慧音×ゆっくり系1 慧音先生とゆっくり

慧音先生とゆっくり。

上白沢慧音は里で寺子屋の教師をしている。
まだ、幼い子供達に文字を教えたり、計算を教えたりしていた。
そんな彼女のもとに、ある子供がゆっくりを連れてきた。
ゆっくりとは生首のような生物で、ぴょんぴょん跳ねたりして移動する。
足という部分もあるらしいが、詳しい事はよく分かっていない。
中身が餡子なだけに、美食家達からも重宝されている。
しかし、ゆっくり達にはある欠点がある。
それは恐ろしいまでの知能の低さだ。
なぜか頭に付いている帽子を外すと、仲間と認識できなくなり攻撃する。
さらに、自分の妻が産んだ子供を自分が生き残るために殺したりする。
これは動物界では珍しい事ではないと言われるかもしれないが、なにせこいつら、言葉を話すのだ。
簡単な言葉ばかりで、難しい話をすると頭を傾げるが、大抵の事は理解する。
このゆっくりの中の種類にゆっくりまりさというものがいるが、そいつが典型的な裏切り者だった。
逆にいえば悪知恵が働くと言うが、時々人間らしさを見せるゆっくりが子供を見捨てたり、理不尽な事を言って仲間のゆっくりを攻撃しているのを見れば、並大抵の人間は怒りを覚えるだろう。
しかしこの慧音、ゆっくりと言う生物をあまり知らない。
大抵里に行くときは授業のためだし、家に帰れば残った仕事をするので、あまり接する機会が無かった。
「これが、ゆっくりって奴か」
慧音は興味深そうにそれを見つめる。
子供が持っていたのはゆっくりれいむで、うまく育てれば普通の家庭でも育てられる。
他にいる、まりさ、ありすも育てようと思えば育てられるが、まりさは何をしでかすかわからないし、ありすは異常性欲と言う特性をもっているので、あまり飼おうとは思わない。
ゆっくりれみりあなど例外だ。
この他にもゆっくりはいるのだが、それは省略する。
「おねーさんこんにちわ! ゆっくりしていってね!」
れいむは慧音に向かって挨拶をする。
「ああ、こんにちわ」
慧音は優しく挨拶をする。
彼女は、最初ゆっくりは害獣だと聞かされていた。
畑をあらし、民家に侵入しては食い物を荒らす。
そしてあたかも自分の家としてふるまう。
やることだけなら山賊に近い生物だ。
(なんだ、ゆっくりって結構礼儀のある奴もいるんだな)
「慧音先生、ゆっくりっておもしろいんだよ!」
そう、生徒の一人が言う。
「ほう、何か芸でも覚えているのか?」
慧音が尋ねると、生徒の一人がれいむを机の上に置いた。
そして、いきなり指を目の上に突っ込むと、そのまま目玉をくりぬいた。
「ゆぎゃあ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛!!!!」
「お、おい! 何してるんだ!」
突然起きた生徒の行動に、慧音は叫ぶ。
だが、生徒は手馴れたようにもう一個の目玉をくりぬいた。
「ゆ゛っぐえ゛!」
目玉を両方失ったれいむの目が合った場所から、涙のように餡子が流れ出ている。
「はい慧音先生、目玉の部分はぷるぷるしてて中に餡子が詰まってて美味しいんだよ」
そう言って、生徒は固めを慧音に差し出した。
しかし、彼女は受け取らず生徒をしかりつけた。
「何してるんだ! 仮にも生き物だぞ!」
生徒は怒られた事にびっくりしていた。
まるで、なぜ怒られたんだと言うような目だ。
「で、でも……」
「でもじゃない! 生き物を大切にしない奴は私は大嫌いだ! 出て行け!」
慧音は怒鳴りつける。
生徒は、裏切られた気持ちで半べそを書きながら、目玉の無いれいむを連れて出て行った。
しかし、他の生徒から非難を浴びる。
「先生ひどいよ! あの子は先生においしいお菓子を食べさせようとしたんだよ!」
「そうだよ! 先生はゆっくりの事なにも知らないの?」
「うるさい、ゆっくりがどんな生き物だろうと私はああやって悪戯に命を奪う奴が大嫌いなんだ」
結局、慧音は怒ってその秘の授業を全部自習にした。
竹林を抜けて、慧音は家へ向かう。
「まったく……近頃の子供は命の尊さというものを知らないのか」
怒りながら進んでいくと、人並みくらいにでかい物体が竹林を抜けていた。
ゆっくりと進むそれは、巨大なゆっくりまりさだった。
「ゆ? おねーさんはゆっくりできるひと?」
その質問に、慧音は笑顔で返す。
「ああ、できるぞ」
「ゆゆ! じゃあおねーさんたべものちょうだいね!」
通常、妖怪おにいさんだったら攻撃するか策略を練っていたぶるだろう。
だが、相手はゆっくりを知らぬ慧音だ。
「ああ、腹が減ってたのか。 昼の残りならあるぞ」
そう言って食べ切れなかった握り飯を巨大まりさに与える。
すると、どこに隠れていたのか寺子屋で見たときと同じくらいの成体ゆっくりがわらわらと現れた。
「おかーさん! それちょうだいね!」
「まりさにはこどもがいるからさきにちょうだいね!」
握り飯を分けても足りないくらいに成体がいる。
そこで、慧音はある提案を出した。
「そうだ、私の家にくれば少しだけだがあげられるぞ」
「ゆっ!?」
その言葉にまりさは警戒心を強める。
まるでまたかとでも言うような感じだ。
「おねーさんはうそつきだね! そうやってまりさたちをいじめようとしてるんだね!」
「ち、違うっ。私はそんな事思ってない!」
慌てて慧音は言う。
そして思った。
(こいつらは人間達にいじめられてきたのか……かわいそうに)
「わかった、ここでその親と待っててくれ。私が持ってくれば文句無いだろう?」
「ゆっ……わかったよ、でもうそだったらおねーさんつぶすからね!」
巨大ゆっくりは警戒心剥き出しでそういった。
確かに、この質量のゆっくりにつぶされれば人間ならひとたまりも無いだろう。
「安心しろ、約束は守る」
そう言って、慧音は家に戻り自分の分を残したあまり物の野菜などをまりさ達に持っていった。
「ゆっゆっ! このおねーさんうそつきじゃなかったよ!」
「まって! やさいにどくがはいってるかもしれないからまりさがさきにたべるよ!」
巨大まりさは慎重に言う。
確かに、おにいさん達なら睡眠薬やら入ってただろう。
「だからそんなもの入ってないぞ」
困った風に慧音が笑う。
そして巨大まりさが食べ終えた。
「だいじょうぶだったよ! このおねーさんはいいひとだからみんなでごはんたべようね!」
その言葉を合図にまりさたちは一斉に野菜を取り囲んだ。
成体ゆっくりが野菜をくわえ、その後ろにいる子供にも分け与える。
そして他人の子にも分けていた。
どうやら群れで行動しているゆっくり達は団結力が強く、みな家族だと思っているようだ。
そういう触れ合いを見ていると、慧音も嬉しくなる。
どこまでも甘い人だ。
そこがいい所でもあるのだが。
「おねーさんありがとう!」
「「「「ありがとう!」」」」
「ああ、どういたしまして」
慧音は笑顔で去っていくまりさたちに手を振った。
ちなみに、この時彼女は里の襲撃を防いだということは後に分かる事である。

