beatmania IIDX 18 Resort Anthem

【びーとまにあ つーでぃーえっくす えいてぃーん りぞーとあんせむ】

ジャンル DJシミュレーション
対応機種 アーケード
販売・開発元 コナミデジタルエンタテインメント
稼動開始日 2010年9月15日
判定 シリーズファンから不評
ポイント 新曲は良曲揃い
但しそれ以外はかなり不評
シリーズ初の電子マネー対応
収録楽曲のジャンルの偏り
ザルな管理体制、大量のバグ
beatmania IIDXシリーズ


概要

『beatmania IIDX』シリーズ19作目。
今作からe-PASS電子マネー「PASELI」に対応。
海外DJの楽曲を多数収録。
5鍵初期に楽曲提供を行っていたHIROSHI WATANABE、『DistorteD』以後退社しフリーとなったTatshが久々の楽曲提供を行った。なおTatsh氏は譜面の制作も行っている。

評価点

  • BEMANIシリーズらしく、曲の評価は非常に高い。
    • 今作のONE MORE EXTRA楽曲「灼熱Beach Side Bunny」はラスボス曲としては珍しく底抜けて明るい曲調や、667枚という脅威のスクラッチ枚数を誇る高難易度のANOTHER譜面で話題に。
    • 通常楽曲では「Mermaid girl」が人気に。現在はレギュラーと言っても他言ではない森永真由美のBEMANIデビュー曲とし、華々しく飾った。
      • 上記2曲は今作を代表する楽曲という扱いか、多数のBEMANI機種に移植されている。
      • 灼熱はIIDXを代表する曲としても扱われており、後に続編曲も作られた。曲と譜面はHAPPY SKYの冥に並ぶようなカリスマ性があると言っても間違いはないだろう。
    • 後述する「perditus†paradisus」も不具合こそ酷かったが、楽曲自体の評価は高い。灼熱と合わせて後に段位認定皆伝(最高レベル)の常連曲になる等、曲と譜面は後世でも安定した評価をされておりイベント関連さえまともなら本作は良作のポテンシャルがあったと思われる。
    • 版権の都合で削除されていたBeForU関連の楽曲が復活した。もちろん「LOVEvSHINE」はムービーも健在。
    • STORY解禁楽曲である「Eternal Tears」は楽曲やボーカルがツガル役の声優、釘宮理恵であることもさることながら、簡単かつ得点が出しやすい譜面で後作で登場する「得点を合わせて解禁」する隠し条件のお供に。
      • その影響でクリアレートが低くなりがち。またこの曲を上回るクリアレートを持つ☆12の場合、「釘宮未満」という謎のレッテルを貼られることに……。
    • 『DistorteD』以降KONAMIを退社して制作から離れていたTatshが久々の楽曲提供。「reunion」は曲名の通り、楽曲・譜面・ムービー全てが氏らしい楽曲に仕上がっている。
      • DJムラサメ名義ではEXTRA楽曲「ANTHEM LANDING」を提供。今名義特有の「N→H→Aと曲が繋がっているギミック」ももちろん健在。
  • 「南国リゾート」というモチーフやそれに基づいた楽曲・演出等は良い。
    • 楽曲との絡みつきでいえば、Dirty Androids氏が「リゾートの表の顔」として「ノリノリなディスコ」をイメージした「Golden Palms」とともに「裏の顔」として「引きこもって遊ぶゲーム」鞭を振り回す筋肉男をイメージした「New Castle Legions」を提供。
      • 残念ながら後者はPENDUAL時点で削除されてしまい、遊ぶことができない。
      • 後にRootageで復活。譜面変更によりCNが搭載された。
    • 前述の「ANTHEM LANDING」や「Kailua」「Tropical April」等、「リゾート」そのものをモチーフにした曲も多い。
    • 前作「SIRIUS」が青を主体にしたクールでスタイリッシュだったデザインに対し、今作はオレンジを基調としあたたかみのあるデザインに加え、イロハとリリナをイメージキャラクターとして採用し、リゾート特有の暖かさなどをうまく表現できている。
    • 解禁イベント「JAPAN TOUR」「WORLD TOUR」についてもそれぞれ解禁地点を意識した曲調・ジャンルになっており、解禁にかかるクレジットさえ目をつぶれば楽曲やテーマ性ともに噛み合ってはいる。
      • ただしJAPAN TOURの東京に当たる楽曲が後述の「ELECTRIC MASSIVE DIVER」なのは「東京→お台場→だいば→DIVER」というおやじギャグ並みに無理矢理感があるのだが。
  • 復活曲の「Pink Rose」と「真夏の花・真夏の夢」は、新たにチャージノートを搭載した譜面を引っさげての復活。
    • 特に「Pink Rose」はbeatmania IIDXに先駆けて長押しノートを搭載していた『KEYBOARDMANIA』からの楽曲で、元ゲームでも長押しノートが搭載されていたので、当時からのプレーヤーからは賞賛の声をもって迎えられた。
    • ただし、これらの復活曲はJAPAN TOURモードの解禁項目に含まれていたため自力で解禁する必要があったのが難点である(他の音ゲーは隠しで出ていたとしても稼動終期には無条件解禁される事が殆ど)。もっとも、他のツアーの項目に比べたら、必要なポイント数は少なかったのが救い。
    • 前作SIRIUSではチャージノート譜面を作るための楽曲を搭載と言った形で試験的に運用されていた傾向があったが、本作からは新曲はもちろん旧曲や追加譜面にもチャージノートを運用する方針が決まり、これは最新作まで引き継がれている。従来の物量系譜面一辺倒だったIIDXの譜面傾向に多様性を持たせた点で評価されており、低難易度譜面でも押した感じや演奏感が得られるため概ね好評である。
  • PASELI支払いによるプレー方法の選択肢を増やしたこと。
    • 特に、一定時間内なら途中終了しても何曲でもプレー可能なPREMIUM FREEモードは、上級者から好評だった。

