ポケモンバトリオ

【ぽけもんばとりお】

ジャンル トレーディングカードアーケードゲーム
対応機種 アーケード(Taito Type X)
発売元 無印~0:タカラトミー
V:タカラトミーアーツ
開発元 AQインタラクティブ
稼働開始日 2007年7月14日
2012年5月17日 稼働終了
1プレイ料金 100円
判定 なし
ポケットモンスターシリーズ


概要

ポケモンシリーズ初のTCAG。
カードでなく、「パック」とよばれる直径4cm、厚さ1.4mmのプラスチック製のコインを使用する。
プレイヤーはパックをスキャンすることによってゲーム内にポケモンを3体呼び出し対戦する。

『ポケモンバトリオ(無印)』『ポケモンバトリオ+(プラス)』『ポケモンバトリオS(スーパー)』『ポケモンバトリオ0(ゼロ)』『ポケモンバトリオV(ブイ)』とバージョンアップされルールの追加・変更が繰り返されていた。

プレーヤーのゲーム内の分身である「トレーナー」情報や対戦の記録、ゲーム内での冒険の進捗状況を保存する媒体として、「メモリーキー」がある。
「メモリーキー」は、ほとんどの店舗が稼動店での販売となっている。


ルール(V基準)

  • 筐体に100円を投入すると、パックが1枚排出され1回分プレイ可能になる。
    • 2人プレイも可能。200円必要だがパックも2枚排出される。
  • 持っているパックを筐体の真ん中にあるスキャナーと呼ばれる部分に、ポケモンが書かれている面を上に置いてスキャンする。画面にポケモンが出てきたら自分のフィールドにスライドすることでエントリーが完了する。
    • 3体までエントリーさせることができ3vs3の戦闘となる、足りない場合はレンタルポケモンが仲間に加わる。
  • また筐体にメモリーキーを挿すことにより、自分のトレーナーデータやプレイに伴う経験値、ゲーム内通貨のメダル等を記録保存できる。
  • フィールドの中でパックを動かすと画面の中のポケモンもそれに合わせて動く。パックを動かして落ちてくるきのみを拾うことで、各ポケモンのきのみゲージが溜まる。
  • きのみゲージがまんたんになったポケモンは、わざを発動させて相手に攻撃をすることができる。
    • 攻撃・防御側それぞれが自分のポケモンから1体ずつ選び、それらの攻撃力や防御力、相性などをもとにダメージを算出する。
    • 攻撃前にバーが出るので、ボタンを押して止める。中央の範囲内で止めれば相手のフィールドにキケンゾーンが発生する。ど真ん中で止めることができれば大成功で、攻撃力が上がりキケンゾーンも大きくなる。
    • キケンゾーンは防御側のポケモンを追走するので、防御側は制限時間内にパックを動かしてキケンゾーンを避ける。攻撃時にキケンゾーンにいるとダメージがアップする。
  • パックにはベースとなっている「パックカラー」とスピン状に入っている「スピンカラー」がある。パックカラーが3体そろっていると強力なポケモンをこうりんさせることができ、スピンカラーが3体そろっていると追加攻撃を行ってくれるスピンアタッカーを登場させることができる。それぞれ、全体がきのみを拾うことによってチームゲージを一定数まで貯めることで発動することができる。
  • これを繰り返して先に相手のチームHPを0にした方の勝利。どちらのHPも残ったまま時間切れになったら残りHPが高い方の勝ち。
    • なおチームHPは、各ポケモンのHPを合計したものとなっている。(レベル等でのHP上乗せもあるが詳細は割愛)

