アンリミテッド:サガ

【あんりみてっど さが】

ジャンル RPG
ゲーム本体
リミテッドエディション

攻略本(実質説明書)
対応機種 プレイステーション2
発売元 スクウェア
発売日 2002年12月19日
定価(税抜) 通常版 6,800円
限定版 リミテッドエディション
8,800円
判定 スルメゲー
ポイント 意欲的だが急進的過ぎた
あまりにも難解なゲームシステム
それでいてチュートリアルも皆無
TRPGベースのゲーム内容
攻略本が事実上の別売り説明書
発売からまもなく新品価格980円以下
世界観などのビジュアル面は好評
攻略が進むにつれて再評価も進んだ
サガシリーズ


概要

スクウェア(現スクウェア・エニックス)の看板RPGのひとつ、『サガ』シリーズ9作目の作品。プレイステーション2初のサガシリーズということで、プレイステーション時代の『サガ フロンティア』シリーズから一新された部分も多い。
今までのサガシリーズと同じく、人を選ぶ内容ではあるが、TRPG(テーブルトークRPG)をベースにしたゲームシステム・独自の世界観など、やはりサガシリーズらしい意欲的な内容にはコアなファンが多い。
前年にワンダースワンカラーで河津秋敏氏など同主要スタッフが製作した『ワイルドカード』というやや無名ながら評価の高い作品があり、システムにいくらか類似性が見られることからこのゲームは同作の発展形だと見る考え方もある。

内容がこれまでのシリーズ以上に意欲的である一方で、説明書の不備とゲーム内でのチュートリアル不足などの要因が重なって複雑かつ特殊なシステムに対する理解が難しい作りになってしまっていたため、当時のユーザーからの評判は芳しいものではなかった。


ストーリー

伝説の『“七大驚異” The Seven Wonders』*1。その力をすべて解放したとき、神は現れ、再び黄金時代が訪れるという。
伝説を信じる冒険者達はその謎を解き明かす為に旅立つ!

(公式より)


システム(というか賛否両論点)

