本項ではスーパーファミコンソフト『第4次スーパーロボット大戦』とその移植版『同・S』の紹介をしています。判定はどちらも「なし」です。



第4次スーパーロボット大戦

【だいよじ すーぱーろぼっとたいせん】

ジャンル シミュレーションRPG
高解像度で見る
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対応機種 スーパーファミコン
メディア 24MbitROMカートリッジ
発売元 バンプレスト
開発元 ウィンキーソフト
発売日 1995年3月17日
定価 12,800円(税抜)
周辺機器 スーパーファミコンマウス対応
ターボファイルツイン対応
判定 なし
ポイント 旧シリーズ一区切り作
システムの基本が完成
容量・資料不足による粗が目立つ
スーパーロボット大戦シリーズ


この星の明日のためのスクランブルだ!!



概要

『スーパーロボット大戦』シリーズの5作目にして、『第2次』・『第3次』・『EX』と続いてきた一連のストーリーの完結編。
前作『EX』までに登場した作品が総出演し、新規に『闘将ダイモス』『重戦機エルガイム』『無敵超人ザンボット3』『超獣機神ダンクーガ』の4作品と、隠しで『ガンダム・センチネル(機体のみ)』『New Story of Aura Battler DUNBINE』の2作品が参戦。

+ 参戦作品一覧

★マークは新規参戦作品。

  • マジンガーZ
  • グレートマジンガー
  • UFOロボ グレンダイザー
  • ゲッターロボ
  • ゲッターロボG
  • ★真・ゲッターロボ(原作漫画版)*1
  • 機動戦士ガンダム
  • 機動戦士ガンダム0080 ポケットの中の戦争
  • 機動戦士ガンダム0083 STARDUST MEMORY
  • 機動戦士Ζガンダム
  • 機動戦士ガンダムΖΖ
  • ★GUNDAM SENTINEL(機体のみ)
  • 機動戦士ガンダム 逆襲のシャア
  • 機動戦士ガンダムF91
  • ★無敵超人ザンボット3
  • 無敵鋼人ダイターン3
  • 聖戦士ダンバイン
  • ★New Story of Aura Battler DUNBINE(『聖戦士ダンバインOVA』名義)
  • ★重戦機エルガイム
  • 勇者ライディーン
  • 超電磁ロボ コン・バトラーV
  • ★闘将ダイモス
  • 戦国魔神ゴーショーグン
  • ★超獣機神ダンクーガ
  • バンプレストオリジナル

変更・追加点

現在でもお馴染みのシステムの多くは本作で登場している。

  • 敵から攻撃を受けた際に、「反撃」「回避」「防御」を自由に選択できるようになった。
  • ユニット間で付け替え可能なアイテム「強化パーツ」が登場した。1機につき二つまで装備可能。
    HP・装甲・運動性等の機体性能を向上させられる他、HP・ENを回復させる使い捨てタイプのアイテムも存在する。
  • 敵の機体が進行状況に応じて改造されるようになった。雑魚機体でも終盤はフル改造済みで襲い掛かってくる。
  • パイロットに「切り払い」「シールド防御」「ニュータイプ」「聖戦士」等の特殊技能という概念が追加された。
  • ユニット能力に、命中率・回避率に影響する「運動性」が追加され、第3次〜EXまでマスクパラメーターだった「機体サイズ」(回避率に影響を及ぼす)が可視化された。
  • 対ビームバリア(Iフィールド・オーラバリア等)は、一定以上の威力の攻撃なら撃ち抜けるようになった。
    これまではビーム兵器が主力の機体はバリアの前に無力だったが、威力強化によって対応できる。
    また、従来作でかなり厄介だった「間接攻撃無効」「マップ兵器無効」「ビーム吸収」は廃止された。
  • パイロット能力に「性格」が追加され、味方が倒された時の気力の上下に変化が加えられた。
  • パイロットの攻撃力は、武器の系統によって「遠距離」「近距離」に分化された。後の「射撃」「格闘」にあたる。
  • 『聖戦士ダンバイン』のチャム等・『重戦機エルガイム』のリリスは「妖精」としてサブパイロットになり、精神コマンドが使用可能。同系列の他のユニットに乗り換えさせる事も可能。
  • プレイヤーの分身とも言える「主人公」が登場。強力なゲームオリジナルの機体に搭乗する他、後継機も用意されている。
    男女4人・計8人の中からランダムに一名が選ばれるが、そのまま遊んでもいいし、名前・外見(性別)・性格・誕生日・血液型を自分で設定してもいい。
    なお、誕生日と血液型は習得する精神コマンドに関係しており、組み合わせ次第では非常に強力な精神コマンドを習得できる。
    • シナリオとオリジナルロボットの能力に影響する主人公の「リアル系」「スーパー系」の選択。この言葉は本作がきっかけで広く使われるようになった。
    • ストーリー序盤で主人公と異性の副主人公が登場する。デフォルトの4人から選ばれ誰になるかは主人公の性格によって決まる。主人公に恋人がいるか聞かれるイベントがあり、恋人が「いる」を選んだならば主人公同様に名前等を設定できる他、ティターンズに配属されるため仲間になる前に敵として登場し、説得して仲間にするというドラマチックな展開になる(説得せず倒すと死亡イベントが発生)。恋人が「いない」を選んだならロンド・ベルに配属され、補充人員としてすぐに仲間になる。
    • 副主人公は専用機がなく、先述の恋人に関する選択肢で「いる」を選ぶとティターンズ所属となるため『Ζガンダム』のモビルスーツ(以下「MS」表記)であるバイアランに乗って登場する。
      • なお、副主人公はMSの他ゲシュペンストにも乗る事ができるが、さすがに主人公専用機への搭乗はできない。
      • 主人公と副主人公が同一マップに出撃した回数が規定数を越えると最終話インターミッションで告白イベントが発生。主人公を「性別:男・性格:理論家だけど異性好き」にした場合のイベントは現在でもファンからの人気が高い。
  • オプション項目として、1度見たデモを再生できる「デモセレクト」や、登場するキャラ・メカの解説が載っている「キャラクター事典」「ロボット大図鑑」、更に主題歌の歌詞が流れる「カラオケモード」が追加された。

評価点

システムの整備

  • 前述したように本作で初登場のシステムの多くは、若干の変更を加えつつも現在まで続くスパロボの基礎となっている物が多い。
    • 特にマニュアルでの反撃選択ができるようになった点は大きく、遊びやすさと戦略性がより増している。

オリジナル主人公の存在

  • プレイヤーの分身として設定できる主人公は(後述の賛否両論点はあるとはいえ)好意的に受け入れられ、これ以降の作品ではごく一部を除いてオリジナル主人公が設定されるようになった。
    • また主人公機の設定もできるのだが、本作のみカラーリングも多くのパターンから選択可能になっている。
    • リアル系主人公機のヒュッケバインは後述の通りバランスに優れており、トータルバランスでは最強クラス。一方スーパー系主人公機のグルンガストはクセの強さはあるものの早期加入で最強クラスの攻撃力を誇り、特殊な誕生日の主人公で精神コマンドの魂を絡めれば撃破困難なボスも倒せるなどハイレベルな性能になっている。
  • サブ主人公は恋人扱いの選択でどちらを選んでも一長一短でバランスが取れている。
    • 恋人扱いにしなければ加入が早く、大抵は「幸運」を持っているので経験値や資金稼ぎの効率が良くなる。
    • 恋人扱いにすれば加入は遅くなるが自分で名前を決められバイアランが手に入る。
      バイアラン自体にはユニットとして派手さはないが、飛行可能なのでアイテム回収や、打ち漏らし処理などにいろいろ小回りの利いた使い方ができる。

グラフィックの強化

  • 『第3次』『EX』からさらに戦闘デモは強化され、スーパー系の必殺武器はより派手になり、ファンネルを切り払うMS、ビームのグラデーションの美しさなどは特筆もの。
    • 戦闘アニメ画面が「上部に機体のHPとENを表示し、下部にパイロットアイコンと台詞を表示する」というスタイルに変更され、戦闘アニメの表示領域が拡大されたことで、よりアニメの迫力が増している。現在もこの仕様が踏襲されている。
    • 無論、現在の目で見てしまえば「動かない」デモであるが、当時は十分「凄い」デモだったのである。

シナリオ面

多数の勢力が入り乱れる状況

  • 前作までは、主人公以外の敵勢力が3、4つと少なかったが、本作はおなじみのDCや、ノイエDC、ゲストなどの新オリジナル勢力に加えて、ティターンズやエゥーゴ、ポセイダル軍、バイストンウェル勢力、ガイゾックなど、多数の勢力が出現する。
    • それらが上手く絡み合い、利用し合ったり対立しあう様子が本格的に描かれており、より戦争らしい雰囲気を出すことに成功している。
      • 新登場のガイゾックなども、その性格や特徴をしっかり原作から受け継ぎつつストーリーに絡めているアレンジも秀逸。

