ゆっくりいじめ系22 あるゆっくりアリスの記録

 森の中を三匹のゆっくりが並んで歩いていた。
 真ん中に居るのはゆっくりアリス、繁殖には欠かせないゆっくりだ。
 両側に居る四肢のある小さいゆっくりは、ゆっくりシャンハイとゆっくりホラーイ。
 稀に、ゆっくりアリスと共に生まれてくる種類だ。
 知能は意外と高く実際の人形並み、つまりゆっくり並にあるそうだ。
「ァリス、ココデユックリスルノ?」
「ユークリスルノ?」
「うん、きょうはここでゆっくりしようね!」
「ハァイ」
「ハーイ」
 今日選んだ場所は、森にぽっかりと空いた広場。
 寂しがりやのゆっくりアリスは時々、ここまでやってくる。
 だからと言って何かするわけでもなく、ただジーッと木の陰から他のゆっくり達が遊ぶのを眺めているのだ。
 ゆっくり達も気付いてはいるが、向こうからやって来ない事、それと何度か誘って一緒に遊んでも、やたらとはしゃぎ過ぎるので、大抵はそのまま気まずそうに遊んでいるのだ。
「まりさもれいむも、ちゃんとあそぼうっていってくれたら、あそんであげるのに」
「ァリィスカラサソェバ?」
「サソーエバ」
「せっかくきてあげたんだから、あっちがさそわなくちゃいけないの」
「ソォカ」
「ソッカー」
 それでも、一緒に居るシャンハイとホーライのおかげで寂しくないアリス。
 口から出るのは強がりばかりだった。
「そろそろ、おうちにかえってゆっくりしよう」
「ゥン、ユックリシヨゥ」
「ユクーリスルヨ」
 先ほどの場所から、家までは随分遠いので家に着く頃には真っ暗になっていた。
「やっとついたよ!!!」
「ツカレタァ」
「ユックーリデキルネ」
 その日も三匹固まって眠りに付く。
 翌日、今日は初めて人里に行ってみることにした。
 以前、同じように木の陰で話を聞いていると、最近、人里近くの綺麗な土地で野菜を食べていたゆっくり達が、人間の家に御呼ばれされているらしいと聞いたからだ。
 これは聞き間違いだったが、友達の欲しいアリスには効果が抜群だった。
 自分が人里に下りて人と仲良くする光景を想像する。
 そんな光景に、アリスの心は激しく踊った。
 翌日、ワクワクしながら街へ向かう三匹。
 ようやく目的の街へ着いた時には、太陽が真上に昇りかけた頃だった。
「すごくひとがいっぱい」
「スゴォイネー」
「イッパーイダネ」
 人里に下りると、沢山の人たちがひっきりなしに動いている。
 初めての街、多い人、賑やかな空気、どれもこれも初めてな三匹は目を輝かせて驚いた。
 しかし、三匹に誰も見向きもしない。
 自分をかまってくれる人もいない、自分から動いてみることにする。
「でも、みんなゆっくりしてないね。アリスたちでゆっくりさせてあげようか?」
「ゥン」
「イイヨー」
「「「ゆっくりしていってね!!!」」」
 大声で叫ぶ、ちょっと恥ずかしかったアリスだが、人と仲良くなろうとちょっとだけ勇気を出してみた。
 …………。
 ちらちらと振り向く人は何人かいたが、振り向くだけでみんな直ぐに通しすぎてしまう。
 がっかりするゆっくりアリス。
「なんでいそいでるんだろ?」
「シャンハイワカラナィ?」
「ホラーイモワカンナーイ?」
「おなかすいたね」
「ォヒルマダタベテナィ」
「オヒルタベターイ」
 ぐるっと辺りを見回す三匹、すると近くの屋台からから、美味しそうな匂いが漂ってきた。
「あそこからいいにおいがするね!」
「ィィニォーイ!」
「タベターイ!」
 急いで屋台に駆け寄っていく三匹。
「おやねがついてるね?」
「デモ、カベガァナイヨォ」
「ダイガタカーイヨ」
 初めて見る屋台、少し警戒したが食欲には勝てない。
 勢い良く跳躍。
「おいしそうのみーつけた♪」
 屋台の上に上がると、匂いの正体であるから揚げが目に入った。
 時間はちょうどお昼時、山積みになった大量のから揚げは、人間でなくても食欲を掻き立てる。
