ゆっくりいじめ系44 フェイス > オフ

僕はゆっくりを二匹飼っている。ゆっくり霊夢とゆっくり魔理沙だ。
意味もなくいじめたり、愛でたりしている。
そんな僕に二匹はとても懐いていて、殴る蹴るなどの暴行を加えても、バカみたいな薄ら笑いをやめないで
「ゆっくりしていってね!」
などと言う。

二匹は数ある家具の中でも姿見にもっとも興味を示していた。
最初など、おきまりの文句を言って、頭突きをかまして泣いたくらいだ。

「かがみ?」
「かがみってなぁに?」

そういう二匹の後ろに屈んで、鏡のほうを向けさせる。

「あっ、おにーさん!」
「ちがうよれーむ。おにーさんのそっくりさんだよ!」
「そっか」
「そっくりさんもゆっくりしていってね!」

微笑ましくそう言う二匹の頭をぐりぐりとなでる。

「鏡っていうのは、自分の姿を反対に映すんだ」
「はんたいー?」
「うつす?」
「そう。だから、こっちのリボンをつけた醜い下膨れがれーむ」
「ゆっ!?」
「んで、こっちの帽子をかぶったつぶれあんぱんがまりさ」
「ゆ゛!」

二匹は異を唱えるように暴れた。

「れーむ、しもぶくれじゃないもん!」
「まりさだってあんぱんじゃなくてまんじゅーだもん!!」

え、そっち?

「で、右と左が逆になるの。やってみ」
「ゆ~~?」
「ゆゆっ!ぎゃくだ!はんたいだ!!」

僕の言葉に右頬を伸ばすと、鏡の中の二匹は左頬を伸ばす。
実際は左右だけが逆になってるわけではないらしいが、説明しても時間の無駄だから、一番わかりやすく言ってやった。

「ゆっゆっ!おもしろーい!かがみおもしろいおもしろい!!」
「ふしぎ!」

ぴょんぴょん跳ねて鏡がすっかりお気に入りになった二匹。
しばらくは毎日鏡の前でなにかしらの遊びをしていた。

そんなことを思い浮かべながら、二匹のほうに目をやる。
二匹は煮込まれている真っ最中だった。
囲炉裏にかけられた鍋の中で、ぐつぐつと音を立てる熱湯と一緒にあっぷあっぷともがいている。

「あづいよぉおぉおぉ!」
「ゆっぐりでぎないのぉおお!」

無言でそれをかき回す。

「うぶぶぶぶぶぶ」
「ゆぅううぅぅぅう」

二匹の顔はうつろになっていき、皮はぶよぶよだ。それを見てにんまりと笑う。
ほどなくして二匹は意識を失った。この程度では死なないと経験でわかっているから、あわてずに二匹を引き上げる。
熱くなっているそれを、氷水にひたして冷ましつつ、ゆっくり霊夢の顔を左右に引っ張る。
なんとなく、ゆで卵の殻をむくときに近いものを感じる。
音を立てずに背中側の皮がぴりりと裂けた。髪の毛で見えにくいが、餡子までは露出していない。
成功だ。
そのまま手を刺しこんでいき、ゆっくりと皮をはがしていく。
気絶していても痛みを感じるのか、ときおりびくりと痙攣し、激しくあぶくが浮かんでくる。
そんな反応を無視して、撫でるようにはがれた部分を広げていく。
苦労するのは目の部分をはがす時だ。下手をすると千切れてしまう。この部分が上手くいかずに今まで何匹無駄にしたことか。
しかし今回は上手くいった。思わずほくそ笑む。
じんわりと熱を持った中身を、炉辺に敷いてある「お化け笹」の大きな葉に乗せておく。朝には乾いているだろう。

同じ手順でゆっくり魔理沙の皮もはがした。


翌朝。

「ゆっぐぅぅううぅぅ……っ!?」
「ゆああああああっ!!!」

無様な泣き声で目を覚ました。声のほうに目をやるとそこには白い物体がふたつ。
饅頭の薄皮をはがしたことがあるだろうか?
あのもそもそとした表面をさらしたゆっくり霊夢とゆっくり魔理沙だ。
ものすごく身悶えしている。
無理もない。人間でいえば、皮膚を綺麗にはがされて、筋肉をむき出しにしている状態なのだ。痛いに決まっている。

「おにぃぃぃいいざぁあぁぁん!!いだいよぅいだいよぅ!!」
「だずげでぇ!おがぢい!ゆっぐりでぎない!」
「よーしよーし、だいじょーぶだ。すぐに良くなる。だから動かないでゆっくりしてろ。動くから痛いんだ」

嗚咽をあげながらがんばってゆっくりしはじめる二匹。
しゃくりあげながらも多少は落ち着いたのか、目の前にあるものに興味を示した。
長い板状のものに、暗幕をかけたものがおいてあった。

