さよなら 海腹川背

【さよなら うみはらかわせ】

ジャンル ラバーリングアクション
対応機種 ニンテンドー3DS
発売元 アガツマ・エンタテインメント
開発元 スタジオ最前線
発売日 2013年6月20日
定価 パッケージ版:4,980円
ダウンロード版:4,500円(全て税込)
判定 良作
海腹川背シリーズリンク


概要

マイナーながら独特のゴムロープの挙動を利用したラバーリングアクションで熱烈なファンを生み出した『海腹川背シリーズ』の一作。
『海腹川背・旬』から16年、『旬』の移植版である『海腹川背・旬 セカンドエディション完全版』から4年ぶりのシリーズタイトルとなる。
開発は初代のスタッフたちが結成したスタジオ最前線が担当している。

海外3DS版は『Yumi's Odd Odyssey』のタイトルで発売された*1

特徴

  • キャラクターを含め、グラフィックは完全3Dとなった。
    • 3DSならではの3D立体視にも対応している。
  • 基本的なアクションは以前のシリーズと変わっておらず、ジャンプとルアーを駆使して各フィールドを攻略していく。
    • 川背さんのスピードが若干低下しているため、速すぎてついていけないという事が起こりにくくなった。
      • ゴムひもの挙動は依然ほど極端でなくなり、壁のぼりなどもやりやすくなった。一方、ロケットダッシュなど弱体化したテクニックもある。
    • また、新キャラクターが追加され、キャラ毎の特殊能力を使えるようになった。
+ キャラクター一覧
  • 海腹川背
    • おなじみの主人公。通称「川背さん」。
    • 今作では20歳になり、流しの板前という裏設定が初めて公に明かされた。服装は黒いノースリーブのパーカー。
    • 能力は「モーションストップ」で、一時的に時間を止め、ルアーを投げる方向を決めることができる。
  • 川背ちゃん
    • 子供のころの川背さん。9歳。
    • リュックでなくランドセルを背負っている。服装は紫のシャツ。
    • 能力は「リスタート」で、チェックポイントを通過するとミスしても1度だけチェックポイントからやり直せる。
      • なお、リスタートしても取得したリュックは失われないので、難しい場所にあるリュックを取る際に有効。
  • 江美子ちゃん
    • 新キャラクター。川背ちゃんの友達。9歳。
    • ノルウェーから漁業を学びに来た父親と山陰の港町出身の母親の間に生まれたハーフ。
    • 能力は川背ちゃんと同じく「リスタート」。
  • 横山埜鼓
    • 新キャラクター。18歳の制服姿の女の子。通称ノッコ。
    • その正体は未来からやって来た時空警察で川背さんの子孫。
    • 能力は「スロー」で、モーションストップ中に動くことが出来、タイミングの難しい操作をやりやすい。
      • 元々はテストプレイ用のストップモーション動作を発展させたもの。
+ 隠し要素
  • 海腹川背(初代)
  • 海腹川背(旬)
    • 条件を満たすと使用可能になる川背さんのコスチュームチェンジ版。衣装が変わるだけで能力などに変更はない。
    • クリアした衣装によってクリアタイムのアイコンも変更される。
  • 新たな仕掛けとして「スイッチ」と「トランポリン」が追加された。
    • スイッチは上に乗っている間、特定の足場を移動させることが出来る。
    • トランポリンは跳ねて高くジャンプ出来る。ルアー同様、上下キーと組み合わせることで高いジャンプが出せる。
  • ゲームモードは「メインモード」と「シーケンシャルチャレンジ」を収録している。
    • メインモードは以前の「れんしゅう」などにあたるフィールドごとに挑戦できるモード。
      • 一覧画面から挑戦したいフィールドを選んでクリアしていく。
      • 残機の概念はなく、リュックはコレクションアイテムとなり、クリア数とミス数、クリアタイム、獲得リュックが記録される。
      • なお、リュックは取得した状態でクリアしないと獲得したことにならない。リュックの獲得状況はマップ画面にアイコンで表示される。
    • シーケンシャルチャレンジは一度エンディングを見るとプレイ可能になるモード。
      • 以前のメインモードと同じく、残機制で連続してステージを攻略していく。リュックを獲得してクリアすれば残機が増える。
  • 他にイラストやサウンドが視聴できるギャラリーが用意されている。
    • ギャラリーは獲得したリュック数によって順次解放されていく。
    • ゲームを攻略するための各種テクニックの解説も収録されている。

