Fallout: New Vegas

【ふぉーるあうと にゅーべがす】

ジャンル RPG



対応機種 プレイステーション3
Xbox 360
発売元 ゼニマックス・アジア
開発元 Obsidian Entertainment
発売日 2010年11月4日
定価 通常版 8,190円
廉価版 2,940円
完全版 5,040円
レーティング CERO:Z(18才以上のみ対象)
判定 なし
ポイント 旧『Fallout』ファン向けの作品
ベセスダ的圧倒的スケールは縮小
色んな意味で伝統的なバグまみれ
PS3ユーザーに対する最悪な扱い
システム面とDLCについては好評
Falloutシリーズ


舞台は用意した、後は自由だ。
どんな結末が待ち受けているか、全てはプレイヤー次第だ。
Enjoy your stay.

ストーリー

ワシントンD.C.から遠く離れた西海岸のネバダ州-現モハビ・ウェイストランド。
そこで奇妙な依頼を受けた運び屋は、配達途中に洒落たスーツに身を包む男に襲われて瀕死の重傷を負った。

ヴィクターと名乗るセキュリトロンに診療所に運ばれ、奇跡的に意識を取り戻すものの記憶を失った運び屋は、
自分を襲った男への復讐と、依頼された謎の荷物の奪還の為にモハビ・ウェイストランドを駆け抜ける。
やがて巨大エネルギー施設を狙う3大勢力の抗争に巻き込まれる中、運び屋は何を思い何を為すのか?


概要

大ヒットとなった『Fallout 3』のスピンオフ。開発を担当したのはObsidian Entertainment。
初代『Fallout』や『Fallout 2』を開発したBlack Isle Studiosのスタッフが多く在籍している。
その影響か、システムは『3』のものでも設定的には『2』の延長線上といった趣がある。