問題点

本作の主な問題点は、解禁要素に関するものである。

解禁に関する問題点

  • TOURモード
    • プレーするごとにDELLAR(Dに縦線)を獲得し、貯めたDELLARを任意のカテゴリへ注入することで、隠し曲やその他の隠し要素を手に入れることができる。

というモードなのだが…。

  • 通常プレーでたまる量が15pt*1に対し、隠し要素の解禁に必要なポイントはかなり多い。それでいて新曲はN,H,Aの譜面別に解禁する形になっているため、全要素を解禁するのは苦行に近い
  • 1000クレジット貢いだだけじゃ足りないとまで言われるほど。
  • 解禁順番が一本道で曲の解禁順番がほとんど選べない上に、これと言った演出もないためひたすらDELLARを貯めて注入する作業感が拭えない。
    • 更にその一本道にカスタマイズパーツも混じっているためそもそも中々曲を解禁できないという事も。
    • ほぼ同時期に稼働していた『ポップンミュージック19 TUNE STREET』の隠し要素解禁モードは曲とカスタマイズの解禁を好きな順番でやることができた(流石にボス曲やエンディング曲は他の曲を全て出さないと解禁できないが)
  • 一応、特定条件でボーナスポイントが入るのだが、その条件が
    • 行脚店舗数[5店舗ごと、50店舗までボーナスが加算](ゲーセンが多い都心部ならともかく、地方民はちょっとした小旅行が必須)
    • なお、今作よりPASELIに対応した関係か、クレジットを投入せずカードを挿入し暗証番号を認識させただけで行脚がカウントされてしまい、カードを挿入するだけでプレーせずに帰っていく人が続出。その光景はお焼香のようだと揶揄された。(もっとも、この現象もPASELIに対応したことで、コインフローの手順が変わったことによるバグであるとの見方が多い。)
    • 撃墜数[10撃墜ごと、100撃墜まで](筐体内のTOPスコアを更新しなければいけないため初心者に優しくない。以前から解禁要素として恒例化しており軽く問題になっていた)
    • 平日デイリーボーナス[月曜日~金曜日にプレーで獲得、※祝日もOK](休日にしかプレーできない社会人には優しくない
  • 等、救済措置はあるが殆ど一筋縄ではいかない条件のため、人によっては全くボーナスを獲得できないこともある。
  • その上、IIDXの携帯サイトの『IIDX Broadcasting!』第3回にて
    TOURは稼動終了まで遊べるので、待っていてもお目当ての楽曲に出会うことはできません」というユーザーの神経を逆撫でするような発言が行われた。
    • これまでのシリーズ作品では稼働後期に隠し要素を全て開放してきた(いわゆる全解禁)が、この発言により今作は全解禁が行われないことが確定となった*2
    • 「これでは何のためのbeat #free(2011年3/3~[今までのバージョンでは隠し曲は全て解禁])なのか」と不満の声を上げるユーザーが続出したことは言うまでもない。
  • また今までほぼ無条件で使用できた「レーンカバー」や「爆発エフェクト」「ターンテーブル」をTOURモードで解禁させるという水増し仕様。
    • 新しい「レーンカバー」等は全てWORLD TOUR(OTHER)に置いてあるが、1000pt~と高額。
    • WORLD TOUR(OTHER)の最後にある「カテゴリボイス:MC MASSIVE-G」を解禁するためにはなんと35000pt(WORLD TOUR(HYPER)完走の二倍近く)必要。
  • 2011年7月13日のアップデートにより、曲クリアは100pt、曲フルコンは150pt(稼働初期の10倍!)となり、さらにデイリーボーナスの獲得デラー量が増量され、平日だけでなく休日にも適用されるようになり、解禁はかなり楽になった。
    • ただしそれまでTOURを頑張っていた人にとっては涙目なアップデート。
    • ちなみに、アップデート後にゼロから全カテゴリゴールまで到達するためには130クレジット以上が必要となる。稼動末期の救済措置とはいえ、これなら他の音ゲーと比較するとそれほど厳しい条件とは言えない。
  • MISSIONモード
    • PASELI使用時のみ選択できるモード。選択したノルマをクリアすることでDELLARにボーナスが加算される。
    • 追加料金が必要な上に獲得できるDELLARが少ない(初期のミッションは平日デイリーボーナスより少ない)、さらにクリア済のミッションを選び続けると貰えるポイントが2回目で半減、3回目では1/4になるという仕様であり、やりこむ上級者にとっての見返りは非常に少ない。また、ポイントが多くもらえるミッションは総じて上級者向けであり、初心者~中級者は追加で必要なPASELIの額と見合う分のポイントを獲得することが非常に難しい仕様であったことも、問題点として挙げられる。
    • 7月13日のアップデートにより上記の仕様は撤廃されたのだが、その一方で楽曲クリアで100pt・フルコンボで150ptという破格のインフレを起こしてしまったため、追加料金を払わず普通にプレーした方が効率よく稼げるという現象が起き、MISSION MODE自体の存在意義がなくなってしまった。
  • 解禁に対するザルなロック(大量のバグ)
    • 最後の解禁曲であるはずの「perditus†paradisus」とJAPAN TOUR解禁曲「ELECTRIC MASSIVE DIVER」がTOURイベント開始前に刹那的にプレーできてしまった。ちなみに稼動11日後の出来事である。
      • 決められた5曲を1本のゲージでクリアするEXPERTモードの一部である、全国の人気曲を下位から順番にプレーする「GLOBAL RANKING」コース内の人気曲5位~1位をプレーする「PLATINUM」コースにて、「どうみても人気トップ20に上がりそうのない旧作の楽曲」が入っているコースが発見され、その中に先述の2曲が入っていた。その後KONAMIは深夜に「GLOBAL RANKING」コース自体を封印し、修正にあたることになった。