システム的にかなり特殊

  • このせいでこれまでのシリーズと違いすぎて投げた人・クソゲーと決めつけた人も多かった。
  • 特にフィールド上の動きは過去作にないもので、ボードゲームやTRPGのようだ、と評される。
    • フィールド上に「ターン」の概念があり、マス移動や周囲を調べる・仕掛けの操作などを行う度に1ターン経過し、それとともに敵も動く。
      • ダンジョンRPGのような動きと考えれば少しわかりやすいか(ダンジョンRPGのように広いフィールドではないが)。
    • 『ロマサガ』以後のサガシリーズでは自由に歩き回って敵シンボルを回避したりできたので、それを想像していたプレイヤーは呆気にとられただろう。
    • 動いた結果、敵と同じマスになると一定確率で戦闘になるが、そもそも敵の場所は特殊な術を使うか、隣接するまでわからない。
      • 道は分岐もあるもののそれぞれは一本道であるため、歩いて敵を回避することは期待できない。
    • マップの全体図を確認することが特定の条件を満たさないとできない。
  • 戦闘・フィールドともに「リール」というシステムを採用。要は、ルーレットを目押しで止めて成功判定をするもの。
    • フィールドでは、トラップ回避や宝箱を開けたりするのに多用される。失敗すると、トラップでダメージを受けたり宝箱の中身を失ったりする。
    • しかし、ランダムでずれるため100%成功させるのは不可能*2。貴重なアイテムや魔道板入りの宝箱が吹っ飛ぶなんていう場合も割とある。
    • 宝箱を発見した場合、まずは(スキルを使用した場合)罠や鍵の存在を見破るためのリール(成功すると後のリールの難易度が下がる)があり、次に罠を解除するためのリールがあり、最後に鍵を開ける、または宝箱を破壊するためのリールがある……といった具合に終始リール尽くしである。箱をいじる合間に敵の襲撃が挟まることも珍しくはなく、その展開の遅いゲーム性に音を上げたプレイヤーは多かった。
      • つまるところ、TRPGでいうサイコロに当たるシステムと言える。
  • HPの概念が他のゲームとは異なる。画期的なのはHPがゼロになっても戦闘不能にならないという驚きの仕様。
    • 重要なのはLPであり、LPが0になると戦闘不能となる。LPはHPが減っている時にダメージを受けると減りやすく、いわばHPはLPを削られないための「壁」的な存在である。
      • フィールド上のトラップや戦闘でHPとLPはガンガン削られていくので、能力は低くともLPの高いキャラクターの存在価値は高い。
    • HPは従来の技ポイント/術ポイントの役割も備えており、技や術を使用するだけでHPを消費する。
      • もっともその消費量は敵から受けるダメージに比べると遥かに些細であり、実害はほぼ無い。
  • 戦闘では、ターン毎に5回分の行動を選択する。配分は自由で、同じキャラに5回行動させてもかまわない。
    • 行動それぞれについてリールを回す。止めた場所に応じて技なら止めた位置のレベルの技が発動、術なら止めた位置の属性が術と一致すれば若干強力になる。
      • サガシリーズ恒例の「閃き」システムが存在し、技を使った際に稀に技を閃き、より高いレベルの技を使えるようになる。
      • 同じ技ならレベルが違っても消費HPは一緒なので、閃きで高レベルの技を習得したなら下位の技はまず使わない。
      • しかし、リールをうまく止められないと、狙った技を出せないという問題もある。慣れが必要。
    • 戦闘時の連携システムは健在。なんと敵味方全ての行動を連携可能。つまりむやみに連携を狙うと、敵に割り込まれて逆に大打撃を受けることになる。
      • うまく行動順を制御したり、敵の攻撃はもうこないと予測するなどの慣れが必要。
      • また、連携時もリールは全攻撃に対して個別に回り続けているため、全ての攻撃を上位技で止めるのは難しい。
      • そのリール配列は、実はGBソフトの『時空の覇者 Sa・Ga3 完結編』の乱数配列からほぼ流用したもの*3
    • 味方のステータスは、本人の固定された「資質」(基本ステータス)と、シナリオクリア時に一つ選んで入手できる「スキルパネル」によって決まる。
      • 戦闘内の行動内容によって戦闘終了後に主な成長が行われた以前のシリーズと異なり、シナリオ内の行動内容によってシナリオ終了後に成長が行われる
      • このため、戦闘以外にもトラップを回避したり宝箱を開けたりといった要素がそのシナリオ終了時の成長に関わるので、戦略が必要になる。
      • スキルパネルは余っている枠がない場合でも強制付け替えなので、完璧な配置にしていて入れ替えを望まなくても、次のシナリオクリア時には付け替えねばならない。
      • よって、極めようと思ったら、どこか必ずどうでもいいスキルパネルを置く場所(もしくは別の同系統のパネルに置き換えても主要ステータスに影響のない場所)を用意しておくことになる。といっても「完璧な配置」になるころにはゲームクリアにずいぶん余裕をもった能力になっているが。また、成長に制限があるため「極める」ようなデータを作るのは困難。
      • 一部のパネルは入手が非常に困難であり、狙ったキャラに狙ったパネルを引かせるためには中断セーブ後*4のリセット→ロード作業(プレイヤーの間では主に「邪道ロード」と称される)がほぼ必須。
  • 魔道板パネルをつけて戦闘中に何でもいいから術を使うと魔道板の術を少しずつ習得するのだが、戦闘回数が少し必要になる。
    • 五行属性(木・火・土・金・水)を踏まえて、習得に適した属性の高い場所で戦うと多少楽にはなる。
  • 街の改造屋では「アイテム改造」が可能。
    • アイテムを2つ組み合わせる。完成品の種類(剣や槍を指定)を同じものにすれば耐久度の回復ができる。種類を変えることもできる。
    • どんなアビリティがつくかは主に素材の重量に依存し、その上でわずかなランダム性があることを理解すると面白い要素である。
    • 改造屋はなぜか無料で改造してくれる*5が、ときどき引きだされているアビリティの数が増減してしまうことがある。
  • ゲームの難易度的にはかなり高いと思われている
    • 厳密に言うと、初心者向けの主人公以外が厳しい。
      • 進行順次第ではハマりに近い状態になりやすいルビィ編*6、味方がひ弱*7なのに最終戦が全主人公中最高難易度のマイス編*8、プレイ時間15分ごとに強制戦闘になるキャッシュ編、イベント進行が特殊で理解しにくいアーミック編・キャッシュ編など、これらの主人公は初プレイでは厳しい(主人公選択時にそういった旨の紹介文がある)。また、キャッシュ編は実質序盤に挑むことになる「剣難峡」が多少慣れたプレイヤーでもいやになるほど極めて難易度が高い*9
      • そのほか3人の主人公は比較的進めやすいのだが、そのうち最も早く記事などで公開されメインの主人公であろうと目されていたローラ編*10では、ストーリーの2分岐のうち一方がかなり難度が高い(これは意図的に設定されたこと)。しかも、簡単な方の分岐に進むにはある敵に負けることが条件なのだが、この敵に負ける方が難しいほど弱い存在*11。さらに、ローラ編ではサブシナリオの数が少なく、ラストダンジョンに行けるようになるとレベルアップ用サブイベント「謎の場所」にも行けなくなるためハマる可能性もある。
    • また、このゲームでは敵はだいたい戦闘回数に応じて強くなっていくのだが、味方の成長(HP上昇とスキルパネル付け替え)はシナリオクリア時のみである。サブシナリオをわざとクリアしないで宝箱や魔道板入手に力を入れるのは本作の常套手段だが、あまりやりすぎると敵だけが一方的に強くなっていく。そして、シナリオをクリアしないと成長しないということは、全てのシナリオをクリアしてしまうとそれ以上の成長ができなくなってしまうということである。一応救済措置として「謎の場所」と「テトラフォース」があるのだが、一部の主人公では使えない。
      • 幸いどの主人公でもシナリオの数は十分にあるので全シナリオをクリアしたのに能力値が低くてラスボスに勝てない、といったことはまず無い。(もちろん装備や技の関係で勝てないということはあり得るが)
    • 確かに強いラスボスはこのシリーズ伝統ではあるものの、今作では特にラスボス戦の高難度さとそれ以前の戦闘難度とのギャップが激しい。

