World of Guns: Gun Disassembly

【わーるどおぶがんず:がんでぃすあっせんぶりー】

ジャンル SLG
対応機種 Windows、Linux(Steam)
メディア ダウンロード専売ソフト
発売・開発元 Noble Empire
発売日 2014年3月21日
定価 基本無料
判定 良作
ポイント ガンマニアのガンマニアによるガンマニアのためのシミュレーターゲーム
バラせる、動く、リアルな銃の図鑑
悪いなのび太、このゲームはシューター向けじゃないんだ
対戦車砲やF4Uコルセアにアロサウルスの骨格までもあるよ!

概要

本作はタイトルの通り、銃を分解して、組み立て、実際に撃つ事の出来るゲーム。
古今東西の銃器及びその他をネジ一本の細部に至るまで再現している。喩えるなら触れる銃器図鑑と言ったようなゲーム。
モバイル版、VR版も存在するが、ここでは通常のPC(Steam)版について記述する。


システム

  • 銃器を分解・組立・動作確認する事によって様々な条件を満たすことで経験値が貰え、それらを利用して新たな銃器及び射撃場を開放(アンロック)していく。
  • 後にアンロックされる物ほど各機能の開放に必要な経験値は増大してゆくが、クリア後の獲得量もある程度増えていく。
    • 同じモデルのゲームを繰り返すことでも経験値は入手できるが、初回クリア時の1/10の入手量となるため効率は非常に悪い。他にアンロックできるモデルがある場合はそちらを攻略したほうが良いだろう。
    • 優秀な経験値稼ぎ手段としては銃器の画像から6択で名称を当てていくクイズというものがあり、30分に1度挑戦できる。 覚えてしまえば安いものなら1モデルアンロックできる量の経験値を2、3回の挑戦で稼ぐことも可能。
  • またクレジットというゲーム内通貨も存在するが、入手手段が著しく限られているため、半分課金通貨のような扱いとなっている。
    • 各銃器のゲームで24時間以内にプレイした全プレイヤー中の最高スコアを記録すると1回限り1クレジット(ごく少数のモデルのみ2クレジット)が貰える。これが無料で入手できるほぼ唯一の手段となっている。(初回特典は除く)
    • もう1つ無料の入手方法はあるが、非常に難易度の高いパズルを30日連続で(!)クリアしてようやく3クレジットというものであり(1年間欠かさずクリアしてようやく36クレジット)、多くのプレイヤーにとっては現実的でないものになっている。
  • 最初にチュートリアルとしてまず1つの銃器を数種類から選択することとなり、それ以降は自由な進行で遊ぶことができる。(チュートリアルの一部はスルーすることも可能)
    • メインマップとして初めに選択したモデルを中心としたツリーが存在しており、最初はツリーの構造も全く視認できないが、モデルをアンロックしていくことで隣接する銃器を確認でき、アンロックを繰り返しツリーの端へと進めていくこととなる。
      • 経験値のみでアンロックできるモデルと、経験値+クレジットでアンロックするモデルの2種類が存在する。前者はどんどん好みでアンロックしていって問題ないが、後者をアンロックする際は多少考慮する必要が生じる。(後述)
    • 一方で好きな銃器をすぐにプレイしたいという場合は、全モデルのリストが最初から閲覧できるようになっているので、そこからアンロックすることも可能。ただし、ツリーで見えないモデルは経験値が通常の1.5倍必要となるので基本的にはツリーに沿って進めることが推奨される。
      • それらの過程を飛ばしたいのであれば、課金コンテンツやフルアクセス版を購入することで開放も可能。フルアクセス版は購入後のアップデートで追加される分も開放されるので安心してほしい。(ただし開放されるのは銃器のみであり、車両や骨格などのボーナスモデルは含まれない)
  • なお注意点として、 無料では全ての銃器をアンロックすることは(実質的に)不可能である 。(2020年現在)
    • 商品である以上当然のことではあるのだが、仕様上全モデルをプレイしたければ課金が必須となる。これは上述のクレジットの仕様が影響しており、手間さえかければ無限に取得できる経験値と異なり、クレジット取得は1モデル1回限りであるため。
      • 取得自体も上述の用に各モデルで24時間以内のスコア1位を達成する必要があるため難易度は高いが、仮に全てのモデルで取得したとしても1クレジット(極少数は2クレジット)であるため、2020年6月現在存在するモデルが223種類、射撃場が10種類である以上、233~250クレジット程度が上限となる。 一方で、全銃器のアンロックに必要なクレジット総量は500弱程度であり、ボーナスモデルまで含めると800クレジットを超える。
      • もちろんそれでも、 経験値のみでアンロックできるモデルだけでも150前後 あり、十分すぎるほどのボリュームを保っていることは付け加えておく。
    • また上述のツリーの仕様上、クレジットが足りない場合、進みたいモデルの手前にクレジットが必要なモデルが立ちはだかっていた時には進むことができなくなる。経験値を追加で払えばツリーとは関係なくアンロックすることもできるので致命的な問題とはならないが、多少の考慮はしておくべきだろう。

