはゆっくりできると何となくわかっているようだ。
この2匹の周りを見ると、カチューシャの無い赤ありす達を虐める赤ゆっくりも多い。
しかし、この2匹はとてもゆっくりしており、数日前に始めて出会ってから喧嘩の一つもない。
今日も追いかけっこをして遊んでいる。

「こっちだよ~」
「れいみゅ、まっちぇよぅ~」
「ゆっくちおいかけちぇね……ぴゅ!いちゃいよおおお!!!!」

赤れいむが転んでしまい、ケガをしたようだ。
幸い大ケガではないようだが、痛みはそれなりにある。
泣く赤れいむに、赤ありすは心配そうに声をかけた。

「だ、だいじょうぶ、れいみゅ!」
「いちゃいけど……がまんすりゅよ……」
「ゆゆ!れいみゅはちゅよいね!」

ケガをしたため、体を動かして遊ぶのはやりづらい。
だからお話をしたり歌を歌ったりして、二人でゆっくりした。
日が暮れてそれぞれの住処に別れても、二人とも明日も同じようにゆっくりできると信じていた。
明日もれいむとゆっくりしよう。そう思い、赤ありすは眠りについた。



翌朝。

「たいへんだよまりさ!いそいでひろばにいって!」

というれいむの声で親まりさは起こされた。
何事かと広場へ行ってみると、大勢のゆっくりがそこに集まっていた。
親ありすや2匹の赤まりさ、そして3匹の赤ありすの姿もある。
残る1匹の赤ありすはというと、集団の中心の切り株の上にいた。
そのすぐ手前では、1匹のゆっくり霊夢が大声でわめいている。

「このありすは、れいむのかわいいあかちゃんに、けがをさせたんだよ!
 こんなあぶないゆっくり、しぬべきだよ!」
「おかーしゃん、れいみゅはきにちてないよ……」
「あかちゃんはだまっててね!」

親まりさは、このれいむが何を言っているか分からなかった。
赤ゆっくり同士での遊びにケガなど珍しいことではない。
そしてある時は謝ったり、ある時は喧嘩をしたりして成長していくものである。
それをケガをさせたから殺せなど、お話にならない。

「やめてえええ!ありすのあかちゃんをかえしてえええ!」
「ゆ!あなたがこのありすのおやだね!やっぱりこどもににて、ぶっさいくなありすだね!」

切り株の上でガタガタ震える赤ゆっくりを見ていたたまれなくなったのか、親ありすが懇願する。
しかしその願いは受け入れられることはなかった。リーダーまりさが宣言する。

「みんなきいて!このあかちゃんありすは、あかちゃんれいむにけがをさせたわるいゆっくりだよ!
 まりさはこんなゆっくり、しぬべきだとおもうんだけど、みんなはどう!?」

たちまち沸き起こる、「ころせー!」の声。
親まりさや親ありすの必死の「やめてええ!!!」という声は他のゆっくりの耳には入らなかった。

「ありすたち、しっかりみててね!
 ありすのくせにほかのゆっくりにけがなんかさせたら、こういうめにあうんだよ!」

リーダーまりさが跳ね、赤ありすの上に落ちる。
赤ありすは悲鳴をあげる間もなく、べちゃっと潰れた。

「まりさのあかぢゃんがあああああ!!!!!!」
「ありすのあかぢゃんがあああああ!!!!!!」
「「まりちゃのいもーちょがああああ!!!!!!」」
「「「ありしゅのいもーちょがああああ!!!!!!」」」
「これでわるいありすはしんだよ!みんな、もちばにもどってね!」

ぞろぞろと帰っていくゆっくり達。
気の毒そうに思っている顔のゆっくりは、ほとんどいなかった。

「やっぱりありすって、さいていのゆっくりだね!」
「ありすとはゆっくりできないんちーんぽ!」
「それにしても、みにくいあかちゃんありすだったんだぜ」
「おお、おぞましいおぞましい」

もはや親まりさも親ありすも、怒りを覚えることすらできない。
ただただ、涙を流すのみだった。



翌日、さらに1匹の赤ありすの命が失われた。
処刑された赤ありすの姉だということで、ゲス赤まりさ達に虐め殺されたのだ。
親まりさも親ありすも厳罰を要求したが、リーダーまりさの判決はその日の昼食抜きというだけのものだった。
それもこのゲス赤まりさ達が、ありす種から生まれたゆっくりではないからだった。
それ以後、残った2匹の赤まりさは多種と極力関わらないようになった。



