キャベッチ パッチ キッズ

【きゃべっち ぱっち きっず】

わんぱくアスレチック

【わんぱくあすれちっく】

両ソフト共に情報は同じ
ジャンル アクション
対応機種 MSX
発売・開発元 コナミ
発売日 1984年
定価 4,800円
判定 なし
ポイント 『ピットフォール』のパクリ?

概要

『キャベッチ パッチ キッズ』『わんぱくアスレチック』共々、1984年にてコナミからMSXソフトとしてリリースされた横スクロールアクションゲーム。
ゲームタイトルやグラフィックに差異はあれど、ゲームシステムは完全に同一であるため、本ページでは同一に扱う。

各ソフトの概要

  • 『キャベッチ パッチ キッズ』
    • ゲーム画面でのタイトルは『Cabbage Patch Kids』。女の子を操作し、障害物を避けながらキャベツ畑の奥に進んでいくという設定。本作ならではの要素として、ゲームを始める前に女の子の髪型、服、名称を変更できる(ゲーム自体は一切変化なし)。
    • ちなみに『キャベッチ パッチ キッズ』とは『コレコビジョン*1』で知られるコレコが販売していた人形で、顔や髪型、肌や目の色、服装などの違いで非常に多くの種類があり、「同じ人形は一つとしてない」「誕生日と名前入りの出生証明書付き」「1年後の誕生日にバースデーカードが届く」というギミックが大受けし1980年代前半に大ヒットした。日本でも『キャベツ畑人形』の名でツクダオリジナルが販売していた。
    • またゲーム版『キャベッチ パッチ キッズ』のみ後にコレコビジョン版*2も作られている。
    • 『キャベッチ パッチ キッズ』の大ヒットはコレコに多大な利益をもたらしたが、ブーム終了と共に大量の不良在庫が残る結果となってしまい、結局コレコは1988年に破産を申告、翌1989年に『マイリトルポニー』などで知られる米国大手玩具メーカーのハズブロに吸収され消滅した。
  • 『わんぱくアスレチック』
    • ゲーム画面でのタイトルは『Atheltic Land』。わんぱく坊や(男の子)を操作し、障害物を避けながらアスレチックの奥に進んでいくという設定。全部で4作あるコナミのMSX教育ソフトのうちの1つとされる*3
    • 1~2人交互プレイ可能。1ステージ10シーンで全50シーンのループゲーム。
    • 言わば『ピットフォール』*4のアレンジ版。

主なルール

  • 主人公を操作して、10の固定画面(1画面につき「SCENE」と表示されている)を進んでいきゴール(10SCENE)にたどり着くのが目的で、すべての画面を越えればそのステージはクリアとなる。原則として右側に進んでいけば固定画面が切り替わり、すべての画面を進みきるとゴールに着くが…(詳しくは下記にて)。
  • レバーにて主人公の移動操作、ボタンはジャンプボタンのみ使用。
    • このゲームにおける攻撃手段やしゃがみ動作などは一切存在しない。また、ジャンプは必ず一定のジャンプ力で固定されており、ジャンプ中の移動制御はできない。
    • すなわち、待ち構える障害物に対して、ジャンプ、潜るなどで回避する以外に進む道は用意されていないのである。
    • 画面によっては「綱渡り」「トランポリン」といった乗り物が用意されている。共に乗っている間は操作に制限がかかり、危険を伴いやすい。
  • 各ステージには制限時間となるゲージが用意されており、時間経過で徐々に消費されていく。しかし、これはステージクリア後のボーナススコアに影響するだけの存在であり、ゲージが0になってもミスにはならない。
  • 残機制でミスするとそのSCENEの最初に戻される復活方式、すべての残機がなくなればゲームオーバー。
    • ミス条件は以下の通り。
      • 主人公が「トゲ」「ボール」などの障害物に触れる。
      • 「池」「池穴」などの地面に落ちる。
      • 高いところからの段差をジャンプせずに落下する。もしくは、極端に高い場所からジャンプしてしまう(他ゲームで例えるならば、『スペランカー』のミス条件に近い)
    • 当時のコナミのMSXソフトの例に漏れず、コンティニューは搭載されていない。
  • 右に進めばゴールとなる以外にも、実は正規のクリア方法ではないが左に進んでも逆走して画面が切り替わり、裏技的要因でステージクリアは可能である
  • 左右どちらで突破したにかかわらず、ステージ99をクリアするとALL STAGE CLEARとなり同時にスタッフクレジットが表示され、数秒後ステージ0が始まり以降ループとなる。