『3』からの変更点、及び評価点

  • 長いチュートリアルの簡略化
    • キャラクターメイキングが終わった後はすぐに外に出て行く事が可能。その後もチュートリアルは続くがスキップが可能に。
  • ゲームバランスの調整
    • 商人の所持金・所持弾薬数の増加。『3』では商人の所持金が少なく、アイテムの売却に右往左往する羽目になりがちだった。
      しかし本作では商人の所持金が大幅に増えた為、あちこち飛び回る必要は少なくなった。
      弾薬の取り扱い数も増えており、キャップ(=本シリーズの通貨)さえあれば弾薬不足で困る事もない。
    • 終盤はキャップが余るという問題に関しては、大半の武具の価値(VAL)を大幅に上昇させる事で対応している。
      『3』では安価でゴロゴロ手に入った装備が、本作では高価な貴重品になっているというパターンもある。
    • 『3』の不満点でもあったレベル上限の上昇。『3』ではDLCを入れないとレベル30まで上げられないが、本作はデフォルトでレベル30に。
      その反面、『3』では頑張ればDLCを入れずともスキルのカンストが可能だったが、本作ではDLC無しではカンスト不可能になった*1
      これ以外にも、本作ではスキル本*2の激減・スキル関連のPerksの弱体化等の調整が入っている。
    • この他、『3』で強力だったV.A.T.Sの大幅な弱体化や敵の相対的強化等、全体的に難しく調整されており、それなりに歯ごたえがある。
    • レベルで敵の種類が変化するシステムの廃止*3
      後半における世界の総インフレ化・インフレ化から取り残される装備群やキャラクターの問題が少なくなった。
    • Perksの大幅増加。実用的かつ方向性が明確なものが多い為、育成の幅が広がり個性を出しやすくなった。
  • 武具の耐久度(CND)とその修理について
    • 『3』のNPCのRepairスキルはバグを使わない限り最大80前後*4だった為、DLCがなければニコイチ以外にCNDを100%にできなかった。
      本作では移動しないRepairスキル100のNPCが何人か存在する為、ニコイチせずともCNDを100%にする事ができるようになった。
      また、Repairスキルを100まで上げなくとも、CNDを100%にするまで修理する事ができるようになっている。
    • 製作or購入できるアイテムに、現在装備している武器のCNDを回復する「武器修理キット」が追加された。
      このアイテムの導入により、ニコイチ修理が不可能な一点物の武具でも気兼ねなく使えるようになっている。
    • ユニーク装備は、特定Perkを取らない限りニコイチ修理の材料にできなくなり、ミスって修理素材として使ってしまう事がなくなった。
    • 更に特定コンパニオンを仲間にするとCNDが減りにくくなる等、アイテムの修理関連の問題は大きく解決されたと言ってよい。
  • FPS要素の強化
    • 武器は『3』のラインナップを引き継ぎつつ数倍に増加。本作で初登場した武器に加え、旧作に登場していた武器の幾つかも復活している。
      多種多様な武器を扱う楽しみが生まれた他、単なる色違いが多かったユニーク品も本作では細かいデザインが異なる。
    • Win版『3』の非公式MODを元にしたと思しき武器改造システムの追加。
      武器に強化パーツを取り付ける事で、装弾数や攻撃力の増加・スコープの使用等、様々な性能向上を図る事ができる。
      特に『3』ではほとんどなかった消音武器を、今作では多数扱えるようになった為、スニーキングプレイが面白くなっている。
    • 『3』は発砲から着弾までにタイムラグがあった他、銃弾の拡散度が大きめに設定されていた為に、V.A.T.Sの強さが光っていた。
      一方今作は発砲とほぼ同時に着弾する仕様に変わり、銃弾の拡散性も改善された為、フリーエイムの信頼度が飛躍的に上がっている。
    • アイアンサイトの導入。『3』では基本的に武器を構えても画面が若干拡大するのみだったが、本作ではアイアンサイトによるエイムが可能に。
    • 特殊弾丸の導入。通常弾の他、低威力だが敵防御力を数割無視するAP弾、高威力だが敵防御力の影響を多分に受けるホローポイント弾が追加。
      攻撃対象の防御力がこちらの火力以上だと殆どダメージを与えられない為、「敵に応じた弾丸の切り替え」という戦略性が生まれている。
  • コンパニオンについて
    • 今作ではコンパニオン全員にバックストーリーが用意されており、クエストを通じてより深く彼らのキャラクターを知る事ができる。
    • コンパニオンを連れている状態のみ機能する専用Perksが追加。これにより戦闘以外にもコンパニオンを連れ歩くメリットが増えた。
    • 連れ歩けるコンパニオンは人間系(6人) + 非人間系(2体)から一人ずつ。
      その他、指示や管理を行いやすいコンパニオンホイールの追加、ハードコア以外では気絶するだけで死亡しない*5等、大きく改善されている。
    • 『3』のコンパニオンは他NPCのボイス・声優が流用されている事が多かったが*6、本作では一人一人に固有の声優やボイスが割り当てられている。
      コンパニオンホイールから行える会話も大変豊富で、特にキャシディ姉さんは全コンパニオン随一の豊富な会話イベントが用意されている。
  • 世界観・シナリオ
    • 『3』は好評を得たものの、古くからの熱狂的シリーズファンからは「『1』と『2』の良いとこ取りをしたリメイク」等の指摘を受けていた*7
      今作に関してはそういったファンも唸らせるように、『1』と『2』の世界設定をしっかり忠実に踏襲しており、ファンから好評を得ている。
      特殊弾丸の追加といったシステム面の変更や、NPCとの会話をメインとしたクエスト構成も、旧作を意識した造りと言えよう。
      未発売に終わったVan Buren*8の設定を一部アレンジして出す等のファンサービスも多い。
