魔城伝説
【まじょうでんせつ】
ジャンル
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シューティング |
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対応機種
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MSX
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発売・開発元
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コナミ
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発売日
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1986年3月29日
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プレイ人数
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1人
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セーブデータ
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なし
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レーティング
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CERO:A(全年齢対象) ※バーチャルコンソール版より付加
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配信
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バーチャルコンソール 【Wii】2009年12月22日/800Wiiポイント(税5%込) 【WiiU】2014年3月19日/823円(税8%込) プロジェクトEGG 【Win】2014年7月22日/500円(税別)
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判定
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なし
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ポイント
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勇者が主役のファンタジーシューティング コンティニューなどない漢仕様
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概要
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コナミが1986年にMSXにてリリースしたオリジナル縦スクロールシューティング。勇者ポポロンを操作し、魔王ヒュドノスにさらわれたアフロディーテ姫を取り戻すのが目的のストーリー設定。
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ファンタジーRPG路線のシューティングという意味では、スクウェア(現:スクウェア・エニックス・ホールディングス)が同時期にリリースした『キングスナイト』と非常に似た雰囲気を持っている作品。但し、あちらのような複雑な条件を満たさないとクリアできないというものではない。
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武器やアイテムの効果についてアーケードゲームの「ファイナライザー」と共通する部分が多々あるが関連性については不明。
主なルール
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十字キー+1ボタンのみの操作。十字キーでポポロン(以下自機)の移動、ボタンでショット攻撃である。それ以外の操作は原則としてない。
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ときおり配置されているクエスチョンマークのついたブロックを攻撃すると、専用アイテム(チェスのマーク)が出現する。また、何もない場所を攻撃として隠しで出現する場合もある。以下その効果の詳細。
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「ルーク(水色)」…スコアアップの効果。
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「ナイト(青)」…画面内の敵全滅
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「クイーン(赤)」…10秒間のタイマーがカウントされ、すべての敵や敵弾、及びスクロールがカウント中停止する。
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「キング(黄)」…1UPの効果。あまり出現しない。
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「オブスタクル」…アイテムではなく障害物。触れるだけではミスにはならないが、スクロールとこれに自機が挟まれるとミスとなってしまう。
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ときおり出現する球体(パワークリスタルとウエポンクリスタルの二種類)を取得すると何かの効果がある。球体を攻撃すると下記の下の順にアイテムが変化する(アイテム一番下の状態でさらに撃ち込むと上に戻る)。以下その詳細。
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パワークリスタル(主に自機の性能を強化させるものが中心のアイテム)
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「黒」…スコアアップの効果。
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「青」…自機のスピードアップの効果。
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「水色」…自機前方に敵弾を防ぐシールドを張る。
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「白」…自機が一定時間透明になり、敵の一切の攻撃をもらわなくなる。
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「赤」…自機が一定時間赤くなり、敵を体当たりで倒せるようになる。但し、この状態では一切のショットが放てなくなる。
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ウエポンクリスタル(主に自機のショットを変化させるものが中心のアイテム)
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「無地」…スコアアップの効果。
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「ツインアロー」…前方に直進型ショットを二発同時に放つ。
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「ファイアー」…前方三方向に拡散型ショットを放つ。連射は効きにくいが、一部の敵を貫通する。
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「ブーメラン」…前方にブーメランを放つ。ブーメランは途中でUターンし自機側に戻る性質がある。
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「ソード」…前方に直進型ショットを放つ。連射が効きやすい。
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「ファイヤーアロー」…前方に直進型ショットを放つ。ファイヤー程の攻撃範囲はないが、連射が効き一部敵を貫通する。