      • ラスボスの情報が流出してしまったことにより、本来のタイミングであるWORLD TOUR最後の解禁の際、期待感や達成感以上に肩透かし感や徒労感を助長する結果となってしまった。
      • ラスボスの曲そのものはbeatmania IIDXシリーズ、及びpop'n musicシリーズ黎明記より活躍してきたdj TAKAとwacによる楽曲でありユーザー間の評価は概ね良好。それだけに、情報流出が非常に惜しまれる結果だったといえる。TOURモードの仕様の関係上、出現演出が存在しなかったことも痛いところ。
    • jubeatとの連動企画である「APPEND FESTIVAL」の連動隠し曲である「STELLAR WIND」が1日だけ条件を満たさなくてもプレーできてしまった。
      • 翌日に修正されたため、これがバグであることが発覚した。しかし時すでに遅くこれらの解禁騒動は各掲示板やTwitterで祭り状態となっており、KONAMI側の管理体制への強い批判が浴びせられることとなった。
    • 携帯サイトの管理もずさんな状態に近く、ミスにより連動企画「Lincle LINK」の隠し曲の難易度・ジャンルがすべて解禁前に発覚してしまった。
      • さらに、プレーはできないもののオリジナルコースにも組み込めてしまうという事態にもなってしまった。
      • また、稼働終盤になって難易度別にクリア状況やスコアを見られる機能が搭載されたのだが、「リロードする度に自分のものじゃないクリア状況やスコアが表示される」事態が発生した。この頃になるとプレーヤー達も頻発するバグに慣れてしまったのか事態の重さの割に反応が小さくなっており、いかに今作の出来が酷かったかを体現している。
      • そもそも、beatmania IIDXの携帯サイトに関しては以前からこのようなバグや不具合を多発させており、企業倫理自体が問われても致し方ないと言える。
    • また、なぜか一日早く、終了日の前日深夜0時にINTERNET RANKINGのbeat#2が始まってしまった。
      • このbeat#2には、JAPAN TOURで解禁対象となっていた復活曲(後述)が曲目として指定されているコースも含まれていたのを踏まえると、本作における杜撰な品質管理の一端が窺える。
    • 現在における本シリーズの隠し曲ネタバレは悪くても"未公開の隠し曲がロケテアンケートやビンゴカードにて表示、又は設定できる"という程の小規模に収まっているが、本作から7年後のCANNON BALLERSでは7月にて当時まだ未公開だったIIDX AIR RACE楽曲の「Antigravity」やいくつかのLEGGENDARIA譜面が某所にてリークされてしまった。
  • 追い打ちをかけるような、さらなる貢ぎイベント
    • 次回作のbeatmania IIDX 19 Lincleで開催される、BEMANI各タイトル(REFLEC BEAT , jubeat , Dance Dance Revolution , pop'n music , GuitarFreaks & DrumMania XG)とのコラボレーション企画「Lincle LINK」が一足早く、Resort AnthemとREFLEC BEAT間で開催されることになったのだが…。
      • TOURモードの貢ぎが記憶に新しいさなか、beatmania IIDX側にREFLEC BEATからの移植曲を解禁させる条件がまたもや貢ぎ。詳細は省くが、IIDX側でのLincle Link楽曲を全て解禁させるためには、REFLEC BEAT側でプレーヤーレベルを100まで上げる必要があり、それだけで軽く300クレは下らないほどの金額をREFLEC BEATに注ぎ込まなければいけない。
      • この解禁条件を見たプレーヤーたちの反応が冷ややかなものであったことは言うまでもない。(逆にREFLEC BEATにIIDXの曲を解禁するのにも、それなりのクレジット数が必要な貢ぎ条件であり、さらにはIIDXをプレーしたことないプレーヤーにとっては鬼畜極まりない*3条件であった。)
      • Lincleが稼働した後は、REFLEC BEAT側でIIDXの楽曲を解禁する条件は易しくなったものの、IIDX側で曲を解禁するための条件は緩和されておらず、REFLEC BEAT limelightのバージョンアップまではこのままであろう、というのが大方の見方である。結果として、beatmania IIDXとREFLEC BEATのどちらかしかやり込んでいない人にとっては負担が大きいイベントになってしまったことは否めない。
      • REFLEC BEAT limelightの稼働後は無条件解禁とはいかずとも、前作曲の解禁条件が比較的緩いこともあり解禁までに必要とするクレジット数は大幅に緩和された。全く手を付けていない状態からでも前回の1/4以下ぐらいで解禁できる。
      • 更に2012年7月17日からlimelight側のアップデートによりジャンピングパステルくん機能発動により、limelightグラス1~8、REFLEC BEATグラス全て、jubeatグラス1にて大幅にライムが溜まり易くなった(大体1プレー2~3回で満杯になる)。その為REFLEC BEAT側での隠し曲の解禁なら数クレジット位で済むようになった。
      • 余談ではあるが、その後Lincle稼働と同時に始まったjubeat copiousとのLincle LINKの内容は「共通の新曲1曲」と「片方の機種をプレーすると、もう片方の隠し解禁に必要なポイント(IIDX:DELLAR , jubeat:ACHIEVEMENT POINT)が少しだけ貯まる」、「毎日変わるイベント楽曲(IIDX・jubeat共通の楽曲)をプレーするともう少しだけお得」、「IIDXにjubeatから3曲移植」、といった軽い内容であり、前述の条件との落差にもはや突っ込む気力も失ったプレーヤーもいる。

