アーマード・コア フォーアンサー

【あーまーど・こあ ふぉーあんさー】

ジャンル メカカスタマイズアクション

対応機種 プレイステーション3
Xbox 360
発売・開発元 フロム・ソフトウェア
発売日 2008年3月19日
定価 6,800円
判定 なし
ポイント 『アーマード・コア4』の続編
シングルプレイは高評価
調整不足でラグ頻発のオンライン
前作『4』を知らなくても大丈夫
アーマード・コアシリーズ


概要

前作『アーマード・コア4』の前日談である国家解体戦争から数えて数十年後、前作から13年後の世界を舞台とした続編であり、一部の登場人物や世界観が引き継がれている。

前作『4』の出来事をきっかけに開発された巨大兵器「アームズフォート」と、超高速戦闘用の新装備「VOB(ヴァンガード・オーバードブースト)」に加え、機体を防御する粒子装甲「プライマルアーマー」を攻撃に転用した「アサルトアーマー」と言った新要素が登場し、前作において構築されたいわゆる「4系」の世界観を更に掘り下げたものとなっている。
その他、マップ上に存在するほぼ全てのオブジェクトが破壊可能になる等、演出面においても新たな要素が盛り込まれた。

オンライン対戦は、前作のオートマッチングからルーム制へと変更され遊びやすくなった他、オンラインの協力ミッションも登場。

EN周りの改善や、挙動の軽量化、救済パーツの存在もあり、難易度は総じて前作より易しくなったと言える*1


ストーリー

国家解体戦争から数十年の未来。

支配者たる企業は、自らが汚染し尽くした地上を見限り、
高空プラットフォーム、「クレイドル」を建造。高度7000mの空に、新しい、清浄な生活空間を見出していた。
すでに、人類の過半はクレイドルに住まい、地上は、資源基地と、それを巡る戦いの舞台に過ぎなかった。

一方で、国家解体戦争において企業支配体制を確立した原動力、
人型兵器アーマード・コア「ネクスト」と、その搭乗者の「リンクス」は、
その圧倒的な力の、個体依存性に危機感を抱いた企業により、企業機構「カラード」管下の傭兵として、地上に残された。
今や、企業軍の主力は、巨大兵器「アームズフォート」であり、
かつて戦場を支配したネクストたちは、薄汚れた地上で延々と続けられる、経済戦争の尖兵と成り果てていた。

『ARMORED CORE for Answer』公式サイトより抜粋


追加要素

パーツの大幅な増加

  • 前作『4』から大幅に増加。新しいパーツカテゴリも追加しつつ、前作のカテゴリ内でもパーツ数が増加している。

アサルトアーマー

  • 自機の周囲に展開されているプライマルアーマー*2を収縮させ、自機周辺で大規模なコジマ爆発を起こす新兵器。
    アサルトアーマーの使用後は、コジマ粒子による甚大な汚染が原因となり、周辺のネクスト機は、自機も含めて一定時間PAが展開できなくなる。
    • PAを展開していないネクストは装甲面に不安を抱えるため、PAを展開できなくなるこの兵器は中々にハイリスク。無論、それを飲んで使用するだけの爆発的な威力も持ち合わせていたのだが…? 詳しくは後述。

アームズフォート

  • ネクストに代わる企業の切り札として登場した絶大な火力と長大な射程を持つ巨大兵器。個人の才能に頼る所の大きかったネクストに替わる、代替可能な多数の凡人によって制御される安定した戦力として開発された。
    • 「大多数のネクストにとってはジャイアント・キリングは奇跡の親戚である」と劇中でも評される程の戦闘能力を備える。

ヴァンガード・オーバードブースト(VOB)

  • アームズフォート(以下、AF)の長大な射程外から高速接近する為に開発されたネクスト用新装備。急速接近の用を足した後は即座にパージされてしまう。
    • だが、ただでさえ強力なネクスト標準装備のオーバード・ブーストすら軽く凌駕する速度で加速し、機体のアセンブルによっては最高速度が4000km/hを上回る事も。

オンライン協力プレイ

  • オンラインで他のプレイヤーとミッションを攻略する事が出来る。一部のミッションでは選択できないが、進める分には非常に楽になる。難易度ノーマルのミッションをプレイする時はストーリーモード上からルームを立てる事も出来る。

