MOTHER 1+2

【まざー わんつー】

ジャンル ロールプレイングゲーム
対応機種 ゲームボーイアドバンス
メディア 128MbitROMカートリッジ
発売元 任天堂
発売日 2003年6月20日
定価 4,800円(税別)
プレイ人数 1人
廉価版 バリューセレクション
2006年2月2日/2,667円(税別)
判定 なし
ポイント 『1』は幻の海外版の移植
『1』の入手ハードルが下がった
ゲームシステム等は好評
再現度の低いサウンド
MOTHERシリーズ
MOTHER / MOTHER2 / MOTHER1+2 / MOTHER3


概要

1989年発売のFC『MOTHER』(以下、『1』)と1994年発売のSFC『MOTHER2』(以下、『2』)をカップリングでGBAに移植したもの。
どちらも発売から年数がたち、特に1作目についてはソフトもプレミアム価格が付いたため実機でのプレイは困難となっていた。
また、64版『3』の開発中止以降、MOTHERシリーズは沈黙していたため、『3』開発再開と同時に発表されファンからの期待は並々ならぬものがあった。
しかし、GBAのハード性能の制約上、完璧とは言えない出来が惜しまれる結果となった。

なお、厳密にいうと『1』は国内版『MOTHER』の移植ではなく、海外で未発売となったNES版『Earthbound』*1をベースとしている。(後述)


変更点

共通の変更点

  • バグに起因する裏技が修正により使えなくなった。
    • ただし『1』のパンくずバグ修正に見落としがあったのか、砂漠の直前にある森の特定の場所で実行でき、早解きに使えたりNPCを含めた4人パーティができる。また『2』は新たなバグが発生した。

『MOTHER』の変更点

  • システム面で快適性を補うための追加・変更が施された。
    • ボタンダッシュが可能になった。
    • アイテムの説明及び、エンカウント率を下げるアイテムの追加。
    • マジカントでお金を引き出すことが可能になった。
    • 国内版にはなかったラスボス戦後のエピローグシーンが追加された。
    • おともだち(ロイド)の攻撃アイテムを購入できるポイントの追加。
    • ホーリーローリーマウンテンにテレポートできるアイテムが追加された。
    • 8番目のメロディを聴く場所が変更された。また、物体をチェックして8番目のメロディを聴くと同時にパーティが全快するので、回復スポットとしても活用できる。
    • フィールドの敵が出現するエリアでチェックすると「あやしげな けはいが・・・。」と表示され、敵が出現する場所とそうでない場所の区別がつくようになった。
    • 時事的なセリフの修正。
    • CERO関連によるグラフィック・セリフの修正。

その他、細かい変更点が多数存在する。

MOTHER2の変更点

  • BGMや効果音の劣化、テキストの一部変更などの他は、システム面での大きな変更点はない。

評価点

  • 『1』のシステム周りが改善され、遊び易くなった。
  • 『1』の国内版では中途半端であったエンディングが、シーン追加によって補強されている。
  • 携帯機であることを考慮してか、スリープ機能も追加。すぐに中断できない場合でも、バッテリーの消費を抑えられる。
  • 元から短かったロード時間が更に短くなりスムーズに移動しやすくなった。
    • 分かりやすい例としては、部屋から外に出る時にFC版では3秒後に切り替わっていたのが、たった1秒で切り替わるようになった。

問題点

『MOTHER』『MOTHER2』における問題点

  • サウンドの再現性に欠ける。
    • 「『1』のBGMのPCM音源によるパーカッションパートが再現されていない」「戦闘時における攻撃時の効果音が敵と味方で入れ替わっているミス」「2作ともメロディや効果音の音色、キーが異なる」など。
    • 対応ハードの性能や容量制限により、音質劣化は致し方ない側面もあるのは事実だが、GBAはSFC同様にPCM音源を扱えるため鳴らそうと思えば何でも鳴らせるように出来ている*2
      また他GBAタイトルでは、SFC音源以上のクオリティといっても差し支えない音を鳴らすものも存在する。容量に関してもこのゲームの場合は128Mbitのうち1/4近くが未使用領域となっていることが判明している。
      • これらの点を踏まえると、やはりもう少しがんばって欲しかったと思わざるを得ないところ。