評価点

  • ポケモンパックのコレクション性の高さ。
    • 当初はノーマル(赤)、スーパー(青)、ハイパー(黄色)、マスター(紫)の4色のみだったが後にプレミアボールやゴージャスボールなど多彩なボールカラーが登場している。さらに17弾、18弾ではパック上部がすべてクリア仕様になっており、さらにマスターはパック上下、ダブルクリアになっている等見た目も豪華になって収集欲をより起こさせるものとなっている。
    • バトリオVではパックデザインの変更にともない、レアリティがシングルレア(☆1つ)、ダブルレア(☆2つ)、トリプルレア(☆3つ)と名称が変更された。V03弾ではトリプルレアよりさらに上位のレアリティであるフォースレア(☆4つ)が登場、V04弾ではさらにフォースレアより上位のレアリティであるVレア(☆5つ)した。星の数が多いほどレアリティが高く仕様が豪華。
    • 特にピカチュウのパックデザインのバリエーションはかなり豊富で、スーパーパック(青)で登場した以外にプロモパックではゴージャスボールでイラストがホイル仕様で3種類、16弾ではパック上部クリアでメッキ仕様、17弾では3Dでイラストが飛び出すように見え、18弾では謎のパック(ポケモンバトリオVで登場した、スピンパックの先行デザイン仕様)として登場し、黒地に白のラインでパックを傾けたりして動かすと手を振ったように見えるデザインになっている。なお、16弾~18弾で登場したピカチュウのパックはいずれも排出率が低く、レア扱いである。
  • ポケモンを動かす感覚は楽しい。
  • シンオウ地方までのポケモンのモデル及びグラフィックは『ポケモンバトルレボリューション』等から一部流用があるものの、基本的には好評。
    • ちなみに『ポケモンバトルレボリューション』等準拠のイッシュ地方のポケモンのグラフィック、モデルは本作が初公開である。
  • プレイヤーのアバター含む人間キャラのデザインは基本的に好評。V03弾以降、ゲーム内のメダルを9999枚消費し、やまおとこや、うきわボーイ等のアバターをメモリーキーに保存できるようになった。その数はデフォルトの色違い入れずともなんと20種類以上ある。他にはVバトルに勝利するなどして増やすことができる。保存したアバターはパックを買うモードにて自由に変更可。ただし、はじめにメモリーキーに登録した性別を跨いでは変更、保存できない模様。
  • ポケモンの技を繰り出すムービーもそれぞれ用意されている。
    こうりん時も含め、ポケモンバトルレボリューション等と比較しても非常に豪華である。
    • 特にピカチュウの技のバリエーションはかなり多く、必見である。
    • 他にはディアルガの技「ときのほうこう」、パルキアの技「あくうせつだん」はバトリオ0以前、以後の登場分とそれぞれ各2種類ずつのムービーがあることや、ダブルこうりんで同時にディアルガ、パルキアが登場し、それぞれ同時に「ときのほうこう」「あくうせつだん」を放つムービーも用意されている。ピカチュウ程ではないが、パックのバリエーションも豊富であり優遇されていることが分かる。
    • バトリオVでは、レシラム、ゼクロムが特に優遇されており、コンビネーション技やV技の1ターンに2つ技を繰り出すムービーの演出は非常に凝っており迫力満点。

バージョンアップ後の評価点

  • ゲームシステムは新要素などにより確実に向上していた。
  • バトリオS(スーパー)はシリーズ中でパックごとのバランスが非常に良く、やる気チャージにより、ノーマルパックやスーパーパックといった低レアリティのチームでマスターパックのチームを倒せるようになったりと非常に好評だった。実際、とある大きな大会の決勝戦において、マスター、ハイパー、ノーマルのチームに対してスーパー、スーパー、ノーマルのチームが勝ち優勝した記録も残っている。その他、チャンピオンモードや道場モードといったやり込み要素も充実していた。
  • バトリオVになってから主題歌が導入された。歌はGero氏が担当している。こちらも好評。2011年6月のイベントでライブがあった。

問題点

  • 初期は『甲虫王者ムシキング』や『ドラゴンクエスト モンスターバトルロード』などと違い、強いパックさえあれば簡単に勝ててしまうため戦略性が非常に薄かった。
    • 弱いパックでは勝てない事もないが限界がある。勝ち進むには黄色以上のパックが必要であり一種のマネーゲームになってしまっていた。
      • システムが進むに連れて改善されたが、やはりレアリティの差は大きかった。
  • バトリオ0以降、パックごとのバランスがバトリオ+以前に戻ってきており、リーダーアイコンや覚醒システム導入によるパックごとの性能のインフレやバランスがやや崩れている。
    • 正確にいうと過去パックには当然リーダーアイコンや覚醒システムが導入されていないものが多数で、必然的に同じポケモン、レアリティのパックでも性能に大きく差が付いてしまっている。
    • 特にハイパーパックやマスターパックにみられ、ひどいものだと過去弾パックの方が全方面下位互換になってしまい、肩身の狭くなってしまったパックも存在する。
  • また、17弾からダブル技が採用され、スキャン時にポケモンの技、本体タイプが決まるというパックが一部に存在しているのだがどちらかのタイプにしかリーダーアイコン、又は覚醒が付いておらず、過去パックのデータをそのまま流用している関係上、うまく差別化ができていない。