特徴

更に速さの増した操作感覚

  • 操作方法自体は前作から変化無く、「4系」の代名詞と言えるクイックブーストももちろん健在。速い上に小技もいくつかある為、直ぐに慣れるかどうかはその人次第。ただ、慣れてからの爽快感はかなりのもの。
    • 動作系が見直され、よりスピーディーに動かせるようになった。EN周りも改善されており、前作よりも格段に動かしやすくなっている。

ストーリー・シナリオ

  • 本作は、『LR』と同じく途中でルート分岐するマルチエンディング方式を採用している(1周目はルート固定)。
    • 『LR』では視点こそ変わるものの、物語の結末自体は一定の物となっていたが、本作では物語の結末そのものが変化する。
    • その結末はどちらも正しくもあり、どちらも悪しきものであり、考えさせるものとなっている。そして、主人公が(おそらく)シリーズ史上最悪の存在と化すバッドエンド的な結末も。
    • ルート分岐後のミッション数が少ないのは残念だが、「この戦いの向こうに、答えはあるのか」という今作のキャッチフレーズを体現するのに一役買っている要素といえる。

ミッション

  • 前作と比較して単調なミッションが減り、バリエーションに富んだものとなっている。
    • 敵施設への侵入・脱出、トレーラーの護衛、高高度での作戦など旧作でも見られたミッションも増加。
  • 今作の目玉であるアームズフォートも随所で登場し、単なる固定破壊目標としてだけではなく時には僚機(という名のライバル)*3になったりと様々な役回りを演じる。

パーツ

  • 前作からパーツの種類が大幅に追加されており、総数は450種類以上。
  • フレームパーツは重量逆関節系統のパーツが追加された他、各企業ごとに新作パーツが多数登場。武器も新カテゴリが追加され、ゲームバランスを崩してしまうような強力パーツからインパクト重視のネタパーツまで勢ぞろい。

評価点

進化したミッション

  • 前述の通り、本作ではミッションの種類が増加。単純にバリエーションも増えており、やりごたえは十分。
  • 前作で好評だったハードモードも搭載。敵ネクストの増援・戦況の変化など、単なる難易度上昇に留まらない作りは健在。
    • 前作ではシナリオそのものの印象が変わるほど、様々変化が起こってしまっていたが、本作では展開そのものへの干渉は最小限に留まっているのも地味ながらポイント。
  • 異常に凝った演出のミッション前ブリーフィングもかなりの好評。作戦目標の確認もしやすく、非常にスタイリッシュな作りになっている。
    ミッションの説明を行う、各企業や組織の仲介人にもそれぞれ強い個性があり、何れも色々な方向や意味でプレイヤーに気に入られている。
    • 前作では出撃を決定してからブリーフィングだったが、本作では先に内容を確認した後に出撃するか否かを聞かれる為、機体構成を変えに戻れるようになったという改善点もある。
  • 3系で好評だった僚機システムも追加された。雇えるミッションは限られているが、それぞれのミッションを違った形で楽しむことが出来る。
    • 例によって、この僚機達も個性に溢れている。特に日本の架空企業の代表取締役社長自ら操縦する上、素敵な機構による展開に数秒を要する専用の大火力グレネードを持つ「雷電」や、僚機の中では圧倒的な強さを誇り、ルートによってはラストまで行動を共にする「レイテルパラッシュ」等が人気。
  • ミッションは、強制的に設定される僚機がいるミッションや、一部の重大なミッションを除き、オンラインで協力プレイが可能。
    上手なリンクス同士だとあっさりケリがつく事も多いが、シリーズ中でも共闘しているという感覚が最高に味わえるものとなっている。

非常に豊富なパーツ群

  • 前作続投分と合わせて450種類を超えるパーツは、前作の出来事で変化していった世界情勢を意識し、正統派であったり奇抜であったり各企業の色がより強くなっている。
    • 骨組みのような奇抜なシルエットを有するものも存在し、より多彩な機体を組み上げる事が出来る。更に、スタビライザーに装着のデメリットが無くなった事でほぼ完全にアクセサリーと化している為、デザイン自体も自由度が増した。
      これによるものなのかは定かではないが、いわゆる再現アセン、ネタアセンが盛んに行われていた。
  • 例によって「産廃」クラスのパーツも存在はしているが、レギュによって多少は改善された。逆に改善されないものの中にも、それはそれとして愛されているものもある。
    • その良い例がグレネードの類似武器となる、『4』から続投のロケット。グレネードと同じく着弾点で爆発を起こすのだが、こちらは「火力がライフルに毛が生えた程度」「ライフルに比べて弾速が遅い」「にもかかわらずロックオン不可(自機も相手もとにかくビュンビュン動く本作では致命的)」と、だれがどう見ても産廃としか言えない状況だった。
    • ところが、後期の新レギュによって「威力が大型グレネードと同等」「にもかかわらず連射力がライフル並」と、これまでの鬱憤を晴らす、対固定兵器のリーサルウェポンに生まれ変わった。後に多少火力が抑えられたが、この大出世に多くのリンクスが歓喜した。
    • しかし、全体としてみるとあまりバランスが取れているとはいえず、真っ当に戦えるアセンブルはそれなりに形が限られてしまう事になる。

