紫×ゆっくり系1 ゆかりんとゆっくり

※虐待描写、極小。
※設定が各作品で違っていたり、相反する物が複数ある事への理由付けが欲しい方向け?

※スレで時々ある、
 「こんな設定どう?→おかしいぜ!→いやいや妖夢」
 「こういう設定で決まってるんだよね?→設定は決まってないよ。自由だよ」
ってな感じの会話読んで受信した電波で、自動筆記しちゃったと思いねぇ。








「いろんな幻想郷」


 午後の日差しが温かな草原。
 幻想郷の中心部から見て、ここは博麗神社と全く逆方向の外れである。
 そこはゆっくりたちのユートピアであった。

 様々な種類のゆっくりたちが、若きは赤子から老いてはそのまま命尽きそうな老体まで、
およそ100匹のゆっくりたちが、のんびりとゆっくりしている。

「ゆっくりしていってね!」
「あ、ありすぅ……おまえのまむまむ、きっきもちいぜぇ……ありすぅ……」
「ゆっ!? れいむ! ちょうちょがいるぜ! いっしょにたべようぜ!」
「あふっ! まりさぁっ……ふぁっ、あんっ……いっ、いいよぉぅ……」

 ここにいるゆっくりたちは、苦難の旅の末にたどり着いたためか、おおむね他の地のゆ
っくりたちと違って協調性があると言うか、ケンカも仲良くケンカ程度で、いじめもじゃ
れ合いの範疇ぐらい、そしてタチのありすが皆無であった。

「むーしゃむーしゃ、しあわせー♪」
「ゆぅ~……むにゃむにゃ、もうたべれないよー……すぅ……」
「ぱちゅりー……だいすきよ……」
「ゆっへっへっへ! のろまのれいむー♪ やーいやーい!」

 ゆっくりを虐める人間や妖怪はもちろんの事、捕食種もこんな外れにまでは、まず来な
いため、外敵の心配もなかった。

「おかぁしゃん、ありすがまりさをへんなめでみるよー」
「もぉう! まりさったらまってよ~! ゆっくりしようよ~!」
「むきゅぅ~……ありすぅ、ぱちぇもありすのこと……ずっと……」
「ゆっ! ねぇ、おかあさん、あそこのまりさとありすなにしてんの?」

 ある者は眠り、ある者たちはじゃれ合い、ある者は草花を食み、ある者は蝶を追い、あ
る者たちは交尾を行い、ある者は何もせずぼーっとするなど、ゆっくりたちは存分に好き
なようにゆっくりライフを満喫していた。

 ──その時までは。

 虚空に裂け目が生まれ、その中から一人の少女が現れた。
「……少し早かったかしら?」
 黄色とオレンジが目に優しくない、やや少女趣味過剰なデザインの服を身にまとった、
緑色の髪の少女は呟きながら周辺を見回した。
 人間や妖怪、妖精などの人語を操ることが出来、知能も備えた生命体が、周囲に他に居
ないかざっと探す。

 幻想郷の有名人の顔に似た、ゆっくりと呼ばれる生首生命体の姿が見えた。
 だいたい50メートルほど離れたところで多数のゆっくりが、その名の通りにゆっくりし
ているのを、少女は視界に捕らえた。

 何匹かのゆっくりが少女に気付き、声を上げた。
「ゆっ? おねえさん、どこからきたの?」
「おねえさんはゆっくりできるひと?」
「ここはまりさたちがみつけたゆっくりプレイスだぜ! ゆっくりしたいんならごはんを
よこせだぜ!」
「むきゅっ! にんげんだわ! に、にげないと……!」
 近寄ってくる者もいれば、その場から声を掛ける者、離れて行く者など様々である。

「あら……こんな外れを選んだのに……目障りね」
 服と同じ黄色の日傘を、少女は遠くに見えるゆっくりに向ける。
「消えなさい」
 傘の先端から幾条もの光線が迸る。
「ゆぎゃぁぁぁぁっ! いだぃぃぃぃっ!」
「ゆぐっ! ひっ、ひどいんだぜぇぇぇぇっ!」
「むぎゅぅぅぅぅぅっっ!」
「い゛や゛ぁぁぁぁぁぁぁっ! れっ、れい゛むのごどもがぁぁぁぁぁっっ!」
 断末魔の叫びとともに、ある者はその場で炭化し、ある者は光線に身体を断ち切られの
たうち回り、またある者は親しき者の死を嘆き叫ぶ。
 ゆっくりたちにとっては、まさに地獄絵図であった。

