ひょっこりひょうたん島 なぞのかいぞくせん

【ひょっこりひょうたんじま なぞのかいぞくせん】

ジャンル アクション・アドベンチャー
対応機種 ファミリーコンピュータ
発売・開発元 ユタカ
発売日 1992年4月25日
定価 6,000円
判定 なし
記録 パスワード表示
ポイント 子供たちの得意不得意が解る
ハカセさん…
物語・演出は神
アクションパートの問題も大きい
NHK関連作品リンク


概要

NHKの連続人形劇のうちの一作、かつ国民的人気番組『ひょっこりひょうたん島』がファミコンに上陸。
当時は『NHKの国民的人形劇がファミコンでゲーム化され、ひょうたん島の世界で遊ぶことができる』という事で話題となり、幼少時代にオリジナル版を見ていた大人の視聴者や、本作が発売されていた当時、NHK-BS2で放送されていたリメイク版を見ていた子供達を大いに歓喜させた。

あらすじ

ひょうたん島に謎の海賊船が上陸。その中へ五人の子供達のうちの一人であるプリンが入ってしまい、行方不明となる。
残された四人の子供達は、大人たちが心配する中、プリンを救出する為に海賊船へと乗り込む。
ライオンも「子供達だけでは不安だ」という理由で同行する事に。
果たして子供達とライオンは、無事にプリンを見つけ出し、海賊船から脱出する事ができるのであろうか…?

システム

  • 導入
    • 電源を入れると主題歌の曲が出迎えてくれる。更にタイトルでは「自己紹介」という項目があり、各キャラクターの顔グラと文章が用意されている。ゲームを始める前にひょうたん島の世界を感じ取って欲しい。
  • 章仕立て
    • 本作はアドベンチャーパートとアクションパートで構成される各章をクリアして行く仕様である。海賊船の船内を自由に歩き回るのではなく完全に一本道という仕様である。
    • クリア時には簡素なパスワードが表示されるので後日に持ち越せる。
  • アドベンチャーパート
    • 豊富な一枚絵とともにキャラクターたちのやり取りに加え、選択肢が多数用意されており、ただテキストを読ませるだけではない要素も用意されている。
    • 文章の方も非常に豊富に用意されている。流石に漢字まで使われてないのは仕方のないところであるが、フォントは太字で強調されるなど工夫が盛り込まれている。
    • また、選択肢は矢印で選ぶのだが選択した際は矢印が点滅してどれを選んだのか分かり易くなっている。
  • アクションパート
    • 海賊船内には色々なステージが用意されている。
      • 開始前には子供達とライオンから各自の得意不得意に応じて攻略するキャラを選ぶ事が出来る。ただ、子供だけあって1ステージクリアしたら疲れるので有能キャラだけで多くのステージをクリアして行く事は出来ないようになっている。
  • 1発アウト
    • ライフは存在せず、敵から一撃でも攻撃を貰った場合は即ミスになり、ステージの最初からやり直しとなる。
  • 色々な飛び道具も手に入る。
    • 船内を進めて行くうちに、ロープ、拳銃、ブーメランが手に入っていく。ステージに入る前に一つを選択し持っていく事ができる。使用回数に制限はない。
    • ロープやブーメランは遠くのスイッチを押すのに使用する。敵を攻撃することも可能で、当たった相手はしばらく行動不能になる。
    • ロープは聖剣伝説のムチのように杭に引っ掛けて渡る事が出来る(しかも高速移動である)。ロープで渡る際は敵との当たり判定もなくむしろ敵に捕まった状態から抜け出せる効果まであるので逃走手段にも使える。
    • 拳銃は攻撃専用。撃つとビーム光線を発射し、敵に当てても倒す事は出来ないが埴輪の様なオブジェクトに変化させる効果を持つ、それを押して動かしてスイッチを押す事も可能、特に後半はこれを駆使しなくてはならないので難易度が上がる。