原作の救済要素

  • 『無敵超人ザンボット3』における、アニメ史でも屈指のトラウマエピソード「人間爆弾」*2が再現されている(幸いと言うべきかアニメのような生々しい凄惨な場面のグラフィックはない)。しかし原作での犠牲者の一人だったアキの人間爆弾化を、条件を満たすことで防ぐことができる。
    • 彼女がバンドックに連れ去られる話で、既定のターン内にバンドックを破壊できればアキをさらわれずに済み*3、人間爆弾に改造されることもない。バンドックのHPが高い上に毎ターンHPを小回復してくるなど予備知識無しでは少々難しいが、やり込み級の難しさという程でもない。
      これにより、だいぶ後でアキが無惨な爆死をするはずのエピソードでそれがなかったことになり、「元気なまま生き残ったアキを含めたハッピーエンド」という、昭和53年3月のアニメ放送終了から実に17年の時を経てファンなら長年夢見たような場面を見ることができるのだ。
    • この「アキ救出」はゲーム的観点のみで考えても充分有益で、「アキが無事なエピソード」と「原作通りアキが爆死してしまうエピソード」は同じマップ且つ敵の構成もまったく同じでも、前者はここでしか手に入らない「Iフィールド発生機」がある上にここで加入するサイバスターに3段階改造が入る。一方、後者は埋没アイテムが1つもなくサイバスターが無改造状態になってしまう。
    • なおアキがさらわれる話は二択ルートの1つになっており、もう片方は『ダイモス』のエピソードだが、こちらを選ぶと強制的に「アキがさらわれたこと」になってしまう。また何をしても『ダイモス』側での悲しい運命は変えられないので、縛りプレイでもなければ選ぶ理由はない。ここに限らず今作の分岐は当たりと外れがハッキリしすぎている。

問題点

パイロット・ユニットの理不尽な離脱

  • 途中で離脱してしまうパイロットやユニットが多い。理由については余談項を参照。
  • ストーリー途中、一部のパイロット・ユニットを強制的に部隊から外さなければならない。当然外した方は2度と戻らない。
    そんな重要なイベントなのに一切の警告も無く突如宣告される。資金の払い戻し等の補填もなく、育成・改造をしていた場合は無駄となる。
    • 特に、後半の手前辺りでコン・バトラーVとダンクーガのどちらかを友軍に転属させる選択が批判されやすい。どちらも参戦作の主役機なのに。
    • ガルバーFXIIのパイロットである京四郎とナナも序盤で、コープランダー隊の神宮寺・麗・マリの3人も中盤でリストラ対象にされる。
      ちなみに前者については「ガルバーが1機しかない」との理由だが、初登場時は2機出撃している。もう1機は何処へ行った?
      • なお原作にはバーム星の武術師範ハレックとの決闘に水を差す敵に京四郎が特攻してガルバーFXIIの1号機が失われてしまうエピソードがあったが、本作では再現されていない。
    • シュウ(同時にサフィーネ、モニカ)が仲間になるとリューネ、ヤンロン、テュッティが離脱するが、これは次が最終面なのであまり気にならない。
  • リアル系機体はこの強制廃棄が非常に多く、事あるごとに理由を付けられては、強制的もしくはプレイヤーの手でガンガン廃棄させられる。
    • 序盤に加入するMSが特に顕著。ルートや隠し要素にもよるが、最終的にガンキャノン・ガンダムMk-II・メタス、条件付きでリ・ガズィの4機しか残らない。攻略書籍でも「初期の改造はスーパーロボットから優先せよ」と書かれるほどである。
    • ジムIIIは初参戦ながら「機体にガタが来た」という理由で捨てられ、初代ガンダムに至っては、νガンダム入手時に断りや選択もなく廃棄されている*4
  • 「どうせ使わないのだから勝手に捨てられても問題ない」と思う人もいるだろうが、上記とはまた別の問題点もある。
    • 中盤の隠し要素でロザミアを仲間にしたい場合、ザク改・ガンタンク・ジェガンのいずれかを所持している必要がある。
      これ以前に、リアル系だとクェス専用ヤクト・ドーガを入手する際にジェガンが廃棄され*5、ガンタンクはSガンダムを入手する際に廃棄される。
      残るザク改は、入手するために序盤で8ターン以上経過ルートを辿る必要がある+ジェガンとの2択がある…と、ロザミア加入のためのフラグ管理が極めて複雑化している。
    • 中盤のシナリオ分岐の内、宇宙ルートではディザードの強制廃棄時に資金5000を獲得できるが、地上ルートでは勝手に捨てられ資金もなし…とこのあたりも雑。

一部作品の扱いの悪さ

  • 特に扱いが酷いのがダンクーガ。脇役キャラが一人いるだけで、他は機体も敵キャラも一切存在せず、原作再現も勿論なし。
    合体デモはあるのだが*6、本来は葉月博士が解除するTHX-1138のロックを忍が解除する等、原作とは違った描写になっている。
    • 機体性能も地形適応の合計にAが1つも存在せず、攻撃力もスーパー系最弱、そのくせ武器の燃費と気力制限はやたらと重い。
      おまけにグラフィックは飛行ブースター装着仕様なのに飛行できず、挙句の果てに前述のリストラ選択が待っている。
    • 一応「精神コマンドの気合と熱血を全員が覚える」「コン・バトラーVにはない長射程の必殺技がある」「コン・バトラーやザンボット3と違って分離形態でもそれなりに戦える」という独自の特長を持っている。しかし気力を上げても地形適応の関係で結局他のスーパー系に及ばず、飛行できない事も相まり、どうしてもコン・バトラーには劣る。
    • 一方コン・バトラーは飛行可能で地形適応は空陸A。追加武装イベントも2回あり、特にグランダッシャーは燃費こそ重いが絶大な破壊力を誇る。何より5人の精神が使える強みが大きく、中身も攻撃やサポートなど多種多様で幅広い用途がある。
    • 別れの際にコン・バトラー側はリーダーの豹馬しか登場しないのに対し、ダンクーガ側はメンバー全員が登場するのがせめてもの救いか。裏を返せばとことんダンクーガ離脱推奨のシステムでラスメン起用はもはや縛りプレイ同然と、とことんファン泣かせ。
    • 容量確保のためか、はたまた単純な開発期間の短縮か、以降の作品では合体ロボは分離不可能になっているケースが多い。
    • 『グレートマジンガー』がBGM非対応。
      • 主題歌を持ち越していた『ゲッターロボG』と違ってオリジナル主題歌が存在するのに『マジンガーZ』と共用されている。
      • 後発の『グレンダイザー』に至っては初登場(第2次)の頃からオリジナル主題歌が使われ、ガンダムのシリーズは『EX』から作品毎に個別に用意されていることを考えると地味に扱いが悪い。
  • ライディーンの最強武器である「ゴッドボイス」は、10回以上使用すると最終話に出撃できなくなってしまう。
    原作ではパイロットであるひびき洸の命を削るほどの大きな負担がある事もあってあまり使われていないので、原作再現的な制約である。
    • 一応、洸の出撃機会は追加から最終話まで7話ほどしかなく、意図的に乱用しなければ問題ない。追加時に「使い過ぎないように」との警告もある。
      尤も具体的な回数までは分からず出し惜しみしがちになる他、『第3次』では制約なしで使えたため、気兼ねなく使わせてほしかったところ。
    • 『新』以降はこの制約が撤廃されたが、何故か『CB版第3次』では、本来ないはずのこの仕様が本作に合わせるためか採用された。
  • 『ガンダム0080』は、ルートによってはクリス&バーニィとその愛機アレックス&ザク改が登場すらしない。だが彼らが仲間になるシナリオでは全話通して3つしかない超強力な強化パーツである「ファティマ」が入手可能で、奇しくも彼らが仲間になりやすい結果を生んでいる。
    • それでも愛機であるアレックスには強制廃棄が待っており、ザク改もジェガンとの2択になってしまうという不遇さもあり作品自体の扱いが良くない。
    • 敵も味方も原作再現などなく、名のある敵はシュタイナーくらいだが、原作の同僚だったバーニィとは顔を合わせる機会がない。
    • とはいえバーニィはガンダム系パイロットで唯一「自爆」を持つこともあって後述の通り終盤で手に入る『GP-03デンドロビウム』や中盤以前でも『リガズイ』で同等のことができるため相性がバッチリで活躍の場があり、クリスは希少な精神コマンド「復活」をLv39と早期に習得するなど強みはある。しかしクリスは「幸運」を体得しないせいで育成に少々手間がかかり、また2人共能力値はあまり高くなく地形適応も低めなので、それまで主戦力として使っていくには少々頼りない。
  • 『ガンダムF91』は、主役機F91のヴェスバーが何故か気力制限110・消費EN90というスーパー系の必殺技のような性能にされている。
    • 燃費が悪すぎて改造しても2回の使用が限度な上、折角の攻撃力も陸適応Bのせいで大した与ダメが出ず、明らかに使いにくい。
      デフォルトパイロットのシーブックが気合を習得せず、その気合を覚える他パイロットも僅か数人しかいない事も更なる逆風となる。
      ちなみに脇役であるビギナ・ギナは、攻撃力が150落ちる代わりに消費EN45・陸Aで、機体性能も同等。どう見てもこっちの方が強い
      あまりに癖が強すぎたせいか、移植版である『第4次S』では消費ENが大幅に下げられ、気力制限も100に緩和された。
  • 『ガンダム0083』のコウもかなり不遇で「幸運」「魂」はあるものの、肝心な場面で攻撃を外し続けた原作を再現してか命中の数値が他のパイロットと比較してかなり低く、更に欠点であるその命中率を補正する「集中」や「必中」といった精神も一切習得しないため、彼の本来乗っているマップ兵器がウリの『GP-03デンドロビウム』との相性がかなり悪い(入手時期が終盤なのでこの頃にもなれば命中補正は必須に近い)。後述の通り「自爆」と好相性の機体なので「自爆」「幸運」「集中」を持っているバーニィがいるためコウは本来の愛機から外されがち。
    • 一応、痩せても枯れてもガンダム系主人公らしく「魂」があるため「スーパーガンダム(ガンダムMk-II・Gディフェンサー)」は魂をかけることで終盤でもそこそこ通用する威力は保てるので、こういう形で活躍の場があると言えばある。同時に上記のクリスなど「幸運」を持たないながら育成の価値があるキャラの育成には有効な手段となるがガンダム系主人公にしては寂しい起用法には違いない。
    • 同じく0083のキースも「幸運」がありながら命中率がサッパリに加えて補正する精神コマンドもないせいでコウ共々「スーパーガンダム」での幸運提供要員が適任という原作ファンからすれば、非常にあんまりな扱いに…。
  • 魔装機神「ガッデス」も気力が重要な機体であるにもかかわらずパイロットであるテュッティが「気合」を使えない(「EX」では使えたのに、今作では消えている)というF-91同様の問題を抱えており、使い勝手が非常に悪い。
    • しかもF-91は他に代替できるパイロットに乗せ換えればシーブック共々活躍の機会は与えられるのに、ガッデスはテュッティ固定のためそれすらもできない。しかもイベントで高い気力からスタートすることもない。
    • シーブックもテュッティも「気合」を使えないのに「激励」(隣り合った者の気力を10高める)が使えたりするのももどかしい。他人より自身の気力が大事なのに…

