ゆっくりいじめ系850 ゆっくり研究2

※舞台は何故かゆっくりが当然のようにいる現代です。
※ゆっくりいじめWiki ゆっくりいじめ系665 ゆっくり研究 の続きですが読まなくても問題は無いはずです。












数年前に突如現れ、急速に社会に浸透していった(ような気のする)ゆっくりと呼ばれる新たなる生命体。

人間の生首が膨張したような容姿のそいつらは饅頭のクセに生きていたり、どこから来たのは全く不明だったりとあまりに謎が多すぎる。

が、目新しいものや珍しいものを好む人々はその「ゆっくりしていってね!」とか「ゆーっ!」などと珍妙な鳴き声をあげる未知の存在をあっさりと受け入れた。

そして、俺はゆっくりの研究でおまんまを食わしてもらっている“ゆっくりカンパニー”のしがない一社員だ。



ゆっくりの死因の中で最も多いのは飼い主の居ない部屋で思慮もなく飛び跳ねたゆっくりが不慮の事故に遭うというものだ。

もちろん、それだけなら底部を少し焼けば済む話なのだが、人間がゆっくりを飼う時、ゆっくりには元気良く跳ね回って欲しいと思うもの。

そこで、俺に「人が居ないときは飛び跳ねないが人間がいるときには元気良く飛び跳ねるゆっくりの育成方法を考えろ」というわけのわからない命令が下された。



とりあえず、実験の基本になるのは以前行った条件付け。

やはり「人間の居ない所で飛び跳ねるとゆっくり出来ない」という事を体に理解させることだろうか?

あるいは「人間の居ない所で跳ねないでいると後で良い事がある」という事を理解させるべきだろうか?

しかも、これと並行して「人間の居るところではきちんと飛び跳ねる」ようにもしておかないといけないと言うのだから煩わしい事この上ない。

こちらに関しても「人間の居るときに飛び跳ねないと酷い目に遭う」と「居るときに飛び跳ねると良い事がある」の2つを並行して検証することになるだろう。

とりあえず実験に使用する個体はペットとしていちばん一般的なゆっくりれいむの赤ちゃん。

いずれのれいむも同じ親の同じ茎から産まれている。

この赤れいむ達の体内には振動を感知することで一瞬だけ点火する超小型ライターが内蔵されている。

また、このライターは俺の手にしているリモコンで点火や振動感知にロックをかけることも出来、それによって人が居るときの条件を切り替える。

実験に使用する赤れいむの数は4匹。

赤れいむAには「人間の居ない時に飛び跳ねるとゆっくり出来ない」と「人間の居るときに飛び跳ねないとゆっくり出来ない」というルールを課す。

赤れいむBには「人間の居ない時に飛び跳ねるとゆっくり出来ない」と「人間の居るときに飛び跳ねると良い事がある」というルールを課す。

赤れいむCには「人間の居ない時に飛び跳ねないで居ると良い事がある」と「人間の居るときに飛び跳ねないとゆっくり出来ない」というルールを課す。

赤れいむDには「人間の居ない時に飛び跳ねないで居ると良い事がある」と「人間の居るときに飛び跳ねると良い事がある」というルールを課す。

実験期間は1週間でいいか。さて、これで上手く行くと良いのだが・・・。

【実験開始】

「ゆっきゅり~?」

目を覚ますと誰も居ないことに気づいた赤れいむAは困惑を隠せない様子だった。

おかーさんはどこ?おねーちゃんはどこ?そんな言葉が聞こえてきそうなほどに必死になって観察用のケースの中を見回して家族の姿を探している。

しかし、そのケースの中には誰もいない。

「ゆぅうぅうう・・・」

その事実に気がついた赤れいむAは涙を浮かべ、飛び跳ねた。

恐らく、ケース内のどこかに隠れていると考えたのだろう。

頑張って探せばどこかにおねーちゃんやおかーさんがいるに違いない。

みんなを見つけたらきっとれいむのことを「おにごっこがじょうずなゆっくりしたこだね」って褒めてくれるに違いない。

そんな期待をこめての一歩だろうか?

あるいは孤独の恐怖と寂しさから逃げるために家族を求めているだけだろうか?

