プリンセスうぃっちぃず

【ぷりんせすうぃっちぃず】

ジャンル ドキドキわくわく魔女っ娘バトルADV

対応機種 Windows 98~XP
発売・開発元 ぱじゃまソフト
発売日 初回/通常版:2005年5月27日
再販版2005年6月11日
EXCELLENT2006年4月28日
定価 限定版:10,800円
通常版:8,800円
EXCELLENT:6,090円(共に税別)
配信 EXCELLENT廉価版:2010年10月29日/4,800円(税5%込)
レーティング アダルトゲーム
判定 なし
ポイント 学園ドタバタコメディと思わせてからの重いシナリオ
ハッピーエンドへのシナリオは王道ではあるが急展開
魅力的なキャラクターや演出は高レベル
何ゲーか分かりづらいのが魅力でも足枷でもある
ぺんしる作品リンク


ストーリー

ある全寮制の学園に本気でヒーローに憧れる少年、御堂真樹がいた。ある日、彼が家宝のナマクラ刀を持ち歩いて夜の学園をパトロールしていると、
目の前に魔法を操り化け物と戦う美少女が現れた。しかしアクシデントのため彼女はあべこべに追い詰められてしまう。
少女を助けるべく無謀にも化け物に立ち向かう真樹。だが化け物の繰り出した業火が真樹に迫らんとする時、持っていたナマクラがにわかに光り輝き、炎を弾き返したのである…。

二人で化け物を退けた後、今更になって彼女が魔女の世界のお姫様であることを知った真樹。
先ほどの事故で力が失われてしまった彼女を助けるため、彼は学園を化け物の魔手から守る組織「魔女っ娘委員会」を(勝手に)設立する。 ここに真樹の大冒険の幕が開いたのである。


概要

魔女の世界からやってきたヒロインと人間の主人公が力をあわせ学園に迫る危機を退けていく、という筋書きのアダルトゲーム。
物語の一篇が、学園を舞台にした前半と、魔女の住む世界を舞台にした後半に分かれており、それが全三部からなるというボリューム。
基本はテキストアドベンチャーの形式でゲームが進行するが、ストーリーの要所ではミニゲームでの戦闘が挿入される。


主要登場人物紹介

  • 御堂真樹(みどう まさき)
    • 主人公。本気でヒーローを目指す男子学生。夢と女の子のためなら水火もいとわぬナイスガイだが、気が多いのが欠点。
    • 本人は人間だが魔力を反射する刀を持っており、魔法を使う化け物や敵対する魔女とも渡り合うことが出来る。
  • クルル
    • 本名クルシェンヌ・ルーセル。魔女界からやってきたプリンセスだったが、事故で力が抜けてしまう。底抜けに明るいが考えがすぐ顔や言葉に出る。
    • 生粋の魔女で、人間界にいる間は学生として暮らす。成績はあまり良くない。
  • 雀宮林檎(すずみや りんご)
    • 主人公の幼馴染で神社の娘。最初は委員会の活動を小ばかにしていたが、本物の怪物から助けられたのをキッカケに仲間となる。暴力的なきらいはあるが良識がある方。
    • いたって普通の人間だが、クルルからもらったアイテムの力で変身すれば魔法が使えるようになる。
  • 春日かれん(かすが かれん)
    • クルルを追うように現れた謎の転校生。さりげなく仲間に加わっていた。時々訳知り顔をするが、基本的には無口。
    • 何か怪しいところが多いが、一応人間なので変身しないと魔法が使えない。
  • 委員長(あだ名)
    • あれなあだ名だが実際のところは生徒会書記で本名は永遠の謎。魔女っ娘委員会が風紀を乱さないか見張っていたが、紆余曲折を経て仲間にされる。生真面目なのに色々と抜けていて自分に甘い。
    • 表向き人間であり、アイテムを使って魔女っ娘になるのだが、その出生に秘密がある。
    • 本名などのネタバレ→ 本名は闇の女王オルからするにナターニア。実はクルルとは双子の姉妹(厳密には怨恨の集合体)であるが、闇の魔女ゆえに捨てられた。  

概要(戦闘部分)