システム面

武器ごとの性能の格差

  • 武器の攻撃力は、最強武器のみが高く、その他の武器はやたらと低いというアンバランスな調整になっている。特に「ガンダムシリーズ」のMSや「エルガイム」のHMに顕著。
    例えばΖガンダムは、ハイパーメガランチャーは強力なのだが、その他の武器の威力は弱機体であるジェガンと殆ど変わらない。
    百式やΖΖガンダム等の最強武器がMAP兵器の機体も同様に、最強武器以外は一般MSと変わらない低めの攻撃力になっている。
    • これはROM容量の都合で個々の機体に合わせた細かな武器の設定ができず、「おおよそその機体の世代単位で一つの武器を敵味方問わず複数の機体で共有する」という仕様になっているためである。
      例えばエルガイムとバッシュで同じパワーランチャーを、百式とΖガンダムとバウンド・ドックとで同じビームライフルを装備している。
      この仕様により迂闊に攻撃力を上げると敵側も上がってしまうため、最強武器のみを強くしたと推測される。
    • またこの「迂闊に攻撃力を上げられない」という事情により、大ボスのオージやブラッドテンプルにバンプレオリジナル機体の装備であるギガブラスターを搭載しており、見た目・設定的共に違和感が大きい。別の武器を削って高威力・長射程のパワーランチャーを追加する等、やり方があった筈である。
      • 一応フォローすると、本作のポセイダル軍はゲスト軍(バンプレオリジナルの勢力)と協力関係にある為「ゲストの技術によって強化された」という解釈も出来なくはないが、やはり違和感は拭えない。
    • そのため、独自の高威力武器を持たないMSやHM等は決定打に欠け、先述の勝手に離脱する問題等も相まって戦力として運用し辛い。
      リ・ガズィ(MS形態)やヌーベルディザード等は機体性能が優秀なので、武器さえ良ければ十分な戦力になっただけに勿体ない。
      前作『EX』も本作と同じ仕様ではあったが、ズサやハンブラビ等の量産型MSでも高威力の武器を持っており、使い方さえ見極めれば戦力として活用できた他、敵軍がこちらにも使ってくるため適度な緊張感にも繋がっていたのだが…。
    • Ζガンダム等の強力な武器を持つ機体も、スーパー系のような「それなりの攻撃力で使いやすい武器がない」という事になる。
      従ってスーパー系と比較して継戦能力が低くなりがち*7で、2回行動が前提かつ敵機が大幅に改造されるルート分岐後は厳しくなってくる。
  • 極端に強いMAP兵器
    • 今作のMAP兵器は範囲が非常に広く、気力制限も殆どなく開幕から撃てるため、MAP兵器を持っているだけで一軍候補になる。
      2回行動が可能な後半は精神コマンド「幸運」を掛けてMAP兵器で一網打尽→大量の資金と経験値を獲得という戦法が猛威を振るう。
      このため、他の高性能な1線級MSを差し置いて、ΖΖガンダムを「最強のMS」と評した攻略本も存在している。
    • 上記、攻撃力の問題と合わせ、これらの恩恵を最大限に受けているのが隠し機体のGP-02A(ガンダム試作2号機)である。
      入手条件が複雑なものの、MAP武器の性能が最大攻撃力9400+超広範囲とヤケクソじみており、入手はラスト寸前ながらバランスの完全な崩壊を招く。
    • この問題や上記の最強武器の問題は某攻略本のコメントで開発者も認めており、後の作品で徐々に調整・改善されていく事になる。
  • 終盤は敵味方共に攻撃力・射程がインフレし、装甲無改造のリアル系は当たれば一撃死、重装甲のスーパーロボットやHPが2万を超える戦艦でも集中砲火を食らうと簡単に危機に陥る。
    • このため常に敵のターンに備えて精神コマンドの「ひらめき」をかけておくか、建物やコロニー等の防御効率の高い場所に陣取るか、回避率の高いリアル系を中心に展開するかしかなくなる。
    • 厳密には「敵の攻撃力がインフレする」のではなく「本作は敵も味方も柔らかい」。マジンガー系でさえ装甲は700~800、MSは200~300程度である。敵ユニットも装甲1000を超えるのは数えるほど。問題なのは終盤でHPが3~4万程度のザコがうじゃうじゃ湧くマップがある事で、その場合は前述した作戦を取らざるを得ない。
    • なお攻めが強いのはこちらも同じことなので、極端なインフレが進む中で無理に敵ターンをしのごうとするよりも覚醒や熱血を駆使して「やられる前にやる」作戦を取ったほうが良い場合もある。