何にせよ、赤れいむAは小さな体を一生懸命に使って飛び上がり、クッション代わりの藁が敷き詰められた床に着地した。

その瞬間に衝撃を感知した超小型ライターが、瞬きほどの短い間、赤れいむAの体内の餡子を炙った。

「ゆぎゅう!?」

何の前触れもなく体内から発せられた痛みに赤れいむAは目を大きく見開き、硬直している。

ぱくぱくと口を開閉しながら、小さな体中から脂汗のようなものをだらだら流して、青ざめた表情のままその姿勢でじっとしていた。

「ゆ、ゆわあああああああああああああああん!!」

およそ3秒が経過したころだろうか。赤れいむAは堰を切ったようにのた打ち回りながら泣き始めた。

口を思いっきり開き、目からは大粒の涙をぼろぼろ零しながら、必死に助けを求める。

しかし、誰も助けに来ない。

「いぢゃいよおおおおお!ゆううううううう・・・ゆっぐ・・・!」

それでも、赤れいむAは泣き続ける。

それは守られなければ生きていけない弱い存在に与えられた唯一の命綱。

が、泣けども泣けども誰も助けに来ない。

「ゆっぐ・・・ゆっ・・・!」

10分ほどして、それが無意味であると悟った赤れいむAは痛みを堪え、呻きながらも居るはずのない家族の捜索を再開した。

「ゆぅ・・・ゆぅ・・・ゆ・・・」

そうしてケースの中を這いずり回っているうちに遊具の前へたどり着いた。

もっとも、遊具と言ってもあまり衝撃を与えるとライターが点火するので、赤ゆっくりサイズの立方体のクッションとか鈴のついた木の枝(振ると音が鳴る)のようなつまらないものばかりなのだが。