  • 戦闘が開始すると敵が複数のカードを伏せる。カードには「何もしない」ものと「魔法」を使うものの2種がある。
    • 魔法は「小魔法」と「大魔法」に分かれている。小魔法はカード1枚で使用できるが威力が低く、大魔法は高威力で相手の小魔法を潰せるが、「詠唱」カードと2枚1組で、詠唱中に攻撃されると小魔法になる。
    • 敵の行動回数は一定で、何もしない、小魔法、大魔法ともに行動回数は1回である。また魔法には炎、水、雷のいずれかの属性が備わる。属性は炎→雷→水→炎(強い属性→弱い属性)の3すくみとなっている。
    • 魔法カードには属性ごとに色がついているので伏せた状態でも属性は判断できるが、それが小魔法か大魔法かまではカードの枚数と敵の行動回数から推理することになる。
  • プレイヤーは敵の手に対して強い手をぶつけて戦っていく。
    • 味方のメンバーは一人につき1回の行動権を持っている。敵の手に応じて行動するキャラ、使う手が小魔法か大魔法かを選択していく。
    • クルルは攻撃属性を任意に選択できる。林檎は水、かれんは炎のみで、委員長はランダムに攻撃属性が入れ替わる。
    • 例外的に、真樹は相手の「魔法」カードに対し無条件で反撃する「反射」属性である。直接攻撃ではないため、相手の「何もしない」か「詠唱」と「反射」がかち合うと失敗。
  • こちらがカードを出し終えると勝敗結果が発表され、それに応じて敵か味方のHPが減少する。その後最初に戻って敵が再びカードを提示する…の繰り返しである。いずれかのHPがゼロになれば戦闘終了となる。
  • 連続で攻撃を成功させればラッシュが成立して攻撃の倍率が増加し、加えて相手をスタンさせる可能性が出て来る。当然、味方側も同じ条件でスタンする。
    • 何回攻撃するとスタンするかは、画面内に星型のゲージで表示される。星がなくなるとスタンが成立し、成立直後のカードの効果は無効化され「何もしない」と同義となる。
    • スタンゲージは最初4つだがスタンするごとに1ずつ増える。ただし、相手の「詠唱」もしくは「何もしない」にこちらの大魔法をぶつける、強い属性の大魔法で弱い属性の小魔法に勝つ、真樹が大魔法を反射すると、ゲージ残量に関係なくスタンが発生する。
  • 後半では敵がいずれの属性にも強い闇属性の魔法を使ってくる。これは真樹が反射させるか直前にスタンさせて大魔法で上から潰すかしないと対処不能である。
    • 闇魔法は1ターンに一度しか使用されないが、カードを伏せた状態では「何もしない」と区別がつかない。
  • 敵の行動は、あらかじめ設定されたカードの組み合わせから無作為に選出されている。そのため行動パターンを覚えていれば完封可能。
  • 戦闘の難易度がNORMALでは味方の人数と敵の行動回数は同じだが、HARDでは常に敵の手数の方が1回多い。

特徴

基本的には学園ドタバタコメディであり、イベントCGをいくつかのパーツに分けて個別に動かせるようにしたり、豊富なSEや画面効果を用意したりといった、
とかく賑やかな演出、及び変身ヒロイン系のコテコテなネタを売りの一つとしていた(Majyokko Active Reaction System=MARSと命名)。

  • ヒロインが呪文を唱えながら戦闘形態に変身する(専用の衣装をまとい武器? も手にする)。その際数秒ほどだが一糸まとわぬ姿に変わる。
    • もちろん(?)裸になっている瞬間は周辺の人に見られている。近くにいた主人公がいちいち興奮してドツかれる一種のお約束ネタでもある。
  • ザコ戦で敵に止めを刺すと、いかにもな口上を述べつつ敵を倒す必殺技ムービーが挿入される。
  • 敵は、例えばボールから手と足が生えてるような形状のファンシーなモンスターと、大人の魔女。
    • エロゲー業界で一勢力を持つ「変身ヒロイン陵辱モノ」とは異なり、あくまで一般魔法少女モノっぽいノリに止めている。

ただし魔女っ子萌えに留まらない要素も多く入っている。

  • エロゲ…というか、むしろ青年向け漫画誌に載ってるラブコメあたりから引っ張ってきたような性格の主人公。人一倍スケベで猪突猛進気味だが行動力も人一倍である。
    • ただし優先順位はヒーローになることの方が上の模様。ヒーローになって女の子にモテモテ、が夢だからであろう。
    • 事あるごとに「英雄の誓い」を暗唱(その時は黒背景に白抜きの明朝フォントで誓いの内容が大書される)する。思わず拳を握るようなものもあれば逆に脱力モノの誓いもあって結構飽きない。
    • というか(バトルパート限定で)声があるが、緑川光のそっくりさん「氷河流」が担当。後に出たドラマCDに出演した時は本当に緑川が当てた。
    • 戦闘では味方側の切り札として活躍し、持ち前の力強さで物語も引っ張る。ただその高すぎるテンションと下ネタの多さは疲れる。
    • 前述の必殺技も実はヒロイン単独じゃなくて主人公との合体技。
  • 戦闘パートのBGMが無駄に熱い。上に挙げたような外見の敵と魔女っ娘が戦うシーンには不釣合いな感がある、ロック調の曲になっている。
    • ボス戦の相手は大人の魔女なので合っている。ただし「BGMがザコ戦と同じ」というメタギャグもあり。

評価点

  • 欝展開からのどんでん返しは賛否両論であるが、全体を通して見ればシナリオは熱く王道であると言える。出来も平均水準以上。
    • ハッピーエンドへのキーとなる人物の出現は唐突ではあるが、設定はしっかりと固まっており介入内容自体には特に違和感はない。
  • BGMの出来も良く、演出も良い。
    • ただ、シーンごとに頻繁に何度も鳴るSEは人によってはウザいかもしれない。
  • キャラクターも可愛くて魅力的、声優の演技も力が入っており長時間プレイしていても聞き飽きない。
  • 秀逸なタイトル
    • パッケージには小さく「a princess, which is?」と書かれているが、別の解釈もできるダブル・ミーニングになっている。
+ ネタバレ
  • 「うぃっちいず」には「wicthes(魔女たち)」も当てはまる。
    • プレイ後に両方の意味が分かったとき、タイトルの良さを理解できるであろう。

