銀河の三人

【ぎんがのさんにん】

ジャンル RPG
対応機種 ファミリーコンピュータ
発売元 任天堂
開発元 パックスソフトニカ
発売日 1987年12月15日
定価 5,000円
判定 なし
ポイント 孤軍奮闘系・悲恋オチ
商業的にはズッコケ


概要

エニックスが1985年にPC-8801等で出したパソコンゲーム『地球戦士ライーザ』をファミコン用に大幅にアレンジした作品。任天堂初のRPG作品である*1
「ライーザ」とはロボットの名前であり、プレイヤーがこれを駆り外宇宙からの侵略者「ガルム」と戦う、という内容のSFRPGである。

パッケージイラストのテイストが原作からかけ離れていたためゲームのイメージが伝わり難くなってしまったこと、発売日が『ファンタシースター』『ファイナルファンタジー』『ドラゴンクエストIII』などの話題作に挟まれていたことや、当時の任天堂には珍しくTVCMや雑誌広告が打たれなかったなどの要因で、商業的には失敗に終わった。

特徴

  • 3人パーティー制のゲームであるが、ヒロインにあたるリミは地球から超能力でプレイヤーをサポートするという設定で、直接戦闘は主人公とパートナーのブルーが行う。
    • 主人公とブルーのどちらがやられても敗北扱いで、強制的に本拠地に戻されてしまう。
  • 序盤は太陽系が舞台となり、最初は月へ向かったり、火星、金星、天王星等を探索する展開もある。しかし後半になるとガルムの本拠地である銀河系が舞台となる。
    • 宇宙ステーションも存在し、補給を受けたりウラン(お金)とアイテムを交換する事も出来る。
  • 戦闘では弾数無限だが威力が小さいビーム、拠点などで弾の補給が必要だが命中率が高く強力なミサイルの2種類の攻撃を使いこなして戦う。
    • 敵は常に1種類だが、最大で9匹登場。こちらの攻撃は常にグループ攻撃扱いになり、敵の数が多いと威力が分散される(敵数で割り算)。そのため、攻撃対象を数匹に絞る代わりにダメージを多くできる1WAY/3WAYの攻撃オプションを道中に入手出来る。
    • ミサイルを選択した場合、使用する量を設定して一度に撃ち込む。撃ち込んだ回数分ダメージも跳ね上がるので戦闘における切り札となる。
    • プレイヤーが成長するにつれて敵も強力になるシステムをとっており、かつ、ストーリーを進めない限り一定のところで成長が頭打ちになる。
      • そのためレベルを上げまくってゴリ押しは出来なくなっている。レベルアップでの能力上昇はMAXHPのみで、リミがいる場合はMAXSPと新ESPも覚える。上昇幅は固定で、運の要素はない。
      • このため、戦闘能力の底上げには途中で見つかる各種アイテムが重要な役割を果たす。
    • 戦闘から逃げるには「通常」と「跳躍」といった方法があり、「跳躍」は確実に逃げ切れるがHPを消耗する。「通常」は追い付かれる可能性はあるが逃げ切れると消費無しで戦闘を回避できる。
      • ダンジョン探索中は「通常」の方法でしか逃げられない。
      • 「跳躍」も万能ではなく、敵の「ワイヤー」で捕まった場合は使用できないし、一部の敵の場合は跳躍後でも追い付いてくることがある。
  • ボス戦では到着時には攻撃が届かない為、一方的に攻撃を受ける羽目になるが、それを何とか耐え凌ぎ、射程に入るまで接近する必要がある。
    • 攻撃を凌ぎながらボスの射程に入って、持ちうるミサイルをすべてぶっ放す瞬間はこのゲームでも屈指の手に汗握る展開でもある。
  • 宇宙空間は特殊な独自の移動方式を採用。
    • マップ上で目的を設定すると、そこまでの直線移動距離が提示される。その距離を、ブースターで跳躍して移動する。ブースターはゲーム中に入手することで増えていく。
    • 例えば、20の距離で、ブースター設定が2であれば、10回跳躍することで目標地に到達できる。跳躍の度に、ランダムで敵とエンカウントする。
      • ブースターは最大8個まで使用可能。使用する数を増やすほど少ない跳躍で目的地にたどり着けるが、HPを消費してしまう。使用量が少ない場合はHP消費はないが、跳躍回数が増える分エンカウントの確率も増えるため、一長一短ではある。
  • 一方で、各惑星では、サイドビューの一般的な2Dダンジョンとなる。