バトリオV以降の問題点

  • バトリオ0から続くステータスのインフレが加速している。
    • V01弾ではパックのレベルは最大でもレベル50程度だったのだがV02弾では最大75、V03弾では最大100までになった。その他でもシングルレアでもレベル60~80前後のパックがかなり登場してきている。当然、レベルの高いパックの方が全体的にステータスは高めだがレベルパワーの開放にはそれなりの散財が必要だったり、攻撃までに貯めるきのみケージが貯まりにくかったりする難点もあったり、レベルの低いパックは一応、スピンアクションや降臨までのケージが短めな為早く発動できるといった長所もあるため一応差別化できる。
  • バトリオ0までのパックは使用はできるものの実戦ではほとんど役立たずの性能となってしまい、観賞用同然の無価値になってしまった。
    • バトリオVで導入された新要素は当然のごとく未搭載、新要素の一つであるレベルシステムがゼロまでのパックには存在しないため、メモリーキーのレベルによる強化ができなくなってしまった。また、ゼロまでのパックにあったアイコンや覚醒はVでは存在しないため、単なる飾り同然。おまけにV03弾で追加された要素であるパックカラー、スピンカラーの両方揃えたときのみ可能な4枚目のスキャンにも非対応。
      たとえ、マスターパック3枚でチームを固めようがパックカラーやスピンカラーを揃えてない比較的HPの高いシングルレアのみのスピンパックのチームにすら勝つのは絶望的。スピンカラー、パックカラーを揃えたチームによっては通常攻撃1回+V03弾で登場したスペシャルアタッカーの追加攻撃のみで瞬殺できてしまう程である。
    • システム変更による過去カードの弱体化は『仮面ライダーバトル ガンバライド』や『スーパー戦隊バトル ダイスオー』等でもみられてはいる。
      ちなみに、タワーモードの対戦相手のポケモンは主にゼロまでの過去パックのデータ流用なのだがパックレベルは存在しないものの、スピンカラーやパックカラーに対応している。この事からゼロまでの過去パックにもやろうと思えばスピンカラーやパックカラーに対応させることができたのではないだろうか? もし、スピンカラーやパックカラーに対応していれば17弾~18弾までに登場したダブル技のパックとうまく組み合わせることができたかもしれないだけあって折角、今までいろんな種類のパックが登場してきているだけあって非常にもったいないのである。
  • トリプルレア以上の扱い
    • トリプルレア、フォースレアはステータスが全体的に高く、特殊能力がある代わりにパックカラー、スピンカラーは存在しない。その為、チームに入れるとスピンアクション、降臨が発動できないため、チーム全体的な火力不足になりがちだったが、V04弾の新要素であるパックカラーチェンジでトリプル以上込みでも降臨が発動可能になった為一応、強化はされた。しかし、V03弾以降のトリプルレア以上のパックはV技以外は特に特別な能力は有しておらず、スピンアクションやスペシャルスキャンはできないため、V技を持っているダブルレア以下でチーム組んだ方が遙かにいい。ただし、V02弾のトリプルレアのキュレムやレシラム、ウルガモスは攻撃時に状態異常にすることがある為、こちらとの相性はいい。
    • もっぱらV03弾で登場した、4枚目のスペシャルスキャン専用で扱われることが多いのだが、フォースレア及びVレアを所持していればトリプルレア以上にスペシャルスキャンでチームを強化できたり、スペシャルアタッカーの威力もこちらの方が上の為、トリプルレアの扱いは全体的に冷遇されている。
      ただし公式大会ではVレアは現時点ではだいたい使用禁止である為、トリプルレア、フォースレアが使用可能な大会では主に使用されていた。
  • V04弾で登場したシークレットパックである、アルセウスのパックが強すぎる。
    • 一言でいえばゲームバランスを崩壊させかねない壊れ性能であり、簡単に説明すれば相手の攻撃やスピンアクションに対して防御する際に必ず有利なタイプに変化する。例えば相手が炎タイプの場合は防御時にアルセウス自体は水タイプに変化する。
    • その為、アルセウスで相手のスピンアクションを防御すれば確実に失敗させることができる。しかもレアリティはダブルレアであるため、極悪さに拍車をかけている。おそらく本編における特性「マルチタイプ」を再現したものだろう。一応、攻撃時はノーマルタイプで弱点を突くことができないがこんなことは些細なことである。あろうことか一部除く公式大会でも禁止化されておらず、使用可能であった。(バトリオ0時代ではアルセウスのパックは全面的に使用禁止であった。)
      このような性能であり、同じ弾の他のダブルレアと比べて封入率が低く抑えられているからか、最上位のレアリティであるVレアよりも高値で取り引きされているケースもある。
  • レアパックの封入率は対象年齢を考慮せずともかなり厳しめ
    • バトリオゼロまではハイパーパック以上(要するにキラパック)はだいたい10枚に1枚は排出されていたがバトリオV01弾ではダブルレア、トリプルレアあわせても100枚中2~3枚ほどしか入っていない。ゼロまではハイパー、マスター含めてもだいたい100枚中15枚から20枚は入っていた為、かなりレアパックの排出が厳しくなっている。さらにタチが悪いことに100枚(1万円分)連続パックを買ってもシングルレアのみしか排出されなかったとの報告があったり、同じシングルレアのパックが連続で排出されるような事が頻発していた。ひどいときには同じパックが6連続続いたとの報告も……。
      ちなみに1ゲームに同じ種類のパックは2枚以上スキャンできない。同種のポケモンでもパックナンバーが違えばスキャン可能。
    • 一応、シングルレアのパックでもゼロまでのマスターパックよりは最低限強い種類のものも多く、バトリオ0まで問題視されていた弱いパックしか手に入らないといったことは極力起こらなくなってきている。実際、シングルレアのみでもパックカラーやスピンカラーさえそろえれば、それなりに遊べる。一応弾を跨ぐごとにレアパックの封入割合は上昇傾向にある。
  • バトリオV以降はイッシュ地方(ポケモンBW)のポケモンが全体的に露骨なまでに優遇されており、一方で旧ポケモンのパックカラーのバリエーションが乏しい。
    • 一応、イッシュ地方のポケモン参戦を前押しされていたため仕方ない面もあるが、V01弾から現時点のV04弾までに全てに収録されているイッシュ地方のポケモンも多数存在する。
      バトリオ0以前のピカチュウやそれまで優遇傾向であったディアルガ、パルキアよりも収録頻度がはるかに多い。

