ゆっくりいじめ系1001 考え方の根本が違う

「考え方の根本が違う」




  • ゆっくりの常識が、人間に通じるとは限らない。






「あとどれぐらいで着くの?」
「うーん、あと10分ぐらいかな」
「じゃあもうすぐね!楽しみ~♪」

草木の生い茂る森を真っ直ぐ進む男女。
2人は大きな荷物を背負ってかれこれ30分ほど歩いているが、まったく疲れの色を見せていない。

「お腹すいたなぁ」
「もうすぐ腹いっぱい食べられるから我慢しろって」

そんなやり取りをしているうちに、2人は森の中の広場に到着した。
花もなく虫もおらず、そこに生えているのは名の分からぬ雑草だけ。
野生動物も、他の人間も、その気配は感じられなかった。
広場の中央に立った男は、ぐるりと一回転して森の様子を見回す。

「……どう?」
「うん、今回もいけそうだ。期待していいぞ」
「やったぁ♪」

女は跳びはねて喜んだ。里のお菓子屋の食べ放題の予約をドタキャンして来た価値がある。
何と言ったって、タダ。無料なのだ。無料で“饅頭”が食べ放題だと聞けば、甘味が好きな人間は興味を持たずにはいられないだろう。

「さて、始めようか」
「うん!」

女はリュックサックの中から、ナイフやフォーク、紙皿、包丁などを取り出す。
その間、男は大きく息を吸い込んで……広場全体に響くように叫んだ。

「ゆっくりしていってね!!!!!」




しばらくすると、周囲の木々の根元から大小さまざまな生首が顔を出し始めた。

「ゆ?ゆっくりしていってね!!」
「おにーさんはゆっくりできるひと?」「おねーさんはゆっくりできるの?」
「ゆっくりできないならでていってね!!ここはまりさたちのゆっくりプレイスだよ!!」

俗に言う、ゆっくりである。
れいむ種やまりさ種をはじめとして、ありす種やちぇん種、ぱちゅりー種、良く見るとれみりゃ種までいる。

「OK!全然問題ないぜ!!お兄さんたちがゆっくりさせてやるからな!!」
「ほんとう!?ゆっくりさせてね!!」
「たくさんゆっくりさせてね!!まずはたべものをもってきてね!!」

野生のクセに他者に食べ物を要求することから、ゆっくりの常識がどれだけ自然の常識からかけ離れているかが窺える。
男はそんなことは気にせずゆっくりどもの機嫌を取りながら、離れた場所で作業をしている女の様子を確認していた。
しばらくすると、女は顔を上げて男に合図を送った。

「うん、オッケー!!もう始めていいよ!!」
「よっしゃ!!それじゃさっそく……」





「「いっただっきまぁーーーーっす!!!!」」

猛獣のように涎を飛び散らせながら、ゆっくりの大群に飛び掛る男女2人。
まずは、男が一番手近なゆっくりれいむの成体を掴み、汚れていない頬の部分に噛み付いた。

「ゆぎゃああああぁぁぁぁぁ!??どぼぢでだべるのおおおおぉおおぉお!??」
「うーん、なかなか。成体にしては美味な方かな!」

一方、女はフォークを取り出すと、足元にいたゆっくりまりさに勢い良く突き刺した。

「いびゃっ!?」
「ちょーっと痛いけど我慢してねー」

空いた左手にナイフを握ると、まりさから一口サイズの饅頭の欠片を切り取り、口に運ぶ。
口の中に広がる餡子の甘みが、女の心を幸福感で満たした。

「んー!!おいひぃ~♪しあわせ~♪」

ゆっくりさせてもらうつもりでいたゆっくりたちは、当然怒り出す。
いきなり人間に食べられるなんて、まったく予想していなかったのだから。

「おにーさん!!ゆっくりだましたね!!」
「ゆっくりさせるなんてうそをつくおにーさんたちは、ゆっくりしね!!」

目の前の人間2人が敵であることは、低脳下等生物でも理解できるらしい。
だが、男はそんな敵意も意に介さず、ひたすら周りのゆっくりを貪り続けた。

「ヒャっはァ!!お食事だ!!」
「ねぇ、お楽しみのところ悪いけど、ちょっといい?」
「ん?なんだ?」

一匹目のゆっくりまりさを食い尽くした女が、男に問いかけた。

「この子達、すごい嫌がってるんだけど……いいの?」
「ゆっくりたべないでね!!まりざのあがぢゃんがえぢでえええぇぇぇぇ!!!」
「あぁ、それはいいんだよ。ゆっくりは『人間に食べてもらうのが幸せ!』なんだから!!
 こいつらが喋ってるのは全部正反対。なんていうか、ツンデレっていうか……とにかく察しろよ!」
「そっかぁ!!そうだったのね!!」
「いyがあああぁあぁぁぁぁぁだべないでえええぇぇえぇぇぇぇ!!!」

男の回答で納得した女は、赤ちゃんありす2匹を口の中でぷちっと潰した。
ゆぎゃっ、という声が聞こえ、それと同時にカスタードクリームが口の中に広がる。

「んはぁ♪おいしいぃぃぃぃぃ♪」
「どぼぢでだべぢゃっだのおおおおおお!!?までぃじゃのがわいいあがぢゃんがあぁあぁぁぁあ!!!」
「あなた達はお姉さんに食べられるのが幸せなんでしょ?みんな幸せにしてあげるから、感謝してね♪」

何を狂ったことを言っているのか。母まりさは思った。
子供を食べられて、仲間を食べられて、苦しむ様を見せ付けられて、幸せなわけがない!
だが、女は『自分が食べるとゆっくりは幸せになる』と本気で思っていた。男も同様だ。
この2人だけではない。この2人が住む里の人間全員が、そう思っているのだ。

