映姫×ゆっくり系1 ゆっくり輪廻転生していってね!

ゆっくり輪廻転生していってね!



「ううん、いい陽気だねえ」
そう言いながらお日様に向かって伸びをする少女が一人。けしからん物体が揺れる。
彼女の名は小町。三途の川の渡しを生業としている。
平和な幻想郷では人死にもないのか、えらくのんびり出来る…嘘、のんびりしているのは彼女がサボっているからだ。
他の渡しは忙しそうに働いている。
普段はこんなにも忙しくはない。だが、最近「ゆっくり」と呼ばれる謎の生き物が現れてから、三途の川は大混雑だ。
普通なら閻魔の裁きを受けることはないはずなのだが、このゆっくりというドマンジュウ、畜生の分際で魂があるらしく、三途の川を渡れるのだ。
もちろん渡し賃も持っていない。だが、こういった手合いを追い返すはずの奪衣婆は、今、ぎっくり腰で寝込んでいる。一匹一匹対処するには、数が多すぎたようだ。
「皆が働いている時に休むのは格別…ん?」
彼女の上司あたりが聞いたら激怒しそうな台詞を吐きながらゴロン、と横になる。またしてもけしからん物体が揺れる。
そんな小町の目に、あるものが飛び込んできた。
ゆっくりの家族だ。9匹ほどいる。
もちろん既に死んでいるので、足?というか顔の下のところががない。ふよふよ浮いている。
「家族連れで三途の川、かい」
よっこいしょ、と身を起こし、そちらを眺めやる。けしからんも(ry
暇つぶしに読んだ文々。新聞に書いてあったことを思い出す。
ドマンジュウの顔が嗜虐心を煽るとかで、面白半分に殺すものが増えている。子供の教育によくないのではないか、とハクタクが語っていたような気がする。
「あんな見た目とはいえ命は命、弄ぶのは感心しないな」とブンヤに語った覚えがある。
本音は「仕事増やすな」だったのだが。どうせ仕事なんて滅多にしないのに。
そこら辺に転がっていたカマに掴まって立ち上がると、もっぺん伸びをする。
「そろそろ仕事に取り掛からないと、またぞろ四季様に怒られる、と」
そういうと目の前のゆっくり、多分母親と思われるもの、の尻尾を掴んだ。
「ゆ゛?!」
急な出来事に目を白黒させるゆっくり。
後ろに続いていた子ゆっくりたちも、突然現れた人影に驚きあわてている。
「おねえさんだれ?」「おかあさんをはなして!」「ゆっくりできるひと?」と騒がしい。
「ゆっくり出来る人だよ」と子ゆっくり達に微笑みかけておいて、お母さんゆっくりに話しかける。
博麗の巫女に似ているから「ゆっくり霊夢」と呼ばれている種類のようだ。
「おねえさん、ゆっくりできるひと?」
とお母さん霊夢が尻尾を掴まれたまま聞いてくる。
「そうだよ、あたいは小野塚小町、三途の川の渡しさ」
一応答えてやる。が、もちろん理解できるとは期待していない。これも規則で決まっているのだ。
「さんずの…かわ?なにそれ?ゆっくりできるとこ?」
ほら、理解できてない。後ろのちっこいのも同じようなことをステレオで喚いてくる。
「そうさね、分かりやすく言えば、あんたたちは死んだのさ」
直球ストレートに投げ込んでみる。
「しぬ?それってどういうこと?」
だめか。この頭にプリンのかわりに餡子が入っているようなのに理解できるように…
「もうゆっくりできないってこと」
これならわかるだろう、と噛み砕いて言ってやる。
こうかはばつぐんだ!
「い゛や゛だあああああ!ゆ゛っく゛り゛でぎな゛い゛な゛ん゛でい゛や゛だあああああ!」
お母さんゆっくりが泣き出したことで、子ゆっくりにも伝染する。
「「「「「「「「ゆ゛っぐり゛じだい゛い゛い゛い゛い゛い゛い!!!!!」」」」」」」
とりあえず耳を塞いでみた。あまりこうかはないようだ。
「あー、大丈夫、これからもしかしたらゆっくりできるかも…」
聞いちゃいない。汚らしく鼻水や涙を撒き散らしながら転げまわる。
普通の魂にはこんな器用な芸当はできないはずなのだが。
生命の神秘に思いを馳せようとした小町だが、とりあえずうるさかったので、黙らせることにした。
「えい」
鎌の柄で殴った。ひたすら殴った。
渡し仲間が言っていた。「うるさいから殴って気絶させて運べ」と。
生きているゆっくりならとっくに餡子を撒き散らしているはずの打撃をうけても、まだ泣き叫んでいる。
「しぶといな…」
腕がそろそろ上がらなくなるかな、というところで最後の子ゆっくり霊夢が黙った。
魂のくせに気絶するなんて器用な奴、とぼんやり考えながら、渡し舟に放り込む。
普段なら魂たちの話を聞きながらのんびり(あえてゆっくりとは言わずにおいた)三途の川を渡るが、今回は別。
距離を操って、さっさと対岸につけた。また騒ぎ出されても面倒だ。

