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術伝流操体no.87
【6】自然則篇 (23)橋本敬三先生の一人自力操体の動画
橋本敬三先生の一人自力操体の動画

1.はじめに

 術伝流操体ということで書いてきましたが、一般的に思われて
いる操体とずいぶん違うなと思われた人もいるかと思います。操
体というと、「瞬間脱力」という言葉を思い浮かべる人が多いよ
うですし。

 私は、操体の業界用語では、「逆モーションバック運動」の方
が、より操体の特徴を表す言葉のように思います。

 私が操体を習った橋本先生の高弟の先生は「橋本先生の瞬間脱
力は、何時何処でしているか分からない位だった」とおっしゃっ
ていました。

2.橋本先生の一人自力操体での瞬間脱力

 その言葉を聞いた後で、橋本先生が自分の不調に対し自分で操
体している映像を見て、なるほどと思いました。その動画は、現
在、NHKからDVDで出ています(『操体法 橋本敬三の世界 温古
堂診療室から』NHKエンタープライズ)。

 1976年7月17日にNHKのテレビ番組として放送されたものと、
1981年6月にラジオ番組として放送されたものが収録されていま
す。

 このDVDに収録された映像を見て、橋本敬三先生が「瞬間脱力」
と言っていたものは、こういうものだったのか、少なくともこう
いうものも含むものだったのかと、感心したのを覚えています。

3.橋本先生がしていた操体を掴む

 私が、この術伝流操体を書き始めたのは、この動画で橋本敬三
先生が自分でしているような操体を伝え残したいということも動
機の一つです。

 先ずは、橋本先生が一人操体として動画でされているような動
きを自分ができるようになりたいと思い、工夫をしてきました。
そして、長男(1989年8月生)が生後半年ほどの頃にノビをし
ているのを見た時に、橋本先生の操体の動きと似ているなと思い
ました。

 そして、操体というのは、新しいことを習い覚えることではな
く、赤ん坊の頃には、誰でも皆、自然にしていたノビやアクビを
思い出すことなんじゃないかなと思いました。

 橋本敬三先生も「おんころや語録」の中で

「生まれたばかりの赤ちゃんを見よ。しょっちゅう手足を動かし
ている。ほとんど意識がなく、無意識に体を動かしている。痛い
ことなど決してしない。決まった動きも何もない。ただ無意識に
体を動かしている。
 自然にバランスがとれるように設計されている。赤ちゃんは知
らなくても知っている。…」

と書き残していますね。

 「おんころや語録」について、詳しくは術伝流操体no.93
読んでください。 

3.操体は、アクビの様式化・技術化

 そうなんです。前にも書いたかもしれませんが、私は、操体っ
てアクビによく似ていると思います。

 操体は、「動診」「タワメ」「瞬間脱力」という手順に分解さ
れますが、アクビも同じですね。

 先ず、ゆっくり、それまで縮んでいた部分を伸ばしながら、気
持ち良い姿勢を探していきます(動診)。気持ち良い姿勢が見つ
かったら、しばらく、その姿勢を維持し気持ち良さを味わいます
(タワメ)。

 そして、アクビの場合に多くは、気持ち良さを味わっている間
は、口を大きく開けているので、その口をフッと閉じるとともに
脱力します(瞬間脱力)。しかし、その瞬間脱力は、速いけれど、
短い時間の動きです。動く距離も短く、歯と歯が衝突することは
ありません。

 終わった後に深い呼吸になるというのも、アクビと、上手く行っ
た時の操体、その2つの共通点ですね。そういうことから、私は、
操体というのは、アクビを技術にしたもののように思っています。

4.東洋的運動療法は、アクビの技術化

 操体に限らず、東洋的運動療法には、アクビの技術化という面
が強いように思います。

 気功や、健康法としての太極拳は、アクビの初めのステップ、
操体で言う「動診」の部分を技術化したもののように思えます。
そう言えば、気功には、「五禽戯」という5つの動物の動きが
元になっているというものもありますね。

 ヨガ(ハタヨガ)は、アクビの2番目のステップ、操体で言う
「タワメ」の部分を技術化したもののように思えます。真向法な
ども、分類としては「タワメ」型かなと思います。

 アクビの3番目のステップ、操体で言う「瞬間脱力」を技術に
したのは、野口整体の操法、指圧の衝圧法、吉田流按摩の筋揉み、
武術系の活法などのように思えます。

 操体は「瞬間脱力」と思われていますが、実際には、列挙した
方法の方が「瞬間脱力」を多用しているように、私は感じていま
す。

 操体は、3つの要素が全て揃っているので、一番アクビに近い
感じがしています。

5.橋本先生のしていた操体を伝え残す

 私は、動画で見た橋本先生が自分の不調を調整していた一人操
体の動きを、臨床の場で受け手にしてもらいたいなと思いました。
そして、できれば、受け手が、自宅で、そういう操体を自分が不
調な時にすることを習慣にしてもらいたいなとも思いました。

 また、私以外にも臨床の場で、こういう操体を誘導できる人が
沢山いると良いなと思いました。

 だから、それを説明するために、この術伝流操体の元になった
話(「操体もくもく」操体掲示板)を書きましたし、習得法や伝
達法を工夫して、講座を開いて伝えてきました。

 そして、それらの経験を振り返って、講座の場で写真も撮らせ
てもらい、この術伝流操体を書いてきました。


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最終更新:2018年05月07日 13:41