その他

  • 前作からインターフェイスが見やすくなり、全体的な利便性が向上した。アセンブリのやりやすさ等が特に挙げられる。
  • ミッションに関しても、全般的にコントラストが緩く、視界がくっきりした。前作は全体的に視界が悪くなりやすいシチュエーションが多かったが、これは賛否両論な面があったため、本作にて改善されたと言える。
  • 全体的なマップが広がったこともポイント。ただし、これは「より大きなマップが追加された」という事と、「前作よりも屋内ミッションが減った」という二点によるところが大きく、決して前作が劣悪だったという訳ではない。

賛否両論点

はっきりとしたキャラ付け

  • 本作ではシリーズでも珍しいほど、様々なキャラにしっかりとしたキャラクター付けがなされている。
    • これは主人公の下す決断によって結末そのものが変わる本作には、感情移入と味方に付く勢力を決めるという面で欠かすことのできない重要な点となる。
    • 狙った場合を別にして、キャラクターそのものが破綻しているキャラや、世界観から浮いてしまっているキャラはおらず、この点自体は決して悪くない。
  • この副次影響…という程でもないが、本作では展開や結末もかなり分かりやすくなっており、「結果は分かっても結末はボカされる」事の多かった本シリーズだが、本作では、主人公が下した決断によって、世界がどの様になっていくのかが、端的ながらある程度明言されている。
    • 無論、他作品ではこれは一つの評価点…というよりも、ぶっちゃけこれが普通なのだが、その後の展開やキャラ同士の関係性など、プレイヤーの考え(というよりも妄想)に任せる部分の多かった本シリーズにおいては、はっきりし過ぎて逆に賛否両論になってしまっている。
    • 繰り返しになるが、ストーリーがおかしな訳でも、キャラ付けが変な訳でもない。むしろ、本作でもプレイヤーの想像に任せる部分は多々ある。あくまで本シリーズ故の賛否両論である。

問題点(オフライン)

