ゆっくりいじめ系965 ドスを継ぐもの 1

  ドスを継ぐもの



「どす! どす! ゆっくりしてないではやくおきてね!」
「……ゆ?」
 それが自分を呼ばわる仲間の声と気づくまでに、ドスまりさは少し時間をかけた。巨体を身じろぎさせて、ゆっくり瞳を開閉
させる。
「…………ゆっくりしていってね……」
「ゆっくりしないでね!」
 お決まりの朝の挨拶に、尖った声がつき返される。
 土肌を掘削した早朝の薄暗い空洞に、ドスまりさは窮屈に体を押し込んでいる。その足もとで忙しなくはねる一匹のゆっくり
れいむがいた。
 このれいむもまた、ドスまりさほどではないがゆっくりの平均をゆうに上回る巨躯である。ドスの側近として群で認知されて
いる存在であり、ドスを育てた母でもあった。
「まったく、いつまでゆっくりしてるの!? ばかなの!? どすはむれのりーだーなのにどうしたらそんなにゆっくりしてら
れるの!? いつまでもこどものきぶんじゃれいむもこまるんだよ!!」
「ゆー……今おきるよ、お母さん」
 全身にまとわりつく眠気と疲労を振り払うように、ドスまりさは土に汚れた体を震わせる。
『ゆっくりしている』と母れいむは言うが、ドスまりさが眠りについたのはほんの少し前。そろそろ夜が明けようかという時間
である。なぜドスといえどゆっくりであるドスまりさがそんな夜更かしをしていたのかというと、当然群の仲間のためだった。
 その巨体とゆっくり離れした膂力を生かし、周囲の土地を住みやすくするのはドスの大事な仕事のひとつである。
 じきに冬が来る。雪や寒さ、風雨におびえずに済む住処のために、ドスまりさは『ひなんじょ』と名づけた空間を建設中だっ
たのだ。
 建設といっても、ひたすらに崖に横穴を掘るだけである。だがそのためには当然ドススパークの過度の発射や、土や石を噛み
砕いて削ることが必要になる。おかげで、ドスまりさの大きなお口は酷使されっぱなしだった。外見でそうとは見えないが、咥
内はとうにボロボロで、舌は焼け爛れて一時的に味覚は失われている。ドスまりさが『むーしゃむーしゃ、しあわせー』から遠
ざかって、もうずいぶん経っていた。
 それだけではなく、広げた穴を固定するため、骨子のための木や粘土を使うことも、サイズの都合で群ではドスまりさ一匹に
しかできない仕事だ。
 そもそも『ひなんじょ』の設計からして、群の仲間は用を為さなかった。
 知恵者と評判のぱちゅりーは、日常生活はともかくこうした工事では、せいぜい意見しか出せない。
 ぱちゅりーの幼馴染であるありすは、ドスまりさを気遣う一方で『とかいは』の意匠にこだわって、割と好き勝手に口を出し
てくる。
 ドスを慕う若いまりさは、他の若ゆっくりを率いて工事の手伝いや狩りの仕切りをしているが、それでもドスまりさへの貢献
は微々たるものだった。
 かように、一般のゆっくりたちは役立たずだった。群のために働くドスまりさを罵倒するようなことこそないが、相変わらず
人里に遊びにいって悪さをするゆっくりは減らないし、勝手にすっきりして子供を増やし、かつ悪びれないゆっくりも絶えるこ
とはない。
 ドスとはゆっくりをゆっくりさせるための存在である。
 ドスになった瞬間から、ドスまりさは永遠に自分のためだけのゆっくりを捨てたのだ。
 そうと理解していても、ドスまりさは時々つらくなることがあった。まるで、漏れ出す餡子を必死で止めようとしているのに
、すぐに他の穴から餡子がこぼれているような感覚だった。
 そして。
「なにをいつまでもたもたしてるの!? もうほかのこたちはかりにいくじかんなんだよ! どすがこどもたちをみてなきゃみ
んなあんしんできないでしょ!!?」
「わかってるよ、お母さん」
 母れいむだ。ドスまりさは苦々しい気持ちを顔に出さないよう気を遣わなくてはならない。
 このれいむ、もともと人間の飼いゆっくりでありながら野生の知識に通暁し、若い頃は近隣のゆっくりたちのリーダーシップ