登場キャラクター

+ 登場キャラクター一覧
名前 概要
子供たち
ハカセ 子供達のリーダーを務める博識の少年。歩くのが遅く、飛び道具も苦手。このゲームにおける実質的な主人公。
テケ 食いしん坊の少年で、料理は食べるのも作るのも好き。全ての能力が高く設定されている。
ライオン 島のマスコット的存在。オス。ブーメランやロープなど飛び道具の扱いは苦手だが、スピードは一番速い。
ダンプ 子供達の中で一番の力持ち。ちからが高く設定されている。
チャッピ 金太郎の様な髪型が特徴の少女。ダンプと能力はほぼ同じ。
プリン ちょっぴりおしゃまな少女。彼女が海賊船に乗り込み行方不明となってしまった事から、本作のストーリーが始まった。
大人たち
ドン・ガバチョ 一応、原作では主人公。ひょうたん島の初代大統領で、本作では最初のデモ画面にて、岬に謎の海賊船が現れたことを島民たちに告げた。
マシンガン・ダンディ ひょうたん島で保安官を勤めている、元・シカゴのギャング。子供達に愛用の拳銃を一丁貸し出している。尚、終盤ではパラメータが非常に高い事が分かる。
トラヒゲ 隻眼の海賊。本作ではデモ画面にのみ登場。
ムマモメム お医者さん。
サンデー先生 子供達の担任。行方不明になったプリン、並びに彼女を探す為に海賊船に潜り込んだ子供達を心配する。
オリジナルキャラクター
海賊フラットシャープ 海賊船の船長。元々は世界中の音楽を集めていた海賊だったが、魔物『メゾホルン』との戦いに敗れ死亡。その後睡眠薬を使ってメゾホルンを眠らせることには成功したが、古時計が五回なってしまうとメゾホルンは復活してしまうという…。
メゾホルン フラットシャープを倒した魔物。フラットシャープの手により眠りについていたが…。



評価点

  • 原作同様の、登場キャラクターの面白いやりとり
    • 最初のデモでガバチョが「〇〇ですぞ~!」等、お馴染みの口調で話しながら皆とやりとりをするのはまだ序の口。
    • ゲーム終盤でハカセが「ぼくはうんどうがにがてだからみんなのあしをひっぱってばっかりで・・・。もうすこしはやくはしれることができたらこんなめにあわずにすんだんだ。」と、少し罪悪感を感じながら皆に話すシーンは必見である。
    • また、メゾホルンを封じるオルゴールを完成させた後、プリンがコンビーフの螺子で回そうとするシーンは脱力感が溢れてくる。
  • ゲーム性にも個性が反映
    • アクションパートでも彼らの得意不得意に応じて数字が振られており、ライオンは足が速かったり、飛び道具の射程が長いキャラなど個性が出ている。ただ、ハカセの方はどれもこれも低く設定されており難儀な思いをするだろう。
  • 演出面の評価点
    • 原作の雰囲気が、ファミコンながら上手く再現できている。
    • アドベンチャーパートのグラフィックがとても綺麗であり、登場キャラがアニメ調でしっかり再現されている。更に、波状に、横揺れ、フラッシュ、フェードなどの効果も併用されており、良い意味でファミコンらしからぬクオリティである。
      • 原作を見た事がある人ならより楽しめる上、そうでない人でも原作に興味を持つには十分な出来栄えとなっている。
    • タイトルに流れるOPもひょっこりひょうたん島のテーマソングを忠実に再現している。アクションパートのBGMもOP曲のアレンジとなっており、プレイしていて思わず口ずさんでしまうこと間違いなし。
    • エンディングは、夕日をバックに子供達とライオン、そしてダンディが並んでいるというもの。哀愁が溢れていて非常に良い演出である。気になったのであれば、是非ともその目で確かめていただきたい。
  • 分かりやすく覚えやすい合言葉
    • 章の区切りごとに合言葉(平仮名8文字)が表示され、電源を切った後でも続きから遊べるようになっている。
      • 表示される合言葉はゲームの内容に関係した特定の短文。非常に覚えやすい為「じゅもんがちがいます」といった悲劇も発生しにくい。
        例えば「 ぼうしはあかいよ 」「 きんのねじはなし 」などといった具合。これなら間違える心配も無いだろう。
      • これらの合言葉もパスワード以外にとある場面で役立つこととなる。