「さすがに数が多すぎたわね……やれやれ、面倒ね」
 うんざりした顔で呟きながら、少女は再びレーザーを放った。
「や゛べでぇぇぇぇっ! お゛ね゛え゛……ごぶぁっ!」
「ま゛り゛ざぁぁぁぁっ! に゛、に゛げ……い゛ぎゃぁぁぁぁぁぁっ!」
「も、も゛っど……ゆ、ゆ゛っぐ、り……じだ……が……っだ……」
 たちまち上がる絶叫の声。
 そして失われてゆく五分足らずの命。
「本当に、こいつらうるさいわね」
 声が聞こえなくなるまで、少女は何度も光線を放った。

「あらまぁ、ずいぶんと派手にやってるわね」
 まだ声がしないかと耳を澄ます少女に、後ろから語りかける声がした。
 声の方向に、少女はゆっくりと振り返る。
 そこには、少女と全く同じデザインの、色だけが違う服を身につけた少女が佇んでいた。
 白と紫が目に付く少女趣味過剰な服を着た金髪の少女が。
 俗に言うスキマ妖怪、八雲紫である。
 紫と少女の顔立ちは──瓜二つという表現では不足を感じるほどに、言うなれば全く同
じであった。

「私が遅いから悪いのよ」
 紫に向かって、少女がとがめるように言った。
「仕方ないじゃないのよ。私だってこの時間は普通寝てるでしょ?」
 わかってるくせに、と言いたげな態度で紫は言い、
「それで、ゆっくりのことだっけ?」
 と続け、早く本題に入るよう促す。

「私のくせにせっかちね……まだ寝たかったのかしら?」
 一転して、からかうような調子で少女は言った。
「当たり前よ。私は日没後にお目覚めが基本よ……私もそうでしょ?」
「そうよ。こっちの幻想郷で、ゆっくりをどうしてるのか聞きたいの」
 おもむろに少女は本題の話に入った。

「どうしてるかって聞かれてもねぇ。私は放置してるわ。興味無いし、危険も無いから」
「それはわかるわ。もし可愛がってるなら、さっき文句の一つぐらい言ったでしょうから
ね」
 ちらりと、餡子や炭化した破片などの残骸に視線を向ける。
「私はやっぱ察しがいいわね。でも、あれを可愛がる私なんかいるの?」
「何人かいたわ。逆に率先して駆除に動く私、私と同じように調べてる私も居たわ」
 第三者が聞いていたとしたら、非常に意味が分かりづらい会話は続く。

「あれを可愛がるなんて私にしても、いや私らしい悪趣味ね」
「ふふっ、それなら私も可愛がってみたら?」
「遠慮するわ。ああ、こっちだとあれは永琳が調べてるわね。あと、アリスも。他は……」
 紫は何人かの知人の名前を挙げながら、彼女たちがゆっくりにどう対応しているのかを
話した。
「永琳はほとんどの幻想郷でゆっくりを研究してるわ。全く月人は本当に閑人ね」
「あらあら、月人はどの幻想郷でも似たようなものみたいね。本当に閑人よね」
 色以外全く瓜二つの、二人の少女は同時に笑った。

 ひとしきり笑い合ってから、再び少女が口を開く。
「そうね……玉兎は嬉々として手伝っていたり、嫌々手伝っていたり、違いが結構あるわ。
そうそう、違いと言えば人間についてだけど」
「人間がどうかしたの? ああ、こっちでは"異変の前兆"って説が人間たちの間では有力
ね。ゆっくりにはあまり関わらないようにしてるわ」
 紫の言葉に、少女は意外そうな表情を浮かべる。

「なるほど、ここの人間はそう解釈したのね……それは少ないケースよ」
「あら、そうなの? 他の幻想郷の人間は好奇心旺盛ね。ここだと、人語を操る生首って
時点で気味悪がって避ける人間が多いわ。ゆっくりも積極的に関わってこないし。他では
どうなってるの? ゆっくりと人間の関係」
 希少なケースであると聞き、紫は他がどうなのか興味を持ったようで、はじめて自分か
ら他の幻想郷の状況を質問した。
「無関心じゃなかったの、私? ふふっ、そうね……一概には言えないけど、半家畜化し
ている幻想郷が意外と多かったわ。加工所とか作っちゃったところも、結構あるし」