「おいしそう! これだけあればゆっくりたべれるね!!」
「ユックリィデキルネェ」
「イタダキマース」
 山盛り一杯のから揚げを美味しそうにほおばる三匹。
「おいしい! とってもおいしい!!」
「ホォラィ、ァーン」
「オイシイー、シャンハーイモアーン」
「ォィシィネ」
「ネー」
 ボロボロと、涎や食べかすを口からこぼしながら食べる三匹。
 店の主人は何処に行っているようでここには居ない。
「ホカノダィニモ、タクサンノッテルゥ」
「イーロイロオイシソーオ」
「こんなにおいしいのに、みんなきづかないのかな?」
「ミィンナ、ィソィデユックリシテナィカラ、キヅカナイノカナ?」
「ゆっくりすれば、おいしいたべものもいっぱいおちてるのにね」
「ネー」
「こんなばしょにかくれてるから、みんなみつけられないのかな」
「ソォウダネェ」
「ダネー」
 気付かないわけではない、今ここでは屋台市が開かれようとしていた。
 もちろん、まだ始まっていないので誰も屋台には来ない。
 店主達は、出展許可証を貰いに行ってここには居ない。
 それだけの事だった。
「ここにおちてるたべもの、みんなにだしたら、みんなもゆっくりできるかな?」
「デキィルヨ!」
「アリスー、アタマイー!」
「あたりまえだよ。ありすは、とかいそだちだもん♪」
 えへんと、得意げなゆっくりアリスそれでもから揚げを食べる口は休めない。
 一皿を粗方食べつくすと、三匹で隣の皿に移動する。
「みんなといっしょにゆっくりしようね!!!」
「シィヨウネ」
「ネー」
「いくよ」
「ゥン」
「ウーン」
 ガッシャーン
 シャンハイとホラーイが皿をちょこっと持ち上げ、それをアリスが落とす。
 勢い良く地面に転がるから揚げと、散乱する皿の破片。
「はやくほかのたべものもおとしてあげよう」
「ゥン」
「ハーイ」
 次々に落とされるたべもの。
 勢い余って屋台も壊している。
 途中からじれったくなった三匹は、段々と雑に落とすようになっていた。
 箱に入っているものは箱ごと落とす。
 汁物が入っている鍋は揺らしてぶちまける。
 その、光景に呆然と立ち尽くす人々。
 ずらっと円形に円形に並んでいる屋台、屋台越しに移動する。
「アリスー」
「コッチモ、ィッパィアルヨ」
「ゆっくりたべてもらおうね!!」
「アリスーコーレハ」
「ゆ! これはとくにおいしそうだかから。みつけたありすたちでたべよう」
「ゥンソウシヨゥ」
 しばらくして、市中の食べ物をひっくり返し終わった三匹。
 食べ物ではないほかの屋台もひっくり返していたが、知能の低いゆっくりは気が付かなかった。
 ガラス品や瀬戸物の屋台は、勢い良く着地した反動だけでもぐしゃぐしゃになった。
 掛け軸の屋台も同様、葉っぱ同様に突破する三匹は難なく破り落とす。
 閉じているものも地面に落とされ、料理の汁を吸って無残な状態に成り果てた。
「おわったね」
「ォワッター」
「オワータラオナカスイター」
「たべよっか?」
「「「ゆっくりいただきまーす」」」
 意気揚々と地面に落としたものを食べ始める、自分達が普段こうやって食べているので人も同じだと考えたようだ。
「おい!お前達!俺の屋台でなにしてくれるんだ!!!」
 一人の男が近寄ってきた。
 彼は最初のから揚げ屋台の男なのだが、そのことは三匹も知らない。
 いや、三匹は初めて声をかけてもらえた事で随分と喜んでいるようだ。
 特にゆっくりアリスは、自分にも人と話すことが出来たことで非常に興奮していた。
「あっありすが、たべものいっぱいみつけたんだよ! おっ、おじさんもゆっくりしていってね!!!」
「ィッショニタベヨゥ」
「タベヨー」
「おじさん!! こっ、これおいしいよ♪」
 ちょっと緊張してしどろもどろになりながら、近くに転がっていた食べ物を、パクッと口にくわえて男の足元に持ってくる。
