真・女神転生if…

【しん めがみてんせい いふ】

ジャンル 3DダンジョンRPG

対応機種 スーパーファミコン
プレイステーション
メディア 【SFC】16MbitROMカートリッジ
【PS】CD-ROM1枚
発売・開発元 アトラス
発売日 【SFC】1994年10月28日
【PS】2002年12月26日
定価 【SFC】9,990円
【PS】通常版4,800円/限定版7,800円
配信 バーチャルコンソール
 2011年2月1日/900Wiiポイント
ゲームアーカイブス
 2010年9月8日/1,000円(税別)
書換 ニンテンドウパワー
【SFC】1997年12月1日/1,000円/F×4・B×4
判定 なし
ポイント メガテンの方向性拡大のベース
女神転生シリーズ


ストーリー

いつものように退屈なある日の放課後。
主人公の通う「軽子坂高校」が突如魔界に落ちた!
主人公は、学友の白川由美(ユミ)、黒井真二(チャーリー)、赤根沢玲子(レイコ)の中から一人をパートナーとして選び、事件の首謀者「魔神皇」狭間偉出夫(ハザマ)を追うため魔界の深淵へと足を踏み入れる…。


概要

『真・女神転生』シリーズ3作目でスピンオフ。スタッフの間で以前から構想があった学園ものの女神転生である。
当シリーズは、神と悪魔の戦いを描いた壮大なスケールで展開してきたが、本作は一転して学園と人間関係を描いた箱庭的な世界観で展開する。
初代『女神転生』のオマージュと回帰を含みつつ『デビルサマナー』シリーズや『ペルソナ』シリーズといった新たな方向性への礎となった作品である。

魔神皇ハザマ自体、初代『女神転生』の主人公・中島朱実のオマージュである。「天才的な頭脳の持ち主・いじめ被害者*1*2・復讐のために悪魔の力を用いる」といった点が共通している。
また1994年当時、学校内でのいじめの悪化・それに伴う生徒の自殺などが社会問題となった土壌も相まって、「フィクションとして笑い飛ばせない」リアリティを生み出し、メガテンシリーズが『時代の写し鏡』と呼ばれる切っ掛けもつくりだした。
飽食界・怠惰界で校長が酷い目に遭わされているのは、いじめが発覚した際「事なかれ主義」を決め込み事件と向き合わない校長が多かった事への風刺とするユーザーもいる。もっとも、ハザマのいじめ問題に対し校長がどんな反応を取ったのか、作中で語られる事は無いが。
大月先生*3や香山先生*4など、実在する人物のパロディを盛り込んだ作品の先駆者でもある。

当初は『真・女神転生II』の高難易度版として短期間(前作から約半年)で制作された作品であるためか、多くの要素が前作からの流用となっている。魔法継承、合体事故、剣合体の各システムはそのまま引き継ぎ。装備品も耐性含めてほとんど流用されている。


特徴

ガーディアンシステム

  • 悪魔の魂を「ガーディアン」として憑依させその能力を得る、というシステム。
    • キャラのHPが0になった状態で戦闘が終わると、戦闘終了直後にガーディアンが憑依しキャラは復活、そのままゲームが続行される。つまりゲームオーバーは存在しない*5
      これだけ聞くと、初心者救済用のシステムに思えてしまうが、現実は甘くない。
      • 憑依するガーディアンは「ガーディアンポイント(GP)」の量によって決まる。戦いに勝ち、より多くのGPを貯めれば、それだけ高位のガーディアンを憑依させられる。一度憑依させると必要なGPは一気に跳ね上がり、GPの量が少なすぎるとガーディアンは弱くなってしまう。
      • ガーディアンが憑依すると、キャラのパラメータに補正値が付加される。補正値は"キャラとガーディアンのパラメータ平均値"が基準となり、プラスにもなればマイナスにもなる。確定した補正値は次の憑依まで維持されるため、ときには「あえて強化しない」という選択を迫られる場合も。
      • パートナーの場合はさらに、ガーディアンの持っていた魔法を習得する。これにより使用可能な魔法のバリエーションは広がった*6が、一度にストックできる魔法の数には上限があり、実際に使える魔法は限られてくる。必要な魔法をしっかり把握したうえでガーディアンを憑依させないと、MPの持ち腐れにもなりかねない。
    • ゲームオーバーにならないからと負けてばかりいれば、パラメータは下がるわ余計な魔法ばかり覚えるわで"詰み"になりかねない。あくまで「失うものが変わっただけ」であり、従来以上に慎重なプレイが要求されるようになっている。