その他の問題点

  • STANDARDモードでのプレー可能なレベルが減った。
    • IIDXシリーズは取得段位及びプレー回数に応じ、1st・2nd STAGEで選択できる難易度が段階的に増える仕様となっているのだが…
      • 特にDPでは八段+100クレでも1st・2nd STAGEでは☆11までしか選曲できなくなってしまった。
  • スクラッチの判定について
    • これまでのスクラッチの判定は回してから若干のラグが発生するという音ゲーにとって致命的な仕様だった。
      • というのも、昔からスクラッチは実際に回してから判定が出るまでの間に「遊び」があり、しかもこの遊びはターンテーブルのネジの締め具合が主となる筺体のハード上の調整で変わったりする、という謎仕様だった。遊びがある分早めにスクラッチを行う、気持ちはやめに回し始める、などの対策や慣れを強いられることになる。
    • そのため、スクラッチの数が極端に多い曲が不当に難しくなるという現象が発生していた。しかも今作のラスボス級の楽曲には、歴代最高スクラッチ数を更新して、更に24分の高速スクラッチを含む「灼熱 Beach Side Bunny」が存在していたため、その影響は非常に大きい。
      • この仕様は 当時のユーザーのほとんどが気づかなかった からか稼動終了まで修正されなかったが、次回作の『beatmania IIDX 19 Lincle』においてスクラッチの判定が大幅に改善され、その上で灼熱 Beach Side Bunnyをプレーした際の体感により、「よく考えたら前作のスクラッチの判定は変だった」などの声が浮上するようになった経緯がある。
  • 解禁要素以外のバグ
    • プレー中に突然強制的に本体再起動が必要になるという原因不明のバグが存在する。このバグは非常に危険なバグであるにもかかわらず、最終的に修正されることはなかった。
      • これがプレーヤー人口からしてプレー頻度が高くなる段位認定「SP八段」の対象曲*4をプレーする際にも発生し、稼働初期から強制終了が多発していた。
    • 上記以外にも大量のバグが存在する。こちらのページを参照
    • ただし大部分のバグは発生頻度は低く、かなり古い筐体でのみ起きた現象もある点に留意すべきだ。大抵の筐体でなら普通に音ゲーとしては遊べていた。本文筆者は当時1000クレ以上遊んでいたが一度も再起動バグは起きなかった。
  • 段位認定の手抜き
    • 今作の段位認定は前作SIRIUSの曲目と全く同じ段位が殆どで高段位のみ入れ替えされている。
      • しかも級に関しては全てSIRIUSのコースをコピペ*5
    • 級位プレーヤーが段位プレーヤーより少ないとはいえ、初心者に対してあんまりではないだろうか。
      • とはいえ、級位の曲を頻繁に入れ替えてしまうのは初心者に対して優しくないのではないか?という声があるのも事実である。
  • DPプレーヤーに対する配慮の不足
    • STORYモード(後述)選択不可、SPで取ったデラーボーナスの再取得不可。

