スターフォックス アサルト

【すたーふぉっくす あさると】

ジャンル シューティングゲーム
対応機種 ニンテンドーゲームキューブ
発売元 任天堂
開発元 ナムコ
発売日 2005年2月24日
定価 6,476円(税別)
判定 なし
ポイント 一人用モードのボリュームが少ない
白兵戦は面白いがシューティングを求めていた層には微妙
対戦モードは傑作
スターフォックスシリーズ


概要

名作STG、スターフォックスシリーズの4作目。 シリーズ3作目の前作『スターフォックス アドベンチャー』がSTGではなくアクションゲームという変わり種であったこと等から、ユーザーはSTGとして発表された本作に『スターフォックス64』の正統な進化版が期待されていた。

開発が任天堂ではなくナムコであるという点は一抹の不安要素ではあったものの、ナムコ開発のフライトゲームと言えば広く知られる名作『エースコンバット』シリーズが存在し、本作も後述するように一部メディアにおいて『エースコンバット』の開発チームが担当するという記述もあったため、発売前の時点では概ね好意的に受け取られていた。

結論から言ってしまうと、手放しで名作と評価するには難のある凡作という評価に落ち着くこととなった。

ストーリー

前作『スターフォックス アドベンチャー』の事件から一年後、スターウルフを追い出されたアンドリュー・オイッコニーは、亡き叔父Dr.アンドルフの残党を率いてコーネリア軍に反旗を翻した。
老齢のために引退したペッピー・ヘアに代わり、惑星サウリア*1の事件がきっかけで加入したクリスタルを迎え、新生スターフォックスはオイッコニー軍撃破のために出撃する。

しかし、それは謎の生命体「アパロイド」との銀河の命運を賭けた争乱の序章に過ぎなかった…。

評価点(本編)