評価点

  • フィールドの解放が簡単になった
    • これまではシーケンシャルチャレンジでのみ先のフィールドを解放できる仕様だったが、今作では選択したフィールドをクリアすれば次のフィールドに進めるようになり難易度が下がったと言える。
      • 以前はいくら練習しようが、通しプレイの途中で残機が尽きればそれまでだったので、大分難易度が高かった。
      • もちろん従来通り、シーケンシャルチャレンジでも解放可能。
    • ステージ数も全50フィールドと過去作より若干少ないが、十分なボリューム。
  • シリーズ初となるお手本プレイが序盤のステージのみだが用意された。
    • チュートリアルも用意されるなど、全体的に過去シリーズより親切になっている。
    • 公式サイトでも基本的なテクニックを動画付きで解説するなど、シリーズ未経験のプレイヤーでも遊びやすいよう配慮されている。
  • おなじみのルート構築の多彩さ
    • ルアーを活用して様々なルートでゴールへ向かい、タイムを競う楽しさはそのまま。
      • ステージ設計も様々なルートで攻略できるよう構築されている。
    • リュックの隠し場所も様々なアクションを活用して見つけ出す必要があり、やりこみがいがある。

賛否両論点

  • ボスの倒し方が変更された
    • 過去シリーズの対処法ではクリアできなくなっているため、古参のプレイヤーほどひっかかりやすい。
    • 例えば、最初のボスであるオタマは以前は去っていくまで逃げ回ればよかったが、今作ではオタマを誘導して壁に当て、タライを落として攻撃する必要がある。
      • 一応、お手本プレイを見れば攻略法を教えてもらえるが、攻略法を教えてもらえるのはこのオタマのみ。
    • その分、常時受け身な姿勢でいなければならずタイム短縮の枷となっていた旧作に比べ、積極的にプレイしてタイムを大幅に縮めることが可能になっている。

問題点

  • トランポリンには問題多数
    • ルアーに比べて挙動が分かりづらく、狙った方向に跳ぶのは非常に難しい。
      • 大抵は斜めに配置されているため下の方に滑り落ちていき、滑り落ちた方向への移動量が多くなるが、下の方に乗った場合でも中央に向かって滑り落ちるため、見た目と逆方向に跳んでしまう。
      • 躊躇して同じトランポリン上に乗っているともはやどこへ跳ぶか判別するのは困難を極める。このため、一発で跳べないとミス確定に近い。
      • バグも発生しやすく、キャラがトランポリンに埋まって移動できなくなったり、すり抜けてしまう現象が発生する事も。
    • 今作でも多数のプレイヤーがRTAを行っているが、トランポリンは嫌われているため極力使用しないルートを構築する人がほとんど。
  • マップが確認できなくなった
    • 初代や『旬完全版』ではマップを見渡す機能があったが、今作では下画面はメニュー表示になったため、マップを確認することが出来なくなり、初見プレイやタイミングが必要な場所の難易度が上がった。
    • 場所によっては見えにくい場所の動く床(下は海)にタイミングよく着地する必要があったりする。
    • 分岐点に関するヒントもチャートのみで、フィールドのどこに分岐扉があるかは確認できないため、自力でフィールドを隅々まで探し回る必要がある。
  • リスタート以外の特殊能力は使いづらい
    • 特にノッコのスローは使える時間が短く、落ち着いて操作するのは少々無理がある。
  • テンポが悪い部分がある
    • メインモードではミスするか中断するとマップ画面に戻ってフィールドに入りなおす必要があり、フィールド番号の表示も長めなためテンポが悪くなってしまっている。
    • 前作までと違って30fpsで、一部箇所で処理落ちが発生することもありプレイのテンポを削ぐことになっている。
  • 立体視表示をONにすると描画フレームレートが極端に下がる箇所が多い。
    • 左右に高速移動などを行った際は特に目立つ。上記の処理落ちと重なると悲惨な状態に。
    • ゲームの動作速度自体は裏でちゃんと動いておりキー入力も受け付けてはいるのだが目視による確認が非常につらくなる。
    • このためタイム狙いのプレイヤーは立体視をあきらめて常時OFFにしていた人がほとんどであったと思われる。

総評

初心者への配慮、ステージ解放の容易さなど若干軟化した部分もありつつ、相変わらずのストイックな難易度とルート構築の多彩さで、より速いタイムを目指すやりこみゲー。
追加要素には賛否あるものもあるが、ゲームとしての面白さは全く失われていない良作である。


