DJボーイ
【でぃーじぇーぼーい】
ジャンル
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アクション
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対応機種
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アーケード メガドライブ
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販売・開発元
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金子製作所
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稼働開始日
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1989年
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判定
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なし
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ポイント
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『悪魔の逆襲』以来のデーモン閣下出演作(?) 珍しい強制スクロール中心のベルトアクション
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概要
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アメリカ西海岸や西部が舞台で、ローラースケートを履いた少年2人が主人公のベルトスクロールアクション。
あらすじ
ボブとトムはラジカセから流れるゴキゲンなサウンドに合わせブレイクダンスに熱中していた。ところがその大切なラジカセを街の不良たちに奪われてしまった。さぁ、ノリのいいローラースケートでシティを荒らし回る悪党たちを追いかけろ。(AC版『DJボーイ』販促チラシより)
システム
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ベルトアクション。2人同時プレイが可能。
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一部のステージには蹴飛ばして転がすことができるドラム缶かタルが置いてある。これが唯一の主人公の武器アイテムである。
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時々、金子製作所のマスコットキャラクターのようなトラ猫が姿を現すが、この猫を捕まえると1UPできる。
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条件を満たすと得点ゲージの上に小さい黄色の星マークが出て、黄色の星を10個ためると青の星マーク、さらに青の星を4個ためると緑の星マークが出て1UPできる。
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ザコ敵を1人倒すごとに、黄色の星マークを1つ得ることが可能。
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ボスキャラクターを倒すと音符が登場するが、これは星マークを増やすボーナスアイテムである。
特徴
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敵味方ともにローラースケートを履いたキャラクターが中心である事を活かし、横スクロールのシューティングゲームのような強制スクロールが中心になっている。
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他社の競合作品とは一線を画す、とても風変わりな構成であるが独特な爽快感がある。
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タイトル画面でデーモン小暮閣下(現・デーモン閣下)がタイトル名を言ってくれる。しかも閣下本人がタイトル画面で声を当てている。
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マイケル・ジャクソンに見える子供やエルヴィス・プレスリーに似ているキャラクター等「日本人がアメリカに抱いている間違ったイメージ」を描いたようなキャラクター達が出現。
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ボスも「放屁で攻撃してくる太った黒人のおばさん」「サングラスとブーメランパンツと蝶ネクタイと革靴以外は何も着ていない金髪白人ストリッパー男」と言った際物が待ち構えている。
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たまに6頭身のキャラクターも登場するが、ほとんどのキャラクターは4頭身か2頭身でデフォルメされて描かれている。
評価点
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1989年当時の業務用ゲームとしてはけっこう綺麗なグラフィックである。コミカル寄りなデザインで真面目にキャラクターを描いた際の、カネコの本気が窺える。
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例えば主人公がステージクリアした際にブレイクダンスをするが、そのアニメーションパターンもなかなかのもの。
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逆にアニメーションパターンが少ない敵もちらほらいるが、敵味方のほとんどで共通している「ローラースケートで滑りながら走る」点を強調しているところから考えると意外と不自然ではなく、キャラクターデザイン・ゲームデザインの両方で見栄えを上手くカバーしていると言えよう。
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前述したように際物なキャラクターが活き活きと動く様が、本作品の最大の魅力になっている。
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コイン投入前に見れる「ラジカセ強奪デモ」は様々なパターンがある。
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主人公と雑魚キャラクター(例外あり)はローラースケートなどの滑るアイテムを装備しているので、スピーディーに動き回る様子が気持ち良い。
問題点
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残機制が導入されているが、主人公の体力ゲージが画面に表示されない。そのため、いつ主人公がダメージを食らって死亡したのかが分かりにくい。
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一応、残機を表示する部分の左にある主人公の顔のアイコンでダメージの喰らい具合が分かるようになっているが、そのアイコンが小さいので分かりづらい。