評価点

  • キャラクター作りの質は安定している。
    • 河津作品らしくセリフはやや少なめに抑えられているが、個性が強く遊んだ人間の記憶に残りやすいキャラは多い。
    • それもいわゆる狙ったネタキャラではなく、妙にセリフ回しが面白いなどの理由で気に入られるキャラが多いのもそれらしいところである。
    • サガシリーズでは初めてボイスが付いたが、知名度の点で幅広い声優を揃えつつも特に違和感のない形に収まっている。
      • 参考までに主人公たちを演じている声優陣は井上喜久子氏、川田紳司氏、猪口有佳氏、佐々木健氏、比嘉久美子氏、伊藤健太郎氏、子安武人氏の7人であり何れもどこかで耳にした名前が揃う。
  • 全ての行動が後に繋がるシステムであることもあって、常に戦略的な思考を求められる。
    • 戦闘中であれば使う技や連携の流れ、フィールド上であればギミックへの対処やスキル使用、マップ画面であれば武器改造や品揃え確認など。
    • 楽にクリアできるシナリオでもれっきとした成長の機会なので、ある程度惰性にはなりにくい。
  • 7人の主人公それぞれで、基本のところは変わらないにもかかわらずシステムやパーティの違いにより結構な遊び方の差が生まれてくる。
    • それだけに、その辺りのニュアンスが最初の主人公選択画面ではあまり伝わってこないのは残念だが…。
    • 上述した通り難易度こそ高いものの、7人全員クリアすれば専用のエンディングを見ることができ、達成感もひとしおである。
  • ゴリ押しの通じないバランスであり、特に難易度の高い主人公で遊ぶ場合はきっちりゲーム全体の戦略を立てる必要がある。
    • その分、ギリギリでクリアできた時の喜びは非常に大きいものになるだろう。この辺りは過去のサガシリーズにも通じる部分である。
    • ラスボスはそれを象徴する部分であり、「理不尽すぎない程度にかなり強い」というところが評価を得ている。
  • グラフィックは2Dであり非常に奇麗。
  • BGMは『サガフロ2』と同じく浜渦正志氏が担当。氏の能力に違わぬ名曲揃いであり、クソゲーとの評価を多く受けた発売初期でも、唯一音楽のみは一貫して評価を受けている。
    • 中でも通常戦闘曲は大変美しく、満場一致で名曲扱いされるほどの出来で今までに浜渦氏が作曲した曲の中でも一二を争うほどの人気を誇る。
  • OPムービーの出来が凄い。
    • ゲームに合わない人から見たら間違いなくOP詐欺。