「はーい、ごとうちゃーく」
『四季映姫法廷』と名札のついた法廷に放り込んで、さっさと退散しようとする。
だがその試みは失敗に終わった。法廷の床がやたらと滑ったからだ。
「きゃん!」
油断していた小町は滑って転んで思いっきり腰を打った。腰をさすりさすり立ち上がり、もう一度逃げ出そうと試みる。
「小町、お待ちなさい」
ダメだったようだ。恐る恐る振り返ると、もう裁判長席には彼女の上司が腰を下ろしていた。
四季映姫・ヤマザナドゥ。楽園の閻魔。
「後で話があります。そこの傍聴席に座ってなさい」
ちびっ子閻魔は、やつれた表情で言った。
それもそのはず、普段は二交代制のはずが、ゆっくりが現れてからはろくに休みも取れていないのだ。
おいたわしや…、と思いながら「あ、あたいは仕事が…」と逃げ出そうとする。
「小町、嘘はいけません。舌を抜かれたいのであれば止めませんが?」
目が笑ってない笑顔でそうおっしゃった。
小町はとぼとぼと傍聴席に座る。四季映姫の本気を感じ取ったからだ。もうひとつ、ゆっくりに対する裁判がどういうものか気になったのもあったが。
小町は傍聴席につくと同時に部屋を包み込む甘いにおいと、その発生源に気がつく。滑った原因もそれで分かった。
「餡子…」
さっきおもいっきりぶん殴ったときはでなかったのに、餡子を出す特殊な方法でもあるのかな、と考え始めた時、四季映姫の声が響いた。
「被告人、母ゆっくり霊夢!」
カーン!と木槌を打ち付ける。その音でゆっくり達が目が覚めたようだ。そのとたんに騒ぎ出す。
「ここどこー?」「ゆっくりしたーい」「おなかすいたー」「おうちかえるー」
だが、映姫は慣れたもの。手にした木槌でぶん殴った。黙るまで、ひたすらぶん殴った。
その顔にどことなーく笑みが浮かんでいるのを小町は見たが、「四季さまも疲れていらっしゃるんだ」と思い、心の奥底に封印しといた。
敬愛する上司のそんな顔なんぞ覚えていても得がない。
「ゆっくり霊夢、あなたは幻想郷の人里、彦太郎の家屋に侵入、家の中にあった食料を子ゆっくり達と食べつくし、さらには丹精込めて育てられた畑を荒らしました。違いますか?」
「ちがうよ!あそこはれいむたちのおうちだもん!ゆっくりおやさいたべただけだもん!」
なんでさっきのあたいの説明がわからなかった脳みそ餡子が今のを理解できたんだろう?と小町は頭を捻った。
そして答えが出るわけがないのに気がついて、傍聴に集中することにする。とりあえず映姫さますごい、ということにしておいた。
「いいえ、あそこは先祖代々彦太郎の家です」
「ちがうもん!だれもいなかったもん!さいしょにゆっくりできるとこみつけたのはれいむだもん!」
議論は平行線を辿った。他にも様々な罪状(大体盗み食いとか)が上げられた。
だが、ゆっくりれいむの答えはすべて「ゆっくりできることみつけたのはれいむだもん!」だった。
子ゆっくり達にも一匹一匹同じ罪状認否を繰り返したが答えは決まって「おかあさんたちとゆっくりした!」だった。
(こりゃ映姫さまもやつれるわ…)と小町は心底同情した。
ゆっくりには罪の意識のカケラもないのだ。そんなのを悔い改めさせようとしても無理がある。
そんな無為な裁判が始まって、2時間が過ぎた。四季映姫が木槌を打ち鳴らす。
「以上の罪状に母ゆっくり霊夢以下ゆっくり家族9名は畜生道行きを命じ渡す!幻想郷に輪廻なさい!」
そう言って母ゆっくり霊夢を悔悟の棒で叩く。力の限り。
すると中の餡子が噴出し、母ゆっくり霊夢は子ゆっくり霊夢と同じ大きさになる。
「ただし、母の愛情深きを考慮し、一堂、同じ家族に生まれることをさし許す!」
そして側にぶら下がっていた紐をひくと、床に大穴が開く。
「「「「「「「「「ゆ゛うううううううう?!」」」」」」」」」
まったく同じ悲鳴を残して消えていく。後に残ったのは、餡子だけ。
小町は、ぐったりしている四季映姫に駆け寄った。
「四季さま、なぜ畜生道に?奈落に落としてしまえばよいものを」
そんな小町の問いかけに四季映姫はため息を一つ吐いた後答えた。
「私もたまに落としてしまいたいと思うこともありますが、それはしてはならないことです。小町、畜生とは?」
「は、『苦しみ多くして楽少なく、性質無智にして、ただ食・淫・眠の情のみが強情で、父母兄弟の区別なく互いに残害する人間以外の生類』……ゆっくりそのままですね。」
四季映姫はもう一つ深々とため息をついた。
「でしょう。ですから、畜生道に落とす以外はないのです。しかもゆっくりの魂は特殊らしく、ほかの動物に転生させることもままなりません…」
小町は、普段渡している魂とゆっくりの魂を想像の中で比べてみた。比べるまでもなく異常だ。長いこと渡しをしているが、あんな変なの見たことない。
「ゆっくりはゆっくりにするしかない、はあ、だからこんなに忙しいのですね…」
そう小町が言った瞬間。四季映姫の肩がぴくりと反応した。
(あ、地雷ふんだ…)
そう直感した小町は「それでは四季さま、あたい、仕事に戻らせt」などと白々しい嘘を吐きながら逃げようとした。
むろん逃げられるものではなかった。がっちり肩をつかまれて、正座させられる。

