バーニングレンジャー

【ばーにんぐれんじゃー】

ジャンル 3Dアクション ASINが有効ではありません。
対応機種 セガサターン
発売・開発元 セガ・エンタープライゼス
発売日 1998年2月26日
定価 6,090円(税込)
レーティング セガ審査:全年齢推奨
判定 なし
ポイント 暑(熱)いのは炎だけじゃなかった


概要

ソニック・ザ・ヘッジホッグ』などで有名なソニックチーム(当時のセガ第8AM研究開発部の通称)制作の3D人命救助アクションゲーム。
科学の発展によって、従来とは比べ物にならない程の危険な存在と化した災害に対処するべく組織された特殊レスキューチーム「バーニングレンジャー」の活躍を描く。
初回生産版には、本作のOPやEDなどが収録されたCDが同梱されていた。

特徴

  • バーニングレンジャー新人隊員の「ショウ」又は「ティリス」を操作し、火災現場の延焼を食い止めながら取り残された要救助者を救出していくのが主な目的。各ステージの最後で戦うことになるボスを倒すことで、そのステージはクリアとなる。
  • 体裁としては頭上後方からの見下ろし視点、TPSで三次元舞台を駆け回る。キャラクターの身体各所に装備された個人用小型ブースターを使用した高速移動や飛行、大ジャンプ、緊急回避(バック転・側転など)を駆使してステージを攻略する。機動性は高く、通路が多い性質上、若干速度などが過剰ではあるが、使いこなせば爽快感が高い。
  • バーニングレンジャーは武器にあたる装備として弾数無限の消火弾を持ち、これを「敵」である炎に当てる事で消火活動を行う。消火された炎はクリスタルアイテムに変化する。
    • クリスタルはプレイヤーが受けたダメージを1度だけ肩代わりする他、要救助者を安全な場所に転送する際にも使用する。要救助者を救助するには最低5個、最大10個のクリスタルを消費し、10個のクリスタルで転送すればコンティニュー回数+1のボーナスが得られる。
    • 消火弾はチャージ可能で、チャージした消火弾には衝撃波が付与される。これにより暴走した機械などにダメージを与えられる他、通常の消火弾では複数発必要になる高耐久値の炎を一撃で消す事ができる。ただし衝撃波でドロップクリスタルも破損し、1コも得られない。
    • クリスタルを所持した状態で炎に接触すると、『ソニック』のリングのように持っていたクリスタルが周囲に散らばってしまう。散らばったクリスタルは一定時間経過で消滅してしまうが、その前に回収すれば再び持ち続けることができる。逆にクリスタルを所持しないで炎に接触した場合、ゲームオーバーとなる。
  • シナリオでは火災の中での救助だけでなく、その災害の原因調査も同時に行う事が多い。内容自体は一本道だが、チームメンバーが協力して救助や調査を行う様は頼もしい。
    • 常に後方支援で待機する仲間、チームリーダー兼オペレーターの「クリス」がナビゲーション機能で行き先を指示してくれる(頼り過ぎると「自分で考えて!」と怒られたりする)。
  • 要救助者を救助すると、ステージクリア後にその人物から届いたメールを読むことができる。内容は純粋な感謝から救助のやり方に対する不満など様々で、これを集めることもこのゲームの楽しみの一つとなっている。
    • 中には、おまけモードをプレイできるパスワードが書かれたメールを送ってくる要救助者もいる。
  • 小さな穴などを自動的にジャンプして回避してくれるオートジャンプ機能がある。
  • 爆発が起こる直前、真後ろ方向に十字ボタンをタイミング良く押すことで簡単に回避できる緊急回避機能がある。
  • 要救助者にはソニックチームの「ナイツ」等との連動、漫画家の柴田亜美の特別出演などがあったりもする。
  • 危険度ゲージ
  • 舞台が火災現場なだけあって、時間経過と共にステージ各所が徐々に崩落していく仕組みになっており、攻略に手間取ればそれだけクリアが困難になっていく特徴的なシステム。時間や爆発で増加し、炎の消火・ステージ上のスイッチ操作・要救助者の救助で減少する。
    • 20%・40%・60%・80%毎に区切られており、一度到達するとプレイヤー付近に緊急回避不能の爆発が一定時間連鎖して発生、かつ危険度ゲージが二度と区切り以下に減少しなくなる。100%に到達している間は爆発は永遠に発生し続けるようになり、ほぼ間違い無くゲームオーバー。
    • ある意味で初見殺しとも言える仕様。ステージマップを把握していないと無駄にうろうろする事になり、ガンガン危険度ゲージが増加して簡単に死が見える。