パーティーアライメントの概念

  • 今まではストーリー中の選択肢や行動で、ロウ・カオスの属性が変化していた。が、今回は現在呼び出している仲魔によって変化する。
    • 一例として、ロウ属性である「大天使」を召喚してパーティに入れていると、「破壊神」や「魔王」のようなカオス属性の仲魔を召喚できなくなる。
    • つまりロウ・カオスどちらかに偏った属性の仲魔を同時に呼び出せなくなったのだ。これにより編成の戦略性が増した。
  • 後のデビルサマナーシリーズにもこの仕様は引き継がれている。

その他システム関連

  • 主人公の性別を選ぶと、「電脳占い師・ノヴァ」から多くの質問を受ける。それによって初期能力とそれに伴うガーディアンのタイプが決定される。
    • 結果としては力・体力に優れた「パワータイプ」、素早さに優れた「スピードタイプ」、平均的な能力の「バランスタイプ」、速さ・運・初期資金に優れた「ラッキータイプ」がある。
    • バランス・ラッキータイプは同じガーディアンがつくが、初期能力値と所持金が大きく異なる。同じタイプでも主人公の性別によってさらにガーディアンは変化する。
  • 序盤にさまざまなパートナー候補から仲間に誘われる。上に記述があるが誰をパートナーにするかで話の展開、エンディングが変わってくる。
  • 2Dマップが廃止され、『初代』と同じく最初から最後まで3Dダンジョンの中で展開する。
  • 合体システムと魔法継承は前作と同じだが、前作でゲームバランスを崩していた「ランダム合体」には通常の合体同様レベル制限が課された。
  • 前作ではやたらと低かった攻撃魔法の威力は、ゲーム前半で役立つ程度には強化されている。攻撃魔法は基本3段階になり、ダイン系(魔法系統名)の魔法が復活した。
  • 銃に弾数制限が導入された。そのため、銃による追加効果ハメは残弾数を考える必要がある。また、武器屋に戻るのが面倒な状況の場合、予備の弾丸を多数購入しておかねばならず、アイテム欄を圧迫する事も多い。
    • 後述のPS版では「EASY」モード限定で弾数制限がなくなった。
  • 前列と後列の差が強調された。後列は一部の技や銃を除く物理攻撃ができないが、敵から受けることもない。
  • 概要にもあるように、短期間で開発された都合から、前2作より流用されているグラフィック、デザイン、BGMもあるが、追加デザイン、アレンジ曲などもある。
    • システムまわりも前作から流用しているが、レスポンスが良くなったりと改良され快適になった。
  • 前作で頻発した重度のバグは修正された(有用なバグの一部は残っている)。