作品ごとの機体性能の格差

  • ダイモスは最強技の「必殺烈風正拳突き(及び同改)」が宇宙では使えないため、宇宙マップでは大幅に弱体化する。原作では普通に使っていたのに
    • 一応ダイモスに宇宙戦の機会は2回しかなく、後述のデンドロビウムよりは遥かに影響が少ないが、よりにもよってその2マップの片方が難関マップ。
    • 更にリアル系ルートではパワーアップイベントが無いため、1人乗りという事も相まって尚更戦力として運用し辛い。
      終盤のコロニー内のマップでは「こっちだって必殺烈風正拳突きが使えるんだ!」という愚痴にしか聞こえない意気込みをしている。
    • スーパーロボットの中では、(スタメンのゲッターやマジンガー系を除けば)最速加入なので序盤なら活躍できるかと言えばそうでもなく。
      必殺烈風正拳突きの威力がスーパー系の必殺技にしては2900と弱めで、移動力も低く「加速」もないため、やはり使いにくさは否めない。
  • 本作のGP-03デンドロビウムは原作通り宇宙以外の適応がなく、ミノフスキークラフトがなければ終盤の舞台である火星で出撃できない。
    • 加えて、本作のミノフスキークラフトは後作のように地形適応を得られず、仮に出撃しても地形適応の関係で大幅に弱体化してしまう。
      月面マップも「宇宙専用でも出撃可能な空陸判定マップ」になっているため、こちらでも上記同様に戦力としては全く通用しない。
      結果、まともに運用できるシナリオは2マップ、しかも片方は初登場シナリオなので、改造して全力で戦えるシナリオは僅か1マップしかない。
    • GP-03ステイメンは、オーキス入手前でもオーキス込みの修理費が設定されており、MSとしては法外な8000もの修理費を要求される。
      2軍MS並みの機体性能の低さと、初期パイロットであるコウの能力値の低さも相まり、うっかり撃墜されるとごっそり資金を持っていかれる。
    • 裏を返せばデンドロビウムの状態で撃墜されても、ステイメンさえ残っていれば修理費が掛からないという事である。
      そのため、膨大なHPを活かして精神コマンド「自爆」で隣接する敵に大ダメージを与え、残ったステイメンを戦艦へ逃がす…という戦法が可能。
  • MS系ユニットの地形適応にやたらと陸Bが多く、地上戦が多い本作ではどうにも活躍させ辛い。
    • 原作の時点で宇宙戦が多いのでその再現と思えなくもないが、陸戦に対応したMSも存在するのに、今作では何故かそれらも陸Bが多い。
      νガンダムよりも後半に入手するサザビーはまだしも、F91に至っては脇役である筈のビギナ・ギナより地形適応が劣るという始末である
    • そもそも前々作の『第3次』は、大半の自軍MSが陸7(本作における陸A)であり、それ以下はGM・ズゴックE・ゲーマルクの3機だけである。
      従って本作の陸適応は意図的な調整と思われるが、その理由は完全に不明。陸Bでも十分に戦えるゲームバランスであれば問題ないがそういうわけでもなく、何らかの思惑があったにせよ上手く機能しているとは言い難い。
    • 宇宙マップであればまともに運用できるが、地上戦での汚名を返上する程の活躍は見込めない。
      また、前述したように終盤の月面・火星は空陸扱いなのでこちらでもパワーダウンしてしまう。
      「MS系」「陸A」「独自の高威力武器」の3つの特徴を併せ持つ機体はZガンダム、ZZガンダム、サザビー、ビギナ・ギナ、GP-02Aの5機だけである。さらにこのうち3機はルートや条件が絡んでくるため、大半のパイロットは陸BのMSで我慢せざるを得なくなる。ガンダム系パイロット自体には陸Aが多くいるだけに、もったいない事態となっている。
  • 序盤でティターンズと協力して海から攻めてきたDCのドラゴノザウルスと戦う際、ティターンズのライラが「水中でも戦える機体で出直してこい」とジェリドとヤザンに指示し、二人は撤退する。
    数ターン経過した後に二人は戦線復帰するのだが、持ってきた機体は何をトチ狂ったのか海Cのケンプファー。これは作戦の指揮をとるライラの指示によるものなのだが、原作の時点で水中用MSではない。
    • 恐らく開発者は「メガ粒子砲しかないバイアランより実弾兵器が豊富なケンプファーの方が有利」と考えて制作したのだろう。
      しかし海Cではバイアランのビームサーベルで斬りつけていた方がよほど高いダメージを与えられるし、相手の進路も妨害してくれる。
      確かに面白い試みのステージではあるが、前作までにいた水中用MS&MAを全てリストラしておきながら、このような展開にしたのには疑問符が付く。
  • 逆に強力なのがオーラバトラー。
    • オーラ斬り・ハイパーオーラ斬りは、気力制限(と聖戦士技能)以外は使いたい放題であり、バランスを崩している。命中率補正が低い・強化費用が高いというリスクはあるが、前者は運動性の高さからあまり問題視されていない。
      更に機体サイズSかつ分身を装備しており、回避性能は最高峰。終盤の敵は一撃一撃が非常に重いため、とりわけ回避性能は命綱とも言える。
    • 隠しユニットのサーバインとズワウスは遠距離攻撃を一切持たないが、本作の敵は『命中率が低すぎる場合、なるべく命中率の高い武器を使おうとする』アルゴリズムを持つため、十分に回避率を高めておいた機体には近接攻撃を選択しがちになる。結果的に勝手に寄ってくる形となるので、遠距離攻撃を持っていなくともさほど大きな問題にはならない。
    • 逆を言えば、本作のオーラ斬り関連は技能保持者の特権であるため、同技能を持たないオーラバトラー乗りは著しく不利となる。
  • 新たに運動性の概念が追加された結果、本作では「運動性+命中/回避」が限界反応内に収まる必要が生まれたが、依然として限界反応の最大値は255のまま。
    • 強化パーツもよるが、高い命中/回避を持つオーラバトラーやリアル系パイロットは終盤に、その中でも高い運動性を誇るヒュッケバイン等は中盤に、限界反応の最大値255をオーバーしてしまい本来のポテンシャルを発揮できなくなってしまう。
    • このため、上記のサーバインとズワウスだと「優れた運動性を持つサーバインより500ものHP差があるズワウスが終盤は有利」という逆転現象が発生する事となる。また、「極限まで運動性を高めた機体を突っ込ませて囮になりつつ削る」という戦法も取りにくくなる。
    • ただし「直感」は限界反応の影響を受けないため、レベル上げによる直感の成長と共に命中/回避も伸びる。本来のポテンシャルを発揮できなくなる事は確かだが、255で打ち止めになるという事態にはならない。
    • 限界反応というパラメータは『第3次』は戦艦のみ改造できない*8、『EX』『64』はバグで機能していない、『F完結編』は運動性と限界反応が釣り合わない機体が多いと、やたらと不具合や調整不足を抱えており、『COMPACT3』を最後に廃止されてしまった。
  • 味方の戦艦の能力の差が激しい。
    • 本作では、『第3次』で使用されたガンダムシリーズの戦艦と、『EX』でダンバインに登場するオーラシップである、ゴラオン、およびグラン・ガランのうちどちらかが使用できるのだが、二つの差が目に見えて顕著。
      • ガンダムシリーズの戦艦は、終盤で入手できる「ラー・カイラム」でも、HPが7500、装甲が420とかなり脆く、敵に近づかれたらすぐに撃沈してしまう。対してオーラシップの方は、中盤で入手できるにもかかわらず、20000以上のHPと700近くの装甲を誇る。パイロット自身の能力も高いうえに妖精を搭乗させられることから、明らかにオーラシップの方が数段強い。
      • 一応オーラシップの方は宇宙の地形適応が低いという欠点がある*9。そのため宇宙マップでは戦力評価が逆転する……が、本作の宇宙マップは戦艦を選択出撃できるものが一つもなく、「宇宙戦だからラー・カイラムを優先的に出撃させる」というような選択の余地がない。いずれにせよ強制出撃となるので、ラー・カイラムも育てないわけにはいかないが……。
  • 難関マップ「特異点、崩壊」をクリアすると、自軍はユニットの乗り換えをする間もなく2分割されてしまい、強制乗り換えなどで戦力外化するキャラも出て来る。しかも次の「栄光の落日」はその「特異点、崩壊」をも上回る今作最難関クラスのマップである。
    • これ以前にも部隊分割イベントはあったが、分割前にユニットの乗り換え等準備する余地はあった。
    • この部隊分割の際には上記の戦艦2隻をそれぞれ母艦として割り振ることになる。そのため宇宙が苦手なオーラシップも宇宙マップに強制出撃となる。幸い2回だけではあるが、そのうち1つはこれまた本作屈指の高難度マップ「アクシズに散る」である。
  • 「栄光の落日」「アクシズに散る」と並んでトップクラスに難易度が高いとされるマップ「オルドナ=ポセイダル」*10は、実は2体のボスさえ倒せばクリアになるのだが、勝利条件に「敵の全滅」と間違って表示される。
    • 一応冒頭で味方の1人が「あれさえ倒しちまえばいいわけだ」と言っているが、初見ではこれが本来の勝利条件だと気付くのは難しいだろう。
    • 資金や経験値の面でも敵を全滅させた方が得なのは言うまでもないが、正攻法ではMAP兵器をフル活用しないと難しい。

システム面・その他

  • マップ上には前述の強化パーツや資金となる金塊が落ちており、そのマスの上に機体を置く事で入手できる。
    しかし基本的には手探り状態。山地の中に1マスだけ平原があったり、小さな孤島に1つだけビルがあったりするなど、一応何かありそうな意味深な場所には大抵落ちてたりはするのだが、そうでないノーヒントのアイテムもまた多く、攻略情報なしに全てを回収する事はまず不可能である。
    • 精神コマンド「探索」の使用で落ちているマスを確認できるが、9話でザンボット3の神北恵子が加入するまでは使えるキャラが仲間に誰もいない。
      それまでに「探索」を使ってアイテムを回収したい場合、特定の主人公の選択や、その誕生日・血液型を調整する主人公を選ぶしかない。
      ルートにもよるが、最高性能の運動性強化パーツで全編通じて3個しかない「ファティマ」の1つはそれ以前の5話にあるのも間が悪い。
  • 主人公機をリアル系・スーパー系のいずれかから選択できるが、機体性能面でもゲーム進行面でも圧倒的にリアル系が有利。
    • リアル系の後半搭乗機「ヒュッケバイン」は自軍ユニット中最高の運動性を誇り、更に分身とIフィールド装備のため防御面は完璧。
      攻撃面でも、優秀なMAP兵器を持つ他、最強武器はスーパーロボット並みの攻撃力・自軍最長射程・気力100で撃てると極めて高性能。
      最強武器はEN消費型、準最強武器は弾薬消費型、MAP兵器は3発使用でき、武器の地形適応も全てA…と上手く纏まっている。
    • 一方スーパー系の後半搭乗機「グルンガスト」は、攻撃力は高いものの、あまりに癖が強過ぎて使い辛い。
      グルンガストの機体性能は運動性以外さほど高くなく、バリアや分身といった防御系の特殊能力も無し。
      最強武器の攻撃力自体は自軍スーパーロボット最高値だが、地形適応が空陸Bなので、数値のわりに威力はパッとしない。
      おまけに最強武器・準最強武器の燃費が劣悪で、しかもそれ以外はMSにも劣る攻撃力なので雑魚散らしもしにくい。
      変形ができるので「空陸宙で使い分けろ」という事なのだろうが、空形態だと地上の敵に最強武器が当たらない。なお陸形態の最強武器がバグにより攻撃力が上昇しないためより一層不遇…と思われていたが、改造が反映されないのは見かけ上の数値のみであり、内部的にはしっかり改造されている模様。
    • ストーリー的に見ても、このルートではダバの義妹であるクワサン・オリビーをどうしても殺さなければならず後味悪さが残る。
      同時にギャブレーも仲間にできないため、ポセイダルとの最終決戦「オルドナ=ポセイダル」では、最も苦しい戦いを強いられる。
  • 対ビームバリアが「バリア毎に設定されたダメージ以下の攻撃を無効化」のみ。
    このため、序盤~中盤直前あたりまでは敵HMの基本特殊能力であるビームコートに苦しめられるが、それ以降は火力が上がり破れるようになりほぼ無意味になる。当然敵の火力も上がっているため味方のビームコートもほぼ無意味と化す*11
    • 特に後半になるとそれが顕著。上位版のIフィールドですら基本的にMS系では装甲が足りず、防御してもほぼ突き破られる。最上級のバリアを持つオーラバトラーの装甲を強化して防御するか、同じく装甲を高め強化パーツでバリアを付与したマジンガー系が精神コマンドの鉄壁を使用し、ようやく存在が実感できるレベルである。
    • 従来作ではビーム防御系の特殊能力が非常に強力だったため、その調整として本作のような仕様にしたものと思われる。しかしこの仕様と終盤の攻撃力インフレが悪い意味で噛み合ってしまい、バリア系能力の優位性が大幅に下落する事となってしまった。一方で敵と対峙する際には突き破ればいいだけなので御しやすくなっており、また敵機限定能力だった「ビーム吸収」等も削除されているため、それらの点では一定の評価を与えられる。
    • 以降の作品では、上限値を超えてもダメージが上限値分軽減されるタイプのバリアも登場するようになった。