賛否両論点

  • ストーリー、OP主題歌、ゲーム進行中頻繁に起こる隊員同士の掛け合い等……、本作の全てに流れるヒーローもののアニメや特撮のような熱いノリ。
    • そんな熱さに乗っかれるかどうかで本作の評価はガラリと変わる。所謂ハマる人はとことんハマり、逆に合わない人には本作をプレイする価値すら見出せないだろう。
  • 独特な操作システムが幾つかあり、賛否が分かれる点となっている。
    • 段差に向けて移動すると自動的にジャンプを行う「オートジャンプ」。一見すると初心者に優しそうに見える機能だが、特殊なアクション慣れしていないプレイヤーにとって危険度の高そうな舞台の印象と相まって戸惑う事が多い。移動速度を落として段差へ接近しても発生する。下方向への階層へ移動したい時は利点がない。
    • 爆発の前兆を知らせる音が鳴った直後~爆発が起こるまでの時間内に方向キー下を押す事でバックジャンプできる「緊急回避」。状況的に焦らせるシチュであるため、初心者は混乱し見当違いなボタン入力をしたせいで爆発に巻き込まれゲームオーバーとなるケースも少なくない。
    • アクション慣れしているプレイヤーならばメカニズムをすぐに看過できる*1ため、冷静に見ていればむしろ爆発発生までの入力受付時間が長いとすら感じるが……。
    • 独特な操作はこれ以外にもチャージショットの銃口補正や誘導、装備ブーストの操作感など数が多く、これに敵の挙動などが把握できるか否かでボス戦の難易度がガラリと変わる。
    • LRボタンで視点の左右切り替えが行えるが、90度単位(正確には基準となる四方向に揃える)でしか行えず使い勝手がいまいち悪いという意見がある。カメラをキャラクターに接近させた自由な視点移動は可能だが、これは視点が保持されない上に移動中は行えない。
      • 但しこのゲームのステージ構成は基本的に四方向基準の整然とした構成なため、一度のボタン操作で通路の真正面へと揃える事ができる意味で利点でもある。
  • ステージ4が凄まじく異色。
    • ラストステージでかつ要救助者のいない特殊なステージで、バーニングレンジャーの操作を駆使した完全なアクションステージと見る事もできるのだが、ステージデザインがとにかく突出して独特。ソニックチームの本領発揮とでも言うべきか、壁や足場の材質から色合いまで宗教的なもの、近未来的なものを非常に強く感じさせる。圧倒はされるが……しかしストーリーの急展開ぶりに拍車をかける。
  • マップ機能がない。
    • 近未来型の整然とした構成とはいえ、三次元的なステージマップはなかなか方向感覚が掴みづらい。一方通行の扉などもあり、プレイヤーは頭の中で地図を作っておかないと迷ってしまいやすい。全体の把握さえ出来れば簡単なのだが、初見ではその独特な世界観もあって建造物の構造をイメージするのがなかなか困難である。
    • 隠し通路・隠し部屋が意外と多いため、あればあったで難易度が大幅に下がってしまうだろうが……。リーダー・クリスのナビゲーションが今一つ正確さに欠ける(モニターしているにもかかわらず現場の状況との差異がある)のもマップ把握が困難な原因の一つ。

問題点

  • 火災や爆発のエフェクトが出現する場所では処理が重い。広い空間ではポリゴンの欠けも目立ってくる。
  • 炎のエフェクトが、壁や床を無視して表示される場合がある(本来は3部屋分別の場所にある炎が見えるなど)。
  • ステージが全部で4つしかない上、ラストステージは要救助者のいない特殊な構成なため実質たったの3ステージ。1つ1つのボリュームは悪くないのだが、全体的な不足を補える程ではない。
  • 爆発によって危険度ゲージが増加するが、引き起こされた火災を消火する事で(トータルで)危険度ゲージを減らす事ができるポイントが意外と多い。ステージマップが理解できるようになってくると、危険度ゲージの回復のために自分から爆発や火災を求めて危険箇所へ向かうという事が当たり前になる。勿論クリスタルも美味しく回収できるが……なんとも本末転倒である。