「ゆ、ゆ~・・・?」

それでも家族もおらず、また何もないケースの中で、赤れいむAの興味を引くようなものはそれだけしかない。

「ゆっきゅりあちょぶよ!」

だから赤ん坊なりにそれを咥えたり、(落下よりずっと弱い力で)ぶつかったり、頬ずりたりしている。

「ゆ~、ゆ~♪」

そうやって遊んでいるうちに、家族が居ない寂しさや、さっきの痛い思いをした悲しさがまぎれてきたのだろう。

声の調子が徐々に明るくなり、やがて鼻歌交じりになって行く。

「ゆっきゅり~♪」

そして、嬉しさと楽しさの乗せられて赤れいむAはその場で飛び跳ねて喜びを表現した。

飛び跳ねれば当然落下する。赤れいむAもその摂理に漏れることなく落下、着地し、その衝撃によりライターが点火。

「ゆきぇ!?」

短く悲鳴を上げた赤れいむAはさっきと違ってその痛みにすぐに反応した。

「ゆううううううう!ゆうううううう!」

先ほどと同様に顔を真っ青にして転げまわりながらも、赤れいむAは泣きじゃくるが、やはり誰も助けには来ない。

「ゆっぎゅり~!ゆっぎゅうううう!!・・・ゆっぐ・・・ゆっぐ」

そうやってしばらく痛がり続けていたが、やがて痛みも引いてきたのだろう、のそりと起き上がると、ゆっくりと這いずって巣まで戻っていった。

赤れいむAが巣に戻る途中、俺は餌をやるためにケースを開けると、赤れいむAに声をかけた。

「ゆっくりしていってね!」

「ゆっ!ゆっきゅりちちぇっちぇね!」

俺の言葉に反応した赤れいむAは自分以外の動く存在を見つけたことで酷く嬉しそうな表情をする。

「ゆっきゅり!おにーしゃんはゆっきゅりできりゅひちょ?」

「おにーしゃ、、れいみゅをこきょからだぢちぇよ!」

必死に体を揺すってアピールするが、それに反応する義理はないので無視する。

そして、適当にケースの中に餌をばら撒いてから、じっと赤ゆっくりAの様子を伺う。

「ゆ~!・・・む~ちゃむ~ちゃ、ちあわちぇ~!」

餌に気づいた赤れいむAはすぐさまそれに噛り付き、涙を浮かべて幸福を堪能している。

食べ終える、ともっと欲しいのか、じっと俺のほうを見つめて「ゆっきゅり!」などと鳴き続けていた。

もちろん、一切反応しない。ただ観察し続けるだけだ。

「ゆっきゅり~!おにーしゃーん!」

それでもめげずに何かをアピールし続けていた赤れいむA。しかし、一向に跳躍する気配を見せない。

仕方がないので、俺はライターを点火させて、ゆっくりの体内を軽く炙った。

「ゆっぎぃ!?」

予期せぬ痛みに驚愕した赤れいむAはまたさっきと同じようになきながら転げ回り、しばらくすると落ち着いて呼吸を整え始めた。

「ゆっきゅり!いちゃいよおおお!ゆ~っ!」

思ったよりすぐに痛みから立ち直った赤れいむAは目にいっぱいの涙をためながら再び俺に何かをアピールし始める。

「ゆっきゅ~!!たしゅけてよぉ~!」

「ぷきゅううううううう!」

小さな体を左右に振り、時には頬を膨らませながら延々とアピールし続ける。

その行為に必死になりすぎて、ふとした拍子に赤れいむAはつい跳躍してしまった。

そして、その赤れいむAの落下する直前の表情には明らかに恐怖がにじんでいる。

まだ2度目だが、条件付けによって跳躍と苦痛がきちんと結びついていることがこれで確認できた。

赤れいむAは着地と同時に身を小さくして震えるが、何時までたってもさっきのような痛みがやってこない。

そのことに気づいた赤れいむAは少しの間、不思議そうに首をかしげていたが、すぐに喜び勇んで飛び跳ね回った。

「ゆっきゅり~♪ゆっ~♪」

2度、3度、4度・・・跳躍できる幸せをかみ締めるように飛び跳ねる赤れいむA。

その様子を確認したところで、俺は最後にもう一度声をかけてケースを閉めた。

「ゆっくりしていってね!」

「ゆっきゅりちちぇっちぇね!・・・ゆぅ?」

ケースの蓋が閉められた直後、赤れいむAは俺を探してケースの中をきょろきょろと見回していたが、それにも飽きて、眠きなったのかあくびをした。

そして、寝床に早く戻るために元気よく跳躍をして、何故かまたあの痛みに苦しむことになった。



赤れいむBは案外たくましかった。いや、純粋に強かった。

「ゆっきゅり~?おきゃーしゃん、どきょ?」

目覚めてすぐこそ赤れいむAと同じようにおどおどした表情でその場で辺りを見回して家族を探していたが、いないと知るとすぐに意を決して最初の跳躍に踏み切った。

おかげで仕事がはかどって助かる。

赤ん坊なりに力強く飛翔した赤れいむBは着地と同時に今まで味わったことのない感覚に襲われた。

「ゆぐふぅ!?」

全身を一瞬にして駆け巡る鋭い痛み。それは点火のそれとは明らかに異なるものだった。