 地面に転がり埃まみれの上、ゆっくりの涎まみれになっていたそれは、間違いなくあのから揚げだった。
「ユックリダベヨォネ」
「コレモオーシーヨ」 
 同じく、散らばった田楽、トン汁の里芋を両手で掴んで男の本へ持っていくシャンハイとホーライ。
 二匹も、初めて人と話が出来て楽しそうだ。
「……」
 しかし男は、黙ったままプルプルと震えているだけだ。
「ゆ? ……おっおいしいよ。みっみんなもゆっくりしようね!!!」
 こんどは違う女性に食べ物を運んでいく、今度はうなぎの蒲焼だった。
「これも、すっごくおいしいよ!!! ゆっくりたべてね!!!」
「……」
 また無言、同じ反応だった。
「ユックリシヨゥ」
「ユークリデキルヨ」
「ゆっくりしていtt 「うるせー!」」
「「「!!!」」」
「お前らが好き勝手に遊んだ所為でこっちは商売上がったりなんだよ!」
「どうしてくれるんだい!」
「人が折角親切にしてやってたのに」
「やっぱり最初に来た時に追い返せばよかったぜ」
 四方から浴びせられる罵倒、話の内容は分からなかったが、自分が何かいけないことをした事は気付いたようだ。
「ゆ! ごめんなさい!!! そうだ、しゃんはい、ほーらい、あれをあげよう」
 急いで、円の中心部にあった屋台に向かう。
 そこにあったのは四つの屋台、うち三つは、特に高そうな花瓶や壷が売られていた。
 それも、躊躇なく倒す三匹。
 三匹にとって、石を倒した位にしか思っていないだろう、これで整然としている屋台は一つになった。
 それは、とても美味しそうだったので、自分達で食べようと思って取っておいた屋台。
 高そうな、霜降りの牛肉が沢山並んだ屋台。
 その荷台も同じようにひっくり返し、地面に落とす。
 その中でも一番高そうな、ゆっくり達にしてみれば美味しそうな、一塊の肉を加えて戻る。
 シャンハイたちも、次に美味しそうなものを持ってくる。
 だがどちらも、肉が大きくて重いのだ。
 アリスが運ぶと地面を摺り重さで千切れる、その度になんども噛み直す。
 シャンハイ達が飛びながら運ぶと、今度は重さで肉が伸び、耐え切れなくなって落とす。
 そんな光景が最後まで続いたのは、それがモノの二分程度で終わった事と、完全に屋台市を破壊され人々が呆然としていたからだ。
 あの高級な肉は、運び終わった頃には、全体に噛み跡がある土まみれの肉に様変わりしていた。
「ごめんなさい。あやまるから、みんなでゆっくりしようね!!! こっ、これもおいしいよ!!!」
 そういって肉を加えて男の前に置く。
「ほんとはありすがたべようとおもったけど、おじさんたちにあげるね♪」
「ゴメンナァサィ。コレシャンハィノダケェド、タベティィヨォ」
「ゴメンナサーイ。ホーライノモタベテイーヨ」
 微笑みながら差し出す、これだけいいお肉を出せば喜んでもらえると思った。
 だが実際は、火薬庫に火種が入っただけだったが。
「ふっざけるなぁ!!!」
 男の足がアリスを捕らえる、そのまま後ろに吹っ飛ばされる。
「ゆゆっ! いたいよ! やめてよ!」
「アリスダィジョォブ?」
「アリスイタガテールヨ!」
 人々は意に返さず、アリスたちに詰め寄っていく。
「ゆ゛!」
 それは、アリスたちからみれば大きな壁のように見えた。
「ゆっぐりじないんだったら、ありすもうかえる! そっちからさそわれたってもうこないから!!!」
「アリス、ハヤクカエロォ!」
「カエーテ、サンニンデユクゥーリシヨー!」
 そうは言ったものの、既に前面壁となっており、三人が出て行くスペースはない。
「おじさん、とおして!!! ありすもうかえるんだから!!!」
「トォシテ!!!」
「トーシテ!!!」
 そういってズンズンと近づいてくる三匹、直ぐに蹴り返される。
 それが合図になった。
 落下地点で蹴られる、また次の落下地点で蹴られる。