ゲームモード

フィールドストリップ
  • 実際の銃器のメンテナンスでする程度の分解。どの銃もはじめこのモードから始まる。初回は分解方法をアシストしてくれるのでしっかり覚えよう。
    • 工具などを使わないレベルでの物なのでそれほど難しくはない。
    • 初めて触れる銃器はまずこのモードで慣れてみるとよい。
分解
  • ここからが本番。銃器のパーツをバレル、スライド、ハンマー、マグキャッチ、グリップパネル等…ネジの一本に至るまで余さず分解する。
    • 初期のピストル程度ならともかく、部品点数が比較的少なく整備が容易とも言われるAK-47すら完全分解すると70個もある。
      • 後の組み立てにも言えるが、スプリングやワッシャーの様な細かいパーツの着脱などは組立手順がある程度自動化されているので安心してほしい。と言っても…数が多いものは尋常では無いくらい点数が多いので自動化されてるとは言え、いざ取り掛かろうにも手順を覚えるのが大変なのだが。
      • 余談であるが、パーツ数と難易度は必ずしも一致しない。200パーツでノーマルなモデルもあれば、100パーツでハードなものも存在する。これはパーツ数は厳密にネジ1本・スプリング1つまで数えた数字であるのに対し、上記の自動化具合が銃によって異なるため、実際の作業工数がパーツ数と必ずしも一致しないことが理由である。ゲーム内で難易度が「イージー」~「狂気」まで分類されているので、見た目のパーツ数だけではなくそちらを参考にすると良いだろう。
      • なお、ゲーム中最難関のモデルのパーツ数は 1537個 である。
    • 分解をマスターしないと「ゲーム」等のモードでは苦労するので慣れるまで弄り回そう。
組み立て
  • 分解の逆。初めから分解されているので組み立てていく。
    • 分解同様こちらも後のモードをプレイするうえで慣れておくとよい。
動作確認
  • 銃の発射やリロードなど一通り操作する。
    • 透視モードもある。本物同然の発射や排莢等の動作を見ることが出来る。
    • ボタン操作も可能だが、パーツに触れての操作も可能。むしろこれでないと出来無い事すらある。
      • スライドを引いて強制排莢させたり、セレクター回してオート・セミオートを切り替えたり、マガジンキャッチを押してマガジンを抜いたり…本物同様の銃を心行くまで操作できる。
    • スローモーションなどを使って、内部パーツがどのようなプロセスで動き銃弾が発射されるかまでの過程を詳しく確認する事ができる。
ゲーム/スーパーゲーム
  • 分解と組み立てを一通り行っていくのだが、時間が計測される。
    • 速ければ速い程、貰える経験値が増える。
      • 関連実績も多い。完了時間に比例するスコアでランキング入りすると多くの経験値もしくはクレジットも貰える。
    • スーパーゲームではノーヒントとなり、部品の組立分解プロセスを一回でも間違えるとゲームオーバーとなる。
      • また、アクセラレートという分解・組み立て動作が遅い部品の移動を加速させることができるシステムが存在する。反射神経が問われるゲーム的なものであり、失敗しても問題はないが、一定以上成功させると追加の経験値が入手できる。
ハードコア
  • タイムアタックモード スーパーゲームのようにプロセスを間違えてもゲームオーバーにはならない
  • 同時に分解可能なパーツを同時進行で分解することが可能となりより素早く分解できる
射撃場
  • 上記のゲームをある程度こなして経験値を貯めると開放される
    • 射撃場でFPS視点での試射を行える。
ペイント
  • ゲームではないが、各銃器をいくつかの部分にわけて自由にペイントすることができる。迷彩パターンなどもデフォルトでそこそこ用意されているため、自分好みの見た目の銃を作ってみるのも面白いだろう。