実を言うと赤れいむBのライターはライターではなく、衝撃を受けると針が飛び出して、餡子をえぐるだけの代物なのだ。

しかし、使用している針は長さも太さも相当のものなので、ゆっくりに与える痛みは瞬間的にはこちらのほうが大きいかもしれない。

「ゆぎいいぃいっぃいいい!?」

あまりの痛みに白目を剥いて、もんどりうつこともままならずにぴくぴくと痙攣して苦しむ赤れいむB。

「ゆがぁ・・・ゆぎ・・・」

呼吸が一気に荒くなり、口から泡を吹き始める。しかし、餡子を吐く様子は見られない。

「ゆぐぅ・・・ゆぎぃ・・・ゆぐぅ・・・ゆう・・・」

そんな状態から赤れいむBは20秒ほどで体の自由を取り戻すと、最初の威勢のよさは何処へやら、赤れいむA同様にその場にへたり込んで大泣きし始めた。

なるほど。ダメージは点火より大きいが生命の危機を及ぼすことは無いし、立ち直りも針のほうが早いのか。これは便利だ。

などと考えていると、赤れいむBは思ったよりも早く立ち直り、すぐに這いずっての家族の捜索を再開した。

「みんにゃ~・・・ゆっきゅりでちぇきちぇにぇ!」

一生懸命声を張り上げながら赤ん坊には大きすぎるくらいのケースの中を必死に這いまわる。

「ゆっきゅり~!ゆっきゅりしちぇっちぇにぇ!」

責任感の強い個体なのだろうか?さっきの赤れいむAと違って目の前の遊具に目もくれず、ひたすら家族を探し続けている。

しかし、いるはずのないものが見つかるわけがない。

どれだけ捜しても見つからないという現実が徐々に赤れいむBを焦らせ、孤独の恐怖へと駆り立てていく。

その感覚に気づいてか、赤れいむBの足取りは徐々に速くなっていき、やがて跳躍を用いたものに切り替わった。

が、その瞬間、先ほどの想像を絶する苦痛が赤れいむBに再び襲い掛かった。

「ゆ゛っ!?」

先ほどと違って着地に失敗し、べちゃりと顔面から床に倒れると、その表情を伺うことの出来ない体勢のまま、再び痙攣し始めた。

「ぶ・・・ぶぅ・・・ぶぎゅ・・・」

地面に押さえつけられた口から漏れ出すくぐもった声は酷く濁っていてほとんど聞き取れないが、苦しんでいることだけは間違いないだろう。

そうして20秒ほど経つと、地面に突っ伏していた赤れいむBはのそりと起き上がり、目にいっぱいの涙を浮かべながら、再び這いずり始めた。

「ゆっ・・・ぐ・・・ゆっぐ・・・」

泣き出さなかったのは必死に堪えているだけらしい。耳を済ませてみると嗚咽が漏れているのが聞き取れた。

「ゆ・・・っきゅり~・・・」

そして、痛みと悲しみを堪えながら懸命に家族を捜索し続ける。

その姿に内心感動を覚えながらも、出来る限り無表情のままケースの蓋を開けて、赤れいむBに話しかけた。

「ゆっくりしていってね!」

「ゆっきゅりちちぇっちぇね!」

本能に従って返事をした赤れいむBは俺の顔を見ながら赤れいむA同様に必死に何かを訴えかけてくる。

「ゆっきゅり~!おにーしゃん、れいみゅにょおきゃーしゃんちらにゃい?」

身振り手振り(ないけど)を交えながら一生懸命俺とコミュニケーションを図ろうとするが、残念ながらやっぱり相手をするつもりはない。

そもそも、不要なコミュニケーションを図ると実験の妨げになる。仕方がないのでさっさと餌を置いて、観察を続ける。

するとやはりお腹の空いていた赤れいむBはすぐさま餌に飛びつき、幸せを満喫し始めた。

「む~ちゃむ~ちゃ、ちあわちぇ~!」

そうして食べ終わると、の赤れいむA同様に喜びのあまりについ飛び跳ねてしまった。

そして、赤れいむBもまた今から来るであろう痛みに怯えていた。が、当然観察者がいる状況なので痛みはやってこない。

「れいむ、凄いじゃないか!こんなに小さいのにあんな跳躍が出来るなんて!お前はゆっくりした子だな!」

代わりに俺の如何わしさ満点の大仰な褒め言葉が飛んできた。

「ゆ?ゆぅ~・・・ゆっきゅり!」

褒められた赤れいむBは最初はきょとんとしていたが、すぐに顔を赤くして俯き、それから満面の笑みを俺に返してきた。

「ゆっきゅり!ゆ~~~~っ!」

「おっ、さっきよりも凄いジャンプじゃないか!」

それから、何度も何度も俺に見せびらかすようにぴょんぴょんと跳躍を繰り返す。

「ゆ~!」

「なんてゆっくりしてるんだ!」

「ゆっゆっ!」

「れいむはゆっくりの天才だな!」

「ゆっきゅり~!」

「凄すぎるぞ、れいむ!」

その度に俺は心にもない賛辞を送り、その度にれいむは大喜びしていた。

しばらくそうやって遊んでいたが、すぐに次のケースを確認する必要があったので、赤れいむBに「ゆっくりしていってね!」と別れを告げてケースの蓋を閉めた。

「ゆっきゅりちちぇっちぇね!」

既に見えなくなった俺に返事をしながら楽しそうに跳躍する赤れいむB。