 もはや三匹はボールと化し、痛みと浮遊感しか感じていなかった。
「ごめんなざい。なんでもするがらゆるしてくだざい!!!」
「ユゥルジデ!!!」
「ゴメンナザーイ!!!」
 人々も、何時までもこうしていては埒があかないと思ったのだろう。
 直ぐに蹴りは収まり、代わりにここを掃除しろといわれた。
「なんで? ぜっがくよういじであげだのに、なんでみんなだべでぐれないの?」
「ガンバッテ、モォッテキタノニィ!」
「オイシーヨ、クサーテナイヨ!」
「人はテーブルの上で食うんだよ!! 地面に落としたのなんかゴミなんだよ!!」
 それ以上の質問を許さず、作業を始めさせる。
 大きな物体は人が運ぶしかないので、地面に散らばった残飯を綺麗に掃かせた。
 シャンハイとホーライは、散らばっていた角材をモップ代わりにしたが、アリスは手足がない。
 暫くぼうっとしていると、急に体を押された、それに付随して散らばった残飯も一緒に進んでいく。
「ゆゆっ! やめで、からだがよごれじゃうよ。やめでよぉ!」
「こうすればできるだろ」
 それだけ言って一発蹴られた、直ぐに掃除を始めるゆっくりアリス。
 もちろん自分の体をモップ代わりにしてだ。
「ゆっ!? いだい! いだいよ!」
 ガラス片か瀬戸物の破片が刺さったのだろうか、途中で何度も絶叫するアリス。
 それが何なのは分からなかったが、止まるとまた蹴られるので急いで掃除に戻る。
「い゛だい゛よ゛ー! ゆ゛っぐり゛じだい゛よ゛ー!」
 片付けていく残飯の中に、売られていない餡子が混ざり始めた。
「ァリス、ァトチョットダカラガンバッテェ」
「モースグオワルカーラ」
「ゆ゛っぐり゛ざぜでーー!!!」

 結局、掃除が終わったのは夕刻を過ぎた後だった。
 全身傷だらけになったゆっくりアリスは、文字通り蹴り出されて村を後にする。
 ひとはやばんだから、もうぜったいにいかない。
 家に戻って、二匹に傷を手入れしてもらっている最中に二人に話しかけるゆっくりアリス。
 二匹も当然と言った感じで答えた。
「ニンゲン、コワァカッタネェ」 
「ゼンゼン、ユックリサセテクレナカータネ」
 破片を全て抜き終えたあと。
 都会派らしく、痛がりながらも近くの川で汚れを落とした。
 その後、何時もよりギュッと寄り添って三匹は眠りに着いた。

 翌日、昨日の傷の所為で遅くまで寝ていたアリスだったが、外で自分を呼ぶ声が聞こえたので、外に出た。
 一日寝て、傷は大分良くなったようだ。
「まりさ!れいむ!ぱちぇりー!」
 そこにいたのはアリスが一緒に遊んでいるらしい、あの三匹だった。
「みんなどうしたの?」
「これからみんなで、まちにいくの!」
「むきゅー!」
「いつもさんにんでいってたの、そうしたらこのまえ、おじさんがみんなといっしょにおいでっていってくれたの」
「れいむも、おかあさんたちといっしょにいくよ!!」
 少し視線をずらすと、ゆっくり霊夢の家族が見えた、全部で15匹位だろうか。
 他にも、時々三匹と一緒に遊んでいる、ゆっくり達、ゆっくりアリスが知っている友人も、知らないゆっくりもそこには居た。
「ありすもいっしょにまちにいこう!」
「ゆっくりできるよ」
「……うん、いっしょにいこう」
「ァリス、ィイノォー?」
「マタ、マチニイクノー?」
「うん、せっかくおともだちがさそってくれたんだもの。ひとづきあいをだいじにするのも、とかいはのすることなの!」
「ワカッタァ」
「ワカッター」
 大勢のゆっくりで街に向かって歩いていく。
 その列の、一番後ろに居たアリス達、途中で三匹が得意そうに説明するのを聞いて、ようやく昨日自分達がした事の間違えに気付いた。
 ようやく街に着いた一行だが、今日の街はガランとしていた。
「おうちぐるま、あんまりでてないねー」
「ちがうよれいむ、やたいっていうんだよ」
「そうだったね! でもでてないねー」