  • ストーリー
    • 今までのスターフォックスシリーズは「軍と軍がそれぞれの思惑の下にぶつかり合う宇宙戦争」がテーマであり、敵も基本的に「軍隊」であったが、今回の敵はそれらとは一風異なる機械生命体「アパロイド」である。
      マザーを撃破しない限り無限に増殖するという圧倒的な物量に加え、機械と融合しアパロイドに取り込むことも可能という設定を持つ。負ければフォックス達どころか全宇宙がアパロイドに支配されてしまうため、全編を通して重くシリアスな物語が展開される。
    • この手の生命体が登場する作品として王道の展開、即ち仲間の乗った機体を撃たねばならない葛藤や、新型兵器が敵に取り込まれる展開、強大な敵を前に敵味方の枠を超えて協力体制が起こる展開、仲間を切り捨てながら元凶の撃破へと向かう展開などは概ね押さえている。やや使い古された感はあるものの王道的で熱いシナリオとなっている。
  • 美麗なグラフィック
    • GCの中では最高峰のグラフィックを実現している。特に序盤における惑星フォーチュナー宙域での艦隊戦の表現は素晴らしい。
    • アパロイドの「機械生命体」という難しいグラフィック表現にも成功しており、昆虫にも見えるが機械にも見える、というギリギリのラインが取られている。
    • キャラクターのモデリング・モーションも大変凝っており、ムービーや幕間の会話シーンではキャラが非常に感情豊かに動く。動物らしく状況によって細かく反応するフォックスの耳や尻尾の動きだけを取っても並々ならぬ作り込みである。
      • この作り込みが問題点の項で後述する「登場人物の少なさ」に繋がってしまったかは定かではないが…。
  • 世界観がSFに回帰した
    • 前作『アドベンチャー』がスターフォックスである必要のないエコロジカルな世界観だったが、本作から従来のSFに回帰しシリーズを支持していたファンから好評を得る事となった。
      • 無数の戦艦が飛び交う宇宙をおなじみのアーウィンで駆け巡り、ステージ選択でシリーズで定番の惑星カタリナやコーネリアに出撃する事が出来る。特に『64』で粗いポリゴンでしか表現されていなかったコーネリアは未来都市の様な表現で描かれるのは嬉しいファンサービスであり、マシンから降車して自由に散策も出来るのも本作の魅力である。
      • 前作で問題視されていた『フォックスがブラスターを使わない』も改善され、様々な射撃武器が使えるようになった。特に『64』で設定のみで本編には登場しなかったブラスターが本作でようやく標準装備で実装される事となり、ブラスターを手にアパロイドと戦うフォックスは格別の格好良さがあると言える。
  • 音楽
    • 本作の音楽はフルオーケストラを使用しており、かなり完成度が高い。特にアパロイドマザー戦の音楽は第一形態、第二形態共に必聴もの。
    • 宇宙をバックに壮大な戦いが繰り広げられる本作とオーケストラの相性はかなり良く、プレイヤーの心情を盛り上げてくれる。
  • 白兵戦の導入
    • 前作同様(正確に言うと『64』の隠し要素から)フォックスがアーウィンを降り、人間大の敵と白兵戦を行うマップがある。これ自体は武器の切り替えが面倒など多少の問題点はあるものの、非常に凝った作りでユーザーからも好評だった。これによりフォックス達動物擬人化キャラにもゲーム中での出番が大幅に増え、機体頼みの単調なゲームデザインが解消された。
    • ロケットランチャーからスナイパーライフルに至るまで多彩な武器が用意されており、敵に殴り込みをかけて一気に制圧することも、遠距離から敵を一体一体倒していくことも可能。産廃武器は無い事もないが、概ね各自のプレイスタイルに合った武器を選択できる。
    • ステージによっては白兵戦パートでもアーウィンやランドマスターが使用できる。
      • 火力は低めだが高い機動力で目的地に瞬時に移動したり、空中から地上の敵を一方的に攻撃可能なアーウィン、圧倒的な破壊力の砲撃を有し、小粒な敵なら突進で轢き潰して倒せる爽快感抜群のランドマスターと差別化がなされており、いずれも攻略の大きな助けとなる。
      • フォックスと機体とではシールド(体力)ゲージが分かれている。搭乗中の被ダメージは両方が負うものの、フォックス側のダメージは大幅に軽減される。白兵戦パートでは機体が大破するとフォックスは投げ出され生身の状態に戻るが、破壊された機体は一定時間が経過すると新しいものが転送される。チームの予算は大丈夫なのか?
  • 奥深いスコアアタック要素
    • 強制スクロール面・オールレンジ面(白兵戦パート含む)のいずれもスコアアタック要素の面白さは健在。
    • オールレンジ面では敵を撃破すると画面右にコンボゲージが溜まっていく。このゲージは敵を撃墜しないでいると徐々に減少していくが、ゲージが途切れないように連続して敵を倒すと一定数ごとにコンボボーナスが入る仕様。これにより、高スコアを目指すには「コンボを途切れさせないようにいかにして効率よくステージを回るか」という戦略性を生み出している。
    • 高難易度では広いステージの各所に大量に敵が存在するが、クリア時のタイムボーナスとの兼ね合いもあるため「どこまで手を伸ばすか・伸ばせるか」の取捨選択も重要になり、自力での攻略は非常に奥が深い。

賛否両論点(本編)

  • 『64』と重複するステージの舞台
    • 今作のステージは「カタリナ前線基地」「氷の惑星フィチナ」など『64』と重複するステージが多くを占めている。
    • 今作の美麗なグラフィックで細部まで描かれたカタリナの前線基地などはファンからすると非常に見ごたえがあり、同じく今作用にアレンジされたBGMのクオリティも申し分ない。
    • 一方で、本作オリジナルのステージ・BGMはその分かなり少なくなっている。
    • 前作のステージが水の惑星・荒野の惑星・溶岩惑星と非常にロケーションに富んでいたことや、本作のシナリオモードそのもののボリュームの乏しさ(後述)もあり、『64』のファンであっても「知っているステージがリファインされていて面白い」「知っているステージばかりで新鮮味が無い」と賛否が分かれるところ。
  • 喋らない敵キャラクター
    • 本作のメインとなる敵のアパロイドは意思疎通の不可能な機械生命体であり、基本的に喋ることがない。そのため、『64』およびシリーズ後発作品で好評を得ている「個性的な敵キャラクターのセリフ」要素がほぼ存在しない。
    • したがって今作での通信会話は味方キャラとの会話がメイン。会話量は多いため『64』と比べて量的に寂しいわけではないが、コミカルな敵キャラのセリフや交戦中の熱い掛け合いに乏しいのはやはり物足りなさが否めない。
      • 数少ない会話可能な相手である序盤のステージのオイッコニー軍およびサルガッソーのならず者たちは、「破竹の勢いで進撃するスターフォックスに恐れおののく」「自信満々に見せた新兵器をファルコに馬鹿にされ憤慨する」といった『64』の魅力そのままの面白いセリフをたくさん喋ってくれるだけに、すぐに敵がアパロイドに移ってしまうのは惜しいところ。
    • 無機質に星々を侵略するアパロイドの恐怖を演出するためには仕方ない面もあるが、そのために『64』の大きな特徴・長所であった部分をオミットせざるをえなかったのはやはり残念。
      • とあるシーンではレオンが「虫ケラめ。恐怖しない敵などつまらん」というセリフを述べる。彼の残忍な性格を表したセリフではあるのだが、思わずこれに同意してしまったプレイヤーも多いかもしれない。