一家がこの群れに来てから一ヶ月が経過した。
赤ゆっくり達も成長し、成体にはまだ達しないものの、子ゆっくりと呼べる大きさに成長した。
当初は赤まりさ2匹、赤ありす5匹という家族構成も3匹の赤ありすが死に、残る子は4匹のみ。
これ以上この群れにいたら、残る子達もどうなるか分からない。
そう思った親まりさも親ありすも、死にもの狂いで群れから抜けるための食料を毎日集め続けた。
育ち盛りの子達に食べさせながら余分な食料を集めるのは並大抵の苦労ではない。
それでも2匹は再び昔のゆっくりした生活を取り戻すため、疲れるのも忘れてひたすら食料を集めた。
そして親まりさと親ありすは、今リーダーまりさの目の前に集めてきた食料を置いた。
ボロボロの体に似つかぬ大きな声で、2匹は宣言する。

「これでむれからぬけるためのごはんはあつめたよ!」
「わたしたちはこのむれをでていくわ!わたしとこどもたちのかちゅーしゃをかえしてね!」

リーダーまりさも、その周りにいる取り巻きのゆっくり達もこれには驚いた。
規定の食料はかなり多めの設定だったのだが、この2匹は見事に一ヶ月で集めきったのだ。
条件を満たしている以上、これで自分達は解放されるはずだと2匹は信じていた。
しかし、リーダーまりさはすぐに表情を嘲るような笑いに変える。

「ゆゆ!これじゃあたりないね」
「なんで!?ちゃんといわれたようにあつめたよ!」
「さいしょにせつめいしたるーる、もういちどおもいだしてね」
「「ゆ?」」

リーダーまりさが再びルールの説明を始める。
そしてリーダーまりさは、そのルールのある一点を満たさないと言う。
そのルールとは、
『群れを抜けたい場合は、決められた量の食料を群れに提供しなければならない。
 その量は、一家における成体ゆっくりの数に比例する』
という点であった。

「わかってるよ!だからまりさとありすのぶん、ちゃんとあつめたでしょ!」
「ふたりぶんあるわよ!はやくかちゅーしゃをかえして、このむれをぬけさせなさい!」

この一家の成体ゆっくりは、親まりさと親ありすの2匹。
もちろんそれは彼女達も分かっており、だから2匹分の食料を集め、提供したのだ。何も問題はないはずである。
しかし、リーダーまりさの不適な笑みは浮かばない。
そして取り巻きのゆっくりの中の1匹に指示をした。

「このまりさとありすのこどもたちをよんできてね」



数分後、2匹ずつとなった子まりさ達と子ありす達が到着する。
リーダーまりさは、親まりさと親ありす達に言い放った。

「このこたちは、もうりっぱなおとなだよ!
 だからむれからぬけたいなら、このこたちのぶんのごはんもあつめてね!」

その場にいた全員がびっくりする。
確かに赤ゆっくりとはもう呼べない大きさだが、成体にはまだ達しないのは誰の目から見ても明らかだ。

「なにいってるの!このこたちはまだこどもだよ!」
「そうよ!へんなこといわないでね!」
「そうかな?じゃあみんなにきいてみるよ」

リーダーまりさは、周りの取り巻き達の方へ向き直した。

「みんな!このこたちは、もうりっぱなおとなだよね!?」

しばらく取り巻きゆっくり達は唖然としている。明らかに成体ではないのだから。
しかし少ししたら皆、下卑た笑いを浮かべ始めた。

「……そうだね、このこたちはおとなだよ」
「おお、おとなおとな」
「おとななんだね、わかるよー」
「むきゅ、おとなね」
「おとなだちーんぽ!」

一家の顔が青ざめた。
2匹分集めるだけでも死にそうな苦労をしたのだ。子供達が成体と認定されれば、成体ゆっくりは6匹。
実に今まで集めた3倍もの食料を、新たに集めなければならない。