    • 『3』はほぼ荒れ果てた荒野と岩山のみだったが、本作では雪原・砂漠・森林・荒野等、様々なロケーションが用意されている。
      空が明るく、四季もある程度感じられるようになった。『3』の舞台は最も汚染の酷い地域だったので当然と言えば当然だが。
    • 『3』の舞台はアメリカ東海岸に位置するキャピタル・ウェイストランド*9であり、西海岸のカリフォルニアが舞台であった『1』『2』とはやや繋がりが薄かったが、今作の舞台であるモハビ・ウェイストランド*10はカリフォルニアのすぐ東に位置し、NCR*11やアポカリプスの使徒*12、『2』のコンパニオンやその子孫と言った関係組織、人物が多く登場し、過去作の雰囲気を色濃く受け継いだ世界観になっている。
  • シナリオ分岐型のストーリーとなり、深みが増した。
    • 『3』で簡略化されていた勢力事のクエストが追加され、シナリオの分岐に大きな影響を与える。
      複雑に絡み合う勢力図の中、プレイヤーはどのように動くのかを選択していく事になる。
    • 良い意味でも悪い意味でもアメリカを体現する「NCR」と、ニューベガスを牛耳る謎の男「Mr.ハウス」に加え、ローマ帝国をモチーフとする奴隷商人連合「シーザー・リージョン」の3大勢力の内、運び屋はどれかに属すことになる。
      これらの3勢力以外にも多数の組織が存在しており、それぞれとどう接していくかでストーリーが変化していく。
    • 各勢力には運び屋の「評判」も存在。その勢力に利益になる行動を取れば評判は上がり、逆に構成員の殺傷や被害を与える等で下がる。
      評判は人々の対応に大きく影響を与え、あまりにも評判が悪いと発見次第攻撃される事もある。
    • 複数のメインストーリーが用意された影響で、「クエストに関わるNPCが持つ不死属性」が廃止、好き勝手にぶち殺せるようになった。
      主要NPCの殺害等で3勢力のルート全てが行き詰った場合、救済処置として「イエスマン」と呼ばれるNPCと手を組むルートに移行する*13
  • 練りこまれたクエスト
    • 本家らしく腹黒いキャラに加担する事で得られる利益や、助けられた恩を仇で返せる*14等、色々と黒いRPの可能性は広い。
      むしろあえて清く生きようとすると面倒事に巻き込まれやすくなったりもするあたりに、本シリーズらしいシニカルさが見え隠れする。
      作中世界を取り巻く非常に面倒な状態についても、各クエストを行う事で詳細が分かってくるという作りになっている。
      ただし後述の誤訳の問題で、一部が分かりにくくなってしまったのは痛い。
  • 生活感要素「ハードコアモード」
    • これをONにすれば、「空腹・喉の渇き・睡眠欲*15の概念」「重症を治療する手段の制限」「弾薬に重量が発生」等の要素が追加される。
      食料や水の存在価値が増えるだけでなく、武器弾薬の取捨選択を行う必要性が生まれるという意味でもリアリティが大きく増した。
    • いちいち寝たり食料や弾を作るのは面倒かもしれないが、慣れてくるとこの無駄な行為が楽しくなるのである。
      このモードをONにしてもそれほどゲームバランスは崩れず、面倒になればいつでもOFFにできる為、プレイヤーへの不利益は少ない。
    • 減少度合いはPip-Boyでしか確認できないが、一定値を下回った時点で画面上に表示されるので、それを目安に回復すれば問題はない*16
    • 最初から最後までハードコアモードでクリアすると解除されるトロフィー・実績もある。
  • モハビ観光
    • ネバダ州を舞台にする関係で有名な観光名所であるフーバーダムやラスベガス(作品内ではニューベガス)が作品内で登場している。
      特にニューベガスのきらびやかなネオンは、シリーズ全体でも特徴的な雰囲気を提供している。
    • ベガス内部では当然カジノで遊ぶ事も可能。散財するか富を得るかは運び屋の運次第。
  • ミニゲーム
    • 上記の観光の項目で紹介されている様に、カジノではスロットやブラックジャック等のギャンブルを楽しめる。
      一定額を稼ぐ事でカジノ側からアイテムをもらえるが、最終的にプレイ禁止になるなどリアリティ重視。
    • カジノとは関係ない「キャラバン」というトランプゲームもある。モハビ一帯で流行しているようで、様々なNPCとプレイする事ができる。
  • DLC
    • 全て単体のシナリオで個々の関係性は薄いが、主人公である「運び屋」と本編では存在をほのめかされただけだったもう一人の「運び屋」の物語としての側面を持っており、メインストーリーよりも練られたシナリオだと好評。
    • それらが絡まないDLC毎のシナリオについても評価は高め。
  • アイテム製作
    • 製作アイテムが武器数種の『3』より大幅に増加し消耗品の割合が増えた。FO3での食糧やガラクタアイテムの大半は売却以外のまともな使い道が無かったが、アイテム製作用の素材として集める意義が出来た。
      • きちんと把握すれば実プレイ上でもロールプレイとしても面白くなる要素だが、種類があまりに多く検索が不便な為煩雑でもあり使いこなすプレイヤーは多くない。
    • 食料はDLCを入れなくとも20種類近く作る事が出来る。制作で加工した食料はどれも高い回復性能を持ち作る価値は十分にある。
      • 一方で、素材入手が容易かつ単独素材で作れるゲッコーステーキ、ビッグホーナーステーキ、コヨーテステーキ、ドッグステーキが手軽かつ高性能過ぎて、他の食料をわざわざ作る意義が薄れているバランス面の不備も存在している。
    • 武器に関してはDLCを入れないと種類は少ない。新規武器が多く『3』から継承したものがあまり無い為、日本国内では大半となる『3』のみのプレイヤーからは批判を受けた。
    • 弾薬は特定のPerksで専用の強力な弾丸を作成できる他、解体して持ち歩くことで重量軽減できる等の独自の戦略性がある。薬品類も本作では強力な効果を持つ為手間をかけて作る意義は大きい。
  • Win版に限っては読み込み速度やフリーズの改善がみられる。