「加工所? こんなのをどう加工するって言うの?」
 先ほど少女が虐殺──いや、処理したゆっくりたちに紫は視線を向ける。
「様々ね。人間の発想力には、私もちょっと驚かされるわ……だいたい共通しているのは、
食品としての加工がメインみたいね。と言うか、これが大好物の私もいたわ」
「あらやだ、食べるの? これを……私はともかく、人間がこれをねぇ」
 食べることも出来るし意外と美味とは聞いていたが、人語を話す生き物を人間が食う姿
はあまり想像したくなかった。
 だが、同時に紫は、人間こそどんな妖怪よりも恐ろしい生き物だと熟知しているので、
やりかねないとも考えていた。

「ええ、生きたままナマで食べちゃう人間が珍しくないようなところも多いわよ」
「ますます意外ね……自分と同じ言葉を話す生き物を、生かしたまま食べるなんて……人
間が妖怪化しちゃってんじゃないの、そういうところは?」
 冗談めかして言いながらも、紫はそんな幻想郷で妖怪はどうなっているのか、一抹の不
安を抱いた。
 同じ言葉を操る知的生命体を、日常的に生きたまま食うと言う行為は、妖怪が人間に対
して行使できる特権の一つであったはずだから。

「妖怪は相変わらずよ、だいたいどこも。ただ、人間がゆっくりを積極的に虐めたり、殺
したり、食べたりしているところでは、妖怪も同じようにゆっくりに相対してるわね……
心配しなくても、バランスが崩れた幻想郷はほとんど無いわ」
「ふふっ、さすが私ね。そうよ、私もでしょうけど、私も一番の心配は幻想郷のバランス。
それが崩れた例もあるのね?」
 バランスが崩れた、それは紫にとって最も避けたい事態である。
 崩れたなら戻さねばならないから睡眠時間を削ることになるし、最悪の事態である幻想
郷崩壊の危険も発生するのだから。
「ええ。だから、私は私の幻想郷がそうならないために、こうやって睡眠時間を削って調
べているのよ」
「なるほどね……わかったわ。こっちのゆっくりは私がよく監視しておくわ。バランスを
崩すほどの状況になる前に対応するから」
 完全に無関心ってわけにも行かないのね、とため息をつく。

「私同士だと話が早いわね。ごくごく少ないケースとは言え、幻想郷ばかりか外の世界も
含めて、全てがこいつらのおかげで滅んだ例もあるし」
 忌々しげに少女は眉根を寄せた。
「にわかには信じられない話ね……まぁ、私が私に言うんだから間違いないんでしょうけ
ど」
「ふふっ、とりあえず他の私にもだいたい話は通してあるわ……ああ、そうそう。こいつ
らが現れていないところもあるみたいだから」
「あら、それは羨ましい私がいたものね……ただでさえバランス維持が面倒だって言うの
に、こんな不確定要素抱えずに済んでるなんて」
「なに言ってるのよ。どうせ私も、私と同じように藍にも手伝わせるんでしょ?」
「言わなくてもわかるでしょ?」
 再び二人は同時に笑い合った。
 真面目な話──彼女たちにとって最も避けたい忌まわしい事態について、今さっきまで
話していたとは思えない変わり身の早さである。

「さて、それじゃ私はまた別の私と会ってくるから──詳しいことが知りたい時は、弾幕
りたい時と同じように、ね」
「わかってるわ。スキマに手紙ね……それじゃ、今度はまた弾幕りましょうね」
「ふふっ、その用件だったら私じゃない私でも、簡単に相手見つかるでしょ」
 言うと、少女は空間に裂け目を生み出し、その中へ消えて行った。

「それもそうね……ってもう行っちゃったわ……あの私は働き者ね」
 しばらくの間、紫はその場に佇んでいた。
 用が済んだのだから、スキマを使ってすぐさま帰って寝ても良いだろうに、じっと立っ
て思考をまとめていた。

 思考がまとまったのか、紫は誰に言うともなく独り呟き始める。
「……そうね、私はこいつらを甘く見ていたのかも知れないわね」
 空間の裂け目──スキマに消えた少女が処分した、ゆっくりたちだったものに紫は忌々
しげな視線を向けた。
「──とは言っても……正直、私にもこいつらがどうなるのかなんてわからないわね……
他と同じようにここでも、人間や妖怪とこいつらがもっと接触した方がいいのか、それと
も折角のレアケースとやらを大事にすべきかしらね」
 紫は視線を上に向け、抜けるような蒼穹を眺める。
「幻想郷ばかりか、外の世界も、この地球さえもゆっくりが滅ぼした例か……平行世界は
無限にあるのだから、そんな結末となった世界があってもおかしくない、と……あら?」
 風が草を揺らす音とは別の音が、紫の耳に届いた。。
 音は──ただ腐り土に帰るのを待つ残骸が、散乱している方向から聞こえた。