評価点

  • メガテンとしては珍しく、主人公の性別を選択できる。*7
    • 無論、単なるコンパチではなく、能力面でも差別化が図られている。
      • 女性主人公はパラメータに恵まれた悪魔がガーディアンとして選ばれており、防御力の高い防具を多く扱える(最強防具も女性専用)。一方の男性主人公は、全ての銃を装備でき、実用性の高い防具を多く扱える。*8
        当然ながら、イベントの内容に関しても差分が設けられている。
  • 新基軸のガーディアンシステム
    • 悪魔を仲魔として使役するだけでなく、自分に憑依させるというシステムはレアで戦略の組み甲斐がある。
      • しかし、前例のないシステムゆえか仕様に難があり、いろいろと残念なことになっている(後述)。
  • メガテンのシナリオの転機
    • 悪魔と人間との付き合い方、神と悪魔との戦いに巻き込まれた人間の生き方という描かれ方をする女神転生の系譜にあってして、狭い世界での人間同士の関係性を描いた枝分かれの原点。
      • これにより、東京が壊滅した『真・女神転生』シリーズと、壊滅しなかった『デビルサマナー』シリーズ及び『ペルソナ』シリーズとでシナリオの方向性が大きく変化している。
    • エンディングも属性ルート別ではなく、一本道ルートでキャラクター別の結末へと変更された。
    • みんなを助けたいという正義感(ユミ)、自分だけが助かれば良いという自己中心性(チャーリー)、そして元凶こそをなんとかしたいという個人的理由(レイコ)というそれぞれの思いで各パートナーは動こうとする。
    • レイコがパートナーの場合、ハザマを救うために精神世界に進入するという展開が増える。この場合、ハザマが魔神皇になった真相が明らかになる。
      • 余談だが、このハザマの過去シーンの1つである保健室での出来事は、とある開発スタッフの実体験だという話が攻略本に記載されていた。
  • クリア後に解禁される隠し要素
    • 後述する隠しパートナー・アキラの存在や、全4ルートをクリアした際のちょっとしたサプライズ*9など、良くも悪くも2周目を積極的にやりたくなる仕掛けがある。
  • 目に見えて快適になった操作性・インターフェイス
    • 先述にもあるが、『真II』後に本作をプレイすると文字スクロールからダンジョンの前進、その他諸々のレスポンスがすこぶる快適に調整されたのが如実にわかる。『真II』の頃に「これはSFCの処理落ちだ」と多くのプレイヤーが受け入れてしまった箇所が片っ端から解消されて驚いた人も。
      • 逆に本作が『真II』からそれほど間を空けずに発売された為に、「『if…』の快適さで『真II』を遊びたい」という声があがった程。
  • PS版では「メモリーカードチェックボーナス」が追加。
    • メモリーカードにアトラスが販売したゲームのセーブデータがあると、パラメータが強化される・パートナーが魔法を習得するなどの恩恵に授かれる。
  • クリアするまではあくまでも学校である。
    • 学園物といいつつもアッサリと学校的なものを捨て去ってしまうものが多い中、『if…』は魔界に行きつつもしっかりと学校の中の生徒の話である。
      • 分かりやすいのが序盤で集まる武器防具は生徒が思いつきそうな「部活の道具」で、魔界に入れば魔界の物を使うが、この導入は対比としてもまさに「学校内のアピール」として優秀。
    • また、敵にまわるのも助けてくれるのも先生、良くも悪くも誰にでも分け隔てなく接する保健医、しがなく雑務をこなしているがボクシングの逸材を見つけて夢を抱く用務員、普段は目立たないがディスクを手に入れた事で光る友人…など、人物も学校内は当たり前だがそれを逸脱していない。「事なかれ主義な校長」というのも当時の「いじめ問題」としては目をそらしてはいけない存在。
  • 属性システムでは無いが、関連的な事が属性概念として理解を深める仕掛けとしてのパートナー選び。
    • 完璧では無いがユミの「みんなを助けたい」がロウ、チャーリーの「自分だけ助かりたい」*11がカオス、レイコの「ハザマを助けたい」はライト、アキラの「ハザマをブチのめす」はダーク…とすれば、過去作の理解が深まる。この例は当時のインタビューで答えられている。
      • しかし、このパートナーの選出方法は後述されるアトラスRPG*12につきまとう問題点で選択する。
      • また、「プレイヤーの行動によって揺れ動く」のではない「最初に属性選択」とも言えるので特に行動や選択は影響しない*13