評価点

  • 複数のギミックを組み合わせた障害が中々考えさせられる。
    • 障害は、転がって来るキャベツやボール、落ちるとミスとなる池、落ちて来る蜘蛛や毬栗など、単純なものばかり。しかし、それらが複数組み合わさる事により突破が難しいものとなっている。プレイヤーの動き自体は乏しいが、これらをかわす面白さがある。
    • 先に進む程、この組み合わせがかなり複雑になり、厳しくなっている。
  • ゲーム性はシンプルながらも、完成度は高い。

問題点

  • 『ピットフォール』に酷似している
    • 左右移動とジャンプしかできない。この操作性は『ピットフォール』そのもの。
    • 転がって来る障害、池、綱渡り、たき火、など両作にある要素も『ピットフォール』にもあり、しかも効果が同じ。
    • スクロールせず、画面切り替えで先に進む。複数組み合わさった障害をかわしていくというゲーム性も、『ピットフォール』のそれ。
    • 上記の逆走要素も、『ピットフォール』にある。
  • 当時のPCのSTG、ACTではよくあったが、コンティニューがない。

総評

本作2作は往年の名作である『ピットフォール』とゲームシステムが近く、その辺はよく比較されやすい傾向にある模様。
同じゲームシステムのソフトが同年にリリースされるのは珍しいが、特にバージョン違いという表記はされておらず、悪いえば手抜き商法なように思える。強引に好意的解釈をすれば、女の子バージョンと男の子バージョンという差異はない事もないが、いかんせんスペック的にチープなMSXで差別化されてもあまり魅力ではない訳で…。
ゲームとしてみると、当時のアクションの中でも操作が超簡単で、進行テンポもさくさくであり、「シンプルならではの面白さ」が十分に詰まった作品といえる。

しかしその反面、そのシンプルさが難易度を押し上げている傾向にある。「こちら側の攻撃手段が一切ない」「しゃがみなどの小回りの利く操作ができない」「ジャンプの制御もし辛い」「主人公のやられ判定が大きく、地味に障害物を避けにくい」などの要因が問題とされる。

とはいえ、その問題もゲームバランスを考慮した故の仕様だと思われ、それを乗り越えればクリアするのもそう難しくはないであろう。
当時のコナミ製MSXソフトの例に漏れず、「シンプルながら楽しみの詰まったゲーム」という言葉がしっくりくる作品となっている。はっきりいって、両者共にゲームとしてはかなり地味だが、その地味さがまた味わい深いのである。
『キャベッチ~』はコレコビジョン以外には一切他機種移植はされておらずMSXソフトとしてみても大分マイナーな存在となっている模様*5。『わんぱく~』の方は、後にオムニバスで収録されている影響で、それなりに知名度はある模様。


オムニバスソフト

『わんぱくアスレチック』のみ。発売元は共にコナミ(アーカイブスはコナミデジタルエンタテインメント)。

  • コナミアンティークスMSXコレクション Vol.2(プレイステーション、1998年1月22日発売)
    • 2006年11月22日からプレイステーション3/同ポータブルのゲームアーカイブスにて配信されている、要600円。
  • コナミアンティークスMSXコレクション ウルトラパック(セガサターン、1998年7月23日発売)

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最終更新:2023年10月05日 06:12

*1 発売当時としては非常に高い性能を誇った家庭用ゲーム機で、特に『ドンキーコング』の移植版の完成度の高さで知られる。任天堂が同機の日本国内販売権を取得しようとして失敗したことがファミコン誕生の一因ともなった。

*2 コレコビジョンがほぼMSXと変わらない仕様のハードのため内容に差異はない。

*3 あくまでコナミがそう名乗っているだけで、一般的な教育ソフト的な要素はない。一説には補助金目当てとも。

*4 Atari2600で大ヒットした、横スクロールアクション。1982年製。

*5 実際、ネットで検索しても本作の情報を乗せているサイトはごく少数しかない。