をとったゆっくりである。怖いおにいさんに虐待されていたまだドスではなかったドスまりさを拾ったのも、そうした縁からで
あった。
 そう、このドスまりさと母れいむは、親子ではあるが、餡子は繋がっていない。
 もっとも、ドスまりさは気になどしていない。卓越したゆっくりである母れいむを素直に尊敬し、慕っていた。せいぜいが他
よりも少し賢いゆっくりでしかなかったドスまりさがドスとなったのも、彼女の教育と庇護のおかげだとわかっていたからだ。
 しかし、最近はどうだ、とドスまりさは思わずにいられない。
 母れいむは一見、相変わらず大きく、美しい。さすがに老いは見えるが、それでも下手な成体ゆっくりなどよりよほど若々し
く力強い。
 だがそれも見た目だけのことだとドスまりさは知っている。最近の母れいむは、ことあるごとに怒鳴り散らし、些細なことで
癇癪を起こしている。物忘れもひどく、簡単な計算もできないことがある。
 彼女の衰えは、まず中身から始まったのだ。そんな義母に対して、ドスまりさは哀しみと苛立ちの混じった感情を抱かずには
いられない。
「まりさ! ゆっくりしないではやくしてね!」


 数分後。母れいむ、ぱちゅりー、ありす、若まりさといった側近を伴って、ドスまりさは森に拓いた広場へ赴く。自然にはあ
りえないほど平坦に均された空間では、既に百匹からのゆっくりが集い、めいめい雑談を交わしていた。
「ゆ! どすがきたよ!」
「ほんとうだ! どすー!」
 ドスまりさの登場に、ゆっくりたちは自然と静まっていった。ドスまりさは、ゆっくりと、それでいてまるで疲れを感じさせ
ない笑みを浮かべた。
「みんなゆっくりしているかな?」
『ゆっくりしているよ!!!』
「うん、とてもいいゆっくりだね!」
『いいゆっくりだね!!!』
 唱和に対して、ドスまりさは頷く。ゆっくりたちは得意げに目を通じ合わせ、へらっと口を歪めた。これは親愛の証である。
「みんな、今日もゆっくりしていってね!」
『ゆっくりしていってね!!!』
 その後、若まりさ主導のもと、食料を集める係のゆっくり達は森へと向かう。以前は毎日必ず何かしらの犠牲を出していたこ
の狩りも、ドスまりさが班行動を徹底させることによって劇的に安全になった。付近の捕食種や野犬の群を追い払ったのも彼女
の仕事である。
 そして群には子育てに従事するタチネコでいえばバリネコのゆっくりたちや、まだ幼く森には出せないと判断された子ゆっく
り、赤ゆっくりが残された。
 この子供たちは、次代を担うべくして産まれた、祝福されたゆっくりである。食糧事情が厳しくなりつつある昨今、いつでも
どこでもすっきりすっきりとは、もういかなくなっている。よってドスまりさの群ではゆっくり口統制が徹底されていた。
 そんな中ですっきりを許され、生誕したゆっくりたちは、群の中でも特に有望なゆっくりのつがいから産まれた子供たちであ
る。みな一様に賢く、元気で、とてもゆっくりしていた。
「ゆゆっ、どすがきちゃよ!」
「どす、ゆっきゅりしちぇいっちぇね!」
「どしゅー、どしゅー、ゆっきゅりー♪」
「でかぶつがきょうもきやがったかよ」
「ゆー、赤ちゃんたちは今日もゆっくりしてるよぉ……♪」
 このときばかりは、疲れも忘れてえびす顔になるドスまりさであった。しかし、そんな微笑はすぐに曇ることになった。
「ゆゆ……!? れいむが一人見当たらないよ!」
 ところで、ドスまりさは百数十匹に及ぶ群のゆっくりの顔を全て覚えている。好き好んで覚えたわけではなく、群の管理の為
に必要だったからだ。子供が減っても気づかないゆっくりらしい餡子脳では、時には人間や妖怪と渡り合う群のリーダーな
どとても務まらない。
 このときドスまりさが不在に気づいたれいむは、器量はよく群でもアイドル的存在だが頭が足りない、良く言えば純粋なタイ
プのゆっくりだった。そのため言い寄るゆっくりも多いが、ドスは前回の繁殖期にすっきりは控えるよう厳重に言い含めてある