賛否両論点


問題点

  • アクションパートが難しい
    • ステージを連続でクリアさせられる
      • 次のポイントまでエリアが複数ある事が多いのだが、やられるたびに最初のエリアに戻されるのは厳しい。更に、上述の様に敵に触れると一発でミスになるので尚更厳しい。
      • このため上手くパターンを練ってそれを基に完璧に辿って行かないとクリアは難しい。また、後半のアクションパートのラッシュは慣れていても少々厳しいものがある。キャラゲーだからと侮っていると間違いなく痛い目を見るだろう。
  • 操作性も難があり、スクロールは、かなり前の方でないとスクロールしないので視界が悪い。本当に一部であるが出会い頭にやられる事があったり、敵に追われている際に振り向きざまに飛び道具を使ったつもりがやられるケースも多く、ストレスがたまり易い。
    • 銃で埴輪にした敵キャラで倉庫番みたいにスイッチに乗せる場面では「詰み」に陥ることもある。一応そうなった場合の為に自爆コマンドなんてものもあるのだが、配慮の方向性を若干間違えてはいないだろうか?
  • ステージのバリエーションが乏しい
    • 確かに屋外や配管登りなどもあるがそれらはごく一部であり、殆どが室内でゴーストとパズルと戯れるもので全体を通して変わり映えはしないのも残念なところである。本作は他の要素が優れているだけに余計に目立ってしまっている。
  • ボス戦は特にない。
    • 敵キャラも倒しても何も得られず、上手くやり過ごしたり埴輪にして倉庫番よろしくスイッチを踏ませるのみである。
  • パスワードが出るのは章の終わりだけであり、簡単にゲームを区切る事も出来ないのが厳しい。
  • これらの複合により当時本作を遊んだ多くの子供達を返り討ちにしたであろう事は想像に難くない。
  • ハズレ自機同然のハカセ
    • 原作でも体育が苦手設定だったためか、移動スピードも遅く飛び道具も弱い。身も蓋も無い言い方になってしまうが、アクションパートにおいてハカセを有効活用できる箇所は存在しない。飛び道具はともかくスピードが遅いことについては、原作再現として間違ってはいないのだが…。
      • なかでも移動速度が遅いのがストレスフルで、特に、他のキャラなら簡単に振り切れるゴーストなどに追われ続けるのも嫌なところである。これで振り向きざまに飛び道具を使おうとすると操作性の悪さから逆にやられるケースも多いので難儀である。
      • ハカセ有利の要素を期待して選択するというのは一切なく、よりにもよって終盤のアクションにかぎって他のキャラがいなくなったので消去法でハカセに出番が回って来るという状況である。
    • ゲーム中盤でハカセしか選択出来ずアクションパートをクリアせざるを得ない状況もあるので慣れておかないと攻略が厳しい。
      • アクションパートで「うん!ここなら僕でも大丈夫だ。」と自信ありげに宣言するステージがあるのだが、そのステージがいかんせん長い。足の遅いハカセで攻略するのは若干しんどい。足の速いライオンを選んだ方が楽に攻略出来る。
      • そんな彼にも最後の最後で見せ場がある。第5章のオルゴール組み立てはハカセにしか出来ないため、ここで彼の存在が活きる。
    • 原作のハカセは島内でも屈指の有能なキャラクターであり、たしかに体力こそないが、それを優れた知恵と勇気でカバーしあらゆる困難を乗り越えている。それがただの足手まといキャラになっている時点で色々とおかしい。
  • プレイヤーキャラクター選択に関する仕様
    • 3つの部屋を探検するパートでは一度選択したキャラクターは、そのパートが終わるまで再選択できない。一度選択したキャラを選ぼうとすると「やっぱりじしんがないや、ごめんね。」と辞退してしまう為、どこでどのキャラクターを選ぶかが重要になってくる。これだけならばまだ、戦略性を高める要素だと前向きに捉えることはできなくもないが…。
    • イベントによって途中離脱するキャラが多い。本編を通して使用可能なのがよりにもよってハカセ位しかいないのは正直痛い。
      • 他のキャラも中盤以降は出番の無いライオンやダンプ、序盤早々退場し、再び使えるのが終盤のチャッピ等、キャラ毎の出番にムラがあるのも問題。
    • 最終面では最強クラスの能力を有するダンディや実はハカセより性能が低いプリンが加入するものの、操作キャラとしては選択できない。キャラゲーとしてそれはどうなのか。
  • 出番の無いキャラクターが存在する
    • 『なぞのかいぞくせん』という副題にも拘らず、海賊四人組(ガラクータ、トウヘンボク、ドタバータ、ヤッホー)とキッド坊やは本作には登場しない。
      • この五人は原作では準レギュラーキャラクターの為、未登場である事を残念がる原作ファンも多い。
      • とはいえ、この点に関しては『海賊の巻』の前日譚と据えることも可能。
    • ダンディ以外の大人達の出番がプロローグのみなのも残念。代表キャラと言えるドン・ガバチョやトラヒゲは本当に最初にしか出てこない。
  • キャラクターの言動
    • キチンと原作のやりとりを再現している部分が多い一方、やや首を傾げたくなる場面も存在する。
    • 基本は子供達とライオンで行動するが、その場にいないとはいえハカセがダンディやガバチョ等の年長者を呼び捨てにする。ダンディが目の前にいる場合でも、ボーレーと出くわし極端に怖がる彼に対して「ダ、ダンディ・・・」と呆れたように呟いたりする。