問題点

「説明書」について

  • そんなこのゲームがクソゲー呼ばわりされる理由は、主に「説明書」が別売りと呼ばれることにあった。
    • もちろんこれは誇張表現で、ちゃんとゲームには本来の説明書が付属しているが……役に立たない。「パンフレット」「チラシ」などと通称されるぐらいである。詳細は後述。
    • 要するに「システムが非常にわかりにくいにもかかわらず、それに関する説明が全く足りていない」ということで、それが本作の発売時に低評価を受けた主な要因であった。
  • ゲームに付属した「本来の」説明書(通称:チラシ)は全32ページで、うちゲーム内容の説明に割かれているのは20ページちょっと。
    • 一般的なRPGであればこれで不足することはないだろうが、何度も述べているようにこのゲームは操作も進行もやや特殊である。
    • ボタンの振り分けやシステムの根幹など、基本の「き」となる部分についてはおおむね書いてあるのだが、どれもこれも本当に上っ面だけの説明で、初めてプレイする人にとっては非常に分かりづらい。
      • 「改造」「能力資質」といった基本から一歩進んだシステムについては全く書かれていないものも多い
    • 特にプレイヤー達を戸惑わせたのがクエスト中のフィールド画面で、独特の操作そのものに戸惑うプレイヤーが続出
      • 「待機による回復方法」はR3・L3ボタン(スティックの押し込み)。このボタンを使用するRPGは珍しい。
      • 「オブジェクトの調べ方」は全て「スキル(→アクション)」を選んでからオブジェクトを選ぶ。レバーや宝箱などがあったとしても自動で操作するコマンドは現れない。
      • 「キャラクターの移動方法」も、説明書にはスティックでキャラ移動と書かれているが、行きたい方向にスティックを倒し続けないと反応しない。軽く倒すと行き先の簡単な現況が確認できるのだが、それについては説明されていない。
      • …等と、あまりに独特すぎる事から基本操作もおぼつかないプレイヤーも現れる始末で、わざわざ公式サイトに基本的な操作方法のQ&Aが載ったほどである(現在は消滅)。
      • 実は回復やオブジェクトの調べ方に関しては説明書の「フリーシナリオとは?」の項に載っている(具体的に言うと13ページの右上)。…がしかしそれらは小さな文字でおまけ程度に載っているので、ほとんどのプレイヤーが見逃したと思われる。
    • その為、当時のユーザーは阿鼻叫喚。「敵強すぎ」「全身鎧バグ*12を使わないとクリアできない」等、このゲームの評判を大いに落とすことになった。
  • 説明書の不備の方が目立つためにあまり言及され難いが、ゲーム内におけるチュートリアル(説明)が皆無というのも看過できない。
    • 当たり前のことだが、たとえ説明書が薄くてもゲーム内でちゃんとした説明があればこんなことは起きなかっただろう。
      説明書をきちんと読まずに始めるプレイヤーもいるし、ちゃんと読んだからといって全ての人がすぐに完全に内容を把握できるとも限らない。
      本作のように至極複雑なシステムを要しているゲームなら尚のことである。
      • 確かにサガシリーズはある程度ユーザーを突き放す(プレイヤー自身に遊び方を見つけさせる)のがウリというところもあるが、このような複雑なシステムに対して説明が皆無というのでは突き放すを通り越してあまりにも不親切すぎるとの声が上がる事になった。
    • いわゆるチュートリアルがない以外にも、装備品や技・ステータスなどの説明が乏しく確認できる場面も少ない。
    • 「改造」など文章の説明やとりあえずの試行だけでは理解困難なシステムもあるので、そういった部分の補完は必須だったはず。
  • その後、詳細なゲームの進め方や戦法なども書かれた攻略本『アンリミテッド:サガ 解体真書』(という名の事実上の「別売り説明書」が発売。
    • これにより批判は徐々に沈静化され、それ以降ユーザーのやり込みも進み、実際は奥深い内容で、敵の強さはきちんと装備を整えて進行していないプレイヤーの責任、全身鎧はバグではなく仕様説*13、だがこのゲームの面白さをスポイルする、飽くまで救済措置だとの見解が生まれた。