。その代わりに、食料係ではなく教育係を斡旋したのだ。
 贔屓と取られかねない行動ではあるが、これにも理由はあった。端整な容色のゆっくりれいむに、ドスまりさはほのかな好意
を寄せていたのである。
 無論叶わない想いだ。しかし、愛することは止められない。だれにも明かせぬドスまりさの恋心であった。
 そんなれいむの失踪に、すわ事故か事件かと、ドスまりさは色をなくす。
「子供たち、あのれいむがどこにいるか知ってる!?」
『ゆー?』
 子ゆっくりたちは顔を見合わせる。中でも賢い子ぱちゅりーが、代表してドスまりさに答えた。
「むきゅ、あのおねえさんならさっきおうちにいるのを見たわ、どす。でも……」
「ゆっ、そうなの? お寝坊かな? じゃあドスはれいむを起こしてくるからね! ありすとぱちゅりーは子供たちをよろしく
ね!!」
 安堵したドスまりさは、敏捷な動きで跳ね、件のれいむの巣へ向かう。あまりうるさく言いたくはないが、するべき仕事をし
ないと身内の間で不公平感が募ってしまう。なるべく早くれいむを起こさねばならない。二人きりになれる機会に足取りがやや
弾むが、そんな自分を戒めつつ、ドスまりさはれいむの元へ急いだ。
 しかし、れいむの巣でドスまりさは、予想だにしない光景を見せ付けられたのだった。

「ど、どういうことおおおおおぉ!?」

「ゆっ、どすぅ……」
「はぁ、はぁ、でいむぅ、どすなんかいいからもっとまりざをみるんだぜぇぇ」
 そこでは、頭から蔦を生やし恍惚とした表情のれいむと、そのれいむに後ろからのしかかる、見たことのないまりさの姿があ
った。二匹とも、すでにれいむの頭上に命が実っているにも関わらず、体液で全身をぐしょ濡れにさせている。
 ドスまりさが思いを寄せた、清楚で可憐なれいむ。確かに同一ゆっくり物であるにかかわらず、その姿はドスまりさが今まで
一度も見たことのない、想像の中でさえ許されないような、卑猥でいやらしいものだった。
「あ、ああ、ああああああ」
 ドスは痴呆のようにボロボロの口を開いたまま、突然の事態に身動きもできない。
 れいむは白目を剥き、まりさは涎を思うさま零れさせ、激しい動きで揺れに揺れていた。
「ああああああんぅぅっほおおおおおおれいむれいぶでいぶでいぶぅぅ! まりさいっちゃうぜまたいっちゃうぜすっきりしち
ゃうぜええええええ!? でいぶのまむまむでぴゅっぴゅしちゃうぜええええええ!?」
「あああああだめだよばりざああもうれいむすっきりしすぎでおがじぐなっちゃうよほおおおおお! でぼやべだいでもっとず
っぎりじでえええええ! んほおおおおおおおばりざのぺにぺにすごいよほおおお!」
「……なんですっきりしてるのおおお!? ドスはだめっていったのにいい!!」
 繰り広げられる痴態に愕然としたドスまりさはすぐに行為を止めさせようとするが、盛り上がった二匹にとってはそれもまた
快感のスパイスでしかなかった。粘着質の液体をそこらじゅうに撒き散らしながら、れいむとまりさは一層大きく振動する。
 力ずくの制止はできない。ドスの体長は数メートルになんなんとするほどに大きい。方や五十センチに届かないれいむと、そ
れよりも一回り大柄なまりさは巣の中にいる。集合住宅である穴倉にドスがむりやり押し入れば崩壊は免れない。
 座してただ慌てふためきながら、二匹のパワフルなゆっくすを見守ることだけが、ドスまりさに与えられた選択肢だった。
「あああああやめてよ二人ともぉ……! これ以上赤ちゃんできちゃったらゆっくりできないよ!? ドスはれいむを罰しなき
ゃいけないんだよお!?」
「んほおおお……ゆっ、ど、どす……」
 その言葉に、一瞬だけれいむが正気づくが、バックで彼女を攻め立てるまりさがそれを許さなかった。
「あ゛ぁあ゛うるさいどすなんかほっとくんだぜぇかわいいれいむぅ!」
「ゆ! ど、どこのまりさだか知らないけどやめてあげてね! 今の群には子供を養う余力はないんだよ! れ、……れいむを