筐体・グッズの問題点

  • チップは筒の中に入っており、それなりに工夫されているのだがカードと違って排出時に詰まりやすい。
    • また、入荷するセット数が他のカードゲームと同等かそれ以上の枚数なので物理的に管理しにくい。
  • 筐体によってはメモリーキーの差込口の接触不良やパックのスキャンがしにくくなっていたり、ボタンの利きが悪くなっている台もある。
    要するにメンテナンス不足で、設置店側の問題点であるが。
  • メモリーキー等の関連グッズが不定期に発売されるが、時期を逃すと非常に入手困難になりやすい。
    • パックセット等、内容が豪華な為に品薄や品切れになりやすいにもかかわらず、ほぼ初回出荷分限定で、あまり再販や再入荷されない傾向がある。
      ほぼ必需品である一部のメモリーキーにもこの傾向がみられた。
      • そのため、ネットショップやオークション等では定価の倍以上で売られていることも……。

総評

ポケモンというビッグタイトルから稼働当初は『ドラゴンクエスト モンスターバトルロード』等同様、大人気を博した。
ゲームとしての出来は初期の頃は強いパックさえあれば勝てるといった内容でゲームバランスが悪く、戦略性もほぼ無いクソゲーに近い出来*1ではあったが、バージョンアップを繰り返し、ゲーム性はいくらか改善された。システムの作り込みの甘さや問題点にて前述した過去パックの扱いが全体的に手抜きなのが惜しまれる所。
バトリオVに至ってはパックデザインを大幅に変更したにもかかわらず、稼働開始してから僅か1年足らずで稼働終了してしまった。


余談

  • バトリオ0は台湾でも稼働している。ただし、日本のバトリオ0とは違い、メモリーキーが存在しないため、一部仕様が異なっている。筐体、パックリスト等では現地の言語が使用されているが、パックに表記されている言語は日本語のまま。
  • 2011年3月、日本代表選手とのインターナショナルマッチが予定されていたが当月に発生した東日本大震災の影響で日本代表の遠征が中止になり実現しなかった。
  • 過去パックは大幅な弱体化のせいか、地域にもよるがカードショップ等では当初、高額だったマスターパックですら500円以下で投げ売りされていたり、ノーマルパック等レアリティの低いパックの買取り拒否をしている所もあった。オークションでも(一部のパックは除くが)過去パックの大幅な値崩れが進んだ。
    • 逆にいえばこれまで入手困難だったパックを集めやすくなった利点もあるが、一部の弾のキラ仕様のパックは全体的にイラストが劣化しやすく、パック上部に欠けがあったりして状態が悪くなっているものもあり、加えて、新品同様の物はあまり出回らなくなってきており、美品の物にこだわるのであれば依然入手しにくいのは変わりない。
  • 「ポケモンバトリオ まとめWiki」が存在したが、現在は消滅している。

その後

  • 本作稼働終了にあわせて2012年7月に新TCAGである『ポケモントレッタ』が稼働開始になった。

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最終更新:2022年11月10日 00:18

*1 無印~プラスの頃まではディアルガ、パルキア、ダークライ等レアリティが高いパック(もっとも、当時はマスターパックは軒並み封入率が低く、レートが非常に高額で入手が困難であったが)でチームを固めれば、タイプ相性関係なくゴリ押しは容易であった。そんな当時はまさに『遊戯王デュエルモンスターズシリーズ』の初期を思わせるゲームバランスだった。