『食べられたら不幸せ。ゆっくりできない』―――これが、ゆっくりの常識。

『人間に食べられるのが、ゆっくりの幸せ』―――これが、人間の常識。





「どうだぁ?幸せかぁ!!」
「いびゃああぁぁぁぁぁぁいだいいだいぢあいいああいあいいあ!!!??」
「だべないでえええぇぇえぇぇぇぇぇ!!!まりだはおいじぐないいいいぃぃい!??」
「またまたそんなこと言って、本当は幸せなんだろう?正直になれよ」
「んふふ!!おいひー♪サイコー♪」

2人は、自分の行為がゆっくりのためにもなっていると信じて疑わない。
何故なら、常識だから。常識は、疑われないから常識なのだ。

「ゆっくりにげるよ!!」
「こんなところじゃゆっくりできないよ!!」

広場の端にいたゆっくりは逃げ出そうとするが、広場を囲むように立てられている柵に阻まれてしまう。
これは、男が広場の中心にゆっくりを集めたとき、女がこっそり備えたものだ。
必死に柵に体当たりしているゆっくりたち。その中から、男は一匹をむんずと掴み上げた。

「いやだあぁあぁぁぁぁぁ!!!ゆっぐじしたい!!ゆっぐじしたいよおおおおおお!!!」
「はいはい、お兄さんのお腹の中でゆっくり幸せになってね!!」

もうすぐ成体になろうかというゆっくりれいむに噛り付くお兄さん。
底部は汚れているので、桶の中に用意した水で綺麗にしてやり、食べづらい髪飾りは取り払って一気に飲み込んだ。

「ああぁぁぁぁぁぁぁあ!!!!でいぶのりぼんがあぁぁぁあぁぁっぁあぁ!!!」
「そんなに慌てなさんな。もうすぐお前も同じところに行けるからな!」

言葉の通り、お兄さんはれいむを噛み砕くことをせず、そのまま胃袋へと送ってやった。
完全に溶けて消えてなくなるまで、れいむはその長い時間を苦しみながら過ごすことになる。





「んもぅ♪おいしくておいしくて困っちゃうー♪」

テンションがあがってきた女は、ゆっくりありすを輪切りにして紙皿の上に載せ、一口ずつ味わって食べている。
周りのゆっくりは逃げたり、体当たりしたりするが、女はそんなことは気にしない。
何故なら、『ゆっくりは食べてもらうのが幸せ』だから。それが常識だから。
その常識に則っているのだから、自分は正しいことをしている。感謝されるべきことをしている。
そして美味しいものがたくさん食べられる。これ以上の幸せはない。

「さぁ、みんなおいで!!お姉さんが食べてア・ゲ・ル☆」
「おいじぐないいいいいぃぃ!!ありずはおいじぐないいいいぃぃぃいぃ!!!」
「ごんなのどがいはじゃないいいぃぃぃいい!!!もうおうちかえるうううぅぅぅぅぅぅう!!!」
「嫌がらないでよ!みんなお姉さんに食べてもらえるのが嬉しいんでしょ!!」

それからもお姉さんは、カスタードクリームたっぷりのゆっくりありすを重点的に食べ続けた。

「ゆうううぅぅぅぅぅ!!!ありずがたいぜつにそだてたあがぢゃんがぁあぁぁぁぁぁあ!!!」
「え?赤ちゃんを育てたの?あなたが?」

疑問を持った女に、男は簡潔に答えた。

「うそうそ!ゆっくりは勝手に“生えて”くるんだよ!知らないの?君ってもしかしてバカなの?」
「ちょっ、そんな言い方はないんじゃない!?」

憤慨しながらも、女は次々にゆっくりありすの欠片を口の中に詰め込んでいく。

「でも、勝手に生えてくるなら、どれだけ食べても構わないわよね!!だって、生えてくるんだもん!!」
「ちがううううぅぅううぅぅ!!!ありずがうんでがんばっでぞだでだのおおおおおおおうびっ!?」

自分の苦労と努力を必死に訴えたありすだったが、女に頭頂部を食われて言葉を発しなくなった。
女によって中のクリームだけを吸い取られ、抜け殻となった外皮は打ち捨てられてしまった。





ゆっくりにとっての、地獄。

人間にとっての、無料食べ放題。




人間の常識が、ゆっくりの非常識を打ち砕いた大惨事。




それが始まってから、2時間。
ようやく周りのゆっくりを食べつくした2人は、道具を片付けて帰途についた。

「ふぅ、食った食った!!」
「もうお腹いっぱい!」

こうして、2人の饅頭無料食べ放題は終了した。
女は、やっぱりお菓子屋の食べ放題をドタキャンして正解だったと思った。
男のほうも、女に満足してもらってとても嬉しそうだ。

「でも……あんなに食べちゃったから、太ったかも。ダイエットしないとなぁ」
「それなら、痩せやすい激しいスポーツがあるぞ。教えてやろうか?」



「ベッドの上で、とか言ったら殴る」



「………何で分かったの?」



ゴツンッ!!



(終)



あとがき

ほのぼのしたのを書いてみました。

何がしたかったかというと…普段人間の常識を打ち破って、人間を苛立たせるゆっくりにイラついたので…

ゆっくりの常識を二つほど打ち破って、ほんわか虐待してみました。

『食べられたらゆっくり出来ない』⇔『食べられるのがゆっくりの幸せ』

『赤ちゃんは頑張って産んで育てるもの』⇔『ゆっくりは勝手に生えてくる』

農作物が勝手に生えてくるとかほざくゆっくりも、きっと勝手に生えてくるんだよ!!

作:避妊ありすの人

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最終更新:2022年01月26日 03:52
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