愛しているなら、れいむに悲しい想いをさせないであげてね!」
 悲痛に叫ぶドスまりさであったが、その口の下、顎にあたる部分に、ある変化が起こりつつあった。
 それを見逃さなかったのが、他所のまりさである。相変わらず激しくれいむを喘がせながら、興奮の渦中にありつつどこか冴
えた眼で、巣の外のドスまりさを見つめる。
「ゆゆ?……ぷ、アハハハ、げらげら! ゆへへ、みてよれいむ、あそこのどす、れいむとまりさのおまむまむを見て、ぺにぺ
におっきくしてるぜ!?」
「ゆぐぅ!?」
 嘲弄され、指摘されてはじめて、ドスまりさも自らの身に起こった異変に気づく。隆々と立ち上がるドスぺにぺには、巨体に
比して小さくはあったが、それでもゆっくり比からすれば巨根である。
 とろけた眼でそれを見たれいむが、快楽に濁った顔を、わずかに笑みで歪ませた。
 その笑いは、ドスまりさの強い心に、深い痛みを与えた。
「みっ、見ないでれいむううううう!」
 そう言いつつも、ドスまりさは目の前の非日常的なシーンから意識を話せない。ハードなゆっくすは何度目とも知れぬ佳境へ
さしかかっていた。
「ああ、どす、どすがれいむをみてコーフンしてるよぉ? ねえまりざあああああ!」
「ああそうだぜ、れいむがまえにすきだったどすが、れいむをみてばっきばきにどすぺにぺにおったたせてるぜ!? うれしい
んだぜ!? このばいた!!」
「――――ゆ?」
 今、あのまりさはなんと言ったのだろう、とドスまりさは羞恥と悲哀のさなかで思う。
「じがうよぼおおお! れいぶ、いまのれいぶにはまりさだけだがらああああ! どすなんてもうどうでもいいのおおおおっほ
おおおお!」
 しかし、疑問を突き詰める暇も与えず、れいむはドスまりさにとってあまりに酷な言葉を口にした。
 バキリと、ドスまりさの、宝物のように大事にしていた何かに罅が入る。
「いぐよいぐよばりざのすーぱーてくのすっきりすくらっちででれいぶをすっきりさせちゃうよおおおおお!? んほおおおす
ッきすっきすっきすっきすきすきすきすきすっきりー♪」
「おがああああああ! ずごいよばりざあああああでいぶしんじゃうよほおおおお!! いっちゃういっちゃう、ぬひ、ぬひひ
♪ あがぢゃんにょぎにょぎはやしてちーちーしーしーうんうんぶりぶりしながらどすにみられてでいぶいっちゃうううう! 
んほっ! すっきすっきすっきすっきすっきりすっきりすっきりんりんすっきりりんすっきりきりきりすっきりー♪」
 全身の穴という穴から色々なものを垂れ流しながられいむが絶叫する。ゆっくりの受けという存在が到達できる最大の法悦へ
と導かれ、れいむは苦痛と区別のつかない快楽に翻弄され、自我を失っていた。あるはずの母性本能さえ麻痺して、身重の体を
絶頂のまま振り立てる。蔦から赤ゆっくりの素がひとつふたつと落ちても、れいむは喘ぎっぱなしだった。
 これに色を失うのはドスまりさである。
「れっれいむぅ!? 赤ちゃんがぁ!!」
「なにいってるの? 赤ちゃん育てられないっていったのはおまえでしょ? ばかなの? しぬの? むしろしんだら? まり
さは、ただ〝だたい〟してるだけ、なんだぜ?」
 泡を食うドスまりさをせせら笑い、さらに伸びようとする蔦に口を寄せるのはよそ者まりさ。
 れいむをぺにぺにで貫いたまま、大きく口を開いたまりさの意図を察して、ドスまりさはおぞましさに巨体を振るわせた。
「やっ、やめてね! ゆっくりしていってね! そんなことしないで――」

 ぷちり。

 と、まりさはいとも簡単に、れいむに実った赤ゆっくりを収穫した。口内におさめ、咀嚼し、嚥下した。
「むーしゃむーしゃ、しあわせ~♪」
 のみならず、さらに赤ゆっくりをむしり取るあまつさえ、それを忘我するれいむに口移しさえした。よだれを流し、うつろな
眼のれいむは、それが何か深く考えることもなく飲み下してしまう。
「ごーくごーく、……しあわせへぇ……♪」
「あっがああああああ! 何してるのれいむううううう!? うっ!?」