賛否両論点

  • 良くも悪くも大味なゲームバランス
    • シリーズのお約束と言うべきか、今作もバランスはよくない。装備やPerks、敵味方の戦闘力やゲームシステムなど、多くの部分でゲーム崩壊級の強すぎる要素があったり、逆に産廃も少なくない。
      • 代表的なものは今作の目玉のひとつとも言えるカジノ。ブラックジャック、ルーレット、スロットがあるがどれも運の比重が高いゲームであり、そしてギャンブルの結果はLuckの数値が大きく影響する為、Luckを高く分配したキャラであればカジノを片っ端から荒らして労せず大金を稼げてしまう。今作はLuckが強いと言われる大きな理由。
      • 逆に感覚を表すPerceptionは敵がレーダーに映る距離を広げる効果しかなく、しかも序盤から仲間にできるコンパニオンのED-Eが索敵範囲を大きく広げる能力を持っている為、1でもさほど困らない不遇なステータスとなっている。クエストの流れでED-Eと別れることもあるし、Perceptionを前提とするPerksの中には強力なものもある為、完全に無駄というわけでもないが…
      • 中盤以降は武器の価値がインフレ気味だが、装備している敵が普通に落とす為拾って売るだけで簡単に金が稼げる。修理するとさらに価値が上がる為、安価な装備で高価な装備を修理できるようになるPerksの「Jury Rigging」を取得するともはや商人の手持ちが全く追いつかなくなる。
    • こうしたバランスの悪さは不慣れなプレイヤーにとっては無駄の多い育成をしてしまい、ただでさえ低くはない難易度を高めてしまう要因にもなるが、慣れたプレイヤーは適切な育成によって楽が出来たり、また意図的に強い要素を縛ることで難易度の調整が可能なことから、『Fallout』シリーズそのものがカオスな世界観なこともあってか、ハチャメチャさの一環として好意的に受け止められることも多く、一概に悪い点とは言えないところ。
    • 武器の使用に必須Strengthとスキル値が要求されるようになった。
      • 要求値を満たさずに使用した場合、銃なら手ブレが大きく増大し、近接武器なら攻撃速度が低下するようになった。中にはStrengthとスキルを最大まで上げないとペナルティを回避できない物もあり、そういった物を常用で扱うには意識したビルドが必要になった。
      • 『3』ではどの武器でも一律でスキルによる手ブレの影響を受けた為射撃スキルは出来るだけ早いうちに100を目指さざるをえなかったが、本作では要求値さえ満たせば手ブレはほぼなくなるようになっている。その点があまり理解されていないのかこの仕様変更は「能力値による制限だけがかかった」と誤解されていることが多く、一方的に批判点としてやり玉に挙げられることが多い。
      • 一応、Strengthを一時的に上げる手段が『3』よりも多くなっており、手ブレを抑える為の薬品アイテムも存在する。基本的にはキャラビルドによって扱える武器が変わるバランスを目指しており、こういった部分でも本作は『3』とは方向性が異なることが読み取れる。