「そういうわけで、そのこたちはおとなだよ!ろくにんぶんのごはんをあつめてね!」
「むきゅ、あとおとなだから、そのこたちもきょうからかりにさんかしなさい!」
「かわいいれいむたちのために、せいぜいがんばってね!」
「さからったら、むれのみんなでせいさいしてやるんだぜ!」
「まぁ、こどもをおいてって、ふたりだけでぬけてもいいんだぜ?」
「「「「「ゆっくりがんばってね!」」」」」

一家全員が理解した。
もう、自分達はゆっくりできることはないのだと。






子ゆっくり達が狩りに参加し始めてから、二週間ほど経った。
親まりさと親ありすは既に体力の限界だったのだろう、食料集めのペースは落ち、群れを抜けるための食料はおろか、その日を食いつなぐのが精一杯だった。
子ゆっくり達も、狩りの方法も教わっていないので満足に食料を集められない。
特に子ありすはカチューシャがないので、いつ群れの外のゆっくりと出会うかと思い、震えながらの狩りだった。
群れの様子は相変わらずである。

「にがしてえええ!!!ありすはまりさとすっきりしたかっただけなのにいいいい!!!!」
「このむれのために、しぬまではたらいてね!」

「むきゅ、だからありすはわるいゆっくりなのよ」
「「「「ありしゅ、わりゅくないよおおおお!!!!!」」」」

「このあかちゃんありすは、まりさのあかちゃんを、くいころそうとしたんだぜ!」
「ありしゅ、すりすりしただけだよおおお!!!!」
「うるさいよ!りーだー、はんけつは!?」
「ゆっ!もちろんしけいだよ!ゆっくりしね!」
「ありすのあかちゃんをころさないでえええ!!!!!!」

「くうものがなくなったありすが、にんげんのたべものをぬすもうとして、ころされたらしいぜ」
「おお、わらいわらい」






ある晩、他のゆっくり達が寝静まった頃、親まりさは一家を集めた。
本来親と子供は自由に会えないのだが、この子ゆっくり達は『成体』と認定されたので会うことができる。

「これいじょうここにいたら、しぬまでゆっくりできないよ。このむれをぬけるよ」
「ゆ……でもどうすればいいの?わたしもこどもたちも、かちゅーしゃがないのよ」
「まりさにかんがえがあるよ。いい、よくきいてね」

親まりさが皆に説明を始める。
ひとしきり説明を終わると、夜だというのに親ありすは大声を出した。

「だ、だめよ!そんなのきけんすぎるわ!」
「しっ!しずかにしてね!」
「ご、ごめんなさい……」
「おとーさん、そんなあぶないことやめてね!」
「そうだよ!やめようね!」
「……みんな。ありがとう。でもまりさは、もうけっしんしたんだよ」

親まりさは優しい目で、愛する伴侶、愛する子供達を見た。

「まりさは、しぬかもしれない。でも、ここにいたらえいえんにゆっくりできない。
 だから……まりさのぶんまで、みんなにゆっくりしてほしいんだよ」

親ありすも子ゆっくり達も、まだ簡単には引き下がらなかった。
しかし親まりさの懸命な説得により、作戦を受け入れることにした。

「まりさ……ぜったいいきて、いっしょにゆっくりするのよ!」
「……もちろんだよ!」



そして再び食料集めの日々に戻った。
親まりさは世話になったれいむにだけ、親ありすは俗に言うレイパーありすではない、信頼できるありす達にだけ作戦を打ち明けた。
皆が賛同してくれ、あとは結構の機会を待つのみ。
彼女達の作戦に気付くゆっくりは、一匹もいなかった。

「ねぇりーだー、さいきんあのまりさ、おとなしいね」
「むきゅん、むれをぬけるためのごはんも、あつめなくなったし」
「ついにあきらめたってこと?」
「まあ、しょせんありすなんかと、こどもをつくるゆっくりだってことだよ」
「「「「ゆっゆっゆ!」」」」



そして一週間後の深夜、ついにその時が来た。













あとがき
当初の予定では食料3倍集めろと言ったところで終わりの、前後編だけのものでした。
書いているうちに一家の反撃も書きたくなったので、前中後編と分量が増えてしまいました。
次回できっちり終わらせます。

過去作
ゆっくり鉄骨渡り
ゆっくりアトラクション(前)
ゆっくりアトラクション(後)
ありすに厳しい群れ(前).txt

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最終更新:2008年10月17日 13:30
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