シナリオ面

  • シリーズ完結編にもかかわらず、何の説明もなくフェードアウトするキャラクターが居る。
    • 前作・前々作で死亡描写が無いまま死亡したことになっていたり、突然姿を消したままのキャラクターが多数いたり、条件を満たさないと再登場しないキャラ、ある作品のラスボスがインターミッション中に顔見せするだけで戦えない、など。
    • 一部シリーズの敵勢力が最後に登場する面では、同番組の味方勢力は別行動しているため自軍におらず、決着を付けさせてやる事ができないというとんだ最終決戦になる。
      • 参戦作品が非常に多いとはいえ、シナリオ展開的には消化不良感が否めない。

バグ・設定ミス関連

初期版のみ

  • 初期版のみ、味方ユニットをマップ兵器で倒すと、何故か資金と経験値を得られてしまう。
    • このため「サイバスター」の「サイフラッシュ」、「ヴァルシオーネ」の「サイコブラスター」の「敵味方を判別できる」という特性が損になってしまっている一面もある。
    • 後期ROMでも、友軍(青色NPC)は撃墜時に経験値と資金が手に入る。友軍の戦艦が撃墜されるとゲームオーバーになるマップがあるが、これは初期・後期ROM共に全滅技と組み合わせて荒稼ぎができる(もちろん誰でも経験値や資金になる初期ROMの方が効率がいい)。
  • これも初期版のみ、レベル99に上げると何故か99を通り越して100になる。100になっても弱体化等はしないが、能力を見ると画面が乱れるという不具合が発生する。
    • 隠しボスのシュウと一緒に出てくる超AI(ヴァルシオン)のLvが99なので、MAP兵器でまとめて撃墜するとたやすくLv99になりやすい。

初期版・後期版共通

  • 後期版では味方をマップ兵器で倒した時のバグは修正されたが、友軍(青色NPC)を撃墜した場合については未修正。
    • 友軍の戦艦が撃墜されるとゲームオーバーになるマップがあるが、これは初期・後期ROM共に全滅技と組み合わせて荒稼ぎができる(もちろん、初期ROMの方が効率がいい)。
  • 中盤を少し過ぎたあたりの「キリマンジャロの嵐」は、空中での戦いなので飛行ユニット以外出撃不可という意欲的なマップ。
    しかしこのシナリオ、「空中マップなのに地形適応は「陸」が参照される」という仕様になっている。これは内部データ的には「実際には機体が空に浮いているのではなく、全ての機体が『空の画像が描かれた地上』に着地しているマップ」という処理にされているために発生する、一種の設定漏れである。
    • これにより空中マップなのにウェイブライダーが大幅に弱体化し、空B陸Aのダイモスが存分に戦えるというおかしな事に…。
      勿論敵側も同様でであり、適応の空が高く陸が低いモビルアーマー形態のMSが山ほどいるが、このバグのせいで異様に弱い。例外はオーラバトラー系(ブブリィ除く*12)で、適応の関係上*13通常通りの性能を発揮するため厄介な敵と化す。
  • いくつかのシナリオで、ユニット・パイロット加入に関するバグが存在する。
    • スーパー系第1話「発端」で4ターン敵フェイズまでに敵を全滅させると、5ターン味方フェイズに増援として出現するはずのロンド=ベルのメンバーが加入しない。
      • このメンバーの中にゲッターロボが含まれており、このまま進めていくと後のシナリオ「特訓!大雪山おろし」でゲッター不在の為即ゲームオーバーとなりハマる。特に早解きを目指している場合は要注意。
    • サイバスターとマサキが正式加入するシナリオは事前の条件により2つのシナリオのどちらかになるが、「新しい力」の方でサイバスターが現れる前にクリアすると、サイバスターとマサキが加入しない(マサキは会話には参加する)。こちらも早解きの際に引っ掛かる可能性がある。
      • こうなってしまうと下記の「リューネ・カプリッチオ」でリューネの説得も不可能になるという二重の罠になっている。
      • もう一方のシナリオである「人間爆弾の恐怖」では、サイバスター登場前にクリアしてもエンドデモに入る直前でマップにサイバスターが出現するため、このような事は起こらない。上記のロンド=ベルもそうだが、なぜ同じ仕様にしなかったのか……
    • シナリオ「リューネ・カプリッチオ」にてマサキでリューネを説得せずに倒してしまうと、「オルドナ・ポセイダル」でガッデス・グランヴェールが加入しない。隠し条件の未達成あるいはペナルティの類と思われるが、フラグの設定ミスなのかパイロットのテュッティとヤンロンは上記のマサキと同様に会話には参加するというおかしな展開になる。
  • 『ダンバイン』の妖精達は、パイロットと組まない状態にしておくとマップ上で兜甲児が得たのと同じ経験値が与えられる
    • この他、全滅プレイで獲得した経験値が、何故か妖精だけ引き継がれずにリセットされてしまう。
  • クリティカル関連にいくつか不具合がある。
    • パイロット特殊技能『底力』のクリティカル率上昇効果が機能していない。
    • 敵軍のクリティカル発生率は通常の1/2にされているはずが、逆に自軍のクリティカル発生率が1/2になってしまっている。
  • 主人公の誕生日を魚座のA型にすると、精神コマンドの必中を2個覚えてしまう。そのため、事実上5つの精神コマンドでプレイする事になり、他の構成と比べて不利になってしまう。
  • 「ポセイダルの野心」でクワサンの説得に成功した場合、クリア後に彼女の乗っていたバッシュを「洗脳時の機体だから危険」という理由で廃棄することになるが、これが間違って台詞で「カルバリーテンプル」と書かれてしまっているために混乱する。
    • 実際にはちゃんとバッシュが廃棄される。戦力としてはバスターランチャーまで搭載しているバッシュは惜しいが、上記の通り明確な理由があるため仕方ない。

図鑑・その他

  • キャラ事典・ロボ図鑑が間違いだらけ。事実誤認・他機体との混同・適当な一言だけで済ませる等、問題点は多い。後期版では一部が修正されている模様。
  • カラオケモードにいくつか不備がある。
    • 本作には『ガンダムΖΖ』の「サイレントヴォイス」、『ガンダム0083』の「THE WINNER」が戦闘曲として収録されているのだが、これらの曲に対応していない。
    • アニメ放送時とテロップが合っていないものがある。
      • 「行け!ザンボット3」の「ザザン ザーザザン…」の部分に歌詞テロップがない(アニメでは普通に付いていたのに)。片や「勇者ライディーン」の「ラライラーイ ライララーイ…」はアニメではテロップがなかったのに、このモードでは付けられている。また、「カムヒア!ダイターン3」の「ワンツースリー ダイターンスリー」はその部分がそのままカットされている。
  • 主人公とその恋人の好感度を表す「恋愛ポイント」という内部数値が存在する。特定のシナリオに2人を同時に出撃させるか、決まった選択肢を選ぶ事でアップし、一定以上になると最終面での2人の会話が変化する。
    • しかし「出撃するとアップするシナリオ」の選定が不可解な他、上がった好感度を確認する手段が存在しない。そもそも、どこの攻略本にもこのシステムの紹介自体が全くない。SFC版『一生楽しむ本』のインタビューで曖昧に触れられている程度。
    • 幸いにも変化するのは会話のみで利点が皆無であるため、そこまで気にする必要はないのが救いか。