  • 処理落ち
    • 今作ではオブジェクトを破壊する事が出来るが、破壊時のエフェクトで処理落ちを起こす。
    • この破壊エフェクトが重なると処理落ちするが、結構な頻度で起こりやすく、マップによっては操作性に悪影響を及ぼす。
    • 特に動くオブジェクトの多い対AF戦では顕著で、後述のプラズマなどのエフェクトの大きい武器を併用すると酷い時は自機や敵弾の動きがコマ送りに近い状態になる。
    • 開発元であるフロム・ソフトウェアは『レギュレーション』と呼ばれるパーツのパラメータ等を変更するアップデートを実施していたが、着弾時に派手なエフェクトが出るプラズマのECM効果の発生時間が延長された事により、そのエフェクトが長時間着弾地点に残るようになった。その為、2発ほど連射すると途端に処理落ちが発生し、エフェクトが消えるまで動作がカクカクというストレスが溜まりやすい状況になる。
    • 『テストプレイしなかったのか』と言われる要因でもある。
      • 前作『4』と比べ、オブジェクトのグラフィックは簡略化されている傾向にあるが、それでもキツかったようだ。
  • またロード時間も若干長めだった前作から更に悪化。ロード中に表示される各企業の説明文を眺めすぎて設定を覚えてしまったプレイヤーも多いだろう。
  • フリーズの頻度も若干高く、原因が不明な事が多い上、再現性にも乏しい。アップデートでそれらしき修正は施されたものの、未だに起こる事がある。
  • 雑魚敵の手抜き
    • 空中を飛ぶ敵などの一部を除きほとんどが設置型となっている。『4』では動いていた大型機体が全く動かない置物となっていたり、腕だけが動き旋回もせず正面だけしか攻撃しない人型機体や、足踏みするがその場から動かないMTなど明らかな手抜きが目立つ。
  • その他ミッションに関して
    • 見所でもあるAFやVOBだが、AFの多くは明確な弱点・欠陥が用意されている場合がほとんどで強敵感が薄い。量産型はともかくワンオフのスピリット・オブ・マザーウィルやアンサラーも例外ではない。VOBについてもハイスピード感はあるが単なる移動手段に過ぎず、登場ミッション自体が少ない。今までの『AC』になかった要素に期待していたプレイヤーからはがっかりされることに。
+ 一部アームズフォートについて
  • スピリット・オブ・マザーウィル(SOM)
    • 作品のOPを飾ったAFの代表格とも言える機体だが、「搭載した砲による超長距離砲撃」「護衛のために機体の甲板に所狭しと並んだノーマル」などのOPでのド派手な演出や事前情報と比較するとミッション自体は地味で、強さ的にも初見殺しの強さはあるが慣れてしまえば大したことはない、といったレベル。マザーウィルとの対決ミッションはゲーム初期の終わり頃というタイミングなのであまり難易度を上げるわけにも行かなかったのだろうが。
    • ミッションの構成は「VOBで接近」⇒「VOBを切り離しSOMの砲が使えない近距離から攻撃」というもの。
    • VOBでの接近中はSOMが砲撃を仕掛けてくるのだがこの砲撃の命中率は著しく低く、何も操作しないでも一発被弾するかどうかといった精度。同じミッション構成で戦う量産型AFであるギガベースが鬼のような射撃精度だったのも情けなさを助長する。
      • ちなみに、SOMの所属は精度の高い射撃をコンセプトにしたBFF社。自慢の射撃精度はどうした、と言いたくなるほどのひどい射撃精度である。「建造から10年以上経ち老朽化している」「VOBによる強襲への対応能力が低い」というフォローが後に出た設定資料などでされているが……
    • その後、VOBを切り離しての接近戦で撃破することになる。「あの巨体をどうやってネクストで破壊するの?」と思うかもしれないが、「機体構造に欠陥があり、機体各所に与えられたダメージが機体の心臓部に伝播してしまう」という致命的な弱点があるため、機体各所のミサイルランチャー・主砲を破壊していくだけで勝手に大爆発してしまう。「何らかの弱点があるだろう」と予想しているプレイヤーは多かったが、この情けない弱点には拍子抜け・ガッカリしたプレイヤーも多かった。
      この弱点から、一部では「姉歯」などあんまりな名前で呼ばれてしまうことに。
    • 一応機体各所から鬼のように放たれるミサイル弾幕は強力だが、フレアを使えばある程度対処できてしまう。
    • ちなみに発売前の試遊イベントではSOMとの対決ミッションを試遊することができたのだが、その時はリンクスたちに攻略情報がなかったこともあって異常に強かったらしく、弱体化の要望が少なからずあったようだ。その為最初の試遊イベントから2回の弱体化をされて製品版の難易度に落ち着いた、という経緯がある。やはり、ミッションの時期的にあまり強くしてしまうわけにはいかなかったのだろう。また、グラフィック上でもミサイルランチャーが半数以下しか開門していないなど「手加減」している様子がうかがえる。
  • カブラカン
    • アルゼブラ所属の輸送型AF。ブリーフィングでは「ネクストの火力では撃破は困難」とされ、そのために「スカートアーマー内部のキャタピラを破壊しろ」と説明される。
    • そして指示通りスカートアーマーをうまく通過or破壊*4し、キャタピラを破壊すると装甲板をパージして格納していた自律兵器の大群で応戦してくるのだが…。
    • 以降、カブラカン本体は何もしなくなる。ミサイルやスラッグガンといった武器を搭載しているにもかかわらず、である。それどころか自律兵器を射出するムービーが流れた後カブラカン本体は単なるオブジェクトとなり、ネクストの攻撃で壊せるようになる。