賛否両論点

  • WORLD TOUR曲のジャンルの偏り
    • TOURモード後半に該当するWORLD TOURの隠し楽曲は半分近くが海外アーティストによるハードコア系楽曲となっており、その手のマニア以外には肩透かしとなってしまった。そもそも初期収録曲の時点で、ハードコア楽曲が割りと多めだったのも原因である。
    • このジャンルはやや人を選ぶ曲が多いため、合わない人には徹底的に合わない*6
      • この提供したアーティスト達は、ハードコア界隈においては世界クラスの大物DJが集っている。イタリアからはガバの大御所Art Of Fighters、UKハードコアのトップDJであるDJ Brisk、オーストラリアのナンバーワンハードコアDJ、DJ Weaverなど…。
        初期収録曲においても、フリーフォームというジャンルの生みの親であるkevin energy、イギリスでUKハードコアをメインに人気を集め、kors kとの親交も深い人気の若手DJ、JAKAZiDと、ハードコア方面においては超豪華なメンツを集めている。
        いずれの楽曲も「譜面をプレーした時の楽しさ」をちゃんと意識して作られた楽曲であり、それぞれの楽曲・譜面の人気やインパクトは強かった。
      • 今作からサウンドディレクターとして着任したL.E.D.が、過去にサウンドディレクターを務めていた*7『beatmania IIDX 14 GOLD』の家庭用において、古くから世界中で活躍している日本人ハードコアDJ、DJ Urakenからの楽曲提供を受けた時の「コネ」がこの件のきっかけだったということを、後にbeatnation Recordsのコラムで語っている。何より彼自身がハードコア系が好みだったということも、このラインナップの要因としては大きかったようだ。
    • ハードコア以外の楽曲においては、beatmaniaシリーズにおいて多数のテクノ楽曲を提供していた“HIROSHI WATANABE”がデトロイトテクノ「LIFE SCROLLING」をひっさげて久々の楽曲提供を行ったこと、ハワイ担当としてkors kが提供したトランス楽曲「kailua」のCNを多用したテクニカルな譜面が強いインパクトを残した。
    • 同じツアー=旅行をテーマとしたポップン11では幅広いジャンルだったのだが…何故ここまで偏った選曲になったのか*8
  • 専用ムービーの大幅減少
    • 専用ムービーがある新曲が20、汎用+レイヤーの新曲が21、それ以外の新曲は汎用。
      • EXTRA&ONE MORE EXTRA曲を除く解禁曲「全て」が汎用+レイヤーである。ムービー目当てのユーザーにとってはボリューム不足と感じてしまう内容であることは否めない。「Lincle Link」解禁曲は「Thunderbolt」以外はレイヤーすらついていない。
      • そのレイヤー自体もただイラストや写真をスライドさせているだけだったり、実写映像に文字を入れただけなど、動きが少なく手抜きと思われるようなものが多い。
      • ミスレイヤー付きの楽曲に至ってはたったの4曲。
      • JAPAN TOUR、WORLD TOURの新汎用はalo氏によるクオリティの高いムービーではあるのだが、JAPAN TOURの汎用ムービーはかなり攻撃的で派手なムービーであり、JAPAN TOURの一曲目と二曲目に致命的にマッチしていない。
      • ちなみに今作にはラスボス級の曲が2曲あるがこちらも両方汎用+レイヤーである。
      • しかし、これはWORLD TOURの豪華な外注アーティスト達を呼ぶためにムービー発注用の予算を削らざるを得なかった、とも予想できる。
    • DDRからの移植曲「SABER WING」はオリジナルの超時空戦闘機が登場する特徴的なムービーが原作にあったのに、今作ではアス比の問題もあり汎用ムービーだった。
      • そのため、原作を知らないとジャンル名の「SHOOTING WALTS」の意味が通じないという自体に。*9
      • 一応次々回作でムービーが導入された。
  • STORYモード