問題点

  • 相変わらずのバグとフリーズ
    • バグが『3』より増えた。しかも、クエスト進行が不可能になる・入手できなくなるアイテムや効果を正しく発揮しない仕様等、タチが悪いものが多い。最初の修正パッチでは修正箇所が本一冊分になるほど膨大だった為記載されなかった。
    • 以下、バグの一部を述べる。
      • ファストトラベルをするとコンパニオンが行方不明になる。
      • 武器を一時的に取り上げられる場所にコンパニオンを連れて行くと、コンパニオンの初期装備が消滅することがある。特にED-Eでこれが発生すると索敵と囮と荷物持ちにしか使えないバラモンと化す。
      • 主要拠点の一つである「ラッキー38」で案内を務めるヴィクターが一切反応せず、Mr.ハウスのクエストの進行が不可能に。
      • ある場所に出てくるタレットを破壊すると、Mr.ハウスのメインクエストが失敗になる。
      • 商人の商品や所持金が補充されず、品揃えが変わらなくなる。それも数人どころではなく、多くの商人で確認されている。
      • 爆発物で敵を攻撃すると、なぜか爆発系の武器が無効化される。しかもリスポン後もその状態は継続される。
      • 主要エリアである「ストリップ地区」へのゲートが前触れもなく施錠され、入れなくなる。
      • コンパニオンの1人「ED-E」のHPがゼロになると爆散して死ぬことがある。しかも雇用した状態は維持される為、もう片方の非人間コンパニオンであるレックスが雇用不可能に。
      • 非人間キャラのDTが2倍になっている。
      • 「ホワイトグローブ協会」の服とマスクを着用すると他勢力の評判がなぜか変動する。
    • フリーズも相変わらず多い。当初は「パッチの当てられた後の『3』」と「パッチ無しの本作」とを比べて『3』より増えたとされた。
      • パッチが当てられ評価も落ち着いている現在、(後述のPS3版ver1.04も含めて)フリーズに関しては『3』より一応マシであるとされるが、それでも他ゲームと比較すると圧倒的に多い。
      • 特にフリーサイド、ビタースプリングス、キャンプ・マッカラン、キャンプ・フォーロン・ホープ、フォートといった一部のNPCが多い地域は有名な処理落ちポイントで、動作がスローモーション化、酷いと高い頻度でフリーズする。
      • ただし、『3』に比べればゲーム規模が縮小しており落ちているオブジェクト数も多少控え気味である為、セーブデータの肥大化に伴う動作不安定化はある程度抑制されている(後述のPS3版を除く)。
    • また、前述のコンパニオン関連のクエストも以前は一人につき1つはバグがあると言っても良いほどで、進行が困難になる場合もあった。
    • なお、デバッグを担当したのはベセスダである。Obsidianはデバッグ部署そのものを持っていない為…ふざけるな。
    • その後のパッチでバグやフリーズの幾分かは改善された。だが「商人の品揃えが変わらなくなる」バグに対して「商人の品揃えを無理矢理リセット変更するバグ」で対抗出来たのが、後者だけ修正される等の疑問符の付く修正もある。
  • PS3版について
    • 国内PS3版のパッチver1.04はバグパッチと呼ばれ、ver1.02の修正内容の大部分が消失し、特定の建物の壁の消失*17や新たなバグの追加等、大量の改悪を伴っている。フリーズについてはパッチ無しの状態よりはマシとされるが、これに対するフォローやアナウンスは現在に至るまで全く無い
      • 現在は通常版にパッチver1.05が配信されているが、上記の壁の消失(の一部)やトロフィー関連のバグが修正されたのみで、相変わらず1.02の内容は再適用されていない。PS3版をプレイする際は他機種以上にバグに気を付ける必要がある。
      • これの最大の問題は、ver1.04でver1.02の修正内容の何が消えたのか、ver1.05で何が修正されたかがハッキリと分かっていないことにある。
        対処法や情報が確立された後に突然起こった出来事なので、攻略サイト等の情報も充実しておらずアテには出来ない。
    • ちなみに廉価版及び下記のUE版には、ご丁寧にもこのパッチが予め当てられており、ユーザーからは凄まじい反感を買った。
  • PS3『Ultimate Edition』(UE版)について
    • 本作も『3』同様「全DLCを導入したディスク1枚の完全版」が発売されているのだが、やはり『3』のそれと同様に、DLC未導入の場合と比べてフリーズと処理落ちの頻度が増大している。
    • PS3UE版に至ってはもはや商品未満の欠陥品である。上記の通りバグパッチが予め当てられている他、『3』のPS3通常版及びGOTY版と比べても処理落ちの頻度がずば抜けて高く、フーバーダムやフリーサイド、キャンプフォーロンホープといったNPCの多いフィールドでは常時動きがカクカクになり、5分ほどで操作不能になるまでコマ落ちする。場合によってはクエストクリアも不可能になる。これはPS3版のみパフォーマンスの最適化・修正を怠った為であるとされている。
      • この現象は、PS3通常版でもDLCを全て導入すると発生する。ただ通常版ならDLCを消すことで対処できる。UE版は最初から導入状態で始まり、DLCのON/OFFも不可能なので対処しようがない。
      • コマ落ちが始まったらもう打つ手はなく、さっさと電源を落として再起動するしかない。
    • 評価できる点は、「『3』の完全版と比較して定価が安くなっている」くらいのものである。
  • メーカーによって公式的に追加された主人公の設定
    • 本シリーズやベセスダ製RPGにおける主人公は、バックストーリーをほとんど持たず、必要最低限の個性しかない状態で物語がスタートする。
      例えば、『TES』シリーズは捕まった理由も判明しない囚人、『3』はVault生まれの子供というだけの個性しかなく、外界の知識等もほとんど持っていない。
      これは「プレイヤーも主人公と同じく真っ白な状態で始まる」という事であり、感情移入やロールプレイがしやすいとして好評であった。
    • しかし本作の場合、それまでの作品と同じくプレイヤー側はモハビ・ウェイストランドの知識をほとんど持っていない一方で、主人公側は「運び屋」という職業を持ち、モハビ・ウェイストランドで働いて生活する現地住民と明確に設定付けられている。
    • 即ち「プレイヤーと主人公で世界観の知識量に大きな差がある」という事であり、感情移入・ロールプレイがしにくいという結果を招いた。
      また、プレイヤーの気持ちだけならまだしも、プレイヤーが知らない情報を主人公が会話で出す事もあり、開始直後の序盤が特に顕著。
      本作は『1』『2』との繋がりが多数あり、言わばプレイヤーがその情報をある程度持っている事が前提である為、本作が『Fallout』シリーズ初体験のプレイヤーからは「話が理解しにくい」と、『TES』シリーズ及び『3』経験者からも「主人公に設定があってロールプレイしにくい」と批評される事となった。
  • 自由度減
    • 序盤の拠点「グッドスプリングス」から北に歩いてすぐの場所に作品内最強クラスのクリーチャーである「カサドレス」が複数匹存在しており、開発者がユーザーにどう遊ばせたいのかが分かる作りになっている。また、東に行こうとするとカサドレスに比べれば弱いがそれでも十分強い「巨大ラッドスコルピオン」が待ち構えている。カサドレスを避けてマップ中央の道からベガス方面に向かおうとすると同じく最強クラスのクリーチャー「デスクロー」がわんさか。
    • 結果、序盤から安全に行ける道は1つしか無く、登れそうな山等も見えない壁であえて登らせない様にしており、オープンワールドでありながら一本道めいたゲームデザインとなっている*18
      • 当初の目的地であるベガスへ向かう為には、メインクエストの展開に沿って「プリム ⇒ ニプトン ⇒ ノバック ⇒ ボルダーシティ ⇒ フリーサイド」という南回りのルートを通らなければならない。これ以外のルートには大体危険生物が湧く。
      • 正規ルートを無視し、上記の危険区域を切り抜けてベガスに辿り着いた場合、それまで行っていたメインクエストが即座に完了となり、次のメインクエストが勝手に発生する。当然この場合はストーリーが意味不明な事になってしまう。
      • ちなみに『3』も行き先さえ知ってれば前半のメインシナリオを少し飛ばせたのだが、『3』の場合はストーリーが分からなくならないようにある程度の補足が入っていた。本作では補足が入らないので本当に意味不明である。