    • こちらもSOM同様「ネクストの火力を寄せ付けない装甲」「大量の自律兵器」「機体前面に搭載された障害物破砕用の回転ブレード」などの派手な要素を発売前からアピールしていただけに、拍子抜け・ガッカリしたプレイヤーも多かった。
  • イクリプス
    • 円盤型の本体の下方にレーザーキャノンなどの火器を搭載したインテリオル所属の量産型AF。しかし円盤型の胴体が災いして、上を取られると反撃の手段を失う。搭載武器もパンチに欠け、APもAFの中では少ない方で、AFの中でもワーストレベルのポンコツ機体。
    • 一応は通常兵器を大量に搭載しそれを投下するという面での強みが予定されていたようだが、今作では大量の通常兵器を登場させられなかったのが災いした。これは前述のマザーウィルや他の量産型であるギガベース、ランドクラブも同様である。
    • ちなみに前作には同じインテリオル所属の大型兵器として「フェルミ」が登場するのだが、フェルミにはイクリプスのような死角がなくプレイヤー機と同じプライマルアーマーも備え、APも並のAF並に高いという強敵で、後発である当イクリプスより明らかに強い兵器だった。何故ここまで劣化してしまったのか。
      • HARD限定だが、フェルミは今作にも登場する。PAの削除など弱体化がされたにもかかわらず、やっぱりイクリプスより強い。
  • アンサラー
    • パッケージも飾った、ゲーム終盤に登場する巨大な傘のようなフォルムのAF。企業の有するアームズフォートの中でも最大・最強クラスの機体で、通常ミサイル・コジマロケット・レーザーキャノンで圧倒的弾幕を張ってくる上、遠距離からの攻撃は迎撃で無効化、果てはプレイヤー機の特権であったアサルトアーマーを大きな規模で使用するなど、終盤のボスに相応しい圧倒的な攻撃力を持つ。
      • 実際、まともに戦えば苦戦は免れない強さである…まともに戦えば。
    • だが厄介なミサイル砲台の一部は射突ブレード*5で簡単に破壊できる上、さらに機体の中心部に射突ブレードを叩き込むと当たりどころによっては一撃死してしまう
      • 確かに射突ブレードは「出が遅く踏み込みや追尾等も無く当てるのが至難な代わりに、直撃すればネクストACでさえ即死させる超火力」が売りの武器ではあるのだが、「ラストミッションの前座となる最強最大のアームズフォートがネクストの「とっつき」一発で沈む」という光景のインパクトは大きく、こいつもSOM同様「欠陥AF」「姉歯」などと呼ばれてしまうことに…。
    • ついでに、発売前のスクリーンショットで圧倒的な火力を喧伝していた上部レーザーキャノンは、実際のゲーム内ではただの飾り。処理落ちとの兼ね合いなのだろうが、かなり地味になってしまった。
  • スティグロ
    • インテリオル所属の海上戦用AF。アームズフォートの中では例外的に強敵と名高い。
    • スティグロは海上を猛スピードで移動しつつヒット・アンド・アウェイを仕掛けてくるのだが、機動力がネクストACでも追いつけないほど高く、射程の短い武器が機能しにくい。このスピードを武器に「反動付きのミサイル弾幕を乱射しつつ隙あらば機体正面の巨大レーザーブレードで轢く」という隙を生じぬ二段構えで襲ってくる。一応「ビル群に突っ込ませてスピードが落ちたところに集中砲火」「スピードが落ちたところでスティグロに乗って上から攻撃」など攻略法はあるが、事前情報抜きだとかなり手強い相手となる。
    • だが、もっと恐ろしいのはある「スティグロと共闘するミッション」。「AFと共闘とか楽勝じゃん」と思うかもしれないが、なんとそのミッションはスティグロとプレイヤーとの対決形式になっており、敵の撃破数が多いほど報酬が得られる歩合制。この時のスティグロは味方判定で撃破もできないため、いくらアセンを最適化しても高ランクはスティグロの「気分」に左右されることも多い
    • HARDモードでは裏切ってくるのだが、逆に「裏切ってもらったほうが、スティグロは自機を狙ってくるしスティグロを撃破できるのでラク」と言われる始末。「裏切ってくれて嬉しい」なんて言われる敵はACシリーズの中でもこいつぐらいだろう。
  • 総じてプロモーション映像の派手なイメージに反して非常に地味である*6
    • ただしそもそもの設定が「通常の人間・兵器ではリンクスが駆るネクストACにはかなわないので、人数とサイズで挑む」というものであり、欠陥を突けば簡単に倒せてしまうのもそれを強調したものと言える。ゲーム内の描写、構成としても結局ネクストを倒すものはネクストであるというのは強調されている。
  • 屋内を舞台としたミッションが少なめな事も不満点の一部として挙げられる事はあるが、これまでのシリーズにおけるACと、前作と今作の「4系」シリーズにおけるネクストではその兵器としての性質、ゲームとしての操作性に差がある為好みの問題の範疇ではあるだろう
  • 相変わらずミッションSランクを取らないとメモリは埋まらず、またSランク条件の査定許容範囲が若干分かりにくい。ただ今作は過去作に比べれば取りやすくなってはいる。
    • CO-OPで熟練リンクスに助けてもらうことによってある程度は解決できるが、難しいミッションに限ってCO-OPできない。
    • プレイヤーの少ない現在となってはどのみちCO-OPには頼れない。
  • 連射武器を両手に装備して連射するとロックが外れ、予測射撃できないという仕様。詳しくはレギュレーションの最後の方を参照。
  • パーツバランスに関しては後述。
+ 前作との矛盾