    • 前作で初級者向けとして用意されたPARTYモードの改良版。
    • プレーヤーの腕前に応じて難易度を選択でき(レベル1だと初心者向けのビギナーが遊べる一方、最高レベルの5では最終的に☆12の曲のみになる)、幅広いプレーヤー層が実力相応の譜面で遊べる仕様になった。
      • だが、このモードをクリアしないと解禁しない楽曲もあるため、やっぱり貢ぎゲーか…という声も少なからずあった(前作のPARTYモードでも同様の解禁曲はあった)。
      • beat#3で解禁され普通にプレーできるようになった分TOUR曲よりは相当ましなのだが…。
      • ちなみに解禁されるのはラジオドラマCDの主題歌。もちろん声優が担当しており、1曲はツガル役の釘宮理恵、もう片方はイロハ役の植田佳奈とリリナ役の能登麻美子と興味がある人には豪華なメンバーとなっている。
    • 前作のPARTYモード同様楽曲プレーの前後に(いわゆるギャルゲーのような)会話パートが入る。これが前作のそれよりも遥かに長く、スキップせず真面目に読むと楽曲プレーと同じくらい時間がかかるほどの内容量だったため「家庭用でやれ」といった声も見られた。
    • このモードの初心者から上級者まで幅広くプレーできる仕様は次作の『Lincle』にて初心者向けのBEGINNERモードを吸収し、さらにDPにも対応した「STEP UPモード」として残存することになった。
  • 何故か今更「恋愛レボリューション21」をリミックス。
    • BEMANIシリーズでも新旧のメジャーな版権曲を収録することはあるが…若干誰得感が否めないのが正直なところ。
    • ちなみにIIDXの版権曲はどんなに原曲が有名でかつプレー回数が多くても3作品位で削除されることが殆どである*10
    • 更にBEMANIシリーズのサントラの魅力の一つである、ロングバージョンの貴重な枠をこの曲が使ってしまったために更に誰得感が増してしまっている。
    • 一部のプレーヤーからは「このご時勢にあえてモーニング娘。を入れる姿勢は評価する。」、「譜面は楽しい。」という声もちらほらあるのが救いか。
  • APPEND FESTIVALの移植チョイス
    • 他機種にはjubeatの人気曲やボスポジション曲が移植されていたため、ハードルが上がりプレーヤーも大いに期待していた。
    • しかし、そんでもって最後に移植された楽曲「Love v km」は、特に楽曲はそこまで好評でも無ければ、譜面もそこまで評価は良くなく、ガッカリする声が多くなってしまった。
    • ちなみにこの曲の解禁日は2011/3/11で午後に東日本大震災が発生し、不謹慎ながら現在もネタにされている。
  • 前述のELECTRIC MASSIVE DIVERがとてつもなくうるさいことが話題になった。
    • この曲が該当するガバというジャンルから考えれば全く問題はないどころかむしろ歓迎されるべき本格的な楽曲だが、ゲームセンターという様々なゲームの音が飛び交う環境にあってさえ「あまりにうるさすぎて何の音を叩いているのかわからない」という批判の声が一部のユーザーから上がった。
    • 一番難易度の低いNORMAL譜面の構成は、この大音量のガバキックとは別のパートをメインで演奏するため、初見はほとんど目押し状態。
    • サントラでは他楽曲と比較してキックの音量は大きいものの、適正な音量に修正されている。このため、音量バランスの設定ミスではないか?との説も一部では囁かれている。
  • 相変わらずなDDR移植譜面
    • DDRから『SABER WING』が移植されたのだが、原作にあった速度変化のギミックをほぼそのまま移植したために演奏以前に覚えゲーと化した。
      • IIDXはプログラムの仕様でBPMを0にすることができず、DDRとはゲーム性そのものが異なる。その上原作もこちらと同じくインフレが甚だしい作品であったために、いくら何でも度が過ぎるという声が多かった。
      • 急激な速度変化かつノーツ密度も多めであるにもかかわらず、難易度はなんと☆11である。同レベル帯でもかなり厳しい部類に入る。
      • それも味と見るプレーヤーもいるにはいるが……。