      • 原作のハカセは基本的に年長者に対しては「~さん」付けであった筈なのだが。
      • 原作で海賊と剣で戦ったり、魔女の追跡を阻止したダンディさんも、ボーレーには弱いのだろうか…。
    • ハカセについては「テキストによる容量消費を減らす為の苦肉の策」と擁護できない事はないし、ダンディも「実はボーレー(亡霊)だけは極端に苦手」と解釈することは可能ではある。しかし、テケの言動については完全に擁護不能。
      • 序盤はライオンに対してとにかく冷たい。怖がるライオンに対して「ひとりでかえれば?」と言い放つ等。終盤では「ライオン、いじわるばっかりいってごめんな。」と謝罪する場面はあるのがせめてもの救いかもしれない。
      • ある小部屋にアンパンがあったから「食べに帰る」という理由でメンバーから離脱する。テケは度々「腹減った」と言うキャラだが、集団行動を乱すほど食い意地が張っているキャラでは断じてない。
  • とにかく煩わしいドアクイズ
    • 第3章ではアクションパートの後に恐怖のクイズと妖(あやかし)の扉が立ちはだかって来る。それは船内にいるボーレーが仕掛けて来る意地悪である。
      • 「三つのドアの中から正解のドアを一つ選べ」という内容だが、間違えると最初の地点に戻されてしまう為非常に煩わしい。
      • 途中まで進めると何度かクイズを出題してくる。定番の「今、何問目?」系の問題まで出てくるため更に煩わしい。
      • 3扉の後に3択クイズ、それが数セットなのでとても長い上に(クイズ含め)1回でも間違えると最初からやり直しである。これはつらい!
      • 「みんなあ!ゴールにいきたいかあ!クイズを出すぞ!」とまで言って来るが、ルートは決まっておりメモを取って行けば必ずゴール出来るようにはなっているのでウルトラクイズよりかは良心的ではある。また、このボーレーは最初は襲い掛かるつもりだったが地道に取り組む博士たちを見て最後に謝ってくれる。その後はダンプに再開出来る。
      • そしてこの際には第3章を始めるための合言葉「 金のねじは無し 」というワードも登場している。
    • 引き続きアクションステージが続く‥‥
      • このあたりで第3章を終えてパスワードを表示して欲しい所であるが、これ以降もアクションステージが続くので厳しい。
  • 最終ステージの謎解き
+ 本作の謎解きについてネタバレ要素を含む
  • 最終ステージでは、手に入れたアイテムを「一つのメロディになるように」配置するという謎解きがあるのだが、音階と符号の位置を合わせる必要がある。絶対音感に自信が無い場合は結構な苦行になる。
    • 開始前にどのアイテムがどの音に該当するのか説明するシーンはあるが、操作中は前半部分の解説を読めない。絶妙な不親切ぶりである。
      • アイコンが用意されているのは良いが、道中でそのアイテムを手に入れた時点ではアイコンが表示されないのもやや不便なところ。
    • アイテムのアイコンも似たような形状のものがいくつかあるため、余計にややこしくなってしまっている。
  • 実はゲーム中盤に「正解のメロディそのもの」が流れるシーンがあるが、本作発売当時はカセットテープやビデオぐらいしか録音(録画)環境が無い。中盤の何気ないメロディを記憶しているプレイヤーはそう多くないだろう。ヒントとして機能しているとはとても言い難い。
    • 音階はドから高いドまで1つずつしか無いので、最悪総当りでもクリアは可能なのがせめてもの救いと思われる。
  • 謎解きの問題ではないのだが、解決に至る流れがひょうたん島っぽくない。
    • メゾホルンを封じるオルゴールを完成させても起動せず(初回はプリンのミスだが2回目も鳴らない)皆で心を合わせて祈る流れになるのだが、ひょうたん島の原作ではオペラのように「キャラが歌い語りをする」というシーンが多かったので、ここは皆で歌う展開の方が自然。*1



総評

クソゲーが乱発されがちなキャラゲーにおいて、キャラ設定を活かし、それでいてオリジナルストーリーの違和感も無く、グラフィックのレベルも高いという作品はそうそう無い。
そういう意味では、本作はキャラゲーとしては水準以上のクオリティを持っている。
原作のファンなら一度プレイしてみるのも良いだろう。ひょうたん島を知らない世代であっても、触ってみる価値は十分にある一作である。
その一方では、アクションパート面の難しさやハカセの性能面等、ゲーム単体としてはとても褒められたものではなく、ひょうたん島を題材としたゲーム作品の中では「良くも悪くも無難」という評価になっている。

余談

  • VC配信は実施されていない
    • 版権の都合上VC配信は難しく、本作を遊ぶには実物のゲームソフトを入手するしかないところである。ただ本作はゲーム性が足を引っ張ったためか値崩れを起こしているようで、入手難易度はそこまで高いわけではない。


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最終更新:2022年12月15日 18:15

*1 メゾホルンの弱点はこのオルゴールそのものではなく「このオルゴールが奏でる曲」なので、「同じ曲を歌えば有効」と言われても違和感はない。