問題点(本編)

  • 全体的にゲームボリュームが薄い
    • シナリオモードが分岐無しの一本道な上に、全部で10ステージしかない。『64』が14ステージ以上、25通りの分岐が存在したことに比べると、明らかにボリュームが少ない。
      • ただし、ステージ自体は長めに作られている。特に9ステージ目は20分~30分かかるボリュームである。
    • ただでさえボリュームが薄いのに、『64』の二番煎じを感じさせられる場面まで複数ある。具体的にはオールレンジモードで複数のミサイルからの防衛戦を行うステージがあったり、「アンドルフ」や「デスボール」に類似したボスが登場する。
    • 配置やマップ自体は全体的に広く作られ、かつバリエーション豊富でそれなりに凝っているのだが、いかんせん10ステージを繰り返すしかないので単調であり飽きるのが早い。
    • これまでのシリーズでおなじみだったトレーニングモードも無い。そのため、初心者には多少辛いものがあるかもしれない。
  • シューティングゲームとは呼び難いステージ配分
    • シューティングにおいてメインであるはずの強制スクロール面は10ステージ中たった3つ。アーウィン専用ステージはもう1つあるが、そちらはオールレンジモードで行われる。そして残りのステージは全て白兵戦パートのあるオールレンジモード。
      • この白兵戦メインのステージにもアーウィンやランドマスターのどちらかが用意されており、任意で乗り換えて攻略を進める事は可能。
      • 白兵戦自体はおおむね好評ではあるのだが、仮にもシューティングであるはずなのに肝心のシューティングが少なすぎるのは問題で、前作がアクションアドベンチャーだった事も相まって『64』のようなシューティングゲームを期待し購入した人を大いに落胆させた。
      • 前作同様フォックスが機体頼みでは無く、己の身体能力で戦闘出来る様になったのは非常に良いこと(?)だと思われるが、 わざわざ機体を降りて戦闘してまた機体が必要になれば走って戻らなければならない と言う非常に煩わしい事をしなければならないので、テンポを悪くしている。その上、ミッション中でやる事もマップを散策して目標物を撃破する事しか無いので、出来る事が非常に少なく、肝心のボス撃破は『 大型のアパロイドには太刀打ち出来ない *2と言う理由で機体頼みになってしまう。
      • やはり試みとしては目新しさがあったが、後継作にあたる『ゼロ』ではボタン1つ押すだけでアーウィンからウォーカーに変形出来るシステムが導入され、アクションの操作性も劇的に向上したために、 わざわざフォックスが降りて戦う必要性は無くなった
  • 味方CPUが役に立たない
    • 白兵面で生身で出撃する味方は出撃位置(の半径数メートル程度)から一切動かないまるっきりの役立たず。一応申し訳程度に周囲に敵がいるがそいつらを蹴散らした後でも動こうとしない。
      • あまりにも存在感が無いので、白兵戦ステージで味方がいることを知らない人も多い。
      • 余談だが、生身の味方キャラをブラスター等で攻撃すると痛がって反応するのだが、ランドマスターで轢こうとするとアパロイドを轢いた時のようなガリガリという重い金属音が鳴る。それでも(体力が設定されていないため)キャラが倒れることはない。スタッフは味方キャラを文字通り置物としか思っていないのだろうか…?
    • アーウィンに搭乗して出撃する味方は開始から一定時間が経過すると敵に追い回され助けを求める展開になる。自力で助かる事や、他の味方がピンチの味方を助けてくれるといった展開は起こらず、助けを求められてから一定時間以内にプレイヤーが救出しなければ自動的に離脱する不便な仕様。
      • 酷い時には「フォックスが単身で地上で行動・残りのメンバーは全員空中で行動をしているのに、何故か地上にいるフォックスに救援を求める」という無理矢理な展開も。白兵状態から空中で動く敵を撃つのは難しく理不尽に感じる事も多々ある。
      • エンブレム(『64』で言う勲章)の獲得には味方全員が生存している必要があるので、手に入れたければ救出は必須。