賛否両論点

  • その名の通りの「◯◯界」
    • ハザマに行くまでに様々なエリアを攻略するが、そのエリア名のプレッシャーがキャラクターだけでなくプレイヤーにも迫っているものが多い。
    • 後述にもある「傲慢界」の魔力の強化を怠った傲慢な?プレイヤーはボス戦で苦戦。「怠惰界」は語り草にもなってしまったダレるクエストが怠惰なプレイヤーを許さない。憤怒界はパートナーに憤慨し、嫉妬界は嫉妬してしまう様な仕掛け。貪欲界は宝箱開けまくると最後にボスが強力にたちはだかる*14。ゲーム内のハザマからのこのいやらしいクエストはプレイヤーにも精神的につらいものがある。飽食界はそれほど精神攻撃は無い様に思えるが、人によってはオーカスの体内の風景や音がグロくて食欲を無くす…なんて声も。
      • これが意図的なものなら嫌らしさのしかけとしては一級品。キャラはプレイヤーの分身だが、プレイヤーもキャラクターの分身の様に苦労して攻略する一体感は感情移入という言葉だけでは片付けられない他ではなかなか味わえないもの。
      • しかし、この苦労するのがわかっている2周目を阻む最大の壁にもなってしまっている。特に怠惰界はやる事は単純だが過程が苦い思い出となってたちはだかる。4人全てのエンディングを見るのに怠惰界を3回…は一度は誰でも考えてしまう。
  • その反面、ヘタレと言われる魔人皇ハザマ
    • ラスボスらしくこちらの攻撃が殆ど当たらない『真II』大ボスタイプ。『真III』での有効技「ランダマイザ」の使い手だが、考え様によってはハザマらしい拒絶タイプのヘタレだという人も。
    • 『真II』の反省からか、このランダマイザ対策のラスタキャンディがカジノで手に入るが、カジノで賭け事をせずとも多少面倒だがコインを買って交換すると手に入る。また、パートナーやその育成によってンダ系等を相棒につけられる。
  • 装備は特定の物を装着すれば変える必要がないものがある。
    • 付加価値の性能が優秀すぎて買い換えるよりもそのままを推奨する攻略法が世に出ている攻略法の大半で言われている。しかも、この防具は割と早めに手に入る。
      • 「買い換えないで良い」と楽観的に捉える事も出来るが、反対の見方をすれば「ガーディアンシステムが活かせない程死なない防具」なのである意味悪影響でもある。