    • なお、『3』でDLCで修正したほど要望の多かったクエストクリア後のプレイは不可能。ルート分岐のシナリオな為追加は無理だと公式からアナウンスされた。
  • フィールドが狭い
    • 『3』をやり込んだプレイヤーがゲーム開始直後にPip-Boyでマップを確認して真っ先に感じることで、『3』と比べ明らかにフィールドが狭い。
    • 『3』とざっと比較して1/2~3/4程度の広さ。当然マップの隅から隅まで歩ける訳ではなく、先述の通り見えない壁で登れない山岳地帯等もある為、ゲームを進めるにつれてますますマップの狭さを実感する事になる。
    • そんなマップの中にNCR・リージョン・カーンズ・フィーンド・BOS等多数の勢力が存在している為、強大な勢力というのが実感しづらい。
    • クエストに関係する訳でもなければアイテム等が入手できる訳でもない「イヴァンパ・レース場」「ポセイドン・ガソリンスタンド」のような「何でもない只の場所」が『3』よりも多く、『3』よりマップポイントが増えたと言われてもあまり嬉しい形の追加ではない。
  • 敵の配置
    • 『3』はプレイヤーのレベルに応じた敵が出現するようになっていたのだが、終盤は強くなりすぎた敵がバグで街に湧いて付近のキャラバンや街のNPCが殺されてしまうという問題があった。
    • 本作はそれを踏まえて、敵はレベルに関係なく特定の個所に出現するようになっているのだが、敵の種類自体は『3』から増えたのに、『3』以前の作品の様に敵の配置が固定されてしまっている影響で、結果的に数が少なく感じてしまう。
      • また、敵の配置が固定されている事が災いして「気ままに歩いているといきなりナイトストーカーやカサドレスの群れに遭遇→なすすべもなく弄り殺される」という事態が起こりやすい。特に作中最強クラスのモンスターであるデスクローは、制作側から「こっちに来るな」と言わんばかりに序盤から壁のように配置されている。
    • ちなみに本作もキャラバンやクエスト後に移動するNPCは存在しているが、敵の配置を固定しているのにあえて危険地帯を突っ切ろうとして死んでしまうことがある*19
  • メインストーリー
    • メインストーリーの流れ自体はシリーズ伝統を踏まえているものの*20、『3』を含む以前のシリーズに比べて中盤以降のメインクエストの動機付けが薄く練り込みが甘い部分がある。
      • 開発者によれば「『Fallout 3』*21の次の段階。荒れ果てた大地の再生が済んだ後に起こる権力問題」を主軸にストーリーを構成したとの事。これまでと異なる作風に挑んだ事は理解できるが、ゲーム内で語られている数年前*22の情勢から始まる方が面白そうに感じる。
    • 終盤の展開は「3大勢力のいずれかに加担するorしない→それ以外の勢力と停戦協定を結ぶor潰す→残る勢力と決着を付ける」という流れだが、どのルートに行ってもEDが少し変化するのみで変わり栄えがなく、やる事も殆ど同じ。周回を重ねると既視感が非常に強くなる。
      • また、メインクエストを進める為にサブクエストを消化しないといけない場合も多い*23。メインクエストだけこなしてゲームクリアする事も可能だったオブリビオンや旧作と比べて手間が掛かる。
    • NCR等、『1』『2』における設定や用語が説明なく頻繁に登場するので、『3』のみのプレイヤーや今作初プレイの人間にはストーリーの理解が困難になる。映画やテレビ、有名人ネタなど遊び心が多い作品だが、英語圏それもアメリカでしか通用しない物がほとんどで、日本と国外で作品に対する評価が逆転している(海外では『3』より本作の方が評価が高い)。
  • クエストと探索
    • 双方ともに増えたが、その多くは水増しになっている。
    • クエストに関しては『3』ではミニクエスト扱いになっていただろう物をクエストとして登録しており、探索場所に関してはMAPマーカーに表示すらされなかったような所をポイントとして載せている。
      • フラグ管理も複雑な割りに甘く、特定の人物のクエストをこなした後別のクエストの関連で話しかけても反応しない事がある。フラグの立て方によってはメインクエストでも発生する。
    • クエストの中にも意表を突く物や物語性が高い物も存在するが極少数で探索場所に至ってはFO3ほど広い場所が殆ど無く、Vault以外はあまり趣向を凝らしていない。場所によっては建物だけあって内部には入れない箇所もある。
    • 開発者が「誰も殺さずにクリア可能」と明言したせいか、クエストの結末は非戦闘スキルの影響が強い*24。逆にそれらを強化していないと戦闘で片付ける以外の道が無い場合が多く「他クエストとの連動で切り抜けられる場合を増やして欲しかった」と指摘される。
      • とは言えここで要求されるスキルは説得力を表すSpeechの他にも商売の上手さを表すBarter、修理の技術であるRepair、また異性及び同性を上手に口説くPerkなど多岐に渡る。育て方によって解決方法にも幅が生まれるようになっており、物理一辺倒でない活躍の手段が用意されているともとれる。
  • システム関連
    • 全体的にロード時間が増加している。特にフリーサイド周辺はメモリを大量に消費する事もあってロードが長く、最悪の場合フリーズする。
    • アイテムが大幅に増加した一方で、アイテム画面に新しい欄をつけたさないままクラフト素材などのアイテムを大量に追加したせいで何がどこにあるか分かりづらい。
    • 全体的に高難易度調整の今作では、FPS初心者救済要素であるV.A.T.Sの弱体化がゲーム性と噛み合っていない。『3』の問題点でも指摘されていたが序盤では殴った方が早い上、今作は後半だと自分で銃を撃った方が早い。
      • 命中率が最初から弱体化した上でV.A.T.S中の被ダメージが増加、敵が常に群れて登場する、リロードモーションでV.A.T.Sのスロー時間が大きく増加する、という仕様が災いして迂闊に使用するとV.A.T.S中に殺される。
      • カサドレス(蜂の様なミュータント)の羽を狙って飛行能力を奪う・人型の敵の武器を狙って叩き落すと言った使える場面はある。ただ、Perkの能力で命中率を補正しないと信頼性に欠ける。
      • ちなみにV.A.T.S中のダメージカット率は、『3』が95%で本作が25%である。いくらなんでも弱体化しすぎである。
        『3』のような感覚で使うと間違いなく痛い目を見る。
    • 世界観にリアリティを追加するハードコアモードについては好評だが、元々これのみで制作していた*25為、ハードコアモードにしないと一部のアイテムの存在価値がなくなる*26
    • プレイヤーの行動によるキャラの世間的評価を表すカルマ(善悪度)システムがあるのだが、数値設定が非常に大味な為形骸化している。
      • +-1000が最大値なのだが盗みや不法侵入では数点しか減らない一方、善人・悪人を殺すことで100点も上下する。そしてモブのギャングやフェラル・グールは悪人として判定される為、そこらで軽く雑魚を倒すだけであっという間に聖人になれてしまう。
      • 一方で殺すと大きくカルマが減る善人はほとんどがリスポンしない名有りのNPCであり、気軽に殺人でカルマを下げる事ができない。その為よほど狙ってプレイしない限り、多少盗みやあくどいクエストに手を染めてもほぼ確実に善人から抜け出せない。カルマによるエンディング内容の変化もあり、悪人ロールプレイをしている場合は困るのだが…
  • 誤訳
    • 『3』より誤訳が酷い。『3』は直訳による誤訳やシステム名と間違えた翻訳はあるものの、会話やクエスト等の内容は比較的問題なく訳されていた。
      一方本作は会話が成立しない、世界観の把握に必要な情報の根幹が間違っている、英語の翻訳漏れ、必要材料の書き漏れ等、あまりに酷い。
      前述した元の会話の作りこみ不足や、作品自体が『3』と比べて直接的でない遠まわしな表現が増えた事も相まって余計ややこしいことに。
      ゼニアジ曰く「早い段階で翻訳をスタートさせた」との事だが、到底そうは思えないレベルである。
      • 顕著な例が、主人公に重傷を負わせた相手との会話。頭に銃弾を撃ち込んだにもかかわらず自分の前に現れた事に驚いた際の台詞、「前は垂直だったのに、何でだ?」である。お前はいったい何を言っているんだ状態。
      • 比喩表現で何も出来ず固まっていたという意味を直訳してしまった為と言われている。
    • 今回は有名声優や大御所を起用した事を宣伝しているが、その中に明らかなミスキャストがいる等使い方が微妙に悪い。
    • とあるクエストに至っては、「パッチを当てるとクエストの解説文が日本語から英語になってしまう」という新たなバグが発生した。