評価点

実銃の忠実な再現度
  • 実在する銃の部品を細かくネジ一本に至るまで、その構造や動作も完璧に余すところなく正確に再現している点にある。製作者は綿密な調査の上でこれらを3Dグラフィック化している。ゲームという事を抜きにしても資料性も高い。
    • X線モードがあるので発射の動作一つとっても、部品の一つ一つがどの様に動くかまで細かく見られる。
      • M1911のグリップセーフティーの構造*1等、余りお目にかかれない銃の内部もシースルーで確認できる。
    • 寒冷地故に信頼性などを重視し部品点数を抑えた無駄のないロシア製銃器、精密技術の粋を集めたようなスイス製の銃器など実際触れてみることで分かる事も魅力である。
豊富な銃器+αのラインナップ
  • 触れることが出来る銃器はデリンジャーからM134Dミニガンに至るまで古今東西の物が集められている。アップデートで随時追加(平均月に1つ)も行われ続けており、触れることが出来る銃は非常に多い。
    • 2020年現在では、銃器のみでも200種類以上、ボーナスモデルまで含めると220種類以上ものモデルが存在する。
    • M1911やAK47等メジャー所のみならずウェルロッド、チアッパ・ライノ、クリスベクター等のマイナーどころや、日本ではほぼ知名度のない民間用銃器、スポーツ用の銃器も多数収録。
      • 19世紀初頭のマスケット銃から、2010年代の最新鋭銃器まで200年以上の銃器の進化を辿ることもできる。
    • 2016年12月30日には九九式小銃も追加されている。銃剣は勿論、対空照準に至るまで完全再現。旧日本軍マニアはぜひ。
    • 何故かRPG-7やアハトアハトで有名な88mm砲までが出てくる。
    • これらを参考に3Dプリンターで実際作ろうなどと考えてはいけない。
      • 一部のモデルだけであるが、公式で3Dレプリカを販売している。もちろんプラスチックのモデルガンであるが。
  • ボーナスモードもあり、バイクや車、それに軍用車両が収録、果てには人間や恐竜の骨格まで…骨格?(ただし、ボーナスモデルは大量のクレジットが必要となる)
    • なんと2019年にはT-72戦車が追加された。
  • 時間は掛かるが経験値やクレジットを貯めればほとんどの銃に無料で触れることが出来る。無論課金してすぐにでも触れることも可能だが。

問題点

ゲームの単調さ
  • 基本的に組み立て・分解がメインコンテンツなので覚えてしまうと単調になりがち。
    • 無料メインだと、経験値稼ぎの為に慣れた銃のアッセンブルばかりしていると飽きやすいのは否めない。
日本語訳の質
  • 機械訳でしかも翻訳の範囲が不十分である為、プレイ時は英語表示にして辞書などを見ることを推奨する。プレイ自体にそこまで英語力は必要ないので気にしなければそれはそれでよいと思うが。
    • 現在では銃器説明(英語版wikipediaの引用であるが)と各パーツの名称を除き、ほとんどが自然な日本語に訳されているため、日本語プレイでも支障はない。
UIの見づらさ
  • UIの作り方が古いゲームに近しいのでやや見づらく感じる。
    • 使いづらさもアップデートで徐々に改善されつつあるが、やや使いづらさを感じる点も多い。
    • はじめの頃はチュートリアルも皆無に等しかったが、整備されているので初心者にも優しくなっている。
  • 分解・組立時も各パーツを選択する際に小さいパーツだとターゲット指定がカメラワークなども相まってしづらくフラストレーションが貯まる。
射撃場モードの出来
  • 単にターゲットを狙うだけのモードで、そこまで作りこまれていない。
    • そもそもFPS要素はオマケに等しいので、単に撃ちたいのであれば別ゲームですればよい話ではある。

総評

日本に住んでいる限り先ずお目にかかることがない銃の内部構造や動作。これらは本来なら高い専門書の輸入、海外のドキュメンタリー番組などでしか知る事ができないだろう。
そんな銃規制の厳しい我が国の事情に枕を涙で濡らしたガンマニアへの福音が本作である。
実銃を綿密に調査してモデル化し、ピンやネジ一本に至るまで再現されたパーツの数々を、動作に至るまで舐めるように堪能できるなど資料性の高さは他に並ぶゲームはおろか下手な国内のムック本なんかよりも高い。
しかし、組み立て・分解がメインのためゲームとしては単調さが否めない点があるので、飽きるのも早いかもしれないが基本は無料なので気軽に遊べるのは幸いなところだろう。
また、ひたすら銃そのものを愛するガンマニアの為の作品である為、銃器に全く興味がない人や撃つことだけが好きな人にはミスマッチを感じるだろう。


このゲームを極めれば、その暁には貴方も立派なバーチャルガンスミスになれる。


参考動画

+ 現バージョンの公式トレーラー。

各要素が一通り紹介されている。部品1つ1つに至るまで詳細に作られ、内部構造や発射時の各パーツの動きまで見えているのがわかる。

+ 旧トレーラー、AK-47の分解・作動の流れ

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最終更新:2021年08月21日 09:07

*1 通常はレバー式やボタンなどのセーフティを付けることが多い。