その他

  • 進行不能バグがある。条件を満たしてしまう人は少ないと思われるが…。
    • アーミック編でメインシナリオ出現中にイスカンダール広場へ行き、祭りを見るとメインシナリオが消滅して進行不能。メインシナリオのない時に祭りを見ておこう。
    • キャッシュ編では、シナリオの進め方により「体術」以外が使えないイベント戦があるが、「体術封印」パネルをつけていると進行不能になる。
      • もっとも、「体術封印」パネルは使いづらいデメリットパネルなのであまり起きないだろう。また、シナリオを別のルートに移行する方法でも一応対策可能である*14
  • 装備品や技など、一部バランス調整がうまくいっていない点も目につく。
    • 攻撃手段には技と術があるが、術は「術合成」のスキルパネルなど多くの準備や育成を行わないとあまり実用レベルにならない。さらに技のほうが手軽で強力。
    • 武器は斧と弓が強く、長剣や杖は弱い。弱い武器を選んでしまうと戦闘力でかなりハンデを背負う上に、初期の手持ち武器が長剣であるキャラは相当数いる。
      • 長剣は軽い素材なら<ディフレクト>というアビリティが付くことがあり、第二武器の欄に装備すればランダムで自動発動。これによりそこそこの確率で攻撃を回避してくれるのだが、軽い剣にしかつかないことなどはゲーム中の情報ではわからない。
      • 同様に杖は<ブロック>、短剣は<ナイフガード>というアビリティがついているものを第二武器にすれば回避をしてくれる。
      • 斧攻撃技「高速ナブラ」は威力が突出しており、これを覚えたキャラは他の単体攻撃技はほとんど必要なくなる。
  • 一部に運ゲー的な要素を強く持っている。
    • スキルパネルはクエスト中の行動が大きく依存するとは言え最後は運であるほか、「改造」は完全に確率で発生する「失敗」が存在する。
    • そのあたりを操作しようとすると、リセット・ロードの繰り返しをする羽目になる。
  • サブシナリオの動機がときどきぶっ飛んでいる。「古来の族長の試練を受けよう(別に主人公に関係ない)」「理由はないが砂漠を縦断しよう(新しく行き先が増えるわけではない)」「旅するのに風の強い時期をわざわざ選び勇気を試そう(途中で風よけの器具を貰うこともできる。本末転倒な気もするが、自由度の高さとも取れるか)」等々…。
    冒険好きの主人公にとっては良いが、急ぐ理由のある主人公には相応しくないかもしれない。
    • サブシナリオはパネル獲得+HP成長という報酬があるが、クリアしてもアイテムやお金などの報酬がない。これは前述の勇気試しのようなものだけでなく、「極地に質の高い氷を取りにいこう」というサブシナリオでも報酬はない。ボランティア扱いなのだろうか?
    • サブシナリオをクリアしてしまうともうそのマップには入れない。複数のシナリオで同じマップを使用している場合も全てクリアしてしまうともう入ることができない。そのため探索が不十分だったり敵を倒して稼ぎたい場合あえてクリアしないのがネット上の攻略サイトでも推奨戦術になっている。同様の仕様は旧来のサガシリーズでは一部のマップだけに限られていたが、本作では認識を改めて取り組む必要がある。
    • なお、ゲームをやっただけではラスボスが何者なのかはあまり分からない。前座の台詞はあるが全主人公共通であるラスボスの台詞は全くない。攻略本を見て世界観や設定がやっと分かる(まあ、それ自体はこのゲームに限ったことではないが…)。
  • 店の品物が有限で、メインシナリオかサブシナリオか運び(ヴェント編のみ)をクリアしないと品物が入ってこない。
    • 主人公によってはショップの品物の入れ替え機会が有限。

総評

本作はゲーム内容自体は充実しており、ストーリーも批判が出るようなものではなく、そこまで重大なバグもない。
ややテンポの悪い面やゲームの進行手順などかなり人を選ぶ部分も見られはするものの、ハマる人はハマるゲームであり、少なくとも「クソゲー」ではない。

惜しむらくはとにもかくにも「説明不足」というその1点でゲームシステムの理解を著しく妨げてしまったために、非常にハードルの高い&独特なシステムを理解しきれなかった多くのユーザーからクソゲー扱いを受けてしまったことだろう。
開発スケジュールの余裕のなさに起因しているとはいえ、この点さえきちんとしていれば当時からの評価はまた違ったものになっていただろうだけに、なんとも悔やまれる点であった。