評価点

  • 前述した独特なアクションだが、各部に装備されたブーストによる空中移動アクションなど、慣れる事さえできれば非常に自由が利くため爽快感が高い。逆に言えば慣れなければならない必須操作は多いが、2段ジャンプ、十字キーによる前後左右への宙返り、半永久的な空中ブースト移動といった高機能なものが揃う。アクロバティックな感覚で華麗に炎や障害物を避けながら進んでいけるようになる。
  • アクションゲームとしても何故ボスや怪物がいるのかといった多大なつっこみ所はあるが十分楽しめる。
    • 主な敵役である「炎」にも種類があり、通常の赤色の他、耐久値が高く消火時のクリスタル排出量の多い紫や青、プレイヤーに向けて火炎を放射する緑、意思を持ったかのような宙に浮く巨大な火球なども存在し、ただそこで燃えているだけのザコだけではない。つっこみ所は多いが、初めて相対した際に背筋に走る冷たい感覚は災害のイメージもあって中々。
    • ステージギミックも多く、(時間制限との相性は悪いが)探索の楽しみもある。
  • アニメーションムービーは、当時の基準で見ても良く出来ている。
  • ゲーム的には意味はないが、ステージのオブジェクト構成が非常によく出来ている。
    • 例として、ステージ1は暴走したエネルギープラントが舞台であり、機械や崩落した天井、巨大ジェネレータを取り巻くキャットウォークや足場、パイプやバルブなどが無駄にきちんと配されている*2。ステージ2は海洋研究施設と水族館が上下に隣接する近未来の海底建造物で、前者は強化ガラス張りと整然とした無機質な通路に電光掲示板、後者は娯楽施設らしくデザインされた絨毯と通路、水槽などが立ち並ぶ。手摺や階段など細部まで作り込まれている他、水難事故を意識させる重厚な隔壁など細かい説得力がある。
  • プレイ二周目からは「ジェネレート機能」というものが作動し、主に各ステージでそれまで閉じられていた隔壁が開放される等してマップ範囲が拡大する。これによりなんとステージ1が最難度マップへと変貌し、やり応えのあるマップに。
  • 声優は緑川光などベテランを起用しており演技にも疎漏はない。
    • 熱血役に緑川氏、冷静役に関智一氏と普通逆だろと思う配役だが、これが問題なくキャラに合っている。

総評

ソニックチームが数多く世に出している「その筋では有名な」マニアゲーの一つとして名高い本作。
テーマがテーマなだけに汎用的な意味で良作とは言い難いが、アクションゲームとしては纏まっており、ヒーローもののノリが好きならばプレイする価値を見出せる作品である。こと世界観やデザインに関してはさすがのソニックチームと言える手堅い出来であり、ハマったプレイヤーならば名作として推す事も珍しくない。
ある意味明後日の方向へ時代を先取りし過ぎたゲームとも言えるが、それもまたセガの変わらない味と評しても良いだろう。
サターンが既に衰退期を迎えていた頃に発売された為、大した話題にもならずに忘れ去られてしまった点は不遇とも言える。

余談

ファンタシースターシリーズ(PSO・PSU・PSPo2・PSO2)にて、バーニングレンジャーとのコラボが登場した。
これらの作品を通してバーニングレンジャーを知ったという人も多いのではないだろうか。

タグ:

+ タグ編集
  • タグ:

このサイトはreCAPTCHAによって保護されており、Googleの プライバシーポリシー利用規約 が適用されます。

最終更新:2021年07月02日 15:22

*1 進行方向でしか発生しないであろう仕様や、怪しい箇所がなんとなく掴めて来る事、緊急回避自体のバックジャンプが「キャラクター」の向きであり、焦って右往左往した後に緊急回避をするとかえって火の海へ飛び込む事がすぐに分かる

*2 一部の部屋は「(要救助者のいる部屋なのに)ここの職員どうやって入ったんだ?」という場所もあるが……。