 と同時に、凄まじい快感が、ドスまりさの身中を貫いた。
 天を突かぬばかりに屹立していたドスまりさ自身から、大量の赤ちゃんの素がほとばしったのは同時だった。
 あまりの混乱と淫靡な場景を目撃した衝撃に、ドスまりさの意図から離れたぺにぺには絶頂を迎え、吐精をしたのである。
 滂沱の涙を流して、ドスまりさは逃れられぬゆっくりの性の命じるまま、森に響き渡るような大声で宣言した。
「すっ、す っ き り ー ♪ ♪ ♪」

『…………』

 いまだ息を荒げるれいむのみならず、これにはよそ者まりさも呆気に取られ、当人のドスまりさともども、言葉を失う。
 ややあって、沈黙を破ったのはやはりよそ者まりさであった。
「プッ! ゆははははは! げらげらげら! み、みこすりはんどころか、みてるだけでいっちゃったんだぜ!? し、しんじ
られないぜ!! そうろうとかそういうじげんじゃない、もっととんでもないものをまりさはみたんだぜ!!!」
「ゆっ、ゆぐっ! だまってね! おまえはいいからだまってね! もう赤ちゃん食べないでね!」
 爆笑を受け、茫然自失の態にありながらドス特有の間延びした低い声でドスまりさは反発する。れいむはと眼を転じれば、赤
ゆっくりの剪定のせいもあってか、過剰なすっきりの後にも関わらず、餡子を吸われすぎることもなく意識を保っていた。
 ただし、ドスまりさを見るその眼には、残酷な軽蔑の色がある。
 見られたのだと、聡明なドスまりさはそれだけで了解してしまった。
「……ゆっ」
 涙が溢れそうになる。目を閉じてしまいそうになる。
 しかし、ドスはそれをしてはいけない。
 悔しさと恥ずかしさが有頂天に達するが、ドスたるものがその程度で分厚い皮を貫かせはしないのだ。
 表面上だけでも素早く精神的復帰を果たすと、ドスまりさは二匹を見下ろし、威厳のあふれるゆっくりした声で命じた。
「……二人とも。もう、ゆっくりできるとは思わないでね……!」
「げらげら! あ、あっさりいっちゃったどすがすごんだってこっけいなだけなんだぜ!! ぷげらっちょ!! それにまりさ
はおまえのむれのるーるなんかしらないんだぜ!? これからはどすじゃなくてこすりまりさとでもなのったらいいんだぜ! 
げらげらげら!」
「うるさいよ! 黙ってね! れいむと番になったんだから、おまえも群の一員だよ!」
「げらげらげら!」
 笑い転げるよそ者まりさを苦々しく見下ろしつつ、巣から決して逃がすまいとドスまりさは体を膨らませる。世にはつがいと
だけすべきすっきりの相手を次々と変えては捨てる、ゲスヒモゆっくりなるものがいると聞く。いずれレイパー化したありすに
劣らぬ外道。すっきりの経験のないドスまりさは性犯罪を、下手な殺ゆっくりよりも重く見ていた。
 人を呼ばわるべく、ドスまりさはちらと背後に眼を向ける。
「ゆっ、お、お母さん……」
 そこには、いつの間にか母れいむが無言でたたずんでいた。最近はいつも険しい表情を消して、あたりに飛び散るおびただし
いほどの子ゆっくりの精を眺めている。
 慌てて、ドスまりさは母まりさに語りかけた。
「お母さん、悲しいけど違反しゃが出たんだよ。狩りに行ったみんなが帰ってきしだい、ゆっくり裁判をするからね。ありすと
ぱちゅりーをゆっくりはやくよんできて。……お母さん?」
「まりさ」
 ドスではなくまりさ、と母れいむがドスまりさを呼ぶ。強い意志を感じさせる瞳がドスまりさを見上げていた。
「ゆ、なに?」
「いまのうちに、そのふたりをころすべきだよ」
 その衝撃的な発言に、ドスまりさは餡子を硬直させた。
「ゆ!? な、なにいってるのお母さん!?」
「むれのいじにかかわるよ。さいばんなんてゆっくりしてるばあいじゃないよ」
「確かに、二人は掟を破ったけど、殺すほどのことじゃないよ!?」
 言い聞かせるように母れいむへ働きかけるが、彼女の応対は頑なだった。あくまでこの場で今すぐ二匹をのぞけ、とドスまり