着地した直後に、またしても「ゆぐぉ!?」という短い悲鳴を上げ、白目を剥いて痙攣し始めた。



赤れいむCは恐ろしくマイペースだった。

家族がいないことに気づいた時には確かに困惑していたが、すぐに見つけた遊具で遊び始めた。

「ゆゆゆ~~~っ!ゆっ!!」

赤れいむCが特に好んでいる遊びは立方体のクッションに体当たりすることだ。

こいつは「人のいないところで跳躍しなければご褒美を与える」というルールなので跳躍によって痛い目に遭うことがない。

そのため、家族のいない寂しさを紛らわすかのように異様なまでのはしゃいでいた。

「ゆっきゅり~♪」

歌を歌いながら跳ね回り、歌を歌っていたかと思うと・・・

「ゆっゆっゆ・・・」

いきなり、クッションと格闘をはじめ、そうかと思うと・・・

「ゆ~~~!」

鈴のついた棒を振り回してちりんちりんと鈴の音を響かせていた。

そうして、ひとしきりゆっくり遊んだ赤れいむCは遊び疲れて眠ってしまった。

「ゆぅ~、ゆぅ~・・・」

お約束のゆっくりすまいるを浮かべながら寝床ではなく、お気に入りの立方体クッションに頬を摺り寄せて眠る赤れいむC。

その目にはうっすらと涙が浮かんでいた。

「ゆぅ~・・・おきゃーしゅん・・・」

そして、寝言で家族を読んでいた。

しばらく様子を観察していたが一向に目を覚ます気配がないので、蓋を開けて赤れいむCに挨拶をする。

「ゆっくりしていってね!」

「ゆぅ・・・ゆっきゅりちちぇっちぇねにぇ!」

その言葉によって強制的に目を覚まさせられた赤れいむCは、寝ぼけ眼のままきょろきょろとあたりの様子を伺うと、俺の存在に気づかずそのまま再び眠りについてしまった。

「ゆぅ・・・ゆぅ~・・・みょーちゃべりぇにゃいよ~・・・」

ベタな寝言を口にした赤れいむCの表情は実に幸せそうだ。

しかし、このケースのルールは「人間の居るときには跳ねないと痛い目に遭う」なのでとっととスイッチを押した。

「ゆっぎゅううううううううううううう!?」

その瞬間、赤れいむCはクワッと目を見開き、顔を真っ赤にしながらケースの中を舌を出して走り回ることになった。

「きゃりゃいよ!きゃりゃいよおおおおお!」

そういって、設置しておいた水のみ場へ急ぐと、水を浴びるように飲んだ。

しかし、突然やってきた辛さが抜けることはない。

当然だろう。その辛さは舌ではなく体内の餡子から来ているのだから。

さっき俺の押したライターのスイッチ。あれも赤れいむBのもの同様にライター以外のものに改造されている。

それによって少量のタバスコソースが赤れいむCの体内に射出されたのだ。

もちろん、赤れいむCにはそんなことわかるはずもないので下を出しながら飛び跳ねまくっている。

10分ほどだろうか、しばらくそうしているとタバスコが餡子に分解され、辛さが引いてきたのか徐々に落ち着きを取り戻し始めた。

「おにーしゃん!ゆっきゅりできにゃいよ!」

どうやら、この赤れいむCはゆっくり出来ないもの、さっきの辛さの原因を観察者であると仮定したらしい。

まあ、実際その通りなのだが。しかし、赤れいむCに文句を言われたところで相手をするつもりなどさらさらないので、無視して観察を続ける。

「ゆっきゅりあっちいっちぇにぇ!」

「おにーしゃんちょはゆっきゅりできにゃいよ!」

しばらくは俺に向かって頬を膨らませて威嚇したり、飛び跳ねながら文句を言ったりしていたが、俺が餌を置くと態度が一変した。

「ゆゆっ?むーちゃむーちゃ、ちあわちぇ~!」

「おにーしゃんはゆっきゅりできりゅひちょだね!」

「れいみゅといっちょにゆっきゅりちよ!」

もちろん相手をするつもりなんてさらさらないので無視し続けていると、やがて諦めて立方体のクッションで遊び始めた。

「ゆんっ!」ポスッ

「ゆっきゅり!」パスッ

「ゆゆ~っ!」ポコ

赤れいむCがクッションにタックルするたびに気の抜けた音がケースの中に響き渡る。

が、何回目かのタックルを仕掛けようとしたとき、突然赤れいむCの体がぶるっと震え、恥ずかしそうな表情になった。

「ゆゆっ!れいみゅのぽんぽんがいちゃいよ!ちーちーちなきゃ!」

さっき辛さを忘れるために水を大量に飲んでしまったためだろう。体内に過剰な水分を溜め込むと生死に関わるゆっくりにとって放尿は死活問題だ。

赤れいむCは遊具のある場所から少し離れた場所へ行くと、そこですこしふんぞり返るような格好になり、ぷるぷる震えている。

30秒ほどその格好のままでいた赤れいむCが爽快感に満ちた表情を浮かべた瞬間、口のしたあたりに小さな穴が開いて、そこから若干餡子の混じったうっすいお汁粉?がちょろちょろと漏れ出してきた。

しーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーっ・・・

それから10秒ほどその液体を放出し続けた赤れいむCは放尿を終えてからも爽快感に頬を緩ませたまま、その場から動こうとしなかった。

流石にこれ以上ゆっくりさせすぎるのも具合が悪い気がしたので、スイッチを押して、タバスコソースをお見舞いしてから蓋を閉じた。

べちゃという水音と、「きゃりゃいよー!」とか「きちゃにゃいよー!」という叫び声が聞こえたが気にするほどのものでもないだろう。



赤れいむDは観察者がいる状態になる前の経過は赤れいむCとほぼ変わらなかったので適当に割愛してさっさと観察状態に入った。

「ゆっくりしていってね!」

「ゆっきゅりちちぇっちぇにぇ!」

自由奔放に生活することの許された赤れいむDは満面の笑みを浮かべて返事をする。

「おにーしゃんはゆっきゅちできりゅひちょ?」

「おにーしゃん、れいみゅのおきゃーしゃんちらにゃい?」

「おにーしゃん、にゃにかいっちぇよ!」

などなど、色々と話しかけてくるが当然必要のない会話をするつもりはないので無視し続けた。

「ゆぅぅぅううううううう!」

業を煮やした赤れいむDはぷくうううううっと頬を膨らませて、目に涙を浮かべながら俺に抗議し始める。

しかし当然無視し続ける。

「にゃにかいっちぇよ!」

そんな俺に腹を立てながら赤れいむDは元気よく跳躍した。

「おお、凄いジャンプじゃないか!」

「ゆぅ?」

ずっと無反応だった俺に突然跳躍を褒められて困惑する赤れいむD。

それから、首を傾げつつもう一度跳躍する。

「すごい!こんなゆっくりしたジャンプ見たことがないぞ!」

こんな白々しい言葉でもやはり嬉しいらしい。すこし照れ笑いをしながら何度も跳躍を繰り返す。

「おにーしゃん!」

「おお、さっきよりも凄い!」

「れいみゅのじゃんぴゅは!」

「おお!」

「しゅごいでちょ?!」

「なんてゆっくりしてるんだ!」

跳躍すれば俺がかまってくれることに気づいた赤れいむDは息が切れるまで跳躍し続けた。

そして体力がなくなるまで跳ね続け、跳躍を止めたところで俺は赤れいむDのケースに餌を放り込んだ。

「ゆぅ?・・・むーちゃむーちゃ、ちあわちぇ~!」

餌を食べられる幸せをかみ締めている赤れいむDを眺めながらとっとと蓋を閉め、ケースから離れた。



【結果報告】

赤れいむAは上からの要求である「人目のあるときだけ跳ねる」という条件を満たすことが出来た。

幸い、「人間が見ているときにゆっくりしすぎていると痛い目に遭う」という条件設定も3日目には理解してくれていた。

しかし、この赤れいむAは失敗作以外の何者でもなかった。

まず、人間がいる時に痛い目に遭ったことが原因で人間に対して恐怖心を抱いている。

それゆえにあまり人間に懐こうとしないのだ。

それどころか、そういった経験から人間を「ゆっくりできないもの」として認識してしまっている。

ゆっくりにとっての「ゆっくりできる」とは「やりたいときにやりたいことが出来る」ということに他ならない。

人間の居ないときは飛び跳ねることが出来ず、人間のいるときは飛び跳ねねばならない。

それはすべての行動を人間が居るか否かということによって強制されているようなもの。

こういった理由から赤れいむAはそもそも人間に近づこうとさえしなかった。

そして、それでも人間から近寄ったときには卑屈な笑みを浮かべながら痛い目に遭わない最低水準の運動だけを壊れたおもちゃのように繰り返すだけだった。

これでは客の要望に応えているとは言いがたく、とてもじゃないがペットショップに並べられるものではない。

よって赤れいむAは「人間に懐かないゆっくりに刷り込みを引き起こさせることで強制的に従順にする薬品」の実験に回すことになった。



赤れいむBは唯一にして最高の成功例となった。

まず、上からの要望である「人目のあるときだけ跳ねる」をきっちりと満たしている。

しかし、本当に重要なのはそこではない。

この赤れいむBはペットとしてゆっくりを欲しがる人の理想的なゆっくり像を完全に体現していたのだ。

まず、人間が見ているときは「跳ねれば褒められるし、寝ていたって問題ない」という環境にいたため、人間に対して悪いイメージを持ち合わせていない。

それどころか、人間こそ自分達に本当のゆっくりを与えてくれる存在として全幅の信頼を置いている。

実験開始から3日が経つ頃には俺がケースの蓋を開ける時間になると、赤れいむBはそわそわしながら天井を見上げ、顔を覗かせた瞬間に満面の笑みを浮かべて挨拶をしてきた。

たとえるならば飼い主の帰宅時間になると玄関口で待っている犬のようなものだろう。

次に普段跳ねられない分を発散するかのように人間の居るときには自ら進んで積極的に飛び跳ねる。

それは赤れいむAのように強制されたものではない。自分をゆっくりさせてくれる人間が褒めてくれるから跳ねるという自発的な行動だ。

