ゆっくりれみりゃ系いじめ5 紅魔館の大掃除

紅魔館
幻想郷と呼ばれる、非常識のモノが集う土地に存在する悪魔の館である。
人間は恐れて近付かず、妖怪は畏れて近付かず、その他の者は色々あって近付かないその館には悪魔に忠誠を誓った人間が一人居た。
時を操れるという人間を逸脱した能力を持つ彼女は、その能力故に同胞である人間から疎まれ、○年前にここの悪魔に拾われ側近となった。
十六夜咲夜。それが悪魔が彼女に与えた名前である。
そんな彼女は、日々完全で瀟洒なメイド長として主に奉仕するのである。

「そろそろ対処しないとマズいかしらね」
瀟洒にそしてアンニュイに呟く咲夜(脳内CV田中理恵)。視線の先には中庭で踊る複数の生物。
ゆっくりれみりゃというそれらは、最近突如として紅魔館周辺に現れた謎の生物だ。何でも中は肉まんだとか。
そんな馬鹿げた生物を、紅魔館雇われのメイド妖精達は大層可愛がった。
多少我侭ではあるが見た目は可愛いらしい童女で、その仕草にも愛嬌があり、遊んでやるとよく懐いた。
ただそれらの生物には問題がある。そのゆっくりれみりゃは紅魔館の主である吸血鬼、レミリア・スカーレットと同じような容姿なのだ。
勿論同じような、と言っても彼女達の主を相当デフォルメしたような顔形でしかないのだが。
容姿が多少似ているだけならまだ良かった。だがゆっくりれみりゃ達はここが快適な場所だと学習したのか、
どんどん仲間を呼び寄せ今や紅魔館周辺には常時数十匹のゆっくりれみりゃが確認でき、中庭どころか館内にまで侵入するものもいる。
門番はと言えば、そんなゆっくり達をあっさり見過ごしていた。主と同じような服装のせいもあるだろう。
とにかくそのような状況は、面子を重んじる吸血鬼たる主に仕える者として見過ごせないものだった。
「こんな事でお嬢様のお休みの邪魔をしてまでお伺いを立てる必要は無いわね。夜までに全て始末してしまえばいいか」
決定した。この日、紅魔館敷地内のゆっくりれみりゃは悉くこの世から消えてなくなると。

できれば後腐れ無く処分したい。メイド達に菓子で館の外にいるゆっくりれみりゃを中庭におびき寄せるよう指示を出す咲夜。
サボりがち門番には中に入るゆっくりは全て通し、中からは一匹たりとも逃がさないようにナイフと共に命令を下す。
そして主の友人である魔法使い、パチュリー・ノーレッジにゆっくり達の焼却処分を頼む。
図書館を度々荒らしに来るのに迷惑していたらしく二つ返事で引き受けてくれた。
後で掃除が大変そうだ、とぼやきながら咲夜も行動を開始する。既に館内に入り込んでいるゆっくりを中庭に移送するのだ。
こういう時咲夜の能力は非常に便利だ。チョロチョロと動き回る複数の目標を、この広い館の中探し回るのは普通なら大変だ。
だが彼女はザ・ワールd…時を操る能力を持つ。時間を止めてしまえば文字通り時間をかけずに目標を見つけ出す事が可能だ。
じっくりと探せば居るわ居るわ。図書館と主の部屋、それと地下室には一匹も居なかったが、他はブリブリ入り込んでいる。
正直彼女の予想を大きく越えていた。大方メイド達が裏口等からこっそり中に入れて可愛がっていたのだろう。
キッチンには13匹。主とその妹専用の食料はメイド長である咲夜しか入れない部屋に保管してあるので無事だった。
だが妖精メイド用の食事は酷い有様だった。ここまで食い散らかされてよく可愛がれるものだ。そこは妖精、という事なのだろうか。
ちなみに咲夜はきっちり自分の分の食料を別に保管してあるのでこれまた無事だった。瀟洒瀟洒瀟洒瀟酒瀟洒!
とりあえず逃げられないように全員をナイフで床に縫いとめる。
「ううぅー!はなちてくれないと、たべちゃうぞー!!」
「それは怖いわね。怖いから、とりあえず羽を奪わせてもらうわ」
抗議するゆっくり達にそう答えつつ、淡々と背中に生えた羽をもぎ取って回る咲夜。もいだ羽は適当なゆっくりの口の中へ。
「むぐっ!んぎゅー!んぐー!!」
首を振っていやいやと言う様に暴れるゆっくり。吐き出されると床が汚れてしまうので飲み込むまで口を押さえる咲夜。
散々えづきながら全て飲み込むゆっくり。口の中に何も入っていないのを確認すると咲夜はそのゆっくりを抱え上げた。
びりびりと服が破れるが気にしない。これ位なら後で掃除しても構わない。
「うぅー!!やべてー!!おべべがやぶれちゃーうー!!」
大声を出しながら暴れるゆっくり。どんなに暴れても所詮は饅頭に胴体が生えただけの代物。
瀟洒な彼女のすらりとした腕から逃げる事は叶わない。
そんな、この『おうち』の『ごしゅじんさま』である筈の自分達をまるで『物』のように扱う咲夜に怒りを抱いた他のゆっくりも、
咲夜に向かって抗議しまくる。が、駄目っ……!瀟洒な上に完全な咲夜はそんな雑音等気にも留めず、次々とゆっくりを中庭に運び出す。
ちなみにその間ナイフを抜いて逃げようとするようなゆっくりは居なかった。
羽をもがれてもまだ自分達の身に危険が迫っていると思えないのかもしれない。
その後も順調に館内のゆっくりを回収して回る咲夜。結局館内には合計45匹のゆっくりが入り込んでいた。これはひどい。
全て回収する頃には日も傾きかけ、周辺に生息するゆっくりや森の中のゆっくりも粗方中庭に連れて来られていた。
外に出ようとして歩いていく者は門番に蹴り飛ばされ、飛んで出ようとする者は叩き落されていた。楽しそうだ。
いつもあれ位ハッスルしてくれればいいのに。
準備が整ったので、図書館にいるパチュリーを呼びに行く咲夜。
どうやら図書館に居ながらにして状況を把握したらしい。パチュリーは扉を開ける前に出てきた。
「じゃあ行きましょう。中庭に集めてあるのよね?」
「はいパチュリー様」