「おっ、にぃざん。これゎなにぃい?」
「ゆっゆっぐり」
「ああ、これか。鏡だよ」
「か、かがみ!」
「かがみッかがみ!!」

とたんに喜色ばむ二匹。

「見たい?」
「みたいみたい!」
「ゆっくりみしてね!」
「よし!」

思い切りよく暗幕を取り払った。
とたんに悲鳴が響き渡る。

「ゆ゛う゛ぅう゛っゆゆ゛ぅ゛う゛ううっ!?」
「なにごれぇどおいうごどおおおお!?」

二匹の目に映るのは、無残に皮をはがされた自身の姿。おもいきり涙を流しながら絶叫する。

「うあ゛っうあ゛っうお゛うっうお゛うっうぽうっ」
「う゛ひゅーいひゅーう゛びゅーいひゅー」

体中に走る痛みと目の前の現実。二匹はお互いの体を見合わせ、絶望に身を震わせ、再び鏡を見る。
そこには先ほどとなんら変わらぬ二匹の姿が。

「かっかわがーーーー!かわがーーーーーっ!!」
「おにーーーざーーーーんっ!!かわがなぐなっでるよぉーーーぅ!!」
「ほんとだ、どこに行っちゃったんだろうねぇ?不思議!」
「うあ゛ーーーどこ~~!れーむのだいじなかわ゛ーー!」
「がえじでーーーまりざのがわをがえじでよ゛ぉーーーっ」
「病気かなんかじゃないか?皮が溶けたとか」
「っちがうよ゛ぅちがうよ゛ぅ!れーむびょーきなんがじゃな゛いやぃっ」
「ままままりざだっでちがんもんっ!けんこーゆーりょーぢ、だ、もんっ!!」
「だれかがとっでい゛ったん゛だよぉ~!」
「だでかのばがぁあぁあぁあっっ!」

二匹はぐりんぐりんと体をゆする。
そこで鏡をどける。

「ゆ゛っ!」
「ゆ゛ぅ!」

二匹の目の前には、しっかりと皮のついたゆっくり霊夢とゆっくり魔理沙がいた。

「「ゆ゛っぐり゛ぢでい゛っでね!」」

本能にでも刻まれているのか、条件反射のように絶叫する。しかし皮のついたほうはなにも言わない。

「ゆぅううー?ゆっぐりぢでいでっでね!」
「ゆっぎりじよーね!」

無反応だ。痛みと衝撃で涙をだくだくと流しながら首をかしげる二匹。

「おにーーざん!へん゛だよ、ごの、この゛ふだりぃ!」
「あいあいあい゛さづじでぐでなぃいぃい」

こちらを見てさけぶ二匹。たしかに正面のゆっくりたちは何の反応もしていない。
その目はまるで穴が開いてるかのように光がない。顔も無表情だ。

「ひょっとしたら、おまえらのこと餌だと思ってるのかもな。ほら、今のおまえらこんなだし」

そのまま鏡を引き倒して、二匹を映してやる。
皮のない自分の姿をまた見せられた二匹は、これ以上ないほど口を広げて震えていた。

「ぶん゛ま゛ぁあ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛ッ!」
「ゆ゛に゛ばあ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛!?」
「な?どうみても仲間になんて見えないって。お前らだって、こんなのがあったら食うだろ?」

鏡をよそにやって、また皮のあるゆっくりたちを見せる。

「いやっいやっいやっ、れ゛ーむをだべないでぇえええっ!」
「まりざはおいじぐないよぅ!おいじぐないよぅ!!」

皮のある二匹を手で押していく。悲鳴はまた大きくなった。
もはや「ぴぎゃああ」としか聞こえない。

パンッ

と破裂音がすると、叫んでいた二匹は思わず黙ってしまった。
そこには無残にもつぶれた皮のある二匹の姿がある。
ものすごく震えながら、それを見る皮のない二匹のゆっくり。

「うん。じつはこれおまえらの皮なんだ」

手でもちあげて広げてみせる。後頭部の裂け目からは割れた風船がはみ出していた。

「ほれ、びよ~~ん」
「ああああれーむのがわーーーっ!!」
「なんでー!まりざのがわがあああああ!!」

さて、本番はこれからだ。

「返して欲しい?」
「がえじでーーれーむのがわがえじでー」
「まりざのがわだよーはやぐがえぢでねッ!」
「いいよ」
「うわぁい」
「おにーざんだいづぎー」

にっこりと笑ってそういってやると、喜びをあらわにする二匹。

「んじゃまずまりさから」
「ゆ゛っ!」
「んまぁあぁあぁあっ!どぢでまりざがら!?れーむをざぎにじでよー!」
「いや、意味はない」
「れーむはそごでゆっぐりみででね!」
「痛いかもしれないけど、我慢しろよー」
「ゆっ!ゆっぐりなおじでね!」
「ゆっぐぐぐぐぅ」