衝撃の結末

+ ネタバレ注意
  • 主人公とブルーは月での調査任務で、記憶を失っていたリミを発見する。地球から主人公たちをサポートするうちに、リミは(積極的にアプローチしてきていたブルーよりも)主人公を愛するようになっていく…と途中まではありがちな話ではある。
    しかし、ラストにおいて、ガルム帝王ウェライとの戦いの過程でブルーが戦死し、更に戦いの終結後にリミが記憶を取り戻しガルム帝王ウェライの妹であるという事実が判明する。そして最終的にリミも死亡し、仲間全員と死別するという悲劇的な結末に至ることとなる。
    • 一族の規律を乱す元となる「愛」や「友情」といった人間らしい感情を捨てることで鉄の掟を守ってきたガルム人たちは、厳しい統制を続けるための遺伝子操作を施されており、リミもまた例外なくその対象だった。
    • 遺伝子操作によりリミは「愛を抱いた瞬間にガルムウィルスが発生し存在そのものを消滅させられる」という体に作り替えられており、更にそのウィルスは地球を死の星に変えてしまうほどに強力なものであるという。ガルム人でありながら主人公を愛してしまったリミはすでに発病寸前の状態に陥っていた。
      いつか3人で行った思い出の浜辺で銃を向け合い、愛し合っていながら望まぬ命のやりとりをしなければならない2人。そして銃声が響き、主人公の手にかかってリミは死んでしまう。
      直後リミの銃を調べると、トリガーがロックされていた。リミは最初から死ぬつもりでいたのだ…。
      • 最後にただ独り残された主人公が、死んでいった仲間を想い独白するシーンで物語は幕を閉じる。

評価点

  • 主人公の相棒のブルーが戦闘中本当によく喋る。主人公の攻撃ミスや敵の変な行動などに突っ込みを入れたり、挑発してくる大ボスに対してやれるもんならやってみろとばかりに見得を切ったりする。
    おかげで、戦闘要員がたった2人という絶望的な状況をやわらげてくれる。
    • 「イヤーはずしちまったぜはっはっは!」と笑った挙句に反撃で宇宙の塵にされた場合はイラっと来るが
    • 同じく仲間キャラのリミも戦闘には直接参加しないが、ESPで大いに助けられるし、イベントでも存在感がある為、愛着が沸きやすい。
    • レベルアップすると通信が入り、主人公、ブルー、リミの三人のミニイベントが挟まるなど画期的な演出もある。
  • テクノポップバンド「イエローマジックオーケストラ(YMO)」の高橋幸宏が本作のBGMを担当。戦闘BGMが、代表ナンバー「ライディーン」に類似している。
    • 戦闘BGMはイントロと音程が違うだけで雑魚戦ボス戦全て同じメロディであるが、それでも音楽自体が非常にかっこよく、どのシチュエーションにもあっている。

問題点

  • HP回復アイテムの「エネルギーパック」は所持制限が9と厳しく、全回復するわけでもない。エネルギーをケチって回復する場合はリミの超能力に頼ることになるが、彼女のESPは拠点に戻らないと回復しないためこちらもやりくりが難しい。
    • しかも、最大レベルの40でもMAXHPが敵の攻撃力に比べ低め(274)であり、打たれ弱いのも拍車をかけている。
  • ラストダンジョンはだだっ広い、ダメージゾーン多い、敵強いの3重苦が待ち受けており、そこで難易度が急上昇する。
    中でも頑丈・攻撃力高い・数が多いし仲間も呼ぶ・回復さえする…というゲーム中最強のザコ・ガルバンゴルからの撤退失敗→全滅はお約束である。
    • このため、雑魚エンカウントを少なくするテクニックが多用された。メニュー画面を開いて閉じた後の数歩はエンカウントが発生しないので、開いて閉じる→少し進む→開いて閉じる…の繰り返しで無理矢理進む事が出来る。裏技的だが実質必須(使わない場合は、運がかなり絡む)というレベルである。この技と最終兵器のイカロス砲の併用でどうにかクリアは達成出来る難易度に持ち込める。
      • 実はガルム要塞内の敵の編成については「こちらのレベルによって出て来る敵が違う」という隠し仕様がある模様で、レベル39以下の場合は『ガルバンゴル9匹』とのエンカウントはしない模様。気づいていればかなり進みやすくなるのだが、ノーヒントなのでそんな人はごく少数だろう。

総評

ストーリー面では結末におけるどんでん返し的展開でユーザーを驚かせた。
ゲーム面ではバランス取りがシビアで、ラストダンジョンが飛びぬけて難解という状況からクソゲー扱いされる向きもあるが、それと張り合えるくらいの魅力は持っている作品である。

余談

  • FC版のキャラデザを担当したのは永井豪。オリジナル版の、80年代SFアニメによく見られる感じ(「マクロス」などに近い)のキャラクターたちと印象が変わりすぎている。
    • ちなみにオリジナル版のグラフィッカーは『オプーナ』でおなじみの眞島真太郎*2である。
  • 敵を破壊した際に稀に「ガルムの抜け殻」「ブルーの藁人形」「カップラーメン」といったアイテムを入手出来るがブルーに捨てられてしまう。抜け殻はともかく、あとの二つはとてつもなくシュール…
  • 双葉社よりゲームブック版として『銀河の三人 復活のヴィザーン』が発売されていた。結末は原作と異なる。

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最終更新:2023年10月15日 13:00

*1 移植ものでない完全オリジナルのRPGというくくりなら1989年の『MOTHER』が初である

*2 『オプーナ』のデベロッパー、アルテピアッツァの代表取締役社長でもある