今作のストーリーの根幹には、衛星軌道を埋め尽くす無人兵器「アサルトセル」という存在がある。アサルトセルのせいでこの世界では宇宙に行けなくなったとされているが、前作ではスペースシャトルに絡むミッションが複数ある。
小説での実験型ネクスト奪取ではスペースシャトルを使った脱出に成功している。また、反体制組織が南極からスペースシャトルを発射させたが、企業はネクスト2機を送ってまでそれを阻止した。ゲーム本編でもスペースシャトルの護衛ミッションがあったり、弾道ミサイルの破壊ミッションもあったりと、衛星軌道に障害があるとは思えない。

クローズ・プランについて、「旧レイレナードの遺志を継いで」とレイレナードがリンクス戦争時からアサルトセルの破壊を企てていたかのような設定がある。しかしレイレナード陣営は国家解体戦争で最も国家に対して攻撃を行っており、リンクス戦争でもウルスラグナやソルディオスのような汚染を引き起こす兵器を使っているため、人類の未来を憂いてクローズ・プランを行うようには見えない。
前作ではエーレンベルクもアサルトセルではなくGAの観測衛星に向けて発射している。

今作単体で見ても「衛星軌道埋め尽くしてたら誰かが望遠鏡覗いただけで見つかるだろ」とツッコミの入る設定だが、前作と比べるとさらに粗が目立つ。


問題点(オンライン及び対戦面)

「対戦ツールとしてはあまり褒められた出来でない事が多い」シリーズの悪癖を踏襲してしまい、非常にお粗末なものとなっている。
通信面では致命的な欠陥が存在しており、対戦ツールとしては最悪の出来と言っても良い。

  • 致命的なラグ

自機が旋回しながら立ち止まっている敵をロックオンし射撃するという、単純な状況で検証を行う。
すると、攻撃側からは被弾エフェクトが確認出来るが、被弾側はエフェクトどころか発射自体が無かった事にされる。
当然、実際の対戦ではターゲットが縦横無尽に動き回っている為、酷い状態となる。

良作とされる前作『4』も、実のところ全く同じ構造的欠陥を有している。ただ、『4』以上に戦闘が高速化した。
そのため、ラグの問題がより顕在化することとなった。ラグの程度次第で上の事例は『4』でも起こり得る。

  • レギュレーション紹介

上記のラグ問題に加え、パーツバランスも酷いものとなっている。
これまでフロム・ソフトウェアは4回ほどレギュレーションを配信したが、バランスは一向に改善されていない。

+ レギュレーションの変遷

・1.00~1.10

  • 1.00はホワイト・グリントの装備しているミサイル、通称「白栗ミサ」が異常な誘導性能を持っており、これを連発するのが主流。
  • 1.10は発売後すぐに配信されたが、非常に微量の調整しか入らなかった。そのせいで発売前から用意されていた…というより、開発が終わらなかったため製品に入れられなかった、本来の1.00では?という憶測を呼んだ。
    • 白栗ミサを始めとする強力なパーツが軒並み弱体化。1.20のブレード、1.30以降のロケットのようなバランスブレイカーが存在しないため、オフラインプレイ用としては最もフェアなレギュと言えなくもない。
  • タンク型以上の耐久力を持ち、速度もそれなりに出る実弾防御特化型の重量級AC・通称「悪魔超人」が大流行。
  • 速度が命である四脚パーツにはなぜか速度制限がかかっており(通称「四脚の呪い」)、性能だけ考えるとあまり使う価値が無い。
  • エネルギー武器は、長い距離を飛ぶほど威力が減るのだが、その減り方の率が異常に高い。ほぼ使い物にならない。
  • 全体的に数値が非常に適当。強いパーツはとことん強いが、なにをしようが使い道がない、というくらい酷いパーツが大量にある。
    • なぜか前作『4』の初期のレギュレーションと同じ数値になっているパーツも。
      • 前作と今作のレギュレーション1.00はストーリー用で、それ以外は対戦用レギュレーションとして配信されている。よって今作の1.00が同じくストーリー用である前作の1.00を下地にするのは当然と言える。

・1.15(特殊レギュレーション)