問題点

  • メガテンらしいと言えばそれまでだが、初心者に厳しい戦闘バランス。
    • 序盤は全体的に火力不足で長期戦になりやすい。しかも、『真II』の反動か回復魔法のMP消費量が多く(主に全体回復魔法)気軽に回復できない。
      • 傲慢界のボスはHPの1/2~1/3を削る威力の電撃魔法を多用する。「スターグローブ*15さえあれば…」と言ってやられていったファンもいたことだろう。傲慢界で町の人から聞ける「魔力が全て、魔力がなければ使う魔法は弱くて届かず、魔法に当たるとすぐ死ぬよ」というヒントの通りだったりする。
      • ここに来るまでに魔力にあまりステータスを振っていない場合、突破はかなり厳しくなる。「楽勝ムードに踊らされず、人の話をよく聞くこと」という謙虚さを教えてくれるという意味で、まさに「傲慢」界のボスにふさわしいといえるかもしれない。
    • 「主人公死亡=即敗北」という仕様が導入されているため、「弱い敵のムドで事故死」「剣の効かない敵にAUTOコマンド」といった定番のウッカリミスは更に恐ろしさを増している。「呪殺無効防具は(より防御力に優れた防具があっても)装備し続ける」といった、"属性・相性を重視した戦い"がより重要になった。
      • 非常に誤解されやすい点ではあるが、パートナー死亡時のデメリットは存在しない。不本意なガーディアン憑依を防ぐという意味で、蘇生手段の充実が必須に。
    • シリーズの通例どおり、ボス戦では味方を強化するカジャ系魔法、敵の能力を下げるンダ系魔法がほぼ必須。
      • このうちカジャ系魔法に関しては、カジノでコインと交換できる「ラスタキャンディ(全てのカジャ系魔法が一度にかかる)」で代用が可能。価格もコイン500枚(=5000マッカ相当)と良心的。
    • 一方で、ほぼ全ての即死攻撃・状態異常を無効化する防具「ドルフィンヘルム」や、あらゆる物理攻撃を跳ね返す男性用装備「どくろのけいこぎ」などバランスブレイカー級のアイテムが簡単に入手できるため、知識さえあれば難易度が大きく下がる一面もある。
    • チャーリー編は他のパートナーの時と比べ不利な点*16が目立ち、ラスボス戦で詰まりやすい。カジノの有用な景品やラストダンジョンで購入できる強力な銃をうまく活用しなければ、そもそもラスボスに辿り着くことさえ難しい。
      • ただし、カジャ系魔法を習得するチャンスが多く*17、うまくすればラスボス戦で必須となる魔法「ラクンダ」を習得できるなど、チャーリーならではの強みも無いわけではない。
  • 「ガーディアンシステム」の仕様上、キャラ育成のハードルが高い。
    • ガーディアンによって上がりやすいパラメータと、攻略するうえで上げた方が良いパラメータのズレが大きく、かえって強いキャラを育てにくくなってしまっている。
      • 主人公・パートナー共にガーディアンは「力」に優れたものが多く、安定したプラス補正を得やすい。しかし「力」は上がっても最大HPと剣の攻撃力がわずかに増えるだけで、普通にプレイしていて得られる程度の補正では強化のうちに入らない。反面「知恵」や「速さ」といった重要なパラメータは、レベルに対して低めに設定されているガーディアンが多く(特に高位のもの)、ある程度キャラが強くなると高確率でマイナス補正を被ってしまう。
      • そのため、何も考えずにプレイしていると全体的なプラス補正の大きさだけに惑わされ、ガーディアン強化が無意味だったことに気づかないという罠に嵌りやすい。
      • また「キャラが強いほどマイナス補正のリスクが増える」という性質上、「運の香」などのパラメータ強化アイテムの扱いが非常に難しくなっている。
      • 魔法を習得しない主人公に関しては「一切ガーディアンを憑依させないのが一番簡単で確実な攻略法」とさえ言われているほど。ゲーム内でも「ガーディアンが憑依していない=一度も負けたことが無いほど強い」という扱いになるようで、本来特定のガーディアンが必要なイベントで全く同じ特典を得られる場合がある。
    • ゲーム前半で欲しい強力な攻撃魔法は高レベルの、ゲーム後半で役立つカジャ系・ンダ系魔法は低レベルのガーディアンに偏っており、ゲーム進行に合わせた魔法を揃えるのが難しい。
    • プレイヤーの意思でガーディアンを変えたい時は、わざとHPを0にするしか方法がない。キャラが弱いと不本意なやられ方をし*18強いとなかなか倒されてくれない…と面倒。
      • PS版においては、隠しキャラの「アリス」と遊ぶことで主人公らがしんでくれるようになった。しかし所詮は隠し要素であり、救済措置たりうるかは疑問が残る。
  • パートナーの選び方は、「候補キャラクター全員が登場した後で、その中から1人を選ぶ」のではなく、出てくる順に選別する方式。
    • 「キャラが3人(4人)いてその中から」というのは何となくわかるのだが、異変が起こった学校内を探索する過程でパートナーを選別しなければならない、という点が初見ではわかりづらい。
    • パートナー候補の一人はオープニングイベントでいきなり選択を問われる事になり、会話の流れもあってうっかり選んでしまいやすくなっている。演出として考えれば自然なのだがシステムとしては引っかかる*19
      • 後発作品でも『女神異聞録ペルソナ』などで同様のシステムを採用しているが、やはり「あの子が良かったのに…」に陥りやすい。
    • さらに選択したパートナーによってエンディングで別れる羽目になる場合がある。
      • レイコを選択した場合、レイコがハザマの精神世界に残るという形になり、主人公のみ生還する。
  • 「怠惰界」のイベント。
    • 「普段怠惰にしている」という理由で、クラスメイトや学校関係者がひたすらリングを探して穴掘りをさせられているという、異色の魔界だが…。
    • 穴掘りが進めばリングが見つかりクリアとなる*20。しかし、穴を1マス掘るのに必要な時間は月齢1周り分、つまりクリアする方法はひたすら歩くのみである。
    • ダレる・退屈・面倒と、プレイヤーには迷惑この上ないのだが、そのインパクトゆえに一度やったら二度と忘れないイベントともいえる。
    • 開発者の談によれば、開発段階における穴を1マス掘り進めるためのフラグ立ては、「月齢一周」&「その階層にいる生徒全員に話しかける」というさらにダルい内容であった。