ゆっくり達の死刑執行人が中庭に現れた。
相変わらず門番に蹴られたり殴られたり投げられたりしているゆっくり達。
泣き声やら怒鳴る声やら気合いの掛け声やらで酷い喧騒だ。さっさと処分してもらおう。
「ではパチュリー様、宜しくお願いします」
「ええ」
パチュリーがゆっくり達の方を睨むと、あちこちへ散ろうとしていたゆっくり達が一斉に空中に浮かび上がった。
そして空中のある一点へとどんどん集まっていく。その中にチャイナ服を来た女性も混じっていたが誰も気にしない。
「うー♪うー♪おそらおそら♪ぶーん♪」「たかいたかーい♪うっうー♪」「ひええええええパチュリー様、下ろしてくださ~い!」
「もっちゃらへっぴ~もけもけさ~」
パチュリーが早口で何事か呟き始める。すると空中の一点に集められたゆっくり達(+門番)の周囲に模様のようなものが浮かび上がる。
「もっちゃらほげほげっもっちゃらほげほげ!」
呪文を唱え終わると同時に、ゆっくり達(+中国)が激しく燃え上がる。
「う゛う゛う゛う゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛!!」
「あ゛づい゛よ゛お゛お゛お゛お゛お゛お゛お゛お゛お゛お゛お゛お゛お゛お゛!!!」
「ざぐや゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛!!!だずげでえ゛え゛え゛え゛え゛え゛え゛!!!」
「きゃあああ!!熱い!熱いですパチュリー様!たーすーけーてーくーだーさーい!!」
凄まじい悲鳴が上がる。ゆっくり達にとっての地獄がそこにあった。妖精達は怯えている。
しばらくすると悲鳴も約1名分を除いて段々聞こえてこなくなり、ジューシーな香りがあたりに漂い始めた。
完全にゆっくり達を焼却し終えると、パチュリーはさっさと図書館に戻っていった。
真っ黒に焦げた人影がドサリと地面に落ちる。
「……えーと、大丈夫かしら美鈴?」
「うぅ……ひどいですパチュリー様ぁ……がくっ」
どうやら無事の様なので構わず館内に戻る咲夜。どうやらこのような光景は日常らしく、他のメイド達も動じない。
数分後、まだ伸びている美鈴の前に咲夜が再びやってきた。手には救急箱を持っている。
「ほら、手当てしてあげるから起きなさい。今度のは貴女に落ち度は無いからね」
「うわあ!咲夜さんにも人並みの優しさがあったんですね!!血も涙も無い訳ではなかったんですね!!私感動しました!!」
そう叫んで咲夜に抱きつく美鈴。次の瞬間には額からナイフを生やして撃沈。
「どうやら手当ては必要無いみたいね。じゃあ、私はそろそろお嬢様を起こしに行かないといけないから」
「そ、それでこそ私の咲夜さんです……がくり」
大掃除が終わって幾分晴れ晴れとした表情で、主の眠る部屋へ瀟洒に歩いていく咲夜であった。

PERFECT END!!


作:完全にして瀟洒に踏まれたい妖精紳士ことミコスリ=ハン

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最終更新:2022年01月31日 01:16
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