賛否両論点

  • 本作で初採用されたオリジナル主人公が目立たない上、使い勝手も各種設定の選択に大きく左右される。
    • シナリオ上はたまに会話に少し参加するだけで主役を張るシナリオ、敵勢力との因縁は殆どない。これに関しては「悪目立ちして版権作品を食うよりはマシ」「主人公なのに目立たないのは残念」とやや意見が分かれている。
  • ラスボスなのにゼゼーナンもバラン=シュナイルも弱い。
    • ゼゼーナン自身のステータスは意外と低く、しかも性格が「弱気」なので他の敵を倒せば倒すほど気力が下がって弱体化していく。
    • バラン=シュナイルも特にオーバースペックな武器はなく、切り札的なメガグラビトンウェーブはメカギルギルガンにも搭載されており唯一ではないなど威厳がそれほど感じられない。
      • 上記のネオグランゾンの飛びぬけすぎたオーバースペックと比べることは筋違いでもブラッドテンプル(アマンダラ)など実際に強敵と呼べる敵との戦いの後でこれでは拍子抜けな一面もある。
    • ただ、ストーリー観点ではその時点でほとんど決着しており「完全決着への高まった気分であとはとどめだけ」という流れでクライマックスへ進みそのまま決着できる流れになりやすいのはプレイヤー気分として悪くない。
  • バッドエンドの展開について。
    • 最終面の展開として「異星人の和平派により講和の算段がついており、あとは強硬派のラスボスを倒せば解決する」という状況。
    • 一定ターン以内に最終面にたどり着けばシュウと共闘、一定ターン以上であればシュウがラスボスを追い詰めた状態であり、「シュウと戦うか否か」の選択肢で「戦う」を選び続けるとシュウがラスボスを一蹴した後に戦うことができる。このルートでは異星人講和派の特使が「地球人は何でも力で解決する」と見限られ、戦争が泥沼化した、というバッドエンドを迎える。
      • 苦労してやり込んでネオグランゾンを撃破した結果がバッドエンドでは報われないと言う声もあるが、そもそもこのルートに入る事自体がやり込み要素・オマケと取ることもできる。

総評

比較的単純だったが故に纏まっていた前2作と比べると、物語・システム共に練り込み不足・調整不足・完成度の低さが目立つ作品。
数々のシステムが盛り込まれたはいいが、それぞれが上手く機能しておらず、全体的にとっ散らかっている印象である。

一方で、大幅かつ着実な進化を果たしている事は紛れもない事実であり、これは決して無視できない評価点である。
特に反撃時の行動を選択可能になった影響は計り知れぬものがあり、深い戦略性を生み出したと同時に遊びやすさにも貢献している。
とりわけ「現行に通じるシステム面が概ね完成した」点は非常に大きく、シリーズのターニングポイントに位置付けられる作品である。
単純な長所・短所だけではしきれない、スパロボシリーズにおいて極めて重要な作品であると言えよう。


余談

  • 本作におけるパイロットや機体の強制リストラ及び択一イベントの多くは、プログラムの仕様と各種パラメーターの増加に伴うRAM容量圧迫の結果、メモリにそれぞれ64体分までしかデータを保持できなくなった事に起因する措置である。
    • コン・バトラーVとダンクーガの廃棄選択に関しては、コン・バトラーVは5人+5機分(バトルジェットとコン・バトラーVは同一機体扱い)のメモリを、ダンクーガは4人+4機分(ダンクーガとイーグルファイターは同一機体扱い)のメモリを圧迫している。「メモリ食い」のこの2機は、機体が増える終盤ではどうしても切り捨てざるを得ないリストラ対象になってしまったのである。
    • PS移植版である『第4次S』では、プログラムの仕様変更とメモリ容量増加によりこのような理不尽な強制廃棄はかなり少なくなっている。
  • 本作のパッケージデザインは、表紙の斜めストライプが特徴的な「ケイブンシャの大百科」シリーズのパロディになっている。もちろん、ケイブンシャには許可を貰っている。
    • 大百科シリーズにはロボットアニメ関連の大百科も数多くある。また攻略本(「スーパーファミコン必勝法スペシャル」および「◯◯を一生楽しむ本」)による繋がりなどもあった。ケイブンシャの『第4次』攻略本掲載のスタッフ座談会でも大百科パロディについて語っている。
    • 本作発売後、『第2次』『第3次』『EX』『第4次』を浅く広く網羅した『全スーパーロボット大戦大百科』が出版されている。こちらの名義は「ケイブンシャの大百科別冊」で、表紙も斜めストライプのデザインではない。
    • 大百科シリーズを懐かしむトークイベント「ケイブンシャの大百科ナイト」では、大百科シリーズをずらりと並べた傍らに『第4次』のパッケージも鎮座していた。
  • 出演作品について
    • 本作には『エルガイム』の裏設定上の機体であるブラッドテンプルと、『ガンダム・センチネル』関連の機体やアイテムが登場している。現時点で本ソフトが『スパロボ』シリーズにおける両者の唯一の出演作である。
      • 前者は「『エルガイム』のデザイナーである永野護氏に無許可で出したため一悶着があった」と噂されているが、これは何のソースもない只の噂である。よく言われているのが「ウィンキーソフトとレイ・アップが勝手な判断でファイブスター物語のレッドミラージュのデザインを無断流用したためにトラブルに発展した」という話だが、これは全くのデマである。そもそもこのブラッドテンプルは1988年にバンダイから発売された「SDエルガイム」第3弾で発表された『サンライズ公認の機体(SD画稿は横井孝二氏が担当し、本作で使用されているデザインはこの原画の流用)』であり、これは当時の資料や販促物、雑誌広告等を閲覧する事で容易に確認できる。また同機は後の『全スーパーロボット大戦 電視大百科』でもキチンと紹介されている。
      • 後者は『電視大百科』でも扱われていないため「ウィンキーソフトが版権を取得せずに登場させた事が原因で権利者の逆鱗に触れて以後の権利が取得不能になった」とか「ガレージキット販売にまつわる事件が原因でスパロボに出せなくなった」という憶測が流れているが、こちらも何のソースも存在しない。ガレージキットの権利に関わるバンダイ及びサンライズと大日本絵画社の間に事件が起こるのは本作の発売よりも後の96年であるうえ、『ガンダム・センチネル』の機体版権自体は『SDガンダム』の中に含まれている。「スパロボに出演しない理由」は、今もって明言されていないのである。なお、後の『第2次α』『第3次α』にも『センチネル』のユニットの没データが存在している。
  • オリジナル主人公について
    • 本作以降、試験的に『COMPACT』『α外伝』でオリジナル主人公が登場しない作品を制作したら「オリジナル主人公が欲しい」という要望が大量に届いたため、基本的にオリジナル主人公は必ず登場させることにした…と寺田プロデューサーは語っている。
  • 本作で登場したオリジナル主人公により区分「リアルロボット」「スーパーロボット」の概念は明確な線引きが行われたが、大元の作品の世界観を知らないと実は少々難しいものになっている。
    • 初期主人公メカのゲシュペンストのように「リアル」は高回避弱装甲で兵器が弾数制、エネルギー少消費、気力不要、マップ兵器搭載「スーパー」は低回避強装甲でエネルギー少消費or大消費、気力重要、威力大のようなイメージが強く、ガンダム系やコンバトラーV、ザンボット3などはハッキリしているが、ダンバイン系は高回避弱装甲(正しくは装甲そのものは強めだがHPが極端に低い)ながら気力重要で威力大とどっちつかずのように見えるので人によって認識がマチマチな傾向が強い。
      • 正しくは
        「リアルロボット系」………大元の作品で主人公ロボットの位置付けが兵器的なもの。
        「スーパーロボット系」………大元の作品で主人公ロボットの位置付けがヒーロー的なもの。
      • ダンバインの場合、兵士(戦士)のような扱いなので兵器に近くリアルロボットに含まれる。
  • アムロ・レイの顔グラフィックについて
    • 『EX』までのアムロは『初代ガンダム』をベースにしたグラフィックだったが、本作で『逆襲のシャア』ベースのものに変更されている。作中でも「この数ヶ月間で急に老けた」と他のキャラにネタにされており、アムロも「管理職なんて性に合わない仕事をさせられたから」という妙に世知辛い理由を語っている。ちなみに階級も少佐(『逆シャア』原作では大尉)になっている。
      • 序盤で『初代』のマチルダと再会する展開があるのだが、マチルダの階級は原作と同じ中尉のままなので、「階級が下のマチルダに対して、アムロは兵卒格だった頃と変わらず敬語で話している」というややこしいことになっている(一応現実でも「階級が下ながら先輩だから敬語」という例は珍しくないが)。
      • キャラクター事典で『Zガンダム』準拠のカイ・シデンやハヤト・コバヤシは登場作品がそちらに合わせてあるが、アムロは『初代』になっている。
    • 後の作品にも原作再現の都合上、半年や1年で5年分成長したり(『W』『第2次Z再世篇』)、生後3か月で5年分近くの成長を遂げるキャラ(『UX』)が存在する。理由も納得できなくもないものやそもそも語られないものもあったりとまちまち。
  • 「メカ戦士ギメリア」「オージ」「バラン=シュナイル」「ネオ・グランゾン」の4機は、精神コマンド「激怒」「自爆」「てかげん」によるダメージを無効化する。
    • てかげんの場合、条件を満たした状態(こちらの技量値が相手を上回っている)で攻撃すると与えるダメージが0になる。
    • ネオ・グランゾン相手に自爆で固定ダメージを与えようにもダメージ表示すら出ずに無効化され驚いたプレイヤーもいた。
  • 命中率100%の攻撃が回避されることがある。
    • この手の体験談は昔からちらほら報告されていたものの決め手になる証拠がなく勘違いや都市伝説の類だとも思われていたが、動画サイトや生配信の普及によって証拠映像が残り、紛れもない事実であったことが確認された。
    • 内部上では「切り払い可能と設定されているが切り払い発動時の専用アニメが設定されてない武器を切り払うと、代わりに通常の回避アニメが表示されてしまう」という、一種の不具合。なお、精神コマンド「必中」を使用している状態では切り払い自体が発動しないため、この不具合は発生しない。この辺りの仕様の不具合に関しては『F』で「ウィンキー補正」として大きく取りざたされる。
  • 本作のシステムを元として『第2次G』が製作された。
  • 本作はパッケージの外見で初期版・後期版を見分ける手段はないが、カセットの裏側のシールの刻印や「ロボット大図鑑」のドムの項目で判別可能(初期版では刻印が数字二桁の構成、ドムの登場作品が「機動戦士ガンダム0080」となっているが、後期版では刻印が数字二桁+アルファベットの構成、ドムの登場作品が「機動戦士ガンダム」となっている)。
    • ドムはスーパー系・リアル系共に1話で早々に登場するのですぐに確認ができる。