さに命じるのである。ドスまりさは弱り果てた。
 ドスではない、ただのまりさとしてならば、れいむはともかくよそ者まりさに関しては、母れいむの言う通りにしたい気持ち
もある。いや、むしろ積極的に潰し殺してやりたい。
 だけど、ドスまりさとして、そんな暴虐は働けない、というのがドスまりさの本心だった。恨みつらみで人を裁いてはならぬ
。ゆっくりを率いるからには他のゆっくりの範とならねばならぬ。ドスまりさは固くそう誓っている。だからこそ、今回も自身
が決めたルールに乗っ取って処理しようとしているのだ。
「お母さん、ドスが決まりごとを破ったら群は立ち行かなくなるよ。いくら気に食わないからって、逆に好きだからって、それ
でいちいちやりかたを変えるんなら、そもそも掟の意味がなくなっちゃうんだよ。ゆっくり理解してね」
「だまってころしてどこかにすててしまえば、だれにもばれないよ」
 あくまで譲らない上にこの言い草。ドスまりさは母れいむに対して、初めて言葉を荒げた。
「れいむ!! ばかなこと言わないでね! いのちは大事なものなんだよ! それをドスだからってだれかの考えで奪ったら、
ゆっくりはゆっくりできなくなるんだよ! これを教えてくれたのはお母さんなのにどうしてそんなこというの!?」
「ときとばあいによる、ともおかあさんはおしえたよ」
「……! もういいよ! れいむはゆっくり黙ってね! これはドスの命令だよ! おまえが群にいたいなら従ってもらうよ!
 いいからゆっくりしないではやくありすとぱちゅりーを呼んできてね!!!」
「……わかったよ」
 表情のないまま母れいむは呟くと、すぐにきびすを返し、広場へと跳ねていった。鼻息も荒くその背を見送ると、ドスまりし
ゃニヤニヤと趨勢を見守っていたよそ者まりさと、今ごろ恐怖におののきはじめたれいむを見すえる。
「なに笑ってるの?」
「べつになんでもないんだぜ。それよりこす、いやどす。まりさは聴きたいことがあるんだぜ」
「……なに?」
 不快な笑いを張り付かせたまま、よそ者まりさがおびえるれいむを促し、ようやく巣穴から這い出してくる。日の下で改めて
みると、れいむに負けず劣らず、このまりさは美ゆっくりであった。語彙もノーマルゆっくりにしては豊富だから、頭も悪くな
いのだろう。それでいて床上手となれば、れいむがなびくのも無理はないのかもしれない。
 知れず歯をゆぎりとかみ締めながら、ドスまりさは二匹を前に怒りの再燃と劣等感を感じていた。ドスとしてゆっくりとして
いるという以外、ドスまりさの容姿は特に優れたものではない。幼い頃から母れいむに英才教育を解かされたため、ゆっくり成
分もさほどではないのである。「ドスになりうるまりさ」であったから母れいむは自分を育てたのだということは、ドスまりさ
も理解していた。
 だから、まりさはつがいはおろか、他ゆっくりとすっきりー♪した経験さえない。生真面目で若い頃から勉強や修行ばかりの
ドスまりさは、モテた経験もない。ゆっくりのすっきりを間近で見たのも先ほどが初めてであった。だからこその先ほどの醜態
、無様である。
 よそ者まりさは涼やかな顔のまま、れいむに身をすりすりしている。そうすると恐ろしさが紛れるのか、ドスまりさを直視し
ようとしないれいむも、徐々に落ち着いてきたようだった。
「ゆ! そうだ、どすにいいもの見せてあげるぜ」
「……いいもの?」
 突然の提案に、ドスまりさは訝しさ満点で応じる。こいつは裁かれんとしている自分の状況がわかっているのだろうか。
「あのねまりさ。まりさは今から捕まって罰を受けるんだよ。だかられいむと大人しくしていてね。ゆっくり理解してよ」
「いいからほら、どす、みるんだぜ!」
「……ゆー。わかったよ。なにを見せてくれるの?」
「れいむのまむまむだぜ!」
 言うや否や、よそ者まりさは身をよじるれいむに構わず、顎部にある秘所を舌でいやらしく広げた。
「まっ、まりさぁ!?」
「なっ、なにしてるのぉ!?」