DLC

  • 第1弾から第4弾は開発期間不足により本来は本編中に組み込まれるはずだった内容が分割されたものとなっている。その為本編では名前のみだったり存在が仄めかされるだけだったキャラクターたちが数多く登場しそれらが緻密に絡み合った内容となっている。
    • ちなみに、今回はDLCごとに「推奨レベル」が表記されるようになった。
    • これら5つに加えて、初回特典として配布されたアイテムが全て入手できる「Courier's Stash」というDLCもある。
+ 要クリック
  • 第1弾「Dead Money」
    • 過酷な条件と共に囚われの身となった3人のウェイストランド人と共に、シエラ・マドレ・カジノにある伝説のお宝を奪え。『New Vegas』ダウンロードコンテンツ第1弾となる“Dead Money”で、プレイヤーは新たなエリア、敵、そして人生の選択に直面する。生死を賭けたクエストでどんなカードを切るか、それはプレイヤーである貴方次第だ。(公式サイトより引用)
    • 全体を通してホラーゲーム風の雰囲気となっているDLC。他と比べて非常に癖の強い内容であり、賛否が分かれている。特に以下に挙げる点が批判され易い。
      • 所持品の持ち込みは一切不可、武器・防具・弾薬・回復アイテム等は全て現地調達。入手できる回復アイテムや弾薬が少ない為、戦闘面でもシビアな難易度。
      • メインとなる敵は「ゴースト・ピープル」という敵だが、総じて耐久力が高くで高火力、しかも部位破壊をしない限り死んでも一定時間で蘇るという恐ろしい性質を持つ。また、こちらのLvに連動してHPも強化される為、プレイヤーが高Lvだと逆に敵一体倒すのでさえ骨が折れる。
      • メインクエストのみの構成で基本的には一本道。進めると戻れなくなる場所があり、ファストトラベル不可である事も災いしてアイテム管理が難しい。それ以前に舞台であるシエラ・マドレ自体一度しか行く事ができず、クリア後は再来不可。
      • 触れるとダメージを受ける毒霧がそこらじゅうに蔓延しているせいで、行動が大きく制限されると同時に、自由度もかなり低い。
      • 「近付くとアラームが鳴り、数秒以内に離れないと即死する」という即死トラップが至る所に配置されている。対策も場所によって様々で、場合によっては解除できない為全速力で突っ切るしかないことも。
        特に最終エリアの即死トラップの配置がいやらしい。一見してどう進むのが正解かを判断するのはまず無理で、何度も死にながらパターンを見抜いていくしかない。
      • アラームを抜きにしても、ほぼ全域にトリップワイヤーやベアトラップといった罠が多設置されており、慎重な行動が求められる。
      • ストーリー自体は難解で癖も強いが概ね好評価。「手放すこと」の難しさをテーマとした物語であり、それを象徴するように最後のマップでは非常に重く、到底全部は持ち出しきれない量の金塊がプレイヤーを悩ませる。
  • 第2弾「Honest Hearts」
    • トライバル奇襲部隊によってキャラバンが襲撃され、ユタ州ザイオン国立公園にある手つかずの自然への探索が、思い通りに進まなくなってしまった。モハビへの帰還を試みるも、部族間の闘争やニュー・カナーン人の宣教者と謎のバーンドマンの対立に巻き込まれることになってしまった。ザイオンの運命は、君の決断に掛かっている!
    • 自然豊かな地ザイオンにて、本編中で幾度か名前を耳にするキャラクター「バーンドマン」がその姿を現す。
      • 何かと縛りの強い「Dead Money」とは趣向が変わり、重量制限こそあるが持ち込みが可能でマップ内も自由に動き回れる。
      • 一方で出現する敵は敵対部族の「ホワイトレッグス」や『3』から引き続き登場した「ヤオ・グアイ」等、全体的に火力が高く手ごわい相手が多いが、手に入るアイテムも強力なものが多い。
      • クリアまではモハビウェイストランドには戻れないが、クリア後は自由に行き来可能。
      • ストーリーは戦うか逃げるか、許すか断罪するかなど重要な決断が求められ、それに応じて物語の結末やキャラクターたちの最後も大きく変わる構成となっている。
      • また本筋とは別に、かつてこの地で最終戦争を生き延びたある人物の記録を追うことができる。すべてが滅んだ世界に生き残ってしまった男がどう生きたのか、何を失い何を成し何を遺したのか。それを物語る一連の記録は非常に感動的で評価が高く、このDLCにおける裏の主人公と言っても過言ではない。
  • 第3弾「Old World Blues」
    • あなたはビッグマウンテンのクレーターを調査に派遣されると、そこに住むThink Tankと呼ばれる研究者達を救えるのは自分だけだと言うことを知る。進めていた研究が大暴走し、そこから自分たちを助ける協力をして欲しいというのだ。広大なビッグマウンテンの探索を進めると、地下には多くの研究施設が存在し、見たこともないミュータント化した動物や、身のすくむようなロボットが徘徊するのを目の当たりにする。自らの基地となる場所を確保し、戦前時代の武器や技術を集め、科学の結晶を救い出せ。
    • シリアスな展開が多い他のDLCに比べ、ややコメディ色の強いストーリー。開始早々プレイヤーは拉致され脳みそを奪われることに…。
      • 第2弾に引き続き、こちらも自由に動き回りマップ探索できるようになっている。
      • 便利な設備や自宅、強力なperksなど何かと役に立つものが多く追加される為、実用性が高いのも特徴。
      • 癖の強いキャラクターたちによって織りなされるバカバカしくもどこか悲しさを感じさせるストーリーは好評。若干のメタフィクション的要素も含んでいる。
  • 第4弾「Lonsome Road」
    • Lonesome Roadでは元の6人目の運び屋、ユリシーズからの接触から始まる。彼は『New Vegas』でプラチナチップを運ぶことを拒否した男。なぜ運び屋としての仕事を拒否したのか?地震と嵐に閉ざされたザ・ディバイドへ向かう仕事を引き受けたら理由を話すという。この仕事を受けるかはあなた次第だ。
      ザ・ディバイドへの道のりは危険に満ちており、足を踏み入れた者は僅かで戻ってきたものはいない。リスクを追ってまで己の過去を探しだすのか?持ちうる全ての武器や装備を揃えよう、しかし、コンパニオンは置いていけ…この道は独りで歩かなければならない。
    • 「Dead Money」と同じく再び自由度低目な内容であり、ストーリーも色々な意味で賛否が分かれる。
      • 基本的にはリニアなストーリー運びとなっており、サブクエストは一切ないメインクエストのみの構成。マップは一本道が多く探索要素も低め。
      • 登場キャラクターは本編やこれまでのDLCでわずかに存在が窺える程度だった「6人目の運び屋(キャリア・シックス)」と、本編にも登場したコンパニオンの同型機「ED-E」のみ。
      • これまでのDLCを上回る程の高難易度を誇る。出現する敵も高い耐久力と知覚を兼ね備え、最強クラスの装備で身を固めた「マークドマン」、素早い動きと高い攻撃力で集団で襲いかかってくる「トンネラー」や、本編より攻撃力と耐久力が大幅に強化された「デスクロー」と強敵がこれでもかと言うほど湧いてくる。また、スクリプト湧き、固定配置などが多く咄嗟の対応力も求められる。
      • そして何よりこれまで一貫してプレイヤーの想像に委ねられてきた「主人公像」であるが、このDLCでは主人公の過去がわずかに明らかになる。「プレイヤー=主人公」を強く意識している場合は違和感が出るかもしれない。
      • ストーリーそのものは「Old World Blues」のメタフィクション要素をさらに推し進めたような構成とテーマの為癖が強く分かりづらい。「たくさんの選択肢」「自由と責任」といった本シリーズの特徴を活かしたストーリーではあるが、分かりづらさといきなり明かされる主人公の過去などにより非常に好き嫌いが分かれるものとなっている。
      • 新規追加アイテムはそこまで多くはないが性能は総じて高い為、実用性はある。
      • また、群を抜いた高難易度故か他の3つのDLCとは違い、いつでも自由にモハビへ戻ることが可能となっている。コンパニオン以外の全てを活用しきらないと冗談抜きで話にならないほど難しい為、仮に戻れなかったら詰みかねないが。
  • 第5弾「Gun Runners' Arsenal」
    • 高名な武器製造元、ガンランナーが特別な装備を公開したらしい。その中には新しい武器や武器MOD、弾丸、そしてレシピが含まれる。値は張るようだがな。とんでもないポテンシャルを秘めたものから、非実用的なバカバカしいものまで、最高級の武器を求めてモハビ・ウェイストランドへ足を運ぼう。
    • 他のDLCとは違いエピソードクエストは一切ない。本編中に新しい武器・弾薬・設計図・武器MOD・チャレンジが追加される。
      • その分値段は安いのだが、『3』のDLCが追加エピソードx5だった為、物足りなく感じる。
      • 追加チャレンジ(トロフィー・実績)も、ゲームの進行具合によっては取れない、または困難を極めるものが多く、そういった面でも他と比べるといまいち調整不足な所も見られる。
  • DLC全体
    • 『3』は特定のDLCを入れるとレベル上限が上がる仕様になっていたのだが、本作ではDLC一つにつきレベル上限が5上がる仕様になっている。レベル上限を最大まで上げるにはDLCを全て購入せねばならず、1つ1つが高額な事もあって財布には優しくない。
    • 『3』同様、DLCを入れれば入れるほどフリーズや処理落ちが発生しやすくなる。