第4次スーパーロボット大戦S

【だいよじ すーぱーろぼっとたいせん えす】

ジャンル シミュレーションRPG
対応機種 プレイステーション
発売元 バンプレスト
開発元 ウィンキーソフト
発売日 1996年1月26日
定価 7,140円
レーティング CERO:B(12歳以上対象)
※ゲームアーカイブスで付与されたレーティングを記載
廉価版 PlayStation the Best:1996年11月29日/2,800円
配信 ゲームアーカイブス:2011年7月6日/1,000円
判定 なし
ポイント 初のPSスパロボ
一部キャラに初めてボイスがついた
バランス調整・システム改良・シナリオ追加
SFC版から未改善の部分も多い

概要(S)

『第4次』のプレイステーション移植版であり、同機では初のスパロボである。移植に際し、タイトルに『S』が追加された*14
戦闘シーンで一部味方キャラがボイス付きで喋るようになったほか、SFC版から細かい部分に修正・調整が施されている。


主な変更点・評価点

  • 戦闘時の一部キャラの台詞に、初めて原作の声優によるボイスが付いた。オリジナルキャラである『魔装機神』のキャラとギリアムにも声優が設定され、こちらは中断メッセージでも使用された。
    • 残念ながら登場キャラクター全員に付いた訳ではないが、それでも懐かしのあのキャラクターたちのボイスを聞きながらの戦闘は、当時原作アニメを見ていた人にとってはたまらないものだろう。
    • 声優の起用に配慮し、『ゴーショーグン』と『魔装機神』系の自軍加入期間が長くなっている。
  • 一部の機体の機体性能と武器性能が調整された。
    • 地形適応がB止まりであった多くの主役級ユニットが適応Aに引き上げられた。
    • ダンクーガは飛行可能になっており、地形適応や武器の性能も底上げされた。
      • 更にメインパイロットである忍の精神コマンドが、次に移動する時の移動力が5増える「加速」が敵へ与えるダメージが3倍になる「魂」に変更されており、より使いやすくなった。代わりに移動力の強化が強化パーツでしかできなくなった為、この変更は痛し痒し。
    • MAP兵器以外決め手のなかった『エルガイム』のHMは、主兵装であるパワーランチャーの弾数が減少し、代わりに攻撃力が上方修正、味方としてはやや使いやすくなり、敵としては手強くなった。特に戦力の整わない前半にHMと戦うMAPは、弾数減のデメリットが敵側にほぼ無いため難易度が目に見えて上昇している。
    • オーラバトラーのオーラ斬り・ハイパーオーラ斬りに消費ENが設定された。
      • さすがに「気力さえ上がれば無消費で使えた」のは強すぎたので、妥当な変更点とは言える。使うのに聖戦士技能が必要なのも相変わらず。
      • 以降のシリーズでもオーラ斬り・ハイパーオーラ斬りに関してはこの仕様が採用されている。
    • 精神コマンドと搭乗機がいまいち噛み合っていなかったシーブックは「気合」を覚えるように変更された。F91には分身(気力130以上で発動する回避能力)があるので、そちらに活かすことはできる。
      • また、F91自体も、ヴェスバーの気力制限が撤廃されたうえに威力、燃費が大きく改善しているなど、大きく強化されている。
  • その他ゲームバランスの調整
    • 殆どの隠しアイテムの位置が変更された。
    • 一部マップでAI行動を行っていた味方ユニットが操作可能となった。これにより経験値泥棒や被撃墜のリスクがなくなっている。
    • SFC版の難関マップの一つだった「栄光の落日」は、ヤンロンとテュッティの正式加入が最終盤から前倒しされ、敵には黒騎士が出なくなったため『ダンバイン』系で二回行動が可能な敵パイロットがミュージィ一人となり、難易度が下がった。
    • 一方で最終面のイベントが変更され、難易度が上がった。同様に、裏ボスであるネオ・グランゾン戦の方も条件が変更され、難易度が上昇している。
      • これは元々終盤の難関面に比べて最終面が易しすぎた為でもある。
      • なおネオ・グランゾン戦ではシュウのレベルが60に下げられ、代わりにネオ・グランゾンの数を3機に増やす事で高難易度を保っている。
  • シナリオの補強
    • 主人公とオリジナル敵幹部の因縁を描いたシナリオ「接触」と、本家ではカットされた人質救出シナリオ「救出」が新マップとして追加された。
      • 後者はSFC版ではヤンロンとテュッティが裏で行っていたのだが、2人が早く仲間になる事で辻褄が合わなくなったため。
    • 条件を満たせば、最終話でオリジナル敵幹部達を戦う事なく撤退させる事も可能となった(後述)。
    • ルートにもよるが、主人公とシーマ、ショウと黒騎士の因縁に決着を付けられるようになった。
    • ブロッケン伯爵など、一部のボスの最後の出番における撃破時の台詞が、戦死を意味するものに差し替えられた。それでも限界はあったようで…(問題点を参照)
  • 他、システムの改善
    • メモリ管理の問題が解消されたようで、強制廃棄・離脱やリストラ選択がなくなった。
      • もちろん、ダンクーガとコン・バトラーVの両方を最終面まで連れて行ける。
      • ガンタンク、ジムIII、エルガイム、カルバリーテンプル、NT-1アレックスの強制廃棄、『魔装機神』の一部キャラが最終面で離脱する事が無くなった。その結果、ロザミアを仲間にしやすくなった。
      • ボチューンの強制廃棄も1機だけになったので、オーラバトラーも最大5機出撃できるようになった。
    • 誕生日・血液型による習得精神の一部が変更されている。
      • 特殊誕生日は強力な「奇跡」の習得が遅くなったり、早いままのものは他の精神コマンドに癖の強いものが多かったりしており、「他の習得パターンの単純な上位互換となる組み合わせ」は大幅に減らされている。また通常誕生日でも、「魂」や「奇跡」が覚えられるパターンが追加された。なお、「寺田誕生日」の異名を持つ11月11日B型が採用されたのは本作から。
      • 主人公の誕生日を魚座のA型にすると「必中」を2個覚えてしまうミスが修正され、「奇跡」を覚えるようになり強化された。しかし…(問題点を参照)
  • 演出面の変更
    • SFC時代までの戦闘後に再びマップBGMに切り替わる仕様が廃止された。メディアがCD-ROMに変わったことで生じるロード時間短縮のための処置であるらしい。
      • 味方フェイズでは戦闘画面終了後も戦闘BGMが流れ続ける仕様に、敵フェイズでは戦闘画面に切り替わってもマップBGMが流れ続ける仕様になった。この敵フェイズの仕様は本作だけで廃止され、次作の『新』からは味方フェイズと同じ仕様が採用されるようになっている。
    • 『逆襲のシャア』と『グレートマジンガー』の戦闘BGMが追加された。
    • 戦闘BGMの選曲がユニット準拠ではなくパイロット準拠となった。
    • 特定の相手との戦闘時に流れていた「ヴァルシオン」と「ネオ・グランゾン(ARMAGEDDON)」が流れなくなった。共にサウンドテストでは聞くことができる。
      • 「ネオ・グランゾン」はシュウのBGMとして設定されているので、最終話に349ターン以内で到達しシュウを仲間にすると戦闘時に聞くことができる。
      • 『第3次』の曲である「VIOLENT BATTLE」も移植前と同様に収録されているが、サウンドテストでは聴くことができず没要素のままである。
    • 「Zのテーマ」など、イベントでのみ流れるBGMがサウンドテストでも聞けるようになった。
    • 地上マップの敵フェイズBGMが基地マップの敵フェイズBGMである「ジェノサイドマシーン」に変更された。元のBGMである「侵略」はサウンドテストで聞くことができる。
    • ゲーム中断時のメッセージが音声付きとなり内容が全て変更された。登場キャラも一部が変更され、モニカ・チカ・プレシアの代わりに、ヤンロン・テュッティ・ギリアムが担当している。
    • ミオ・サスガが仲間になる時の台詞が別のものに差し替えられた。