「むきゅー? ひともすくないよ」
 不思議がる霊夢達。
 それはそうだ屋台の殆どは未だ修理中なのだから。
「あ、おじさんのやたいあった」
 いち早く、それを見つけたゆっくり魔理沙と霊夢が近寄っていく。
 一行も後に続く。
「おじさん、やくそくどおりみんなつれてきたよ!!」
「みんなでゆっくりさせてもらうよ!!」
「「いつものからあげちょうだい!!!」」
「ふざけんな! まためちゃくちゃにしに来たのか?」
 そう言って二匹を蹴り飛ばす、直ぐ後ろに来ていたゆっくり達にぶつかったため、あまり飛ばされなかった。
「ゆっ!? おじさんどうしたの。いたいよ!」
「いたいよ。おじさん!!! いつもまりさたちにからあげくれてたんだよ!!!」
「うるせい! 今まで好意でくれてやってたのに。こっちは昨日大変だったんだぞ!」
 そうして、怒鳴り散らす男、騒ぎを聞きつけてゆっくり達の周りには大きな人だかりができていた。
「そんなわけないよ。ありすはとかいはのゆっくりだもの!!!」
「それはちがうところのゆっくりだよ、ありすがそんなことするわけないよ!!!」
「むきゅー!」
 それを聞いて霊夢達が反論する。これがいけなかった。
「やっぱりお前らグルだったのか! 昨日の仕返しにきたんだろ!」
 昨日と同様に人の壁に囲まれたゆっくり達。
 ただ昨日と違うのは、今日の人たちはそれぞれ鍬や鋤をもっていた事だった。
「ゆ゛ー!!!」
 一匹のゆっくり霊夢の子供に鋤がっ刺さった、その直後、絶命した。
「あまり乱暴にするな、こいつらの餡子は高く売れるんだから!」
「ゆっくりにげてね!!!」
 母親のゆっくり霊夢が子供を逃がす、混乱しているがどうにか意味は理解したらしい。
 アリの子を散らすように逃げていく。
「わかるよわかるy!よーーー!!!」
「!!! ちーんぽ!!」
「うっう~♪ う゛ーーー!!!」
「ゆっくりしね! ゆっくりしn、しんじゃうよー!!!」
 お母さんゆっくりも何時ものように子を守ろうと前に出るが、ゆっくり相手とはわけが違う。
 あっという間にボロボロになる。
「ゆ~!!ゆ”ーーー!!!」
「こいつは餡が固そうだ」
 近くの川に流されるお母さんゆっくり、その直前に見た景色は、自分の子供達全員が捕まった所だった。
「はやくにげないとゆっくりできないよ!」
「おがあざん!おがあざん!」
「むきゅ~」
 ゆっくりアリスと数人のゆっくり達は逃げていた。
 おそらく、今捕まっていないのは自分達だけだ。
 まだ街を抜けるまで随分とかかる。
 それでも、走るしかなかった。
 必死に必死に走った、息が上がろうがゆっくしできなかろうが走った。
 ようやく、一番近かった霊夢の家に飛び込んだ時には全員息が上がっていた。
 アリスは、昨日自分がした事が間違っていたことに気付いていた。
 しかし、親切でやったのにこんなに怒るなんて、人はやっぱりこわい。
 これが今の彼女の心情だった。
 「ここまでくればゆっくりできるね」
 ゆっくりアリスが尋ねる、返事が無い。
 息が上がって話せないのかと思い直して振り向く、確かに息が上がっていた。
 ただし、そこに居たのはとシャンハイとホーライだけだった。
「みんな、み゛ん゛な゛。うっ、ぐす、ゆっぐりじだがったよー」
 シャンハイもホーライも泣いていた、息が上っている為声が出なかっただけだ。
 その後、一日待って戻ってきたのは傷だらけのおかあさんゆっくりだけだった。
 広い広い森の中、沢山のゆっくりが住んでいたその一帯は、今やたった四匹のゆっくりしか住んでいなかった。




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最終更新:2021年01月14日 00:50
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