■■■

しばらくして、慧音の家に一匹のまりさが来た。
なんでも、パーティをやるからおねーさんも食べ物を持ってきて一緒に来いとの事だった。
慧音は自分の分の食料しかなかったが、それを半分にして持っていくことにした。
ぴょんぴょん跳ねるゆっくりまりさ、慧音はその後をついていく。
しかし、山の近くである事件が起きた。
「う゛~♪ だ~べちゃ~うぞ~♪」
ゆっくりれみりあが襲い掛かってきたのだ。
れみりあ種はゆっくり達を食べる種類なのでまりさ達は恐れていた。
「おねーさんたすけてね!」
「あ、ああ……」
見た目は頭が以上にでかい子供なので、いささか抵抗があった。
しかし。
「あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛!!! ま゛り゛ざのぼうじがあ゛あ゛あ゛あ゛あ゛!!!」
丁度、ゆっくりれみりあがこけてまりさの後ろに倒れたときだった。
闇雲に振り回した腕が、ちょうどまりさの帽子を引き裂いたのだ。
「くそっ! この!」
軽く蹴飛ばして、ゆっくりれみりあを追い払う。
半べそをかいてざぐやざぐやと叫んでいた。
「大丈夫か?」
「ゆぅ……大丈夫だよ」
傷ついたまりさを抱えて慧音は山を登った。
巣に着いたらうんと楽しませてやろう。
この傷が少しでもいえるように。
そう慧音は思っていた。
「ここだよ! ここにまりさのおうちがあるんだよ!」
「そうか」
慧音は山の中にできた洞窟に入る。
元々ここら辺には山賊がいて最近妖怪に食われたと言う話を以前聞いたのでたぶんここがその砦だったのだろう。
ついた頃にはもう日が暮れていた。
「おかーさん! おねーさんを連れてきたよ!」
すると、中にいた成体ゆっくり達が一斉に帽子のないまりさを見る。
そして案の定非難の声を浴びせた。
「ゆ! ぼうしのないやつはまりさじゃないよ!」
「しらないゆっくりはゆっくりしんでね!」
その光景に慧音は困惑する。
「お、おい……これはお前達の仲間だぞ?」
「そんなぼうしのないまぬけなまりさはしらないよ!」
そういわれてぼうしのないまりさは泣き出す寸前だった。
その時。
「みんなばかだね! あれはまりさたちのまりさだよ! おかーさんにはわかるよ!」
洞窟の奥から巨大ゆっくりまりさが現れた。
そして帽子なしまりさは希望に満ちた顔をする。
「ありがとうおかーさん! きづいてくれたんだね!」
「みんながばかでごめんね! あとでぼうしつくってあげるからね!」
多少の違和感があるが誤解は解けたようなので慧音はほっとする。
しかし、その瞬間慧音の袋に入れた野菜がかすめとられた。
「!?」
「そしておねーさんもばかだね! みんな! あとでおねーさんのおうちにあんないするよ! ここよりとってもゆっくりできるよ!」
いきなり手のひらを返したように罵倒してきた帽子なしまりさに慧音は唖然とする。
「は?」
そうしている間に、慧音に数匹のゆっくりがタックルしてきた。
もう帽子なしまりさを仲間と認識したようで、いつもの団結力だった。
一匹だけならマッサージ程度にはなっていたが、数匹になると子供に突き飛ばされたくらいの痛みがあった。
「きゃっ」
慧音は地面にしりもちをつく。
そして馬鹿にしたように巨大まりさが舌を出した。
「おねーさんはほんとばかだね! あたらしいおうちをおしえてくれてありがとう! ゆっくりしね!」
巨大ゆっくりは転がって慧音の足をつぶす。
折れはしないものの、とても痛い。
「ぐっ!?」
さらに膝。
太もも、胴。
巨大まりさに体をつぶされていく。
(なんで……どうして、パーティをするんじゃなかったのか)
慧音は裏切られた気持ちになる。
そして、何とか動こうと頭を動かしたとき、月が目に入った。