 音の方へと紫は視線を向け、ゆっくりとそちらへ向かって歩き出した。
「……ゅ……ゅっ……」
 奇跡的に生き残っていた一匹のゆっくりが、そこには居た。
 髪の毛と飾りのリボンは一部焦げ、右頬のあたりをざっくりとレーザーに抉り取られた
瀕死のれいむが、少しでもこの場を離れよう、生き延びようと這っている。
「……全く、私のくせに作業がいい加減ね……この分だと、他にも生き残りが居てもおかしくないわね」
 やれやれと呟きながら、紫は首を振った。
「……ゅ……っ……ぁ……」
 自分が何故いきなりこんな目に遭ったのか、仲間たちがどうして死んだのか、れいむに
は全く訳がわからなかった。
 ただ、生き延びたい。それだけを考えて、ずりずりと這っている。
 中身の餡子が漏れ出すのも構わず、ひたすらに。

「ふふっ、ちっぽけな……本当に小さな命が、こうやって懸命に足掻く様は、感動するわ
ね」
 にっこりと紫は優しく微笑んだ。
「……そうね、脆弱な身体に似合わないこの生命力、生への渇望──やっぱり不確定要素
ね……死にやすく、生まれやすいのならば、世代交代が早く、それだけ進化の可能性も秘
めているわけだし……」
 れいむの真上、何もない空間へと紫は視線を動かす。
「その生命へ敬意を表したわけじゃないわよ。見つけてしまった自分のやり残しを、始末するだけ──開けて悔しき玉手箱」
 紫が見つめている空間にスキマが生じ、そこから墓石が落下して来た。

「ゆ゛べっ!」
 短い断末魔とともに、れいむは死んだ。
 この幻想郷では、はじめて八雲紫によって殺されると言う栄誉とともに。
「危険だと感じたら絶滅させるわ。それまでは、私の気分次第かしらね」
 そう言うと、自分の目の前に紫はスキマを作った。

「さて、帰って……もう一度寝るとしますわ」
 紫がその身を中へ滑り込ませたと同時に、スキマは閉じた。
 後には永遠に静かになったゆっくりたちと、ただ風に吹かれて揺れる草原が残される。

 今日も、この幻想郷は平和である──。






 唐突に、再びスキマが開いた。
 スキマから顔だけ出して、紫が"こちら"に語りかける。
「あなたの知ってる幻想郷は、どんな姿かしら?
 そして、これからあなたが知る幻想郷は、どんな姿かしらね……。
 私に言えることは、どの幻想郷の姿も全てを受け入れた結果。
 あなたが嫌だと思っても、それも一つの世界──可能性だと言う事……忘れないでね」

 言うだけ言って、紫は再びスキマに消えた。


                                   ■END■

あとがき
 ご笑覧いただきありがとうございます。A.Hでございます。
 なんか電波受信して、ちびちび書いてたのが上がったので。
 東方の原作知らない方もいるようなので、ちょっと解説しますと、緑髪の少女ってのは
緋想天での色違いゆかりんです……2Pカラーってやつですね。萃夢想でも同じだったか
は忘れました……ここ長らく萃夢想は美鈴でしかやってないので。
 はい、美鈴のストーリーモードが追加パッチで出たときに備えての練習です。
 内容は、まぁ要するに「パラレルワールドがたくさんあるんだから、設定が違っても気
にしなくていいじゃん!」ってな私見を、みたいな。

 次は……他の書き途中のやつらを片付けるか、きめぇ丸を先にヤるか……なんか、きめ
ぇ丸を見てると「やめてください(泣)おしりこわれちゃいます(泣)」って言わせたく
なりますからねぇ。私が。
 掘りながら顔面舐め回して「くさいです(泣)つばくさいです(泣)」って言わせたり、
泣いて謝るまで全身の臭い嗅いで感想述べながら舐めまわしたりしてぇですよ。私が。

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最終更新:2008年09月14日 11:41
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