        逆に『64』とは違い、味方が残っていると有利になったり、ステージ分岐が発生するといった事はないのでエンブレムが目的でなければ助けなくても問題はない。
    • 詳しくはネタバレになるので伏せるが、白兵戦ステージは全体的に「ステージ序盤はフォックスが単独先行して突破口を開き、それまで残りのメンバーは待機ないしアーウィンに乗って空中でウロウロしてるだけ」という展開が非常に多い。それでいて前述の通り定期的に危機に陥ってはフォックスに救援を求める始末である。
      • 仲間もそれに呆れるかのようにインターミッションで「そうやってお前はまた1人で…」「やっと一緒の任務ね」と発する始末である。
  • 一部のエフェクト・演出がしょぼい
    • 例を挙げると、アーウィンのウィングが壁や障害物に接触した際はウィングが赤く点滅するだけ。激しい金属音を上げて機体が弾かれる『初代』や『64』と比べると著しい退化である。
    • 自機が爆発する時のエフェクトも青紫に発光するだけである。爆炎くらいあげて欲しい所だろう。被ダメージ時の衝撃音・墜落時の爆発音も何故か異様に小さく臨場感に乏しい。
    • スマートボムも赤い円が広がっていくだけというお粗末なエフェクト。スマートボムに限らず「大規模爆発」のエフェクトは大体同じように赤い円。
    • グレネード等の爆発も黒煙が破裂したようなエフェクト。リアルと言えばリアルだが、未来風の世界観となれば光ったり火を上げたりといった派手さが欲しかったところ。
    • 『64』では敵機を撃墜した際に 慣性に従い黒煙を上げながら墜落していく演出があったが、今作では汎用の小さい破裂エフェクトが出て消滅するだけ。ステージ1で敵艦隊の戦艦を撃墜しても、ややゆっくりとパーツが砕けて自然消滅するだけで「撃墜した」という感覚が伝わってこない。
    • ボスを倒した際の演出も劣化。派手な爆発や断末魔、撃破音といったものが省かれているため、爽快感を薄めている。
      • 先述の通り、本作のグラフィックの質そのものは非常に優れているはずなのだが、こういったエフェクト関連はSTGパート・ムービー中問わず何故か同程度の極めてお粗末なクオリティである。
  • 爽快感が薄い
    • 上記のエフェクトに加え、全体的に敵が分散しており、その大半が固い敵が多いこと等から、爽快感が薄い。
    • このため、アーウィンではチャージ弾やボムを集団にぶち込んで一気に稼ぐ爽快感がスポイルされがちになっているのが痛い。
    • アーウィンの連射能力の劣化。上記の敵が固い問題と重なって指の疲労度合いが激しい。『64』ではAボタン1回でレーザーが3発出たのに、アサルトではボタン1回で1発しか撃てない。『64』以上に固い敵が多いのに……。
  • 一部シリーズ登場人物の扱い
    • ストーリーの項にもあるように、本作の戦いは銀河規模の生存競争であり、負ければ全てが終わるため、今までの敵味方を問わず様々な人物がフォックス達に協力することとなる。しかしそれにしては『64』の登場人物達の一部が登場しない点が不自然。
    • 2面ステージがカタリナ前線基地であるにもかかわらず、そこに配属されていたフォックスの親友ビル・グレイが出てこない。
      • 「ひっそり死亡した」説が一部で囁かれたが、続編のコマンドで無事登場している。しかしそれだと猶更本作で出てこない意味が分からない。
    • ファルコの元チームメイトのキャットも登場しない。彼女の性格からして戦禍からさっさと逃げたのかもしれないが…。
  • ストーリーの不満点
    • 「異質な生命体との戦いを描いたSF」というシナリオの骨子は悪く言えばありがちなものである。映画や既存の2Dシューティングの多くでやり尽くされた展開を、銀河をまたにかけた宇宙戦争がテーマであるはずのスターフォックスでわざわざやる必要があったのか、という点については疑問が挙がっている。
    • 機械生命体アパロイドはナムコの過去作『ギャラクシアン』へのオマージュであると明かされている。