「!!」
慧音の体から動物本能が目覚める。
上白沢慧音はハクタクと呼ばれる妖怪のハーフで、満月になると本来のハクタクの姿となるのだ。
「ぐが、おおおおおおおおおっ!!」
裏切られた怒りと悲しみとで、力任せに巨大まりさの体に腕をねじ込む。
「ゆぐっ!?」
通常のゆっくりより耐久力のある巨大まりさだが、妖怪の本気に勝てるわけが無い。
そのまま足を引き裂かれ、体の中に腕が侵入する。
「あ゛がががががががががが!!!! ゆ゛っぐり゛でぎだい゛よ゛お゛お゛お゛お゛お゛お゛お゛お゛お゛お゛お゛お゛!!!!」
そして侵入させた腕に力を込め、弾幕を発射した。
弾はまりさの餡子脳を突き破り、天井を削る。
しばらく弾を浴びせた跡、まりさは破裂して弾けとんだ。
「お゛がああざあああああああああああああん!!!」
「ゆ゛ううううううううううううう!!!」
成体ゆっくりが叫び声をあげる。
びちゃびちゃと雨のように降る餡子の中、慧音は月夜に照らされて手についた餡子を舐める。
その姿には、普段の生真面目さがない獣のような獰猛な姿であり、妖しく美しくもあった。
「ひぃいいいいいいっ!!」
一匹のまりさが恐怖にかられて洞窟から出ようとする。
だが、慧音に捕まり握りつぶされた。
「ゆびげぇ!」
目玉を飛び出し、歯を食いしばりながら死んでいくまりさを見て、慧音は楽しいと思った。
なぜ、こんな下衆のような奴等に餌を与えてしまったんだろう。
それだけが悔しかった。
「まりさはおいしくないよ! ほかのまりさをたべてね!」
そう言って子供のまりさを差し出す。
「ゅー! ゅー!」
小さなまりさは怯えている。
慧音は再び殺意を覚えた。
「子供を差し出してまで自分が助かりたいかぁっ!!」
拳を唸らせ、差し出したほうの成体まりさを潰す。
さらに、集団でタックルし、逃げる機会を作ろうとまりさが飛び掛る。
だが、慧音の手刀で横に薙ぐ。
すると、食らったまりさの横顔が歪み、皮が破れて餡子が飛び散る。
あとは怯えているまりさたちだけだった。
「……おまえら、もうだれも騙さないと誓えるか?」
「ぢがいまずううううううう!! おでがいでずううううううう!!!」
慧音はもう殺す気など起きなかった。
こんな下衆野郎は殺すに値しない。
だが。
「せいぜい暗闇の中、その私から盗んだ野菜で生き延びるがいい」
そう言って洞窟を出て指をパチンと鳴らす。
背後で爆発音がしたかと思うと、土砂がくずれて洞窟を塞いでしまった。
「はぁ……今日は妹紅の家に泊めて貰おう」
妙にむしゃくしゃした気分が晴れないまま、慧音は山を降りていった。

■■■

それから。
「なぁ、君」
「は、はい……」
教室の中で先日叱った子供を呼んだ。
「その……すまない。酷い事言って……私が間違っていた」
両手を合わせて頭を下げる。
すると生徒は笑って許してくれた。
嬉しくなって慧音は生徒を抱きしめる。
なんとうらやまし、もとい感動的な光景だろうか。
しかし、代わりにゆっくりの目玉が食べたいと言った。
「よしまかせろ、先生の習性については最近よく知ったからな」
こうして、しばらくは課外授業として生徒達と慧音のゆっくり狩りは続いた。
そしてその中で、慧音は一生ゆっくりまりさの事を嫌いになったそうな。





あとがき
即興で書いたからって言い訳にしませんよ。
生徒、俺と代われ、その乳は私のものだ!


作:神社バイト

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最終更新:2011年07月29日 18:08
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