今ではインターネットで攻略情報を得ることが容易であり、その安価さもあって再評価の動きが進んでいるが、同時に、投げ売られているからといって安易に買うなとも言われることが、本作の難易度の高さと複雑さを物語っているとも言える。
こうした風評の有無を抜きにしてもゲームそのものが人を選ぶことに変わりはなく、総じて「作風が肌に合う人であれば楽しめるゲーム」である。



余談

  • 製作総指揮の河津氏は、後に本作についてこう述べている。(2014年1月29日の本人のツイートより)。

    アンリミテッド・サガはもともと某社が開発していた携帯ゲーム機に向けて企画していたゲームでした。
    そのハードが中止になってしまったので、衣替えしてPS2向けのゲームになった次第。
    それで、まるでスマホのゲームのようなダンジョン操作&表示になったわけです。

    • さすがに開発者のコメントだけあって「スマホのゲーム」という表現は言い得て妙である。
      また、「某社用の携帯ゲーム機」は原型である『ワイルドカード』を出したワンダースワンカラーを指しているものと思われる。
    • ちなみに河津氏曰く、テスターたちは簡単に連携を決めてしまっていたとのことで、スタッフの腕前を前提に調整した結果が製品版のゲームバランスとなってしまったのかもしれない。
  • 攻略本にも記載されている、「レベル4の禁呪魔道板」のスキルパネル(通称:外道板)が極々低確率でしか手に入らない*15など、バグに近い挙動もある事はある。
    • しかし肝心の攻略本自体にも間違った情報が載せられている事もある。
    • 出ない事がユーザーの間でネタになっている「外道板」に関しては、「普通に出る筈だが、2つの乱数を組み合わせたので、かなり出にくくなっている」とスタッフの弁。
  • 余談中の余談であるが、本作発売の少し前、『ファイナルファンタジー』シリーズ初の地上波アニメ作品『FF:U~ファイナルファンタジー: アンリミテッド~』が放映されており、そこへこの作品のタイトルを見たファンが「続編か外伝作品か?」と勘違いし購入してしまったという報告もある。
    • 『FF:U』も本作と同様に河津氏が関わっており、裏設定では繋がっている(いくつもの異世界がある世界観で、アンサガ世界がFF:Uに登場しているわけではない)。FF:Uの「風」や「雲」などが該当する存在「アンリミテッド」もアンサガの登場人物に居るが、アンリミテッドが超人的な能力を発揮できるのは出身世界の外での事なのでアンサガ世界の中で力を使うことはできないという設定。(インタビュー)

説明書

  • 説明書の後半6ページは本作の攻略本・グッズや、本作と無関係のスクウェアのゲームの宣伝に割かれている。
    • チラシ呼ばわりされているのは、「ゲーム説明が不十分なのにもかかわらず、宣伝だけはきっちりしている」というニュアンスも大きい。
    • 宣伝自体はスクウェアの説明書にはよくあることだが、他作品は多くても見開き2ページ分くらいか、もしくは同封であり、それも当該作品の関連物に限った話である*16
  • 『サガフロ2』の10周年の際、あるスタッフが個人サイトのインタビューにて以下のようにコメントしている。

    取り扱い説明書は宣伝部が作っているのですが、本当は開発側で内容確認したり、必要な資料を出したりしなきゃいけないんです。
    でも開発にも余裕が無くて、丸投げになってしまったためにあんな出来になってしまいました。

中古相場に関して

  • 攻略本発売後に再評価されたが時既に遅し。各小売では本作は絶賛投げ売り中であった。新品980円は当たり前、嘘か誠か新品100円で買ったという話もある。
    • 「福袋にこれが何本も入っていた」という画像も流行った。これはコラ画像だったが、投げ売りの凄まじさのために信じられてしまった。
  • 中古ゲームショップでは今や高く買う方が難しい。980円なら高価な方で、大抵500~200円ほど。酷いと缶ジュース以下、100円切りなんてこともあったようで、買い取り価格は発売から1ヶ月で50円もザラ。また、買い取りが多すぎて買い取り拒否となった店も少なくない。
    • 上記の通り攻略本は税込1,890円である為、現在の市場価格は攻略本の方が高い。さらに今でも中々入手しにくい(再販自体は度々行われている)。
  • 本作の収集を趣味とする人も存在する。
    • 中にはパッケージケースをトランプタワーのように組み上げて、アンサガタワーと呼ばれるオブジェを作る猛者も…。