バトルモード(対戦モード)

  • 本作の特筆すべき事項。不満点の多い本編に比べてバトルモードの出来はとても評価されている。

特徴・評価点(バトルモード)

  • プレイアブルキャラクターはフォックス・スリッピー・ファルコ・クリスタルと、隠しキャラのペッピー・ウルフの総勢6名から選択可能。
    • それぞれ異なる体力や能力が備わっているため、キャラの選択も重要な物になった。
  • ステージ数は本編より充実の16ステージ
    • バトルモード限定のステージとして「ゾネス海上基地」「砂漠タイタニア」のような、シリーズファン懐かしのステージも登場する。これを本編でプレイできないのが悔やまれる。
  • 本編に出てこない個性的な追加装備
    • 発射するとミサイルに視点が移り、プレイヤーがミサイルを操作して敵に攻撃を仕掛けるミサイルランチャー、強力な対空装備であるハナビ、誰かが勝利目前になった時にその時死んだ人物に支給される恐ろしい誘導性能を誇る上に一発で敵を瀕死にできるデビルランチャー、生身で長時間滞空できるようになるジェットパック等非常に個性的。
    • さらにミサイルランチャーの爆風で相手のミサイルランチャーの弾丸を撃ち落としたり、発射前のハナビを撃つ(または天井のあるところで使用する)と発射される予定だったグレネードを周囲にばら撒いて大爆発等とギミックも凝っている。
  • ルール設定のバラエティが豊富
    • 武器固定、乗り物および白兵戦が出来るかなどの設定が行える。
    • 例えば「ランドマスター以外禁止」にすると全プレイヤーが最初からランドマスターに乗っており、任意の乗降および撃破されても脱出できない。
    • スナイパーライフル*3のような癖のある武器も、全員が同じ条件で所持すると独特の駆け引きが生まれるなど、設定次第で本編とも通常のバトルとも一味違った対戦が楽しめる。
  • ランドマスターも実用的な物になった
    • 前作の対戦では弱かったランドマスターも性能が大幅に強化。高い装甲力と破壊力抜群の主砲によりアーウィンにも引けをとらない機体となった。
  • パイロット(白兵)でも豊富な装備の恩恵により、アーウィンやランドマスターにもある程度対抗できるようになった。

問題点(バトルモード)