付け加えるならば、跳ねることで自分をゆっくりさせてくれる人間をゆっくりさせてあげられるとさえ思っているようでもあった。

最後に人間が跳ねるなと命じたときや、ゆっくりしたい気分のときは基本的にゆっくりする姿勢も重要だ。

満ち足りているときには何もせずゆっくりとする姿や何もせずソファで一緒に寝転がることをゆっくりに望む客も多い以上、跳ねるだけでは問題があるといえる。

よって赤れいむBは偉大な我らが敬愛すべき社長に献上すべきだろう。



赤れいむCは大前提の「人目がないときには跳ねない」を満たすことが出来なかった。

しかしよくよく考えてみれば当然なのかもしれない。

人間だって「廊下を走るな!」と怒られて廊下を走らないのは理解出来るが、「廊下を歩くなんて偉いぞ!」と褒められる奴は早々いないだろう。

そして、体に因果応報を覚えさせることで何かをしない方向に持って行くのがこの実験の趣旨。

それゆえ、跳ねなかったことと褒められたことの間に因果関係を導き出すことが出来ないのだろう。

あと、人間が(見えて)いないときの行動を褒めるという形式になる以上、ほかの動物同様、何を褒められているのかが理解できないのかもしれない。

いずれにせよ、跳ねなかったことを褒める方法はよほどの改良案がない限りは何の効果もなさないだろう。

更に、人間がいるときは怯えきった表情で最小限の運動を繰り返すため、赤れいむAと同様の理由でも商品としての価値がないのだ。

ある意味いちばん需要のない代物になってしまったと言えよう。

よって赤れいむCは・・・辛いものに対する耐久実験にでも回しといてください。



赤れいむDはいたって平凡な馬鹿になった。

「人間がいないところでは跳ねない」をまったく満たさず、「人間がいるところでは積極的に跳ねる」も多少しか満たせていない有様だった。

はっきりいって何処にでもいる本当にいたってごくごく平凡で没個性な何の面白みも無いゆっくりだ。

まあ、需要が無いことも無いだろうがこれをあえて売る意味はまったく無い。

よって赤れいむDは「事故防止のための強制的にゆっくりさせる薬品とその解毒剤」の実験にでも利用して置けばよいだろう。



【追加実験】

赤れいむCは底部をこんがり焼かれてしまい、動くことが叶わなくなってしまっていた。その状態で、ひんやりした台の上に置かれている。

口にはよくわからない器具がはめられていて閉じることもこれ以上開くこともままならず、ここ3日ほどまともに言葉を発していない。

もちろん食事も水分も一切取っていない。しかし、体に差し込まれた管から、十分すぎるほどの栄養が与えられているので飢えることはまったく無かった。

「よし、今日はスコヴィル値370万まで行ってみようか?」

「了解、一応500万まで作ってありますよ」

「そうか、準備が良くて助かるよ。んじゃ、まずはジョロキアナ並みの100万スコヴィルで・・・♪」

赤れいむCの前にやってきた二人の人間はそんなやり取りの後に、スポイトで正体不明の液体を吸い上げ、赤れいむCの舌に垂らした。

その瞬間、赤れいむCの舌と、全身に常軌を逸した激痛が走る。

「――――――――――ッ!?!?」

かっと充血した目を見開き、ぷるぷると痙攣しながら、餡子を吐き出す。

しかし、それくらいではその辛さが収まるはずも無かった。

吐けども吐けども舌が、全身が、目が痛い。体中が焼けるように熱い。

「えぅ・・・!?あぁ!?・・・うぅ!?」

動かない足で動こうと試みるが、動くはずも無い。ほかの部位をいくら動かしたところで何の抵抗にもならない。

「あぉ!?うぇ!!?・・・あぁあぁぁぁあああ!!?」

研究員を罵倒しようにもはめられた器具とあふれ出す餡子が邪魔をする。

視界は涙でぼやけ、頬は涙でふやける。それでも赤れいむCの涙が枯れることは無い。

いくら餡子を吐き出しても一向に意識が遠のいてくれない。

水分も栄養も、体内に直接ねじ込まれたチューブから送り届けられる同じゆっくりの餡子とオレンジジュースがいつまでも補い続けてくれる。

ゆっくりは餡子を失わない限り死ぬことが無い。しかし、ほかの仲間の餡子を補充されると意識が侵食される。

そして、意識が混濁し、精神が壊れてしまうはずなのに・・・赤れいむCの意識は途絶えることが無かった。

それは1週間の実験でタバスコソースによって辛いものに多少慣れてしまった赤れいむ以外の意識は舌からの刺激でショック死してしまうからだった。

そうして一切の意識を失った餡子は赤れいむCのものとして吸収され、赤れいむCを生かすためだけに機能し続ける。

「よーしっ、次は108万くらいで♪」

「―――――――ッァゥェぅぁ!?!?」

赤れいむCはショック死するか、カプサイシンそのもの(1600万スコヴィル)を用いた実験が終了し、廃棄処分されるまでこの苦しみから解放されることは無いだろう。



「おきゃーしゃん!いっちょにゆっきゅちちようにぇ!」