総評

シリーズ初のe-PASS電子マネー「PASELI」対応作品であったが、電子マネー贔屓の仕様や、要素解禁に関するバランス配慮の欠如および管理体制のいい加減さが浮き彫りとなってしまった。
中でも「perditus†paradisus」の解禁ミス騒動の件はその最たる一例と言えよう。過去のBEMANIシリーズはもちろん、音ゲーの歴史の中でもここまで粗末な解禁は類を見ないレベルである。
また無条件解禁を無くしたり、貢ぎ要素の強い連動イベントを追加した結果、やりすぎとも言えるほどの金銭的負担をユーザーに強いることになってしまった。

総じて、解禁の苦痛さ、大量のバグ、管理のずさんさなどが相まって、「曲しか褒められる所が見つからない」と言われてしまうほどの出来になってしまった。
ただしデフォ曲+旧曲に関しては安定して遊べたため、隠し曲やイベントにこだわらなければ音ゲーとしては普通に遊べるレベルである。 加えて楽曲自体も偏りこそ目立つものの、「曲がいい」どころか『IIDXを代表するような傑作』が揃っている。

今作の反省点は次回以降に活かされることになり、メインイベントで異常なまでの貢ぎが要求されることはほぼ無くなり、重要な楽曲がネタバレされることも無くなった。
上述の楽曲の評価点を含め、今作は良くも悪くも後に大きく貢献することになった作品も言える。