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同じショットのアイテムを連続で取得すると、1ランクだけパワーアップする。主なパワーアップ要因は連射力の向上だが、ファイヤーとソードに関しては攻撃範囲が変化する。
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戻り復活の残機制ですべてなくなるとゲームオーバー。
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ミス条件は「無敵ではない状態で、自機が敵や敵弾に触れる」「壁(オブスタクルなど)とスクロールに挟まれる」のいずれか。
評価点
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内容が濃い。
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武器・アイテムの種類が豊富で多彩なプレイスタイルを取ることができる。
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全8ステージでボスも8種類というのはメガロム登場前のMSXゲームではボリュームのある方だった。
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難易度は序盤ステージこそゆるやかで力押しで進めるが、後半ステージは敵の動きを掴んで早め早めで倒していかないとすぐに追い詰められる厳しさがあり、やり応えは十分にある。
問題点
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純粋にゲームの難易度が高く、まともにクリアするには相当な熟練を要する必要がある作品であった。というのも、ポポロンの攻撃はほとんど直進型ショットであまり性能が高くないのに、敵側はそんなの知らんといわんばかりに容赦のない攻撃を仕掛けてくる始末であるのだ。
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横置き画面の縦シュー、しかも画面幅いっぱいを使うので、左右に動く敵や画面横端から現れる敵への対処が難しい。自機のショットは「そこそこ強いが正面のみ」か、「拡散できるが連射はきかない」の2種類なので、横に振られると途端に弱くなるのだ。左右に大きく動きながら迫ってくるコウモリ編隊に、泣かされた人も多いだろう。
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また、ステージによっては、
足場のない穴場橋の架かっていない川がありショットを撃ち込むと出現する隠された橋を渡る必要があったり、敵によっては即効で破壊しないと詰む恐れがあるポイントが点在したり、とパターン把握が最重要な場面が非常に多い。
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こんな鬼畜難易度にもかかわらず、コンティニューは一切存在できないという漢仕様。パターンを把握する前に死ぬプレイヤーが続出したはずであろう。
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一応、再プレイでは先のステージにワープできるワープホールが隠しブロックとして出現するようになる。ただし以前のプレイで到達済みのステージにワープできる入口のみが出現する。
総評
昔のコナミらしい媚びのない漢向けのスパルタ難易度で、当時のMSXプレイヤーを絶望に叩き落したであろう存在。
当時はそんなゲームが普通に存在するのが当たり前ではあったが。
余談
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本作の続編は後にMSXにて2作登場しているが、続編『魔城伝説II ガリウスの迷宮』はアクションRPGに、続々編の『魔城伝説III シャロム』はマップ探索型AVGとなり、三部作全部が別のジャンルという異色の経歴を持ったシリーズとなっている。
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似たようなシリーズ構成を持つものとしてバビロニアンキャッスルサーガシリーズやワンダーボーイ/モンスターワールドシリーズがある。
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『II』は後にファミコンにて『魔城伝説II 大魔司教ガリウス』というタイトルで移植されている。Iが発売されていないので、いきなりIIなのだが…
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『ガリウスの迷宮』が発表される前、PC-8801用で『魔城伝説II ポポロン激闘編』という本作をパワーアップさせた内容のゲームが発売予定に上がっていたが未発売に終わっている。
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本作はMSX専用のソフトだが、オムニバスとしては3回程復刻されている。
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裏技で自機を無敵化するチートが可能
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それを使えば誰でもクリアは可能である。逆にいえば、それを使用しないとパターン把握もままならないという事になるが…。
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正確に書くとパワークリスタル「白」の効果がトリガーBで発動し放題になる裏技。タイマーがあるのでタイマー切れから再発動の間は当たり判定が生じる。あと透明状態でもボスに体当たりした場合とスクロールに挟まれた場合は死ぬ。
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本作の発売とほぼ同時期にMSX版『ツインビー』が発売されており、ゲーム内容が似ていることからMSX専門誌等で何かと比較されたが、奇しくもBGMを手掛けたのは両方ともモアイ佐々木氏である。
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後にMSX2で「メタルギア」を作る小島秀夫は、ファミコンのゲーム開発を希望してコナミに入社したもののMSXの部署に配属されてしまい退職も考えたが、MSXの魔城伝説を見て「MSXでも工夫すればファミコンに負けないゲームが作れる」と悟り考えを改めたという逸話が残っている。
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ファミコンで発売された「新人類」はゲームシステムが魔城伝説に似ているが、これは実際に本作がベースになっている。岩崎啓眞氏のブログ内の関係者の証言で明らかになったことだが、ハドソンで長州力を使ったゲームを作ることになった際、中本氏が「MSXの魔城伝説が面白いからそんな感じがいんじゃない?」と言ったことが発端とされる。
オムニバスソフト
発売元は共にコナミ(アーカイブスはコナミデジタルエンタテインメント)。
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コナミゲームコレクション Vol.1(MSX2、FD、1988年発売)
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基本的にはオリジナル版そのままだが、MSX2版『スナッチャー』に付属するSCCカートリッジをスロットに差し込んでおくとBGMがSCC音源で奏でられるという特典がある。
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コナミアンティークスMSXコレクション Vol.2(プレイステーション、1998年1月22日発売)
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2006年11月22日からプレイステーション3/同ポータブルのゲームアーカイブスにて配信されている。要600円。
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コナミアンティークスMSXコレクション ウルトラパック(セガサターン、1998年7月23日発売)
最終更新:2023年02月01日 20:33