問題点(S)

シナリオ面

  • 追加シナリオはあるものの、基本的にテキストがSFC版と変わっていない。
    • 新規追加された第1話では主人公はゴーショーグンに助けられ、スーパー系ならガイゾックとの戦闘になるが、後のシナリオで彼らと再会しても無反応である。
    • 妖魔帝国やハマーンなどは、やはり死ぬ事なくフェードアウトする。
    • リューネが中断メッセージでネタにするあたり、「あまり変わっていない」という自覚はあったことが分かる。
  • バッドエンドルートで3機に増えたネオ・グランゾンを倒すと1機撃墜するごとにいちいちシュウが同じセリフを言ってくる。より説教臭さが増したうえに演出がかなりくどい。確かにこれがプレイヤーの選択がもたらした結果だと言えばそうなのだが…。

システム面

  • 仲間になるユニットは武器は無改造になっている。改造済みの敵ユニットを説得して仲間にした場合も、武器改造だけは初期化される。
    • 途中離脱キャラを一時引き止めた場合、再加入時も無改造のままになる。
  • 妖精への経験値加算バグは、甲児ではなく主人公が得た経験値に変更されている*15。ΖΖガンダムや百式といった強力なマップ兵器を使えるMSに乗れる分、益々バグレベルアップがさせやすくなっている。
  • 戦闘アニメが流れている間は何故かソフトリセットのコマンドを受け付けない。
  • ダイモスの必殺技が宇宙で使えない事と、リムルのエンディングでの扱いは変わらず。
  • 一部の地形と地形適応の判定が一致していない点も変わっていない。
  • 主人公の精神コマンドの設定ミスが別の所で発生しており、蟹座のAB型にすると「熱血」を2つ覚えてしまう。

その他

  • 戦闘中のボイスが付いているのは、味方の主役級を中心とした一部のキャラクターに限られている。また、『ザンボット3』『グレンダイザー』の主人公、勝平とデュークには諸事情でボイスが付いていない。
    • TV版の勝平を演じた大山のぶ代氏による音声収録は現在のところ行われておらず、音声が無い作品での参戦がしばらく続いた後に、代役として坂本千夏氏が起用されて現在に至っている。
      • 大山氏が音声収録を行わない理由について公式に明かされてないため真意は不明だが、氏の代表役である『ドラえもん』のイメージを守りたかったからではないかとされている。実際、大山氏はドラえもんのような声で出演というオファーはすべて断っていたことを明かしている。
    • 後者は主人公デューク・フリードの声を担当していた富山敬氏が当時入院中だったためだろう。富山氏は本作発売前の1995年9月25日に亡くなってしまった為、氏がスパロボでデュークを演じる事はなかった。その後の作品では『コンプリートボックス』では堀内賢雄氏、『IMPACT』以降は山寺宏一氏が代役を務めている。
    • 当時は代役を使わない方針だった為、仕方ないとも言える。
  • コン・バトラーVの合体デモと、真ゲッターロボの変形デモの背景エフェクトの見栄えが悪くなった。
  • キャラ事典、ロボ図鑑の間違いはそのまま。
    • シナリオ『トータル・バランス』では、敵増援の中に黒騎士の乗るガラバが居るのは変わらないが、『S』ではここでハイパー化してハイパーガラバになるイベントが追加された関係で普通のガラバよりHPが低くなっており*16『栄光の落日』で登場させないと図鑑に登録されない。
  • カラオケのレパートリーは本家と同じ。「おれはグレートマジンガー」も収録されていない。

総評(S)

SFC版からバランス調整がされた事でより遊びやすくなっただけでなく、主要キャラのみとはいえ初めてキャラの声が付いたのは特筆すべき点である。
しかし、ストーリー・システム共に大味な点は変わっておらず、やはり良移植と呼ぶには今一つな出来であった。


余談(S)

  • OPデモが新規のフルCGムービーに差し替えられたが、なぜか本ソフトに登場していないはずのザク(ゲーム中に出演しているのは別機種のザク改)とトッド用ドラムロが出演している。
  • 本作の説明書によると、ストーリーの時間軸は「2次G→3次→EX→4次S」の順に流れているようだ。
  • 理由は不明だが、通常版とBest版ではパッケージと裏面に使用されているイラストが入れ替わっている。SFC版のパッケージイラストは通常版が裏面、Best版がパッケージに使用されている。
    • 解説書表紙のイラストはどちらも同じ(通常版のパッケージイラスト)。
  • PS2で本作をプレイすると、マップ画面でのユニットの動きがやたらとスローになる。なおPS3では問題なくプレイが可能。
  • ちょっとした謎
    • 前述の通り、『S』では最終面で敵の3幹部を撤退させる事ができる。
      • シナリオ『特異点、崩壊』にて、主人公とロフを戦闘させ、会話イベントを起こす。
      • シナリオ『アクシズに散る』にて、3幹部を倒さずに6ターン目まで待つ。
    • 以上2つの条件を満たせば、最終面で主人公が彼らを説得して撤退させるイベントが起こる。
    • …のだが、なぜか攻略本にはこの一連のイベントが載っていない。攻略本は3つの出版社から出ているのだが、まったく触れられていなかったり、「リューネを説得しないで倒せば撤退する」と間違いが書かれていたりする。
      • 同シリーズで毎回攻略本を出しているケイブンシャが、本作に限って出していないのも不思議である(『一生楽しむ本』というものは出しているが、これにも全く載っていない)。
    • 開発中には存在せず(リューネの場合は存在していたが削除された)ギリギリでプログラムされたイベントなのだろうか?

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最終更新:2024年03月23日 15:59

*1 本作でのロボット大図鑑の登場作品は「オリジナル」となっている。これは当時のゲッターロボサーガ最新作である「ゲッターロボ號」でまともに登場した真ゲッターは1のみで、2の下半身と3の全身は本作描き下ろし、また1も細部デザインは「號」に登場したものとはかなり異なっているため実質描き下ろしであり、設定も本作のみの創作である為と思われる。

*2 「敵組織ガイゾックに改造された人間が、本人も与り知らぬタイミングで大爆発を起こし死亡する」というもの。主人公である勝平の顔見知りの林や浜本、ガールフレンドのアキまでそれの犠牲となる。エピソードなどの詳細は各自検索されたし。

*3 四方を囲っていてもすり抜けられてさらわれる。

*4 恐らくは『第2次』と同様に「アムロがガンダムからνガンダムに乗り換えた」という扱いだと思われる。

*5 隠しパイロットのクェスが加入する際のイベントなので任意発生ではある。またどっちを残すかの選択もできる。が、性能が段違いでしかも図鑑登録の事を考えれば事実上選択の余地は無いだろう。

*6 なお合体イベント発生時にイーグルファイターが敵2体以上に隣接されている場合、他の3機が隣接できずダンクーガに合体できないし当然合体デモも見られないという事態に陥る。

*7 リ・ガズィ(MA形態)もΖガンダムも各ファンネル搭載型も、何らかで補給しない限り6回の使用が限度。

*8 反応に留まらず、第3次の戦艦は一律改造不可

*9 厳密に言えば、オーラシップそのものの宇宙適応はBと悪くはない。が、パイロットである女王2人がどちらも宇宙Dなので総合適応がCになってしまう。

*10 同名マップが3つあり、前出のハマーンが再登場するシナリオの次の物はこれに含まれない。

*11 敵の攻撃に対し防御を選択した場合バリアで防げるダメージ量が2倍になりしかも(何故か)ENを消費しなくなるので、雑魚MSやHMからの集中砲火を凌ぐ程度なら何とかなる

*12 ミュージィが陸Bで機体は陸-

*13 ユニットは空陸Aだがバイストンウェル兵は空B陸A

*14 パッケージ記載の英字タイトルによると、CMでも使われていた「SCRAMBLE」(緊急発進)の頭文字であることが分かる。

*15 シナリオの最初に1マップ追加されたことでメンバーの1番目に登録されるパイロットが甲児から主人公に変更されたため。

*16 『ハイパージェリル』で出てくるジェリルの乗ったレプラカーンと『ビヨン・ザ・トッド』で出てくるトッドの乗ったライネックも同じくハイパー化するため普通の奴よりHPが低い。この2体に関してはSFCでも同様。