太鼓の達人 ぽ~たぶる

【たいこのたつじん ぽーたぶる】

ジャンル 和太鼓リズムアクション
対応機種 プレイステーション・ポータブル
発売・開発元 ナムコ
発売日 2005年8月4日
定価 4,800円(税別)
判定 なし
ポイント 初の携帯機版、PSPならではの独自機能も
デフォルトでは微妙なボリュームも無料DLで大幅改善
太鼓の達人シリーズリンク


概要

人気の音ゲー『太鼓の達人』初の携帯機版作品。PSPの仕様を生かし、据置版にはない独自の機能を持った作品である。

特徴(及び評価点)

  • 待望の通信対戦機能「通信モード」
    • 携帯機ならではの通信対戦が遂に太鼓の達人でもできる。主催するプレイヤーが部屋を作り、他プレイヤーが部屋に入って対戦を始めるというオーソドックスな形式。最大4人までの通信プレイが可能。
    • 演奏ゲームでは得点を競う「対戦でどんかつ」と、協力して曲を演奏する「みんなでどんかつ」の2つがある。
      • ゲームシェアリングに対応しており、『ぽ~たぶる』を持っていないプレイヤーも楽しむことが出来る。
    • アドホックモード限定ではあるが、本作のミニゲームも通信対戦できる。
      • 「和田家ナイトフィーバー」と「ドンドン紙ずもう」の2つが対戦可能。
  • 携帯機仕様の演奏ゲームとミニゲーム
    • 全体としては前年にPS2で発売された『太鼓の達人 ゴー!ゴー!五代目』のシステムを概ね移植している。
    • PSPの横長の画面に合わせて、またPSPの操作性を生かした独自仕様になっている。
    • 曲選択画面では左右キーで曲選択、上下キーで難易度選択する。難易度選択は任意のタイミングで変更可能。現在で言えば、iOS版の「太鼓の達人プラス」の初期バージョンの仕様に近い。
      • 曲の並び替えが「難易度順」や「ジャンル別」、「たたけた率順」といった様々なパターンで可能。
    • 本作限定で「連続演奏モード」が選択可能。難易度を選び、演奏時間を設定して開始する。
      • ノルマクリアの過剰分は次の曲の魂ゲージに引き継がれる。
    • 演奏画面は上下に提灯や段などの飾りが無く、曲名も右下に表示されるなど家庭用版とは結構異なっているが、やり辛さはない。
    • 家庭用版のお芋音符に当たる「すずどん音符」が登場。指定した数だけアナログパッドをグリグリ回す。素早く回せば高いボーナス点が得られる。
      • 一部の曲ではその曲にちなんだポーズやキャラクターが扉から登場する。「TRUTH」ではキャラが旗を持って、「塊オンザロック~メインテーマ~」では『塊魂』のキャラクターが登場するといった具合。
      • 後に発売された『六代目』ではお芋音符が速く食べきることで高得点を得られる仕様になっているので、その先駆けであると言える。
    • ミニゲームの1つ「メカドンファクトリー」では画面を縦に持って、アナログパッドで操作する。これも携帯機だからこそできること。
  • 二人で一つのPSPを操作する「ふたりでどんかつ」が登場。
    • 左側と右側のボタンをそれぞれ使い協力して演奏するという物で現在では本作と2のみで遊べる。
    • しかし本来の遊び方より双打の練習に適している。
  • 新曲と人気曲の無料DLC
    • 近年では何かと批判されているバンナムお得意のDLCだが、本作で配信されたDL曲は全て無料。
      • 版権曲は残念ながら配信されていないが、その代わりに新規の童謡とクラシック曲、人気の高い過去作のナムコオリジナル曲合わせて22曲をインターネットからダウンロードしてPSPで遊べる。
    • DLサービスはなんと2018年1月までの12年半に渡り継続されていたのも特筆に値するだろう。
      なお、本作のDL配信曲は全て続編の太鼓の達人 ぽ~たぶる2に収録されているため、そちらを併せて購入すればプレイ可能である(配点システム等がやや異なるが)。