その後の展開

  • 投売りになってから数年、デジキューブ倒産の煽りを受け、サントラまでも投売り*17になるという不遇な状況を辿った(おそらくは倒産品が大量に市場に流れたため)。現在はスクウェア・エニックスから再販版が発売。
  • 本作の評判を受けてか、サガシリーズは『サガ スカーレット グレイス』の発売まで実に14年もの長きに渡って新作が発売されなかった。
    • ミンストレルソング』や『サガ2GOD』『サガ3SOL』といったリメイクが出ているため、シリーズ自体は無事存続してはいるが。
      • 河津氏がイヴァリースシリーズを引き継いだり『ラスト レムナント』の制作などサガ以外のゲームに関わっていたという事情もある。
    • また、本作はPS系統のサガシリーズにおいては唯一、廉価版の発売やアーカイブス化が一切されていない。

タグ:

+ タグ編集
  • タグ:

このサイトはreCAPTCHAによって保護されており、Googleの プライバシーポリシー利用規約 が適用されます。

最終更新:2023年07月31日 18:02

*1 現実の「the Seven Wonders of the World」は世界七不思議という和訳がメジャーだが、wonderを不思議とするのはそもそも誤訳なので語弊の無いように驚異的建造物などとも訳されている。要するに「七大驚異」は、作中世界における世界七不思議のような古代の7つの建造物のこと。

*2 ずれるのはフィールド上のみ。なお、2chスレによると攻略本の記述は間違いで特定の場所で止めるとズレないという説があるが、それでも熟練者に限られるだろう。

*3 なお、本作の発表会でGB版サガ3だけが、「プロデューサー違いによる権利問題」を理由に存在自体を紹介されなかった。

*4 中断セーブは再開すると同時に消されるため、ロードするなら事前に別のメモリーカードにコピーする作業が必要となる。

*5 主人公は普段から街の人に対してサブシナリオなどの雑用をこなして見返りに改造を受けているなどの解釈もできるが

*6 途中で挑む場所を選択できるようになるが1ヶ所だけボスが極端に強い

*7 仲間が女性ばかりで総じてLPが低め、一桁が3人もいる。

*8 ラスボスの形態を数えない場合でも前座の前座がなんと10体((しかも1体はなぜか倒した時に入れ替わる演出がない))→ラスボス前座→ラスボスと脅威の12連戦。また10体戦後はそのまま前座に突入しLPを含め回復が出来ない鬼畜っぷり。ラスボス前には回復する。

*9 二人旅だが分断されて合流するまでそれぞれ一人旅となり、両方とも所定の位置まで動かす必要がある、しかも剣難峡までに育成の余裕がほぼない

*10 OPもローラとローラが助けることになる王子が初めに映る。主人公選択でも初めにカーソルがあっている

*11 行動人数上限1人ではあるものの、一騎打ちのはずなのに1ターン毎にキャラを変えることが出来てしまうため交代させればまず間違いなく勝てる。また配下多数の中で一騎討ちを申し出て一見誠意を見せるようだが、そもそも国を滅ぼした侵略者で王子の両親の仇でありそんな上辺の誠意にとらわれず心情的に倒したくなるためさらに気付き辛い

*12 このゲームでは本来装備するべき部位以外にも防具を装備できるのだが、それでも防御力が反映されるため、頭にも手にも足にも鎧をつけて超高防御力を実現できる。

*13 実際には、適正部位以外に装備した場合は防御力ではなく効果などが反映されるはずだったと上記の開発者インタビューにある。

*14 「ガントレットバトル」に入る方法。当然だが他のシナリオが残っていなければ回避できない

*15 と言うか手に入らない? 入手例は数件ある。

*16 攻略本やサウンドトラック、スクエニネット会員募集など。

*17 加えて「半熟英雄3Dサウンドトラック」と「FFXボーカルコレクション」も大量に投売りされた

*18 同作のアルティマニアにおけるインタビューでも、このゲームの説明書が反省点として挙げられている。