その後のシリーズ展開

  • 次回作の『Lincle』でもDELLAR制度が続投することとなり、今作の貢ぎに耐えてきたプレーヤー達は稼動前の時点で強い不安感に苛まれることになる。
  • しかし目も当てられないものだったDELLAR制度は大幅に改善が施され、カスタマイズやイベント用アイテムのために使うものになった。
    • Resort Anthemほど貯まりにくいわけでもなく、初心者から上級者まで効率よく稼ぐ方法があり、カスタマイズアイテムの必要ポイント額も比較的理不尽な額ではないので、批判意見は大きく減少した。
    • またシリーズお約束の「ボスフォルダ」システムが「楽曲解禁イベント」として変化。全解禁にはそれなりのクレジット数が必要なものの、本作よりはだいぶマシ。
      • なおLincleでは「DELLARで隠し曲解禁」という概念がなかったというのもポイントだろう。
        ただし、ボスフォルダに存在する楽曲の「通常選曲画面への常駐」にはDELLARが必須となり、本作同様に自動解禁されることはなかった。プレー自体はボスフォルダに入ればできるのだが。
    • 加えてLincleより実装された「クプロ」というアバター要素のカスタマイズパーツ購入という新たな使用用途が生まれる。
      • クプロというシステムは稼働初期には抵抗を感じるプレーヤーの声こそあったものの、その可愛らしさと自由度の高さに魅入られたプレーヤーは徐々に増加していった。
      • 現在では多くのプレーヤーに受け入れられ、格好良く仕上げるもよし、萌え系で性癖を晒すもよし、ネタ系で笑いを狙うもよしと各ユーザーの表現が広くできる自由度の高い要素になっている。
    • Lincleでもバグこそ発生したものの致命的なものはそれほどなく、ましてや「隠し曲の解禁バグ」というお粗末すぎるバグなど発生しなかった。
    • 次々作の『tricoro』でも、DELLAR制度はLincleの仕様をほぼ引き継ぎ続投。その他にも解像度上昇、オプションへのメス入れなど各種機能の強化など開発陣の改善の意欲が見られる。
      • ただし、『tricoro』のDELLAR制度はLincleと同様イベントへの依存が大きい物だったが、tricoroのイベントはその全てが期間限定であったため、稼働末期やイベント未開催時ではResort Anthemとほぼ同様にたまりづらくなってしまった。
      • また、『tricoro』ではハードウェア依存による不具合がいくつか生じている*11。長期シリーズ故に、製造時期が異なる筐体やモニターの組み合わせが多数混在することが一因と思われるが、今後シリーズを存続するに当たってはこの部分が品質管理上の課題になる事は避けられないであろう。
  • 『tricoro』以降の作品の多くでは、従来のボスフォルダ形式のイベントに加えて本作のWORLD TOURの様な非ボスフォルダ形式の解禁イベントが混在する様になった。
    • 『tricoro』以降で登場した非ボスフォルダ形式の解禁イベントは、いずれもDELLARを用いない物に留まっていて、妥当といえば妥当である。
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最終更新:2022年07月29日 10:57

*1 曲クリアごとに獲得、フルコンボの場合は20pt:ステージクリア失敗の場合は0pt。なお、稼動開始直後は曲クリア10pt、フルコンボ15ptだったが1ヶ月もしないうちに5ptずつ増えた

*2 Lincle以降の作品も全解禁を行わなくなった

*3 内容は特定バージョンのフォルダのNORMAL譜面を全てクリアするというものだが、その中にNORMAL譜面最難関の楽曲が存在する。

*4 STANDARDモードにおける各ステージの難易度制限を緩和するために、一定期間たたないとコース自体出現しないSP九段以上のプレーヤーも、稼働初期のうちにとりあえずクリアしていく、ということが多かった。

*5 そのSIRIUSのコースも前々作EMPRESSのコースをコピペしている級位もある。

*6 とにかく音のインパクトが重要なジャンルであるため合わない人にはただうるさいだけと思われても仕方がないのである。

*7 IIDXの家庭用シリーズのサウンドディレクターはL.E.D.だった。

*8 この頃のL.E.D.氏は「こういう曲が受けてほしい」という願望を込めたディレクションをしていたようだ。

*9 ちなみにTAGのギタドラデビュー曲「El dorado」もpop'nで「シューティングフュージョン」なるジャンル名を与えられている。そちらのムービーはどちらかというとRPG風なのだが……。

*10 前々作にタイアップされたHOUSE NATIONは今作で削除、DistorteDにタイアップした洋楽リミックスは次回作削除の上1つは家庭用にも収録されていない。

*11 全ての筐体で発生するわけでないのが厄介