  • 同日配信された1.20をベースにしているが、全パーツの消費ENや行動時に消費されるENをゼロにしたお遊びの特殊レギュレーション。
    • ミッションや対人などのバランスを完全に無視しているため、公式でも「非公式戦用」のアナウンスがされている。
  • 各種ブースト使い放題という事もあり、最も爽快にACが動かせるレギュレーションと言える。
    • もっともプレイヤーだけでなく敵もEN消費ゼロが適用されており、機動重視の敵ACが相手だと手に負えなくなる。

・1.20

  • ブースターの出力と消費、ジェネレーターの出力、慣性の弱化により、ACの移動速度が異常に。
    • 弾が当たらない。軽量級のACだと前後左右に適当にクイックブーストしているだけで被弾しなかったり。そんなわけでほとんどの武器が産廃。
  • しかしそんな中にも凶悪武器・戦術が存在する。
    • 「ブレホAA」 上述の速度強化のせいでブレード使用時の速度が凄まじいことになった。これと自機周辺すべてを攻撃するアサルトアーマー(AA)を同時使用すると、ほぼ必中の攻撃となる。ちなみにこのレギュではAAは頻繁に使用できる。お互いにこれを狙っていた場合、複雑なゲームシステムとは裏腹に、ほぼタイミング勝負のクソゲーとなる。
    • 「加速コジミサ」 破格の威力と誘導性を持つが弾速の遅いコジマミサイルと、ミサイルの弾速にはミサイル発射時の自機の速度が加算されるという仕様が合わさり、超威力・超誘導のコジマミサイルが視認しづらいほどの速度で飛んでくるというもの。弾が飛んでこないくらい離れた場所でOBを開始し、敵に向かってクイックブーストしながら撃つ、という適当なやり方で十分効果を発揮する。
  • パーツ性能の数値バランスは1.10より良くなったが、速度のせいで全部台無し。
  • 『AC』史上最悪のゲームバランスかもしれないレギュ。
    • 一部のスピード狂やブレード好きが声を大にして騒ぎまくった結果がこれ、と言われている。
  • なお、1人プレイする時はこれが一番簡単である。敵ACが出てこないミッション限定だが。
  • このレギュレーションが配信される前にバランス調整に関するアンケートが行われた。「機体が速すぎて弾が当たらない。前作の1.60に戻してくれ」と言う意見が多かったのか、配信された1.20の説明文には「前作『アーマード・コア4』のver.1.60をベースに」と書かれている。
    • しかし、確かにパラメータは前作と同じにはなったのだが、速度の計算式が違うため逆に高速化してしまった。さらにライフルの弾速も低下してしまい、弾が当たらない問題がさらに悪化した。ユーザーと開発の考えが乖離しているどころか、開発自らが言ってることと逆のことをしてしまったように見える。

・1.30

  • 今までの問題が大量に解決されたレギュ。
    • 速度がかな~り抑えられ(それでも『4』よりはるかに速い)、慣性も強く、ACの回避力がガタ落ちした(これまでがおかしかったとも言う)。当然ブレードの速度も遅くなった。
    • 武器の威力や弾速が軒並み調整され、産廃は少なくなった。
      • エネルギー兵器の威力減衰が弱くなり、ようやく出番があるようになった。
      • AAが連発不可に。
  • 一方で、武器腕グレネードの異常な火力&連射力など、少数だが新たな凶悪武器が生まれている。コジマミサイルの性能は変わっていない。
  • 相対的に重量級ACが有利。
  • 1.20までに比べるとはるかにマシだが、まだまだ。

・1.40

  • 1.30よりやや速度を上げたもの。
  • 1.30よりマシになっている点が多いが、スラッグガンやら、衝撃の仕様やら、おかしな点がまだいくつも残っている。
  • 産廃もいろいろ。放置されっぱなしのアサルトキャノンなど。
  • 残念ながらレギュレーションはこれが最後となった。

オンライン上での対戦意見を参考にした結果、このような状況に陥ったという意見もある。

※補足として、今作から公式サイトにアンケートフォームが設けられるようになり、本作品では「(パーツ名)が弱いor強い」という項目選択式で投稿が可能であった。購入者に限らず不特定多数の人間が投稿可能。

+ 例としてマシンガンがある。

マシンガンは相手のPAを減衰させる能力に長けている。相手のPAが消滅したところでマシンガンを与えると、かなりのダメージを叩きだす事ができるのだが、
今作では射撃武器が弾丸を発射するために一瞬ロックが外れてしまうバグが発生しており、発射間隔が短いマシンガンの弾道が滅茶苦茶な方向へ行ってしまうのである。