嗚咽をあげるゆっくり霊夢を尻目に、にかわを引き寄せ「ゆっくり霊夢」の皮の内側に塗りたくる。

「ゆっ?そではれーむのがわだよ!まりざのは、あっぢ!あっぢのがまりざのっ!」
「れーむをざぎにぢでぐれるのー?」

そのままゆっくり魔理沙の表面にもにかわをぬりたくる。

「ゆっゆっゆっゆっ!?」
「はやくっ!はやく、れーむにかえして!」

混乱しながらもくすぐったそうにするゆっくり魔理沙と、必死に訴えるゆっくり霊夢。
そのまま「ゆっくり霊夢」の皮をゆっくり魔理沙にかぶした。

「!」
「!?」

ぺたぺたとそのまま貼り付ける僕。

「うばああああああっ!ぞれはっ!ぞれはれーむの!れーむのがわーーーー」
「ゆぅ?ゆっ!?ゆゆゆゆゆっ!?まりざのっ!まりざのがわは!!!」
「れーむのがわなのにっ!れーむのなのにぃいい!まりざっ!まりざのばがーーーー!!」
「ゆっ!?れーむのかわ!?まりざのは!?まりざのかわはっ!?」
「まりさのはれーむに被せるんだよ、何言ってるんだ」
「ゆっびゅぅう~~~~ん!?」
「やだーーーーまりざのがわ、やだーーーーー!!!」

ゆっくり魔理沙に空気が入ってないことを確かめてから竹籠に安置する。
それはゆっくりの大きさぴったりに編んだ竹籠だ。蓋を閉めると、みつしりと過不足なく満たされている。
ゆっくり魔理沙が暴れても開かないように、蔓で硬く結ぶ。これで皮が癒着するまでは出られない。

「れーむのがわーー!れ~むのがわぁあぁ~~~!」
「まっまっまっまりざのかわはーーー~~~!?」
「だからまりさの皮はれーむにかぶせるんだって」
「う゛~あ゛う゛あ゛う~~あ゛う゛あう゛ぅ~???」
「やべでっやべでっ!ゆっぐりざぜでっ!れーむはれーむのかわでゆっぐりぢだいのぉっ!!」
「まーいーじゃん。まりさとは友達だろ」
「どもだちじゃないっ!ともだぢじゃないがら、れーむのかわでゆっぐりちでいっでね!」
「ッッ!?ひどいぃいぃぃぃいい!れーむひどぃよぅぅううう!おどもだぢ!はぢめでのおどもだちッ!!」

いやいやと体をねじりながら泣きじゃくる二匹。
見かねた僕はもそもそしたゆっくり霊夢の顔にでこぴんをする。

「ゆ゛っ!」
「駄目だよ、友達にそんなこと言っちゃ、めっ!」
「ゆ゛う゛ぅう゛う゛ぅう゛う゛!がわー!れーぶのかわがーー!」

同じ手順でゆっくり霊夢に「ゆっくり魔理沙」の皮をかぶせて竹籠に入れてやった。

二匹が竹籠から開放されたのは三日後の夜だった。
完全に癒着したようで、思い切り投げつけても微塵もずれなかった。
これではゆっくりの力では絶対にとれないだろう。

それから一週間ほど経った。
二匹はあいも変わらずゆっくりしている。
れーむ!と呼ぶとまりさが来て、まりさ!と呼ぶとれーむが来るというのは、とても面白かったがすでに飽きた。
しかし、また皮をひっぺがして着せ替えるのも面倒くさいので、そのままでいさせようと思う。
実際、さして問題があるわけでもなし。

ただ、今までと同じようにゆっくりしている二匹が、時折ぴりぴりとした空気を発している事がある。
きっと相手が着ている自分の皮を取り替えそうと思っているに違いない。
しかし皮をはがそうとすれば、相手を傷つけることになる。そしてそのときに傷が付くのはお互いに自分の皮なのだ。
だから実行できない。
ぴりぴりとした後で、すぐに無力感に打ちひしがれて悶える様は見てて楽しい。
ゆっくり霊夢とゆっくり魔理沙では力の差がなく、無傷で皮をはがすことなど夢のまた夢。
だから、この二匹は今まで以上に僕になついている。いや、媚を売っているのに近い。
意味のない行動だが、夢を見るのはこいつらの勝手だ。僕は絶対に直してやらない。

くつくつと笑う。
この入れ替えた二匹を同種の群れに入れたらどうなるだろう?こうもりの御伽噺のようになるかもしれない。
また、ゆっくりアリスやゆっくりパチュリーをけしかけたらどうなるだろう?とても楽しそうだ。

僕は座りながら上を向き、右手で顔の皮をはがすように持ち上げながらつぶやいた。


「フェイス……オフ……」


終わり。

発想の流れ。
永江衣玖 → サタデー・ナイト・フィーバー → ジョン・トラボルタ → フェイス/オフ

著:Hey!胡乱

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最終更新:2008年09月14日 04:57
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