『if…』の魔界

  • 本作は一度クリアしたあとニューゲームで再スタートすると、新たなパートナー候補デビルマン「宮本明(アキラ)」が登場し、本編と別の舞台「幽閉の塔」で展開するシナリオ「アキラ編」が解禁される。
    • 「宮本明」のネーミングは演出家の「宮本亜門(アモン)」と、永井豪のコミック『デビルマン』の主人公「不動明」から来ている*21
    • 悪魔アモンと融合しその力を得る、という序盤の展開は『デビルマン』そのもの。*22また、宮本亜門氏は当時有名だったテレビCMに登場しており、「時代の写し鏡」としても見て取れる。
    • アキラ編は全体的に難易度が高く、本編に比べセーブポイントなどの施設が不便な所にあったり、出現悪魔のインフレが激しいなど、厳しい調整となっている。

総評

もはや行くところまで行ってしまった『真・女神転生II』からの大きな方向転換は賛否あったが、シリーズの方向性拡大につながり、以後の展開を考えれば大きな貢献を果たした作品といえる。
内容もストーリーや設定の重視だけではなく、ゲームシステムの面白さも重視する方向に変わり、ゲームとしての根本に立ち返った面もある。


移植、関連作品

  • PSに前2作と共に移植。ドミ版騒動があったため心配されたが、難易度選択や追加BGM等もある良移植であった。ゲームアーカイブスでも配信中。
    • PS版は限定版の「軽子坂高校50周年記念パック」も同時発売された。設定資料集などが同梱されている。
  • 携帯アプリゲームで、本作の敵役「ハザマ」を主人公とし、ハザマがいかにして魔神皇になったかを描いた『真・女神転生if…ハザマ編』がある。本来はアキラ編と同用、本作の隠しシナリオとして収録される予定だった。

余談

  • ファミ通から発売された攻略本『真・女神転生If… 攻略ガイドブック』においてあるボスとの戦闘について、「もし勝てなければ、キミは人間のクズだ。」という暴言が記載され、ネタにされた。道中のザコ悪魔よりもはるかに弱いため、発言の内容自体は的外れなものではないのだが、それにしても酷い言いようである。
  • 本作の女性主人公は、後に「たまきちゃん」の名で『女神異聞録ペルソナ』『ペルソナ2』に登場している。
    • 彼女のように"全く異なるシリーズにゲスト出演するだけでなく、メインストーリーにまで関わってくる主人公"というのは、メガテンシリーズにおいても異色の存在である。
  • 本作の会話には、妙な仲魔加入のパターンがある。
    • 女性口調の悪魔との交渉中、たまに「きもちいいこと」などという選択肢が出ることがあるが、選択してもパートナーの邪魔が入り何も起こらない。しかしイベントでパートナーが不在か、居てもDYING/STONE状態である場合は、低確率で会話が先に進み、そのまま仲魔にできる事がある。
    • その内容というのが「しばらくお待ちください」のメッセージとともに放送規制よろしくピー音が流れるという、あからさまにセクシャル要素を連想させるもの。女性主人公の場合は「女王様ぁん」やら「お姉さまぁん」やらのセリフが飛び出し、悪ノリの度合いがさらに強化される。
    • なお、この会話はSFC/PS版ともに見る事ができる。よく規制対象にならなかったものである。
  • 今作の校舎、及びエンディングの校歌はシナリオ担当の伊藤龍太郎氏の母校をモデルとしている。
  • このゲームが発売されたのは1994年だが、サウンドトラックが発売されたのは何と2018年6月、20年以上経っての発売である。
    • SFC版の時点でほぼ真IとII流用だった事が大きいが、PS版で追加曲や延長曲があったにもかかわらず当時は発売されなかった。
  • 通常DARK悪魔は会話で仲魔にならないが、屍鬼ゾンビドックと悪霊ポルターガイストの2体だけは特定の条件下でのみ会話で仲魔にする事が出来る。尤も仲魔にしたところで戦力としても合体の素材としても役には立たないが…
  • 本作のキャラメイク時の質問の一つに、「ポケベル*23を持っていますか?」という質問があった。そのなかに「なんのことかわからない」という選択肢があるのだが、知っての通り現在はまったく廃れており、ゲームプレイヤーのほとんどがこれに該当すると思われる。この選択肢がそれを予期していたのなら、まったく見事なものである。
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最終更新:2024年04月02日 00:18