それに加えてオンラインの欠陥があるため絶望的。であるにもかかわらず、機体速度が上がっているため長時間当て続けることが困難になっているので、ダメージはおろか、PAを減衰させることも期待できるものではなくなっていた。
そこで上がった「マシンガンを強化してくれ」という声に、フロムがマシンガンの攻撃力を上げたレギュレーションを配信。

しかし問題なのは仕様であり、パーツの性能ではない。それに気づかなかったのかどうかはわからないが、マシンガンは機動力が低いタンクに対して恐ろしく高い効果を発揮し、結果的にジャンケンのような構造がよりいっそう色濃くなってしまった。

同じようにブレードによるヴァンガードオーバードブーストを超えることもある速度で接近できるバランスになったことにより、よりいっそうオンラインでのラグが躊躇に現れ、ブレードを使用者は、まるでスターを取ったマリオが真正面から殴りにかかってくるような状況に。

そもそもがバランスを考えるだけの環境ではないにもかかわらず、それを治そうとしなかったフロムソフトウェアの対応が、この問題の核である。

  • 高速化による弊害

『4』以降は従来の『AC』シリーズと比べ機体のブースト速度が増加した為、基本的に速くエネルギー効率の良い機体であればある程攻撃機会や回避性能といった点で有利に立ててしまう。この為対戦では、オンライン対戦におけるラグの影響もあり、重量級ACや弾速の遅い武器や精度に問題のある武器等は余り好まれず、軒並み機動力が高く武装の命中率が総合的に良い機体ばかりとなってしまっている。

この問題は『ラストレイヴン』と類似した特長を持つ。

またPS3版では特定のパーツを装備してオンライン対戦を行った際、深刻なバグが発生する為使用を避ける必要がある。


総評

オフラインのシングルプレイについては、前作と比較して随所でボリュームアップが図られている。
僚機システムの復活、アサルトアーマー・アームズフォート等の新要素、物語の結末が180°変わるルート分岐の存在により、前作よりも遊びの幅は広がったと言える。
また、考えさせられるストーリー展開は必見であり、前作から引き継いだよく練られた世界観・個性豊かな登場人物達の存在もあってシリーズ中でもシナリオ、デザイン面の人気は高い。

ただ、ルート分岐数や分岐後のミッション数が思っていたよりも少ない、目玉のアームズフォートは意外と脆く攻撃もさほど苛烈ではない等、過度な期待をしてると打ち砕かれる要素もあり、発売前の宣伝やPVを見ていた人からのガッカリ感漂う感想も多い。

一方、オンライン対戦は続編であるにもかかわらず前作よりも酷い有様となっており、遊べないというわけではないが、ガチ対戦を楽しみたいプレイヤーにとっては最低に近い仕上がりとなってしまった。
時間はかかったが最終的には良バランスとなった前作と異なり、レギュレーション更新があと一歩の中途半端な状態で途絶えてしまったことも大きな不評を買っている。

とはいえ、通信対戦に興味が無い人にとっては十分な出来に仕上がっていると言える。
前作に引き続きデカール機能なども備えているので、クリエイトが好きな人はハマる可能性が高い。


余談

  • 2022年2月に大手ニュースサイト『ねとらぼ調査隊』で行われた「アーマード・コアシリーズの作品で好きなのは?」というアンケートにおいて本作が1位に選ばれた。ランキングはこちら。
+ タグ編集
  • タグ:
  • 2008年
  • ACT
  • PS3
  • Xbox360
  • フロム・ソフトウェア
  • アーマード・コア

このサイトはreCAPTCHAによって保護されており、Googleの プライバシーポリシー利用規約 が適用されます。

最終更新:2024年04月11日 13:23

*1 ただし、シリーズ屈指に難度が高いミッションも存在する。

*2 略称PA。コジマ粒子と呼ばれる物質を用いた一種のエネルギーシールド。

*3 当該のミッションは敵艦殲滅による歩合制。要はアームズフォートと、獲物の奪い合いになる。

*4 アーマーは高い耐久力を持つが、グレネードなど爆風を発生させる武器をアーマーと地面の隙間に当てたり作戦エリアにある地雷にうまく接触させることで「めくれ上がる」のでその下を通ってアーマー内に侵入できる。

*5 高速で射出される杭で攻撃する近接武器。いわゆる「パイルバンカー」。

*6 もっとも、実際のゲーム内容とは異なる演出自体がシリーズの伝統でもあるのだが。