赤れいむAはそう言うと“おかーさん”の薄い胸に飛び込み、両腕で抱きかかえられた。

見上げると“おかーさん”は上品な笑みを浮かべて赤れいむAを見下ろしている。

「ゆぅ~・・・おきゃ~しゃんあたたきゃい・・・」

呟きながら、私服の笑みを浮かべて“おかーさん”に頬ずりをする赤れいむA。

やがて、その暖かさに包まれてうとうとと舟をこぎ始めた。

「ゆぅ~・・・ゆぅ~・・・ゆぅ?」

しばらくして目を覚ますと“おかーさん”は四つん這いになってご飯を食べていた。

「おかーしゃん、れいみゅもいっちょにゆっくちちゃべりゅよ!」

しかし、赤れいむAがご飯に近づくと“おかーさん”は前足で赤れいむAを払いのけてた。

「ゆぎゅ!?」

そして、その拍子に頭を打った赤れいむAは気を失ってしまった。

再び赤れいむAが目を覚ましたとき、“おかーさん”は壁の上を這っていた。

「ゆゆっ!おきゃーしゃん!れいみゅもかべをにょぼりゅよ!」

そういって元気良く壁にぶつかっていくが、何度やっても失敗してしまう。

それからたっぷり5分ほど壁を登ろうと努力を続けるも、“おかーさん”は羽ばたいてどこかに飛んで行った。

「ま、まっちぇよ!おきゃーしゃん!?」

そういって“おかーさん”を追いかけているときに、何かに激突して赤霊夢Aはまたしても気絶してしまった。

またまた赤れいむAが目を覚ますと“おかーさん”は踊っていた。

「れみりゃののうさつだんすだど~♪」

「うっう~♪」

“おかーさん”とほかの家族たちが手を振り、腰を振り、楽しそうに踊っている。

「ゆっ!おかーしゃん!れいみゅもいっちょにおどりゅよ!」

そういって元気良く“おかーさん”のそばに跳ねていった赤れいむAを見て、満面の笑みを浮かべた。

「う~?おいしそうなまんじゅうだど~♪」

そして“おかーさん”は赤れいむAをおもむろに掴むと口元へといざない、思い切り良く噛り付いた。

「おあーぢゃぁんゆっぐぢやべでええええ、ゆべっ!?」

「・・・・・・まさか、気絶するたびに刷り込みしなおしとは・・・」

一部始終をいとどけた研究員の男女は頭を抱えていた。

「効きすぎですね。明らかに失敗です」

「・・・はあ、社長の知人だか知らんけど一体何処の馬鹿だよ。こんなわけのわからん薬作った奴は・・・」



赤れいむDは何故か身動きの取れないままひたすら放尿を続けていた。

じょろろろろろろろろろ・・・

「ゆぅ~・・・ちーちーがちょまんにゃいよ!」

しかも、その尿は餡子の濃度がひどく酷く粘り気がある。

赤れいむD自身は知る由も無いがそれは紛れも無く先ほど飲まされた薬品の副作用だった。

じょろろろろろろろろろ・・・

「ゆぅ~・・・ほどぢちぇちーちーちょまっちぇくれにゃいの~?!」

服用させられた薬品というのは、ゆっくりの餡子の跳躍移動機能をつかさどる部分を液化させることでその機能を著しく低下させるものだった。

この状態から回復する方法は餡子を補給すること。

すると、その餡子が液化した部分の機能を代行し、液化したものは尿になって出て行くというものなのだ。

じょろろろろろろろろろ・・・

「・・・ゆぅ~、きもちわりゅいよ~!」

が、何か色々と手違いがあったらしく、餡子の半分以上が液化してしまった上に、補充する餡子が片っ端から液化させてしまっていた。

じょろろろろろろろろろ・・・

「ゆぅぅぅぅううう!どほぢでぢーぢーどばっできゅれにゃいのおおお!」

延々と水分を放出しすぎたせいで、気がつけば尿道付近の皮が溶け、穴が広がっていた。

じょぼぼぼぼぼぼぼぼぼ・・・

「ゆゆっ!ぢーぢーがいっぱいでりゅよ!?」

それに比例して体内の餡子と水分の失われる速度も増していく。

じょぼぼぼぼぼぼぼぼぼ・・・

「ゆぎぃぃぃいいいい!ぎぼぢわりゅいよおおおおお!」

そんな赤れいむDの様子を見た研究員達は「ああ、こりゃもうだめだ」と判断し、チューブによる餡子と水分の補充を止めた。

じょぼぼぼぼぼぼぼぼぼ・・・

「ゆううう・・・おにゃかがしゅいたよ・・・」

じょぼぼぼぼぼぼぼぼぼ・・・

「おみずさんがのみちゃいよぉ・・・」

じょぼぼぼぼぼぼぼぼぼ・・・

「ゆ・・・ゆ、う・・・」

放尿の勢いが弱まる頃には、赤れいむDはもう死んでいた。そして、その結果を見た研究員の一人がぼやいた。

「外出するときはケージに入れるのが一番だよな、常識的に考えて・・・」



---あとがき---
前回の研究の2番煎じ以外の何者でもないですね、こいつは。
実験に関しては色々おかしなところがありますが、突っ込まない方向で。
(そもそも「ケージに入れろ」で一蹴される時点で話にならんわな)

byゆっくりボールマン


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最終更新:2008年09月14日 09:08
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