  • 人対人専用である
    • 『64』のバトルモードでもそうだったが、CPUを参加させる事ができず、プレイヤーが一堂に会さなければ遊べない。今作では本編以上に充実した出来なだけにこの点は悔やまれる。
  • バトルモードの隠し要素は7割強の項目において対戦回数がフラグのため、恒常的にバトルをしていないと解放できない。コンプするために最終的に260回の対戦回数を重ねなければならない。
    • 結局、短時間で決着する試合を延々と繰り返して対戦数を稼ぐ作業が必要になりがち。
    • 隠し武器・マップを出すまでに時間がかかるため、初期状態のまま対戦してイマイチ盛り上がれなかった層もいると思われる。
    • スターフォックスメンバーや後の『大乱闘スマッシュブラザーズX』でプレイアブル化が実装されるウルフ等が戦闘に参加できるのはファンにとっての嬉しい要素だが、全キャラ同じモーションの使い回しの上に「元暴走族のリーダーファルコ」や「宇宙義賊の頭であるウルフ」等の明らかにガタイに恵まれたキャラの設定が生かされておらずに、ゲーム中ではTPSの凡用兵士の様な安っぽい動きで走る。キャラクターの違いはステータスの差のみであり、如何せん単調に感じてしまう。
      • 但し、走ると腹が揺れるペッピーやZトリガーを押すとそれぞれ違ったアピールのアクションを見せるなど細かい部分での遊び要素はある。
  • 武器を自由に拾って使えるルールの場合、一度でも倒されるとこれまでに拾った武器を全て失ってしまうため、倒されて装備を失ったプレイヤーが続けて倒されやすい悪循環に陥りがち。
    • 相手を一撃で倒せるデビルランチャー支給による逆転要素も設定で可能。ただし相当な大差がついていないと支給されない。
    • 各武器の使用の可否を個別に設定できない点も地味に痛い。
  • 機体の性能による戦闘のアンバランスさ
    • 基本的にアーウィン・ランドマスター(・ウルフェン)の性能が高いので、取った者勝ちになりやすい。一応パイロット(白兵)側も隠れながら武器を集めて応戦することはできるが、ステージによってはすぐに見つかったり、アイテムがパイロット単体では取れない位置に配置されていたりとかなり冷遇されている。生身の白兵より機体のほうが強いのはある意味当然だが…。
      • そのため機体無しにしたり、パイロットでも戦いやすいマップや設定で対戦すると言ったプレイヤー側での調整が好まれる。
      • 前作でも特定の条件を満たせば生身でバトルモードに挑むことができたが、武装や機動力の乏しさが災いしてアーウィンはおろかランドマスターに対しても空気同然であり、ネタ以外では使用する要素は皆無に等しかった。それと比べると本作はかなり調整されていると言えるが…。
  • キャラ性能のバランス
    • 半数ものキャラの低性能ぶりに不満の声がある。
      • ファルコはアーウィンの操作性が良いという長所があるが、ほぼ劣化ウルフ。特殊能力が無く、HPも低いため即死しやすい。攻略本でもライフの低さを指摘されており「一撃必殺ルールでなら短所が気にならない」という無理やりな褒め方をされていた。
      • クリスタルはファルコに輪をかけて酷い。全ステータスが低め、1度死なないと特殊能力を発揮しない、アーウィンステージおよびパイロット禁止ルールでは能力が低いだけで有利な点が何一つない、という三重苦を背負う。特殊能力の内容も復帰時にバリア(白兵用の装備)×2入手と言うやや地味なもので、それだけで逆転の活路を見いだせるかは怪しいものがある。
      • ペッピーも上記2人よりはマシだが、やや不遇。4倍という猛烈なブラスターチャージ速度を誇り、ジャンプ力も高いが、動きが鈍く総合的にはだいたい劣化スリッピー。年齢が年齢だからだろうか。
    • 逆にウルフは隠しキャラクターと言う点を考慮しても少しやりすぎ。ランドマスターの適性が低い以外は全ステータスが高水準で、特に移動速度が非常に速い上にHPやウルフェンの操作性も高くぶっちぎりの最強キャラと化している。アーウィンの適正は普通程度。
    • 一方主人公であるフォックスは一応「良くも悪くも平均的な主人公キャラクター」として落ち着いている筈が、ファルコやクリスタルは短所が足を引っ張りすぎているため、相対的に見れば全能力値が平均以上という状況になっている。ただしアーウィンで武器強化を入手すると適正が最低に変化する。またスターフォックスチーム唯一ウルフェン適正がある。
      • どう言う事なのか分からないが 何故かプレイアブルキャラ6人中、ファルコの生身でのライフの量がワースト1 。体を鍛えているであろう元宇宙暴走族が加齢のペッピーや戦闘向きではないスリッピーよりも下回っていると言う設定的に見ても考えられない調整であるが、もしかすると前作の放浪中に不摂生な身体になったのか?。理由はともあれ、もう一人の主人公と言うべきガタイの良い男が貧弱なのは違和感しかない。ライフのゲージがマシンガン威力換算で31発、32発、40発、44発、48発という良く分からない分け方なのも違和感である。
    • 総勢6名では物足らず、レオンやパンサー、ペパー将軍なども登場させて欲しかったと言う意見もある。
  • 武器性能のバランス
    • 生身のパイロット状態ではダメージを受けるごとに短時間だけ無敵となるため、マシンガンやガトリングガンといった高速連射系の武器がやや扱いづらくなっている。
    • 「ホーミングランチャー」の存在。強すぎるというわけではないが、これを使ってしまうとブラスターなどによる純粋な撃ち合いそっちのけでこの武器同士の撃ち合いになってしまう。
  • バトルステージの問題点
    • 「ゾネス海上基地」は構造が複雑な上に多数の落下死ポイントがあり、構造を十分に覚えていないとうっかり落ちてしまうことも少なくない。多人数対戦だと画面が小さく分割されるため目視での細かい地形の判別も難しい。
      • さらに誰からも攻撃されないまま落下死しても他プレイヤーの得点となってしまうため、戦闘以外で試合が終わってしまうことも。対戦ステージとして如何なものか。
      • 一応、惑星ゾネスは前作でアンドルフ軍による汚染で猛毒の海と化しているので、落下=死亡は強ち間違ってはいないが…。
    • 「氷の惑星フィチナ」や「砂漠タイタニア」はマップが広すぎて、画面を盗み見でもしないと相手が一向に見つからず次第にだれてしまう。ようやく見つけても逃げ場が多いため、倒し切れないことがある。
  • 他プレイヤーのキャラクターに常に大きめのマーカーが付いており「隠密」プレイは一切できない。
    • ステージの広さ故の配慮と思われるがもう少し手段はなかったのだろうか。