問題点

  • デフォルトだと収録曲数とラインナップが微妙
    • 携帯機版第1作目の宿命なのかもしれないが、全38曲は当時の基準で考えても多いのか少ないのか微妙なところ。*1
      • DL曲を全部入れれば60曲になるので、ある程度収録曲数の問題は改善される。
    • それを引いても問題となるのが本作でしか演奏できない曲が少ないという点。過去作、あるいは同年発売の『六代目』に収録されていない曲数は10曲だけ。
      • 『四代目』、『五代目』からの再録が非常に目立つ。
      • うち5曲はクラシックから。本作と『ぽ~たぶる2』ではやたらクラシックの新曲が充実しており、以降の作品でクラシック曲の新規追加が少なくなった原因になったと言われるほど。
      • さらにDLで4曲クラシックの新曲を追加できる。一部は本格的(?)な歌唱も付いている。何故そこを本気にした。
    • 本作が初出であるナムコオリジナルは1曲もない。強いて言うなら、ラスボス曲の「よくでる2000」が家庭用版初収録である。配信されたDL曲も全て過去作からの収録なので残念。
      • 過去作から一部譜面が変更された曲もあるが、本作でしか遊べないものは当然多くないのでそれ目当てで購入というのもいささか酔狂である。
    • とは言え、人気のある曲が多くとっつきやすいという点は評価できる。
  • DL曲について
    • DL曲は通信モードで遊ぶことが出来ない。
      • ゲームシェアリング機能との兼ね合いもあるので、この点は仕方ないだろう。『ぽ~たぶる2』でも同様に、自分のPSP内でしか遊べない。
    • DL曲の容量が結構大きいので、全部入れようとなると大分メモリースティックを喰うことに。本作のためにメモリースティックを追加購入した方がいいかもしれない。
    • PSPのバリューパックに付属している32MBのメモリースティックでは全曲入れようとすると全く足りない。
  • その他仕様について
    • 五代目』にあった加点表示が無い。本作では「おに」は点数が『五代目』同様一律なのでそこまで気にはならないが、あるに越したことはない。
      • ただ、本作の発売日は『アニメスペシャル』と同日である。あちらは初項・公差式を取っているのにこちらは一律なのはどういうことか。
      • 上述の通り本作は概ね『五代目』と同一仕様であり、『太鼓の達人7』(AC)とスコアシステム以外の面でほぼ同一仕様である『アニメスペシャル』と比べると1作品分システムが古いのは否めない。
        この点はハードの違いや開発過程の事情もあっただろうし仕方のない点ではある。当時はスコアシステムについても賛否あった点も考慮すべきである(詳細は『アニメスペシャル』の記事を参照)。
      • ちなみに一部の曲の音符間隔の不統一さが顕著な点も『五代目』から相変わらずである。
    • 「連続演奏ゲーム」は演奏時間だけであり、曲数は指定できない。時間を気にせずやりたいプレイヤーにとってはこちらの設定方法も欲しかったところ。
      • PSPなので仕方のない点ではあるが、激しく連打しているとボタンが壊れてしまうのではないかと不安にもなる。どうしても携帯機で太鼓を叩いている感が欲しい、という人はDS版を買うか、『太鼓の達人プラス』に対応しているbluetooth太鼓コントローラを購入することを推奨する。
      • また仕様ではあるのだが、アナログパッドを回し続けていると、触れていないにもかかわらず通常のボタンを押しただけでも誤反応で鈴がジャラジャラ鳴りやすくなる*2。悪化すると演奏中に関係のないところでジャラジャラ鳴り続けるのでうっとうしい。
    • デフォルトの太鼓の音色が他作品と異なる。AC版や他の家庭用作品をプレイ済みだとかなり違和感を感じる。
      • 面の音色がかなり異なる上に非常に響く。AC『太鼓の達人4』で同様に1度変更されたときのものに近い(そのものではないが)。ちなみにAC4当時は「ドラム缶を叩いているような音に聞こえる」などと言われた。
      • 音色設定に従来の音色がないため対応手段がない……と思いきや、音色の出力設定をデフォルトの「スピーカー」から「ヘッドホン」に変更することで従来の音色になる
        「太鼓」以外の音色もスピーカーとヘッドホンで鳴り方が異なり、実質1つの設定に対して2つの音色が設定されていることになる。
    • 1機のPSPで2人が遊べる「ふたりでどんかつ」は実際に2人でやるとやり辛い。横画面を見ながら方向キー、あるいは右の4ボタンを2人が押しているところを想像すればどれぐらいのものかは容易に理解できるだろう。
      • というより、PSPを使って2人で遊ぶなら普通にPSPを2機用意して通信モードでプレイした方がよい。

総評

いつでもどこでも『太鼓の達人』ができるようになった本作。ゲームそのものの面白さを引き継ぎつつ、「通信対戦」でさらに遊び方を拡大したという点は評価できる。

微妙なボリュームやPSPの仕様に由来する難点など第1作目につきものの粗は見られるが、PSPで太鼓の達人を始めてみたいという人には入門として購入しても損はしない作品である。


余談

  • 収録曲の1つ「塊オンザロック~メインテーマ~」が「魂オンザロック」とパッケージで誤植されている。
    • 確かに「 」と「 」は似ている。しかしそこを間違ってはダメだろう。
  • 本作は上述の通り過去作からの移植曲の割合が高いのだが、その関係で本作で初めてゴーゴータイム*3が実装された楽曲が多い。
    • しかし、本作で初めてゴーゴータイムが実装されたクラシック・ナムコオリジナルの曲はなぜか後発作品でゴーゴータイムの位置が変更されることが多い
      それも全く被りもしていない部分に変更されていることがほとんどで、結果として本作固有の仕様となっている譜面が多い。
    • 「スクロール・ミカ」「ドラゴンスピリットメドレー」に関しては当時既に稼働していた『太鼓の達人7』とも異なっており、開発の過程で何らかの齟齬が発生していた可能性がある。
    • 「Ridge Racer」は『太鼓の達人8』で現在の仕様に変わったものの、遙か未来の『太鼓の達人 Vバージョン』のみ本作と同様の仕様になっているなど更に謎の経過を辿っている。
  • 「ぽ~たぶる」「ぽ~たぶる2」共に、 2018年1月31日をもって楽曲のダウンロードサービスは終了した。
    • ダウンロードサービスの利用開始には認証が必要で、さらにダウンロードリンクのウェブページも閉鎖してしまったため、再ダウンロードも不可能となった。
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  • タグ:
  • リズムゲーム
  • ナムコ
  • 太鼓の達人

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最終更新:2020年04月14日 15:49

*1 当時のナンバリングタイトル最新作である『五代目』が全45曲、本作と同時発売の『アニメスペシャル』が全40曲。携帯機であることを考慮してもやはり微妙ラインである。

*2 というのも、演奏中いつでもアナログパッドを動かすことで鈴が鳴る仕様だからである。

*3 『五代目』で初登場した、曲のサビなどの盛り上がりにあわせてスコアに1.2倍のボーナスが掛かる地帯。