 言いつつ、間近で見せ付けられたそこに、ドスまりさのお目めは釘付けになった。あれだけの痴態をさらしてなお初々しいれ
いむの反応もあって、達した直後にも関わらず、ドスまりさのドスまりりん棒は素直にエレクトしてしまう。
「ゆー、さすがどす、ぺにぺにもどすきゅうなんだぜ」
 遥か頭上で鎌首をもたげるぺにぺにを、物珍しげによそ者まりさが観察する。今度は自分が羞恥に身もだえして、ドスまりさ
は体をねじった。
「みるなぁ!」
「そんなこといわずに、どすもたのしめばいいんだぜ。れいむはどすをすきっていってたんだぜ。ねえれいむぅ?」
「う、うん……」
 ドスまりさの視界から外れたところで、再び睦みあう気配がする。ドスまりさは泣きたくなった。ぜんぜんゆっくりできない
。どうしてこんなことになったんだろう。自分は毎日、群のためにくたくたになって働いているのに。
 その時、そんな泣き言を読み取ったように、囁き声が聞こえた。
「どすはえらいんだぜ。まいにちがんばってあなをほってるんだぜ。むれのためにこんなにがんばるどすはなかなかいないんだ
ぜ。まりさはいろんなむれをみてたからしってるんだぜ。なかにはおおきいだけのどげすまりさもいるのに、このむれのどすま
りさはほんとうにりっぱだって、まりさはしってるんだぜ」
「ゆゆ!?」
 思っても見なかったよそ者まりさからの誉め言葉に、胡散臭さと嬉しさが半々の割合で、ドスまりさは顔を戻した。そこでは
相変わらずいやらしい光景が拡がっていたが、美ゆっくりには違いないよそ者まりさのきらきらした瞳は、れいむではなくドス
まりさに向かっていた。
 ドスまりさは戸惑いながらも、このまりさの意図を察した。
「……無駄なことは止めてね。ドスにこびへつらって取り入ろうとしても無駄だよ。まりさはゆっくり理解してね」
「そんなつもりはないんだぜ。どすはまりさをころすこともできたのに、そうしなかったんだぜ。まりさはそれにちょっとかん
どうしちゃったんだぜ。それに、どすのことはまえからしってたんだぜ」
「れいむから聞いたんでしょ?」
「……だから、そんなどすに、ごほうび、だぜ!」
「ゆ!?」
 不意を討って飛びついてきたよそ者まりさへ、ドスまりさは咄嗟に身構えた。危害を加えるつもりならこちらにも考えがある
。殺すのは忍びないが、高い高いをして痛めつけるくらいはいいかもしれない。
 しかし、よそ者まりさは噛み付きどころか、一直線にドスまりさの体をよじ登ると、甘勃起し続けているぺにぺにに触れた。
「な! なにするの!? ゆっくりやめてね! ゆっくりしていってねえ!!!」
「なにてれてるの? うぶなの? いくの?」
「やべでね゛!! ドスはすっぎり゛しないがらね!!!」
「……! そのはんのう、もしかしてどすってばどうていなのかだぜ!? まむまむもしらないねんねなのかだぜ!?」
「ゆぐっ!?」
 隠しておきたいコンプレックスを言い当てられて、ドスまりさは思わず言葉に詰まった。よそ者まりさは喜色満面でドス棒を
いじめこんだ。
「こいつはおどろきだぜ! むしろひくぜ! どうていのどす(笑)!! そんなのじつざいしていいんだぜ!? すっきりも
したことないゆっくりにだれがついていくんだぜ!?」
「ゆがああああ! やべでよおおおおおお!! すっぎりじだくないいいいいい!!!」
「どすはゆっくりしないでイくんだぜ!」
 凄まじい技巧であった。れいむを有頂天に導いた技が、一転ドスまりさのぺにぺにへ襲い掛かったのである。もちもちした肌
の吸い付きの前に、ドスまりさは四秒でたまらず達してしまった。

「オ メ ガ す っ き り ー ♪」

 その時であった。


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最終更新:2008年09月29日 19:38
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