さよなら 海腹川背 ちらり

【さよなら うみはらかわせ ちらり】

ジャンル ラバーリングアクション
対応機種 プレイステーション・ヴィータ
Windows (Steam)
発売元 アガツマ・エンタテインメント
Degica*2
発売日 【PSV】2015年4月23日
【Win】2015年10月6日
定価 【PSV】
パッケージ版:4,800円
ダウンロード版:4,200円(税抜)
【Win】1,480円
判定 良作

概要(ちらり)

『さよなら 海腹川背』のPSVita移植版。後にWin版も発売された。
グラフィックの高解像度化やフレームレートの向上、ゲーム内容の調整が施されている。

追加変更点

  • グラフィックの高解像度化、フィールド演出が追加された。
  • フレームレートが60fpsに向上。
  • 既存の50フィールドをリファインし、新規フィールドを収録。全60フィールドに。
  • オンラインランキングに対応。他プレイヤーのリプレイのダウンロードに対応。
  • 一度クリアしたステージを即座にやり直せるクイックリトライ機能が追加。
  • トロフィー/Steam実績に対応。

Win版のみの要素

  • Steam Workshopに対応しており、他プレイヤーのリプレイはここからDLする。
  • アップデートでHTC Viveを使用したSteamVRに対応し、臨場感あふれる画面で視点を自由に変えて遊ぶことが可能になった。
    • VRゴーグルを付けるとステージが目の前に大きな模型として存在するかのように表示され、モニターとは違った雰囲気でプレイ出来る。操作自体は通常通りである。
    • あまりプレイには適していないが、裏技で一人称視点モードも用意されている。リプレイで使用するのが関の山だが…。

評価点(ちらり)

  • 改善された要素
    • 解像度アップに加え、60fpsになったことで快適さが増した。
      • また、フィールドにスズメが飛ぶようになったり、川背さんの動きが旧作を意識したものになっていたりとファンには嬉しい追加も施されている。
    • クイックリトライが追加されたため、やり直しが楽になった。
      • 1度クリアしたフィールドでしか使えないが、タイムアタックの際や別のドアを探す時には非常にありがたい機能である。
  • PSV版はおまけとして初代の移植版を収録している。
    • Win版は『旬』の移植版である『海腹川背・旬 Steam Edition』と同時に別売りで販売され、初代の移植版を含む3作セットの『海腹川背トリロジー』も販売されている。セットの方が安いという特典もある。

賛否両論点(ちらり)

  • ルアーの挙動変更
    • 3DS版に比べると反動が強くなっているため、無駄に難易度の上がった箇所が存在する。
    • 3DS版未プレイなら気にならないレベルではある。
  • 当然ながら立体視が不可能になった
    • ただ上記の問題点によりそこまで立体視プレイにこだわった人は少なかったと思われるのが幸いか。

問題点(ちらり)

  • 敵の配置が若干嫌らしくなっており、既存ステージでも難易度が上がった箇所がある。
    • 特にタニシの追加に苦言を呈するプレイヤーは多い。
    • 一部ステージは3DS版では超えられた段差が超えられないようになっている場合も。
  • トランポリンなどの問題点は改善されていない。
  • Windowsで配信されているシリーズ作全てに共通して解像度を変更することが出来ない。
    • オプションのサイズなどの項目をいじってもウィンドー内の画面が拡大されるだけで、モニターによっては画面が小さくなってしまう。
    • 一応、フルスクリーン化は可能だが、元々の解像度がPSV版そのままのためPCモニターではジャギーだらけで見栄えが悪い。

総評(ちらり)

基本的には3DS版からの変化は少ないが、より美麗になったグラフィックとフレームレートの向上で遊びやすくなった良移植。
今からプレイするならこちら一択だろう。


余談

  • アガツマ・エンタテインメントが解散した際にWin版の配信が停止されたが、後にSteamでの日本製ゲームのパブリッシング事業を行っているDegicaが引継ぎ、配信が再開された。
  • 海外PSVita版の『Sayonara Umiharakawase +』は当初ダウンロード版のみの販売だったが、後に『Sayonara Umiharakawase ++』というギャラリーモードにいくつかの追加要素が加えられた個数限定パッケージ版が発売された。
+ タグ編集
  • タグ:
  • ACT
  • 海腹川背
  • アガツマ・エンタテインメント
  • スタジオ最前線

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最終更新:2021年12月03日 23:05

*1 未発売となった海外版『海腹川背Portable』のタイトルを流用している。

*2 Win版の販売引継ぎ。