その他

  • ボーナスゲームと称したおまけとして、ナムコ開発のレトロゲームである『バトルシティー』、『ゼビウス』、『スターラスター』が移植版として丸々3本収録されている。
    • しかし、スターフォックスと関係がないのはおろか、任天堂作品ですらない。容量が余っておまけを入れるくらいならシナリオモードを増やすなりエフェクトを強化するなりのことはできたはず。
    • おまけに『スターラスター』の出現条件となる収集アイテム「スペシャルフラッグ」は攻略本無しでは発見困難な物が少なくない。基本的には特定の敵機orオブジェクトを破壊するか、何も無い場所で照準がロックオンされた所に何発か撃ち込むと出現するのだが、肝心の位置が、『''密林地帯内の特定の木の枝*4を破壊すると出現』『ミッションが一定以上進行した後に、特定難易度以上でのみ敵が出現するエリア』等。

総評

バトルモードの出来の良さはもちろん、シナリオモードも短めながらそれなりに遊べる仕上がりにはなっており、グラフィックや音楽も悪くはない。一つのゲームとしてみれば良作に近い部類と言ってもいいかもしれない。

ただし本作は全体的な作風の大きな変化が、『64』のファンであったコアなユーザーの期待にそぐわないものとなってしまい、マイナス面として響いてしまったことは否めない。 またそういう前提条件を抜きにしても、少なくともボリュームの低下に関しては、はっきり欠点として挙げられる。

シリーズにおいて白兵戦の境地に挑んだ作品であることは間違いないのだが、シューティングステージの増加や分岐の設置などでシナリオモードの充実化さえ図られていれば名作になっていた可能性は高い。


余談

  • ステージ1で戦うアンドリュー・オイッコニーは、(ストーリーにも書いてあるように)『64』ではスターウルフの一員で、「アンドルフおじさーん」の迷台詞で人気を博していた彼である。
    • 『64』では粗いCGのおかげで猿なのか鳥なのかよく分からない顔グラフィックだったが、今作からはCG技術の進化によりハッキリとした猿らしい姿になった。
    • 名前はファーストネームである「アンドリュー」と表記されていたが、今作では姓である「オイッコニー」表記となり、以降の作品も「オイッコニー」で統一されている。
  • 当初は一部メディアにおいて『エースコンバット』の製作チームが開発を担当するという記述が含まれた記事もあったが、実際には『風のクロノアシリーズ』のスタッフによる開発となった。
    • 任天堂側・ナムコ側ともに本作開発の発表時に『エースコンバット』の名を挙げていたという事情もあり、同作のような作風を期待した一部ユーザーからは両社に対する失望の声も上がっていた。
  • 後年『初代』『64』がSwitchで、そして『コマンド』がWiiUで遊べるようになったが、本作は『Wiiであそぶセレクション』に選ばれておらず、リメイクなどの話も全く存在しない。日本語フルボイス路線のシリーズ作品としては、後発の『ゼロ』と同様に後継機への移植が1度もなされていない状況が続いてしまっている。
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最終更新:2024年02月25日 20:56

*1 前作『スターフォックスアドベンチャー』では「ダイナソープラネット」と呼ばれていた惑星。

*2 実際にステージ2のボス戦でフォックスがランドマスター無しにブラスターを撃とうとするとペッピーの専用のセリフが聞ける

*3 「立ち止まって照準を覗き込む→高威力&長射程の高速弾を発射」という2工程で攻撃する武器。本編では主に遠方にいる動かない敵の狙撃に使う武器であり、通常のバトルモードでは狙いがつけづらくやや扱いづらい。

*4 そのエリア内には木が数十本あり、各木には2~3本破壊可能な枝がある。おまけに強制スクロール面なのでじっくり調べる余裕はない上に、そもそも木の枝を破壊できることに気付かないことが多い。