総評

『3』から洗練された部分は多いものの、フリーズやバグも相変わらず多い。
ストーリーは古くからのファンには好評であるが、外伝的であった『3』とはテイストがかなり異なる上に新規ユーザーに対し説明不足な為、『3』を基準とする国内ユーザーには違和感として受け取られた。
『3』に比べ幾分かバランスは良くなったがオープンワールドRPGとしては規模の小ささや相性の良くない面も目立つ、色々と惜しい部分が多い作品である。


余談

  • 本作は元々、前作『3』の大型DLCとして開発されていたことが後の『Fallout』シリーズ25周年記念動画で明かされている。詳細はこの記事を参照。
  • 日本国内の評価こそ低めだが、Steam等での海外評価は『3』や『Fallout 4』を上回る評価を得ている。
    本作で重視されていた旧作設定への忠実さやTRPG的自由度が日本では馴染みが無かった故であろう。実際、日本で比較対象にされやすいのは必然的に『3』や『TES』シリーズである場合がほとんど。
    • ベセスダが継承したRPGの自由度はストーリーを離れたロールプレイを阻害せず、広大なオープンワールドを自在に闊歩できる探索アクションが優先されていたが、
      それに対してBlack Isleが継承したRPGは複雑な人間関係の中で多種多様な立場や手段を取れる、アドベンチャーの自由度が重視される作風といえた。
  • ゼニマックス・アジアによる販売CMは昨今の和製RPGのディスリスペクトであり、しかも肝心のゲーム内容にはあまり触れていないという内容で発売前から物議を醸した*27
    • 今作の内容は謳い文句と反する箇所がある為、そのブーメランっぷりにCMの文面をもじったアンチコピペが作られることもあった。
    • 評判が悪かった為か、その後公式HPにはFC時代の某国民的RPGを模した『Fallout』紹介ページが追加された。
      • これについてプロデューサーの岩本けい氏は「他社との比較ではなく "ウチのゲームはどうですか?" という疑問をユーザーに投げかけている内容である」と公式インタビューで語っている。

その後の展開

  • 2019年10月25日に本作の流れを汲んだObsidianの完全新作となるRPG『The Outer Worlds』がPS4/One/Win*28で発売された。「ハルシオン」と呼ばれる星系を舞台にしたSF作品であり、ブラック企業や階級差別の蔓延するディストピア世界が『Fallout』の如くブラックユーモアを通じて描かれている。
    • この『The Outer Worlds』は本作のTraitsに似ている「欠点」のシステムや、固有のクエストを持つコンパニオン、参加勢力の選択やNPCは全員殺害可能等、本作と類似点が多い。一方、オープンワールドではなく幾つかの自由行動可能なエリアに分割されたシステムとなっている。
      • この『The Outer Worlds』は本作を含めたかつての『Fallout』シリーズのファンから高い評価を受け、2020年6月5日にはSwitch版も発売。そして、2021年6月には続編『The Outer Worlds 2』が発表された。
    • ただし、Obsidian Entertainmentは2018年11月にXboxのマイクロソフトに買収され傘下となった為、この『The Outer Worlds 2』は幅広いハードで発売された1作目と異なりCS機ではXSXでのみの発売となる(Win版は今までどおり発売)。
      • また、『Fallout』シリーズを発売しているBethesda Softworksも親会社であるZenimax Mediaが2020年9月21日にマイクロソフトに買収されたことから傘下となっている。その為、今後『Fallout』シリーズはXboxハード(とPC)でのみ発売される可能性が高い。

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最終更新:2023年01月31日 16:00

*1 今作もDLCを導入すればALL100にはできる。

*2 使用するとスキルが上昇するアイテム。

*3 『3』に比べ緩やかなレベルでのHPの上昇・装備の強化はある。

*4 その上、そのNPCはフィールドを移動するキャラバンなので死にやすい。

*5 いわゆる「不死属性」の事。ハードコアモードだと死亡する。

*6 カロンはモブのグールと、フォークスは雑魚のスーパーミュータントと声優や戦闘ボイスが同じ等。

*7 作中勢力やミュータントについて『3』独自設定や追加設定が存在していた。

*8 Black Isle Studiosが製作していた『3』で、完成直前に開発中止となった。

*9 現実のワシントンD.C.に相当

*10 現実のネバダ州に相当する。

*11 新カリフォルニア共和国。『1』の主人公と関わった人物が後に建国し、『2』の主要な舞台となる

*12 『1』に登場。戦前の知識を収集し、市民には主に医療を提供する慈善団体。

*13 イエスマンは諸事情の設定により殺しても何度でも蘇る他、彼のクエスト自体もどう進めようと絶対に手詰まりにならないようになっている。

*14 メリットの為にデメリットが無視できそうなのもポイント。

*15 放置するとステータスに様々なデメリットが付与され、最終的には死んでしまう。

*16 空腹ならFOD、水ならH2Oといった感じ。

*17 壁の消失だけなら海外版にも存在する。

*18 一応初回プレイではまず気付けないような安全なルートがある。他にもRepairスキルが高いキャラメイクをすればゲーム開始場所で入手できる9mmサブマシンガンで危険区域も楽に突破可能。

*19 尤も、本作では修理スキル100%商人の充実によりキャラバンの価値はほぼなくなり、NPCもほとんどがクエスト後なのであまり問題は無い。

*20 自身や所属する組織が致命的な状況の中、ある何かを探しに行き、見つけた後マズい事が起こっている事を知り、それをどうにかするという3つのプロット。『3』もきちんと踏まえている。

*21 Interplay時代に開発中止になった『Fallout 3』のことで、即ちVan Burenの事でBethesda開発のそれとは全くの別物である。

*22 ゲーム中のネバダ州一帯は既にある勢力が主要拠点を占領しているものの、つい最近まで複数の別勢力と各地で激しく戦闘を行っていた。

*23 メインクエストで関わるブーマー、B.O.S.、グレート・カーンズ等。面倒なら対象の長を殺せば比較的早く終わる。

*24 旧作の路線に戻した結果だが一部ではSpeechゲーと揶揄される。

*25 制作途中でベセスダが止めに入り今の仕様になった。

*26 SurvivalスキルはノーマルモードにおいてもMedicineスキルとの2択になりえる有効な回復スキル。

*27 具体的に言うと「白背景にオーディエンスが文句を書いた看板を持った抗議活動風の画像」等。

*28 Steam版のみ2019年10月23日発売。