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確実な緊急回避方法が主人公側に無い。
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一応、緊急回避技として前後(左右)同時攻撃のダブルパンチがあるものの、あまり強そうな攻撃に見えない上、実際それほど強くない。
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手に持って振り回す武器アイテムや敵に投げつける武器アイテムが無い。したがって、主人公の2人は実質的に最初から最後までパンチとキックのみで戦う。ベルトアクションとしては少々寂しいところがある。
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最終ボスは一面ボスだった黒人のおばさんの色違いが2人出るだけで、この2人を倒しても主人公たちが奪われたラジカセを取り戻すようなシーンは無い。
総評
見た目は斬新なベルトスクロールアクション。だが体力ゲージが表示されず、緊急回避方法も無い為に華やかさに欠けている点が惜しい。ストーリーはあってないようなもので、きちんと納得できるエンディングも存在しない。
しかし閣下が「そこの女! 見ているだけではつまらない、隣の彼氏なんかほっておいて、このデーモン小暮とのりまくろうぜ!」だの「そこの暗いの! この悪魔のサウンドをその腐った体に叩き込んでやる!」と言ってくれるOPデモが一部の好事家の心を捉えて離さないのは確かなようだ。
移植・続編
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1990年5月19日にメガドライブにアレンジされた上で移植されている。発売はセガ。
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閣下が削除されたが、出番はタイトル画面のみだったので特に問題はない。ゲーム開始直後のデモシーンも削除されており、いきなり本編開始になるので閣下のディスクジョッキーも当然ながら無い。
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また発売がセガに移ったにもかかわらずマイケル・ジャクソンに見える子供も削除されている。どうせ単なるモブキャラクターなので問題は無いが。
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2人同時プレイも削除されたが、目的が「ラジカセ奪還」から「ガールフレンドの救出」に変更された。原作アーケード版の最終ボスを上手くアレンジした、新たな最終ボスも登場する。
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ステージクリア時のブレイクダンスも無くなったが、代わりにカートゥーン風のデモ画面が追加された。
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残機制が廃止されたが、画面下にはプレイヤーとボスキャラクターの体力ゲージが表示されるレイアウトになった。
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コンティニューも不可能になったが、敵を倒して資金を集めてステージの合間に主人公をパワーアップさせる買い物システムが導入されている。
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なお、ジェネシス版(海外メガドライブ版)は先行発売のメガドライブ版とは内容がかなり異なっており、メガドライブ版にあったOPデモやEDの絵はカットされたが、その分のデータをステージ中のBGの装飾に割り当てられグラフィック面の大幅強化が図られた。
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ゲーム内容は基本的にはメガドライブ版と同じだが、一部ステージの展開が再構成されていたり、ショップで売っているアイテムも一部異なる。全体的にゲームバランスはプレイが程よく忙しくなるように調整されており、遊び甲斐はメガドライブ版よりも一層出ている仕上がりとなっていた。
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更にその後は、1992年に続編の『Bラップボーイズ』(B.Rap Boys)もアーケードで登場。基板の設定により、2~3人同時プレイ可能。(3人同時プレイ可能設定にした場合、キャラクターは席毎に固定)
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こちらの世界観もステレオタイプのアメリカで、敵味方ともに多くのキャラクターがローラースケートを標準装備している点もそのまま継承している。
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ストーリーの筋書きや演出はより一層ベルトアクションらしいものとなった。グラフィック、操作性、ゲームバランス、後発なだけにどこをとっても『DJボーイ』より遥かに洗練されている。
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なお、前作のキャラクターは基本的には登場せず、前作との直接的な繋がりは無い。(最序盤の背景の看板にメガドライブ版『DJボーイ』3面ボスのピエロが大きく描かれている、というような程度のゲスト出演はある)
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自転車の扱いが得意な「TOP」(1Pキャラクター)、小柄ながらテクニカルでスケボーの扱いが得意な「PEA」(2Pキャラクター)、乗り物が不得手だが大柄でパワフルな「PAN」(3Pキャラクター)の3人が主人公。
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この3人が共闘しながらも最強の座を目指すため、スピード感ある戦いを繰り広げつつ地下格闘技の世界へ乗り込み、最終的に現チャンピオンを下す事が目的となっている。
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BGMとしてボーカル入りのヒップホップが全編にわたって使用されているが、許諾を得て「3 Stories High」という実在のグループの「Famous Last Words」というアルバムに収録された4つの楽曲から抜粋してサンプリングしたBGMが中心。それだけにいずれの曲も聴き応えがあり、ノリも折り紙つき。海外のベルトアクションのファンサイトでは画期的なギミックとして好意的に捉えられているようだ。
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原曲は「famous last words」「famous last words (remix)」「average day」「average day (remix)」の4曲。
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なお、2面ボスの猛獣使いの巨女戦の女性ボーカルのBGMなど一部楽曲は「Famous Last Words」からの引用ではない。
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ちなみに同作は、日本では相当出回りが悪かった模様。
最終更新:2022年04月01日 17:57