説教は二時間にも及んだ。

説教をおえて、なんだかつやつやした顔の四季映姫の元から解放された小町は、三途の川の此岸側に来ていた。
げっそりした顔で「仕事しよ…」と呟く。
そんな小町の目にまたゆっくりの姿が見える。生まれたばかりで死んだばかりの赤ちゃんゆっくり霊夢9匹。
数の符号に嫌な予感を感じながらも、声を掛ける。
「あー、あんたたち、兄弟かい?」
「「「「「「「「「うん!おねえさん、ゆっくりできるひと?」」」」」」」」」
その息の合い方に間違いなく兄弟だと感じながらも、とりあえず小町は鎌の柄でぶん殴った。うるさかったからというのもあった。
そして、こいつらのせいで二時間説教される羽目になった、という恨みもこめた。

今日も三途の川の渡しは忙しい。ゆっくりが現れた結果がこれだよ!













え、虐待というより虐待の裏側をぬるく書いてみました。期待はずれだった方、ごめんなさい。
『』内はwikiより引用。

タグ:

+ タグ編集
  • タグ:

このサイトはreCAPTCHAによって保護されており、Googleの プライバシーポリシー利用規約 が適用されます。

最終更新:2008年09月14日 11:25
ツールボックス

下から選んでください:

新しいページを作成する
ヘルプ / FAQ もご覧ください。