*1 ただし、受けていたいじめの質は大きく異なる。中島の場合は、言い寄ったスケバンをにべもない態度で跳ね付けたため、スケバンが復讐心からデマを吹き込み、スケバンに恋慕していた男を焚きつけたのが原因。

*2 中島はその美貌とプログラミング能力から、成績がそれほど良くないにもかかわらずクラスでは一目置かれており、決して日常的にいじめを受けていたわけではない。

*3 モデルは早稲田大学教授の大槻義彦氏。たま出版社長・編集長である韮澤潤一郎氏との激しいUFO議論で有名。

*4 モデルは精神科医の香山リカ氏。リベラル派の政治活動家としても有名。

*5 ペナルティが存在しない訳ではなく、戦闘に敗北すると攻略中だったエリアのスタート地点に戻されてしまう。

*6 後述するカジャ系・ンダ系魔法などは、前作までは仲魔に使わせるしかなかった。

*7 本作以外では『真・女神転生NINE』『ペルソナ3ポータブル』のみ。

*8 ガーディアン以外の差異はパートナーにも当てはまることではあるが。

*9 エンディングの最後に、『真・女神転生』シリーズにおける重要人物が登場する。

*10 ちなみに、同作のボーナスは物理攻撃力を強化する「タルカジャ」の習得。

*11 言い方を改めれば「自力で脱出」である。

*12 というよりも、岡田耕治氏の特有。

*13 というか、今作は選択肢は少ない部類。

*14 人によっては魔人皇ハザマより苦労したという人も。

*15 『真II』にも登場した電撃を吸収する防具。よりによって次の魔界で手に入る。

*16 「強い悪魔が出現しないため、かえってレベル上げや仲魔集めが滞る」「ドルフィンヘルムなど有用な防具が入手できず、最後まで戦闘のリスクを軽減できない」など。

*17 最初のダンジョンで簡単に憑依させられる「精霊 アーシーズ」がいきなりカジャ系魔法を3種類も持っている。また、他のパートナーと比べ、比較的高レベルのガーディアンでもカジャ系魔法を習得できる。

*18 パートナーのガーディアンを変えたかったのに主人公が死んで敗北、など。

*19 意図して引っかかりやすくしたという事なのか、そのパートナーを選ぶと難易度が一番低いルートになる。

*20 一応ボスもいるが倒す必要は無く、また倒してもクリアにはならない。

*21 アキラのガーディアンとなる悪魔にも、エジプト神話においてアモン神と同一視された「ラー」や、そのまんま「フドウミョウオウ」等の小ネタが交えられている。

*22 『デビルマン』の明もアモンという存在と融合して超人となる。ちなみにこちらのアモンは神話由来の存在ではなく、先史時代の種族「デーモン」の勇者という設定。

*23 ポケットベルの略称。電話からコードを入力することでメッセージを受信できるツールで、本作が発売された時期に流行っていた。