賛否両論点

  • 前半と後半の温度差が激しすぎる。
    • 魔女の世界を舞台にした後半になると、前半のドタバタ、エロコメ分が抑えられたシリアスなストーリーが展開されるのだが…。
      • 第一部は「正義編」とし、光のプリンセスであるクルルとその近親者を中心に話が展開される。
      • 第二部は「真実編」とし、委員長の秘密や謎の少女かれんの正体など、第一部で明かされなかった謎に迫る内容。
    • しかし、どちらも突然鬱ゲー化し、画面が血塗られたり犠牲者が続出したりする。
    • 特に第一部は登場人物の死亡描写が必要以上にむごたらしく(絵は出ない)、人によってはドン引きさせられる(登場人物の血しぶき、生首、焼死体などが文章で出てくる)。しかもそんな兆候はパッケージや公式サイトからは全く察し得ない(ちょっとシリアスかな、くらい)。ヒロイン候補も普通に死ぬ。
    • 第三部「英雄編」になると更に一転二転して、再び前半のノリに戻るどころかはっちゃけぶりに拍車がかかりギャグ展開が加速し続ける。前半のドタバタ・エロコメのままこれまでシリアスだった部分を消化していけるので、鬱展開に辟易したユーザーは楽しめるが、逆にそれまでの鬱に身構えると脳の理解が追いつかなくなる。
    • かように、「とにかく色々と混ぜてみた」的なノリが持ち味であり、良くも悪くも盛り沢山となっている。このノリについていけるかどうかが本作の評価に関わってくると言える。超展開ぶりを「かわいいパッケージで買ったら騙された!!」と恨むか「天晴れ、1本取られました」と思うかはユーザー次第。
  • ハッピーエンドを迎えるための手段が、(ネタバレ注意) 事の顛末を知る第三者の物語への参加とループ。  賛否が非常に分かれやすい手法である。
  • 各部の後半部分と第三部ではエロ一切なし。入ったら入ったでKY扱いをされる可能性が高かったであろうが。
  • ギャグシーンに使われるネタが少し下品
    • 笑い飛ばせる人は盛大に笑い飛ばせるだろうが、下ネタが苦手な人は嫌悪感を示すかもしれない。

問題点

  • 攻略対象ヒロインは実質2人。
    • 公式サイトではヒロインが4人いるように示されているが、実際は表パッケージに描かれたヒロインであるクルル及び委員長のみ。かれんは完全な脇役で、林檎も含め個別ルートが本筋から外れた「もしも」扱い。
    • エロゲでは「表パッケージに描かれたヒロインがどうでもいい子だった」ということが時々あるので、それらよりはマシかもしれないが。
  • エロを売りにしていたはずだが、行為の過激さに対してシーンの絶対数が少ないのも一部批判の対象になった。

総評

魔女っ娘萌えにヒーローと異世界モノと世界を救え的なノリを混ぜた、なかなかに力の入ったゲームであると言える。
しかしそういったテンション、及び中盤戦のどんでん返しについていけないという人にはオススメできない。
また、性的なネタにもそれなりに力を入れているためコンシューマー移植は不可能に近い。
戦闘パートでももう一押しが欲しかったところである。



余談

  • pinkちゃんねるエロゲネタ&業界板にて行われた、2005年度のエロゲ人気投票では売り上げトップの『Fate/hollow ataraxia』(TYPE-MOON)に迫る第4位につけた。
  • 2006年4月28日に新規シナリオなどを追加した『プリンセスうぃっちぃずEXCELLENT』が発売された。
  • 2018年3月30日発売の『ぱらだいす お~しゃん』の予約特典として、ボイスデータが高音質oggに差し替えられた『プリンセスうぃっちぃず EXCELLENT 高音質版』が付属する。
    • ぱらだいすお~しゃん』作中ミニゲームの音ゲー「ミュージックお~しゃん」に本作関連の曲「I' ll try my best」「Refrain」が収録されている。

その後の展開

本作の原画を担当したかんなぎれい氏は、後に新ブランド「Lillian」のCEOとなり(母体はぱじゃまソフトと同じくぺんしる)、本作の雰囲気を一部受け継いだ作品『ティンクル☆くるせいだーす』を発売している。
またブランド発足に伴い、本作もかんなぎ氏の過去作『パティシエなにゃんこ』とともにLillianブランドの作品として組み込まれた。

クル☆くるにおいては個別ルートの増加によりヒロイン詐欺の問題は解消され、バトルシステムも進化したものの、話のスケールのわりにユルかったり熱さが不足気味だったりして一長一短の状態である。
クル☆くるのファンディスク『ティンクル☆くるせいだーす - Passion Star Stream -』にゲスト参加した。

後にかんなぎ氏がみなとそふとで指揮を執り製作された『ハナヒメ*アブソリュート!』において、本作との関連を示唆する伏線、キャラが登場している。

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最終更新:2020年12月27日 10:22