『MOTHER』における問題点

  • 上記の通り『1』は日本国内版の完全移植ではないため、国内版そのものをこのゲームでプレイすることはできない。
    • 具体的な変更点を上げると、セリフや敵グラフィック(喫煙している敵や刃物を持った敵などの差し替え)、フィールド上のオブジェのグラフィック、マップやシナリオの進め方の一部改変、ヒントの追加など。
  • エンカウントのバランスが原作より悪化している。
    • 元々、原作の時点でエンカウントのバランスはあまり良くなく、特にラストダンジョンのホーリーローリーマウンテンのエンカウント率の極悪さは語り草になっていたほどであった。
      • しかしこの移植版においては、ゲーム開始直後に歩くことになる町でさえ、戦闘後に一歩動いただけでエンカウントという事態が頻繁に起こるため*3、ストレスが溜まりやすい。また、移動が1マスずつではなくドット単位になったので、少しも移動できずにエンカウントしたという印象が強い。
  • 前述の通り、一部BGMの音程が原曲と異なっていたり、PCM音源によるパーカッションが再現されていなかったりする。
  • 便利ボタンが追加された影響で、マジカントのドラゴンとの戦闘に突入できないという事態が発生した。
    • ドラゴンと戦うにはメニューから『チェック』する必要があるのだが、便利ボタンは「話す」コマンドになってしまう為であり、こちらに頼りっきりだとひっかかってしまう。

『MOTHER2』における問題点

  • シナリオ周りや大筋のテキスト・表現に大きな変更点はないが、一部のセリフやテキストに微細な変更がある。
  • BGMの音色違いやモノラル化。
    • GBA本体はモノラルスピーカーだが、仕様としてはステレオ出力にも対応しておりヘッドフォンなどでも聴くことができるため、何故モノラル化したのか不明。
    • ゲップーの秘密基地内BGMのみステレオ。ただしSFC版とはまったく異なる鳴り方である。

総評

『1』は国内版の純粋な移植ではなく、『1』『2』共に音質が劣化している点は残念だが、作品自体の面白さやクオリティそのものは決して変わっていない。
当時では手に入れにくくなっていたFC・SFCの名作RPG2本を、手軽に遊べることもファンから大いに喜ばれた。
移植・リメイク作が多いGBAソフトの中でも、RPG好きならば是非手に取ってほしいタイトルと言えるだろう。


余談

  • NES版『Earthbound』をベースにしたことについて任天堂から公式のアナウンスはない。
    • 断定はできないが、上記の『1』追加要素やグラフィック等の変更点が、未発売であった海外版の内容と合致している。
  • 『MOTHER』に関しては海外版の移植であると述べたが、『1』の海外版『Earthbound』はNES(海外向けファミコン)で開発が終わっていたものの未発売となっており、『2』が同名の『Earthbound』としてSNES(海外向けスーパーファミコン)でリリースされたという経緯がある。
    • 未発売なのでデータなどは一切公開されていないものの、後にNES『Earthbound』のROMデータがネット上に流出し、それを基に海外の有志がタイトルを変更して『Earthbound ZERO』としたものが広まっていた。その存在が海外のユーザーに公にされていたのである。(FC版の記事にその辺りの事情が掲載)
      海外版を移植した理由については、国内版ではヒントが極めて少なく難易度が高い点の改善や、容量の都合で説明不足だった点を補完したかったということが考えられる。
  • 『1』に関してはシステム周りの変更の他に一部マップの構造や各種パラメータの変更、わかりづらかったヒントが親切になっていたりと易化する方向での調整がみられる。
  • GBA版のみのバグとして、初期版のROMに限り『2』では、今までに一回以上「あなぬけネズミ」を使ったことがあり、ピザ等を注文していない状態で、ラストダンジョンの最終フロアで「あなぬけネズミ」を使うことにより、通常では抜け出せないラストダンジョン*4から脱出することができる(ただし、一部のマップのBGMや構成などが変化する)。
    • と、長い間言われていたがSFC版にも別の方法でラストダンジョンからの脱出を可能にする技が発見された。
  • 2作とも移植スタッフのクレジットは一切出ないため本作の開発元は判明していない。奇しくも同日発売の劣化移植ゲーと同じである。
  • 発売当時入手及びプレイ困難であった『1』『2』が(当時の)現行ハードで手軽にプレイできるのが魅力であったが、現在では本作そのものが入手困難なプレミアムソフトとなってしまっている
  • 通常版はリチウム電池によるセーブ方式だが、廉価版はフラッシュメモリに変更されている*5。そのため購入する場合、経年によるデータ消失がない廉価版の方がお勧めである。

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最終更新:2024年02月01日 15:59

*1 後の2015年にVCで『Earthbound beginnings』として発売された

*2 ただし同発音を増やしたりするほどCPU負荷が高くなりゲーム動作自体が重くなりやすい難点がある。

*3 エンカウントのタイミングにバラツキがあり、戦いたいのになかなかエンカウントしないケースも有る。

*4 ここでセーブすると二度と戻れないので、ラストダンジョンに入る前のセーブデータを1つはコピーして取っておくことをおすすめする。

*5 これ以外にもGBAの悪魔城ドラキュラ3部作など、廉価版はセーブ方式が変更されたソフトが複数存在する。